JP3703560B2 - 可撓ボックスカルバート - Google Patents

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敬一 渡辺
裕介 海野
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ジオスター株式会社
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  • Underground Structures, Protecting, Testing And Restoring Foundations (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は軸方向に互いに連結して水路、地下道あるいは共同溝などとして地中に敷設されるボックスカルバートの中間に設置して各ボックスカルバートの相対変位を吸収するための可撓ボックスカルバートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軸方向に互いに連結されて地中に敷設されるボックスカルバートの継手部は地盤の不同沈下などによる相対変位に追従自在な構造とする必要があり、これを解決するため、本出願人は、2個の単位ボックスカルバートの接合端面を伸縮可能な可撓性止水部材で接続し、その接続部の外周面に帯板(カラー)を周回させて1個のボックスカルバートとした構造の可撓ボックスカルバートを特開昭63−110327号、特開平2−164949号などで提案している。
【0003】
可撓ボックスカルバートは隣接するボックスカルバート間の相対変位が余り大きくなく、止水部材の変形によりボックスカルバート間の相対変位を吸収することができる間は非常に有効である。
【0004】
しかし、敷設されたボックスカルバートには短時間ではあるが衝撃的な強大な力が加わり、設計値以上の大きな相対変位を生ずることが予想される。かかる相対変位が生ずると、上記の可撓ボックスカルバートでは、相対変位を吸収すべき止水部材が相対変位を吸収することができなくなって破損し、ボックスカルバートとしての機能が損なわれることになる。
【0005】
そこで、本出願人は、ボックスカルバート間に設計値以上の大きな相対変位を生じた場合でも、その相対変位による力を直接止水部材に伝えることを防止し、止水部材の破損を未然に防止する構造とした可撓ボックスカルバートを先に特願平7−186928号で提案した。
【0006】
本出願人の先の提案は、各単位ボックスカルバートの接合作業用切欠き部から接合端面に至る挿通孔に鋼棒を挿通して、各単位ボックスカルバートの接合作業用切欠き部間の距離を変動可能にして連結して1個の可撓ボックスカルバートするものである。ボックスカルバートの変位は可撓ボックスカルバートの各単位ボックスカルバートに伝達され、可撓ボックスカルバートの各単位ボックスカルバート間の相対変位となるのであるが、この相対変位は殆どが各ボックスカルバート間の管路延長方向の相対変位として現れるものと考え、各単位ボックスカルバートを管路延長方向に相当程度の相対変位を許容する形で鋼棒で連結しておけば、止水部材の破損を未然に防止することが十分可能であると考えていたが、検討の結果、地震などの大衝撃が加わった時には、管路延長方向のみでなく、それと直交する水平方向、鉛直方向、斜め方向などのあらゆる方向に大きな相対変位が現れる可能性があることが判明し、そのような場合には、先に提案した端面が同径でPC鋼線の挿通孔が円柱状の可撓ボックスカルバートでは対応しきれないことが判明した。
【0007】
本発明はこの点に着目してなされたもので、各単位ボックスカルバートの接合作業用切欠き部間を別の連結方式で連結することにより、単位ボックスカルバート間の相対変位の方向や大小に関わらず、相対変位に柔軟に対応することができる可撓ボックスカルバートを提案するものである。
【0008】
本発明は、「2個の単位ボックスカルバートの接合端面を伸縮可能な可撓性止水部材で接続するとともに、各単位ボックスカルバートの接合作業用切欠き部から接合端面に至る挿通孔に鋼材を挿通して、各単位ボックスカルバートの接合作業用切欠き部間の距離を変動可能に連結して1個のボックスカルバートとする可撓ボックスカルバートにおいて、各単位ボックスカルバートの挿通孔を接合作業用切欠き部から接合端面に向かって径が大きくなり、単位ボックスカルバート間の相対変位を所定範囲内に許容する円錐台形に形成するとともに、接合作業用切欠き部間をPC鋼線で連結してなることを特徴とする可撓ボックスカルバート。」である。
