JP3698391B2 - 機上現像型平版印刷版用原版 - Google Patents

機上現像型平版印刷版用原版 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は親水性表面を有する支持体上に、疎水性(以下、親油性ともいう)の層(画像形成層)を有するポジ型の機上現像型平版印刷用原版に関する。より詳しくは、ディジタル信号に基づいた走査露光による製版が可能であり、且つ現像することなしにそのまま印刷機に装着し印刷することが可能な機上現像型平版印刷版用原版及びその機上現像型平版印刷版用原版を用いた平版印刷版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインクを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。このような平版印刷版用原版としては、従来、親水性支持体上に、親油性の感光性樹脂層を設けたPS版が広く用いられる。その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光した後、非画像部を現像液によって溶解除去する。この方法により所望の印刷版を得ていた。
近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及してきており、この様な、ディジタル化技術に対応した、新しい画像出力方式が種々実用される様になっきた。これに伴い、レーザ光の様な指向性の高い活性放射線をディジタル化された画像情報に応じて走査し、リスフィルムを介することなく、直接印刷版を製造するコンピュータ トゥ プレート技術が切望されており、これに適応した印刷版用原版を得ることが重要な技術課題となっている。
【0003】
他方、従来のPS版に於ける製版行程は、露光の後、非画像部を溶解除去する工程が不可欠であり、この様な付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来技術に対し、改善の望まれてきたもう一つの課題である。特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。処理の簡素化、乾式化、無処理化は、この様な環境面と、先述のディジタル化に伴った工程の合理化の両方の観点から、従来にも増して、強く望まれるようになっている。
【0004】
この様な観点から、従来の処理工程をなくした方法の一つとして次のような方法が提案されている。即ち、印刷版用原版の非画像部の除去を通常の印刷過程のなかで行えるような感光層を用い、現像工程を行うことなく、露光後、印刷機上で現像し最終的な印刷版を得る方式である。この様な方法での平版印刷版の製版方式は機上現像方式と呼ばれる。具体的方法としては、例えば、湿し水やインク溶剤に可溶な感光層の使用、印刷機中の圧胴やブランケット胴との接触による力学的除去を行う方法等が挙げられる。しかしながら、機上現像方式の大きな問題は、印刷用原版は露光後も、感光層が定着されないため、例えば、印刷機に装着するまでの間、原版を完全に遮光及び/もしくは恒温条件にて保存する、といった非効率な方法をとる必要があった。
【0005】
一方、走査露光による印刷版の製造法として、最近、半導体レーザ、YAGレーザ等の固体レーザで高出力なものが安価に入手できるようになってきたことから、特に、これらのレーザを用いる方法が有望視されるようになってきた。これらの高出力レーザを用いた高パワー密度露光系では、従来の、低〜中パワー密度露光用感光材料系に利用される光反応とは異なった、様々な現象を利用できる。具体的には、化学変化の他、相変化、形態変化等の構造変化を利用できる。通常、このような高パワー密度露光による記録方式はヒートモード記録と呼ばれる。高パワー密度露光系では、多くの場合、感光材料に吸収された光エネルギーは、熱に変換され、生じた熱によって、所望の現象が引き起こされると信じられる為である。
【0006】
この様なヒートモード記録方式の大きな長所は露光後の像の定着が必須ではないことにある。
即ち、ヒートモード感材の画像記録に利用される現象は、普通の強度の光に対する暴露や、普通の環境温度下では実質的に生じないため、露光後の画像の定着は必須ではない。従って、例えば、ヒートモード露光により不溶化若しくは可溶化する感光層を用い、製版を機上現像方式で行えば、現像(非画像部の除去)は、画像露光後、任意の時間、たとえ環境光に暴露させてから行っても、得られる画像に変化が生じないシステムが可能である。
従ってヒートモード記録によれば、先述の機上現像方式に望ましい平版印刷版用原版を得ることも可能となる。
【0007】
ヒートモード記録に基づく平版印刷版の好ましい製造法の一つとして、親水性の支持体上に疎水性の画像形成層を設け、画像状にヒートモード露光し、疎水性層の溶解性・分散性を変化させ、必要に応じ、湿式現像により非画像部を除去する方法が提案されている。
この様な原版の例として、例えば、特公昭46ー27919号には、親水性支持体上に、熱により溶解性が向上しいわゆるポジ作用を示す記録層、具体的には糖類やメラミンホルムアルデヒド樹脂等の特定の組成を有する記録層を設けた原版をヒートモード記録することによって、印刷版を得る方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、開示された記録層はいずれも感熱性が十分でないため、ヒートモード走査露光感度がはなはだ不十分であった。また、露光前後の疎水性/親水性のディスクリミネーション、即ち、溶解性の変化が小さいことも、実用上問題であった。この様な小さいディスクリミネーションで、機上現像方式の製版を行うことは実質不可能に近い。
【0009】
また、従来のヒートモードポジ方式原版には別の大きな問題として非画像部への残膜があった。即ち、記録層中の支持体近傍での露光による溶解性変化が、記録層表面近傍に比較して小さいという点の改良が必要であった。該ヒートモードポジ型原版においては、ヒートモード露光時の熱の発生は記録層中の光吸収剤の光吸収に基くものであるため、熱の発生量は記録層表面で大きく、支持体近傍では小さい。このため、支持体近傍での記録層の親水化の程度が比較的低くなってしまうものである。結果として、しばしば、本来、親水性表面を提供すべき露光部において、疎水性の残膜が生じることがあった。この様な、非画像部の残膜は、印刷性能上汚れやすいという問題を生じる。特に、印刷適性上好ましい、Alのような熱伝導性の高い金属支持体を用いた場合、熱拡散によって、一層、支持体近傍での温度上昇が妨げられるため、残膜の問題は顕著である。基板付近の十分な親水性を得るためには、極端に大きな露光エネルギーを要するか、若しくは露光後の加熱といった後処理を実施する必要があった。
【0010】
この様なヒートモード刷版における露光時の支持体への熱拡散による弊害を改善する方法として、例えば、特開昭52−37104号や、特開昭52−118417号には、支持体表面に一定の厚さ以上の酸化アルミの層を設けて熱拡散を低減する方法が提案されている。この方法は、確かに効果はあるが、不十分であり、ヒートモードポジ刷版の残膜をなくすには至らない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、短時間での走査露光によって製版可能であり、非画像部の親水性、画像部の強度に優れ、印刷性能上汚れ性、耐刷性に優れたヒートモードポジ型平版印刷版を製造する事のできる機上現像型平版印刷版用原版を提供することにある。また、本発明の他の目的は、広くヒートモードポジ型印刷版用原版に対し、残膜等の、支持体近傍での熱反応の不足による実用上の問題を解決する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、下記機上現像型平版印刷版用原版を用いることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、親水性表面を有する支持体の上に、(a)側鎖に熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有する疎水性高分子化合物(以下、極性変換高分子化合物ともいう)と、(b)レーザー光を吸収して熱に変換しうる光吸収剤と、(c)固形粒子とを含有する層を有する機上現像型平版印刷版用原版、および、この機上現像型平版印刷版用原版を、レーザー露光により画像様に露光した後、露光部記録層を印刷機上で除去することを特徴とする平版印刷版の製造方法、である。
【0013】
本発明の平版印刷用原版によれば、露光部では、露光後の光熱変換により発生した熱により、画像形成層に加えられた極性変換(熱により疎水性から親水性に変化する)高分子化合物の極性変換官能基が、疎水性から親水性に変化し、極性変換高分子化合物も疎水性から親水性に変化する。これにより、親水化した極性変換高分子化合物は、湿し水等に可溶化し、支持体から除去され、平版印刷版が形成される。
【0014】
ここで、疎水性高分子化合物中に、固体粒子を導入すると、(1)画像形成層の熱伝導率分布が変化し基板への熱拡散が固体粒子への熱拡散により抑制される。固体粒子に蓄えられた熱が極性変換高分子化合物の疎水性基をゆっくりとほぼ完全に分解する、(2)印刷機上において湿し水により極性変換した高分子化合物が除去されると固体粒子が顔を出す。すると印刷による外力によって固体粒子がかき取られるが、この時該高分子化合物も同時にかき取っていくために現像性が良くなる、という二つの効果で残膜が無くなり印刷物が汚れなくなる。故に、本発明の平版印刷用原版によれば、相対的に速い速度でレーザー露光したときでも非画像部に汚れが生じなくなる。
【0015】
このような極性変換官能基としては、下記一般式(1)〜(5)で表される官能基が、感熱性に優れるうえ、極性変換後の親水性が高いため、非常に好適である。
【0016】
【化1】
Figure 0003698391
【0017】
(式中、Lは非金属原子から成る多価の連結基を表し、R2はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基又は環状イミド基を表し、R3、R4はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R5はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基又は−SO2−R12を表し、R6、R7及びR8はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R9及びR10の内の一方は水素、他方は水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R11はアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R12はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R6、R7及びR8の内の任意の2つもしくは3つで環を形成してもよく、R9とR11又はR10とR11で環を形成してもよい。)
