JP3700861B2 - フラットケーブルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はフラットケーブルとその製造方法に関し、更に詳しくは、反復屈伸時における寿命特性が優れていて、例えば自動車のステアリング回転コネクタ用のケーブルやハーネス用のケーブルとして有用な可撓性フラットケーブルと、それを高生産性の下で製造する方法に関する。
背景技術
例えばプリンタの印字部はフラットケーブルで動作信号の発信機構に接続され、その発信機構からの動作信号を受けて所定のプリント動作を行う。そして、そのプリント動作の過程で、フラットケーブルは屈伸運動を激しく反復する。したがって、このような分野で使用されるフラットケーブルは、長期に亘る反復屈伸時においても断線することのないことが要求される。
ここで、反復屈伸とは、フラットケーブルの曲げ半径を変化させたり、当該曲げ部を移動させる動作を反復することをいう。
従来、上記したような屈伸運動を反復するフラットケーブルとしては、第1図で示したような断面構造のものが知られている。
このフラットケーブルAの場合、電気絶縁性のポリエチレンテレフタレートフィルムのような樹脂フィルム3,3を外層とし、それらの間に飽和ポリエステル共重合体のような接着性の樹脂組成物から成る層2,2を内層とし、その内層2,2の中に、平行配列した複数本(図では4本)の平角導体1が互いに所定の間隔を置いて埋設された構造になっていて、前記した内層2および外層3をもってこのフラットケーブルの絶縁樹脂層が構成されている。
このフラットケーブルAは、第2図で示したような製造ラインを用いて製造されている。
すなわち、まずボビン4から複数本の平角導体1が所定の間隔を置いて平行配列した状態で送り出される。そして、一対のロール5a,5bからは、平角導体1側の表面に接着性の樹脂組成物の層2,2が形成されている樹脂フィルム3a,3bが送り出され、前記した平角導体1の上面と下面に接した状態で一対の加熱ロール6a,6bのロール面に導入され、全体は加熱圧着されて第1図で示したフラットケーブルAになってロール7に巻き取られる。なお、接着性の樹脂組成物が熱架橋型のものである場合は、この加熱ロール6a,6bを通過する過程で熱圧着と同時に架橋が進行する。
上記した製造ラインにおいて、フラットケーブルの特性との関係で重要な問題は、平角導体1が内層2と密着していて両者が剥離することはなく、また外層樹脂フィルム3a,3bも内層2,2を介して互いに接着した状態になることである。このような状態が不充分であると、前記した屈伸運動時に互いに剥離してフラットケーブルとしての機能喪失を招くこともあるからである。
第2図で示した製造ラインでフラットケーブルを製造する際に、平角導体1の走行速度や、加熱ロール6a,6bで適用する温度、圧力などの条件は、製造するフラットケーブルの要求特性との関係で適宜に選定される。そして、フラットケーブル製造時における生産性を高めるためには、基本的には、ライン速度を大きくすることが好ましいことになる。
しかしながら、製造ラインのライン速度をある速度以上にすると、加熱ロール6a,6bにおける温度や圧力を調整しても、当該加熱ロールから出てきたフラットケーブルAにおける内層2間の接着力が弱くなってしまい、長期間の屈伸運動に耐え得るフラットケーブルにはならないという問題がある。
これは、樹脂フィルム3a,3bを介して加熱ロール6a,6bから内層2,2に供給される熱量が不足し、その結果、内層2の接着性樹脂組成物の軟化とそれに伴う接着力が充分に発現しないためである。
このようなことから、第3図で示したような製造ラインを用いてフラットケーブルAを製造することが試みられている。
この製造ラインは、第2図で示した製造ラインにおける加熱ロール6a,6bの下流側に更に一対の加熱ロール6c,6dを配置し、加熱ロール6a,6bから出てきたフラットケーブルを更にもう一度加熱圧着するラインである。このラインの場合、内層2には加熱ロール6c,6dからの熱量がさらに付加されるので、第2図で示した製造ラインに比べれば全体のライン速度を高めることができる。
しかしながら、この製造ラインの場合でも、大きなライン速度の発現は困難であり、現状では、数m/分程度までしかライン速度を高めることができていない。
ところで、電線の製造ラインにおいては、導体に絶縁性の樹脂を押出被覆する方法が多用されている。この押出被覆法は、フラットケーブルの製造ラインにおけるライン速度を高めるためには有望であると考えられる。事実、特開昭49−57381号公報、特開昭62−206710号公報、特開平1−276514号公報には、いずれも、押出被覆法でフラットケーブルを製造する方法が開示されている。
例えば、特開昭49−57381号公報には複数本の絶縁導体の周囲を被包して樹脂製の中空管を押出し、ついで全体を環状溝を有する一対のロールに導き、前記中空管を熱変形してフラットケーブルにする方法が提案されている。