【0009】
本発明の可撓ボックスカルバートは2個の単位ボックスカルバートから形成される。2個の単位ボックスカルバートの接合端面間に跨って周回して埋設されている伸縮可能な可撓性止水部材によって各単位ボックスカルバートが接続されている点は従来のものと同じである。そして、各単位ボックスカルバートには接合作業用切欠き部から接合端面に向かって径が大きくなり、単位ボックスカルバート間の相対変位を所定範囲内に許容する円錐台形のPC鋼線挿通孔が複数設けられており、この相通孔に挿通したPC鋼線の両端を各接合作業用切欠き部内の保護管に収納して、両単位ボックスカルバートを切欠き部間の距離が所定の範囲内で変動し得るように連結している。
【0010】
本発明の要点は、挿通孔の形状を単位ボックスカルバート間の相対変位を所定範囲内に許容する円錐台形とし、その挿通孔に挿通したPC鋼線によって両単位ボックスカルバートを連結することにより、接合される両単位ボックスカルバートの切欠き部間の距離をある範囲に納まるように拘束し、その範囲内であれば単位ボックスカルバートはあらゆる方向に相対変位可能であるが、その範囲を超えた相対変位は起こし得ないように拘束した点である。連結材であるPC鋼線は柔軟性に富み、かつ、挿通孔はラッパ状に開いているので、両単位ボックスカルバートがどの方向に相対変位しても両単位ボックスカルバートはPC鋼線により確実に連結されており、離脱することはない。そして、両単位ボックスカルバートの相対変位量の上限は拘束されているので、両単位ボックスカルバートを可撓的に接合している伸縮可能な可撓性止水部材に予想外の力が負荷されることはなく、止水部材が破損する恐れはない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1は本発明の可撓ボックスカルバートの1例を示し(a)は立面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【0013】
図2は両単位ボックスカルバートの切欠き部間をPC鋼線で連結した状態を示す詳細図であり(a)は両単位ボックスカルバートが最も接近した状態、(b)は中間状態、(c)は最も離れた状態を示す。
【0014】
図3は両単位ボックスカルバートの接続部の外周面にZ形帯状鋼板を周回して取付けた場合の取付け部の詳細図である。
【0015】
可撓ボックスカルバート1は長さの短い単位ボックスカルバート1aと1bの接合端面に跨って伸縮可能な可撓性止水部材5を埋設して両単位ボックスカルバート1aと1bとを連結した形となっており、各単位ボックスカルバート1aと1bの四隅部には軸方向に挿通孔2が貫通して穿孔され、挿通孔2の中間部に切欠き部3が設けられている。両単位ボックスカルバートを相互に接合する側の挿通孔2は切欠き部から接合端面に向かって小径側から大径側に向かって径が大きくなり、単位ボックスカルバート1aと1b間の相対変位を所定範囲内に許容する円錐台形に穿孔されている。切欠き部3の内部にはPC鋼線7の端部に取付けた鋼板8を収納する収納管4が設けられている。そして、単位ボックスカルバート1aの切欠き部3と単位ボックスカルバート1bの切欠き部3との間には挿通孔2を通してPC鋼線7が挿通され、PC鋼線7の両端に鋼板8が取付けられている。このPC鋼線7の両端への鋼板8の取付けは通常楔方式で行われ、甲板の取付け位置の調整により単位ボックスカルバート1aの切欠き部3と単位ボックスカルバート1bの切欠き部3との最大間隔を調整する。可撓ボックスカルバート1は鉄筋コンクリート製品として工場生産されるので、その生産時にコンクリートの打設前に鉄筋の配筋や埋設金物の配置と合わせて止水部材5の設置、切欠き部3形成型枠の設置、挿通孔2形成のシースの設置などを行った後コンクリートを打設して可撓ボックスカルバート1本体を製造し、適切な時期にPC鋼線7の挿通、PC鋼線7への鋼鈑8の取付け、収納管4の取付けを行って上記構造の可撓ボックスカルバート1が生産される。そして挿通孔2の小径側と大径側の寸法は許容される単位ボックスカルバート1aと1b間への相対変位量、PC鋼線7の寸法に応じて適宜設計される。
【0016】
なお、図1(b)には、単位ボックスカルバート1a、1bの挿通孔2が単位ボックスカルバート1a、1bを貫通している例を示したが、単位ボックスカルバート1aと1bとの接合に関与しない側の挿通孔2は、その側に隣接して敷設する本体(一般)ボックスカルバートとの接合をPC鋼棒によって行う際に使用するものであるので、隣接して敷設する本体(一般)ボックスカルバートがない場合やある場合でも接合を鋼棒によって行なわない場合などには不要である。
