JP3702587B2 - 剥離紙 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、剥離紙用基材に関するものである。詳しくは、主として商品や商品容器の表面に貼合される粘着ラベル、粘着シール及び包装容器の梱包等に用いられる粘着テープの剥離紙の基材に関するものである。さらに詳しくは、特に溶剤バリヤー性に優れ、原紙上にポリエチレンフィルムをラミネートする必要がなく、直接シリコーンなどの剥離剤を塗工でき、かつ塗被後のドライヤー工程、仕上げ時のオンマシンカレンダーおよびスーパーカレンダー工程でロールへの付着による汚れを生じることなく、仕上げた粘着シートの剥離力が安定である再利用可能な剥離紙用基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、剥離紙の基材には、ラベルやシール上葉紙との剥離性、あるいは円筒状に巻かれたテープの剥離性を良好にするため、剥離剤または離型剤として、例えばシリコーンを塗布して剥離剤層が形成される。剥離紙の基材としては、ポリエチレンラミネートタイプ、グラシンタイプ、スーパーカレンダードタイプ及びクレーコートタイプ等の紙が知られている。
【0003】
これらの基材の中で、木材パルプを主原料とする上質紙、片艶紙及びクラフト紙等の表面に、上記のシリコーン塗工液の浸透を極力抑制し、剥離性を最大限に発揮させる目的で、押出し加工方式により厚さ10〜25ミクロン程度のポリエチレンフィルム層を形成させたものが一般的である。しかし、上記のポリエチレンフィルムをラミネートする方法で製造された剥離紙用基材は、このポリエチレンフィルムが強固な連続皮膜を形成し、かつそれが水に不溶のため、この基材を回収し、製紙工程で再生利用することが不可能であり、今日産業廃棄物処理上の大きな問題となっている。
【0004】
これに対し、極度に叩解されたパルプを原料とするグラシン紙等を原紙として用い、これにポリエチレンフィルムをラミネートすることなく直接シリコーンを塗工する方法が試みられている。しかし、このような原紙は、原料となるパルプを極度に叩解して用い、さらにカレンダー処理等により繊維間結合を強固にしているため、水中で容易に分散しないという欠点を有している。さらに、たとえ機械力の強化及び化学的処理の導入等により水中で分散できたとしても、叩解処理の強化により繊維が著しく損傷しているため、一般の紙の原料として再利用することは困難である。
【0005】
また、機械的に加圧してち密化したスーパーカレンダードクラフトタイプの基材においても、なお微小な空隙を完全に封鎖することはできず、さらにシリコーンが接触すると同時に基材の膨潤が生じ、ポリエチレンフィルムをラミネートする場合に匹敵するような優れたシリコーン有機溶剤溶液の浸透を遮断(以下溶剤バリヤー性と記す)することは到底できない。
【0006】
一方、特公平1−35959号公報や特開平4−23876号公報には、ポリエチレンフィルムをラミネートすることなく、直接シリコーンを塗工して得られる剥離紙のための基材として、原紙表面に無機顔料及び有機接着剤を主成分とする塗料を塗工して下塗り層を形成するクレーコートタイプ基材が開示されている。このような基材においては、原紙中の微小な空隙(以下ピンホールと記す)を下塗り層が被覆し、これを目止めする効果は認められる。しかし下塗り層の顔料相互の間に微小な空隙として無数に存在するさらに微細な連続孔をとおしてシリコーンが原紙中に浸透する。このため、ポリエチレンフィルムでラミネートする方法に比べ高価なシリコーンあるいは下塗り層を多量に被覆しなければならない。
【0007】
このようにして製造された剥離紙用原紙は下塗り層を設けるための問題点として、塗被後のシリンダードライヤー、ドライヤーキャンバス、さらには仕上げ設備であるマシンカレンダーやスーパーカレンダーの表面に塗被層が付着する汚れの現象が生じる。この汚れが発生すると操業上大きな問題となるばかりでなく、塗被層が脱離するため満足な剥離力を得ることができないことになる。
【0008】
一般に、汚れを防止するための下塗り層表面の“摩擦”を低くする簡便な方法として、まず広く潤滑剤として市販されているステアリン酸カルシウム系、ステアリン酸亜鉛系、レシチン系、カルナバワックス系およびモノステアリルアミンエチレンオキシド系潤滑剤等を下塗り層用塗被液に配合する方法に期待がもたれる。しかし、これらの潤滑剤を使用した場合、いずれも下塗り層の滑りは良好となったが、本基材の最大の重要課題である溶剤バリヤー性が、潤滑剤の配合により著しく低下するという問題に直面した。
【0009】
これら溶剤バリヤー性低下の原因については定かではないが、潤滑剤の配合により下塗り層中のバインダー樹脂の皮膜形成が阻害されることに起因すると推定される。バインダー樹脂の皮膜形成は、分子中に官能基として含む水酸基やカルボン酸基の水素結合によるものである。これらの陰性基に対して、アルカリ金属、アルカリ土金属等の陽イオン性基が、あるいは、潤滑剤中の乳化剤によって皮膜形成が阻害され、溶剤バリヤー性が劣化するものと推定されている。