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明による平版印刷用原版は、親水性表面を有する支持体上に、(a)極性変換高分子化合物と、(b)光吸収剤(以下、光熱変換剤ともいう)と、(c)固形粒子とを含有する層(以下、画像形成層ともいう)を有するものである。
[画像形成層]
本発明に用いられる「画像形成層」とは、以下に説明する極性変換高分子化合物及び光熱変換剤等を含有する層をいう。
【0019】
[極性変換高分子化合物]
本発明に用いられる極性変換高分子化合物とは、前述した通り、側鎖に熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有する疎水性高分子化合物である。この変化は、レーザー露光時の光熱変換により熱が加えられた場合に、常温では水に対して溶解するかまたは膨潤する等の親和性を示さない高分子化合物が、熱によって側鎖の極性変換官能基の一部もしく全部が変化して水に対して溶解するかまたは膨潤する等の親和性を示すようになる程度の変化であることを要する。
なお、本発明に用いられる極性変換高分子化合物において、親水性官能基は含まれていてもよく、特に制限はない。
【0020】
極性変換高分子化合物側鎖の極性変換官能基が、熱により疎水性から親水性に変化する過程としては、元々疎水性の側鎖官能基が熱により反応して親水性に変化する過程と、元々疎水性の側鎖官能基が熱により分解して疎水性官能基を失うことで親水性に変化する二つの過程が考えられる。
前者の熱により反応して親水性に変化する過程としては、疎水性官能基がポリマー内部の他の官能基と熱により反応して親水性に変化する過程と、疎水性官能基がポリマー外部の他の化合物と熱により反応して親水性に変化する過程とが考えられ、これらを二種組み合わせた過程により親水性に変化しても良い。
【0021】
上述した過程のうち、反応性の観点から、元々疎水性の側鎖官能基が熱により分解して疎水性官能基を失うことで親水性に変化する過程が好ましい。
また、本発明においては、極性変換高分子化合物の側鎖の極性変換官能基が総て親水性に変化することがより好ましいが、極性変換高分子化合物が、水に対して溶解するかまたは膨潤する等の親和性を示すようになる程度に起これば、特に制限はなく、その総てが親水性に変化しなくても良い。
熱により疎水性から親水性に変化する官能基の好ましい例としては、下記一般式(1)〜(5)で表される官能基が挙げられる。
【0022】
【化2】
Figure 0003698391
【0023】
式中、Lは非金属原子から成る多価の連結基を表し、R2はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基又は環状イミド基を表し、R3、R4はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R5はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基又は−SO2−R12を表し、R6、R7及びR8はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R9及びR10の内の一方は水素、他方は水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R11はアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R12はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R6、R7及びR8の内の任意の2つもしくは3つで環を形成してもよく、R9とR11又はR10とR11で環を形成してもよい。
【0024】
1〜R11がアルキル基を表すとき、アルキル基としては、炭素原子数が1〜20までの直鎖状、分岐状及び環状のアルキル基を挙げることができる。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1〜12までの直鎖状、炭素原子数3〜12までの分岐状、並びに炭素原子数5〜10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0025】
1〜R11が置換アルキル基を表すとき、その置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
【0026】
これらの置換基におけるアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(R12CO−)におけるR12としては、水素及び上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
【0027】
これら置換基の内、更により好ましいものとしては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基等が挙げられる。
【0028】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては、前述の炭素数1〜20のアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除き、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1〜12までの直鎖状、炭素原子数3〜12までの分岐状、及び炭素原子数5〜10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0029】
1 〜R9 及びR11が、アリール基を表すとき、アリール基としては、1個〜3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。また、アリール基には上記炭素環式アリール基の他、複素環式(ヘテロ)アリール基が含まれる。複素環式アリール基としては、ピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基等の炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用いられる。
【0030】
1〜R9及びR11が、置換アリール基を表すとき、置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基及び先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
【0031】
この様な、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
【0032】
1 〜R11が、アルケニル基、置換アルケニル基[−C(R13)=C(R14)(R15)]、アルキニル基、又は置換アルキニル基[−C≡C(R16)]を表すとき、R13〜R16としては、一価の非金属原子団を使用することができる。
好ましいR13〜R16の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基及び置換アリール基を挙げることができる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。R1316のより好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子及び炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を挙げることができる。アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基の具体例としては、ビニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、プロピニル基、フェニルエチル基等を挙げることができる。
【0033】
1が環状イミド基を表すとき、環状イミドとしては、コハク酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキサンジカルボン酸イミド、ノルボルネンジカルボン酸イミド等の炭素原子4〜20までのものを用いることができる。
上記のうち、R1として特に好ましいものは、アルキル基、置換基アルキル基及び環状イミド基である。
また、上記のうちR2、R3、R4、及びR11として特に好ましいものは、ハロゲン、シアノ、ニトロ等の電子吸引性基で置換されたアルキル基、ハロゲン、シアノ、ニトロ等の電子吸引性基で置換されたアリール基及び2級もしくは3級の分岐状アルキル基である。
5〜R9として好ましいものは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基であり、R10として好ましいものは、アルキル基または置換アルキル基であって、R5、R6及びR7のうちの任意の2つ若しくは3つで環を形成した場合並びにR8とR10又はR9とR10で環を形成した場合である。
【0034】
Lで表される非金属原子からなる多価の連結基とは、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
【0035】
【化3】
Figure 0003698391
【0036】
多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としてはメチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基のような炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基のような炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基のような炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネートのような炭酸エステル基等を用いることができる。
【0037】
本発明の極性変換高分子化合物を合成するために好適に使用される、熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有するモノマーの具体例を以下に示す。
