JP3703276B2 - 光学素子成形用ガラス塊の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟化状態のガラス塊をプレス成形して光学素子を得るに際して、プレス成形用素材として用いるガラス塊を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軟化状態のガラス塊をプレス成形して光学素子を得る光学素子の製造方法は、非球面レンズなどの高機能光学素子を安価に製造することが可能なので、この製造方法は、近年、急速に発展し、普及している。
【0003】
ここでのプレス成形用素材として、当初は、光学ガラスを研削・研磨加工し、所望の形状にしたものが用いられていた。その後、表面形状が滑らかで、表面に異物などを巻き込んでいない良質なガラス塊を、溶融ガラス流から直接、得る技術が開発されたので、最近では、このようにして得られたガラス塊を、光学素子成形用のガラス素材として用いている。
【0004】
一方、溶融ガラスを受け型に受ける場合、該受け型を多孔質の材料で作り、その受け面の背面から加圧ガスを供給し、該ガスが受け面から噴出している状態で、溶融ガラスを受け面に受けさせると、該噴出ガスにより、溶融ガラスが受け面上で浮上・保持され、溶融ガラスと受け面とが接触しないので、このようにして、成形されたガラス塊の表面形状は、滑らかなものとなることは、例えば、特公昭48−22977号公報などに既述されているように、以前から知られている。
【0005】
また、多孔質の材料からなる受け型を用いて、この受け型の背面にガスを供給し、このガスが受け型の受け面から噴出している状態で、この受け型の上に所望量の溶融状態の光学ガラスを受け、溶融ガラスが受け型の上に浮上保持されている状態に保ち、表面形状が滑らかで、上述したように光学素子成形用素材として用いることができるガラス塊を製造する方法、例えば、特開平6−122526号公報や特開平6−340430号公報などに所載の製造方法が、既に開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例には、以下に示すような問題点があった。即ち、同一の受け型を用いて、異なった大きさのガラス塊を得ようとする場合に、受け面が得ようとする曲率半径の球面に加工されている受け型の上に溶融ガラスを受けても、ガラス塊の大きさにより、得られたガラス塊の下面の曲率半径が予想する値と異なってしまう点である。
【0007】
例えば、大きめの受け面を有する受け型を用いて、小さめのガラス塊を得ようとする場合、得られたガラス塊の下面の曲率半径が、受け面の曲率半径に比べて可成り大きくなってしまう。一方、小さめの受け面を有する受け型を用いて、大きめのガラス塊を得ようとする場合、得られたガラス塊の下面の外周部での曲率半径が大きくなってしまう。
【0008】
所望するガラス塊の下面の曲率半径と同じ曲率半径を受け面に形成した受け型で、溶融ガラスを受けたにも拘わらず、このように、受け面の曲率半径から大きくずれてしまった曲率半径の下面がガラス塊に形成されたのでは、そのガラス塊を光学素子成形用ガラス素材として用いた場合、それから得られた成形光学素子には、外観上の欠陥が発生し易い。例えば、このような欠陥の光学素子成形用ガラス素材は、プレス成形時に雰囲気のガスを巻き込んでしまい、ガス残りと呼ばれる凹み状の欠陥が発生し易いのである。当然のことながら、このような成形光学素子は製品として使用できない。
【0009】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、光学素子成形用ガラス素材として適合する所望形状のガラス塊を、或る範囲、即ち、ガラス塊の下面の曲率半径が、受け型の受け面の曲率半径に近い値の範囲で、共通の受け型により確実に得ることができるガラス塊の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、軟化状態のガラス塊をプレス成形して光学素子を得るに際して、受け型の上に所望量の溶融ガラスを受けることによって、プレス成形用素材として用いるガラス塊を得るガラス塊の製造方法において、
上記受け型を多孔質の材料で構成し、この多孔質の受け型の背面にガスを供給し、このガスを多孔質の受け型を通して上記受け型の受け面から噴出させた状態で、その上に溶融ガラスを受けると共に、上記溶融ガラスを上記受け面から噴出しているガスにより浮上保持し、非接触の状態で、上記ガラス塊を形成する成形工程において、上記溶融ガラスの量が、上記受け面から噴出するガスの噴出部分の有効直径:φAと、上記受け型の受け面の直径:φBと、成形されるべきガラス塊の所望の直径:φCとの大きさが、
