JP3702703B2 - 衛生陶器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期に渡って汚れを容易に除去できる機能を維持する、大便器・小便器・手洗い器・洗面器などの衛生陶器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大便器・小便器・手洗い器・洗面器などの衛生陶器では、一般的には陶器素地表面に釉薬原料を一層塗布し、1100〜1300℃で焼成して最終製品とする。その際の釉薬原料としては、天然原料であるけい砂(石英)、長石等を主原料とし、その他、乳濁剤としてのジルコンおよび顔料を添加していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記のような従来の方法では、釉薬層表面に、石英粒子が完全にガラス化されずに残存し凹部を形成する。また、ジルコン粒子および顔料粒子が表面に露出して凸部を形成する。そのため、表面粗さ(Ra)が触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により、0.07μm以上であり、陶器表面に汚れが付着しやすく、また落ち難くなっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこでこの問題を解決するために、本出願人は、衛生陶器素地上に第一の釉薬層と第二の釉薬層を設け、第二の釉薬層には予め溶融された非晶質釉薬を用いることおよび微粒化により焼成後の残留石英量を極力低減させる方法(特願平10−164177号)、及び第二の釉薬層にはジルコンと顔料の添加を行わない方法等(特願平10−371599号)を提案し、陶器表面の表面粗さ(Ra)が触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により0.07μm未満である汚れの付着しにくく、また汚れを容易に除去可能な衛生陶器を完成させるに至った。
【0005】
本出願人は、上記提案をさらに検討した結果、既存の衛生陶器を再加工することによっても、陶器表面の表面粗さ(Ra)が触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により0.07μm未満である汚れの付着しにくく、また汚れを容易に除去可能な衛生陶器を製造しうる方法があることを見出した。
その方法は、陶器素地表面に着色性釉薬層が形成されている陶器焼成品を準備する工程と、前記着色性釉薬層の上に焼成後に非晶質である成分のみからなる釉薬原料を適用する工程と、300〜1300℃の温度で焼成することにより表面釉薬層を形成する工程とを含むことを特徴とする衛生陶器の製造方法である。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、陶器焼成品の上から塗布する表面釉薬層の厚みは0.1mm以上0.4mm未満となるようにする。表面釉薬層の厚みを0.1mm以上とすることで、製造上のバラツキに拘らず、陶器表面の表面粗さを0.07μm未満にしやすくなる。これは、透明性釉薬層の表面が、その下の釉薬層の影響を受けにくくなるためと考えられる。また、表面釉薬層の厚みを0.4mm未満とすることで、製造上のバラツキに拘らず、流れ模様等の発生がしにくくなる。また、透明性の釉薬を施す前の本来の釉薬色調に対して色調変化が生じにくくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、例えば、大便器、小便器、洗面器、手洗器等の衛生陶器に利用できる。また大便器においては、ボール面、トラップ部、リム裏等、小便器においては、ボール面、トラップ部、サナ等、洗面器、手洗器においては、ボール面等の汚れの付着しやすい一部分への適用も有効である。
【0009】
釉薬原料には、例えば、珪砂、長石、石灰石等の天然鉱物粒子の混合物や非晶質釉薬が使用できる。ここで、非晶質釉薬とは、上記のような天然鉱物粒子等の混合物からなる釉薬原料を高温で溶融し、ガラス化させた釉薬をいい、例えば、フリット釉薬が好適に利用可能である。
また顔料とは、例えば、コバルト化合物、鉄化合物等であり、乳濁剤とは、例えば、ジルコン、酸化錫等である。
【0010】
本発明においては、まず焼成後に非晶質である成分のみからなる釉薬原料を準備するため、珪砂、長石、石灰石等の天然鉱物粒子の混合物と非晶質釉薬とを、両者の合計和に対する非晶質釉薬の割合が望ましくは50〜99重量%、より望ましくは60〜90%になるように混合する。これをボールミル等で混合し、必要に応じて粉砕し、目的物を得る。
【0011】
