JP3699505B2 - 被覆剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(以下、AA化PVAと略記する)組成物を用いた被覆剤に関し、更に詳しくは、放置安定性に優れ、良好な皮膜を得ることができ、また暫定皮膜用途に供した場合においても使用環境に多少の水分が存在する程度では皮膜としての機能を十分に確保できる耐水性を有する被覆剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVAと略記する)を用いた被覆剤は、帯電防止性、防曇性、水溶性等の各種特性を備えているため、建築材料用プラスチック材料や農業用フィルム等のコート用皮膜、化粧用パック剤、更には防汚や防錆効果等を目的として(塗工)金属表面やプラスチック表面等の保護用暫定皮膜などの皮膜形成用途に広く利用されている。
そして、形成皮膜の耐水性等の要求性能より、AA化PVAに各種架橋剤を併用した皮膜も利用されており、更にはAA化PVAのAA化度(アセト酢酸エステル基の含有量)や架橋剤のコントロール等により暫定皮膜としても利用することなども行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のAA化PVAを用いたPVA水性液(水溶液、エマルジョン、水分散液等)からなる被覆剤は、該水性液の放置安定性、例えば水溶液として長期間保存したときの安定性やAA化PVA粉末を長期間保存した後に水溶液に供したときの安定性等においてまだまだ満足のいくものではなく、形成された皮膜についてもまだまだ改善の余地があり、更には暫定皮膜として実用に供した場合にも結露水等の水分によって皮膜が一部溶け出して防汚や防錆効果等に支障をきたすという現象も見られ、暫定皮膜機能の持続期間を十分に確保することができないという欠点も有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者が、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきこちとにアルカリ金属の酢酸塩を2重量%以下、酢酸を5重量%以下含有し、かつアルカリ金属の酢酸塩/酢酸の重量比が0.01〜100であるAA化PVA組成物を用いた被覆剤は放置安定性に優れ、また良好な皮膜を得ることができ、更には暫定皮膜用途に供した場合においても、多少の水分と接触してもその機能が損なわれることのない程度の耐水性が持続できる皮膜を得ることができることを見いだし本発明に至った。
以下、本発明について詳述する。
【0005】
本発明で用いられるAA化PVAの製造方法は特に限定されるものではなく、任意の方法で製造されるが、好ましくはPVAとジケテンとを反応して得られる。例えばPVAを酢酸溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、PVAをジメチルホルムアミド、またはジオキサンなどの溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法である。また、酢酸等を吸収させたPVAにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させてAA化PVAを得る方法も採り得る。
AA化PVAを得る際に用いられるPVAは特に限定されないが、残存酢酸基0.1〜20モル%、平均重合度50〜6000(より好ましくは300〜3000)、平均ケン化度85〜99.9モル%の範囲が好ましい。
【0006】
また、AA化PVAのAA化度は0.1〜20モル%、より好ましくは0.5〜15モル%の範囲である。AA化度が0.1モル%未満のAA化PVAでは架橋性や造膜性に乏しく、逆にAA化度が20モル%を越えたAA化PVAでは、水性液(水溶液、エマルジョン、水分散液等)の粘度が不安定となり好ましくない。