0.7×φA<φC<1.2×φB
の関係を満たす重量となった時に、上記溶融ガラスを切断することを特徴とする。
【0011】
このような範囲での、即ち、許容される精度でのガラス塊の下面の曲率を確保するために特定された、受け型の受け面の直径の大きさと、ガスの噴出部分の有効径の大きさと、ガラス塊の直径の大きさとの相対値は、本発明者によって、実験的に求められた。
【0012】
即ち、実験によれば、ガラス塊の直径が、0.7φA≧φCの関係にある場合、ガラス塊の下面の曲率半径が、受け型の受け面の曲率半径に比べて、成形光学素子用としての許容誤差範囲を越えるほど、大きくなり過ぎるすぎるので、好ましくない。そして、0.7φA<φCの範囲内にある限り、ガラス塊の下面の曲率半径と受け型の受け面の曲率半径との差は、実用上、3mm以内に収まり、後のガラス塊から成形光学素子を得る成形時に、ガス残りなどの外観不良が発生することがないのである。
【0013】
なお、この比値:C/A=0.85以上(なお、上限は受け面の直径:φBとの関係で規制される)であると、より好ましいプレス成形用素材が得られる。この場合は、ガラス塊の下面の曲率半径と受け型の受け面の曲率半径との差は、実用上、ほぼ、1mm以内に収まる。
【0014】
このように、ガラス塊の直径:φCが、ガスの噴出部分の直径:φAに比べ小さい場合に、その下面の曲率半径が、受け型の受け面の曲率半径に比べて、何故に大きくなるのかを、以下に説明する。
【0015】
この条件の場合、受け型の背面に供給されて、受け面から噴出している加圧ガスは、流動抵抗の大きくなるガラス塊の下の部分にはあまり噴出せず、ガラス塊の周辺の部分から多量に噴出してしまう。このために、ガラス塊を受け型から浮上させるのに、過剰な流量のガスが必要になり、この供給過多のガスにより、ガラス塊の下面で持ち上げられる程度が大きくなり、その結果、ガス圧(その動圧が大)で、ガラス塊の下面はフラット傾向になるため、この曲率半径が、受け型側のそれに比べて大きくなると考えられる。
【0016】
一方、ガラス塊の直径:φCが大きい場合は、受け面から噴出している加圧ガスは、そのガラス塊の外周部からの逃げ場を抑制されるから、ガラス塊は大きく浮上される傾向にある。したがって、少量のガスによって、ガラス塊が所望の程度、浮上することになるので、上述とは相違し、このガス圧(その動圧が小)によって、ガラス塊の下面が変形されることがない。
【0017】
発明者は、この様な考えに立ち、実験を繰り返した結果、上記のような範囲における、ガラス塊の直径:φCとガス噴出部分の直径:φAとの関係が望ましいことを見出した。
【0018】
また、実験によれば、φC<1.2φBの関係において、本発明の有効性が発揮された。この点について、以下に説明する。即ち、ガラス塊がプレス成形用素材として有効となる範囲は、その所望するガラス塊の直径:φCが、受け型の受け面(ガラス塊の形状を形成する部分)の直径:φBの2割増しよりも小さいことを示している。
【0019】
ここでの、1.2という数字は、発明者が実験的に求めた値である。この範囲内にある限り、ガラス塊の下面の外周部の曲率半径が大きくなりすぎて、光学素子の成形時にガス残りなどの外観不良が発生することはない。一方、ガラス塊の直径が、φC≧1.2φBの範囲においては、ガラス塊の下面の外周部の曲率半径が、受け面の曲率半径に比して、大きくなりすぎ、好ましくない。
【0020】
次に、ガラス塊の直径:φCが、受け面の直径:φBに比べ大きい場合に、その下面の外周部の曲率半径が何故に大きくなるのかを説明する。これは、ガラス塊が軟化状態にあるので、受け型の受け面からはみ出したガラス塊の周辺部が、その自重で下がる傾向にあるためである。即ち、受け型の受け面からは加圧ガスが噴出しているので、上述のはみ出し量が少ない場合は、ガラス塊の周辺での加圧ガスの噴出力により、この周辺部分のガラスが上向きに保持されるので、この周辺部分のガラスが大きく下がることはない。
【0021】
一方、はみ出し量が大きい場合は、加圧ガスの噴出力がガラス塊の下面の外周部を支えるほど十分ではなくなり、ガラス塊の周辺部分が下がり、この部分の曲率半径が大きくなり、光学素子の成形時に、ガス残りなどの外観不良が発生することになる。
