JP3705235B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、配線板上に弾性体材料を介在させて半導体チップを実装した半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置には、絶縁基板上に配線が設けられた配線板上に、弾性体材料を介在させて半導体チップを実装した半導体装置がある。
【0003】
前記配線板上に前記弾性体材料を介在させて前記半導体チップを実装した半導体装置(以下、単に半導体装置と称する)は、例えば、図10に示すように、ボンディング用の開口部1Aを有する絶縁基板1上に配線(導体パターン)2が設けられた配線板上に、弾性体材料3を介在させて半導体チップ4が設けられている。このとき、前記弾性体材料3には、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1Aと重なる領域に開口部が設けられている。またこのとき、前記配線2は、前記半導体チップ4の外部電極401と接続される部分(以下、インナーリード部と称する)2Aが前記絶縁基板1のボンディング用開口部1A上に突出しており、前記弾性体材料3の開口部内に折り曲げるように変形させて前記半導体チップの外部電極401と接続されている。
【0004】
また、前記半導体装置は、図10に示したように、前記絶縁基板のボンディング用開口部1A内が、封止絶縁体5により封止されている。なお、図10では、構成をわかりやすくするために、前記ボンディング用開口部1A内の封止絶縁体5を示す部分のハッチングを省略している。またこのとき、例えば、前記弾性体材料3及び半導体チップ4の側面部分も前記封止絶縁体5で封止されている。
【0005】
また、前記絶縁基板1は、前記ボンディング用開口部1Aの他にも開口部が設けられており、前記配線2と電気的に接続されたボール状の外部接続端子6が設けられている。
【0006】
前記半導体装置を製造するときには、まず、図11に示すように、絶縁基板1の表面に配線(導体パターン)2が形成された配線板上に、弾性体材料3を形成する。このとき、前記絶縁基板1には、例えば、ポリイミドテープを用い、ボンディング用開口部1A、及び外部接続端子6を形成するための開口部1Bの他に、例えば、封止絶縁体5を流し込むための開口部1Dを形成しておく。また、前記配線2は、前記インナーリード部2Aが前記絶縁基板1のボンディング用開口部1A上を通るように形成する。
【0007】
また、前記弾性体材料3は、図示は省略するが、例えば、発泡性の弾性体の両面に接着剤を設けた3層構造になっており、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1Aと重なる領域に開口部3Aを形成して貼り付ける。
【0008】
次に、図12に示すように、前記弾性体材料3の上に半導体チップ4を貼り付けて接着する。そして、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1A上を通る前記インナーリード部2Aを切断し、前記弾性体材料3の開口部内に押し込むように変形させて、前記半導体チップ4の外部電極401と電気的に接続させる。
【0009】
その後、例えば、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1A、及び封止絶縁体を流し込むための開口部1Dから封止絶縁体5を流し込むと、図10に示したような半導体装置が得られる。
【0010】
図10に示したような半導体装置では、前記配線板(絶縁基板1)の熱膨張係数と前記半導体チップ4の熱膨張係数の差による熱応力を前記弾性体材料3で緩和することができる。そのため、前記半導体装置のそりや、半導体チップ4のはがれを防ぐことができる。また、前記半導体チップ4の前記弾性体材料3と接着された面の裏面(非回路形成面)4Aが露出しているため、放熱性がよい。
【0011】
しかしながら、前記半導体装置では、例えば、図10に示したような前記半導体チップ4が小型化したときに、前記配線板の小型化がともなわず、図13に示すように、配線板の面積に占める半導体チップ4の実装領域が小さくなることがある。
【0012】
このとき、前記従来の方法で前記半導体装置を製造すると、前記弾性体材料3及び前記半導体チップ4の側面の周辺のみに前記封止絶縁体5が形成され、前記配線板(絶縁基板1)の外周部分の封止絶縁体5が薄くなる。そのため、前記配線板は、外周部の剛性が低下してそりやすくなるという問題があった。
【0013】
また、半導体チップ4のサイズが変化すると、前記弾性体材料3及び前記半導体チップ4の側面を前記封止絶縁体5で封止したときの封止部分の外形寸法が変わってくる。そのため、前記半導体装置を取り扱うときに使用する治具を半導体チップ4のサイズに合わせて変更しなければならないという問題があった。