【0038】
【化4】
Figure 0003698391
【0039】
【化5】
Figure 0003698391
【0040】
【化6】
Figure 0003698391
【0041】
【化7】
Figure 0003698391
【0042】
【化8】
Figure 0003698391
【0043】
【化9】
Figure 0003698391
【0044】
【化10】
Figure 0003698391
【0045】
【化11】
Figure 0003698391
【0046】
本発明の極性変換高分子化合物は、その側鎖の少なくとも一部に熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有していれば、特に制限はなく、その側鎖の少なくとも一部に親水性官能基を有していてもよい。また、側鎖には熱により疎水性から親水性に変化する官能基や親水性官能基以外の官能基を有していても良い。故に、熱により疎水性から親水性に変化する官能基や親水性官能基以外の官能基を有するモノマーとの共重合体であっても、本発明の効果を妨げない限り、好適に使用することができる。このような側鎖を有するモノマーとしては、以下のようなモノマーが挙げられる。
【0047】
共重合体に用いられる他のモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸塩類、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸、メタクリル酸塩類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、マレイン酸、マレイン酸無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、マレイン酸アミド類、マレイン酸イミド類、イタコン酸、イタコン酸塩類、イタコン酸無水物、イタコン酸エステル類、イタコン酸アミド類、イタコン酸イミド類、クロトン酸、クロトン酸塩類、クロトン酸エステル類、クロトン酸アミド類、フマル酸、フマル酸塩類、フマル酸エステル類、フマル酸アミド類、メサコン酸、メサコン酸塩類、メサコン酸エステル類、メサコン酸アミド類、α,β−不飽和ラクトン類、α,β−不飽和ラクタム類、不飽和炭化水素類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、α,β−不飽和ケトン類、スチレン類、環状エーテル類、環状スルフィド類、環状アミン類、環状ジスルフィド類、アルデヒド類、環状アセタール類、ラクトン類、ラクタム類、環状カーボネート類、環状ウレア類、環状ウレタン類、環状酸無水物類、スピロオルトカーボネート類、スピロオルトエステル類、アクリロニトリル、等の公知のモノマーが挙げられる。
【0048】
アクリル酸塩類の具体例としては、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
【0049】
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−(n−又はi−)プロピルアクリルアミド、N−(n−、i−、sec−又はt−)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0050】
メタクリル酸塩類の具体例としては、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸アンモニウム、メタクリル酸テトラメチルアンモニウム、メタクリル酸亜鉛等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
【0051】
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−(n−又はi−)プロピルメタクリルアミド、N−(n−、i−、sec−又はt−)メタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0052】
クロトン酸塩類の具体例としては、クロトン酸ナトリウム、クロトン酸カリウム、クロトン酸アンモニウム、クロトン酸テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
クロトン酸エステル類の具体例としては、メチルクロトネート、エチルクロトネート、(n−又はi−)プロピルクロトネート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルクロトネート、ペンチルクロトネート、ヘキシルクロトネート、ヘプチルクロトネート、オクチルクロトネート、ノニルクロトネート、デシルクロトネート、アミルクロトネート、2−エチルヘキシルクロトネート、ドデシルクロトネート、クロロエチルクロトネート、2−ヒドロキシエチルクロトネート、2−ヒドロキシプロピルクロトネート、5−ヒドロキシペンチルクロトネート、シクロヘキシルクロトネート、アリルクロトネート、トリメチロールプロパンモノクロトネート、ペンタエリスリトールモノクロトネート、ベンジルクロトネート、メトキシベンジルクロトネート、クロロベンジルクロトネート、ヒドロキシベンジルクロトネート、ヒドロキシフェネチルクロトネート、ジヒドロキシフェネチルクロトネー卜、フルフリルクロトネート、テトラヒドロフルフリルクロトネート、フェニルクロトネート、ヒドロキシフェニルクロトネート、クロロフェニルクロトネート、スルファモイルフェニルクロトネート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルクロトネート等が挙げられる。
【0053】
クロトン酸アミド類の具体例としては、クロトン酸アミド、N−メチルクロトン酸アミド、N−エチルクロトン酸アミド、N−(n−又はi−)プロピルクロトン酸アミド、N−(n−、i−、sec−又はt−)クロトン酸アミド、N−ベンジルクロトン酸アミド、N−ヒドロキシエチルクロトン酸アミド、N−フェニルクロトン酸アミド、N−トリルクロトン酸アミド、N−(ヒドロキシフェニル)クロトン酸アミド、N−(スルファモイルフェニル)クロトン酸アミド、N−(フェニルスルホニル)クロトン酸アミド、N−(トリルスルホニル)クロトン酸アミド、N,N−ジメチルクロトン酸アミド、N−メチル−N−フェニルクロトン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルクロトン酸アミド等が挙げられる。
【0054】
マレイン酸塩類の具体例としては、マレイン酸二ナトリウム塩、マレイン酸モノカリウム塩、マレイン酸ジアンモニウム、マレイン酸モノテトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
マレイン酸エステル類の具体例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ(n−又はi−)プロピル、マレイン酸ジ(n−、i−、sec−又はt−)ブチル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ジアリル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノ(n−又はi−)プロピル、マレイン酸モノ(n−、i−、sec−又はt−)ブチル、マレイン酸ジベンジル、マレイン酸モノベンジル、マレイン酸メチルエチル、マレイン酸メチルプロピル、マレイン酸エチルプロピル等が挙げられる。
【0055】
マレイン酸アミド類の具体例としては、マレイン酸アミド、N−メチルマレイン酸アミド、N−エチルマレイン酸アミド、N−(n−又はi−)プロピルマレイン酸アミド、N−(n−、i−、sec−又はt−)ブチルマレイン酸アミド、N−ベンジルマレイン酸アミド、N−ヒドロキシエチルマレイン酸アミド、N−フェニルマレイン酸アミド、N−トリルマレイン酸アミド、N−(ヒドロキシフェニル)マレイン酸アミド、N−(スルファモイルフェニル)マレイン酸アミド、N−(フェニルスルホニル)マレイン酸アミド、N−(トリルスルホニル)マレイン酸アミド、N,N−ジメチルマレイン酸アミド、N−メチル−N−フェニルマレイン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルマレイン酸アミド、N−メチルマレイン酸モノアミド、N−エチルマレイン酸モノアミド、N,N−ジメチルマレイン酸モノアミド、N−メチル−N’−エチルマレイン酸アミド、N−メチル−N’−フェニルマレイン酸アミド等が挙げられる。
【0056】
マレイン酸イミド類の具体例としては、マレイン酸イミド、N−メチルマレイン酸イミド、N−エチルマレイン酸イミド、N−(n−又はi−)プロピルマレイン酸イミド、N−(n−、i−、sec−又はt−)ブチルマレイン酸イミド、N−ベンジルマレイン酸イミド、N−ヒドロキシエチルマレイン酸イミド、N−フェニルマレイン酸イミド、N−トリルマレイン酸イミド、N−(ヒドロキシフェニル)マレイン酸イミド、N−(スルファモイルフェニル)マレイン酸イミド、N−(フェニルスルホニル)マレイン酸イミド、N−(トリルスルホニル)マレイン酸イミド等が挙げられる。
【0057】
イタコン酸塩類の具体例としては、イタコン酸ジナトリウム、イタコン酸モノカリウム、イタコン酸ジアンモニウム、イタコン酸モノテトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
イタコン酸エステル類の具体例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジ(n−又はi−)プロピル、イタコン酸ジ(n−、i−、sec−又はt−)ブチル、イタコン酸ジフェニル、イタコン酸ジアリル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノ(n−又はi−)プロピル、イタコン酸モノ(n−、i−、sec−又はt−)ブチル、イタコン酸ジベンジル、イタコン酸モノベンジル、イタコン酸メチルエチル、イタコン酸メチルプロピル、イタコン酸エチルプロピル等が挙げられる。
【0058】
