JP3701161B2 - 高強度・高弾性・耐磨耗性アルミニウム合金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高強度で高弾性かつ耐磨耗性に優れた例えばシリンダーなどの「摺動する機械部品」に適したアルミニウム合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、機械の摺動する部品にはほとんど鉄合金を使用し、耐磨耗性を向上させるために窒化や浸炭など表面硬化のために表面処理を行ってきた。また摺動部品の軽量化による高速化を狙ってアルミニウム合金が鉄合金の代わりに一部使われ始めた。アルミニウム合金の場合、アルマイトなどの表面処理を施したり、シリコンを添加することによって耐磨耗性を向上させてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
摺動部品の高速化を目的に鉄合金に代わってアルミニウム合金が使われ始めている。アルミニウム合金は鉄合金に比べ比重が1/3程度と非常に小さく部品が高速運動しても慣性力が小さくてすむという特徴を持っている。ただし、耐磨耗性を向上させるためアルマイトなどの表面処理を実施したり、硬質のシリコンをアルミニウム合金の組織に分散させることによってアルミニウム合金自身の耐磨耗性を向上させている。しかし、アルミニウム合金に表面処理することによって表面は硬質化するが、摺動時に膜の一部がはく離しやすく硬質の膜がアルミニウム合金自体をえぐり、磨耗が非常に激しく進行する。また、シリコンは耐磨耗性を向上させ、弾性率を高めるが、アルミニウム合金の切削性を低下させ、かつ素材の延性が著しく低下するため摺動部品としての用途は限定されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、急速凝固アルミニウム合金に硬質なアルミナの微細な粒子を添加することによって、強度・高弾性(高剛性)・耐磨耗性に優れたアルミニウム合金を開発した。
【0005】
すなわち、本発明は平均粒径1〜10μmのアルミナを2〜5vol%、一般式:Al 100-a-b (Cu c Ml d ) a Y b [ただし、Ml:Mn,Ni.Znから選ばれた一種もしくは二種以上の金属元素、Y:Mg,Ti,Zr,Agから選ばれた一種もしくは二種以上の金属元素、7≦a≦14mass%、1≦b≦4mass%、0.5≦c≦14mass%、0≦d≦13.5mass%]に分散させ、組織構造が、AlまたはAlの過飽和固溶体相からなるマトリックスにアルミナ粒子を均一分散した組織構造あるいはAlまたはAlの過飽和固溶体相からなるマトリックスにアルミナ粒子とAl及びその他の元素からなる金属間化合物を均一分散した組織構造であり、平均結晶粒径及び平均金属間化合物粒子径が0.5μm〜20μmであることを特徴とする高強度・高弾性・耐磨耗性アルミニウム合金である。
【0007】
なお、上記アルミニウム合金について、上記以外の元素も不純物の範囲内で含んでも構わない。
【0008】
使用するアルミニウム合金を粉末として用いた場合、その粒径としては、押出し、鍛造などの塑性変形による成形を考慮した場合、平均粒径で1mm以下のものを用いるのが望ましい。
【0010】
本発明合金作製のため、溶融アルミニウム合金に予めアルミナの粒子を添加し、高圧ガスを吹き付けることによってアルミナが均一に分散した微細な粉末を作製する方法と急速凝固アルミニウム合金粉末とアルミナをボールミルなどのポット中で攪拌しアルミナを均一に分散させる2種類の方法で固化成形用の粉末を作製することができる。
【0011】
この作製した粉末を623−773Kの温度範囲で脱ガス後、623−673Kで押出しするとによって高強度・高弾性・高耐磨耗性アルミニウム合金を作製することができる。
【0012】
添加したアルミナの粉末径が10μmより小さいため、切削加工は容易である。また、このアルミニウム合金は573−673Kの温度範囲で大きな伸びを示し温間鍛造によって複雑形状に塑性加工することが可能である。
【0013】
本発明でアルミナの粉末径を平均粒径1〜10μmと限定した理由は、10μmより大きいと硬質アルミナによる刃の損耗が激しく切削加工が難しくなるとともに素材の延性が小さくなるためである。また、1μmより小さくするとアルミナ粒子による分散強化によって強度を向上させることができるが、アルミナ粒子がはく離しやすく耐磨耗性の向上に寄与しないからである。さらにアルミナの添加量を2〜5vol%としたのは、2vol%より少ないと耐磨耗性向上があまり期待できないためである。また、5vol%より多くすると本合金中のアルミニウムマトリックス中の化合物粒子の体積率が高くなり、延性が低下し、使用が難しくなるためである。
【0014】
