JP3698639B2 - 多条刈りコンバイン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、3基以上の引起し装置と、それらの引起し装置で引き起こされた植立穀稈を刈り取る刈取装置とを備えた前処理装置を、走行機体側から前方下方に向けて延設された刈取フレームの前端部側に支持させ、前処理装置で引起され刈取られた穀稈を走行機体上の脱穀装置に向けて後方搬送するように構成されている多条刈りコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の多条刈りコンバインにおいては、3基以上備えられる各引起し装置に対する動力の伝達は、例えば、特開平7‐177814号公報などで開示されているような構造が採用されていた。
この従来構造では、走行機体側に搭載されているエンジンからの動力が伝達される左右向きのカウンタ軸、カウンタ軸から前下方に向けて延設された刈取フレームに内装の主伝動軸、主伝動軸の前部に連結された左右向きの第1伝動軸、第1伝動軸の左右方向の一側端からその一側端側の引起し装置の上部に向けて立設された第2伝動軸、第2伝動軸の上部から左右他側端側の各引起し装置に対して動力を伝達するように架設された左右向きの動力分配軸、その動力分配軸から各引起し装置の上部に亘って垂下された複数の垂下軸、及び、それらを伝動連結するベベルギヤなどによって行うように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、各引起し装置の上部に亘って動力分配軸が掛け渡される構造であると、動力分配軸を引起し装置の背部に隠れる程度に低く配設した場合には、引起し装置により引き起こされた植立穀稈の穂先側が動力分配軸を外囲する伝動ケースに引っ掛かって、穂先側の搬送遅れや絡み付きなどに起因した搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルを招き易くなる。
このため、上記の従来技術では、上記の搬送トラブルを回避するために動力分配軸を引起し装置の上端よりも十分に高い位置に配設していたものであるが、このように動力分配軸を高く配設すると、次のような問題がある。
つまり、動力分配軸や垂下軸などを外囲する伝動ケースが大きく露出して見栄えが悪くなることから、それらを隠すための化粧カバーを設ける必要が生じるようになる。又、それらの伝動ケースや化粧カバーによって引起し装置直前箇所に対する操縦部からの見通しが悪くなり、それによって、刈り取り対象の植立穀稈に対してコンバインを正しく位置させる条合わせ作業などが行い難くなる不都合や、動力分配軸、垂下軸、及び、それらを外囲する伝動ケースなどが上部に配設されることによって重心位置が高くなり機体の重量バランスが悪くなる不都合があった。
【0004】
このような不都合を回避するために、各引起し装置の上部にわたる前記動力分配軸を排除し、各引起し装置に対する動力を下方側から伝達するように構成することも考えられなくもないが、このように構成すると、次のような新たな問題が生じる。
つまり、引起し装置が2基以下の2条刈りなどのコンバインであれば、左右の引起し装置の夫々に対して、刈取穀稈の後方搬送の妨げとはならない位置である左右各端部から伝動軸を立設するだけで伝動可能であるから、問題なく上部の動力分配軸を省くことができるが、3基以上の引起し装置を備える場合には、左右端部のみならず、それらの中間に存在する引起し装置にも動力を伝達する必要がある。この中間に存在する引起し装置への動力伝達を下方側から行うにあたって、左右一端部側の引起し装置への伝動軸から穀稈後方搬送経路の下側を通して中間の引起し装置へ動力分配用の伝動軸を配置すると、その伝動構造が複雑となるばかりでなく、動力分配用の伝動構造が、刈取装置近くで穀稈搬送経路を避けて低位に位置することになる。このため、その伝動構造箇所が圃場の地面あるいは石や雑草などの他物と接触する可能性が大きくなり、他物との接触で損傷したり、左右方向での一側が他物との接触で押し上げられて刈り高さが左右で変化する、あるいは雑草や穀稈のハカマなどが絡みついて搬送穀稈の移動抵抗となり乱れが生じるなどの問題が予測される。
【0005】
本発明は、3基以上の引起し装置を備えた多条刈りコンバインにおいて、各引起し装置にわたる上部の動力分配軸を省き、下部からの動力伝達を可能にしながら、中間の引起し装置に対する伝動構造の存在にかかわらず、伝動構造の損傷や刈取穀稈の搬送に姿勢乱れの少ない円滑な後方搬送を行えるようにすることにその目的がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために講じた本発明における多条刈りコンバインの技術手段は下記の点である。
〔請求項1にかかる発明〕
