JP3706276B2 - 外周駆動型スクロール圧縮機 - Google Patents

外周駆動型スクロール圧縮機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮作動室の容積を減じながら気体を圧縮する旋回運動形容積式圧縮機であって、特に渦巻状に構成されたスクロール部材によって三日月状の圧縮室が形成され、両歯形旋回スクロールがその外周部に配置された複数の駆動軸によって駆動される外周駆動型圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スクロール圧縮機の基本的な動作原理は、以下の通りである。スクロール圧縮機では、鏡板に渦巻き状のラップを直立して設けた2つのスクロール部材を互いに噛み合わせ、一方のスクロール部材を他方のスクロール部材に対して自転しないように拘束しながら相対的に旋回運動させ、スクロール部材の外周部から中央部に向かって気体を圧縮させる。このスクロール圧縮機においては、圧縮動作に伴って発生する熱によって旋回スクロールや固定スクロールが熱膨張し、両スクロールのラップ側面部で互いに接触することがある。ラップに接触が生じると、運転中に異常な振動や騒音が発生したりラップ側面部での異常摩耗やかじり現象が発生するため、圧縮機として正常な運転動作ができなくなる恐れがあった。
【0003】
特開昭63−167090号公報には、旋回スクロールと固定スクロールとの相対熱膨張差を考慮した熱膨張補正歯形が示されている。この公報では、旋回スクロールと固定スクロールのいずれか一方、例えば旋回スクロールのラップ溝内に内接する内接円半径を中央部の巻き始めから巻き終わりに向かって漸次変化するように設定している。この狙いは、旋回スクロールの熱膨張量、ひいては固定スクロールとの相対熱膨張差を考慮して予めいずれか一方のスクロール部材のラップ側面を、理論インボリュート曲線に対して補正を行い熱膨張によるラップ同士の接触を未然に避けることにある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載のものでは、旋回スクロールはほぼその中心部の反ラップ側に設けられた駆動軸によって旋回運動が達成されている。従って、旋回スクロールの基準位置はその中央部になり、旋回スクロールの熱膨張は、基準位置から放射状に発生する。このため、熱膨張量はほぼ中心からの距離すなわち半径に比例した大きさになる。このようにスクロール圧縮機が構成されているときは、スクロール部材の相対熱膨張量差を回避するには、本公報に記載の方法を用いることが妥当であった。
【0005】
しかしながら、鏡板の両側にラップを形成した旋回スクロールとこのラップと噛み合う一対の固定スクロールを備えたスクロール圧縮機の場合には、旋回スクロールの外周に配置され、旋回スクロールを駆動する複数の駆動軸の何れかが基準軸になる。従って、旋回スクロールの熱膨張量も基準軸と係合した位置が基準となるから、スクロールラップの側壁面での熱変形量はその基準点からの距離に影響される。
【0006】
この場合、圧縮機のスクロールラップの熱変形は、圧縮熱によりスクロール部材自身が熱膨張することに起因し、その変形量は中心からの距離にほぼ比例して増大する。固定端がスクロールの外周部であるため、スクロールの熱変形量はスクロールラップ全体が平行移動を伴った変形量となる。このように、スクロールラップの変形量は、基準となる駆動軸に近い部分が最も小さく反対に最も遠い部分が変形量も大きくなる。
【0007】
また、一般産業用の圧縮機では、圧縮機の吐出圧力が0.8Mpa程度からそれ以上の高い圧力になることが多く、しかもオイルフリーで圧縮気体を提供することもある。従って、圧縮機としては油潤滑式の圧縮機に比べ高い温度になる。また、圧縮機の軽量化等も要求されており、スクロール部材の材質にアルミニウム材料を適用する場合もある。このような圧縮機を運転すると、旋回スクロール部材及び固定スクロール部材は比較的大きな熱膨張を伴う。
【0008】
従って、上記公報に記載のものを外周駆動型圧縮機に採用すると、圧縮機運転時にはラップ側面の一定の部分で接触しやすくなり、圧縮機として正常な運転が達成できなくなるという恐れがある。