【0010】
以上の理由から、ポリエチレンフィルムをラミネートした場合に匹敵する溶剤バリヤー性を有し、直接シリコーンなどの剥離剤を塗工することができ、かつ塗被後のドライヤー工程、仕上げ時のマシンカレンダーおよびスーパーカレンダー工程でロールへの付着による汚れを生じることなく、満足な剥離力の得られる再利用可能な剥離紙用基材が強く求められているが、未だこれらの用件を満たし得る基材の製造法は提供されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶剤バリヤー性に優れポリエチレンラミネートを必要とせず、直接シリコーンを塗工することができ、かつ塗被後のドライヤー工程、仕上げ時のマシンカレンダーおよびスーパーカレンダー工程でロールへの付着による汚れを生じることなく、剥離力の安定な再利用可能な剥離紙用基材を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、原紙上に形成する下塗り層の材料を鋭意研究した結果、遂にこれらの要件を満たし得る剥離紙用基材を得るに至った。
【0013】
即ち、本発明は、基紙の少なくとも片面に下塗り層、剥離剤層を順次設けてなる剥離紙において、該下塗り層が顔料とバインダー樹脂を主成分とし、かつバインダー樹脂が少なくともポリビニルアルコールと水性乳化共重合体を含み、かつその水性乳化共重合体のガラス転移温度が−50〜20℃であることを特徴とする剥離紙用基材である。また、下塗り層を構成する水性乳化共重合体のイオン性がノニオン性であり、顔料の固形分100重量部に対してポリビニルアルコールを30〜500重量部、水性乳化共重合体を10〜100重量部含有し、構成する顔料が、カオリンであることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、塗被後のシリンダードライヤー、ドライヤーキャンバス、さらには仕上げ設備であるマシンカレンダーやスーパーカレンダーのロール表面への塗被層の付着を防止するための手段として、下塗り層表面の“摩擦および瞬時の成膜性”をよくすることによる改善法を検討した。
【0015】
(1)下塗り層中の水性接着剤の成膜性向上、(2)潤滑剤中の乳化剤による皮膜形成の阻害抑制、を同時に達成することができるバリヤー層を形成することで、ポリエチレンラミネートを必要とせず、直接シリコーンを塗工することができ、かつ塗被後のドライヤー工程、仕上げ時のマシンカレンダーおよびスーパーカレンダー工程でロールへの付着による汚れを生じることなくポリエチレンラミネート基材に匹敵する溶剤バリヤー性を有する基材を得る効果的な手段であるとの見解に達した。
【0016】
本発明者らは上記手段を確立すべくさらに鋭意研究を重ねた結果、下塗り層中のバインダー樹脂の成膜性向上、潤滑剤中の乳化剤による皮膜形成の阻害抑制を同時に達成し得る材料として、顔料とバインダー樹脂を主成分とし、かつバインダー樹脂が少なくともポリビニルアルコールと水性乳化共重合体を含み、かつその水性乳化共重合体のガラス転移温度が−50〜20℃であり、下塗り層を構成する水性乳化共重合体のイオン性がノニオン性であり、顔料の固形分100重量部に対してポリビニルアルコールを30〜500重量部、水性乳化共重合体を10〜100重量部含有し、かつ顔料が、カオリンであることが上記要件を満たすために卓越した効果を発揮することを見出し、本発明を完成させた。
【0017】
本発明においては下塗り層中のバインダー樹脂の成膜性向上、潤滑剤中の乳化剤による皮膜形成の阻害抑制の面から下塗り層を構成する水性乳化共重合体のガラス転移温度が非常に重要である。ちなみに、本発明で言うガラス転移温度はバイブロン粘弾性により測定したものである。
【0018】
即ち、水性乳化共重合体のガラス転移温度が低ければ、成膜性が優れ、塗被後のドライヤー工程および仕上げ時のマシンカレンダー工程でロールへの付着による汚れを生じることはない
【0019】
つまり、ガラス転移温度の低い水性乳化共重合体と顔料が瞬時に成膜し、基材上のピンホールを目止めし、次にポリビニルアルコールが優れた被覆性と強固な膜で基材上の浸透を抑制し、ポリエチレンラミネート基材に匹敵する溶剤バリヤー性を発揮し、かつ塗被後のドライヤー工程、仕上げ時のマシンカレンダーおよびスーパーカレンダー工程でロールへの付着による汚れを生じることはない。しかし、水性乳化共重合体のガラス転移温度が高ければ、基材上での被覆性、成膜性に乏しくなり、塗被後のドライヤー工程、仕上げ時のマシンカレンダーおよびスーパーカレンダー工程でロールへの付着による汚れの原因となる。
【0020】
従って、本発明の所望の効果が発現されるような水性乳化共重合体のガラス転移温度を調節する必要がある。