3基以上の引起し装置と、それらの引起し装置で引き起こされた植立穀稈を刈り取る刈取装置とを備えた前処理装置を、走行機体側から前方下方に向けて延設された刈取フレームの前端部側に支持させ、前記各引起し装置により引き起こされる夫々の刈取穀稈を後方に向けて掻き込み搬送する第1搬送装置と、前記第1搬送装置で掻き込まれた刈取穀稈を左右方向での一箇所に寄せ集め搬送する左右一対の第2搬送装置と、前記第2搬送装置で寄せ集められた刈取穀稈を後方の脱穀装置に向けて供給搬送する第3搬送装置とを備えるとともに、刈取フレームの前端部に対して穀稈搬送方向を横切る左右方向に沿わせて配置された横向き伝動ケース内に、走行機体側から動力を伝達される第1伝動軸を配置して、この第1伝動軸を介して前記各引起し装置に対する動力を伝達するように構成した多条刈りコンバインにおいて、
前記第1伝動軸の左右各端部から左右各端部の引起し装置に対して夫々動力を伝達する上下方向の第2伝動軸を立設し、左右中間部に位置する引起し装置に対しては、前記第1伝動軸の左右中間部から前方側へ動力を導出する第3伝動軸と、その第3伝動軸から上方へ立設した第4伝動軸とを介して動力を伝達するとともに、前記左右一対の第2搬送装置の搬送終端側における搬送作用部分を互いに相対向させた合流搬送経路を、相対向する側の第2搬送装置との間に導入された刈取穀稈の株元を両側から挾持して同方向に搬送するようにほぼ平行に設置された平行搬送部によって構成し、前記第2搬送装置と第3搬送装置との間における挟持による刈取穀稈受け継ぎ箇所を前記第1伝動軸を内装する横向き伝動ケースよりも後方側に設定して、前記平行搬送部を前記横向き伝動ケースの上方位置で、かつ前方側から後方側にわたって横向き伝動ケースを跨ぐ状態に配設し、前記第4伝動軸は、前記第2搬送装置の平行搬送部から外れた前方位置に配設してある。
【0007】
上記請求項1記載の発明によると、各引起し装置の上部に掛け渡された状態となる動力分配軸やその関連構造、ならびに、それらを外囲する伝動ケースや化粧カバーを高い位置に設ける必要がなく、機体重心が高くなることを避けられ、また、引起し装置直前箇所に対する操縦部からの見通しが良くなることから、刈り取り対象の植立穀稈に対してコンバインを正しく位置させる条合わせ作業などが行い易くなるという、各引起し装置間における穀稈通路上部を開放した形態の多条刈りコンバイン特有の作用のほかに、下記a.〜c.に記載の点に関する作用を奏する。
a.左右一対の第2搬送装置の互いに相対向する搬送作用部分に、相対向する側の第2搬送装置との間に導入された刈取穀稈の株元を両側から挾持して同方向に搬送するようにほぼ平行に形成された平行搬送部を設けているとともに、前記第2搬送装置と第3搬送装置との間における挟持による刈取穀稈受け継ぎ箇所を前記第1伝動軸を内装する横向き伝動ケースよりも後方側に設定して、前記平行搬送部を前記横向き伝動ケースの上方位置で、かつ前方側から後方側にわたって横向き伝動ケースを跨ぐ状態に配設している。したがって、株元を挾持された状態で横向き伝動ケース上を乗り越える搬送穀稈は、たとえその株端が横向き伝動ケース上に泥土などが堆積する状態であっても、その泥土などとの摺接によって搬送姿勢を乱される虞が少ない。
b.穀稈搬送方向を横切る左右方向に沿わせて配置された横向き伝動ケース内に、走行機体側から動力を伝達される第1伝動軸を配置し、その第1伝動軸の左右各端部から左右各端部の引起し装置に対して夫々動力を伝達する上下方向の第2伝動軸を立設し、左右中間部に位置する引起し装置に対しては、前記第1伝動軸の左右中間部から前方側へ動力を導出する第3伝動軸によって、左右中間部の引起し装置への第4伝動軸の立設位置を、前記第2搬送装置の平行搬送部から外れた前方に位置ずれさせた状態にして動力伝達している。
その結果、第4伝動軸への伝動を行う伝動構造である第3伝動軸が穀稈の搬送経路を横切る状態で位置することを避けられるとともに、左右中間の引起し装置への伝動を行う第4伝動軸を、第2搬送装置の平行搬送部から外れた箇所に位置ずれさせるための手段として前記第3伝動軸が利用される。
c.第1伝動軸からの動力を左右中間部の引起し装置へ伝えるための第4伝動軸に対する伝動構造を、第1伝動軸の左右方向での一端部から動力を導出し、これからの分配動力を前記第4伝動軸に伝達するように前記一端部側から中間部側へ向けて伝動軸を配設して構成したものではなく、第1伝動軸の左右中間部から前方側へ動力を導出する第3伝動軸と、その第3伝動軸から立設した第4伝動軸とによって構成している。このように、第1伝動軸からの動力を左右中間部の引起し装置へ伝えるための伝動構造を、簡素化している。
【0008】
〔請求項2にかかる発明〕
