JP3703321B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータにより駆動されるポンプの発生油圧によってステアリング機構に操舵補助力を与えるパワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ステアリング機構に結合されたパワーシリンダにオイルポンプから作動油を供給することによって、ステアリングホイールの操作を補助するパワーステアリング装置が用いられている。オイルポンプは、電動モータによって駆動され、その回転速度に応じた操舵補助力が、パワーシリンダから発生されるようになっている。ステアリングホイールが切り込まれていない状態では操舵補助力を要しないから、ステアリングホイールが舵角中点近傍にある直進操舵状態においては、電動モータを停止させておき、ステアリングホイールが一定以上の舵角速度で操舵されたことに応答して電動モータを起動するようにして、いわゆるストップ・アンド・ゴー制御が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のストップ・アンド・ゴー制御では、ステアリングホイールが一定以上の舵角速度で操舵されるまでは、電動モータが完全に停止されているので、ステアリングホイールの操舵開始後すぐには、電動モータの回転速度を目標回転速度まで立ち上げることができない。そのため、ステアリングホイールの操舵開始直後には、十分な操舵補助力を発生させることができなかった。
【0004】
そこで、上述のストップ・アンド・ゴー制御に代えて、直進操舵状態であっても、電動モータを完全に停止させずに一定の低回転速度で回転させておくようにする、いわゆるアイドル・アンド・ゴー制御を行うことが提案されている。しかしながら、このアイドル・アンド・ゴー制御では、電動モータが一定の低回転速度以上で回転され続けるために、省エネルギー性の悪化を招いてしまう。
【0005】
この難点を解消するため、直進操舵状態における電動モータの回転速度を、車両の走行速度に応じて切り換えることが提案されている。すなわち、操舵補助の必要性が小さい高速走行時には、直進操舵状態で電動モータを停止させ、操舵補助の必要性が大きい低速走行時には、直進操舵状態でも電動モータを一定の低回転速度で回転させておく。これにより、省エネルギー性の悪化を防止することができる。
【0006】
ところが、高速走行時であっても、ステアリングホイールの操舵開始直後から操舵補助が必要な状況があり、車速に応じて直進操舵状態におけるモータ回転速度を切り換える制御では、そのような状況下で、操舵補助力の発生に遅れを生じるおそれがある。たとえば、下り坂を走行している時や危険を回避するために急ブレーキをかけた時には、操舵輪である前輪の車軸に大きな荷重がかかるから、ステアリングホイールの操舵開始直後から操舵補助が必要となる。それにもかかわらず、車両が高速で走行していると、直進操舵状態で電動モータが停止されているために、モータ回転速度の立ち上がりが遅れ、操舵補助の応答が遅れてしまうのである。
【0007】
そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、高いアシスト応答性が要求される状況下で速やかに操舵補助を行うことができるパワーステアリング装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、電動モータにより駆動されるポンプの発生油圧によって、ステアリング機構に与えるべき操舵補助力を発生させるパワーステアリング装置であって、上記ステアリング機構の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と(11,S5,T1,E1,P1)、この操舵状態検出手段によって検出される操舵状態が所定の操舵状態である場合は、その操舵状態に応じた回転速度で上記電動モータを回転させ、所定の操舵状態でない場合は、上記電動モータを停止させる制御態様で上記電動モータを制御するモータ制御手段(30)と、操舵補助の応答性の増大が要求される所定の状況を検出するための状況検出手段(13,31,40,50,60,70,80,S12,S13,T4,E4,P4,Q2)と、上記状況検出手段によって上記所定の状況が検出されたことに応答して、上記操舵状態検出手段によって検出される操舵状態が所定の操舵状態でない場合に、上記電動モータが、上記ステアリング機構の操舵補助に十分な操舵補助力を発生させる所定の回転速度より低い待機回転速度で回転されるように、上記モータ制御手段による制御態様を変更する制御態様変更手段(30,S15,T3,E3,P3,Q4)とを含み、上記状況検出手段は、上記電動モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段(13)と、上記電動モータが起動された直後の所定時間に渡って上記モータ電流検出手段によって検出されるモータ電流を積分することにより、電流積分値を求める電流積分手段(31,S12,S13)と、この電流積分手段により求められた電流積分値が所定値を超えた場合に、上記所定の状況であると判断する第1判断手段(S14)とを含むことを特徴とするパワーステアリング装置である。
【0009】
なお、括弧内は、後述の実施形態における対応構成要素などを表す。以下、この項において同じである。
この発明によれば、操舵補助の応答性(アシスト応答性)の増大が要求される状況にあることが検出されると、電動モータが待機回転速度で回転される。これにより、アシスト応答性の増大が要求される状況下で、ステアリング機構が操舵されて上記所定の操舵状態に至った時に、電動モータの回転速度を操舵補助回転速度まで速やかに立ち上げることができ、適切な応答性で操舵補助を行うことができる。
また、操舵補助の遅れが生じると、電動モータの負荷が大きくなり、モータ電流が大きくなる。したがって、モータ電流を所定時間に渡って積分することにより求められる電流積分値は、操舵補助の応答が遅れるほど大きくなる。ゆえに、この発明のように電流積分値と所定値とを比較することにより、操舵補助の応答遅れが生じやすい状況下であるか否か、言い換えれば、アシスト応答性の増大が要求される状況下であるか否かを判断できる。
