JP3701372B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体内の診断部位へ超音波を送受信し該診断部位の断層像を収集して表示する超音波診断装置に関し、特にリアルタイムの超音波断層像を取り込みながらその画像をスローモーションで表示する際にそのスローモーション表示による再生時相の範囲を明確に表示することができる超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の超音波診断装置は、図1に示すように、被検体内の診断部位へ超音波を送受信する探触子1と、この探触子1を駆動して超音波を打ち出すと共に受信した反射エコー信号を増幅して超音波ビームを形成する超音波送受信部2と、この超音波送受信部2からの超音波ビームデータを表示用の画像データに変換するディジタルスキャンコンバータ部(以下「DSC部」という)3と、被検体の生体信号を検出して増幅する生体信号検出部4と、この生体信号検出部4からの生体信号を生体波形として表示するための生体波形表示部5と、上記DSC部3からの超音波ビームデータを超音波走査毎に複数枚記録しておくシネメモリ部6と、上記DSC部3からの画像データを超音波断層像として表示する表示装置7とを有して成り、リアルタイムの超音波断層像を取り込みながらその画像をスローモーションで表示可能となっていた。なお、その画像表示は、例えば上記表示装置7の同一画面を二つの領域に分け、一方にリアルタイム画像を表示し、他方にスローモーション画像を表示するようになっている。このような画像表示を、リアルタイムスローモーション表示或いはオンザフライスローモーション
(On the fly slow motion)表示という。
【0003】
なお、図1において、符号8はDSC部3に各種の操作指令を入力するためのキーボード,トラックボール等を有する操作卓を示している。また、生体波形表示部5は、図示省略したが、その内部に生体信号検出部4で検出した生体信号(例えば心電信号)を入力してその波形信号を記録する波形メモリと、この波形メモリからの波形信号を入力して表示用の信号を作成する表示信号作成部とを有している。
【0004】
ここで、上述のリアルタイムスローモーション表示とは、図4に示すように、(a)に示す心電波形9上の任意時相、例えばR波を起点としたあるタイミングをトリガポイントTpとして、(b)に示すようにリアルタイムの超音波画像を複数枚(F1,F2,F3,F4,…)図1に示すシネメモリ部6に取り込みながら、この取り込んだ超音波画像のデータを上記シネメモリ部6から(c)に示すスローモーション表示のタイミングで読み出すことにより、リアルタイム表示中にスローモーション表示を行うものである。このとき、上記トリガポイントTpを示すため、図4(a)に示すように心電波形9上に時相マーカー10を立てるが、この時相マーカー10は、図4(c)に示すスローモーション表示の進みに従って同図(a)に示すように符号101,102のように順次移動して行く。そして、心電波形9が2心拍目に入ったところで、上記心電波形9上を移動していた時相マーカー102 は、2心拍目のトリガポイントTpに相当する位置に符号
10′で示すようにジャンプして表示されるようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の超音波診断装置におけるリアルタイムスローモーション表示においては、図4(a)に示すように心電波形9上の任意時相をトリガポイントTpとしここに時相マーカー10を立てて図4(c)のようにスローモーション表示を開始し、このスローモーション表示の進みに従って上記時相マーカーが101,102のように順次移動して行くので、図4(a)に示す心電波形9上でどの時相からどの時相までの範囲をスロー再生したかを示す表示が残らず、スローモーション表示による再生時相の範囲がわからないものであった。特に、スローモーション表示の開始点はトリガポイントTpで任意の時相に設定することができるが、終了点は次の心拍におけるトリガポイントTpの到来により、図4(a)に示す符号102→10′のようにジャンプして表示されるので、その心電波形9上の位置を的確に把握することはできなかった。
【0006】
この場合、図5に示すように、1心拍目の時相マーカーの終了点10eは、2心拍目のトリガポイントに立つ時相マーカー10′に依存するので、1心拍目の時間がT1で2心拍目の時間がT2(T1<T2)とすると、スローモーション表示における超音波画像の枚数は2心拍目の方が多くなる。しかし、上述のようにスローモーション表示による再生時相の範囲がわからず、どれだけの時相の超音波画像が取り込まれているかわからないものであった。従って、スローモーション表示により再生する範囲を、操作者がどの時相からどの時相までというように望みのところに任意に設定することができないものであった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、リアルタイムの超音波断層像を取り込みながらその画像をスローモーションで表示する際にそのスローモーション表示による再生時相の範囲を明確に表示することができる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による超音波診断装置は、被検体内の診断部位へ超音波を送受信する探触子と、この探触子を駆動して超音波を打ち出すと共に受信した反射エコー信号を増幅して超音波ビームを形成する超音波送受信部と、この超音波送受信部からの超音波ビームデータを表示用の画像データに変換するディジタルスキャンコンバータ部と、被検体