次いで、既に一般的な衛生陶器の製造工程により、陶器表面に釉薬層が施され焼成された衛生陶器の表面に、さらにその上から焼成後に非晶質である成分のみからなる釉薬原料を少なくとも一部分に適用(施釉)することにより、表面釉薬層を形成する。ここで少なくとも一部分とは、例えば、大便器におけるボール面、トラップ部、リム裏等の汚れやすい一部分への適用、および大便器等の全体への適用の双方をさす。また適用方法は、スプレーコート、フローコート、印刷等の周知の方法が利用できる。
【0012】
その後、800〜1300℃の温度で焼成することにより、表面釉薬層がその下の着色性釉薬層と固着し、表面粗さ(Ra)が触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により0.07μm未満、好ましくは0.05μm未満、より好ましくは0.03μm未満の優れた表面平滑性を有する衛生陶器となる。
【0013】
【実施例】
【表1】
【0014】
(1)焼成後に非晶質である成分のみからなる釉薬原料の準備
表1の組成からなる原料と、非晶質釉薬とを、両者の合計和に対する非晶質釉薬の割合が50〜99重量%になるように調整した釉薬原料2Kgと水1Kg及び球石4Kgを、容積6リットルの陶器製ポットに入れ、レーザー回折式粒度分布計を用いた粉砕後の釉薬スラリーの粒度測定結果が、10μm以下が67%、50%平均粒径(D50)が6.0μmになるように、ボールミルにより粉砕を行った。
【0015】
(2)陶器素地表面に着色性釉薬層が形成されている一般的な陶器焼成品の準備
一方、珪砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×150mm板状試験片および大便器を作製し、表1の組成に乳濁剤であるジルコン(ZrSiO4)と顔料を加えて調製した一般的な着色性釉薬スラリーを、板状試験片及び大便器にスプレーコーティング法により塗布し、1100〜1200℃で焼成することにより、一般的な大便器及びその試験片を作製した。
【0016】
(3)表面釉薬層を形成する加工
上記一般的な大便器及びその試験片上に、上記(1)の如くして準備した釉薬原料スラリーをスプレーコーティング法により塗布を行った。この時、板状試験片については、着色性釉薬の厚みを0.4mm、透明性釉薬の厚みを0mm,0.1mm,0.2mm及び0.4mmとなるように調製を行ったが、透明性釉薬の厚み0mmについては、透明性釉薬を施していない従来技術の場合の比較例である。その後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。
【0017】
得られた板状試験片について、釉薬表面粗さ(Ra)の測定、釉薬呈色および製造上の外観欠点の確認を行った。
表面粗さは触針式表面粗さ測定器(JIS−B0651)を用い、中心線表面粗さ(Ra)を測定した。
釉薬呈色および製造上の外観欠点は、目視により確認を行った。
【0018】
各々の結果は表2に示したように、表面釉薬層を形成した試料はいずれも表面粗さ(Ra)が0.07μm未満となっている。
厚みが0.4mmになると、釉薬表面の僅かな色調変化と僅かな流れ模様の発生が見られる。
更に大便器についても同様の確認を行い、試験片と同傾向であることの確認を行った。
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、既に一般的な工程で製造された衛生陶器を再加工することにより、陶器表面の表面粗さ(Ra)が触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により0.07μm未満である汚れの付着しにくく、また汚れを容易に除去可能な衛生陶器を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…衛生陶器素地
2…第一の釉薬層(着色性釉薬層)
3…第二の釉薬層(透明性釉薬層)
Claims (2)
- 陶器素地表面に着色性釉薬層が形成されており、さらにその上に表面釉薬層が形成されており、前記表面釉薬層の表面粗さ(Ra)は、触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により0.07μm未満である衛生陶器の製造方法であって、陶器素地表面に着色性釉薬層が形成されている陶器焼成品を準備する工程と、前記着色性釉薬層の上に焼成後に非晶質である成分のみからなる釉薬原料を0.1mm以上0.4mm未満の厚さになるように適用する工程と、300〜1300℃の温度で焼成することにより表面釉薬層を形成する工程とを含むことを特徴とする衛生陶器の製造方法。
- 前記表面釉薬層は透明であることを特徴とする請求項1に記載の衛生陶器の製造方法。
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