JP3698668B2 - 包あん機における固形物供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、苺や栗等の果物、又は茹で卵等の固形物を饅頭などの菓子やハンバーグ等の調理食品の内部に供給して包あんする装置に関するものであり、さらに詳しくは固形物とそれを被覆する食品材料とを密着させて品質の安定した形状の食品を包あんできる装置に関するものであり、饅頭等の多種の菓子や調理食品の生産に用いて、産業上の効果は大きいものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としては、実公平5−10625号(従来例1)、実用新案登録2559142号(従来例2)の如く、外筒、内筒及び中心筒を同芯円状に構成した複合ノズルを設け、該複合ノズルに隣設する固形物供給装置により該中心筒を通して固形物を内包材の内側に供給し、該複合ノズルより吐出された固形物を有する棒状の食品から、該複合ノズルの下方に設けた包被切断装置により固形物を有する包被食品を製造する装置がある。
【0003】
さらに、実用新案登録2522591号(従来例3)の如く、中心筒を用いず、内筒を固形物の通路として固形物を外皮材だけで被うように構成した複合ノズルを設けた装置がある。
【0004】
これらの従来技術によると固形物を外皮材の外に露出させないで包被切断することが可能であるが、固形物とそれを被覆する食品材料の間に空気が残留してすきまが生ずる場合が有り、形状が不安定となり商品としての価値を低下させてしまうという問題があった。
【0005】
また、特許第2641028号(従来例4)のごとく固形物とそれを被覆する食品材料の間の空気を吸気する団塊状被覆食品の製造方法及びその装置が開示されている。
【0006】
しかしながら、従来例4に示される装置は、その構成が複雑である。したがって、清掃作業に手間がかかるなどの問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術においては、構造が複雑であり、発明が解決しようとする課題は、構造を複雑化せず、清掃作業に時間をかけないような構造を提供する必要がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、固形物の投入通路に圧縮空気を供給するとともに、該圧縮空気を固形物の通路において、外気方向に向けて噴射する構成としたものである。
【0009】
また、固形物の通路である中心筒の下端が、外筒の下端より突出している構成である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る包あん機1は、図1に概略的に示すように、架台3を備えており、この架台3の上部には、食品材料としての内包材5を供給するための内包材用ホッパー7が設けてあると共に、食品材料としての外皮材9を供給するための外皮材用ホッパー11が設けてある。上記内包材用ホッパー7の下側には、内包材5を重合ノズル13へ供給するための内包材供給装置15が設けてあり、外皮材用ホッパー11の下側には外皮材9を上記重合ノズル13へ供給する外皮材供給装置17が設けてある。そして、内包材供給装置15と外皮材供給装置17との間に前記重合ノズル13が設けてある。
【0011】
前記重合ノズル13の上方には、固形物Aを重合ノズル13内に間欠的に投入する固形物投入部27を設けてある。
【0012】
また、前記重合ノズル13の下方には、包被切断装置21を設けており、該重合ノズル13において内包材5の外側に外皮材9を重合した棒状生地19を包被切断する。さらに、前記包被切断装置21の下方には、前記棒状生地19から包被切断された固形物Aを有する包被食品23を次工程へ送るためのコンベヤ装置25が設けてある。
【0013】
なお、上記内包材供給装置15、外皮材供給装置17、包被切断装置21及びコンベヤ装置25は公知の構成でよいものであるから、その構成、作用についての詳細な説明は省略する。
上記したように本発明実施例の包あん機における固形物供給装置の主たる構成は重合ノズル13、重合ノズル13内に固形物Aを投入する固形物投入部27と後述する噴射装置57よりなるものである。
【0014】
図2を参照するに、前記重合ノズル13は、上部ケーシング31と下部ケーシング47からなっている。上部ケーシング31は前記内包材供給装置15に接続した接続口31A及び前記外皮材供給装置17に接続した接続口31Bを各々側部に備えている。また、この上部ケーシング31には、内包材5が通過自在の中空の内筒31Cが前記接続口31Aに連通して設けられ、前記内筒31Cの外方に内筒31Cとほぼ同芯状に外皮材9が通過自在の外筒31Dが前記接続口31Bに連接して設けられている。
【0015】
さらに、前記内筒31Cの内側には、固形物Aの通路Sを形成する中心筒33がほぼ同芯状に設けられている。
【0016】
