JP3706240B2

JP3706240B2 - 冷菓

Info

Publication number: JP3706240B2
Application number: JP04890898A
Authority: JP
Inventors: 基名坂; 雄司坂本
Original assignee: Taiyo Kagaku KK
Current assignee: Taiyo Kagaku KK
Priority date: 1998-02-13
Filing date: 1998-02-13
Publication date: 2005-10-12
Anticipated expiration: 2018-02-13
Also published as: JP2000116333A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油脂固化剤を含有する油脂を原料とする冷菓に関する。更に詳しくは油脂固化剤を添加することにより油脂の硬さが自在に調整された油脂を含有する冷菓に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、冷菓は油脂と無脂乳固形分と糖類と水を必要に応じて乳化剤、安定剤等を使用してｏ／ｗ乳化液とし更にフリーザーにて攪拌、含気させて作られている。そのままのものをソフトクリーム、次に−４０°Ｃにて１時間程硬化したものをハードアイスクリームと呼ぶ。使用される油脂としては乳脂、ヤシ硬化油、パーム油等で常温である程度硬く固化したものが必要であった。しかし、単なる油脂の配合、水素添加（硬化）ではその融点があがり、使用しづらく又口解けの悪いものとなる。この点を改良する為に油脂のエステル交換、分別等が行なわれているが工程が長く又充分な効果も得られていない。又、天然に存在する油脂は大豆油、ナタネ油、コーン油、綿実油、オリーブ油等常温で液状の物が多い。しかし、上記液状の物をそのまま使用することは困難であった。
【０００３】
【発明が解決しようとしている課題】
本発明は冷菓に使用される油脂を広くすべての天然油脂に求め、さらには配合、水素添加、エステル交換、分別等を行わずに、油脂固化剤の添加により、容易に冷菓用に適した物性を有する油脂を得て冷菓を作ることである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
冷菓原料用油脂に炭素数２０以上の脂肪酸のエステルを油脂固化剤として含有させる事が上記課題を解決するのに有効であり、その固化状態を調整する為にＨＬＢ３以下のポリグリセリン脂肪酸エステル及び／又はショ糖脂肪酸エステルを併用すると更に有効である事を見出し本発明を完成した。すなわち本発明は冷菓原料用油脂に油脂固化剤を添加し、油脂の硬さを自在に調整した油脂を含有する冷菓に関する。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明における冷菓とはミックスで流通し食する直前にフリーザーにて仕上げるソフトクリームタイプと製造時に硬化まで行いカップ、モナカ等に充填されたハードアイスクリームタイプ両者をさす。またその油脂含量は通常の市販タイプと同程度の３〜１５％ぐらいであるが特に限定されるものではない。
【０００６】
本発明における炭素数２０以上の脂肪酸のエステルとは例えば、アラキン酸、ベヘニン酸等とプロピレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等とのエステルである。具体的には、グリセリンモノベヘニン酸エステル、ソルビタンジアラキン酸エステル等が挙げられるがこれらに限定するものではない。
炭素数１９以下の脂肪酸のエステルを使用した場合油脂は充分固化しなかった。
本発明におけるＨＬＢ３以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとはトリグリセリンペンタステアレート、ヘキサグリセリンオクタステアレート、デカグリセリンデカパルミテート等をさし、ＨＬＢ３以下のショ糖脂肪酸エステルはショ糖のパルミチン酸、ステアリン酸エステルをさすが、これらに限定するものではない。これらを併用することで油脂の固化、硬さの調整を一層容易に行うことができる。本発明で言う油脂固化剤は特定の上記脂肪酸エステルを含有するもので、その含量、剤形等は適宜選択すればよく特に限定するものではない。
【０００７】
本発明品の冷菓を製造する際、通常冷菓用として利用される乳化剤との併用は何らさしさわりなく特に限定されるものではない。その乳化剤とは、例えば食品衛生法でいう、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
また、本発明の油脂固化剤が適用される油脂は、例えば、大豆油、菜種油、綿実油、パーム油、ごま油等の植物油および、魚油、乳脂等の動物油があげられるが、これらに限定するものではない。また、上述の油脂を混合、分別、エステル交換、水素添加したものにも適用可能である。
本発明における油脂固化剤の添加量は、油脂に対し、有効成分の添加量として、０．１〜２０％好ましくは０．５〜１０％である。少なすぎる場合固化せず、多すぎる場合は硬く固化して使用しづらくなる。尚、油脂への固化剤の添加方法については、特に限定するものではなく、油脂中に固化剤が均一に溶解される方法であれば良い。
以下、発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。
【０００８】
【実施例】
実施例１
下記の処方にてアイスクリームを調製した。
油脂６％
脱脂粉乳６％
砂糖８％
粉末水あめ１２％
ローカストンビーンガム０.15 ％
カラギーナン０.05 ％
ジグリセリンモノステアレート（ＨＬＢ＝０．５）０.3 ％
フレーバー微量
水にて１００％とする
油脂としてコーン油９７％にグリセリンモノベヘニン酸エステル３％を添加して全原料を加熱溶解してホモジナイザー１５０ｋｇ／ｃｍ²で乳化後、１０°Ｃで一夜エージングを行った。フリーザーにてフリージング後−４０°Ｃにて１時間硬化してアイスクリームを得た。
【０００９】
実施例２
実施例１の油脂を菜種油９４％にグリセリンモノベヘニン酸エステル３％とトリグリセリンペンタステアレート（ＨＬＢ＝１）３％を添加したものに変えて同様にアイスクリームを得た。
実施例３
実施例１の油脂を大豆油９５％にソルビタンジアラキン酸エステル５％を添加したものに変えて、全原料を加熱溶解後ＵＨＴ殺菌機（１４５°Ｃ２秒、ホモ圧１５０ｋｇ／ｃｍ²）を通した後無菌充填してソフトクリームミックスを得た。一ヶ月後にソフトクリームフリーザーにてフリージングしたところ良好な外観・食感のソフトクリームが得られた。
実施例４
実施例１の油脂を１３％脱脂粉乳１０％とし高脂肪タイプのアイスクリームを調製した。良好な外観・食感のソフトアイスクリームが得られた。
【００１０】
比較例１
実施例１の油脂をコーン油に変えて、同様に調製したがフリージング中に油脂が分離しアイスクリームは得られなかった。
比較例２
実施例１の油脂をヤシ硬化油（３６°Ｃ）に変えて同様にアイスクリームを得た。
試験例
実施例１、２、比較例２で得られたアイスクリームの評価を行った結果を表１に示す。
【００１１】
【表１】