本発明では、上記の如き従来のAA化PVAにアルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)の酢酸塩を2重量%以下(好ましくは0.5重量%以下)、酢酸を5重量%以下(好ましくは2重量%以下)含有させて、かつ該アルカリ金属の酢酸塩と酢酸の重量比(アルカリ金属の酢酸塩/酢酸)を0.01〜100(好ましくは0.01〜10)の範囲にコントロールされたAA化PVA組成物を用いることを最大の特徴とするもので、アルカリ金属の酢酸塩が2重量%を越えると、水性液(水溶液、エマルジョン、水分散液等)の粘度が不安定となり、酢酸が5重量%を越えると、架橋性や造膜性に乏しく被覆剤としての性能が十分に発揮されない。
【0007】
また、アルカリ金属の酢酸塩/酢酸の重量比が0.01より小さいときは、架橋(造膜)速度が遅く、逆に該重量比が100を越えると、水性液(水溶液、エマルジョン、水分散液等)の粘度が不安定となって好ましくない。
なお、上記のアルカリ金属の酢酸塩の定量は、AA化PVA組成物を灰化した後、灰分を塩酸水溶液に加温下に溶解した溶液について原子吸光法による。また、酢酸の定量法としては、試料を水溶液として、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS法)によって求める。
【0008】
本発明では、用いられるAA化PVA組成物中に含有されるアルカリ金属の酢酸塩及び酢酸の量が上記の如くコントロールされていればよく、そのコントロールの方法は任意である。例えば、原末のPVAを製造する時のケン化時のアルカリ触媒の量を調節したり、PVA製造後アルカリ金属の酢酸塩を追加したり、除去したりいずれも任意である。酢酸量もPVA製造後に酢酸を添加したり、又多量に酢酸が含まれるPVAを洗浄、乾燥したりしても良い。
又原末処理にとどまらず、AA化PVAの製造中又は製造後で、アルカリ金属の酢酸塩を添加したり、除去したり、酢酸を除去したり添加して、コントロールを行っても良い。工業的にはAA化PVA製造後、アルカリ金属の酢酸塩及び酢酸の除去を行う方法が実用的で、該アルカリ金属の酢酸塩を取り除くには、具体的にはアルコール洗浄が採用され、該アルコールとしてはメタノール、エタノール、n−プロパノール,イソプロパノール等が挙げられるが、好ましくはメタノールが用いられる。このアルコール洗浄は、通常PVAの1〜15倍重量のアルコールを使用し、5〜60℃で0.5〜2時間の条件で1〜3回程度洗浄される。
【0009】
また、酢酸を取り除くには、減圧留去、メタノール洗浄、乾燥処理、濾過、遠心分離等の方法でAA化PVAを処理する方法が挙げられ、これらの処理は同時又は別々のいずれでも良いが、好ましくは、乾燥処理が採用される。該乾燥処理の条件は装置により異なり一概に言えないが、30〜80℃で10時間程度行えば良く、好ましくは、40〜70℃で6時間程度行う。
本発明においては、かかるAA化PVA組成物の4重量%水溶液のpHを3〜6.5、好ましくは4〜5に調整することにより、更に水性液の安定性が向上して、良好な皮膜を得ることが可能となる。
【0010】
該pHを調節する方法としては、特に限定されず、例えば、原末のPVAを製造する時のケン化時のアルカリ触媒の量を調節したり、PVA製造後酢酸を追加したり、除去したりいずれも任意である。
また必要に応じ塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸又は、プロピオン酸、マレイン酸等の有機酸又は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、第一アミン、第二アミン、第三アミン、第四級アンモニウム塩等の添加によりpHの調整を行っても良い。
又原末処理にとどまらず、AA化PVAの製造中又は製造後で、上記のようなpH調整を行っても良く、工業的にはAA化PVA製造後、酢酸の除去を行う方法が実用的である。
次に得られたAA化PVA組成物を用いた被覆剤について説明する。
【0011】
本発明の被覆剤は、該AA化PVA組成物を用いた水溶液、エマルジョン、水分散液等の水性液として実用に供されるが、一般的には水溶液とするのが簡便でこれを中心に詳しく説明する。
該水溶液は、AA化PVA組成物を1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%含有する(エマルジョン、水分散液等も同様)ものである。