イタコン酸アミド類の具体例としては、イタコン酸アミド、N−メチルイタコン酸アミド、N−エチルイタコン酸アミド、N−(n−又はi−)ブロピルイタコン酸アミド、N−(n−、i−、sec−又はt−)ブチルイタコン酸アミド、N−ベンジルイタコン酸アミド、N−ヒドロキシエチルイタコン酸アミド、N−フェニルイタコン酸アミド、N−トリルイタコン酸アミド、N−(ヒドロキシフェニル)イタコン酸アミド、N−(スルファモイルフェニル)イタコン酸アミド、N−(フェニルスルホニル)イタコン酸アミド、N−(トリルスルホニル)イタコン酸アミド、N,N−ジメチルイタコン酸アミド、N−メチル−N−フェニルイタコン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルイタコン酸アミド、N−メチルイタコン酸モノアミド、N−エチルイタコン酸モノアミド、N,N−ジメチルイタコン酸モノアミド、N−メチル−N’−エチルイタコン酸アミド、N−メチル−N’−フェニルイタコン酸アミド等が挙げられる。
【0059】
イタコン酸イミド類の具体例としては、イタコン酸イミド、N−メチルイタコン酸イミド、N−エチルイタコン酸イミド、N−(n−又はi−)プロピルイタコン酸イミド、N−(n−、i−、sec−又はt−)ブチルイタコン酸イミド、N−ベンジルイタコン酸イミド、N−ヒドロキシエチルイタコン酸イミド、N−フェニルイタコン酸イミド、N−トリルイタコン酸イミド、N−(ヒドロキシフェニル)イタコン酸イミド、N−(スルファモイルフェニル)イタコン酸イミド、N−(フェニルスルホニル)イタコン酸イミド、N−(トリルスルホニル)イタコン酸イミド等が挙げられる。
【0060】
フマル酸塩類の具体例としては、フマル酸ジナトリウム、フマル酸モノカリウム、フマル酸ジアンモニウム、フマル酸モノテトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
フマル酸エステル類の具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ(n−又はi−)プロピル、フマル酸ジ(n−、i−、sec−又はt−)ブチル、フマル酸ジフェニル、フマル酸ジアリル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノ(n−又はi−)プロピル、フマル酸モノ(n−、i−、sec−又はt−)ブチル、フマル酸ジベンジル、フマル酸モノベンジル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルプロピル、フマル酸エチルプロピル等が挙げられる。
【0061】
フマル酸アミド類の具体例としては、フマル酸アミド、N−メチルフマル酸アミド、N−エチルフマル酸アミド、N−(n−又はi−)プロピルフマル酸アミド、N−(n−、i−、sec−又はt−)ブチルフマル酸アミド、N−ベンジルフマル酸アミド、N−ヒドロキシエチルフマル酸アミド、N−フェニルフマル酸アミド、N−トリルフマル酸アミド、N−(ヒドロキシフェニル)フマル酸アミド、N−(スルファモイルフェニル)フマル酸アミド、N−(フェニルスルホニル)フマル酸アミド、N−(トリルスルホニル)フマル酸アミド、N,N−ジメチルフマル酸アミド、N−メチル−N−フェニルフマル酸アミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルフマル酸アミド、N−メチルフマル酸モノアミド、N−エチルフマル酸モノアミド、N,N−ジメチルフマル酸モノアミド、N−メチル−N’−エチルフマル酸アミド、N−メチル−N’−フェニルフマル酸アミド等が挙げられる。
【0062】
メサコン酸塩類の具体例としては、メサコン酸モノナトリウム、メサコン酸ジカリウム、メサコン酸モノアンモニウム、メサコン酸ジテトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
メサコン酸エステル類の具体例としては、メサコン酸ジメチル、メサコン酸ジエチル、メサコン酸ジ(n−、又はi−)プロピル、メサコン酸ジ(n−、i−、sec−又はt−)ブチル、メサコン酸ジフェニル、メサコン酸ジアリル、メサコン酸モノメチル、メサコン酸モノエチル、メサコン酸モノ(n−又はi−)プロピル、メサコン酸モノ(n−、i−、sec−又はt−)ブチル、メサコン酸ジベンジル、メサコン酸モノベンジル、メサコン酸メチルエチル、メサコン酸メチルプロピル、メサコン酸エチルプロピル等が挙げられる。
【0063】
メサコン酸アミド類の具体例としては、メサコン酸アミド、N−メチルメサコン酸アミド、N−エチルメサコン酸アミド、N−(n−又はi−)プロピルメサコン酸アミド、N−(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメサコン酸アミド、N−ベンジルメサコン酸アミド、N−ヒドロキシエチルメサコン酸アミド、N−フェニルメサコン酸アミド、N−トリルメサコン酸アミド、N−(ヒドロキシフェニル)メサコン酸アミド、N−(スルファモイルフェニル)メサコン酸アミド、N−(フェニルスルホニル)メサコン酸アミド、N−(トリルスルホニル)メサコン酸アミド、N,N−ジメチルメサコン酸アミド、N−メチル−N−フェニルメサコン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメサコン酸アミド、N−メチルメサコン酸モノアミド、N−エチルメサコン酸モノアミド、N,N−ジメチルメサコン酸モノアミド、N−メチル−N’−エチルメサコン酸アミド、N−メチル−N’−フェニルメサコン酸アミド等が挙げられる。
【0064】
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン、4−ビニルベンゼンスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸カリウム、4−ビニルベンゼンスルホン酸メチル等が挙げられる。
【0065】
α,β−不飽和ラクトン類の具体例としては、以下のような化合物が挙げられる。
【0066】
【化12】
Figure 0003698391
【0067】
α,β−不飽和ラクタム類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0068】
【化13】
Figure 0003698391
【0069】
不飽和炭化水素類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0070】
【化14】
Figure 0003698391
【0071】
ビニルエーテル類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0072】
【化15】
Figure 0003698391
【0073】
ビニルエステル類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0074】
【化16】
Figure 0003698391
【0075】
α,β−不飽和ケトン類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0076】
【化17】
Figure 0003698391
【0077】
環状エーテル類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0078】
【化18】
Figure 0003698391
【0079】
環状スルフイド類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0080】
【化19】
Figure 0003698391
【0081】
環状アミン類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0082】
【化20】
Figure 0003698391
【0083】
環状ジスルフィド類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0084】
【化21】
Figure 0003698391
【0085】
アルデヒド類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0086】
【化22】
Figure 0003698391
【0087】
環状アセタール類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0088】
【化23】
Figure 0003698391
【0089】
ラクトン類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0090】
【化24】
Figure 0003698391
【0091】
ラクタム類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【化25】
Figure 0003698391
【0092】
環状カーボネート類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0093】
【化26】
Figure 0003698391
【0094】
環状ウレア類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0095】
【化27】
Figure 0003698391
【0096】
環状ウレタン類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0097】
【化28】
Figure 0003698391
【0098】
環状酸無水物類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0099】
【化29】
Figure 0003698391
【0100】
スピロオルトカーボネート類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0101】
【化30】
Figure 0003698391
【0102】
スピロオルトエステル類の具体例としては、以下のような化合物等が挙げられる。
【0103】
【化31】
Figure 0003698391
【0104】
本発明の極性変換高分子化合物の合成に使用される、熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有するモノマーの割合は、10重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有するモノマーの割合が10重量%より少ないと、熱による極性変換の程度が小さ過ぎるために、画像部と非画像部の親疎水性の差が小さく画像が不鮮明になる。また、この熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有するモノマーは、1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0105】