【0009】
本発明は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、外周駆動形オイルフリースクロール圧縮機において、熱膨張によるラップ同士の接触を未然に防止することにある。本発明の他の目的は、旋回スクロールと固定スクロールのラップ側面間の隙間を適正に保ち高い圧縮機性能を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、鏡板の両側に渦巻き形のラップが形成された旋回スクロールと、この旋回スクロールのラップと噛み合うラップを有する一対の固定スクロールと、前記旋回スクロールの外周部に保持され旋回スクロールを回転駆動する主クランク軸と、主クランク軸と同期回転する補助クランク軸とを備えた外周駆動型スクロール圧縮機において、固定スクロールラップの中心から補助クランク軸を支持する軸受12bの中心までの距離をf1、固定スクロールラップの中心から主クランク軸を支持する軸受12aの中心までの距離を f2、旋回スクロールラップの中心から補助クランク軸側の軸受11bの中心までの距離をS3、旋回スクロールラップの中心から主クランク軸側の軸受11aの中心までの距離をS4、としたとき、f1<S3 f2>S4となるように固定スクロール側を基準として、旋回スクロール側にラップのオフセットを付与したことにより達成される。
【0011】
そして好ましくは、旋回スクロールのラップ側面と固定スクロールのラップ側面とで形成される隙間を旋回スクロール中心が最も主クランク軸に近づいた位置と、旋回スクロール中心が最も主クランク軸から遠ざかった位置とで変化させるものである。より好ましくは、隙間を、旋回スクロール中心が主クランク軸から遠ざかった位置で近づいた位置におけるよりも大きくするものである。また好ましくは、補助クランク軸に、旋回スクロールと固定スクロールの熱膨張差を吸収する弾性支持部材を設けるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の参考例を図1から図5に従って説明する。図1は、外周駆動型圧縮機の全体構造を表す縦断面図である。図2は、図1のラップみ合い状態を示す断面図で旋回スクロールと固定スクロールのラップによって圧縮作動室が形成される様子や駆動軸の配置の様子を表したものである。ただし、渦巻き状のスクロールラップ部分は断面図ではなく、説明の都合上、互いにラップ先端面を表したものである。
【0013】
図1の外周駆動型スクロール圧縮機は、渦巻き状に形成されたスクロールラップ1bを有する固定スクロール1と同じように形成されたスクロールラップ2bを有する固定スクロール2が平行に配置されており、その間に鏡板3aの両側に同じく渦巻き状に形成されたスクロールラップ3b,3cを有する旋回スクロール3が、それぞれの固定スクロールに噛み合って旋回スクロール3の鏡板3aの両側に圧縮作動室14と15を形成している。これらの圧縮作動室は、図2に示すように両スクロールラップで三日月状に形成される。スクロール圧縮機では三日月状の圧縮作動室が中心軸に対して対称に一対の部屋が同じ体積で構成される。この圧縮作動室は、外周部から中心に向かって順次その体積が小さくなる。それと共に、旋回スクロール3の旋回運動に伴って圧縮作動室が連続的に中心部に移動する。
【0014】
固定スクロール1及び定スクロール2、旋回スクロール3のそれぞれのラップ先端部には、複合材料で形成されたチップシール1c,2c,3d,3eがそれぞれ渦巻きに沿って複数個に分割して設けられている。この複合材料としては、カーボン等の無機系材料、4フッ化エチレン樹脂またはポリイミド樹脂がある。この分割により、チップシールの成形性、組立性、およびメンテナンスコストの低減を図ることができる。また、旋回スクロール鏡板3aには、上下の圧縮作動室14と15とが該鏡板3aのほぼ中央部で連通するように流路8が設けられている。
【0015】