また、本発明の被覆剤には、水以外に溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール類やジオキサン、DMF、DMSOなどを0.1〜99重量%含有していてもよく、更に他の添加剤として、可塑剤(エチレングリコール,グリセリン,プロピレングリコール等の多価アルコールやその高級脂肪酸エステルなど)等を1〜80重量%程度含有させてもよい。
【0012】
該AA化PVAは自己架橋性があるため、他の架橋剤を併用することなく該AA化PVAのみでも良好な皮膜を形成することも可能であるが、更に皮膜の耐水性や機械的強度等の向上、皮膜形成持続期間の新なる延長等を目的として架橋剤を配合することも有用で、該架橋剤としては、グリオキザール,グルタンアルデヒド等のジアルデヒド化合物、メラミン,アセトグアナミン,ベンゾグアナミン,尿素等のアミン化合物、フェノール系樹脂初期縮合物、ポリエポキシ化合物、イソシアネート化合物などが挙げられ、該架橋剤の配合量は、その目的、種類によって多少変動するが、通常はAA化PVA組成物100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは1〜25重量部、特に好ましくは2〜15重量部の範囲である。
また、皮膜の機械的強度、耐久性等を付与する方法として、放射線照射による架橋が挙げられ、該放射線としては電子線、紫外線、X線、γ線等を用いることができる。
【0013】
以上、本発明の被覆剤の形態として水溶液を中心に述べてきたが、前記の如く水溶液以外にも該AA化PVA組成物を公知の方法(該AA化PVA組成物を乳化剤或いは保護コロイドとしてビニル系単量体を乳化重合する方法、合成樹脂の溶液或いは溶融液を該AA化PVA組成物の存在下で後乳化する方法、任意の方法で得られた合成樹脂エマルジョンに該AA化PVA組成物を添加してより安定なエマルジョンを得る方法等)によりエマルジョンや水分散液として用いることも勿論可能である。
【0014】
かかる被覆剤の塗工に当たっては、公知の方法を採用することができ、具体的には、グラビアコーター,リバースロールコーター,エアナイフコーター,スプレー、浸漬、刷毛塗り等によりプラスチックや金属等の表面にコーティングする方法などが挙げられる。
かかる方法で得られた皮膜は、造膜性に優れるもので、静電防止や防曇等を目的とした建築材料用或いは包装用プラスチック材料等や農業用フィルム等のコート用皮膜、防汚や防錆を目的とした金属材料や自動車等の各種基材の表面保護用の暫定皮膜などの皮膜用途に大変有用である。
【0015】
【作 用】
本発明の被覆剤は、特定のAA化PVA組成物を用いているため、被覆剤の放置安定性が優れ、良好な皮膜が得られ、更には暫定皮膜用途に供した場合にも耐水持続性に優れた皮膜を得ることができ、建築材料用或いは包装用プラスチック材料や農業用フィルム等のコート用皮膜、金属材料やプラスチック等の各種基材の表面保護用の暫定皮膜などの皮膜形成用途に大変有用である。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
なお,実施例中「%」、「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
(AA化PVA組成物の製造)
下記の方法によって、AA化PVA組成物(PVA−I〜VIII)を製造した。
[PVA−I]
酢酸ナトリウムを0.3%含有するPVA粉末(ケン化度99.4%、重合度1200、平均粒径100メッシュ)をニーダーに100部仕込み、これに酢酸60部を入れ、膨潤させ、回転数20rpmで撹拌しながら、60℃に昇温後、ジケテン25部と酢酸2部の混合液を4時間かけて滴下し、更に30分間反応させた。反応終了後の反応分散液をメタノール500部のメタノールで洗浄した後70℃で、6時間乾燥し、酢酸ナトリウム0.05%、酢酸0.1%を含有する(酢酸ナトリウム/酢酸の重量比=0.5)AA化度6.0モル%のAA化PVA組成物を得た。また、かかるAA化PVA組成物の4%水溶液のpHは4.5であった。