本発明で使用される極性変換高分子化合物の合成に、第2成分である共重合可能な他のモノマーを使用する場合、第2成分である共重合可能な他のモノマーの割合は、熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有するモノマーが好ましい割合で使用されている限り、どの様な割合でも使用することができる。この第2成分である共重合可能な他のモノマーは、1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
以下に、本発明で使用される極性変換高分子化合物の具体例を示す。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0106】
【化32】
Figure 0003698391
【0107】
【化33】
Figure 0003698391
【0108】
【化34】
Figure 0003698391
【0109】
また、本発明の平版印刷用原版で使用される極性変換高分子化合物のGPCで測定した重量平均分子量は、好ましくは2000以上であり、更に好ましくは5000〜30万の範囲であり、数平均分子量は好ましくは800以上であり、更に好ましくは1000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらの高分子化合物は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等何れでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
【0110】
本発明で使用される極性変換高分子化合物を合成する際に用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテー卜、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0111】
本発明で使用される極性変換高分子化合物を合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等の公知の化合物が使用できる。
また、本発明で使用される極性変換高分子化合物を合成する際に用いられるカチオン重合開始剤としては、過塩素酸、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、12−モリブドリン酸、12−タングストリン酸等のプロトン酸、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸メチル等の超強酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、フルオロスルホン酸無水物等の超強酸無水物、PF5、SbF5,BF3等のルイス酸、Et3OSbF6、Et3OBF4等のオキソニウム塩、Ph3CPF6、Ph2CHCl+AgSbF6等のカルベニウム塩、PhCOCl+AgSbF6等のオキソカルベニウム塩、1,3−ジオキソラン−2−イリウムヘキサフルオロアンチモナート等のジオキサカルベニウム塩、ベンジル−p−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモナート、(p−メトキシベンジル)−p−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモナート等の熱潜在性開始剤、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルホニウム塩等の公知の化合物が使用できる。本発明で使用される極性変換高分子化合物は一種類のみで用いてもよいし、数種類を混合して用いてもよい。
【0112】
本発明で使用される画像形成層に含まれる極性変換高分子化合物は、画像形成層の全固形物分の50〜95重量%、好ましくは70〜95重量%の割合で使用することができる。添加量が50重量%未満の場合は、画像強度が弱くなり、耐刷性が低下する。また添加量が95重量%を超える場合は、レーザー露光による光熱変換により画像形成が十分できなくなる。
【0113】
(光吸収剤)
次に、レーザー光を吸収して熱に変換しうる光吸収剤について説明する。
本発明において好ましく使用される光吸収剤は、波長760〜1200nmの光を有効に吸収する染料又は顔料である。より好ましくは、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
【0114】
好ましい染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等の公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等の公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号公報に記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0115】
また、米国特許第5,156,938号公報に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号公報に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)公報に記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号公報に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
【0116】
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号公報中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0117】
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0118】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0119】
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の感光性組成物の塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると塗布後の画像記録層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0120】
これらの染料若しくは顔料は、本発明の平版印刷版用原版の画像形成層の組成物全固形物分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは1.0〜10重量%の割合で添加することができる。顔料若しくは染料の添加量が0.01重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると印刷時非画像部に汚れが発生しやすい。
【0121】
〔固体粒子〕
次に、本発明の第3の構成要素である無機粒子、有機粒子及び金属粒子から選択される少なくとも1種の固体粒子について説明する。
固体粒子は、本発明で使用される極性変換高分子化合物への親和性及び付着性がよく、画像形成層の熱伝導率分布を変化させると共に、その現像性を向上させる粒子が粒状物として好ましい。分散性を改良するために表面処理された粒子でもよい。これらの無機粒子、金属粒子及び有機粒子は適宜組合わせて用いてもよい。
【0122】
無機粒子としては、例えば酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、ジルコニアなどの金属酸化物;無水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム及び含水ケイ酸アルミニウムなどそれ自体は可視域に吸収を持たないホワイトカーボンとも呼ばれている珪素含有酸化物;クレー、タルク、カオリン、ふっ石などの粘土鉱物粒子等が使用できる。また金属粒子としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、銀、鉄等が使用できる。無機粒子又は金属粒子は10μm以下、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μmの平均粒径を有する。無機粒子又は金属粒子の平均粒径が0.01μmを下回ると、画像形成層の熱伝導率分布の変化が小さく、現像性もあまり改良されないために、地汚れが生じ易くなる。10μmを上回ると印刷物の解像度が悪くなったり、支持体と画像形成層との接着性が悪くなったり、表面付近の粒子が取れ易くなったりする。
【0123】
無機粒子又は金属粒子は全組成物を基準にして2〜90重量%、好ましくは5〜80重量%の量で画像形成層中に含有させる。粒子の含有量が2重量%を下回ると、画像形成層の熱伝導率分布の変化が小さく、現像性も改良されないために、地汚れが生じ易くなる。90重量%を上回ると画像形成層の強度が低下して耐刷性が低下し、また、支持体と画像形成層との接着性が低下する。
粒状物として無機粒子又は金属粒子以外に有機粒子も使用できる。有機粒子は画像形成層の熱伝導率分布を変化させると共に、その現像性を高めるものであれば特に限定はしないが粒状物の有機粒子としては樹脂粒子が使用できる。使用の際に次ぎの注意を払うことが必要である。樹脂粒子を分散させる際に溶剤を用いるときはその溶剤に溶解しない樹脂粒子を選択するか、樹脂粒子を溶解しない溶剤を選択する必要がある。また、樹脂粒子を熱可塑性ポリマーと熱により分散させる際には樹脂粒子が分散させるときの熱により溶融したり、変形したり、分解しないような物を選択する必要がある。
【0124】
これらの注意点を軽減する物としては架橋された樹脂粒子が好ましく使用することができる。有機粒子は0.01〜10μm、好ましくは0.05〜10μm、更に好ましくは0.1〜5μmの平均粒径を有する。有機粒子の平均粒径が0.01μmを下回るとレーザー照射部分の画像形成層の熱伝導率分布の変化が小さく、現像性も不十分となり、地汚れが生じ易くなる。10μmを上回ると印刷物の解像度がわるくなったり、支持体と画像形成層との接着性がわるくなったり、表面付近の粒子が取れ易くなったりする。
【0125】
有機粒子は全組成物を基準にして2〜90重量%、好ましくは5〜80重量%の量で画像形成層中に含有させる。粒子の含有量が2重量%を下回ると、画像形成層の熱伝導率分布の変化が小さく、現像性も改良されないために、地汚れが生じ易くなる。90重量%を上回ると画像形成層の強度が低下して耐刷性が低下し、また、支持体と画像形成層との接着性が低下する。
【0126】