しかしながら、この先行技術においては、予め絶縁導体を用意しなければならず、また環状溝を有するロールが必要となるため製造コストは上昇し、更には、全体の絶縁層は、絶縁導体の絶縁層と変形した中空管の層との2層構造になるため、材料コストが高くなるだけではなく薄い絶縁層の形成が困難である。したがって、導体として平角導体を使用し、かつ優れた屈伸性が要求されるフラットケーブルの製造方法としては不適当である。
特開昭62−206710号公報には、通常の丸線導体に樹脂を押出被覆し、その樹脂が半溶融状態にあるときに所望の横断面形状を有する成形器に導入して冷却固化するフラットケーブルの製造方法が提案されている。
しかしながら、この先行技術では、導体として平角導体を用い、それらを厚みが均一でかつ薄い絶縁層で被覆することは非常に困難である。したがって、この先行技術で優れた屈伸性を有する薄いフラットケーブルを得ることは事実上不可能である。
更に、特開平1−276514号公報には、複数の平角導体に軟質絶縁体を押出被覆する際に、押出被覆における軟質絶縁体の熱収縮量を考慮して平角導体間の間隔を調整してフラットケーブルを製造する方法が提案されている。
しかしながら、この先行技術においては、得られたフラットケーブルを反復して屈伸させたときに、断線などが起こらない特性に関する検討はなにもなされていない。また、この先行技術の実施例では押出被覆の終了後水冷することを開示しているが、この押出被覆層が薄い場合、上記したような水冷を行うと、フラットケーブル全体が湾曲してしまうという問題も発生してくる。
このように、上記した各先行技術では、押出被覆法で製造されたフラットケーブルの開示はなされているが、それらフラットケーブルは優れた屈伸性を有するものとはいいがたい。
発明の開示
本発明の目的は、従来のフラットケーブルに比べて優れた屈伸性(屈曲性)を有するフラットケーブルと、その製造時に押出被覆法を適用するため、製造ラインのライン速度を大幅に高めることができるフラットケーブルの製造方法を提供することである。
上記した目的を達成するために、本発明においては、平行配列した複数本の平角導体が絶縁樹脂層の中に埋設されているフラットケーブルにおいて、少なくとも前記平角導体と接触する絶縁樹脂層が、曲げ弾性率800〜2400MPaの熱可塑性樹脂から成る押出被覆層であることを特徴とするフラットケーブルが提供され、また複数本の平角導体を平行配列して押出機のクロスヘッドに送給し、前記クロスヘッドに曲げ弾性率800〜2400MPaの熱可塑性樹脂を供給して前記平角導体を押出被覆することを特徴とするフラットケーブルの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来のフラットケーブル例Aの断面構造を示す断面図;
第2図は従来のフラットケーブルの製造ライン例を示す概略図;
第3図は従来の別の製造ライン例を示す概略図;
第4図は本発明のフラットケーブル例B1の断面構造を示す断面図;
第5図は本発明のフラットケーブルの製造ラインを示す概略図;
第6図はクロスヘッド内における押出ニップルと押出ダイスの位置関係を示す平面図;
第7図はクロスヘッド内における押出ニップルと押出ダイスの位置関係を示す側面図;
第8図は本発明の別のフラットケーブル例B2の断面構造を示す断面図;
第9図は本発明の更に別のフラットケーブル例B3の断面構造を示す断面図である。
発明を実施するための最良の形態
第4図に本発明のフラットケーブルの第1の例の断面構造を示す。
このフラットケーブルB1では、所定の間隔を置いて平行配列した平角導体1が、後述する熱可塑性樹脂から成り、絶縁樹脂層として機能する押出被覆層8の中に埋設されている。
このフラットケーブルB1の場合、第1図で示した従来のフラットケーブルAのように2枚のフィルムの接着構造ではなく、押出被覆層8が一体化構造になっているため、絶縁樹脂層である押出被覆層8の上面部8aと下面部8bとが剥離するという事態は起こらなくなる。すなわち、全体を反復して屈伸させたとしても、平角導体1に局部的に加わる圧力が程良く分散するため、屈伸時の応力により押出被覆層8が分離するという事態は起こらなくなる。
なお、平角導体1と押出被覆層8は互いに接着した状態にあることを好適とするが、両者間は必ずしも接着した状態になくてもよい。後述する押出被覆層8の形成時に、平角導体1を押出被覆した熱可塑性樹脂は押出被覆時に収縮するので、平角導体1と押出被覆層8はたとえ接着状態になくても、密着した状態にあり、屈伸性は損なわれないからである。
また、平角導体1と押出被覆層8の間には接着剤層も介在していないので両者間の剥離は抑制される。更には、押出被覆層8は平行配列された平角導体1に対して後述する押出被覆によって連続的に形成することができるのでフラットケーブルを安価かつ高速度で製造することができるとともに、従来のラミネート方式に比べると、平行配列されている平角導体1の相互間隔を狭めることができるのでフラットケーブルの小型化を実現することができる。