下部ケーシング47の下端部分は中空の棒状生地19の吐出部である。下部ケーシング47は、内筒31Cの内包材用ノズル53と内筒31Cの内側にあって固形物Aが通過する中心筒33を囲繞する外皮材用ノズル55が着脱可能に嵌入されている。
【0017】
前記固形物投入部27のベース27Aの上方には、固形物Aを中心筒33の内側の通路Sに間欠的に投入するための回転板59が回転自在に設けられている。この回転板59には所定の間隔で固形物を収容する収容孔59Aが設けられており、回転板59の回動によって各々の収容孔59Aの固形物が前記通路S内に投入落下するようにしてある。
【0018】
前記回転板59の上方には、押し込み装置61を設けている。押し込み装置61は、空気圧シリンダー61Aのロッド先端にプッシャ61Bを螺合固定することにより構成され、所要のタイミングで前記収容孔59A及び通路S内をプッシャ61Bが上下動する。こうすることで、固形物Aを前記重合ノズル13より吐出成形された中空の棒状生地19の所要の位置に押し込む。
【0019】
次に中心筒33内において圧縮空気を噴射する噴射装置57について図5、図6を参照し説明する。噴射装置57は、筒状の部材として中空の円筒部材57Aを備えている。この円筒部材57Aは、前記円筒部材33の上部に設けられており、前記固形物投入部27のベース27Aに下方より嵌入している。さらに円筒部材57Aは同芯状に円環状の空間Qを設けている。この空間Qの上部に小径の空気吹き出しノズル57Bを等間隔に複数個設けている。この空気吹き出しノズル57Bは、上方位置に向けて中心軸O側へ傾斜した通気孔となっており、且つ、円周方向にも傾斜してる。
【0020】
また、前記小径の空気吹き出しノズル57Bの上部は、中心軸O側に傾斜(テーパ形状)した内壁面が形成されており、前記円筒部57Aの上方の孔に連接している。
【0021】
前記円環状の空間Qには、前記円筒部材57Aの側方より螺子穴57Dを貫通させ、前記螺子穴57Dに圧縮空気を供給するチューブ63を配管した管継ぎ手65を螺合している。
【0022】
このように構成された噴射装置57に圧縮空気Pを供給すると前記空気吹き出しノズル57Bより空気が勢いよく吹き出し、前記通路S内側の空気を吸い上げる。前記空気吹き出しノズル57Bの向きを内側かつ円周方向に傾斜させると吹き出される空気は渦流となる。このように渦流にすると吸引効果が増すものであるので、前記したような渦流を発生する噴射装置が好ましい。
渦流の発生によって、円筒部材57Aの上方に略円錐状の渦流が発生させることができる。
【0023】
ここで、本実施例に基づく包被切断の工程について図3乃至図5を参照しながら説明する。製品は、外皮材に栗万生地、内包材に白並餡、固形物に栗を用いた一粒栗入り栗万頭である。
【0024】
図3は、中空で袋状の棒状生地19が包被切断装置21の包被切断により形成された状態を示している。この状態の時から固形物投入部27の回転板59が回動し、収容孔59Aが噴射装置57の円筒部材57Aとほぼ同じの位置で停止し、収容孔59A内の固形物Aが前記通路Sを通り前記棒状生地19の袋状部へ落下する。この時落下する固形物Aの上方から前記プッシャー61Bが下降する。
【0025】
そして、図4で示すごとくプッシャー61Bは固形物Aを棒状生地19の底部に押しつけ、直ちに上昇する。
【0026】
図5は、包被切断装置21に装着されたカッター体21Aが固形物Aの直ぐ上の部分をその外方より絞り、固形物Aを食品材で被覆しようとしている。この工程の時、前記噴射装置57に圧縮空気Pを供給すると通路S内の空気が上方に吸い上げられ、棒状生地19内の気圧も低下して通路Sに吸引力が生ずることになる。通路S中の吸引力は、圧縮空気Pの圧力を食品材料の硬さや生産する包被食品の大きさなどに合わせ適宜に設定することが可能である。
【0027】
さらに、包被切断の工程が終了する直前まで上述の吸引を継続することにより、中空部内は減圧され、固形物Aとそれを被覆する食品材料は密着し、包被食品23の内部に空気が残溜することがなくなった。
【0028】
本実施例においては、円筒部材57Aを上述のような形状として説明したがそれに限定されるものではなく、空気吹き出しノズルより吹き出した空気が通路S及び棒状生地19の内部の空気を吸い上げることが可能であれば、如何なる形状でもよい。
【0029】
また、棒状生地19内の空気を吸い上げる時間は上述の実施例に限らず、固形物Aが棒状生地19の内部に落下してから、包被切断の工程が終了する間において適宜設定することができる。
【0030】
また、空気吹き出しノズル57から圧縮空気を吹き出している時に、前記プッシャー61Bを図6に点線で示すように円筒部材57Aの内側に位置させることにより、棒状生地19内の空気を効率よく吸引することができる。これは、プッシャー61Bにより空気吹き出しノズル57Bから吹き出した空気の通路が狭くなり、この位置の空気の吹き出し速度が増加し、棒状生地19内の空気の吸引力が増加するからである。また、前記円筒部材57Aの上端より適正な隙間を設けて平板を覆う(図示省略)ことにより吸引力を増加することも可能である。