【0010】
なお、上記状況検出手段は、上記ステアリング機構の操舵補助に十分な操舵補助力を発生させる所定の回転速度以上で上記電動モータを制御するアシスト制御中に上記所定の状況を検出するものであり、上記制御態様変更手段は、それ以後に上記操舵状態検出手段によって操舵状態が所定の操舵状態でないと検出されても、上記電動モータが停止されずに上記待機回転速度で回転されるような制御態様に更新するものであってもよい。
【0011】
また、上記状況検出手段は、上記電動モータが停止されている状態で上記所定の状況を検出するものであり、上記制御態様変更手段は、その停止中の電動モータが起動されて上記待機回転速度で回転されるように制御態様を変更するものであってもよい。この場合、上記所定の状況とは、車両の操舵輪である前輪の車軸に大きな荷重がかかるような状況であることが好ましい。
【0012】
さらに、請求項2に記載されているように、上記操舵状態検出手段は、上記ステアリング機構が操舵された時の舵角速度を検出する舵角速度検出手段(11,S5,T1,E1,P1)を含み、上記所定の操舵状態とは、上記舵角速度検出手段によって検出される舵角速度が予め定める起動しきい値(ω1)以上の状態であることが好ましい。
【0015】
請求項記載の発明は、上記状況検出手段は、車両のトランスミッションのシフトダウンを検出するシフトダウン検出手段(40,T4)と、このシフトダウン検出手段によってシフトダウンが検出された場合に、上記所定の状況であると判断する第2判断手段(T5)とを含むことを特徴とする請求項1または2記載のパワーステアリング装置である。
【0016】
車両のトランスミッションがシフトダウンされるような状況としては、車両が下り坂を走行している状況や、平坦路であっても前方に障害物があるためにブレーキを作動させなければならない状況が考えられる。このような状況では、車両の操舵輪である前輪の車軸に大きな荷重がかかるから、ステアリング機構の操舵開始直後から操舵補助が必要となり、アシスト応答性の増大が要求される。ゆえに、この発明のようにシフトダウンが行われたか否かを検出することにより、アシスト応答性の増大が要求される状況下であるか否かを判断できる。
【0017】
請求項記載の発明は、上記状況検出手段は、車両の傾きを検出する車両姿勢検出手段(50,E4)と、この車両姿勢検出手段によって車両の進行方向前側が後側よりも下がっていることが検出された場合に、上記所定の状況であると判断する第3判断手段(E5)とを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のパワーステアリング装置である。
【0018】
車両の進行方向前側が後側よりも下がる状況としては、車両が下り坂を走行している状況や急減速中である状況が考えられ、このような状況下では、操舵輪である前輪の車軸に大きな荷重がかかっており、アシスト応答性の増大が要求される。ゆえに、この発明のように車両姿勢を検出することにより、アシスト応答性の増大が要求される状況下であるか否かを判断できる。
【0019】
請求項記載の発明は、上記状況検出手段は、車両の進行方向前方における障害物の出現を検出する障害物検出手段(60,P4)と、この障害物検出手段によって障害物の出現が検出された場合に、上記所定の状況であると判断する第4判断手段(P5)とを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のパワーステアリング装置である。
【0020】
車両の前方に障害物が出現すると、その障害物を回避するために、ステアリング機構が急操舵される場合が多い。このような場合に、操舵補助の応答遅れが生じると、操舵開始直後に十分な操舵補助力が得られず、緊急回避のための急操舵に支障を来すおそれがある。そこで、この発明では、車両の前方に障害物が出現した場合をアシスト応答性の増大が要求される状況とみなし、ステアリング機構の操舵状態が所定の操舵状態でなくても、電動モータが所定の待機回転速度で回転させる。これにより、緊急回避の急操舵の際に、速やかに操舵補助を行うことができる。
【0021】
請求項記載の発明は、上記状況検出手段は、車両の鉛直方向の加速度を検出する鉛直加速度検出手段(70,Q2)と、この鉛直加速度検出手段によって検出された車両の鉛直方向の加速度が予め定める基準値を超える場合に、上記所定の状況であると判断する第5判断手段(Q3)とを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のパワーステアリング装置である。
【0022】
路面からの逆入力が大きい状況下では、その逆入力によってステアリングを取られる場合がある。このような場合には、車両の進行方向が変化することによる危険を回避するために、直ちにステアリングを元の状態に戻す必要がある。したがって、ステアリング機構の操舵開始直後から操舵補助が必要となり、操舵補助の応答性の増大が要求される。そこで、この発明では、車両の鉛直方向の加速度が予め定める基準値を超える場合には、路面からの逆入力が大きく、アシスト応答性の増大が要求される状況下であると判断している。
【0023】
これにより、路面からの逆入力が大きい状況下で、ステアリングホイールが操舵された際に、速やかな操舵補助を行うことができる。したがって、危険回避のための操舵を良好に行うことができる。
請求項記載の発明は、上記状況検出手段は、車両のブレーキ操作の有無を検出するブレーキ操作検出手段(80,Q2)と、このブレーキ操作検出手段によってブレーキの操作が検出された場合に、上記所定の状況であると判断する第6判断手段(Q3)とを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のパワーステアリング装置である。
【0024】