【0017】
可撓ボックスカルバート1製造時にはPC鋼線7およびその両端の鋼板8は図2(a)または(b)に示される位置にあり、この状態で単位ボックスカルバート1aと1bの切欠き部3に、収納管4を除いて、硬化性充填材、例えばモルタルを充填する。PC鋼線の両端は切欠き部3の収納部4に遊びを持った状態で収納されている。
【0018】
可撓ボックスカルバート1敷設後、可撓ボックスカルバート1に予想外の大きな衝撃が加わり、単位ボックスカルバート1a、1bを引き離す方向に大きな相対変位が生じようとしたと仮定する。図2(c)に示されるように、収納部4に収納されたPC鋼線7の端部の鋼板8は切欠き部3の端で停止し、それ以上に動くことはできない。そのため、単位ボックスカルバート1aと1bとは一定限度以上には相対変位することはできない。
【0019】
本発明の可撓ボックスカルバートにおいても、両単位ボックスカルバートの相対変位をできるだけ小さく抑えられれば、それに越したことはない。また、衝撃力の大きさによってはPC鋼線のみでは抵抗できない場合も予想される。
【0020】
そのため、PC鋼線の採用と、従来の帯状鋼板(カラー)による単位ボックスカルバートの接続部の外周面の支持とを併用することが好ましいことが多い。
【0021】
しかし、従来のフラットな帯状鋼板をその儘使用したのでは、両単位ボックスカルバートは鉛直方向や管路に直交する水平方向には相対変位を許容されないことになる。そこで、本発明の可撓ボックスカルバートにおいては、図3に示すように帯状鋼板としてZ形帯状鋼板9を使用し、Z形帯状鋼板9の内側部分9aを一方の単位ボックスカルバート1aの外周面に固定し、Z形帯状鋼板9の外側部分9bと他方の単位ボックスカルバート1bの外周面との間隙を止水性弾性体10で封鎖する方式を採用する。この結果、相対変位に対して、PC鋼線の他、止水性弾性体、Z形帯状鋼板でも抵抗し得る構成となり、結果的に相対変位を小さく抑えることが可能となる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成され、接合される両単位ボックスカルバートの切欠き部間の挿通孔を単位ボックスカルバート間の相対変位を所定範囲内に許容する円錐台形とし、それに挿通したPC鋼線により切欠き部間の距離をある範囲内に収まるように拘束し、その範囲内であれば両単位ボックスカルバートはあらゆる方向に相対変位可能であるが、その範囲を超えた相対変位は起こし得ないように拘束してあるので、予想外の大きな衝撃が加わっても、拘束範囲を超えた相対変位を起こすことはなく、止水部材が破損する恐れはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可撓ボックスカルバートの1例を示し(a)は立面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図2】両単位ボックスカルバートの切欠き部間をPC鋼線で連結した状態を示す詳細図であり(a)は両単位ボックスカルバートが最も接近した状態、(b)は中間状態、(c)は最も離れた状態を示す。
【図3】両単位ボックスカルバートの接続部の外周面にZ形帯状鋼板を周回して取付けた場合の取付け部の詳細図である。
【符号の説明】
1……可撓ボックスカルバート、1a,1b……単位ボックスカルバート、2……挿通孔、3……切欠き部、4……PC鋼線端部収納管、5……可撓性止水部材、7……PC鋼線、8……鋼板、9……Z形帯状鋼板、9a……Z形帯状鋼板内側部、9b……Z形帯状鋼板外側部、10……止水性弾性体。

Claims (1)

  1. 2個の単位ボックスカルバートの接合端面を伸縮可能な可撓性止水部材で接続するとともに、各単位ボックスカルバートの接合作業用切欠き部から接合端面に至る挿通孔に鋼材を挿通して、各単位ボックスカルバートの接合作業用切欠き部間の距離を変動可能に連結して1個のボックスカルバートとする可撓ボックスカルバートにおいて、各単位ボックスカルバートの挿通孔を接合作業用切欠き部から接合端面に向かって径が大きくなり、単位ボックスカルバート間の相対変位を所定範囲内に許容する円錐台形に形成するとともに、接合作業用切欠き部間をPC鋼線で連結してなることを特徴とする可撓ボックスカルバート。
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