ここで、平角導体1の材料としては、無酸素銅、リン青銅、タフピッチ銅、すずめっき銅、ニッケルめっき銅などの好適例としてあげることができる。平角導体としては、銅箔を切断したもの、導線を圧延加工したものなどが適宜使用できる。更には、製造するフラットケーブルの用途に応じて、厚みや幅が異なる平角導体1を混在させてもよい。
上記した絶縁樹脂層8を構成する熱可塑性樹脂としては、後述する押出被覆を実施する前、すなわち被覆材料として使用する時点における曲げ弾性率が800〜2400MPaであるものが用いられる。好ましくは曲げ弾性率が1000〜2000MPaのものである。
押出被覆前における曲げ弾性率が800MPaより小さい熱可塑性樹脂を用いて押出被覆層8を形成すると、その押出被覆層8は屈伸時にフラットケーブルにかかる応力を充分に分散させることができないので、得られたフラットケーブルは早期の段階で平角導体1が断線するに至ることになり、また押出被覆前における曲げ弾性率が2400MPaより大きい熱可塑性樹脂を用いて押出被覆層8を形成すると、屈伸による平角導体1の寿命が尽きる前に押出被覆層8に割れなどが発生し、フラットケーブルとしての機能を維持できなくなるからである。
なお、本発明でいう曲げ弾性率とは、ASTM D790に規定された測定法により得た値(温度23℃のときの値)のことをいう。
このような熱可塑性樹脂の種類としては、次のものを好適例としてあげることができる。
まず、ポリアミド系樹脂である。
ポリアミド系樹脂は、良好な自己潤滑性を有し、耐摩耗性に優れているのでフラットケーブルの反復屈伸寿命特性を高めるための材料として好適である。また、このポリアミド系樹脂は、固有振動数が小さく、対数減衰率が大きく、したがって振動を吸収することができ、フラットケーブルの作動時における騒音発生を抑制することができるので、例えば自動車用のフラットケーブルを製造するときに用いて好適である。とくに、自動車のステアリング回転コネクタ用のフラットケーブルに用いて好適である。更に、ポリアミド系樹脂は、後述する製造ラインのライン速度を高めても平角導体1への押出被覆を円滑に行うことができるので、高い生産性の下で上記した特性が良好なフラットケーブルを製造することができるので好適である。
ポリアミド系樹脂としては、一般に、ペプチド結合(−CONH−)を繰り返し単位とする高分子化合物であって、重合形式に応じてε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどの開環重合体、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンのようなジアミンと、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、テレフタル酸のような二塩基酸との重縮合体、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸のようなアミノカルボン酸の重縮合体などをあげることができる。これらは通常ナイロンと指称されているものであって、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン46、ナイロンMXD・6、ナイロン6/66、ナイロン106などをあげることができる。
これらのうちナイロン12は、上記した特性に加えて、上記したポリアミド系樹脂のなかでは特に柔軟性が優れ、また金属との接着性も良好であり、更には低温下にあっても柔軟性を確保でき、屈伸性が低下しないので好適であり、とりわけ、自動車用のフラットケーブルを製造するときに用いて好適である。
押出被覆層8にとって次に好適な熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂である。このポリオレフィン系樹脂は、特別なものを除き、一般に平角導体1と接着しないので、この樹脂で製造したフラットケーブルはその端末加工が容易に行えるという点で好適である。
このようなポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマーなどをあげることができる。これらのうち、ポリプロピレンは、上記した特性に加えて、押出加工性がとくに優れており、また押出被覆にあっても縦横方向における収縮差は小さいので、目的とする設計寸法のフラットケーブルを高い収率で、したがって安価に製造することができて好適である。
更に、海島構造のポリマーアロイも好適な熱可塑性樹脂である。ポリマーアロイを使用すると、製造ラインのライン速度を高めても押出被覆を円滑に行うことができ、また、フラットケーブルの屈伸時には、海成分に島成分が分散しているので屈伸時の応力が分散/減衰して非常に優れた反復屈伸寿命特性を得ることができる。