【0017】
[PVA−II]
酢酸ナトリウムを0.3%含有するPVA粉末(ケン化度88モル%、重合度1300、平均粒径200メッシュ)をニーダーに100部仕込み、回転数60rpmで撹拌しながら、液状ジケテン15部を室温で30分間にわたって噴霧添加した後、60℃に昇温して3時間反応させた。反応後、50部のメタノールで3回洗浄してから、酢酸ナトリウムを0.05部添加した後、60℃で、8時間乾燥し、酢酸ナトリウムを0.05%、酢酸0.01%を含有する(酢酸ナトリウム/酢酸の重量比=5)AA化度3.3モル%のAA化PVA組成物を得た。また、かかるAA化PVA組成物の4%水溶液のpHは4.8であった。
【0018】
[PVA−III]
酢酸ナトリウムを0.3%含有するPVA粉末(ケン化度88モル%、重合度1300、平均粒径100メッシュ)をニーダーに100部仕込み、回転数 20rpmで撹拌しながら、1時間にわたって90℃に昇温しながら、蒸発器で発生させたジケテンガス8部を反応器内に流入させた。90℃に昇温後、さらに30分間撹拌後、水5部と酢酸10部を噴霧して混合し、減圧下(100mmHg)60℃で8時間乾燥させ、酢酸ナトリウムを0.1%、酢酸2%を含有する(酢酸ナトリウム/酢酸の重量比=0.05)AA化度3.1モル%のAA化PVA組成物を得た。また、かかるAA化PVA組成物の4%水溶液のpHは3.5であった。
【0019】
[PVA−IV]
上記のPVA−Iの製造において、メタノール500部での洗浄をさらに1回追加し、乾燥条件を減圧下(100mmHg)70℃で6時間に変更した他は同様に製造し、酢酸ナトリウムを0.0075%、酢酸0.001%を含有する(酢酸ナトリウム/酢酸の重量比=7.5)AA化度3.1モル%のAA化PVA組成物を得た。また、かかるAA化PVA組成物の4%水溶液のpHは5.8であった。
[PVA−V]
上記のPVA−Iの製造において、メタノール量を100部に変更し、乾燥条件を40℃で6時間に変更した以外は同様に行って、酢酸ナトリウム0.2%、酢酸5.3%を含有する(酢酸ナトリウム/酢酸の重量比=0.04)AA化度6.0モル%、4%水溶液のpHが2.8のAA化PVA組成物を得た。
【0020】
[PVA−VI]
上記のPVA−IのAA化PVA組成物の製造において、乾燥条件を減圧下(100mmHg)70℃で6時間に変更した以外は同様に行って、酢酸ナトリウム0.2%、酢酸0.001%を含有する(酢酸ナトリウム/酢酸の重量比=200)AA化度6.0モル%、4%水溶液のpHが5.8のAA化PVA組成物を得た。
[PVA−VII]
上記のPVA−IのAA化PVA組成物の製造において、(AA化)反応終了時に酢酸ナトリウム1.7部を加えて撹拌し、その後の乾燥条件を減圧下(100mmHg)70℃で4時間に変更した以外は同様に行って、酢酸ナトリウム2.2%、酢酸0.25%を含有する(酢酸ナトリウム/酢酸の重量比=8.8)AA化度6.0モル%、4%水溶液のpHが5.3のAA化PVA組成物を得た。
【0021】
[PVA−VIII]
酢酸ナトリウムを0.1%含有するPVA粉末(ケン化度99.5%、重合度1200、平均粒径200メッシュ)をニーダーに100部仕込み、これに酢酸30部、アセト酢酸メチル30部及び硫酸2部を加え80℃にて撹拌しながら8時間反応し、反応終了後メタノール50部で洗浄し、60℃、4時間乾燥し、酢酸ナトリウム0.02%、酢酸4%を含む(酢酸ナトリウム/酢酸の重量比=0.005)AA化度6.0モル%、4%水溶液のpHが2.5のAA化PVA組成物を得た。
【0022】
実施例1
上記のPVA−I100部、グリオキザール1部及び水900部からなる被覆剤用水溶液を調製後、該水溶液の保存安定性を調べるために、25℃における粘度(a)をブルックフィールド型粘度計[ローター(No.2)の回転数20rpm]で測定後、該水溶液を室温で24時間放置し、再度該水溶液の粘度(b)を測定して、(b)/(a)の粘度比を求めた。更に、上記のPVA−I粉末を60℃、65%RHの恒温室で3ケ月放置後、該粉末を用いて同様に被覆剤用水溶液を調製して該水溶液の粘度(c)を上記と同様に測定して、(c)/(a)の粘度比を求めた。