請求項2にかかる発明の技術手段は、前記請求項1にかかる発明の構成に加えて、第2搬送装置で寄せ集められた刈取穀稈を後方の脱穀装置に向けて供給搬送する第3搬送装置を、走行機体側の後部支点周りでの揺動により前端側を上下位置変化させることで扱深さ調節可能に構成し、かつ、この第3搬送装置の前記第2搬送装置からの受け継ぎ箇所における穀稈搬送作用部分の搬送方向を、前記第2搬送装置の平行搬送部の搬送方向とほぼ一致する方向に沿わせてある点の構成を採用したことである。
【0009】
上記請求項2記載の発明によると、下記d.に記載の点に関する作用を奏する。
d.第3搬送装置の受け継ぎ箇所における穀稈搬送作用部分の搬送方向を、前記第2搬送装置の平行搬送部の搬送方向とほぼ一致する方向に沿わせてあるから、第3搬送装置を後部支点周りで揺動させて扱き深さ変更操作を行っても、第2搬送装置と第3搬送装置との受け継ぎ状態をほぼ一定の状態に維持することができる。
すなわち、扱き深さ調節のために第3搬送装置を上方側に揺動させるほど、第3搬送装置は、その最先端よりも少し後方寄りの箇所で第2搬送装置の終端から穀稈を受け継ぐことになる。これは、第3搬送装置の揺動支点が後方上方位置にあり、その最先端位置を最下方に位置させて最も短い穀稈を受け継ぐ姿勢とし、最先端位置を上方側へ揺動させて長い穀稈を受け継ぐ姿勢にするほど第3搬送装置と第2搬送装置との搬送範囲の重複代が増えてくるからである。
そして、左右方向の中央付近から機体横一側方へ穀稈を搬送する第3搬送装置の搬送面は、その最先端位置が左右中央付近に位置し、それよりも搬送終端側寄りの箇所で当然に搬送面が前記機体一側方寄りに位置変化しながら後方搬送するように構成されている。
したがって、第2搬送装置の平行搬送部の搬送方向と第3搬送装置の受け継ぎ箇所における穀稈搬送作用部分の搬送方向とが異なるものであると、上方側へ揺動させるほど第3搬送装置と第2搬送装置との搬送範囲の重複代が増えてくると同時に、左右方向での搬送受け継ぎ箇所に位置ずれが生じ、搬送穀稈の受け継ぎ姿勢に乱れを生じる虞があるが、前記搬送方向をほぼ一致させた本発明では、このような問題を未然に回避できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔全体の構造〕
図1には自脱型コンバインの前半部側面が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1Aを備えた走行機体1の前部に、3条分の植立穀稈を刈り取って左上後方に向けて搬送する刈取搬送部2を、左右向きの軸芯P周りに上下揺動駆動可能に装備させた刈取フレーム12を介して連結してある。そして、走行機体1の左側には、刈取搬送部2から刈取穀稈を受け取って脱穀・選別処理を施す脱穀装置3を、又、走行機体1の右側には、脱穀装置3からの選別処理後の穀粒を貯留する穀粒タンク4、及び、作業者が搭乗する操縦部5、などを搭載装備することによって、多条刈りコンバインの一例である3条刈り用コンバインが構成されている。
【0011】
〔刈取搬送部の構造〕
図1〜4に示すように、刈取搬送部2は、植立穀稈の株元側に作用して分草する4基の分草具6と、分草具6を経て導入された植立穀稈を引き起こす3基の引起し装置7と、引起し装置7により引き起こし作用を受ける植立穀稈の株元側を切断するバリカン型の刈取装置8とを備えた前処理装置Aと、その前処理装置Aから後方の前記脱穀装置3とにわたって穀稈を掻き込み搬送する穀稈搬送装置Bとで構成されている。
【0012】
前記前処理装置Aは、図1〜3及び図4に示すように、走行機体1の前部に上下揺動駆動可能に設けた刈取フレーム12に対して、各分装具6及び各引起し装置7と、刈取装置8とを支持させて構成されている。
前記各引起し装置7は、斜め後傾姿勢に立設された引起ケース7a、引起ケース7aにおける植立穀稈引き起こし経路側(引起し爪突出側)の上部に配備された駆動スプロケット7b、引起ケース7aの下部に配備された従動スプロケット7c、それらのスプロケット7b,7cに亘って巻き掛けられた回動チェーン7d、回動チェーン7dに引き起こし姿勢と格納姿勢とに姿勢変更可能な状態で一定間隔ごとに取り付けられた複数の引起爪7e、及び、引起ケース7aにおける戻り経路側の上部に配備されたテンションスプロケット7f、などで構成されており、引き起こし経路側に引起爪7eを突出させた姿勢で上昇する引起爪7eの係止引き上げ作用によって植立穀稈の引き起しを行うようになっている。
前記刈取装置8は、植立穀稈の株元近くを切断するように刈取フレーム12の下端近くに配設され、引起し装置7で穂先側が引き起こし作用を受け、株元側が後述する第1搬送装置による掻き込み作用を受けている状態の植立穀稈を切断するように構成されている。
【0013】