このようなポリマーアロイとしては、例えば、▲1▼ポリアミド系樹脂を海成分とし、エポキシなどで変性したポリプロピレンを島成分とするもの、▲2▼ポリプロピレンを海成分とし、ポリアミド系樹脂を酸などで変性したポリプロピレンで相溶化して島成分としたもの、▲3▼エチレン・プロピレン共重合体を海成分としてポリプロピレンを島成分とするもの、▲4▼エチレン・プロピレンブロック共重合体、▲5▼変性ポリフェニレンエーテルにポリアミド系樹脂をグラフト重合したもの、▲6▼変性ポリフェニレンエーテルとポリブチレンテレフタレートをブレンドしたものなどをあげることができる。
上記したポリマーアロイのうち、ポリアミド系樹脂とエポキシ変性ポリプロピレンを主体とする次のポリマーアロイは、フラットケーブルの反復屈伸寿命特性を高めることができて好適である。そのポリマーアロイにつき以下に説明する。
このポリマーアロイは、ポリアミド系樹脂を海成分とし、後述するエポキシ変性ポリプロピレンを島成分としているものである。ここで、ポリアミド系樹脂としては、本発明で用いる熱可塑性樹脂の好適例として既に例示したポリアミド系樹脂が採用できる。
そして、エポキシ変性ポリプロピレンは、ポリプロピレン系重合体とエポキシ基含有ビニル単量体と芳香族ビニル単量体とをラジカル開始剤の存在下で重合反応させて合成される。
上記エポキシ変性ポリプロピレンの合成に用いるポリプロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、またはプロピレンを主体としこれと他のオレフィン単量体またはエチレン性ビニル単量体との共重合体であって、ポリプロピレンの含有量が75重量%以上であるものが用いられる。具体的には、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体などをあげることができる。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよく、更にはその性質を損なわない限り他の重合体と混合して用いてもよい。
エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテルなどをあげることができ、これらは単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。とくに、グリシジルメタクリレートは好適である。
合成に際してのエポキシ基含有ビニル共重合体の使用量は、前記ポリプロピレン系重合体の使用量100重量部に対し、10重量部以下にすることが好ましい。10重量部より多くすると、得られたエポキシ変性ポリプロピレンが低分子量化するだけではなく、吸水性が高まり、機械的な強度特性も低下するようになるからである。好ましい使用量はポリプロピレン系重合体の使用量100重量部に対し、0.1〜5重量部である。
芳香族ビニル単量体は、プロピレン系重合体へのエポキシ基含有ビニル単量体のグラフト重合効率を高め、また目的とするポリマーアロイにおいて島成分であるエポキシ変性ポリプロピレンと海成分であるポリアミド系樹脂との相溶性を高めるために使用される成分であり、具体的には、例えばスチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルビニルベンゼン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレンなどをあげることができる。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
合成されたエポキシ変性ポリプロピレンの低分子量化を防止し、かつポリアミド系樹脂との相容性を向上させるために、この芳香族ビニル単量体の使用量はプロピレン系重合体の使用量100重量部に対し、50重量部以下にすることが好ましい。また同様の理由で、芳香族ビニル単量体の使用量は、前記エポキシ基含有ビニル単量体の使用量と同量以上であることが好ましい。具体的には、1〜5倍量であることが好ましい。
上記した成分を用いた合成は、ラジカル開始剤の存在下で、バンバリーミキサなどの密閉容器または押出機などの混練機を用いて進められる。
例えば押出機で合成を進める場合には、粉末またはペレット状のプロピレン系重合体を押出機に供給して加圧しながら、温度130〜250℃に加熱して溶融し、ここにラジカル開始剤、エポキシ基含有ビニル単量体、芳香族ビニル単量体の所定量を添加・混練して重合反応をさせたのち、ダイから導出したストランドを冷却し、ペレタイザーでペレットにする。
ラジカル開始剤としては、上記各単量体に易溶性で、また分解温度が130〜250℃の範囲にあるものが好ましく、例えば、t−ブチルパーオクテート、ビス(t−ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、ジメチル−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチル−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシンなどをあげることができる。