【0014】
そこで、近年では、前記封止絶縁体5で封止する工程を、トランスファモールドで行う方法が提案されている。
【0015】
前記トランスファモールドで封止をするときには、例えば、図14に示すように、上型701と平板状の下型702の間に、前記弾性体材料3を介在させて半導体チップ4を実装した配線板を配置し、前記上型701と前記下型702の内部にできる空間(キャビティ)7Aに前記封止絶縁体5を流し込む。
【0016】
前記トランスファモールドで封止をするときには、前記上型701と前記下型702の内部にできるキャビティ7Aの容積及び形状が一定であれば、前記半導体チップ4の大きさに関係なく、前記半導体装置の外形寸法が一定になる。そのため、半導体チップ4の大きさが変わっても前記半導体装置の取り扱いが容易になる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の技術では、図14に示したように、前記上型701及び前記下型702を用いたトランスファモールドで封止をするときには、一般に、前記半導体チップ4の非回路形成面4Aと前記上型701の底面701Aの間に高さH4の空間が設けられている。そのため、前記トランスファモールドで封止をした半導体装置は、前記半導体チップ4の非回路形成面4A上に、厚さH4の前記封止絶縁体5が形成され、前記半導体装置の薄型化が難しいという問題があった。
【0018】
また、前記半導体チップ4の非回路形成面4A上に、厚さH4の封止絶縁体5が形成されるため、前記半導体チップ4の放熱性が低下するという問題があった。
【0019】
本発明の目的は、配線板上に、弾性体を介在させて半導体チップを実装し、前記半導体チップの周囲をトランスファモールドで封止する半導体装置の製造方法において、半導体装置の薄型化が可能な技術を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、配線板上に、弾性体を介在させて半導体チップを実装し、前記半導体チップの周囲をトランスファモールドで封止する半導体装置の製造方法において、半導体チップの放熱性の低下を防ぐことが可能な技術を提供することにある。
【0021】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明において開示される発明の概要を説明すれば、以下の通りである。
【0023】
(1)開口部を有する絶縁基板上に前記開口部上を通る配線(導体パターン)が形成された配線板上に、発泡性の材料からなる弾性体材料を介在させて半導体チップを接着し、前記配線の前記開口部上を通る部分を切断し、折り曲げて前記半導体チップの外部電極と電気的に接続した後、成形金型を用いて前記配線と半導体チップの外部電極との接続部、及び前記弾性体材料と前記半導体チップの周囲に封止絶縁体を形成する半導体装置の製造方法であって、前記配線板の前記半導体チップが接着された面の裏面と、前記半導体チップの前記弾性体材料と接着した面の裏面を、前記成形金型に接触させた状態で封止絶縁体を形成するにあたり、前記成形金型として、前記封止絶縁体を成形する空間(キャビティ)の、前記配線板の厚さ方向の対向する二つの面の距離が、前記キャビティ内に収容する前の、配線板の半導体チップが実装された面の裏面から半導体チップの前記弾性体材料と接着された面の裏面までの距離よりも小さい金型を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0024】
前記(1)の手段によれば、前記半導体チップを前記成形金型に接触させた状態で封止絶縁体を形成することにより、前記成形金型を用いて封止したときでも、半導体チップを露出させることができる。そのため、従来の、前記半導体チップ上も封止する場合に比べ、半導体装置を薄型化することができる。また、前記半導体チップが露出しているため、放熱性がよくなる。
【0025】
このとき、配線板の半導体チップが実装された面の裏面から半導体チップの弾性体材料と接着された面の裏面までの距離(高さ)にはばらつきがあるが、前記弾性体を介在させているため、配線板の半導体チップが実装された面の裏面から半導体チップの弾性体材料と接着された面の裏面までの距離(高さ)が、前記配線板の厚さ方向の対向する二つの面の距離よりも大きい場合でも、前記弾性体材料で衝撃を緩和することができる。
【0026】