本発明において用いられる上記特定の水性乳化共重合体のガラス転移温度は−50〜20℃の範囲が適切であり、ガラス転移温度が−50℃未満になると共重合体の安定性が不十分となり、20℃を超えると成膜性が不十分となる為、水性乳化共重合体のガラス転移温度は−50〜20℃の範囲とする必要がある。また、この発明に用いる水性乳化共重合体のイオン性は特に制約はなく適宣選定して使用できるが、潤滑剤中の乳化剤による皮膜形成の阻害抑制、塗被液の安定性の面から、ノニオン性が好ましい。
【0021】
本発明で用いられる水性乳化共重合体は乳化剤を0.5 〜10重量%含有し、下記組成の単量体
a)(メタ)アクリル酸のC4〜18アルキルエステル単量体:30〜90重量%、
b)エチレン性不飽和カルボン酸含有単量体:1〜20重量%、
c)これらの単量体と共重合可能な他の単量体:0〜30重量%、
を乳化共重合したものである。
【0022】
本発明において用いられる上記特定の水性乳化共重合体を構成するエチレン性不飽和カルボン酸含有単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、モノアルキルフマル酸等が挙げられる。
【0023】
共重合体中に占めるこれらのエチレン性不飽和カルボン酸含有単量体の割合が全単量体の1重量%未満になると、得られた共重合体の分散安定性が不十分となり、逆に20重量%を超えると、乾燥性が不十分となる為、これらのエチレン性不飽和カルボン酸含有単量体は1〜20重量%の範囲で共重合する必要がある。
【0024】
一方、本発明で用いられる水性共重合体を構成する(メタ)アクリル酸のC4〜C18アルキルエステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。共重合体中に占めるこれらの(メタ)アクリル酸のC4〜C18アルキルエステル単量体の割合は30〜90重量%の範囲で調節される。30重量%未満になると、ガラス転移温度が20℃を超え、本発明の所望の効果が発現されない。
【0025】
本発明においては、これらの(メタ)アクリル酸のC4〜C18アルキルエステル単量体の中でも、特にアクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルが共重合性等の面から好ましく用いられる。
【0026】
また、本発明で用いられる水性共重合体を構成する上記の如き単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、エチレン、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸(ポリ)エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸(ポリ)プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,3−ブチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸テトラメチロールメタン、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0027】
共重合体中に占めるこれらの共重合可能な他の単量体の割合は0〜30重量%の範囲で調節される。
【0028】
本発明においては、これらの共重合可能な他の単量体の中でも、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等がガラス転移温度、耐溶剤性、耐熱性等の面からも好ましく用いられる。
【0029】
また、連鎖移動剤としては、例えばチオグリセロール、エチレンチオグリコール、チオグリコール酸、n−ドデシルメルカプタン等が例示され、重合開始剤としては、例えば過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム又はそれらと亜鉛酸ソーダ、酸性亜硫酸ソーダ等の還元剤との組み合わせからなる所謂レドックス系の重合開始剤が挙げられる。
【0030】
上記の如き特定の水性共重合体は共重合体中のカルボキシル基を例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、各種の第一級、第二級、第三級アミン等の適当なアルカリ性物質で中和することによって安定化し、濃度20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%程度に調節して使用される。
【0031】
本発明の水性乳化共重合体は、乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤等の存在下、水系で乳化共重合する方法で製造されるが、特に乳化剤の種類は重要である。即ち、本発明ではノニオン性の乳化剤を選択的に使用することが好ましい。その具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレン/ブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド等が挙げられる。