ラジカル開始剤の使用量は、エポキシ基含有ビニル単量体と芳香族ビニル単量体の合計量100重量部に対し、通常、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部にする。
なお、プロピレン系重合体は、エチレン系重合体と異なりラジカル崩壊性ポリマーであるため、単に溶融加熱すると主鎖が切断して低分子量化するので、上記した溶融重合反応時には、エポキシ基含有ビニル単量体や芳香族ビニル単量体の前記作用を阻害しない安定剤を更に反応系に添加することが好ましい。
そのような安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系安定剤、リン系安定剤、金属石けん、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイトのような制酸吸着剤などをあげることができる。これらは単独で添加してもよく、また2種類以上を添加してもよい。添加量は、プロピレン系重合体100重量部に対し、通常、0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部である。
このようにして合成されたエポキシ変性ポリプロピレンとポリアミド系樹脂を混合して、押出被覆層の形成に用いるポリマーアロイが調製される。とくに、ポリアミド系樹脂としてナイロン6を用いると、フラットケーブルの屈伸性は高まり、また製造ラインのライン速度を高めても平角導体の押出被覆を円滑に行うことができるので好適である。
このときの両者の混合比は、エポキシ変性ポリプロピレン5〜50重量%、したがってポリアミド系樹脂95〜50重量%に設定することができる。
エポキシ変性ポリプロピレンの混合割合が5重量%よりも小さくなると、屈伸時にフラットケーブルにかかる応力を充分に分散させる効果が発現しなくなって反復屈伸寿命特性は不充分であり、また50重量%より大きくすると、ポリマーアロイの高温下における伸びと強度が低下して押出被覆が困難になり、寸法精度が良好なフラットケーブルを得ることに難が生ずるからである。
なお、本発明で用いられる樹脂には、必要に応じて、カーボン、各種の難燃剤、ガラス繊維、酸化防止剤などを配合して用いてもよい。
このフラットケーブルB1は、第5図で示した製造ラインで製造することができる。
この製造ラインでは、ボビン4から複数本の平角導体1が所定の間隔を置いて平行配列した状態で送り出され、押出機9に装着されたクロスヘッド10を通過して平角導体1への押出被覆が行われ、得られたフラットケーブルB1がロール7で巻き取られる。
クロスヘッド10の中には、第6図と第7図で示したように、押出ニップル11と押出ダイス12が配置されている。押出ニップル11には、送給されてくる平角導体1を所定の間隔で平行配列するためのガイドでもある複数個(図では4個)のニップル穴11aが形成されており、また押出ダイス12には形成すべき押出被覆層の外形を規制するダイス穴12aが形成されている。
押出ニップル11に送給された平角導体1は、ニップル穴11aで平行配列され、押出ニップル11とダイス12の間を通過する過程でその周囲空間12b(クロスヘッド内)に供給されている熱可塑性の溶融樹脂で被覆されてダイス穴12aを通過していくことにより平角導体1に押出被覆層が形成されていく。
このときに用いる熱可塑性樹脂は前記したとおりである。これら熱可塑性樹脂の分子量は格別限定されるものではないが、通常、相対粘度(ηrel)が0.5以上、好ましくは2.0以上のものは、押出被覆層の形成を円滑に進めることができ、また形成された押出被覆層の強度や伸びなどの機械的な強度特性が向上し、もって得られたフラットケーブルの屈伸性が向上し、更には寸法精度を高めることができるので好適である。
このとき、押出ニップル11のニップル穴11aとダイス12のダイス穴12aとの間隔は、ニップル穴11aから平行配列して出てきた平角導体がダイス穴12aに入るまでの間に、最終的な配列状態になれるようにこれら平角導体1が幅方向に微小移動できるような間隔に設定される。
また、ニップル穴11aから送給された平角導体1の上面及び下面に加わる溶融樹脂の圧力が同じになるように、ダイス12の内部の形状や圧力を調整することが好ましい。得られるフラットケーブルの偏肉を防止し、平角導体1の上下の押出被覆層の厚みをより均一にするためである。
なお、得られるフラットケーブルの全体の厚みは、押出ニップル11、押出ダイス12の形状やサイズによって決まってくるが、溶融樹脂は押出被覆後に若干収縮するので、その収縮量を見込んで押出ニップルや押出ダイスの寸法・形状の設計を行うことが好ましい。
クロスヘッド10から出てきたフラットケーブルB1の冷却は冷却後に全体が湾曲しないように行われる。例えば、形成した押出被覆層が薄ければ、そのまま大気中で放冷すればよい。溶融樹脂は放冷の過程で自然に全体が均等に固化していくからである。この冷却時に、例えば水冷すると、溶融樹脂の外側と内側での収縮の差が起こり、フラットケーブルは全体として湾曲し、平坦な形状にならないので避けるべきである。