前記穀稈搬送装置Bは、図1,図2,図4及び図5に示すように、前記刈取装置8による切断対象の植立穀稈(刈取穀稈)を、刈取装置8の前方側から後方に向けて掻き込み搬送する3基の第1搬送装置9、掻き込み搬送された刈取穀稈を左右中央側に寄せ集めながらさらに後方に向けて搬送する左右一対の第2搬送装置10、左右中央に寄せ集められた刈取穀稈を起立姿勢から横倒し姿勢に徐々に姿勢変更しながら後方の脱穀装置3に向けて供給搬送する第3搬送装置11で構成されている。
【0014】
各第1搬送装置9は、後方側に配備された駆動プーリ9a、前方側に配備された従動プーリ9b、及び、それらのプーリ9a,9bに亘って巻き掛けられた突起付き回動ベルト9c、などで構成された回動ベルト機構9Aと、各駆動プーリ9aの下方に配設された掻き込み輪体9Bとを備えており、回動ベルト機構9Aと掻き込み輪体9Bとの係止搬送作用によって刈取穀稈の掻き込み搬送を行うようになっている。
【0015】
左右一対の第2搬送装置10は、図2,図4,及び図7に示すように、夫々突起付き回動チェーン10d(搬送帯の一例)、などで構成された挾持搬送機構10Aと、上下2段の係止搬送機構10Bとを備えて構成されている。
左側の第2搬送装置10の挾持搬送機構10Aは、左側端部に配備された駆動スプロケット10a、左右中央部に配備された第1従動スプロケット10b、左側の第1搬送装置9における駆動プーリ9aと掻き込み輪体9Bとの間に配備された第2従動スプロケット10c、及び、それらのスプロケット10a〜10cに亘って巻き掛けられた突起付き回動チェーン10d、などで構成されている。また、左側の第2搬送装置10の係止搬送機構10Bは、左側の第1搬送装置9における駆動プーリ9aの上方に配備された第1駆動スプロケット10e、その後方に配備された第1従動スプロケット10f、それらのスプロケット10e,10fに亘って巻き掛けられた第1回動チェーン10g、第1回動チェーン10gに一定間隔ごとに取り付けられた複数の第1係止搬送爪10h、第1従動スプロケット10fの上方に配備された第2駆動スプロケット10j、その後方に配備された第2従動スプロケット10k、それらのスプロケット10j,10kに亘って巻き掛けられた第2回動チェーン10m、及び、第2回動チェーン10mに一定間隔ごとに取り付けられた複数の第2係止搬送爪10n、などで上下2段い構成されており、これらの各係止搬送機構10Bの係止搬送作用と、前記挾持搬送機構10Aの挾持搬送作用とによって刈取穀稈の寄せ集め搬送を行うように構成されている。
右側の第2搬送装置10は、図2,図4に示すように、右側端部に配備された駆動スプロケット10a、左右中央部に配備された第1従動スプロケット10b、右側の第1搬送装置9における駆動プーリ9aと掻き込み輪体9Bとの間に配備された第2従動スプロケット10c、及び、それらのスプロケット10a〜10cに亘って巻き掛けられた突起付き回動チェーン(搬送帯の一例)10d、などで構成された挾持搬送機構10Aのみを備えており、挾持搬送機構10Aの挾持搬送作用によって刈取穀稈の寄せ集め搬送を行うようになっている。
【0016】
図1,図2及び図4に示すように、第3搬送装置11は、左側後部に配備された駆動スプロケット11a、その左側に配備された第1従動スプロケット11b、右側の第2搬送装置10における第1従動スプロケット10bの上方に配備された第2従動スプロケット11c、及び、それらのスプロケット11a〜11cに亘って巻き掛けられた突起付き回動チェーン11d、などで構成された挾持搬送機構11Aと、駆動スプロケット11aの上方に配備された駆動スプロケット11e、右側の第1搬送装置9の後部上方に配備された従動スプロケット11f、それらのスプロケット11e,11fに亘って巻き掛けられた回動チェーン11g、及び、回動チェーン11gに一定間隔ごとに取り付けられた複数の係止搬送爪11h、などで構成された係止搬送機構11Bとを備えており、挾持搬送機構11Aの挾持搬送作用と係止搬送機構11Bの係止搬送作用により刈取穀稈の供給搬送を行って、刈取穀稈の株元側を脱穀装置3のフィードチェーン3aに渡すとともに、刈取穀稈の穂先側を脱穀装置3内に導くようになっている。又、第3搬送装置11の係止搬送機構11Bは、右側の第1搬送装置9の後部上方から脱穀装置3のフィードチェーン3aに亘るように構成されていることから、その前部側部分が、右側の第2搬送装置10の係止搬送機構10Bを補助して刈取穀稈の寄せ集め搬送を行うようになっている。
【0017】
〔伝動構造〕
図1及び図4に示すように、刈取搬送部2の上下揺動支点である軸芯P上には、右端部に図外のエンジンからの動力が伝達される入力プーリ13を備えた左右向きのカウンタ軸14が配設されており、このカウンタ軸14を介して、引起し装置7、刈取装置8、第1搬送装置9、第2搬送装置10、及び、第3搬送装置11に対する伝動を行うようにしている。
【0018】