【0023】
また、上記の放置処理前及び放置後のそれぞれの被覆剤用水溶液をガラス板表面に乾燥厚みが約100μmになるように塗布し、20℃,65%RH下で48時間放置して、形成皮膜状態を目視観察して、以下の通り造膜性を評価した。
○ −−− 異状なし
× −−− シワや厚みムラ等の異状が認められる
更に、上記の放置処理前の被覆剤用水溶液を用いて得られた皮膜単体(乾燥条件;40℃,24時間)を25℃の水に浸漬させて7日後の皮膜状態を目視観察して、以下の通り耐水性を評価した。
○ −−− 異状なし
△ −−− 皮膜に膨潤が認められるものの、原形は保っている
× −−− 一部溶出等が認められ、原形が損なわれている
また、上記の放置処理前の被覆剤用水溶液を冷間圧延鋼板表面に乾燥厚みが約20μmになるように塗布し、80℃で2時間乾燥させて皮膜を形成させた後、皮膜表面にカッターナイフで5mm角のクロスカットを施して、50℃雰囲気中で5%食塩水を7日間噴霧して錆の発生状況を調べた。
【0024】
実施例2〜4、比較例1〜4
表1に示したAA化PVA組成物(表中のAA化PVA)を用いて実施例1と同様に粘度比、造膜性、耐水性及び錆の発生状況を評価した。
評価結果を表1及び2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
実施例5
上記のPVA−I100部、ヒドロキシエチルセルロース10部及び水900部からなる暫定被膜用の被覆剤用水溶液を調製後、該水溶液の保存安定性を調べるために、25℃における粘度(a)をブルックフィールド型粘度計[ローター(No.2)の回転数10rpm]で測定後、該水溶液を40℃で2週間間放置し、再度該水溶液の粘度(b)を測定して、(b)/(a)の粘度比を求めた。更に、上記のPVA−I粉末を60℃、65%RHの恒温室で3ケ月放置後、該粉末を用いて同様に被覆剤用水溶液を調製して該水溶液の粘度(c)を上記と同様に測定して、(c)/(a)の粘度比を求めた。
【0028】
また、上記の放置処理前及び放置後のそれぞれの該水溶液を冷間圧延鋼板表面に乾燥厚みが約20μmになるように塗布し、80℃で2時間乾燥させて暫定皮膜を形成させた。
得られた暫定皮膜の加湿状態での耐水持続性を調べるために、上記の暫定皮膜を40℃、90%RHで24時間放置後の該皮膜の表面状態を目視観察して、以下の通り評価した。
○ −−− 異状なし
△ −−− 皮膜に浮きが認められる
× −−− 皮膜にの一部に溶出が認められる
また、暫定皮膜の除去性を調べるために、上記の暫定皮膜表面を4kg/m2の圧力で約10分間高圧水洗を行って、以下の通り評価した。
○ −−− 暫定皮膜がほとんど除去された
△ −−− 暫定皮膜が一部残った
× −−− 暫定皮膜がほとんど除去されなかった
【0029】
実施例6〜8、比較例5〜8
表3に示したAA化PVA組成物(表中のAA化PVA)を用いて実施例5と同様に粘度比及び耐水性、除去性を評価した。
評価結果を表3及び4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【発明の効果】
本発明の被覆剤は、特定のAA化PVA組成物を用いているため、被覆剤の放置安定性が優れ、良好な皮膜が得られ、更には暫定皮膜用途に供した場合にも耐水持続性に優れた皮膜を得ることができ、建築材料用或いは包装用プラスチック材料や農業用フィルム等のコート用皮膜、金属材料やプラスチック等の各種基材の表面保護用の暫定皮膜などの皮膜形成用途に大変有用である。
Claims (1)
- アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂に対してアルカリ金属の酢酸塩を2重量%以下、酢酸を5重量%以下含有し、かつアルカリ金属の酢酸塩/酢酸の重量比が0.01〜100であるアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂組成物を含有してなることを特徴とする被覆剤。
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