有機粒子としては、ポリスチレン粒子(粒径4〜10μm)、シリーコン樹脂粒子(粒径2〜4μm)等が挙げられる。架橋された樹脂粒子としては、例えば、2種以上のエチレン性不飽和モノマーからなるマイクロゲル(粒径0.01〜1μm)、スチレンとジビニルベンゼンとからなる架橋樹脂粒子(粒径4〜10μm)、メチルメタクリレートとジエチレングリコールジメタクリレートとからなる架橋樹脂粒子(粒径4〜10μm)等、つまり、アクリル樹脂のマイクロゲル、架橋ポリスチレン及び架橋メチルメタクリレート等が挙げられる。これらは乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード乳化重合法、分散重合法、懸濁重合法などの一般的な方法で調製される。
また、溶液から無機粒子を調製することも可能である。例えば、エタノールなどの溶剤中に金属低級アルコキシドを加え、水および酸もしくはアルカリの存在下により、該金属を含む無機粒子が得られる。できた無機粒子溶液を溶剤可溶の熱可塑性ポリマー溶液に加えて無機粒子分散溶液をつくることができる。あるいは金属低級アルコキシドをさきに熱可塑性ポリマー溶液に加えてから水および酸もしくはアルカリを添加し、該金属を含む無機粒子を得ることも可能である。
熱可塑性ポリマーの前駆体溶液に金属低級アルコキシドを添加して無機粒子を作製する場合はポリマー前駆体を熱により熱可塑性ポリマーにするときにポリマーと無機の複合体のものが得られる。金属低級アルコキシドとしてはテトラエトキシシラン、テトラエトキシチタンなどが使用できる。
【0127】
本発明に使用される画像形成層の極性変換高分子化合物、光吸収剤および固体粒子以外の構成成分としては、以下のような化合物が挙げられる。
(酸発生剤)
本発明の平版印刷版用原版をレーザー露光により画像を形成する平版印刷版用原版として用いる場合には、平版印刷版用原版の画像形成層中に光若しくは熱により酸を発生させる化合物(以下、酸発生剤と呼ぶ)を添加することが望ましい。ただし、前記の極性変換高分子化合物はそれ自身熱により酸を発生し、酸発生剤としての機能を発揮することもあり、かかる場合には特に他の酸発生剤を併用しなくても画像を形成することができるため、酸発生剤は必須ではない。
【0128】
本発明に用いられる酸発生剤としては、以下のような公知の化合物を選択して用いることができる。
例えば、S.I.Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974)、T.S.Ba1 etal., Polymer, 21, 423(1980) 等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3-140,140号等の公報に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal., Macromolecules, 17, 2468(1984)、C.S.Wen etal., Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等の公報に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal., Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2-150,848 号、特開平2-296,514号等の公報に記載のヨードニウム塩、
【0129】
J.V.Crivello etal., Polymer J. 17, 73(1985)、J.V.Crivello etal., J. Org. Chem., 43, 3055(1978) 、W.R.Watt etal., J.Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789(1984)、J.V.Crivello etal., Polymer Bull., 14, 279(1985)、J.V.Crivello etal, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J.V.Crivello etal., J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979) 、欧州特許第370,693号、米国特許3,902,114 号、欧州特許第233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444 号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同 3,604,580号、同3,604,581 号等の公報に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello etal., Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J.V.Crivello etal., J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal., Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, 0ct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46-4605号、特開昭48-36281号、特開昭55-32070号、特開昭60-239736号、特開昭61-169835号、特開昭61-169837号、特開昭62-58241号、特開昭62-212401号、特開昭63-70243号、特開昭63-298339号等の公報に記載の有機ハロゲン化合物、
【0130】
K.Meier etal., J.Rad.Curing, 13(4), 26(1986)、T.P.Gill etal., Inorg. Chem., 19, 3007(1980) 、D.Astruc, Acc. Chem. Res., 19(12), 377(1896)、特開平2-161445号等の公報に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal., J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E.Reichmanis etal., J. Po1ymer Sci., Po1ymer Chem. Ed., 23, 1(1985) 、Q.Q.Zhu etal., J. Photochem., 36, 85, 39, 317(1987) 、B. Amit etal., Tetrahedron Lett., (24) 2205(1973) 、D.H.R.Barton etal., J.Chem Soc., 3571(1965) 、P.M.Collins etal., J. Chem. Soc., Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J.W.Walker etal., J. Am. Chem. Soc., 110,7170(1988)、S.C.Busman etal., J.Imaging Technol., 11(4), 191(1985) 、H.M.Houlihan etal., Macromolecules, 21,2001(1988)、P.M.Collins etal., J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S.Hayase etal., Macromolecules, 18, 1799(1985)、E.Reichmanis etal., J. Electrochem. Soc., So1id State Sci. Technol., 130(6)、F.M.Houlihan etal., Macromolcules, 21, 2001(1988) 、欧州特許第0290,750号、同046,083 号、同156,535号、同271,851 号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60-198538号、特開昭53-133022号等の公報に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、
【0131】
M.TUNOOKA etal., Polymer Preprints Japan, 35(8) 、G.Bermer etal, J.Rad, Curing, 13(4)、W.J.Mijs etal, Coating Technol., 55(697)., 45(1983)、Akzo, H.Adachi etal., Polymer Preprints, Japan, 37(3) 、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122 号、米国特許第4,618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64-18143号、特開平2-245756号、特願平3-140109号等の公報に記載のイミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61-166544号等の公報に記載のジスルホン化合物、特開昭50-36209号(米国特許第3969118号)公報に記載のo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハライド、特開昭55-62444号(英国特許第2038801号)公報に記載あるいは特公平1-11935号公報に記載のo−ナフトキノンジアジド化合物を挙げることができる。
【0132】
その他の酸発生剤としては、シクロヘキシルシトレート、p−アセトアミノベンゼンスルホン酸シクロヘキシルエステル、p−ブロモベンゼンスルホン酸シクロヘキシルエステル等のスルホン酸アルキルエステル、本発明者らが先に出願した特願平9−26878号公報に記載の下記構造式で表されるアルキルスルホン酸エステル等を用いることができる。
【0133】
【化35】
Figure 0003698391
【0134】
上記光、熱又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体又は一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体、
【0135】
【化36】
Figure 0003698391
【0136】