の生体信号を検出して増幅する生体信号検出部と、この生体信号検出部からの生体信号を生体波形として表示するための生体波形表示部と、上記ディジタルスキャンコンバータ部からの超音波ビームデータを超音波走査毎に複数枚記録しておくシネメモリ部と、上記ディジタルスキャンコンバータ部からの画像データを超音波断層像として表示する表示装置とを有して成り、リアルタイムの超音波断層像を取り込みながらその画像をスローモーションで表示可能とした超音波診断装置において、前記生体波形上に任意の時相マ−カ−を表示させ、スローモーション再生のスタートポインタをR波を起点として書き込むと共にそのスローモーション再生が終るエンドポインタとして書き込む手段と、前記時相マ−カ−を検出する手段と、該検出されたスタートポインタの時相マ−カ−の位置からエンドポインタの時相マ−カ−の位置までの前記生体波形の色表示を各時相において変える手段とを備え、前記スローモーション表示による再生時相の範囲を色表示する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による超音波診断装置の実施の形態を示す全体構成のブロック図である。この超音波診断装置は、被検体内の診断部位へ超音波を送受信し該診断部位の断層像を収集して表示すると共にリアルタイムの超音波断層像を取り込みながらその画像をスローモーションで表示可能としたもので、図1に示すように、探触子1と、超音波送受信部2と、DSC部3と、生体信号検出部4と、生体波形表示部5と、シネメモリ部6と、表示装置7とを有して成る。
【0010】
上記探触子1は、被検体内の診断部位へ超音波を送信及び受信するもので、図示省略したがその内部には、超音波の発生源であると共に反射エコーを受信する超音波振動子を有している。超音波送受信部2は、上記探触子1を駆動して超音波を打ち出すと共に受信した反射エコー信号を増幅して超音波ビームを形成するもので、図示省略したがその内部には、探触子1に駆動パルスを送出する送波パルサと、上記探触子1で受信した反射エコー信号を増幅するプリアンプとを有している。また、DSC部3は、上記超音波送受信部2から出力された超音波ビームデータを入力して表示用の画像データに変換するもので、上記診断部位の白黒断層像を作成するようになっている。
【0011】
生体信号検出部4は、被検体の生体信号を検出して増幅するもので、例えば心電信号を検出するための心電計であり、上記被検体の手や足などに電極を取り付けるようになっている。また、生体波形表示部5は、上記生体信号検出部4から出力される生体信号を入力して生体波形として表示するもので、内部には図2に示すように、例えば心電波形の信号を記録する波形メモリ11と、この波形メモリ11からの波形信号を入力して表示用の信号を作成する表示信号作成部12とを有している。
【0012】
シネメモリ部6は、上記DSC部3から出力される超音波ビームデータを超音波走査毎に複数枚記録しておくものである。そして、表示装置7は、上記DSC部3から出力される画像データを入力して超音波断層像として表示するもので、ディジタルの画像データをアナログ信号に変換するD/A変換器と、アナログビデオ信号を画像表示するテレビモニタとを有している。
【0013】
ここで、本発明においては、上記生体波形表示部5の内部に、図2に示すように、マーカーメモリ13と再生時相範囲表示部14とが付加されている。上記マーカーメモリ13は、生体波形上の任意の時相マーカーをスローモーション再生のスタートポインタとして書き込むと共にその再生のエンドポインタを書き込むもので、生体信号検出部4から出力される生体信号を入力して任意の時相タイミングに立てられた時相マーカーを検出し、スタートポインタ又はエンドポインタとして書き込むようになっている。また、再生時相範囲表示部14は、上記マーカーメモリ13上のスタートポインタとエンドポインタとの間の所定範囲の画像表示を他の時相とは異なった表示とするもので、例えば上記スタートポインタとエンドポインタとの間の所定範囲に特定の色を付けたり、又は上記所定範囲の生体波形上の線を太くしたり、或いは上記所定範囲の生体波形上の線の白黒濃淡を変化させたりするようになっている。
【0014】
なお、上記マーカーメモリ13と再生時相範囲表示部14とは、全く同一サイズとされている。また、前記シネメモリ部6のメモリサイズは、上記マーカーメモリ13及び再生時相範囲表示部14のサイズと同一でなくてもよい。そして、上記マーカーメモリ13及び再生時相範囲表示部14からの出力信号は、前記波形メモリ11からの出力信号と同様に表示信号作成部12へ入力し、この表示信号作成部12からの表示信号は前記DSC部3へ入力するようになっている。
【0015】
次に、このように構成された本発明の超音波診断装置における生体波形表示部5の動作について説明する。まず、被検体の診断部位についてリアルタイムで断層像を収集し、表示装置7の画面にその断層像を表示しているときは、例えば上記画面の下部に図4(a)に示すように生体波形としての心電波形9が表示される。次に、図1に示す操作卓8を操作して図4(a)に示すように心電波形9上の任意時相、例えばR波を起点としたあるタイミングをトリガポイントTpとしてここに時相マーカー10を立てる。このとき、この時相マーカー10は、上記表示装置7の画面上で心電波形9上に表示されると共に、図3のようにマーカーメモリ13上のあるアドレスAd0 にスローモーション表示のスタートポインタPsとして書き込まれる。
【0016】