その伝動構造について詳述すると、図1,図2及び図4〜7に示すように、カウンタ軸14の左右中央部にはカウンタ軸14から前下方に向けて延出する主伝動軸15が、主伝動軸15の前端部には左右向きの第1伝動軸16の左右中央部が、第1伝動軸16の左右両端部には第1伝動軸16から対応する引起し装置7に亘る縦向きの第2伝動軸17の下端部が、第1伝動軸16の左右中央部には、前方に向く第3伝動軸33と、その第3伝動軸33の前端部から上方に向かう第4伝動軸34の下端部が、各第2伝動軸17と前記第4伝動軸34の上端部には対応する引起し装置7の駆動軸7gが、それぞれベベルギヤ18を介して伝動連結されている。
つまり、各引起し装置7には、カウンタ軸14に入力された動力を、筒状の刈取フレーム12の内部に配設された主伝動軸15、その刈取フレーム12の前端部に一体的に連結された筒状の横向き伝動ケース30の内部に配設された第1伝動軸16、及び、前記横向き伝動ケース30の左右各端部から上方に立設した縦向き伝動ケース31に内装された第2伝動軸17、横向き伝動ケース30の左右方向での中央部に一体に連結された前向き伝動ケース32に内装された第3伝動軸33、前記前向き伝動ケース32の前端部から上方に向けて立設した縦向き伝動ケース31に内装された第4伝動軸34を介して動力を伝達するように構成してある。
【0019】
その結果、各引起し装置7の上部に配備された駆動軸7gに亘って横架される動力分配軸などを設けなくても各引起し装置7に対する伝動を行えるようになり、それによって、それらを外囲する伝動ケースや見栄えを良くするための化粧カバーなどを各引起し装置7の上部に設ける必要がないので、その分、構成の簡素化並びに製造コストの低減化を図れるとともに、重心位置を低く抑えることができて機体の重量バランスの安定化を図れるようになる。又、各引起し装置7により引き起こされた植立穀稈の穂先側が動力分配軸などを覆う伝動ケースや化粧カバーに引っ掛かることがないので、その引っ掛かりに起因した、穂先側の搬送遅れや絡み付きなどによる搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルの発生を未然に回避できるようになる。その上、図3に示すように、各引起し装置7の上部同士の間が開放されて引起し装置7の直前箇所にある分草具6などに対する操縦部5からの見通しが良くなることから、刈り取り対象の植立穀稈に対してコンバインを正しく位置させる条合わせ作業などが行い易くなっている。
【0020】
図1,図2及び図4〜7に示すように、縦向き伝動ケース31のうち横向き伝動ケース30の左右両端側に位置するものは、下部縦向き伝動ケース31Aと上部縦向き伝動ケース31Bとに分割形成され、この左右両端側の縦向き伝動ケース31に内装される左右の第2伝動軸17は、ベベルギヤ17aを介して伝動連結される下部軸部分17bと上部軸部分17cからなる2分割構造に構成されている。
また、縦向き伝動ケース31のうち横向き伝動ケース30の左右中間部に位置する縦向き伝動ケース31は、横向き伝動ケース30の左右方向での中央部に一体に連結された前向き伝動ケース32の前端部に一体に連結固定された一本の筒状ケース31Cで構成され、その左右中間部の縦向き伝動ケース31に内装される第4伝動軸34も、上下の分割軸ではなく一本の連続した伝動軸で構成されている。
前記左右の下部縦向き伝動ケース31Aに内装される左右の下部軸部分17bは、対応する左右の引起し装置7の上部に向かう状態で、又、中央の第4伝動軸34へ動力を伝達する第3伝動軸33は、対応する中央の引起し装置7の下部に向かう前向き状態で、それぞれが第1伝動軸16に対して直角に設定されている。
左右の上部軸部分17cは、対応する左右の引起し装置7の駆動軸7gに向けて中央側に傾倒する状態で、又、中央の第4伝動軸34は、対応する中央の引起し装置7の駆動軸7gに向けて前傾する状態で、引起し装置7の駆動軸7gに亘るように姿勢設定されている。
左右の下部軸部分17bには、対応する第2搬送装置10の挾持搬送機構10Aの駆動スプロケット10aが一体回転するように外嵌装着されている。つまり、左右の第2伝動軸17の下部軸部分17bを第2搬送装置10の駆動軸に兼用した状態で、対応する左右の第2伝動軸17と第2搬送装置10とを連動連結している。
【0021】
左側の第2搬送装置10においては、挾持搬送機構10Aの第2従動スプロケット10cと下段の係止搬送機構10Bの第1駆動スプロケット10eとが、左側の掻き込み輪体9Bと第1回転軸10pとを介して一体回転するように連結されている。又、下段の係止搬送機構10Bの第1従動スプロケット10fと上段の係止搬送機構10Bの第2駆動スプロケット10jとが第2回転軸10qを介して一体回転するように連結されている。つまり、左側の第2搬送装置10においては、第2伝動軸17からの動力を挾持搬送機構10Aを介して上下の係止搬送機構10Bに伝達するようにしている。