通常、平角導体の上面および下面と接する押出被覆層8の厚みは0.02〜0.5mmに設定する。厚みが0.02mmより薄くなると、絶縁層としての性能が充分ではなくなり、また0.5mmより厚くなると、フラットケーブル自体が曲がりにくくなってフラットケーブルとしての機能が低下し、更に用いる材料によっては反復屈伸時に割れなどが発生して屈伸性は劣化する。
なお、空冷によって押出被覆層がある程度固化した時点で、補助的に水浴または湯浴を行い、最終的にロールで巻き取る温度を調節することを行ってもよい。
第5図で示した製造ラインにおいてボビン4とクロスヘッド10の中間に予熱装置を介装し、平角導体1を予熱してからクロスヘッド10に送給してもよい。
そのときの予熱温度は、用いる樹脂の関係で選択されるが、通常、100〜350℃、とくに、120〜280℃の温度域に設定される。
予熱装置としては、ガス加熱装置や市販の導体加熱装置、高周波誘導加熱装置を用いることができる。
平角導体1は予熱せずにクロスヘッド10に導入してもよい。またクロスヘッド10に供給される樹脂の温度を超えない温度に温めてクロスヘッド10に導入してもよい。これらの方法によれば、フラットケーブルの形状安定性を向上させることができる。
なお、平角導体に押出被覆を行うに先立ち、当該平角導体の表面にシランカップリング剤を塗布すると、平角導体と押出被覆層との相互密着性が向上し、フラットケーブルの屈伸性を高めることができる。
用いるシランカップリング剤としては、エポキシ基、メタクリロキシ基、アミノ基、クロル基およびメルカプト基の群から選ばれるような少なくとも1種の官能基と、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基のような加水分解基とを有するものを例示できる。
具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系のもの;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのメタクリロキシ系のもの;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ系のもの;3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロル系のもの;3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系のもの;をあげることができる。
塗布方法としては、シランカップリング剤を水、メタノール、エタノール、トルエンなどの溶媒で希釈し、得られた溶液を刷毛や塗布ロールを用いて塗布したり、または浸漬したのち乾燥すればよい。
第8図は、別のフラットケーブルB2を示す。
このフラットケーブルB2は、フラットケーブルB1の押出被覆層8の外側に更に押出被覆層13が形成されたものである。
この押出被覆層13は、押出被覆層8と同じ材料で構成されていてもよく、また、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、フッ素樹脂、ゴムのような別の材料で構成されていてもよい。また、押出被覆層13は、押出被覆層8の全周を被覆する場合に限られず、ケーブルの片面や両端など一部を被覆していてもよい。
このタイプのフラットケーブルの場合、押出被覆層13の材料を適切に選択することにより、より一層可撓性を高め、屈伸性の向上を企てることができる。
なお、このタイプのフラットケーブルの場合、第8図で示したように押出被覆層が2層構造に限定されるものではなく、更に多くの層数で形成されていてもよいが、平角導体1を直接被覆する押出被覆層8は、前記した熱可塑性樹脂で構成されていることが必要である。
第9図は更に別のフラットケーブルB3を示す
このフラットケーブルB3は、平行配列する平角導体1の間および両側端における押出被覆層8の厚みが薄くなっているものである。
このフラットケーブルB3は、第6図と第7図で示したダイス12において、ダイス穴12aの形状を第9図で示したケーブルB3の外形と同じ形状にして製造することもできるが、例えば第6図と第7図で示した押出ダイス12と押出ニップル11が配置されているクロスヘッド10の内部空間12bへの溶融樹脂の押出量を調整し、当該溶融樹脂の自然収縮によっても製造することができる。
なお、上記した本発明のフラットケーブルにおいて、一般に、平角導体1の厚みが厚くなるとフラットケーブルの屈伸性は悪くなり、また平角導体1の厚みが薄くなればなるほど製造されたフラットケーブルの屈伸性は良好になる。しかしながら、あまり薄くすると、ハンドリングが困難になって具体的には押出被覆を実施しずらくなり、また平角導体としての量産性も低下するようになる。
このようなことから、用いる平角導体の厚みは0.02〜0.5mmであることが好ましく、とくに0.03〜0.2mmであることが好ましい。また、平角導体1の幅は、フラットケーブルの目的用途との関係で適宜に決められるが、通常、0.9〜4mm程度である。