【００１２】
本発明の実施態様ならびに目的生成物を挙げれば以下のとおりになる。
（１）油脂固化剤を含有する油脂を原料とすることを特徴とする冷菓。
（２）油脂固化剤が炭素数２０以上の脂肪酸のエステルであることを特徴とする前記（１）記載の冷菓。
（３）前記（１）記載の油脂固化剤がグリセリンモノベヘニン酸エステルを含有するものである冷菓。
（４）前記（１）記載の油脂固化剤がソルビタンジアラキン酸エステルを含有するものである冷菓。
（５）油脂固化剤にＨＬＢが３以下のポリグリセリン脂肪酸エステル及び／又はショ糖脂肪酸エステルを含有する事を特徴とする前記（１）または（２）記載の冷菓。
（６）炭素数２０以上の脂肪酸のエステルを含有する冷菓油脂固化剤。
（７）グリセリンモノベヘニン酸エステルを含有する冷菓用油脂固化剤。
（８）ソルビタンジアラキン酸エステルを含有する冷菓用油脂固化剤。
【００１３】
【発明の効果】
本発明による配合、水素添加、エステル交換、分別等を行うことなく冷菓に適した物性を有し、硬さが調製された油脂を含有する冷菓を得ることができ産業上極めて有益である。

Claims

油脂固化剤を含有する常温で液状の油脂を原料とすることを特徴とする冷菓において、油脂固化剤が、炭素数２０以上の脂肪酸のエステルと、ＨＬＢ３以下のポリグリセリン脂肪酸エステル及びＨＬＢ３以下のショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも一種とを含有してなる油脂固化剤であって、該炭素数２０以上の脂肪酸のエステルが、アラキン酸、ベヘニン酸からなる群より選ばれた少なくとも一種と、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリンからなる群より選ばれた少なくとも一種とから得られるエステル化合物である冷菓。