ブレーキ操作が行われると、車両の操舵輪である前輪の車軸に大きな荷重がかかるから、ステアリング機構の操舵開始直後から操舵補助が必要となり、アシスト応答性の増大が要求される。ゆえに、この発明のようにブレーキ操作が行われたか否かを検出することにより、アシスト応答性の増大が要求される状況下であるか否かを判断できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るパワーステアリング装置の基本的な構成を示す概念図である。このパワーステアリング装置は、車両のステアリング機構に関連して設けられ、このステアリング機構1に操舵補助力を与えるためのものである。
【0026】
ステアリング機構1は、運転者によって操作されるステアリングホイール2と、このステアリングホイール2に連結されたステアリング軸3と、ステアリング軸3の先端部に設けられたピニオンギア4と、このピニオンギア4に噛合するラックギア部5aを有し、車両の左右方向に延びたラック軸5とを備えている。ラック軸5の両端にはタイロッド6がそれぞれ結合されており、このタイロッド6は、それぞれ、操舵輪としての前左右輪FL,FRを支持するナックルアーム7に結合されている。ナックルアーム7は、キングピン8まわりに回動自在に設けられている。
【0027】
この構成により、ステアリングホイール2が操作されてステアリング軸3が回転されると、この回転がピニオンギア4およびラック軸5によって車両の左右方向に沿う直線運動に変換される。この直線運動は、ナックルアーム7のキングピン8まわりの回動に変換され、これによって、前左右輪FL,FRの転舵が達成される。
【0028】
ステアリング軸3の途中部には、ステアリングホイール2に加えられた操舵トルクの方向および大きさに応じてねじれを生じるトーションバー9と、このトーションバー9のねじれの方向および大きさに応じて開度が変化する油圧制御弁23とが介装されている。この油圧制御弁23は、ステアリング機構1に操舵補助力を与えるパワーシリンダ20に接続されている。パワーシリンダ20は、ラック軸5に一体的に設けられたピストン21と、このピストン21によって区画された一対のシリンダ室20a,20bとを有しており、シリンダ室20a,20bは、それぞれ、オイル供給/帰還路22a,22bを介して、油圧制御弁23に接続されている。
【0029】
油圧制御弁23は、さらに、リザーバタンク25およびオイルポンプ26を通るオイル循環路24の途中部に介装されている。オイルポンプ26は、電動式のモータ27によって駆動され、リザーバタンク25に貯留されている作動油をくみ出して油圧制御弁23に供給する。余剰分の作動油は、油圧制御弁23からオイル循環路24を介してリザーバタンク25に帰還される。
【0030】
油圧制御弁23は、トーションバー9に一方方向のねじれが加わった場合には、オイル供給/帰還路22a,22bのうちの一方を介してパワーシリンダ20のシリンダ室20a,20bのうちの一方に作動油を供給する。また、トーションバー9に他方方向のねじれが加えられた場合には、オイル供給/帰還路22a,22bのうちの他方を介してシリンダ室20a,20bのうちの他方に作動油を供給する。トーションバー9にねじれがほとんど加わっていない場合には、油圧制御弁23は、いわば平衡状態となり、作動油はパワーシリンダ20に供給されることなく、オイル循環路24を循環する。
【0031】
パワーシリンダ20のいずれかのシリンダ室に作動油が供給されると、ピストン21が車幅方向に沿って移動する。これにより、ラック軸5に操舵補助力が作用することになる。
モータ27の駆動は、電子制御ユニット30によって駆動回路28を介して制御される。電子制御ユニット30は、たとえば、CPUとこのCPUの動作プログラムやモータ27の制御態様を表す複数の制御マップを記憶したメモリとを含むマイクロコンピュータで構成されている。
【0032】
電子制御ユニット30には、舵角センサ11から出力される舵角パルスが与えられるようになっている。舵角センサ11は、ステアリングホイール2に関連して設けられており、ステアリングホイール2が一定角度だけ回転される度にパルス信号を出力するものである。したがって、舵角センサ11からは、ステアリングホイール2の操舵速度に相当する舵角速度に応じた周期の舵角パルスが出力されることになる。
【0033】
また、電子制御ユニット30には、車両の速度を検出するための車速センサ12の出力信号が与えられるようになっている。車速センサ12は、車両の速度を直接的に検出するものでもよく、また、車輪に関連して設けられた車輪速センサの出力パルスに基づいて車両の速度を計算により求めるものであってもよい。
電子制御ユニット30には、さらに、駆動回路28からモータ27に供給される電流(モータ電流)を検出する電流検出回路13の出力信号が与えられるようになっている。
【0034】
電子制御ユニット30は、舵角センサ11から与えられる舵角パルスに基づいて舵角速度を求める。そして、車速センサ12で検出される車両速度に対応する制御マップを参照し、舵角パルスから求めた舵角速度および電流検出回路13で検出されるモータ電流値に基づいて、モータ27の駆動を制御する。
また、電子制御ユニット30は、電流検出回路13が検出するモータ電流を積分するための電流積分部31をさらに備えており、モータ27が起動された後の所定時間に渡ってモータ電流値を積分することにより電流積分値を求める。そして、この電流積分値が一定の条件を満たすと、電子制御ユニット30は、その時に参照している制御マップの書換えを行う。
【0035】
図2は、電子制御ユニット30のメモリに格納されている制御マップの特性を表す図である。制御マップは、電子制御ユニット30が舵角速度ωに応じたモータ目標回転速度Nを設定するために参照するものであり、たとえば、予め定める3つの車速域(中速域、高速域および低速域)ごとに設けられている。