【0022】
左右の各第1搬送装置9における駆動プーリ9aと掻き込み輪体9Bは、対応する左右の第2搬送装置10における挾持搬送機構10Aの第2従動スプロケット10cと一体回転するように連結されている。一方、中央の第1搬送装置9は、その駆動プーリ9aと掻き込み輪体9Bとが一体回転するように連結されるとともに、その掻き込み輪体9Bが右側の第1搬送装置9の掻き込み輪体9Bに噛合されている。つまり、対応する左右の第2搬送装置10と第1搬送装置9とを連動連結するとともに、右側の第1搬送装置9に中央の第1搬送装置9を連動連結して、第2伝動軸17からの動力を第2搬送装置10を介して各第1搬送装置9に伝達するようにしている。
【0023】
要するに、左右の引起し装置7に伝動する左右の第2伝動軸17に左右の第2搬送装置10を連動連結するとともに、それら左右の第2搬送装置10を介して、左右の第2伝動軸17からの動力を各第1搬送装置9に伝達することにより、下方の第1伝動軸16から各第1搬送装置9及び第2搬送装置10に伝動する縦軸や、第1伝動軸16と縦軸とを伝動連結するベベルギヤ又はウォームギヤなどを設けて、第1搬送装置9及び第2搬送装置10に対する専用の伝動部を構成しなくても、第1搬送装置9及び第2搬送装置10に伝動することができるので、第1搬送装置9及び第2搬送装置10に対する伝動構造の簡素化、及び、製造コストの低減化を図れるとともに、その伝動構造の簡素化によって、刈取穀稈とともに搬送される泥や雑草などの刈り取り搬送経路から下方への通過性を良くすることができて、刈り取り搬送経路に泥や雑草などが堆積することに起因した刈取穀稈の搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルを招き難くすることができるようになっている。
【0024】
又、左側の第2伝動軸17に連動連結される左側の第2搬送装置10には、係止搬送機構10Bを備えるとともに左側の第1搬送装置9を連動連結し、右側の第2伝動軸17に連動連結される右側の第2搬送装置10には、係止搬送機構10Bを備える代わりに右側の第1搬送装置9と中央の第1搬送装置9とを連動連結するようにしていることから、左右の第2伝動軸17にかかる伝動負荷の均衡化を図れるようになっている。
【0025】
そして、上記の左右一対の第2搬送装置10は、その挾持搬送機構10Aの搬送終端側における搬送作用部分を互いに相対向させた合流搬送経路Rを、相対向する側の第2搬送装置10との間に導入された刈取穀稈の株元を両側から挾持して同方向に搬送するようにほぼ平行に形成された平行搬送部10rによって構成してある。
この平行搬送部10rは、前記第1伝動軸16を内装する横向き伝動ケース30の上方位置で、かつ横向き伝動ケース30の前方側から後方側にわたって横向き伝動ケース30を跨ぐ状態に配設されている。
また、この第2搬送装置10の平行搬送部10rは、前記左右中間位置の引起し装置2への伝動用の第4伝動軸34に対しては、これから外れた前方位置に配設してあって、寄せ集められる穀稈が第4伝動軸34の存在によって移動を妨げられることなく合流搬送経路Rに寄せ集められるように構成されている。
そして、この第2搬送装置10の平行搬送部10rで構成される合流搬送経路Rの向きは、その合流搬送経路Rでの穀稈移動方向が、後述する第3搬送装置11の搬送始端部における穀稈移動方向とほぼ一致するように方向付けられている。
【0026】
図4及び図6に示すように、刈取装置8は、その可動刃(図示せず)が、第1伝動軸16にベベルギヤ19を介して伝動連結されたクランク軸20に連係されている。つまり、刈取装置8には第1伝動軸16からの動力を伝達するようにしている。
【0027】
図1,図2及び図4に示すように、第3搬送装置11は、カウンタ軸14の左端部にベベルギヤ21を介して伝動連結された縦搬送伝動軸22に、挾持搬送機構11Aの駆動スプロケット11aと係止搬送機構11Bの駆動スプロケット11eが一体回転するように外嵌装着されている。つまり、第3搬送装置11には、カウンタ軸14からの動力を縦搬送伝動軸22を介して伝達するようにしている。
【0028】
第3搬送装置11は、電動モータを駆動源とする図外の電動操作機構の作動で、後部支点となるカウンタ軸14の軸芯P周りで揺動して姿勢変更するように構成されている。この構成から、第3搬送装置11を軸芯P周りに揺動操作することによって、第1搬送装置9及び第2搬送装置10により搬送される刈取穀稈に対する第3搬送装置11の前端側の位置を刈取穀稈の稈長方向で調節することができ、これによって、刈取穀稈長さなどに応じた脱穀装置3に対する刈取穀稈穂先側の導入長さを調節できるようになっている。つまり、第3搬送装置11は、その後端部に設定された軸芯P周りでの揺動で脱穀装置3による刈取穀稈の扱深さを調節する扱深さ調節機構として機能するように構成されている。