またこのとき、配線板の半導体チップが実装された面の裏面から半導体チップの弾性体材料と接着された面の裏面までの距離(高さ)にはばらつきがあるため、前記成形金型の、前記封止絶縁体を成形する空間(キャビティ)の、前記配線板の厚さ方向の対向する二つの面の距離を、それぞれの配線板の半導体チップが実装された面の裏面から半導体チップの弾性体材料と接着された面の裏面までの距離(高さ)にあわせることが難しい。そのため、前記封止絶縁体を成形する空間(キャビティ)の、前記配線板の厚さ方向の対向する二つの面の距離は、前記キャビティ内に収容する前の、配線板の半導体チップが実装された面の裏面から半導体チップの弾性体材料と接着された面の裏面までの距離よりも小さくすることが好ましい。
【0027】
前記配線板の半導体チップが実装された面の裏面から半導体チップの弾性体材料と接着された面の裏面までの距離(高さ)は標準の高さに対して大きい場合と小さい場合があるため、前記封止絶縁体を成形する空間(キャビティ)の、前記配線板の厚さ方向の対向する二つの面の距離を、標準の高さにあわせると、標準の高さよりも大きい場合は前記半導体チップと前記成形金型を接触させることができるが、標準の高さよりも小さい場合には、前記半導体チップと前記成形金型の間に隙間ができてしまう。そのため、前記成形金型の、前記封止絶縁体を成形する空間(キャビティ)の、前記配線板の厚さ方向の対向する二つの面の距離を、前記配線板の半導体チップが実装された面の裏面から半導体チップの弾性体材料と接着された面の裏面までの標準的な距離(高さ)よりも小さく設定しておくことにより、標準の高さよりも小さい場合も前記半導体チップと前記成形金型を接触させることができる。
【0029】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
【0030】
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0031】
【発明の実施の形態】
(実施例)
図1及び図2は、本発明による一実施例の半導体装置の概略構成を示す模式図であり、図1は半導体装置の平面図、図2は図1のA−A’線での断面図である。なお、図1の平面図は、半導体装置を外部接続端子側(裏面側)から見た平面図であり、図2の断面図は、図1のA−A’線での断面の上下を反転させて示している。また、図2の断面図では、構成をわかりやすくするために、断面であることを示すハッチングを一部省略して示している。
【0032】
図1において、1は絶縁基板、1Aはボンディング用開口部、2は配線、2Aはインナーリード部、3は弾性体材料、4は半導体チップ、401は半導体チップの外部電極、5は封止絶縁体、6は外部接続端子である。
【0033】
本実施例の半導体装置は、図1及び図2に示すように、絶縁基板1上に配線(導体パターン)2が設けられた配線板上に、弾性体材料3を介在させて半導体チップ4を実装した半導体装置である。
【0034】
また、前記半導体装置は、図1及び図2に示したように、前記絶縁基板1にボンディング用開口部1Aが設けられており、前記配線2のインナーリード部2Aが前記ボンディング用開口部1A上に突出している。また、前記弾性体材料3は、図2に示したように、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1Aと重なる領域が開口している。このとき、前記ボンディング用開口部1A上に突出した前記インナーリード部2Aは、折り曲げるように変形させて前記半導体チップ4の外部電極401と電気的に接続されている。
【0035】
また、前記半導体装置は、図2に示したように、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1Aの内部が、封止絶縁体5で封止されている。また、前記弾性体材料3及び前記半導体チップ4は、側面部分が封止絶縁体5で封止されており、前記半導体チップ4の非回路形成面4Aが露出した状態になっている。
【0036】
また、前記絶縁基板1には、前記ボンディング用開口部1Aとは別に、外部接続端子を設けるための開口部が設けられており、例えば、図2に示したように、前記配線2と電気的に接続されたボール状の外部接続端子6が設けられている。
【0037】
図3乃至図9は、本実施例の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、図3は半導体装置を製造するための配線板の断面図、図4は半導体装置を製造するための配線板の部分拡大平面図、図5は配線板に半導体チップを実装する工程の断面図、図6は半導体チップを実装した配線板を封止する工程で用いる金型の断面図、図7は図6の拡大断面図、図8及び図9は半導体チップを実装した配線板を封止する工程の断面図である。
【0038】