【0022】
発明者は、このような仮定に立ち、実験を繰り返した結果、上述のような範囲での、ガラス塊の直径:φCと受け面の直径:φBとの関係が望ましいことを見出したのである。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態を示すためのもので、これを参照して、溶融ガラス流からガラス塊を得るために用いた受け型の構成を説明する。図において、符号1は、多孔質の材料からなる受け型である。また、符号2は受け型1から噴出するガスの噴出部を規制するためのカバー、3は受け型1を保持するための保持ブロック、4は保持ブロック3に接続されたガス供給管、5は受け型1の背面に形成されたガス供給室、6は受け型1の上に浮上・保持された状態で得られたガラス塊である。
【0024】
また、φAは、受け型1の受け面から噴出するガスの噴出部分の直径であり、この大きさはカバー2により規制される。φBは、受け型1の受け面においてガラス塊の形状を形成する部分の直径である。なお、この実施の形態においては、φAはφBより大きく、また、φCは、ガラス塊6の直径である。
【0025】
図2は、本発明の製造方法において、溶融ガラス流からガラス塊を得る状態を説明するためのもので、図において、符号7は、溶融ガラス流出パイプであり、符号8は溶融ガラス流である。
【0026】
次に、本発明の製造方法において、溶融ガラス流からガラス塊を得る工程を説明する。ここでは、溶融ガラス流出パイプ7から溶融ガラス流8が液滴状に流出している状態にて、図2に示すように、その下方へ、多孔質材料で構成された受け型1を用意する。この時、ガス供給管4を通って、ガス供給室5の中に窒素ガスが加圧・供給されており、この窒素ガスが、多孔質の受け型1の受け面から噴出している。この状態で、溶融ガラス流8の先端は、多孔質の受け型1の受け面から噴出している、上述の窒素ガスにより、浮上・保持されているので、受け型1に接触することはない。
【0027】
この状態で、受け型1の上に浮上・保持されている溶融ガラスが、所望の重量になった時、受け型1を下降させ、この動作で、溶融ガラス流を括れさせ、自然切断させる。そして、図1に示すように、受け型1の上に浮上・保持した状態のガラス塊6を得るのである。なお、この間、受け型1の受け面からは、上述の窒素ガスが噴出し続けており、ガラス塊6と受け型1とが接触することはない。
【0028】
そして、ここでの、ガラス塊と受け型の受け面との関係は、0.7φA<φCの関係式において満足させているので、得られたガラス塊6の下面の曲率半径が受け型1の受け面の曲率半径とほぼ同じであった。
【0029】
なお、図3は、ガラス塊6の直径φCが受け型1の受け面の直径φBより大きい場合を示している。ここでは、φC<1.2φBの関係を満足しているので、得られたガラス塊6の下面の曲率半径は、受け型1の受け面からはみ出した部分においても、受け型1の受け面とほぼ同じであった。
【0030】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2において、溶融ガラス流からガラス塊を得るために用いた受け型の構成を説明するためのものである。この実施の形態で、符号1は多孔質の材料からなる受け型、2は受け型1から噴出するガスの噴出部を規制するためのカバー、4は保持ブロック3に接続されたガス供給管、6は受け型1の上に浮上・保持された状態で得られたガラス塊である。また、ここで、溶融ガラス流からガラス塊を得る工程は、実施の形態1と同様である。
【0031】
φAは、受け型1の受け面から噴出するガスの噴出部分の直径であり、この大きさはカバー2により規制される。φBは、受け型1の受け面においてガラス塊の形状を形成する部分の直径である。なお、この実施の形態において、φAとφBとは等しい。また、φCは、ガラス塊6の直径である。
【0032】
即ち、実施の形態2と、先述の実施の形態1との差は、受け型構造の差であり、実施の形態2では、φA=φBで、すなわち、受け型1の受け面の外周部ギリギリの位置まで、カバー2で覆われており、また、受け型1の受け面の背面にガス供給室が設けられていない代わりに、ガス供給管4の上に、直接、受け型1が設置されているのである。
【0033】