車両の速度が中速域(たとえば、10〜50km/h)である場合には、電子制御ユニット30は、曲線L1(実線)で示す特性を有する制御マップを参照する。そして、舵角速度ωが所定の起動しきい値ω1未満であれば、モータ27の駆動を停止させる。また、舵角速度ωが起動しきい値ω1以上かつ所定のスタンバイしきい値ω2未満であれば、モータ27を所定のアイドル回転速度N1で回転させる。さらに、舵角速度ωがスタンバイしきい値ω2以上かつ所定のアシストしきい値ω3未満であれば、モータ27をアイドル回転速度N1より大きい所定のスタンバイ回転速度N2で回転させる。また、舵角速度ωがアシストしきい値ω3以上である場合には、傾斜直線部分P1に従ってモータ目標回転速度N(アシスト回転速度)を設定し、舵角速度ωが大きいほどモータ27を高速回転させる。これにより、ステアリングホイール2が素早く切られるほど大きな操舵補助力を、ステアリング機構1に与えることができる。
【0036】
車両の速度が低速域(たとえば、10km/h未満)である場合には、曲線L2(一点鎖線)で示す特性を有する制御マップが参照される。この場合、舵角速度ωが起動しきい値ω1以上かつスタンバイしきい値ω2未満である場合には、アイドル回転速度N1よりも大きい一定回転速度(アイドル回転速度)でモータ27が低速回転される。また、舵角速度ωがスタンバイしきい値ω2以上かつアシストしきい値ω3未満である場合には、スタンバイ回転速度N2よりも大きい一定回転速度(スタンバイ回転速度)でモータ27が回転される。さらに、舵角速度ωがアシストしきい値ω3以上である場合には、傾斜直線部分P1よりも傾きの大きい傾斜直線部分P2に従ってモータ目標回転速度N(アシスト回転速度)が設定される。これにより、操舵補助の必要性が大きい低速走行時には、比較的大きな操舵補助力をステアリング機構1に与えることができる。
【0037】
車両の速度が高速域(たとえば、50km/h以上)である場合には、曲線L3(二点鎖線)で示す特性を有する制御マップが参照される。この場合、舵角速度ωが起動しきい値ω1以上かつスタンバイしきい値ω2未満である場合には、アイドル回転速度N1よりも小さい一定回転速度(アイドル回転速度)でモータ27が回転される。また、舵角速度ωがスタンバイしきい値ω2以上かつアシストしきい値ω3未満である場合には、スタンバイ回転速度N2よりも小さい一定回転速度(スタンバイ回転速度)でモータ27が回転される。さらに、舵角速度ωがアシストしきい値ω3以上である場合には、傾斜直線部分P1よりも傾きの小さい傾斜直線部分P3に従ってモータ目標回転速度N(アシスト回転速度)が設定される。これにより、操舵補助の必要性が小さい高速走行時には、モータ27の回転速度を低く抑えて、省エネルギー性を向上させることができる。
【0038】
上述の各制御マップは、モータ27を傾斜直線部分P1,P2,P3に従って設定されたアシスト回転速度で回転させるアシスト制御中において、上記電流積分部31によって求められた電流積分値が所定の一定値を超えると、舵角速度ωが起動しきい値ω1未満であっても、モータ27が停止されずにアイドル回転速度で回転されるような態様に書き換えられる。
【0039】
図3は、制御マップの書換えに関する電子制御ユニット30の動作を説明するためのフローチャートである。また、図4は、制御マップの書換えについて説明するための図である。
電子制御ユニット30は、まず、電流検出回路13が検出するモータ電流、および車速センサ12が検出する車両速度を読み込む(ステップS1,S2)。そして、メモリに格納されている複数の制御マップの中から、読み込んだ車速に応じた制御マップを選択する(ステップS3)。また、舵角センサ11から出力される舵角パルスを読み込み(ステップS4)、その舵角パルスに基づいて舵角速度ωを演算する(ステップS5)。
【0040】
次に、電子制御ユニット30は、舵角速度ωに基づいて、モータ27を舵角速度ωに応じたアシスト回転速度で回転させるアシスト制御を行うか否かを決定する(ステップS6)。具体的には、舵角速度ωがアシストしきい値ω3以上であるか否かを判断して、舵角速度ωがアシストしきい値ω3以上であればアシスト制御を行い、アシストしきい値ω3未満であればアシスト制御を行わない。
【0041】
アシスト制御を行わないと決定した場合には、モータ27の起動条件が成立しているか否かを判断する(ステップS7)。つまり、ステップS5で求めた舵角速度ωが、モータ27をアイドル回転速度で起動させるか否かの判断基準となる起動しきい値ω1以上であるか否かを判断する。このモータ起動条件が成立していない場合には、処理はステップS1に戻る。
【0042】
モータ起動条件が成立している場合には、過去に電流積分部31において求めて、メモリに記憶させている電流積分値をクリアする(ステップS8)。そして、ステップS3で選択した制御マップを参照し(ステップS9)、その制御マップに従ってモータ27の駆動を制御する(ステップS10)。たとえば、車速が上記中速域にある場合、舵角速度ωが起動しきい値ω1以上かつ所定のスタンバイしきい値ω2未満であれば、モータ27をアイドル回転速度N1で回転させるアイドル制御を行い、舵角速度ωがスタンバイしきい値ω2以上かつ所定のアシストしきい値ω3未満であれば、モータ27をスタンバイ回転速度N2で回転させるスタンバイ制御を行う。
【0043】
一方、ステップS6でアシスト制御を行うと決定した場合には、電子制御ユニット30は、ステップS3で選択した制御マップに従ってモータ27を制御する一方で、その制御マップが更新済み(書換え済み)であるか否かを判断する(ステップS11)。制御マップがすでに書き換えられている場合には、ステップS11の判断は肯定されてステップS1に戻る。
【0044】
制御マップが書き換えられていない場合には、電子制御ユニット30は、電流積分部31において、電流検出回路13が検出するモータ電流を一定の積分時間に渡って積分して電流積分値を求める(ステップS12,S13)。そして、その電流積分値と所定の一定値との大小を比較する(ステップS14)。