更に、平角導体1の上下に位置する押出被覆層における上面部8a,下面部8bの厚みはそれぞれ0.02〜0.5mmであることが好ましい。この厚みが0.02mmより薄い場合は、押出被覆が困難であると同時に絶縁層としての信頼性が低下し、また0.5mmより厚くすると、曲げ性が著しく低下し、フラットケーブルとしての機能が損なわれる。押出被覆層8a、8bの厚みは0.030〜0.2mmであることがより好ましい。
実施例1〜4、比較例1〜4
(1)第5図で示した製造ラインで次のようにしてフラットケーブルを製造した。
まず、幅1.0mm、厚み140μmのタフピッチ銅の平角導体1を、4本、ボビン4から平行に並べて送り出し、図示しないガイドで互いの間隔を1.0mmに揃えて予熱することなくクロスヘッド10に連続送給した。
クロスヘッド10内の押出ニップル11のニップル穴11aの相互の間隔は1.0mmになっている。
ナイロン12(ダイセルヒュルス(株)製のダイアミドL2140、温度23℃、相対湿度50%の測定条件下における曲げ弾性率1200MPa)をクロスヘッド10に温度240℃で供給して前記した平角導体への押出被覆を行い空冷した。このときのライン速度を表1に示した。
第9図で示した断面構造のフラットケーブルB3が連続的に得られた。なお、形成された押出被覆層8において、上面部8a、下面部8bの厚みはいずれも0.08mmであり、平角導体の間の中心部分における厚みは0.23mmであった。また、得られたフラットケーブルB3の幅は9mmであった。得られたフラットケーブルを実施例1とする。
押出被覆層8の形成に用いた樹脂が、ポリプロピレン(チッソ(株)製のチッソポリプロ2038、曲げ弾性率1270MPa)であったこと、クロスヘッドへ供給する樹脂の温度が210℃であったことを除いては実施例1と同様にしてフラットケーブルを製造した。得られたフラットケーブルを実施例2とする。
押出被覆層8の形成に用いた樹脂がポリプロピレン(チッソ(株)製のチッソポリプロ2527、曲げ弾性率1960MPa)であったことを除いては実施例2と同様にしてフラットケーブルを製造した。得られたフラットケーブルを実施例3とする。
ポリプロピレン93重量%、グリシジルメタクリレート2重量%、スチレン5重量%を混合し、これに、チバガイギー社製の安定剤:イルガノックス1010 0.05重量%、同社製のホスファイト168 0.05重量%、およびステアリン酸カルシウム0.1重量%を安定剤として添加し、ジメチルジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン0.2重量%の存在下で合成して得られたエポキシ変性ポリプロピレンのペレット30重量%とウベナイロン1013NU2(商品名、宇部興産(株)製)70重量%を混合し、この混合物をクロスヘッドに温度260℃で供給したことを除いては、実施例1と同様にしてフラットケーブルを製造した。得られたフラットケーブルを実施例4とする。
なお、上記混合物の曲げ弾性率は1640MPa(温度23℃、相対湿度50%の条件下での測定値)であった。
押出被覆層8の形成に用いた樹脂が、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとのポリマーアロイ(旭化成(株)製のザイロン540Z、曲げ弾性率2450MPa)であったこと、クロスヘッドへ供給する樹脂の温度が270℃であったことを除いては実施例1と同様にしてフラットケーブルを製造した。得られたフラットケーブルを比較例1とする。
押出被覆層8の形成に用いた樹脂が高密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン(株)製のJ−REX−HD−C3502E、曲げ弾性率780MPa)であったこと、クロスヘッドへ供給する樹脂の温度が210℃であったことを除いては実施例1と同様にしてフラットケーブルを製造した。得られたフラットケーブルを比較例2とする。
(2)第2図で示した製造ラインで次のようにしてフラットケーブルを製造した。
ボビン4から、幅1.0mm、厚み140μmのタフピッチ銅の平角導体1を4本平行に送り出し、図示しないガイドで互いの間隔を1.0mmに揃えて加熱ロール6a,6bに送給した。
このとき、ロール5a,5bからは、内側に厚み47μmのポリエステルフィルム2,2がラミネートされている厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム3a,3bを供給し、前記平角導体1の上面と下面に接着して加熱ロール6a,6bに送給し、加熱ロールの表面温度を150℃、ロール面圧5kg/cm2の条件で全体を加熱圧着した。このときのライン速度を表1に示した。
第1図で示したような断面構造を有し、全体の厚みが0.31mm、幅が9mmであるフラットケーブルが得られた。これを従来例1とする。