旋回スクロール3の鏡板外周部には、偏心部を有する主駆動軸(主クランク軸)4と同じ偏心量の偏心部を有する補助駆動軸(補助クランク軸)5とが配置されている。旋回スクロール3はそれらの駆動軸の偏心部分で転がり軸受により支持されている。駆動軸の少なくともいずれか一方は、本実施例では補助駆動軸は、弾性支持部13を有する転がり軸受11bで支持されている。駆動軸4や補助駆動軸5は、旋回スクロール3に設けられた軸受11a、11bを介して回転可能に係合している。一方、旋回スクロール3は、駆動軸4や補助駆動軸5が同時に回転することによって、自転を阻止された状態で旋回運動する。
【0016】
固定スクロール1は、そのほぼ中央部に吐出ボート9と外表面全体に設けられた放熱フィン1dがあり、そのフィン回りは冷却風の流路になっており、放熱フィン1dの放熱効果を高めることができる。他方、固定スクロール2もその外表面に放熱フィン部2dを有し、固定スクロール1と同様に冷却風の流路が形成されている。
【0017】
図2に示すように、固定スクロールのフランジ部を貫通して吸入孔22が設けられており、旋回スクロール全体を覆う吸い込み室空間に連通している。また、旋回スクロールの鏡板3aには、圧縮作動室14と15を互いに連通するように小さな直径の連通孔3fが渦巻きに沿って180度間隔で複数個設けられている。
【0018】
固定スクロール1の外周部にはフランジ部1eが形成されており、固定スクロール2の外周部にもフランジ部2eが形成されている。そして、固定スクロール1、2が、このフランジ部1e,2eにおいてボルト18等によって結合されている。結合の際、図2に示すように両定スクロールの相対位置を合わせる位置決め手段16によって、両定スクロール1、2同士ならびに旋回スクロール3との位置関係が適正に保たれて組み立てられる。そして、圧縮動作に好適な圧縮作動室14、15が形成される。これにより、旋回スクロールがスムーズに旋回運動できる。
【0019】
駆動軸4は、その一部分を固定スクロール2にリング状の押さえ板41によって固定された転がり軸受10aやナット42によって軸方向には移動出来ないように軸支されている。駆動軸4の先端部は、他方の固定スクロール1に保持された軸受12aに回転可能に係合されている。また、軸受12aを固定スクロール1に保持するため押さえ板43が設けられている。なお、図面では押さえ板43を袋状にしたが、押さえ板41のようにリング状にしてもよい。さらに、駆動軸4には、旋回スクロール3の旋回運動に伴う不釣り合いを相殺するためにバランスウエイト17a、17bが固定配置されている。他方、駆動軸4とは対称の反対側に位置する補助駆動軸5も、同様に固定スクロール2にリング状の押さえ板51によって保持された転がり軸受10bやナット52によって軸方向に移動出来ない状態で軸支されている。補助駆動軸5の先端部は他方の固定スクロール1に保持された軸受12bに回転可能に係合されている。
【0020】
また、軸受12bを固定スクロール1に保持するため押さえ板44が設けられている。なお、図面では押さえ板44を袋状にしているが、押さえ板51のようにリング状にしてもよい。さらに、補助駆動軸5にも、旋回スクロール3の旋回運動に伴う不釣り合いを相殺するためにバランスウエイト17cと17dが固定配置されている。
【0021】
駆動軸4にはプーリ6が相対滑りを防止するためのキー手段61を介して設けてあり、他に設置した動力源から回転動力が供給される。さらに、駆動軸4と補助駆動軸5とはタイミングベルト7によって回転の同期性を保つように、それぞれの軸に設けた歯付きプーリ20a,20bなどを介して連結されている。
【0022】
前記したように固定スクロール1、2、旋回スクロール3は、それぞれアルミニウム合金等に代表されるように軽くて、熱伝導性の良い材料で構成されている。無潤滑式圧縮機を実現するためには、特にシリコンが含有されたアルミニウム合金を適用することが望ましい。さらには、ラップ接触時の潤滑性の向上、あるいは接触時の焼き付き防止を図って、スクロールラップの側面や底面などほぼ全面的に陽極酸化皮膜処理等のアルミニウム合金に適合する表面処理を施す。
【0023】
図3は、固定スクロール1と旋回スクロール3とスクロールラップの位置関係を示す平面図である。この図は、熱膨張差回避のための熱膨張補正歯形の一実施例を示している。なお、図3では、説明の都合上、組立時の両者の相対位置関係を表すため、旋回スクロールと固定スクロールとを併記している。