本実施例の半導体装置を製造するときには、まず、図3に示すように、絶縁基板1の表面に配線(導体パターン)2が形成された配線板上に、弾性体材料3を形成する。このとき、前記絶縁基板1には、ボンディング用開口部1Aと外部接続端子を形成するための開口部1Bが形成されており、前記配線2のインナーリード部2Aは、前記ボンディング用開口部1A上を通るように形成されている。またこのとき、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1A上を通る前記配線2のインナーリード部2Aは、図4に示すように、前記インナーリード部2Aを切断しやすくするためのノッチNが形成されている。また、前記配線2の一端は、例えば、前記絶縁基板1の前記外部接続端子を形成するための開口部1Bを覆うように形成されている。
【0039】
また、前記弾性体材料3は、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1Aと重なる領域に開口部3Aが形成されている。
【0040】
図3及び図4に示した配線板は、例えば、ポリイミドテープなどの絶縁基板1の表面に、銅箔などの導体膜を形成し、前記導体膜をパターニングして前記配線2を形成した後、炭酸ガスレーザなどのレーザを利用したレーザエッチングにより、前記絶縁基板1にボンディング用開口部1A及び外部接続端子を形成するための開口部1Bを形成する。その後、前記絶縁基板1の前記配線2が形成された面に、前記ボンディング用開口部1Aと重なる領域に開口部3Aを形成した前記弾性体材料3を形成する。このとき、図示は省略するが、前記弾性体材料3は、発泡性の弾性体をコアとし、その両面に、例えば、熱硬化性樹脂などの接着剤が設けられた3層構造のものを用いる。またこのとき、前記弾性体材料3の厚さH1は、約180μmとする。
【0041】
図3及び図4に示した配線板を用いて半導体装置を製造するときには、まず、図5に示すように、前記配線板に形成された前記弾性体材料3の表面に半導体チップ4を接着し、前記配線板に形成された配線2のインナーリード部2Aと前記半導体チップ4の外部電極401を電気的に接続する。
【0042】
このとき、前記配線2のインナーリード部2Aは、例えば、図4に示したような、前記ノッチNが形成された部分で切断し、前記弾性体材料3の開口部内に折り曲げるように変形させて前記半導体チップの外部電極401と接続する。
【0043】
次に、トランスファモールドにより、前記配線板上に実装された半導体チップ4を封止する。前記トランスファモールドで封止するときには、一般に、図6に示すように、上型701と下型702からなる成形金型7を用いて行う。このとき、前記上型701と前記下型702の間にできる空間(キャビティ)7Aに前記半導体チップ4が実装された部分を収容して封止する。またこのとき、前記キャビティ7Aの外側には、例えば、図6及び図7に示すように、前記配線板(絶縁基板1)をはさんで固定するための空間7Bが設けられている。
【0044】
また、図示は省略するが、前記成形金型7には、封止絶縁体を前記キャビティ7に注入するためのポット及びプランジャ、封止後に封止体を取り出すためのエジェクタ等が設けられている。
【0045】
このとき、図7に示すような、前記下型702の表面702Aから上型701の表面701Aまでの距離(以下、キャビティの深さと称する)H3を、例えば、図5に示したような、前記絶縁基板1の前記半導体チップ4が接着された面の裏面1Cから、前記半導体チップ4の前記弾性体と接着された面の裏面(非回路形成面)4Aまでの距離(以下、チップ実装領域の厚さと称する)H2と等しくすれば、前記半導体チップ4の非回路形成面4Aを前記上型701と接触させた状態で封止することができる。
【0046】
しかしながら、前記チップ実装領域の厚さH2は、前記絶縁基板1、前記弾性体材料3、前記半導体チップ4の厚さの公差(ばらつき)により、約20μmから30μmのばらつきが生じている。そのため、前記キャビティの深さH3を前記チップ実装領域の厚さH2に合わせることが難しい。
【0047】
そこで、あらかじめ、前記絶縁基板1上の各チップ実装領域の厚さを計測し、標準の厚さH2Aを求めておき、前記キャビティの深さH3を、前記チップ実装領域の標準の厚さH2Aよりも小さくすることが好ましい。このとき、前記キャビティの深さH3は、前記チップ実装領域の標準の厚さH2Aよりも、例えば、10μm小さくする。
【0048】
図6及び図7に示したような成形金型7を用いてトランスファモールドをするときには、図8に示すように、前記下型702上に、前記半導体チップ4を実装した配線板を配置し、その上から前記上型701をかぶせて前記配線板(絶縁基板1)を固定する。
【0049】