ステアリングホイール2の操舵の際に、モータ回転速度の立ち上がりが遅れることにより操舵補助の応答が遅れると、モータ27の負荷が大きくなり、モータ27に流れる電流が大きくなる。したがって、電流積分部31において求められる電流積分値は、操舵補助の応答が遅れるほど大きくなるから、この電流積分値の大小に基づき、その時の車両の走行状況(車両速度)が操舵補助の応答遅れが生じやすい状況下であるか否か、言い換えれば、高いアシスト応答性が要求される状況下であるか否かを判断することができる。
【0045】
電流積分値が所定の一定値よりも大きい場合には、車両の走行状況が操舵補助の応答遅れが生じやすい状況であると判断される。この場合には、ステップS3で選択した参照中の制御マップを、舵角速度ωが起動しきい値ω1未満であっても、モータ27がアイドル回転速度で回転されるような態様に更新する(ステップS15)。つまり、車速が中速域にある場合は、図4に仮想線(二点鎖線)で示すように、舵角速度ωがスタンバイしきい値ω2未満であれば、モータ27が常にアイドル回転速度N1で回転されるような態様に書き換える。したがって、これ以後は、操舵補助の応答遅れが生じやすい状況下において、ステアリングホイール2が急操舵された場合に、モータ27をアシスト回転速度まで立ち上げるのに要する時間を短縮することができ、適切な応答性で操舵補助を行えるようになる。
【0046】
一方、電流積分部31において求めた電流積分値が所定の一定値以下である場合には、電子制御ユニット30は、その求めた電流積分値をクリアする(ステップS16)。そして、電流積分値がクリアされた後には、ステップS1からの処理が繰り返し行われることになる。
以上のようにこの実施形態によれば、車両の走行状況が操舵補助の応答遅れの生じやすい状況であると判断された場合には、その時に参照されている制御マップが、舵角速度ωが起動しきい値ω1未満であっても、モータ27がアイドル回転速度で回転されるような態様に書き換えられる。また、車両の走行状況が応答遅れの生じやすい状況と判断されない場合には、制御マップの書換えは行われず、舵角速度ωが起動しきい値ω1未満であればモータ27は停止される。
【0047】
つまり、操舵補助の応答遅れが生じやすいと判断された特定車速域に対応する制御マップのみが、舵角速度ωが起動しきい値ω1未満であっても、モータ27がアイドル回転速度で回転されるような態様に書き換えられ、上記特定車速域以外の車速域に対応する制御マップは書き換えられない。これにより、電子制御ユニット30のメモリに格納されている制御マップが最適化されていき、どのような車速域でも操舵補助の応答遅れが生じないようなモータ27の制御を実現できる。また、上記特定車速域に対応する制御マップのみが書き換えられるので、モータ27を常に低回転速度以上で回転させ続ける制御に比べて、モータ27の消費電力を低く抑えることができる。
【0048】
図5は、この発明の第2の実施形態に係るパワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。この図5において、上述の図1に対応する各部には、図1の場合と同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、電子制御ユニット30にシフトセンサ40の出力信号が入力されている。このシフトセンサ40は、車両に搭載されているトランスミッションに関連して設けられており、トランスミッションのシフト位置を検出するためのものである。
【0049】
図6は、モータ27の制御に関連する電子制御ユニット30の動作を説明するためのフローチャートである。まず、電子制御ユニット30は、モータ27が停止されている状態で、舵角センサ11から出力される舵角パルスを読み込み、その舵角パルスに基づいて舵角速度を演算する(ステップT1)。
次いで、電子制御ユニット30は、演算した舵角速度に基づいて、モータ27の起動条件が成立しているか否かを判断する(ステップT2)。すなわち、舵角速度が、モータ27を起動させるか否かの判断基準となる起動しきい値以上であるか否かを判断する。そして、舵角速度が起動しきい値以上であり、モータ起動条件が成立していると判断すれば、停止しているモータ27を起動させる(ステップT3)。これ以降は、モータ27を所定のアイドル回転速度で回転させるアイドル制御が行われる。
【0050】
一方、舵角速度が起動しきい値に達しない場合には、電子制御ユニット30は、シフトセンサ40の出力信号を取り込んで、トランスミッションのシフト位置変化を検出し(ステップT4)、トランスミッションがシフトダウンされたか否かを判断する(ステップT5)。そして、トランスミッションがシフトダウンされた場合には、舵角速度が上記起動しきい値未満であっても、停止しているモータ27を起動させて(ステップT3)、モータ27を所定のアイドル回転速度で回転させる。一方、シフトダウンされていない場合には、モータ27の起動は行わずにモータ27を停止させたまま、処理はステップT1へ戻る。
【0051】
トランスミッションのシフトダウンは、主にエンジンブレーキが必要な場合に行われる。したがって、トランスミッションがシフトダウンされるような状況としては、車両が下り坂を走行している状況や、平坦路であっても前方に障害物があるためにブレーキを作動させなければならない状況が考えられる。いずれにしても、操舵輪である前輪の車軸に大きな荷重がかかるような状況であり、このような状況下では、ステアリングホイールの操舵開始直後から操舵補助が必要となり、高いアシスト応答性が要求される。
【0052】
この実施形態では、モータ27が停止されている状態で、トランスミッションがシフトダウンされた場合には、その停止中のモータ27が起動されて所定のアイドル回転速度で回転されるので、その後のステアリング操舵時に、モータ27の回転速度を速やかに目標回転速度まで立ち上げることができる。ゆえに、操舵輪の車軸に大きな荷重がかかるような状況下で、速やかに操舵補助を行うことができる。
【0053】