【0024】
固定スクロール1では、スクロールラップの外側に主駆動軸側軸受12aと補助駆動軸側軸受12bが設けられている。スクロールラップ1bは、熱膨張補正前の当初のスクロールラップ中心of′を中心位置として配置されている。ハッチングで示したスクロールラップは、熱膨張を考慮してラップ中心位置をWoffだけ当初のラップ位置から補助駆動軸側に変位させて配置したものである。当初のスクロールラップ位置は、ラップのオフセットを考えるための架空の位置である。従って、実在するラップ位置は、ラップ中心of1が中心である。即ち、固定スクロールのラップ位置は、基本的な位置からWoffだけ軸受中心を結ぶ方向に偏心した位置にある。この結果、当初のスクロールラップの中心of′と各軸受中心間距離をf1、f2とすると、実際のラップ中心とそれぞれの軸受中心間距離f3、f4は、各々f3=f1−Woff、f4=f2+Woffとなる。図面には表さないが、固定スクロール2についてもこれと同様な位置関係を保っている。
【0025】
一方、旋回スクロール3においては、ラップの中心osから各軸受中心os1、os2までの距離s1、s2は、固定スクロール1の架空ラップ位置に適合するように、それぞれs1=f1、s2=f2となっている。スクロールラップの厚さやピッチ、渦巻き角度は固定スクロールと同様である。旋回スクロール3の旋回半径は、ラップ形状から決定される理論旋回半径Σthが最大値である。一方、実際の旋回半径は駆動軸の偏心量で決定される。本実施例では、理論旋回半径Σthに対してオフセットΣoffを駆動軸の偏心部に設けて、若干小さい旋回半径Σを与えている。これらの関係は、Σ=Σth−Σoffとなり、旋回スクロールが旋回半径Σで旋回運動すると、固定スクロールラップとの間に適当な半径方向隙間が形成される。適当な半径方向隙間を維持するために、固定スクロールのラップオフセット量Woffは駆動軸のオフセット量より小さく設定される。
【0026】
旋回スクロール3の補助駆動軸側の軸受11bは、弾性体13により弾性支持されている。この弾性体には、ゴムやバネを適用することができる。弾性体は、軸受11bの位置決め手段25a、25bによって弾性変形の方向性が保たれている。即ち、この位置決め手段25a、25bは金属材料であるから、軸中心を結ぶ方向とは直角方向には軸受11bの動きが規制され、軸中心を結ぶ方向には弾性体13の変形に応じた動きが許容されている。
【0027】
図4と図5は、図3のように構成したスクロールを組み合わせた時の半径方向隙間について説明するため、スクロールラップの噛み合い状態を部分的に示したものである。上記した如く駆動軸の軸受中心を基準にすると、旋回スクロール3と固定スクロール1のラップ中心位置が異なるため、組立時のラップの噛み合い状態ではラップの外壁面と内壁面にできる半径方向隙間の大きさが異なる。旋回スクロールが1回転する間、旋回スクロールラップの側面には180度毎に最小隙間が形成される。以下、この様子について説明する。
【0028】
図4は、固定スクロール中心of1に対して旋回スクロール中心osが右側に位置した場合の状態を示している。この場合、旋回スクロールラップ3bの外壁面と固定スクロールラップ1aの内壁面との間に、半径方向隙間δr1が形成される。図5は、固定スクロール中心of1に対して旋回スクロール中心osが左側に位置した場合の状態を示している。この場合、旋回スクロールラップ3bの内壁面と固定スクロールラップ1aの外壁面との間に半径方向隙間δr2が形成される。このとき、これら2つの半径方向隙間の大きさの間には、δr1>δr2の関係がある。
【0029】
つぎに、図1から図5に示した圧縮機について、その作用を説明する。プーリ6に回転動力が伝達されると主駆動軸4が回転し、さらに補助駆動軸5はタイミングベルト7によって主駆動軸4と同期して回転する。すると、旋回スクロール3も、駆動軸4および補助駆動軸5の偏心量Σを半径として、旋回運動する。
【0030】