このとき、前記キャビティの深さH3を、例えば、前記チップ実装領域の標準の厚さH2Aよりも10μm小さくしておくと、前記標準の厚さH2Aよりも厚い部分、及び前記標準の厚さH2Aよりも薄いがその差が10μm以内の部分の半導体チップ4、すなわち、大部分の半導体チップ4は、図8に示すように、前記絶縁基板1が前記上型701と前記下型702ではさまれる前に、前記上型701の表面701Aと接触する。
【0050】
その後、図9に示すように、前記上型701と前記下型702に加圧して前記配線板(絶縁基板1)をはさんで固定する。このとき、図8に示したように、固定する前に半導体チップ4が前記上型701の表面701Aと接触している部分は、前記弾性体材料3が厚さH1’に縮むことで前記半導体チップ4への衝撃が緩和される。またこのとき、前記配線2のインナーリード部2Aは、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1A上に突出して空中に浮いた状態であるため、前記弾性体材料3が厚さH1’に縮んでも、前記インナーリード部2Aが変形することで、前記インナーリード部2Aと前記半導体チップ4の外部電極401の接続部にかかる負荷を緩和することができる。
【0051】
また、前記チップ実装領域の厚さH2のばらつきは、前記標準的のH2Aに対して20μm前後である。そのため、一番厚い状態として、例えば、前記標準の厚さH2Aよりも20μm厚い場合を考えると、前記弾性体材料3は約30μm押し縮められることになるが、30μm程度であれば衝撃を十分に緩和でき、半導体チップ4の破損を防ぐことができる。
【0052】
またこのとき、前記成形金型7からの衝撃を吸収した弾性体材料3は、前記成形金型7から取り出した後、必ずしも元の厚さH1に戻るとは限らず、塑性変形もともなうことから、半導体装置の厚さ、すなわち、前記チップ実装領域の厚さH2のばらつきを抑制することも可能になる。
【0053】
この状態で前記キャビティ7A内に封止絶縁体5を流し込んで成型すると、前記半導体チップ4の非回路形成面は、前記上型701の表面701Aと接触した状態であるため、図2に示したように、前記半導体チップ4の非回路形成面を露出させることができる。
【0054】
またこのとき、図示は省略するが、前記キャビティ7Aに流れ込んだ封止絶縁体5は、前記絶縁基板1のボンディング用開口部1A内にも流れ込み、前記配線2のインナーリード部2Aと前記半導体チップ4の外部電極401の接続部分も封止される。
【0055】
また、前記キャビティの深さH3を、前記チップ実装領域の標準の厚さH2Aよりも10μm小さくした場合、前記標準の厚さH2Aよりも薄く、その差が10μm以上の場合には、前記半導体チップ4の非回路形成面4Aと前記上型701の表面701Aの間に隙間ができてしまう。しかしながら、前記チップ実装領域の厚さH2のばらつきは、前記標準の厚さH2Aに対して20μm前後であり、前記隙間の高さは10μm程度である。そのため、前記封止絶縁体5を流し込んだときに、前記半導体チップ4の非回路形成面4Aと前記上型701の表面701Aの間に前記封止絶縁体が入り込むことはほとんどない。
【0056】
その後、前記封止絶縁体5で封止したものを前記成形金型7から取り出し、前記絶縁基板1の外部接続端子を形成するための開口部1Bに、例えば、Sn−Pb系はんだなどの接合材を用いてボール状の外部接続端子6を形成すると、図2に示したような半導体装置が得られる。
【0057】
以上説明したように、本実施例の半導体装置の製造方法によれば、前記キャビティの深さH3が、前記半導体チップ4を実装した配線板の前記チップ実装領域の標準の厚さH2Aよりも小さい成形金型7を用いて封止絶縁体5を形成することにより、トランスファモールドで封止した場合でも、前記半導体チップ4の非回路形成面4Aを容易に露出させることができる。
【0058】
また、前記半導体チップ4の非回路形成面4A上に封止絶縁体5を形成しないため、従来のトランスファモールドで封止した半導体装置に比べ、装置を薄型化することができる。
【0059】
また、前記半導体チップ4の非回路形成面4Aを露出させることができるため、従来のトランスファモールドで封止した半導体装置に比べ、装置(半導体チップ4)の放熱性をよくすることができる。
【0060】
また、前記配線板上に実装する半導体チップ4のみを小型化した場合でも、前記成形金型7の前記キャビティ7Aの容積及び形状が一定であれば、前記半導体装置の外形寸法が変わらないので、装置の取り扱いが容易になる。
【0061】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【0062】
【発明の効果】
本発明において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
【0063】