(3)第3図で示した製造ラインで次のようにしてフラットケーブルを製造した。
すなわち、加熱ロール6a,6bの後段に配置した加熱ロール6c,6dを表面温度120℃、ロール面圧5kg/cm2の条件で運転したこと、またライン速度を表1で示したように高めたことを除いては、従来例1の場合と同様の条件で運転した。得られたフラットケーブルを従来例2とする。
以上8種類のフラットケーブルにつき、下記の仕様で反復屈伸時における耐用寿命を測定した。
すなわち、各フラットケーブルを長さ400mmに切断して試料として、その試料を直径10mmの曲げ径でU字型に配線し、一端を固定し、他端をストローク200mmで1分間に100往復させる屈伸運動を行い、平角導体に最初の電気的断線(瞬間的な断線も含む)が発生するまでの往復回数を測定した。この値が大きいほど、そのフラットケーブルの屈伸時における耐用寿命が長いことを表す。以上の結果を表1に示した。
表1から以下のことが明らかである。
(1)実施例1〜4のフラットケーブルの製造に関しては、製造ライン速度を50m/分にまであげることができる。また、得られたフラットケーブルはきわめて優れた屈伸性を示している。
しかし、比較例の場合は、いずれも、実施例1〜4よりも屈伸性が著しく低い。
これは、各比較例の場合、押出被覆層を構成している樹脂の曲げ弾性率が800〜2400MPaから外れているからである。
例えば、実施例4と比較例1を対比して明らかなように、押出被覆層の構成樹脂がいずれもポリマーアロイであったとしても、比較例1の場合は曲げ弾性率が2400MPaを超えているポリマーアロイなので屈伸率は大幅に低下してしまっている。
このようなことから、押出被覆層の構成樹脂はその曲げ弾性率が800〜2400MPaのものを用いるべきであることがわかる。
(2)一方、従来例1,2は、いずれもライン速度を2〜3m/分程度にまでしかあげることができず、しかも得られたフラットケーブルの屈伸性は低い値になっている。すなわち、実施例に比べて、生産性はきわめて低く、かつ得られたフラットケーブルは屈伸性に劣るものになっている。
実施例5〜8
実施例1のフラットケーブルの製造に際し、用いる平滑導体の厚み、形成する押出被覆層における上面部と下面部の厚み、ライン速度を表2で示すように変化させてフラットケーブルを製造し、得られたフラットケーブルの屈伸性を調べた。その結果を表2に示した。
表2から明らかなように、平角導体の厚みが0.25mmと厚い実施例8のものは、押出被覆層を厚くして屈伸性を補ったとしても、他の実施例のものに比べて屈伸性の低下が認められる。
産業上の利用可能性
本発明のフラットケーブルは、反復屈伸時における寿命特性が非常に優れている。そして、本発明の製造方法によれば、従来の製造ラインの場合に比べて、そのライン速度を10倍以上に早めることができるので非常に高い生産性の下で上記した有用なフラットケーブルを安価に製造することが可能になる。
本発明のフラットケーブルは、激しく反覆する屈伸運動が強制される用途、例えば、各種の通信機器、家電製品、複写機器、コンピュータ、プリンタ、イメージスキャナ、ワープロ、CDプレーヤ、自動車のステアリング回転コネクタ、自動車の他の配線などに用いるケーブルとしてその工業的価値は極めて大である。また、自動車用ワイヤー、ハーネスなどにも利用できる。
Claims (10)
- 下記から成るフラットケーブル:
平行配列した複数本の平角導体が絶縁樹脂層の中に埋設されている;そして、
少なくとも前記平角導体と接触する絶縁樹脂層は、曲げ弾性率800〜2400MPaの熱可塑性樹脂から成る押出被覆層である。 - 請求項1において、前記熱可塑性樹脂はポリアミド系樹脂である。
- 請求項2において、前記ポリアミド系樹脂はナイロン12である。
- 請求項1において、前記熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂である。
- 請求項4において、前記ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンである。
- 請求項1において、前記熱可塑性樹脂はポリマーアロイである。
- 請求項6において、前記ポリマーアロイはポリアミド系樹脂とエポキシ変性プロピレンを主体とする海島構造のポリマーである。
- 請求項7において、前記ポリアミド系樹脂の混合割合は50〜95重量%である。
- 請求項1において、前記平角導体の厚みは0.02〜0.5mmであり、前記絶縁樹脂層の前記平角導体の存在する部分における厚みは0.02〜0.5mmである。
- 下記から成るフラットケーブルの製造方法:
複数本の平角導体を平行配列して押出機のクロスヘッドに送給する;そして
前記クロスヘッドに曲げ弾性率800〜2400MPaの熱可塑性樹脂を供給して、前記平角導体を押出被覆する。
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