その結果、気体は吸入口22から吸入され吸入室23に入る。その後、気体はさらに旋回スクロール鏡板3aの上側の圧縮作動室14や旋回スクロール鏡板3aの下側の圧縮作動室15に流入し、渦巻きの中心に向かってそれぞれ所定の圧力まで圧縮される。圧縮作動室15で圧縮された気体は、最終的に鏡板3aの中央部に設けられた連通孔8を通って上側の圧縮作動室14の中心部の吐出空間に流入し、旋回スクロール鏡板上側の圧縮作動室14で圧縮された気体と合流し、固定スクロール1に設けられた吐出ポート9から機外へ流出する。
【0031】
圧縮動作中、圧縮作動室14,15は連通孔3fにより鏡板上下の圧縮作動室内のガス圧力の均衡が保たれるので、圧縮ガスのスラスト力の総和がほぼ等しくなる。このため、旋回スクロールはいずれの固定スクロールに対しても強く押しつけられることはなく、ラップの先端面には大きなスラスト荷重が作用しない。従って、ラップ先端部での摺動損失を低減できる。
【0032】
さらに、圧縮作動室内14,15には潤滑油がほとんど無いので、圧縮熱により温度が上昇するが、この熱は固定スクロール外表面に設けた放熱フィンの回りをダクト構造として強制空冷することによって効果的に除去される。従って、旋回スクロールや固定スクロールは適当な温度に保たれる。旋回スクロール3は固定スクロール1及び固定スクロール2に囲まれているので、運転中の温度は旋回スクロール3の方が高くなりがちである。従って、熱膨張量としては旋回スクロール3が大きくなり、両軸受11a,11b間の距離は固定スクロール側の軸受12a,12b間の距離よりも大きくなる。
【0033】
旋回スクロール3は、主駆動軸4側では転がり軸受などによって位置決めされており、補助駆動軸側では弾性支持されている。上記した熱膨張量の差は、旋回スクロール3の補助駆動軸側に設けた弾性支持軸受11bによって吸収される。この結果、補助駆動軸5に過大な荷重が作用するのを防止できる。一方、旋回スクロール3が熱膨張するとラップ中心も補助駆動軸側に移動する。しかしながら、前記したように、軸受を結ぶ方向には固定スクロールのラップ中心を予め補助駆動軸側にオフセットさせているので、旋回スクロールと固定スクロールとの相対位置関係は、良好な状態が保たれる。
【0034】
即ち、組立時には軸受を結ぶ方向には不均一であった半径方向隙間が、圧縮機運転時には、ラップ内外壁面でほぼ等しい状態になり、小さな隙間となるので圧縮機の性能を向上出来る。また、相対熱膨張量差は、軸受を結ぶ方向には、最大で駆動軸側のオフセット量Σoffとラップのオフセット量Woffとの合計にほぼ等しい寸法を許容できる。これに対して、軸受を結ぶ方向と直角方向には、ラップの中心が熱膨張の基準になるので、この方向の熱膨張差は、駆動軸のオフセット量Σoffで許容できる。これらのオフセット量は非常に小さな寸法であり、具体的には駆動軸のオフセット量Σoffが0.3mm以下であり、ラップのオフセット量Woffは、おおよそその半分以下である。
【0035】
つぎに、本発明の実施例を、図6,図7示す。本実施例では、上記した参考例とは逆に固定スクロール側を基準として、旋回スクロール側にラップのオフセットを付与している。そのために、図6に示した固定スクロール1のラップ位置は軸受中心からそれぞれf1、f2の距離にあり、図3に示したf1、f2に等しい寸法になっている。
【0036】
旋回スクロール3では、図7に示すようにラップ中心と軸受中心間距離はそれぞれs3、s4に形成され、ラップのオフセットが主駆動軸の軸受11aの方向に付与されている。このオフセット量は、図3の寸法と同じWoffであり、次の関係になっている。即ち、s3=s1+Woff、s4=s2−Woffである。このようにすることにより、組立時には、図4ならびに図5に示した状態とほぼ同じ状態になる。
【0037】
実施例によれば、旋回スクロールを両駆動軸と共に固定スクロール内に組み込んでいるので、弾性体13が適宜弾性変形し、旋回スクロールのラップ位置をオフセットできる。
【0038】
また、旋回スクロールと固定スクロールに対して大きな熱膨張差を許容できるので、圧縮機の温度がかなり高い温度になるまでスクロールラップ同士を非接触状態で運転することができる。言い換えれば、圧縮機の温度は吐出圧力に強い関連があるので、高圧力の気体を提供でき、さらに、組立時より運転時の方が、運転によって生じる熱膨張でスクロールラップの半径方向隙間を小さく保つことができるので、定格容量での運転時にスクロール圧縮機の性能を最も高くできる。