(1)配線板上に、弾性体を介在させて半導体チップを実装し、前記半導体チップの周囲をトランスファモールドで封止する半導体装置の製造方法において、半導体装置を薄型化できる。
【0064】
(2)配線板上に、弾性体を介在させて半導体チップを実装し、前記半導体チップの周囲をトランスファモールドで封止する半導体装置の製造方法において、半導体チップの放熱性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の半導体装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本実施例の半導体装置の概略構成を示す模式図であり、図1のA−A’線での断面図である。
【図3】本実施例の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、半導体装置の製造するための配線板の断面図である。
【図4】本実施例の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、半導体装置の製造するための配線板の部分拡大平面図である。
【図5】本実施例の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、配線板に半導体チップを実装する工程の断面図である。
【図6】本実施例の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、半導体チップを実装した配線板を封止する工程で用いる金型の断面図である。
【図7】本実施例の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、図6の拡大断面図である。
【図8】本実施例の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、半導体チップを実装した配線板を封止する工程の断面図である。
【図9】本実施例の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、半導体チップを実装した配線板を封止する工程の断面図である。
【図10】従来の半導体装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図11】従来の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、半導体装置を製造するための配線板の断面図である。
【図12】従来の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、配線板に半導体チップを実装する工程の断面図である。
【図13】従来の半導体装置の課題を説明するための模式図である。
【図14】従来の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、成形金型を用いて封止する工程の断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
1A ボンディング用開口部
1B,1D 絶縁基板の開口部
1C 絶縁基板の半導体チップが接着された面の裏面
2 配線
2A 配線のインナーリード部
3 弾性体材料
3A 弾性体材料の開口部
4 半導体チップ
401 半導体チップの外部電極
5 封止絶縁体
6 外部接続端子
7 成形金型
7A キャビティ
701 上型
701A 上型の底面
702 下型
702A 下型の表面
Claims (1)
- 開口部を有する絶縁基板上に前記開口部上を通る配線が形成された配線板上に、発泡性の材料からなる弾性体材料を介在させて半導体チップを接着し、前記配線の、前記開口部上を通る部分を切断し、折り曲げて前記半導体チップの外部電極と電気的に接続した後、成形金型を用いて前記配線と半導体チップの外部電極との接続部、及び前記弾性体材料と前記半導体チップの周囲に封止絶縁体を形成する半導体装置の製造方法であって、前記配線板の前記半導体チップが接着された面の裏面と、前記半導体チップの前記弾性体材料と接着した面の裏面を、前記成形金型に接触された状態で封止絶縁体を形成するにあたり、前記成形金型として、前記封止絶縁体を成形する空間であるキャビティの、前記配線板の厚さ方向の対向する二つの面の距離が、前記キャビティ内に収容する前の、配線板の半導体チップが実装された面の裏面から半導体チップの前記弾性体材料と接着された面の裏面までの距離よりも小さい金型を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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