【0032】
また、顔料とポリビニルアルコールを必須成分として含有させることを要する。水性乳化共重合体の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜150重量部、特に好ましくは10〜100重量部である。5重量部未満ではポリビニルアルコールとの併用による瞬時の成膜効果が乏しく、150重量部を超えるとピンホール目止め効果は優れるが、浸透防止効果が劣る。また、ブロッキング等が問題となる。
【0033】
また、本発明において下塗り層に使用される顔料としては、特に制約はなく、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム等顔料から適宣選定して使用できるが、溶剤バリヤー性の面から、緻密な下塗り層を形成できる板状顔料のカオリンが好ましい。
【0034】
ポリビニルアルコールについては、鹸化度は部分鹸化型もしくは完全鹸化型が採用でき、重合度は300〜2500のものを使用するが、例えばカルボキシル基変性、アセトアセチル基変性等種々の変性ポリビニルアルコールも効果的に使用できる。また、使用する部数としては、顔料100重量部に対して、30〜500重量部が好ましく、30重量部未満では、溶剤に対するピンホール防止効果は高いが、浸透防止効果に乏しい。また、500重量部を超えると浸透防止効果は発揮されるが、ピンホールの防止効果が低い。さらに、皮膜の粘着性が強くなり過ぎ、ブロッキング等が問題となり好ましくない。
【0035】
本発明に用いられる原紙は、広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ等の化学パルプ、GP、RGP、TMP等の機械パルプを原料として用い、長網多筒型抄紙機、長網ヤンキー型抄紙機あるいは丸網抄紙機で抄紙される上質紙、中質紙、片艶紙及びクラフト紙等の酸性紙、中質紙、を包含するものであり、米坪としては40〜130g/m2のものが通常用いられる。原紙中には紙力増強剤、サイズ剤、填料、歩留向上剤等の抄紙補助薬品が含まれていてもよい。
【0036】
一般に広く用いられる、これらの塗工設備としてはサイズプレス、ゲートロールコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーターおよびブレードコーター等から任意に選定することができる。また、目止め効果および塗料の価格を考慮すると、原紙上に形成されるバリヤー層は、絶乾重量で2〜20g/m2 塗工されるよう調製するのが望ましい。
【0037】
本発明の下塗り層用塗被液は、顔料とバインダー樹脂を主成分とする水性塗被液であるが、必要に応じて分散剤、着色剤、耐水化剤、潤滑剤および防腐剤等が配合されていてもよい。
なお、下塗り層形成の塗被液は、原紙に2回以上の塗工操作により塗工してもよい。また、シリコーンは通常トルエンやヘキサン等の有機溶剤に溶解して、あるいは有機溶剤等に溶解せず100%濃度状態の無溶剤方式で塗工される。しかし、この塗工液として、紫外線や電子線で硬化させる方式においても、本発明の下塗り層は優れたバリヤー性を発揮することができる。
【0038】
本発明の基材を用いた剥離紙は、ポリエチレンをラミネートした剥離紙のラミネート層がなく、かつシリコーンが内部に浸透していないため、回収後容易に再生工程に供することができる。即ち、再生工程において水中に投入されたとき、下塗り層は原紙から脱離するため、容易にパルプのみを回収し再利用することができる。また、この再生パルプは撥水性を有するシリコーンを含まないため、シリコーンが印刷用紙などの抄紙工程に混入しハジキなどの障害の原因となることはない。
【0039】
【実施例】
本発明を下記実施例によって更に具体的に説明するが、勿論本発明の範囲は、これらによって限定されるものではない。なお、例中の塗布量、部数、混合割合などは全て固形分で示した。また、「部」は特に断らない限り「重量部」を示すものである。
【0040】
実施例1
塗被液は下記組成の下塗り層を調製した塗被液を用い、米坪80g/m2の上質原紙上に乾燥重量で5g/m2になるようにバーコーターで塗工、乾燥後の水分が5%の塗被紙を得た。
この塗被紙面上にシリコーン剥離剤(商品名:KS−845、信越化学工業社製)の9%トルエン溶液を乾燥重量が0.9g/m2となるようにバーコーターで塗工、乾燥して剥離紙とした。かくして得られた剥離紙表面に粘着剤(商品名:AQ432T、カネボウNSC社製)を乾燥重量で17g/m2となるようにリバースロールコーターで塗工した後、米坪64g/m2の上質紙(商品名:NWF55、王子製紙(株)製)と貼り合わせて粘着シートを得た。
【0041】
実施例2
実施例1においてポリビニルアルコール(商標:PVA203、クラレ製)を400部配合に変更した以外は実施例1と同様にし塗被紙を得た。