図6に模式的に示す形態では、0.7φA<φCの関係を満足しているので、得られたガラス塊6の下面の曲率半径は、受け型1の受け面の曲率半径とほぼ同じであった。また、図7に模式的に示す形態では、ガラス塊6の直径:φCが、受け型1の受け面の直径:φBより大きい場合を示している。ここでは、φC<1.2φBの関係を満足しているので、得られたガラス塊6の下面の曲率半径は、受け型1の受け面からはみ出した部分においても、受け型1の受け面のそれとほぼ同じであった。
【0034】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3において、溶融ガラス流からガラス塊を得るために用いた受け型の構成を説明するためのものである。この実施の形態で、符号1は多孔質の材料からなる受け型、2は受け型1から噴出するガスの噴出部を規制するためのカバー、4は保持ブロック3に接続されたガス供給管、6は受け型1の上に浮上・保持された状態で得られたガラス塊である。また、符号9は受け型1を上下動するための駆動軸である。なお、ここで、溶融ガラス流からガラス塊を得る工程は、実施の形態1と同様である。
【0035】
φAは、受け型1の受け面から噴出するガスの噴出部分の直径であり、この大きさは保持ブロック3に設けられたガス供給室5の開口部の大きさである。φBは、受け型1の受け面において、ガラス塊の形状を形成する部分の直径である。なお、本実施例において、φAはφBより大きい。また、φCは、ガラス塊6の直径である。
【0036】
換言すれば、本実施の形態と先述の実施の形態1との差は、受け型構造の差であり、実施の形態1では、ガス噴出部の直径φAを、受け型1の外をカバー2で囲うことにより、規制していたが、本実施の形態では、ガス噴出部の直径φAを、受け型1の下部のガス供給室5の開口部の大きさで規制している。そのため、受け型1の受け面より外の部分も、多孔質の受け型の部分になっており、金属のカバーはない。
【0037】
そこで、受け型1の上に受けた溶融ガラス塊6が、横方向に移動して、溶融ガラス塊6とカバー2が接触し、融着することがない。そのため、カバー2と接触し易い大きなガラス塊を得ようとする場合でも、本実施の形態の構成の受け型を用いることにより、良品が得られる。
【0038】
また、ここでは、大きなガラス塊を得る際に、受け型の受け面から噴出するガスの速度や圧力の分布を少なくするため、ガス供給室の側面に複数個のガス供給管4を設け、窒素ガスをガス供給室へ供給している。
【0039】
図8に模式的に示す受け型は、0.7×φA<φCの関係を満足しているので、得られたガラス塊6の下面の曲率半径は、受け型1の受け面の曲率半径とほぼ同じであった。また、図9に模式的に示す受け型では、ガラス塊6の直径φCが受け型1の受け面の直径φBより大きい。ここでは、φC<1.2φBの関係を満足しているので、得られたガラス塊6の下面の曲率半径は、受け型1の受け面からはみ出した部分においても、受け型1の受け面のそれとほぼ同じであった。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
このような本発明の実施の形態を具体的にした事例を以下に示す。この実施例1では、受け型1は、その平均孔径15nm、気孔率30%の多孔質カーボンで作られている。また、受け型1の受け面は、曲率半径:8mmの球面に加工されている。この受け面の開口径、即ち、ガラス塊の下面形状を形成する部分の直径:φBは12mmである。
【0041】
更に、カバー2、保持ブロック3、ガス供給管4は、ステンレスで作られている。また、カバー2により規制されたガス噴出部分の直径:φAは、14mmである。ガス供給管4からは、常に、毎分1L(リットル)の窒素ガスが供給され、受け型1の直径:φAの範囲から噴出している。
【0042】
この状態の受け型1を、白金製の溶融ガラス流出パイプ7の下、10mmの位置に設置する。この時、溶融ガラス流出パイプ7からは、1000℃の溶融ガラスが液滴状に流出している。この状態で、4秒間保持したところ、所望する重量である1.5gの溶融ガラスが受け型1の上に溜まったので、受け型1を所定量下降させ、その動作で、溶融ガラス流8を括れさせ、自然切断した。
【0043】
このようにして得られたガラス塊6の直径:φCは10mmであった。この様子は図1に示す通りである。すなわち、この時、φC/φA=0.71であった。そして、このガラス塊6の下面の曲率半径は7mmであった。
【0044】