図7は、この発明の第3の実施形態に係るパワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。この実施形態では、上述した第2の実施形態に係る構成に備えられているシフトセンサ40に代えて、車両の姿勢、特に車両が前下がりになっているか否かを検出するための車両姿勢センサ50の出力信号が電子制御ユニット30に与えられている。この車両姿勢センサ50は、たとえば、車両の4つの車輪にそれぞれ設けられた車高センサを含むものであってもよい。この場合、右前後輪または左前後輪のいずれか一対の車高センサの検出値を比較することにより、車両が前下がりになっているか否かを検出できる。このような車高センサは、たとえば、いわゆるアクティブサスペンション装置において使用されるので、このアクティブサスペンション装置のための車高センサの出力信号を流用することも可能である。
【0054】
図8は、モータ27の制御に関連する電子制御ユニット30の動作を説明するためのフローチャートである。まず、電子制御ユニット30は、モータ27が停止されている状態で、舵角センサ11から出力される舵角パルスを読み込み、その舵角パルスに基づいて舵角速度を演算する(ステップE1)。
次いで、電子制御ユニット30は、演算した舵角速度に基づいて、モータ27の起動条件が成立しているか否かを判断する(ステップE2)。すなわち、舵角速度が、モータ27を起動させるか否かの判断基準となる起動しきい値以上であるか否かを判断する。そして、舵角速度が起動しきい値以上であり、モータ起動条件が成立していると判断すれば、停止しているモータ27を起動させる(ステップE3)。これ以降は、モータ27を所定のアイドル回転速度で回転させるアイドル制御が行われる。
【0055】
一方、舵角速度が起動しきい値に達しない場合には、電子制御ユニット30は、車両姿勢センサ50の出力信号を取り込んで、車両の姿勢を検出し(ステップE4)、車両の進行方向前側が後側よりも下がっている(前下がり)か否かを判断する(ステップE5)。そして、車両姿勢が前下がりになっている場合には、舵角速度が上記起動しきい値未満であっても、停止しているモータ27を起動させて(ステップE3)、モータ27を所定のアイドル回転速度で回転させる。一方、車両姿勢が前下がりでない場合には、モータ27は起動させずに停止させたまま、処理はステップE1に戻る。
【0056】
車両姿勢が前下がりになる状況としては、車両が下り坂を走行している状況や急減速中である状況が考えられ、このような状況下では、操舵輪である前輪の車軸に大きな荷重がかかっており、高いアシスト応答性が要求される。この実施形態では、モータ27が停止されている状態で、車両姿勢が前下がりになっていることが検出されると、その停止中のモータ27が起動されて所定のアイドル回転速度で回転されるので、その後のステアリング操舵時に、モータ27の回転速度を速やかに目標回転速度まで立ち上げることができる。ゆえに、速やかに操舵補助を行うことができる。
【0057】
図9は、この発明の第4の実施形態に係るパワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。この実施形態では、電子制御ユニット30には、障害物検出部60からの出力信号が入力されている。障害物検出部60は、車両の進行方向前方に障害物が出現したことを検出できるものであればよく、たとえば、CCDカメラで車両の前方を連続的に撮像し、その撮像した画像中の複数の処理対象基準点について、連続する2つの時点間における水平方向のオプティカルフロー(移動ベクトル)を求め、これに基づいて障害物の出現を検出する装置で構成される(たとえば、特開平8−147599号公報参照)。
【0058】
図10は、モータ27の制御に関連する電子制御ユニット30の動作を説明するためのフローチャートである。まず、電子制御ユニット30は、モータ27が停止されている状態で、舵角センサ11から出力される舵角パルスを読み込み、その舵角パルスに基づいて舵角速度を演算する(ステップP1)。
次いで、電子制御ユニット30は、演算した舵角速度に基づいて、モータ27の起動条件が成立しているか否かを判断する(ステップP2)。すなわち、舵角速度が、モータ27を起動させるか否かの判断基準となる起動しきい値以上であるか否かを判断する。そして、舵角速度が起動しきい値以上であり、モータ起動条件が成立していると判断すれば、停止しているモータ27を起動させる(ステップP3)。これ以降は、モータ27を所定のアイドル回転速度で回転させるアイドル制御が行われる。
【0059】
一方、舵角速度が起動しきい値に達しない場合には、電子制御ユニット30は、障害物検出部60の出力信号を取り込み(ステップP4)、車両の前方に障害物が出現したか否かを判断する(ステップP5)。そして、障害物が出現した場合には、舵角速度が上記起動しきい値未満であっても、停止しているモータ27を起動させて(ステップP3)、モータ27を所定のアイドル回転速度で回転させる。一方、障害物が出現していない場合には、モータ27は起動されずに停止されたままで、処理はステップP1に戻る。
【0060】
車両の前方に障害物が出現すると、その障害物を回避するために、ステアリングホイールが急操舵される場合が多い。このような場合に、操舵補助の応答遅れが生じると、操舵開始直後に十分な操舵補助力が得られず、緊急回避のための急操舵に支障を来すおそれがある。この第4の実施形態では、モータ27が停止されている状態で、車両の前方に障害物が出現した場合には、その停止中のモータ27が起動されて所定のアイドル回転速度で回転されるから、その後の急操舵の際に速やかに操舵補助を行うことができる。
【0061】
図11は、この発明の第5の実施形態に係るパワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。この実施形態では、電子制御ユニット30には、鉛直加速度検出部70の出力信号と、車両のブレーキの作動状態を検出するためのブレーキセンサ80の出力信号とが入力されている。
鉛直加速度検出部70は、ベルジャン路(石畳道などのように路面からステアリング機構への逆入力が生じる道路)走行時などに生じる車両への鉛直方向の加速度を検出するためのものである。この鉛直加速度検出部70は、たとえば、アクティブサスペンションの制御情報や、アンチロックブレーキシステムの制御情報を利用して、計算により車両の鉛直加速度を求めるものであってもよい。