この塗被紙面上に無溶剤シリコーン剥離剤(商品名:KNS−320A、信越化学工業社製)を乾燥重量が0.9g/m2となるようにグラビアコーターで塗工、熱硬化して剥離紙とした。かくして得られた剥離紙表面に粘着剤(商品名:AQ432T/カネボウNSC社製)を乾燥重量で17g/m2となるようにリバースロールコーターで塗工した後、米坪64g/m2の上質紙(商品名:NWF55/王子製紙(株)製)と貼り合わせて粘着シートを得た。
【0042】
実施例3
実施例1においてポリビニルアルコール(商標:PVA203、クラレ製)を40部配合に変更した以外は実施例1と同様にし粘着シートを得た。
【0043】
実施例4
実施例1において調製した水性乳化共重合体(1)を90部配合に変更した以外は実施例1と同様にし粘着シートを得た。
【0044】
比較例1
塗被液は下記組成の下塗り層を調製した塗被液を用い、米坪80g/m2の上質原紙上に乾燥重量で5g/m2になるようにゲートロールコーターで塗工、乾燥後の水分が5%の塗被紙を得た以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0045】
比較例2
塗被液は下記組成の下塗り層を調製した塗被液を用い、米坪80g/m2の上質原紙上に乾燥重量で5g/m2になるようにゲートロールコーターで塗工、乾燥後の水分が5%の塗被紙を得た以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0046】
比較例3
塗被液は下記組成の下塗り層を調製した塗被液を用い、米坪80g/m2の上質原紙上に乾燥重量で5g/m2になるようにバーコーターで塗工、乾燥後の水分が5%の塗被紙を得た以外は実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0047】
比較例4
実施例1において下塗り層の塗被液を下記組成に変更した以外は実施例1と同様にし粘着シートを得た。
【0048】
なお、上記の実施例および比較例で得られた剥離紙基材のトルエン浸透防止効果、ピンホール防止効果、シリコーン浸透防止効果、スーパーカレンダー汚れ改善効果については下記方法に準じて評価した。
また、各テスト結果を表1に示す。
【0049】
(1)トルエン浸透防止効果およびピンホール防止効果:
供紙片上に油溶染料「Oleosol Red B」(住友化学工業製)で着色したトルエンを塗布し、2秒後ガ−ゼで拭き取り、その面のトルエンの浸透状態および斑点状に生じるピンホ−ルの目止め効果を判定した。
【0050】
(2)シリコン浸透防止効果
下記組成を有するシリコーン溶液を調製した。
上記溶液を供紙片上にメイヤーバーにより、絶乾1.0g/m2 となるように塗工し、得られた表面を観察してシリコーンの浸透を評価した。
【0051】
(3)スーパーカレンダー汚れ改善効果
供紙5000mを線圧150kg/cm、スピード100m/min、70℃のスーパーカレンダーに通紙しチルド面の汚れ具合いを評価した。
【0052】
(4)重剥離化防止効果
粘着シートの米坪64g/m2の上質紙をインストロン型引張試験機によって300mm/minの引張速度で180°の角度で剥離した際の荷重(g/50mm)を測定した。
【0053】
【表1】
【0054】
表1から明らかなように、本発明に係る各実施例1〜4の剥離紙用基材は、それぞれ満足すべき結果を得たが、各比較例1〜4の剥離用紙基材は、何れかの性質において不満足なものであった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の剥離紙用基材は、ポリエチレンフィルムを貼合した剥離紙用基材に匹敵する、優れた溶剤バリヤー性を有するものであり、かつ既存の抄紙機および塗工機により容易に製造でき、さらに回収後再利用可能なものであって、実用性において極めて優れたものである。
Claims (4)
- 基紙の少なくとも片面に下塗り層、剥離剤層を順次設けてなる剥離紙において、該下塗り層が顔料とバインダー樹脂を主成分とし、かつバインダー樹脂が少なくともポリビニルアルコールと水性乳化共重合体を含み、かつその水性乳化共重合体のガラス転移温度が−50〜20℃であることを特徴とする剥離紙用基材。
- 下塗り層を構成する水性乳化共重合体のイオン性がノニオン性である請求項1記載の剥離紙用基材。
- 下塗り層が顔料の固形分100重量部に対してポリビニルアルコールを30〜500重量部、水性乳化共重合体を10〜100重量部含有する請求項1または2記載の剥離紙用基材。
- 下塗り層を構成する顔料が、カオリンである請求項1、2または3記載の剥離紙用基材。
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1997
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