【0031】
また、食品材料が硬い場合には、固形物と食品材料とを密着させるために、棒状生地19内の空気の吸引を強くする必要がある。しかしながら、単に空気の吸引を強くしてしまうと、図7に示すように必要のないところまで、棒状生地19内の中空部分が萎んでしまう。このよう場合には、図8に示すように中心筒33のパイプ33Aの下端の位置をカッター体21Aに干渉しない範囲で外皮材用ノズル55の下端の位置より下方に突出させるようにすると、棒状生地19内の中空部分の萎む位置をカッター体21Aが棒状生地19を切断する部分付近に限定することができる。これにより包被食品内に残留しようとする空気を効率よく排除することができ、また次の固形物が供給されるとき、途中で固形物がつまり停滞するようなことがない。
【0032】
また、本実施例では偏平形状の栗を使用したので、確実に所要の位置に栗を供給するために押し込み装置61を用いた。しかし、略球形状の梅などを固形物として用いる場合には、通路S内の途中での停滞がなく、確実に袋状の棒状生地19の底部に落下するので、押し込み装置61を用いなくともよく、すこぶる構造を簡単にすることができる。
【0033】
本発明実施例は、概ね上述のとおりである。よって、従来例1乃至3に示されるような装置においても本発明実施例の噴射装置を使用することが可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、固形物の通路に圧縮空気を供給するとともに該圧縮空気を固形物の通路において外気方向へ向けた噴射するので、包被切断時に、固形物と食品材料との間に残留する空気を減少することができるものである。
【0035】
また、固形物の通路である中心筒の下端を外筒の下端より突出させたので、棒状生地の中空部を必要以上に萎ませることがなく、固形物のつまりを抑えることができる。また、包被切断時の中空部の絞りと減圧による萎みを所定の位置だけ行えるように作用させることができ、包被切断を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の全体正面図である。
【図2】本発明実施例の主要部分の一部断面正面図である。
【図3】本発明実施例の作用説明図である。
【図4】本発明実施例の作用説明図である。
【図5】本発明実施例の作用説明図である。
【図6】本発明実施例の圧縮空気の噴射装置を示す。
【図7】本発明実施例の作用説明図である。
【図8】本発明のその他の実施例の作用説明図である。
【符号の説明】
1 包あん機
3 架台
5 内包材
9 外皮材
13 重合ノズル
19 棒状生地
27 固形物投入部
31C 内筒
31D 外筒
33 中心筒
57 噴射装置
57A 円筒部材
57B 空気吹き出しノズル
61 押し込み装置
Claims (5)
- 1種類あるいは2種類以上の食品材料が中空の棒状生地の連続体で吐出され、その棒状生地の連続体の中空部に筒状の部材を介して固形物を投入した後、該固形物を被うように該棒状生地を切断して行う包あん機における固形物供給装置において、圧縮空気を前記筒状の部材の内壁より、外気方向に噴射されるようにして前記棒状生地の中空部を負圧にすることを特徴とする該装置
- 複数の食品材料を同芯の棒状生地の連続体で吐出するように、外皮材の通路となる外筒と外筒の内側に内包材の通路となる内筒を設け、前記内筒の内側に中心筒を挿入し、該中心筒の上方より中心筒内に固形物を投入する固形物投入部を設け、固形物が投入された該棒状生地を、所定の大きさに包被切断する切断装置を備えた包あん機における固形物供給装置において、前記中心筒に圧縮空気の噴射装置を設け、中心筒の壁面から外気側へ圧縮空気を噴射することを特徴とする包あん機における固形物供給装置
- 前記噴射装置は外気側に向け渦流を発生させることを特徴とする請求項2に記載の包あん機における固形物供給装置。
- 前記中心筒は下端部位置が前記外筒より下方に出ていることを特徴とする請求項2記載の包あん機における固形物供給装置
- 複数の食品材料を同芯の棒状生地の連続体で吐出するように、外皮材の通路となる外筒と外筒の内側に内包材の通路となる内筒を設け、前記内筒内に中心筒を挿入設置し、該中心筒の上方より中心筒内に固形物を投入する固形物投入部を設け、中空の棒状生地内に固形物が供給されて該棒状生地を所定の大きさに包被切断する切断装置を備え、前記中空の棒状生地内の空気を吸引する装置を備えた包あん機における固形物供給装置において、前記中心筒の下端部が前記外筒の下端より下方に出ていることを特徴とする包あん機における固形物供給装置。
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