【0039】
さらに、組立時に予め半径方向隙間を設定しているので、スクロールラップの加工公差や軸受中心位置誤差、軸受隙間、組立時のミスアライメントなどがあってもラップ同士が半径方向で接触する恐れを低減出来る。なお、以上の各実施例は圧縮機の場合について述べたが、真空ポンプに適用することもできる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、外周駆動型スクロール圧縮機において、圧縮機運転時の圧縮熱によってもたらされるスクロール部材の熱変形に応じてラップ隙間を好適な状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例を示す外周駆動形スクロール圧縮機の全断面図。
【図2】 本発明の参考例で旋回スクロールに固定スクロールのラップ部を噛みわせた様子を示す平面図。
【図3】 本発明の参考例を示す固定スクロールと旋回スクロールの平面図。
【図4】 本発明の参考例で旋回スクロールに固定スクロールのラップ部を噛みわせた時の隙間の様子を示す部分拡大図。
【図5】 本発明の参考例で旋回スクロールに固定スクロールのラップ部を噛みわせた時の隙間の様子を示す部分拡大図。
【図6】 本発明の実施例を示す固定スクロールの平面面図。
【図7】 本発明の実施例を示す旋回スクロールの平面図。
【符号の説明】
1 固定スクロール
2 固定スクロール
3 旋回スクロール
4 主駆動軸
5 補助駆動軸
6 プーリ
7 タイミングベルト
8 貫通孔
9 吐出ボート
10,11,12 軸受
13 弾性支持部材
14,15 圧縮作動室
17 バランスウェイト
20 歯付きプーリ
22 吸入孔
of1 固定スクロールラップの中心
os 旋回スクロールラップの中心
ok1,ok2 固定スクロールの軸受中心
osl,os2 旋回スクロールの軸受中心
25 軸受位置規制手段
δr スクロールラップの半径方向隙間
Σ 旋回半径

Claims (4)

  1. 鏡板の両側に渦巻き形のラップが形成された旋回スクロールと、この旋回スクロールのラップと噛み合うラップを有する一対の固定スクロールと、前記旋回スクロールの外周部に保持され旋回スクロールを回転駆動する主クランク軸と、主クランク軸と同期回転する補助クランク軸とを備えた外周駆動型スクロール圧縮機において、
    固定スクロールラップの中心から補助クランク軸を支持する軸受12bの中心までの距離をf1
    固定スクロールラップの中心から主クランク軸を支持する軸受12aの中心までの距離をf2
    旋回スクロールラップの中心から補助クランク軸側の軸受11bの中心までの距離をS3
    旋回スクロールラップの中心から主クランク軸側の軸受11aの中心までの距離をS4
    としたとき、
    f1<S3
    f2>S4
    なるように固定スクロール側を基準として、旋回スクロール側にラップのオフセットを付与したことを特徴とする外周駆動型スクロール圧縮機。
  2. 前記旋回スクロールのラップ側面と固定スクロールのラップ側面とで形成される隙間を旋回スクロール中心が最も主クランク軸に近づいた位置と、旋回スクロール中心が最も主クランク軸から遠ざかった位置とで変化させたことを特徴とする請求項1に記載の外周駆動型スクロール圧縮機。
  3. 前記隙間を、旋回スクロール中心が主クランク軸から遠ざかった位置で近づいた位置におけるよりも大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の外周駆動型スクロール圧縮機。
  4. 前記補助クランク軸に、旋回スクロールと固定スクロールの熱膨張差を吸収する弾性支持部材を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の外周駆動型スクロール圧縮機。
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