【0062】
図12は、モータ27の制御に関連する電子制御ユニット30の動作を説明するためのフローチャートである。まず、電子制御ユニット30は、モータ27が起動されているか否かを判断する(ステップQ1)。
モータ27が停止されていれば、電子制御ユニット30は、ブレーキセンサ80の出力信号を取り込み、この出力信号に基づいて、車両のブレーキが作動しているか否かを判断する。また、鉛直加速度検出部70から鉛直加速度情報を取り込み、車両の鉛直加速度が予め定めた基準値(たとえば、20m/s2)を超えているか否かを判断する(ステップQ2)。
【0063】
次いで、電子制御ユニット30は、モータ27を所定のアイドル回転速度で回転させる必要があるか否かの判断を行う(ステップQ3)。この判断は、上述のステップQ2の判断結果に基づいて行われる。すなわち、電子制御ユニット30は、車両のブレーキが作動しているか、または、車両の鉛直加速度が上記基準値を超えていれば、モータ27をアイドル回転速度で回転させる必要があると判断する。一方、車両のブレーキが作動されておらず、かつ、車両の鉛直加速度が上記基準値以下であれば、モータ27をアイドル回転速度で回転させる必要はないと判断する。
【0064】
そして、電子制御ユニット30は、モータ27をアイドル回転速度で回転させる必要があると判断した場合には、停止中のモータ27を起動してアイドル回転速度で回転させる(ステップQ4)。また、モータ27をアイドル回転速度で回転させる必要がないと判断した場合には、モータ27の起動は行わず、モータ27を停止させたままにする(ステップQ5)。
【0065】
その後は、電子制御ユニット30は、舵角センサ11から出力される舵角パルスを読み込んで、その舵角パルスに基づいて舵角速度を演算し(ステップQ6)、舵角速度に基づいてモータ27を制御する。また、ステップQ1でモータ27がすでに起動されていると判断された場合にも、処理がステップQ1からステップQ6へスキップし、舵角速度が演算され、その舵角速度に基づいてモータ27が制御される。この制御において、上述のステップQ4で停止中のモータ27が起動された場合には、たとえ舵角速度がモータ27を起動するか否かの判断基準となる起動しきい値未満であっても、モータ27はアイドル回転速度で回転される。
【0066】
たとえば、ベルジャン路を走行していると、路面からの逆入力によってステアリングを取られた状況に至る場合がある。このような場合には、車両の進行方向が変化することによる危険を回避するために、直ちにステアリングホイールを元の状態に戻す必要がある。したがって、ステアリングホイールの操舵開始直後から操舵補助が必要となり、パワーステアリング装置には高い応答性が要求される。また、上述したように、ブレーキが作動されている状況でも、パワーステアリング装置には高い応答性が要求される。
【0067】
この実施形態によれば、モータ27が停止されている状態で、路面からの逆入力が大きい状況、および、ブレーキが作動されている状況の少なくとも一方が検出されると、その停止中のモータ27が起動されてアイドル回転速度で回転されるから、その後のステアリング操舵時に、速やかに操舵補助を行うことができる。
【0068】
なお、ブレーキの作動状態の検出は、アンチロックブレーキシステムからのABS作動信号に基づいて行われてもよい。アンチロックブレーキシステムは、とくに急制動時において、各車輪のブレーキ油圧を制御することにより、車輪がロック状態となることを防ぐようなブレーキングを実現する装置である。このような制御をアンチロックブレーキ制御といい、ABS作動信号は、アンチロックブレーキシステムがアンチロックブレーキ制御を実行しているときに出力される信号である。
【0069】
また、路面からの逆入力の有無は、たとえば、トーションバーに加えられたトルクの方向および大きさを検出するトルクセンサの出力信号に基づいて判断されてもよい。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明した。しかしながら、この発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、たとえば、上述の各実施形態が組み合わされて実施されてもよい。たとえば、第3の実施形態と第4の実施形態とが組み合わされて、車両の姿勢が前下がりであること、または、車両の前方に障害物が出現したことに応答して、停止状態の電動モータを起動させて、所定のアイドル回転速度で回転させるようにしてもよい。このように、各実施形態を組み合わせることにより、種々の状況に応じた応答性で操舵補助を行うことができる。
【0070】
また、上記の各実施形態では、アシスト応答性の増大が要求される状況下であれば、舵角速度が起動しきい値以下であっても、電動モータがアイドル回転速度で回転されるように制御態様を変更しているが、このときの電動モータの回転速度は、アイドル回転速度に限らず、ステアリング機構の操舵補助が十分に行われるような補助力を発生させる回転速度(アシスト回転速度)以下であれば、任意の回転速度に設定されるとよい。たとえば、前記スタンバイ回転速度に設定してもよい。
【0071】
さらに、電動モータの目標回転速度は、舵角速度以外にも、ステアリングホイールの舵角変化量やトーションバーに加えられる操舵トルクに基づいて設定されてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るパワーステアリング装置の基本的な構成を示す概念図である。
【図2】メモリに格納されている制御マップの特性を表す図である。
【図3】制御マップの書換えに関する処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】制御マップの書換えについて説明するための図である。