このときの第3搬送装置11の前記軸芯P周りでの揺動によっては、第3搬送装置11の始端部の搬送方向は変化せず、したがって、前記第2搬送装置10の合流搬送経路Rでの搬送方向に沿う状態が保たれたままでの扱き深さ変更が行われる。
【0029】
又、第3搬送装置11は、通常、刈取穀稈が短い場合には下降揺動操作され、逆に、刈取穀稈が長い場合には上昇揺動操作されることによって、刈取穀稈が短いことに起因した浅扱きの発生や、刈取穀稈が長いことに起因した深扱きの発生を防止するようになることから、第3搬送装置11の係止搬送機構11Bにおける前部側部分を係止搬送機構10Bの補助搬送手段に兼用する右側の第2搬送装置10においては、刈取穀稈の寄せ集め搬送を刈取穀稈の長さに関係なく好適に行えるようになり、又、これに対し、左側の第2搬送装置10においては、先述のように上下2段の係止搬送機構11Bを備えることから、刈取穀稈の寄せ集め搬送を刈取穀稈の長さに関係なく好適に行えるようになっている。
【0030】
図1及び図5〜7に示すように、カウンタ軸14や主伝動軸15などの引起し装置7、刈取装置8、第1搬送装置9、第2搬送装置10、及び、第3搬送装置11に対する各伝動系は刈取フレーム12に内装されている。
つまり、刈取フレーム12は、それらの伝動系を外囲する伝動ケースに兼用可能に構成されている。そのため、刈取フレーム12において、左右の第2伝動軸17の下部軸部分17bを外囲する伝動ケースとなるフレーム部分12Aには、第2搬送装置10の突起付き回動チェーン10dの挿通を許容する開口12aを形成し、この開口12aから、下部軸部分17bに装着された駆動スプロケット10aに突起付き回動チェーン10dを巻き掛けるようにしている。
【0031】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
[ 1] コンバインとしては、4条以上の刈り取り作業を行うように構成されたものであってもよい。
[ 2] 第1伝動軸16の左右方向での中間部から分岐して前方側へ動力を導きだすための第3伝動軸33の分岐箇所を、第2搬送装置10の合流搬送経路Rの左右幅内相当箇所に設定するとともに、第3伝動軸を前記第1伝動軸16に対して、前記合流搬送経路Rに沿うように斜めに配置し、かつ、この第3伝動軸33を内装する前向き伝動ケース32も、横向き伝動ケース30に対して前記合流搬送経路Rに沿うように斜めに配設してもよい。
このように前向き伝動ケース32が合流搬送経路Rに沿う方向に配設されると、この前向き伝動ケース32が横向き伝動ケースに直交して合流搬送経路Rを斜めに横切るような構造のもに比べて、搬送穀稈の株端が移動抵抗を受ける虞がより少なくて済む。
【0032】
【発明の効果】
上記請求項1記載の発明によると、下記の効果を奏する。
[イ] 左右一対の第2搬送装置の互いに相対向する搬送作用部分に、相対向する側の第2搬送装置との間に導入された刈取穀稈の株元を両側から挾持して同方向に搬送するようにほぼ平行に形成された平行搬送部を設け、前記第2搬送装置と第3搬送装置との間における挟持による刈取穀稈受け継ぎ箇所を前記第1伝動軸を内装する横向き伝動ケースよりも後方側に設定して、前記平行搬送部を前記横向き伝動ケースの上方位置で、かつ前方側から後方側にわたって横向き伝動ケースを跨ぐ状態に配設しているので、株元を挾持された状態で横向き伝動ケース上を乗り越える搬送穀稈は、たとえその株端が横向き伝動ケース上に泥土などが堆積する状態であっても、その泥土などとの摺接によって搬送姿勢を乱される虞が少ない。したがって、第2搬送装置部分での搬送姿勢乱れを抑止することができる。
[ロ] 左右各端部の引起し装置に対しては第1伝動軸の左右各端部から夫々動力を伝達し、左右中間部に位置する引起し装置に対しては、第1伝動軸の左右中間部から前方側へ動力を導出する第3伝動軸を介して、左右中間部の引起し装置への第4伝動軸の立設位置を、前記第2搬送装置の平行搬送部から外れた前方に位置ずれさせた状態にして動力伝達している。
その結果、第4伝動軸への伝動を行う伝動構造である第3伝動軸が穀稈の搬送経路を横切る状態で位置することを避けられるとともに、左右中間の引起し装置への伝動を行う第4伝動軸を、第2搬送装置の平行搬送部から外れた箇所に位置ずれさせるための手段として前記第3伝動軸が利用され、簡単構造で第2搬送装置による合流搬送経路に至るまでの搬送部分での搬送乱れを抑制することができる。
[ハ] 第1伝動軸の左右方向での一端部から導出した分配動力を中間部側へ向けて配設した伝動軸によって前記第4伝動軸に伝達するように構成するのではなく、第1伝動軸の左右中間部から前方側へ動力を導出する第3伝動軸と、その第3伝動軸から立設した第4伝動軸とによって構成している。