式中、R1は置換若しくは未置換のアリール基、アルケニル基、R2は置換若しくは未置喚のアリール基、アルケニル基、アルキル基、−CY3を示す。Yは塩素原子又は臭素原子を示す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0137】
【化37】
Figure 0003698391
【0138】
【化38】
Figure 0003698391
【0139】
(2)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、又は一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩、若しくはジアゾニウム塩。
【0140】
【化39】
Figure 0003698391
【0141】
ここで、式Ar1及びAr2は、各々独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びハロゲン原子が挙げられる。
【0142】
3、R4及びR5は各々独立に、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基及びそれらの置換誘導体である。好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基及びハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基である。
【0143】
-は対アニオンを示し、例えば、BF4 -、AsF6 -、PF6 -、SbF6 -、Si22 -、ClO4 -、CF3SO3 -等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン;ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の結合多核芳香族スルホン酸アニオン;アントラキノンスルホン酸アニオン;スルホン酸基含有染料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、R3、R4及びR5のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0144】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0145】
【化40】
Figure 0003698391
【0146】
【化41】
Figure 0003698391
【0147】
一般式(PAG3)、(PAG4)で示される上記オニウム塩は公知であり、例えば、J. W. Knapczyk etal, J. Am. Chem. Soc., 91, 145(1969)、A. L. Maycok etal, J. Org. Chem., 35, 2532 (1970)、B. Goethas etal, Bull. Soc. Chem. Belg., 73, 546 (1964)、H. M. Leicester, J. Am. Chem. Soc., 51, 3587 (1929) 、J. V. Crivello etal, J. Polym. Chem. Ed., 18, 2677(1980)、米国特許第2,807,648号及び同4,247,473号、特開昭53−101,331号等の公報に記載の方法により合成することができる。
【0148】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体又は一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0149】
【化42】
Figure 0003698391
【0150】
式中、Ar3及びAr4は各々独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示す。R6は置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換若しくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
【化43】
Figure 0003698391
【0152】
【化44】
Figure 0003698391
【0153】
これら酸発生剤の含有量は、本発明の平版印刷版用原版の画像形成層全固形物分に対して通常0.1〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%である。
【0154】
(増感色素)
酸発生剤が紫外域から可視域にまで感度を持たない場合、紫外域から可視域の光に対して酸発生剤を活性にするために、種々の酸発生剤の増感色素が用いられる。
このような増感色素の例としては、米国特許5,238,782号公報に記載のピラン系色素、米国特許4,997,745号公報に記載のシアニン色素、及びスクアリリウム系色素、米国特許5,262,276号公報に記載のメロシアニン系色素、特公平8−20732号公報に記載のピリリュウム色素、その他、ミヒラーズケトン、チオキサントン、ケトクマリン色素、9−フェニルアクリジン等を有効なものとして用いることができる。また、その他にも米国特許4,987,230号公報に記載のビスベンジリデンケトン色素、9,10−ジフェニルアントラセンのような多環芳香族化合物等を用いることができる。
【0155】
その他の成分としては、例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。
具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、メチルバイオレット(C.I.42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(C.I.145170B)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、メチレンブルー(C.I.52015)等、あるいは特開昭62−293247号公報、特願平7−335145号公報に記載されている染料を挙げることができる。
なお、添加量は、本発明の平版印刷用原版の画像形成層全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合である。
【0156】
(界面活性剤)
本発明の平版印刷版用原版の画像形成層中には、印刷条件に対する安定性を拡げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像形成層全固形物中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0157】
(その他)
更に、本発明の平版印刷版用原版の画像形成層中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フクル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
【0158】
本発明の平版印刷版用原版の画像形成層は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。塗布液を調製する場合、溶媒中の上記画像形成層構成成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
【0159】
塗布する方法としては、公知の種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
本発明の平版印刷版用原版の画像形成層中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、画像形成層全固形物分に対し、0.01〜1重量%であり、更に好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0160】
塗布、乾燥後に得られる画像形成層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的な平版印刷版用原版についていえば、0.5〜5.0g/m2が好ましく、0.5〜1.5g/m2がより好ましい。
【0161】
[支持体]
本発明の画像形成層を塗布すべき平版印刷版用原版に使用される支持体(基板)は、寸法安定性の良好な板状物であり、これまで印刷版の支持体として使用された公知のものはいずれも好適に使用することができる。かかる支持体としては、紙、プラスチックス(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、鉄、銅等のような金属の板、例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等のようなプラスチックスのフィルム、上記のような金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれるが、特にアルミニウム板が好ましい。アルミニウム板には純アルミニウム板及びアルミニウム合金板が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えば、ケイ素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。これらの合金組成物には、いくらかの鉄及びチタンに加えてその他無視し得る程度の量の不純物を含むことが容認される。
【0162】
支持体は、必要に応じて表面処理される。例えば、平版印刷版用原版を作製する場合には、支持体の表面に、画像形成層を塗布するに先立って親水化処理が施される。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、砂目立て処理、ケイ酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ましい。また、米国特許第2,714,066号公報に記載されているように、砂目立てしたのち珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理したアルミニウム板、米国特許第3,181,461号公報に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理を行った後にアルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に使用される。上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸又はこれらの塩の水溶液又は非水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