また、受け型1を溶融ガラス流出パイプ7の下で、10秒保持したところ、4gのガラス塊が得られた。これを模式的に図3に示す。このガラス塊6の直径:φCは13mm、即ち、この時、φC/φB=1.08であった。そして、このガラス塊6の下面の曲率半径は7.5mmであった。
【0045】
(比較例)
上述の実施例1と同一の受け型を用いてガラス塊を得た場合であっても、ガラス塊が小さすぎたり、大きすぎたりすると、ガラス塊の直径:φCの範囲が式
0.7φA<φC<1.2φB
を満たさなくなり、ガラス塊の下面の曲率半径が、受け型の受け面の曲率半径から大きくずれる。図4には、ガラス塊6が小さすぎる場合の事例が模式的に示されている。この時、受け型1を溶融ガラス流出パイプ7の下で、2秒間保持したところ、0.7gのガラス塊が得られた。このガラス塊6の直径:φCは6mmであった。そして、このガラス塊6の下面の曲率半径は20mmであり、受け型の曲率半径から大きくずれていた。
【0046】
また、図5には、ガラス塊6が大きすぎる場合の事例が模式的に示されている。この時、受け型1を溶融ガラス流出パイプ7の下で、15秒保持したところ、6gのガラス塊が得られた。このガラス塊6の直径:φCは17mmであった。そして、このガラス塊6の下面の周辺部は、自重により垂れ下がっている。
【0047】
このように本発明に係わる上述の実施例においての特有の効果としては、受け型の受け面の曲率半径に、ほぼ等しい曲率半径の下面を有するガラス塊が確実に得られる点である。特に、上述の実施例による型構成は、中程度の重量を有するガラス塊を得る際に適用できる。
【0048】
(実施例2)
続いて、本発明の実施の形態2における具体的な事例について説明する。ここで、受け型1は、その平均孔径15μm、気孔率30%の多孔質カーボンで作られている。受け型1の受け面は、曲率半径:4mmの球面に加工されている。この受け面の開口径、即ち、ガラス塊の形状を形成する部分の直径:φBは7mmである。
【0049】
また、カバー2、保持ブロック3、ガス供給管4は、ステンレスで作られている。カバー2により規制されたガス噴出部分の直径:φAは7mmである。ガス供給管4からは、常に、毎分1L(リットル)の窒素ガスが加圧・供給され、受け型1の受け面の直径:φAの範囲から噴出している。
【0050】
この状態の受け型1を、白金製の溶融ガラス流出パイプ7の下、10mmの位置に設置した。この時、溶融ガラス流出パイプからは1000℃の溶融ガラスが液滴状に流出している。この状態で1.5秒間保持したところ、所望する重量である0.5gの溶融ガラスが受け型1の上に溜まった。そこで、受け型1を所定量、下降させ、その動作で、溶融ガラス流8を括れさせ、自然切断した。
【0051】
このようにして得られたガラス塊6の直径:φCは6mmであった。この様子を図6に示している。すなわち、この時φC/φA=0.85であった。そして、このガラス塊6の下面の曲率半径は4.5mmであった。
【0052】
一方、受け型1を、溶融ガラス流出パイプ7の下で、2秒保持したところ、重量:0.5gのガラス塊が得られた。これを図7に模式的に示す。このガラス塊6の直径φCは8mmであった。即ち、この時φC/φB=1.14であった。そして、このガラス塊6の下面の曲率半径は4.5mmであった。
【0053】
本実施例の効果として、上述したように、受け型の受け面の曲率半径にほぼ等しい曲率半径の下面を有するガラス塊を、確実に得ることができる。特に、本実施例による型構成では、軽量のガラス塊を得る際に適している。
【0054】
(実施例3)
次に、本発明の実施の形態3の製造方法について、具体的な事例を説明する。ここでは、受け型1は、その平均孔径:15μm、気孔率30%の多孔質カーボンで作られている。受け型1の受け面は、曲率半径:20mmの球面に加工されている。この受け面の開口径、すなわち、ガラス塊の形状を形成する部分の直径φBは20mmである。
【0055】
また、保持ブロック3、ガス供給管4はステンレスで作られている。ガス供給室5の開口部の大きさにより規制されたガス噴出部分の直径φAは22mmである。ガス供給室5の周囲に4本、設置されているガス供給管4からは、1本毎に、常に、毎分:0.75L(リットル)の窒素ガスが加圧・供給され、受け型1のφAの範囲から外側に噴出している。
【0056】
この状態の受け型1を、白金製の溶融ガラス流出パイプ7の下、10mmの位置に設置した。この時、溶融ガラス流出パイプ7からは1000℃の溶融ガラスが液滴状に流出している。この状態で15秒間保持したところ、所望する重量である6gの溶融ガラスが受け型1の上に溜まった。そこで、受け型1を所定量、下降させ、溶融ガラス流8を括れさせて、自然切断した。