【図5】この発明の第2の実施形態に係るパワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態における電動モータの制御に関する処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】この発明の第3の実施形態に係るパワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態における電動モータの制御に関する処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】この発明の第4の実施形態に係るパワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】第4の実施形態における電動モータの制御に関する処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】この発明の第5の実施形態に係るパワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】第5の実施形態における電動モータの制御に関する処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリング機構
11 舵角センサ(舵角速度検出手段)
13 電流検出回路(モータ電流検出手段)
26 オイルポンプ
27 電動モータ
30 電子制御ユニット(モータ制御手段、制御態様変更手段)
31 電流積分部(電流積分手段)
40 シフトセンサ(シフトダウン検出手段)
50 車両姿勢センサ(車両姿勢検出手段)
60 障害物検出部(障害物検出手段)
70 鉛直加速度検出部(鉛直加速度検出手段)
80 ブレーキセンサ(ブレーキ操作検出手段)
ω1 起動しきい値

Claims (7)

  1. 電動モータにより駆動されるポンプの発生油圧によって、ステアリング機構に与えるべき操舵補助力を発生させるパワーステアリング装置であって、
    上記ステアリング機構の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、
    この操舵状態検出手段によって検出される操舵状態が所定の操舵状態である場合は、その操舵状態に応じた回転速度で上記電動モータを回転させ、所定の操舵状態でない場合は、上記電動モータを停止させる制御態様で上記電動モータを制御するモータ制御手段と、
    操舵補助の応答性の増大が要求される所定の状況を検出するための状況検出手段と、
    上記状況検出手段によって上記所定の状況が検出されたことに応答して、上記操舵状態検出手段によって検出される操舵状態が所定の操舵状態でない場合に、上記電動モータが、上記ステアリング機構の操舵補助に十分な操舵補助力を発生させる所定の回転速度より低い待機回転速度で回転されるように、上記モータ制御手段による制御態様を変更する制御態様変更手段とを含み、
    上記状況検出手段は、
    上記電動モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、上記電動モータが起動された直後の所定時間に渡って上記モータ電流検出手段によって検出されるモータ電流を積分することにより、電流積分値を求める電流積分手段と、
    この電流積分手段により求められた電流積分値が所定値を超えた場合に、上記所定の状況であると判断する第1判断手段とを含むことを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 上記操舵状態検出手段は、上記ステアリング機構が操舵された時の舵角速度を検出する舵角速度検出手段を含み、
    上記所定の操舵状態とは、上記舵角速度検出手段によって検出される舵角速度が予め定める起動しきい値以上の状態であることを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
  3. 上記状況検出手段は、
    車両のトランスミッションのシフトダウンを検出するシフトダウン検出手段と、
    このシフトダウン検出手段によってシフトダウンが検出された場合に、上記所定の状況であると判断する第2判断手段とを含むことを特徴とする請求項1または2記載のパワーステアリング装置。
  4. 上記状況検出手段は、
    車両の傾きを検出する車両姿勢検出手段と、
    この車両姿勢検出手段によって車両の進行方向前側が後側よりも下がっていることが検出された場合に、上記所定の状況であると判断する第3判断手段とを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のパワーステアリング装置。
  5. 上記状況検出手段は、
    車両の進行方向前方における障害物の出現を検出する障害物検出手段と、
    この障害物検出手段によって障害物の出現が検出された場合に、上記所定の状況であると判断する第4判断手段とを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のパワーステアリング装置。
  6. 上記状況検出手段は、
    車両の鉛直方向の加速度を検出する鉛直加速度検出手段と、
    この鉛直加速度検出手段によって検出された車両の鉛直方向の加速度が予め定める基準値を超える場合に、上記所定の状況であると判断する第5判断手段とを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のパワーステアリング装置。
  7. 上記状況検出手段は、
    車両のブレーキ操作の有無を検出するブレーキ操作検出手段と、
    このブレーキ操作検出手段によってブレーキの操作が検出された場合に、上記所定の状況であると判断する第6判断手段とを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のパワーステアリング装置。
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