また、アルミナを添加するアルミニウム合金の組成で限定を加えた理由はMn,NiおよびZnの一種あるいは二種以上の合計が7mass%より少なくなったり、Mg,Ti,ZrあるいはAgの一種あるいは二種以上の元素の合計が1mass%より少ないと化合物の体積率が少なくなるため、アルミニウム合金の強度が低下し、これによって分散するアルミナの保持力が小さくなり、アルミナのはく離が生じやすくなるためである。また、Mn,NiあるいはZnの一種あるいは二種の元素とCuの合計が14mass%より多くなったり、Mg,Ti,ZrあるいはAgの一種あるいは二種以上の元素が4mass%より多くなると化合物の体積率が高くなることによって強度や弾性率が高くなるが、延性が小さくなり、素材そのものの使用が難しくなるためである。上記Ml元素とCuを必須元素として含むものが好ましい。さらにはCuを必須元素として含み、かつ、他のMl元素の少なくとも1種を含むものが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に実施例によって本発明を具体的に説明する。
ガスアトマイズ法で作製した平均粒径500μmの所定のアルミニウム合金粉末に中心粒径2μm、最大粒径10μm(平均粒径2μm)のアルミナを添加して押出しを行った。上記の手法で得られた押出し材の室温における機械的特性を従来の高強度アルミニウム合金および耐磨耗性アルミニウム合金などと比較して表1に示し、大越式試験による磨耗試験結果を図1に示す。
【0016】
表1および図1に示すように本発明のアルミニウム合金は、従来の高強度材であるA7001(超々ジュラルミンを改良した合金)に比べ、耐磨耗性が優れ、既存の耐磨耗性アルミニウム合金であるPM/Al−17Si−3Fe−2Ni(粉末冶金法で作製した)に比べ比磨耗量は少ない上延性面で優れていることが分かる。また、表2はピン・オン・ディスク法による磨耗試験結果であるが、本発明のアルミニウム合金が従来の耐磨耗性アルミニウム合金であるPM/Al−17Si−3Fe−2Niより耐磨耗性の点で優れていることがいえる。また、機械工具鋼として使用されるSCM440に比べても耐磨耗性に優れている。上記のピニオンディスク試験は、供試材を丸棒の形状に加工し、相手材ディスク(S45C:Hv=450)と接触させて、潤滑材を塗布しながら圧力500kgfの荷重の時50MPa、磨耗試験速度1m/sの条件でピンオンディスク方式で試験をした。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【発明の効果】
本発明のアルミニウム合金は高強度・高弾性・高耐磨耗性材料として有用であり、摺動部品をはじめとする種々の工業用素材として供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】大越式磨耗試験による本発明合金と従来のアルミニウム合金の磨耗試験結果の比較グラフ。
Claims (2)
- 平均粒径1〜10μmのアルミナを2〜5vol%、一般式:Al 100-a-b (Cu c Ml d ) a Y b [ただし、Ml:Mn,Ni.Znから選ばれた一種もしくは二種以上の金属元素、Y:Mg,Ti,Zr,Agから選ばれた一種もしくは二種以上の金属元素、7≦a≦14mass%、1≦b≦4mass%、0.5≦c≦14mass%、0≦d≦13.5mass%]に分散させ、組織構造が、AlまたはAlの過飽和固溶体相からなるマトリックスにアルミナ粒子を均一分散した組織構造あるいはAlまたはAlの過飽和固溶体相からなるマトリックスにアルミナ粒子とAl及びその他の元素からなる金属間化合物を均一分散した組織構造であり、平均結晶粒径及び平均金属間化合物粒子径が0.5μm〜20μmであることを特徴とする高強度・高弾性・耐磨耗性アルミニウム合金。
- 前記一般式で示されるアルミニウム合金の平均粒径は1mm以下である請求項1記載の高強度・高弾性・耐磨耗性アルミニウム合金。
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JP36943299A JP3701161B2 (ja) | 1999-12-27 | 1999-12-27 | 高強度・高弾性・耐磨耗性アルミニウム合金 |
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JP36943299A JP3701161B2 (ja) | 1999-12-27 | 1999-12-27 | 高強度・高弾性・耐磨耗性アルミニウム合金 |
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JP2001181765A JP2001181765A (ja) | 2001-07-03 |
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JP36943299A Expired - Fee Related JP3701161B2 (ja) | 1999-12-27 | 1999-12-27 | 高強度・高弾性・耐磨耗性アルミニウム合金 |
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1999
- 1999-12-27 JP JP36943299A patent/JP3701161B2/ja not_active Expired - Fee Related
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