【0057】
このようにして得られたガラス塊6の直径φCは17mmであった。この様子を図8に模式的に示している。すなわち、この時φC/φA=0.85であった。そして、このガラス塊6の下面の曲率半径は21mmであった。一方、受け型1を溶融ガラス流出パイプ7の下で、2秒保持したところ、8gのガラス塊が得られた。これを図9に模式的に示す。このガラス塊6の直径φCは21mmであった。すなわち、この時φC/φB=1.05であり、そして、このガラス塊6の下面の曲率半径は20.5mmであった。
【0058】
本実施例の効果として、上述したように、受け型の半径にほぼ等しい半径の下面を有するガラス塊を確実に得ることができる。特に、本実施例による型構成では、重量級のガラス塊を得る際に適している。
【0059】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、軟化状態のガラス塊をプレス成形して光学素子を得るに際して、受け型の上に所望量の溶融ガラスを受けることによって、プレス成形用素材として用いるガラス塊を得るガラス塊の製造方法において、上記受け型を多孔質の材料で構成し、この多孔質の受け型の背面にガスを供給し、このガスを多孔質の受け型を通して上記受け型の受け面から噴出させた状態で、その上に溶融ガラスを受けると共に、上記溶融ガラスを上記受け面から噴出しているガスにより浮上保持し、非接触の状態で、上記ガラス塊を形成する成形工程において、上記受け面から噴出するガスの噴出部分の有効直径:φAと、上記受け面において上記ガラス塊の形状を形成する部分の直径:φBと、成形されるべきガラス塊の所望の直径:φCとの大きさの関係が0.7×φA<φCおよびφC<1.2×φBの関係になるように、受け型の形状および溶融ガラスの量を設定して、プレス成形することを特徴とする。
【0060】
従って、受け型の曲率半径にほぼ等しい曲率半径の下面を有するガラス塊を確実に得ることができる。しかも、このようにして得られたガラス塊を光学素子成形用素材として用いると、成形時にガス残りなどの外観不良が発生しないので、良品率が上がり、コストが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示す模式図である。
【図2】同じく、使用態様を説明するための模式図である。
【図3】同じく、ガラス塊の大きさとの関係を説明するための模式図である。
【図4】本発明との比較のための模式図である。
【図5】同様に、比較例のための模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2を示す模式図である。
【図7】同じく、使用態様を説明するための模式図である。
【図8】本発明の実施の形態3を示す模式図である。
【図9】同じくしよう態様を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 多孔質の受け型
2 カバー
3 保持ブロック
4 ガス供給管
5 ガス供給室
6 ガラス塊
Claims (2)
- 軟化状態のガラス塊をプレス成形して光学素子を得るに際して、受け型の上に所望量の溶融ガラスを受けることによって、プレス成形用素材として用いるガラス塊を得るガラス塊の製造方法において、
上記受け型を多孔質の材料で構成し、この多孔質の受け型の背面にガスを供給し、このガスを多孔質の受け型を通して上記受け型の受け面から噴出させた状態で、その上に溶融ガラスを受けると共に、上記溶融ガラスを上記受け面から噴出しているガスにより浮上保持し、非接触の状態で、上記ガラス塊を形成する成形工程において、上記溶融ガラスの量が、上記受け面から噴出するガスの噴出部分の有効直径:φAと、上記受け型の受け面の直径:φBと、成形されるべきガラス塊の所望の直径:φCとの大きさが、
0.7×φA<φC<1.2×φB
の関係を満たす重量となった時に、上記溶融ガラスを切断することを特徴とするガラス塊の製造方法。 - 前記溶融ガラスの量が前記関係を満たす重量となった時、前記受け型を下降させることで前記溶融ガラスを自然切断させることを特徴とする請求項1に記載のガラス塊の製造方法。
Priority Applications (1)
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