次に、図4(c)に示すようにスローモーション表示が進み、スローモーション画像が第一フレームF1 から第二フレームF2 に更新された時点で、図3に示すマーカーメモリ13上の他のアドレスAd1 にスローモーション表示のエンドポインタPeが書き込まれ、上記スタートポインタPsとエンドポインタPeとの間の例えば5ピクセル分の色表示を図2に示す再生時相範囲表示部14で変えると共に、上記のアドレスAd1 に対応する心電波形9上の時相に図4(a)に示す時相マーカー101 を表示させる。
【0017】
ここから、図4(c)に示すように第二フレームF2 のスローモーション表示が始まり、次のフレームに移る更新時点では図3においてアドレスAd1 のエンドポインタPeを消去して、マーカーメモリ13上の更に他のアドレスAd2 に移動してエンドポインタPe′を書き込むと共に、図4(a)に示すように心電波形9上の対応する時相に時相マーカー102 を表示させる。そして、図3において上記消去された前回のエンドポインタPeと移動後の新たなエンドポインタPe′との間の例えば5ピクセル分の色表示を図2に示す再生時相範囲表示部14で変える。これにより、図3においてアドレスAd0 のスタートポインタPsから他のアドレスAd2 のエンドポインタPe′までの色表示が変えられ、図4(a)において時相マーカー10の位置から1心拍分のスローモーション表示が終る時相マーカー102 の位置までの心電波形9の色表示が変えられる。
【0018】
次に、図4(a)において2心拍目に入ったら、上記と同じくR波を起点としたあるタイミングをトリガポイントTpとしてここに次の時相マーカー10′を立て、以後上述と同様の動作を繰り返せばよい。これにより、図4(a)に示す心電波形9において、最終的にスローモーション表示された全時相の位置が色表示を変えて表示されることとなり、リアルタイムスローモーション表示による再生時相の範囲が各心拍においてスタートポイントPsからエンドポイントPe′まで明確に表示される。従って、例えば表示画像をフリーズした後に任意の再生時相範囲をスタートポイントとエンドポインタを入力して指定するだけで、その再生時相範囲のスローモーション画像の再生が容易に行える。また、上記のようにスローモーション再生した関心時相だけの断層像データを図1に示すシネメモリ部6に記録するとすれば、該シネメモリ部6のメモリ容量を有効に使うことができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、生体波形表示部内に、生体波形上のある時相マーカーをスローモーション再生のスタートポインタとして書き込むと共にその再生のエンドポインタを書き込むマーカーメモリを設け、かつこのマーカーメモリ上のスタートポインタとエンドポインタとの間の所定範囲の画像表示を他の時相とは異なった表示とする再生時相範囲表示部を設けたことにより、リアルタイムの超音波断層像を取り込みながらその画像をスローモーションで表示する際にそのスローモーション表示による再生時相の範囲を明確に表示することができる。従って、リアルタイムスローモーション表示においてどの時相範囲の超音波画像が取り込まれているかがわかり、これを利用して、操作者はスローモーション表示により再生する範囲をどの時相からどの時相までというように望みのところを任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明及び従来例による超音波診断装置の実施の形態を示す全体構成のブロック図である。
【図2】生体波形表示部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】マーカーメモリの記録内容を示す説明図である。
【図4】リアルタイムスローモーション表示の動作を説明するためのタイミング線図でである。
【図5】従来例における時相マーカーの移動による再生範囲の表示を示す説明図である。
【符号の説明】
1 探触子
2 超音波送受信部
3 DSC部
4 生体信号検出部
5 生体波形表示部
6 シネメモリ部
7 表示装置
8 操作卓
9 心電波形
10,101,102,10′,10″ 時相マーカー
11 波形メモリ
12 表示信号作成部
13 マーカーメモリ
14 再生時相範囲表示部
Ps スタートポインタ
Pe,Pe′ エンドポインタ
Claims (1)
- 被検体内の診断部位へ超音波を送受信する探触子と、この探触子を駆動して超音波を送信すると共に受信した反射エコー信号から超音波ビームを形成する超音波送受信部と、この超音波送受信部からの超音波ビームデータを表示用の画像データに変換するディジタルスキャンコンバータ部と、上記被検体の生体信号を検出する生体信号検出部と、この生体信号検出部からの生体信号を生体波形として表示する生体波形表示部と、上記ディジタルスキャンコンバータ部からの超音波ビームデータを超音波画像単位で複数枚記録しておくシネメモリ部とを有し、上記探触子乃至ディジタルスキャンコンバータ部からのリアルタイムの超音波断層像を取り込みながら上記生体波形表示部の生体波形と関連づけて上記シネメモリ部からの超音波断層像をスローモーションで再生可能とした超音波診断装置において、
前記生体波形上に任意の時相マ−カ−を表示させ、スローモーション再生のスタートポインタをR波を起点として書き込むと共にそのスローモーション再生が終るエンドポインタとして書き込む手段と、前記時相マ−カ−を検出する手段と、該検出されたスタートポインタの時相マ−カ−の位置からエンドポインタの時相マ−カ−の位置までの前記生体波形の色表示を各時相において変える手段とを備え、前記スローモーション表示による再生時相の範囲を色表示することを特徴とする超音波診断装置。
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