このように、第1伝動軸からの動力を左右中間部の引起し装置へ伝えるための伝動構造を簡素化したことによって、刈取穀稈とともに搬送される泥や雑草などの穀稈搬送搬送経路から下方への通過性を良くすることができ、穀稈搬送経路の下部に泥や雑草などが堆積することに起因した刈取穀稈の搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルを招き難くすることができる。
[ニ] 上記[イ]〜[ハ]に記載のように、第2搬送装置での合流搬送経路に至る間での搬送、ならびに合流搬送経路での搬送を、左右中間の引起し装置に対する伝動構造としての第3,第4伝動軸の存在、及び左右各端部の引起し装置に対して動力を伝達する第1伝動軸を内装した横向き伝動ケースの存在に拘わらず、搬送姿勢乱れの少ない状態で行うことができる。
【0033】
上記請求項2記載の発明によると、下記の効果を奏する。
[ ホ]
第3搬送装置の受け継ぎ箇所における穀稈搬送作用部分の搬送方向を、前記第2搬送装置の平行搬送部の搬送方向とほぼ一致する方向に沿わせてあるから、第3搬送装置を後部支点周りで揺動させて扱き深さ変更操作を行っても、第2搬送装置と第3搬送装置との受け継ぎ状態をほぼ一定の状態に維持して円滑な受け継ぎを行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自脱型コンバインの前半部側面図
【図2】刈取搬送部の構成を示す平面図
【図3】刈取搬送部の構成を示す正面図
【図4】刈取搬送部の伝動構成を示す伝動系統図
【図5】横向き伝動ケースと左右の第2搬送装置の配置関係を示す平面図
【図6】横向き伝動ケースと左右の第2搬送装置との配置関係を示す展開図
【図7】横向き伝動ケースと左側の第2搬送装置との配置関係、及び左側の第2搬送装置の伝動構造を示す側面図
【符号の説明】
3 脱穀装置
7 引起し装置
8 刈取装置
9 第1搬送装置
10 第2搬送装置
10r 平行搬送部
11 第3搬送装置
12 刈取フレーム
15 主伝動軸
16 第1伝動軸
17 第2伝動軸
30 横向き伝動ケース
33 第3伝動軸
34 第4伝動軸
A 前処理装置
B 穀稈搬送装置
P 後部支点
R 合流搬送経路
Claims (2)
- 3基以上の引起し装置と、それらの引起し装置で引き起こされた植立穀稈を刈り取る刈取装置とを備えた前処理装置を、走行機体側から前方下方に向けて延設された刈取フレームの前端部側に支持させ、
前記各引起し装置により引き起こされる夫々の刈取穀稈を後方に向けて掻き込み搬送する第1搬送装置と、前記第1搬送装置で掻き込まれた刈取穀稈を左右方向での一箇所に寄せ集め搬送する左右一対の第2搬送装置と、前記第2搬送装置で寄せ集められた刈取穀稈を後方の脱穀装置に向けて供給搬送する第3搬送装置とを備えるとともに、
刈取フレームの前端部に対して穀稈搬送方向を横切る左右方向に沿わせて配置された横向き伝動ケース内に、走行機体側から動力を伝達される第1伝動軸を配置して、この第1伝動軸を介して前記各引起し装置に対する動力を伝達するように構成した多条刈りコンバインであって、
前記第1伝動軸の左右各端部から左右各端部の引起し装置に対して夫々動力を伝達する上下方向の第2伝動軸を立設し、左右中間部に位置する引起し装置に対しては、前記第1伝動軸の左右中間部から前方側へ動力を導出する第3伝動軸と、その第3伝動軸から上方へ立設した第4伝動軸とを介して動力を伝達するとともに、
前記左右一対の第2搬送装置の搬送終端側における搬送作用部分を互いに相対向させた合流搬送経路を、相対向する側の第2搬送装置との間に導入された刈取穀稈の株元を両側から挾持して同方向に搬送するようにほぼ平行に設置された平行搬送部によって構成し、
前記第2搬送装置と第3搬送装置との間における挟持による刈取穀稈受け継ぎ箇所を前記第1伝動軸を内装する横向き伝動ケースよりも後方側に設定して、前記平行搬送部を前記横向き伝動ケースの上方位置で、かつ前方側から後方側にわたって横向き伝動ケースを跨ぐ状態に配設し、
前記第4伝動軸は、前記第2搬送装置の平行搬送部から外れた前方位置に配設してある多条刈りコンバイン。 - 第2搬送装置で寄せ集められた刈取穀稈を後方の脱穀装置に向けて供給搬送する第3搬送装置を、走行機体側の後部支点周りでの揺動により前端側を上下位置変化させることで扱深さ調節可能に構成し、かつ、この第3搬送装置の前記第2搬送装置からの受け継ぎ箇所における穀稈搬送作用部分の搬送方向を、前記第2搬送装置の平行搬送部の搬送方向とほぼ一致する方向に沿わせてある請求項1記載の多条刈りコンバイン。
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