【0163】
表面処理としては、米国特許第3,658,662号公報に記載されているようなシリケート電着も有効である。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる感光/感熱性組成物との有害な反応を防ぐ為や、感光層との密着性を向上させるために施されるものである。
アルミニウム板を砂目立てにより粗面化するに先立って、必要に応じて表面の圧延油を除去するため、あるいは清浄なアルミニウム面を表出させるためにその表面に前処理を施してもよい。通常、圧延油等の除去には、トリクレン等の溶剤、界面活性剤等が用いられている。また、清浄な面の表出のためには水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリエッチング剤を用いる方法が広く行われてしる。
【0164】
砂目立て方法としては、機械的、化学的及び電気化学的な方法のいずれの方法も有効である。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラスト研磨法、軽石のような研磨剤の水分散スラリーをナイロンブラシで擦りつけるブラシ研磨法等があり、化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適しており、電気化学的方法としては塩酸、硝酸又はこれらの組合せのような酸性電解液中で交流電解する方法が好ましい。このような粗面化方法のうち、特に特開昭55−137993号公報に記載されているような機械的粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面化方法が、感脂性画像の支持体への接着力が強いので好ましい。
上記の如き方法による砂目立ては、アルミニウム板の表面の中心線表面粗さ(Ha)が0.3〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
このようにして砂目立てされたアルミニウム板は必要に応じて水洗及び化学的にエッチングされる。
【0165】
エッチング処理液は、通常アルミニウムを溶解する塩基あるいは酸の水溶液より選ばれる。この場合、エッチングされた表面に、エッチング液成分から誘導されるアルミニウムと異なる被膜が形成されないものでなければならない。好ましいエッチング剤を例示すれば、塩基性物質としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム等;酸性物質としては硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸及びその塩等であるが、アルミニウムよりイオン化傾向の低い金属、例えば、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、銅等の塩はエッチング表面に不必要な被膜を形成するため好ましくない。
これらのエッチング剤は、使用濃度、温度の設定において、使用するアルミニウムあるいは合金の溶解速度が浸漬時間1分あたり0.3〜40g/m2になるように行なわれるのが最も好ましいが、これを上回るあるいは下回るものであっても差支えない、
【0166】
エッチングは上記エッチング液にアルミニウム板を浸漬したり、該アルミニウム板にエッチング液を塗布すること等により行われ、エッチング量が0.5〜10g/m2の範囲となるように処理されることが好ましい。
上記エッチング剤としては、そのエッチング速度が早いという特長から塩基の水溶液を使用することが望ましい。この場合、スマットが生成するので、通常デスマット処理される。デスマット処理に使用される酸は、硝酸、硫酸、りん酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。
エッチング処理されたアルミニウム板は、必要により水洗及び陽極酸化される。陽極酸化は、この分野で従来より行なわれている方法で行なうことができる。具体的には、硫酸、りん酸、クロム酸、蓚酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはそれらの二種類以上を組み合せた水溶液又は非水溶液中でアルミニウムに直流又は交流の電流を流すと、アルミニウム支持体表面に陽極酸化被膜を形成させることができる。
【0167】
陽極酸化の処理条件は使用される電解液によって種々変化するので一般には決定され得ないが、一般的には電解液の濃度が1〜80重量%、液温5〜70℃、電流密度0、5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100V、電解時間30秒〜50分の範囲が適当である。
これらの陽極酸化処理の内でも、とくに英国特許第1,412,768号公報に記載されている硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法及び米国特許第3,511,661号公報に記載されている燐酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。
上記のように粗面化され、更に陽極酸化されたアルミニウム板は、必要に応じて親水化処理しても良く、その好ましい例としては米国特許第2,714,066号及び同第3,181,461号公報に開示されているようなアルカリ金属シリケート、例えば珪酸ナトリウム水溶液又は特公昭36−22063号公報に開示されている弗化ジルコニウム酸カリウム及び米国特許第4,153,461号公報に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法がある。
【0168】
[その他の層]
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報に記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報に記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC25)4、Si(OC37)4、Si(OC49)4等のケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が親水性に優れており特に好ましい。
【0169】
[製版方法]
次に、この平版印刷版用原版の製版方法について説明する。この平版印刷版用原版は、例えば、熱記録ヘッド等により直接画像様に感熱記録を施されたり、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザーにより画像露光されたり、波長400〜760nmの可視光線を放射する可視光レーザーにより画像露光されたり、紫外線や可視光線を放射する光源により画像露光される。
画像露光された平版印刷版用原版は、露光後ただちに(現像工程を経ずに)印刷機に版を装着し印刷を行うことできる。この場合は、湿し水等により、加熱部あるいは露光部が膨潤し、印刷初期に膨潤部が除去され、平版印刷版が形成される。即ち、本発明の平版印刷版用原版を使用する製版方法では、特に現像処理を経ることなく平版印刷版を製版し得る
また、露光後に加熱処理を行うことが記録時の感度向上の観点から好ましい。加熱処理の条件は、80〜150℃の範囲内で10秒〜5分間行うことが好ましい。即ち、この加熱処理を施すことにより、レーザー照射時、記録に必要なレーザーエネルギーを減少させることができる。
【0170】
この様な処理によって得られた本発明の平版印刷版用原版は現像工程を経ずにそのままオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0171】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔モノマー(1)の合成〕
1−メトキシ−2−プロパノール:121.2g、ピリジン:141.6gを1000mlの三口フラスコに入れて、氷冷下30分攪拌した。この溶液にp−ビニルベンゼンスルホン酸クロライド:181.7gを氷冷下滴下して、滴下終了後そのまま6時間攪拌した。反応混合物を500mlの氷水にあけ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して油状物が得られた。この油状物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィにより精製すると、モノマー(1)が無色油状物として得られた。元素分析の計算値はC:56.23%、H:6.29%であり、実測値はC:56.35%、H:6.33%であつた。
【0172】
〔モノマー(3)の合成〕
1−メトキシ−2−プロパノールの代わりにシクロヘキサノールを用いたほかはモノマー(1)と同様の方法でモノマー(3)を合成した。元素分析の計算値はC:63.13%、H:6.81%であり、実測値はC:63.21%、H:6.90%であつた。
【0173】
〔モノマー(7)の合成〕
p−ビニルベンゼンスルホン酸クロライドの代わりに3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸クロライドを用いたほかはモノマー(1)と同様の方法でモノマー(7)を合成した。モノマー(7)の 1H−NMR測定の結果、6.12ppm、5.60ppmにメタクリロイル基の二重結合炭素に結合した水素に帰属されるシグナルが観測され、3.39ppmにスルホン酸エステル部のメトキシ基に帰属されるシグナルが観測された。
【0174】
〔モノマー(10)の合成〕
p−ビニルベンゼンスルホン酸クロライドの代わりにクロロ〔(4−ビニルフェニル)メチル〕スルホンを用いたほかはモノマー(1)と同様の方法でモノマー(10)を合成した。モノマー(10)の 1H−NMR測定の結果、6.72ppm、5.79ppm、5.30ppmにビニル基の二重結合炭素に結合した水素に帰属されるシグナルが観測され、4.39ppmに(4−ビニルフェニル)メチル基のメチル炭素に結合した水素に帰属されるシグナルが観測され、3.39ppmにスルホン酸エステル部のメトキシ基に帰属されるシグナルが観測された。
【0175】
〔モノマー(83)の合成〕
5Lの三口フラスコに、2,4−ジニトロトルエン:1.06g、p−ビニル安息香酸:500g、ジヒドロピラン:488gを入れた。氷冷下攪拌しながらこの混合物に濃塩酸を滴下した後、反応混合物を約60℃に加熱して2時間30分攪拌した。室温まで放冷した後、水酸化ナトリウムにより反応混合物をアルカリ性にし酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、モノマー(83)を得た.
【0176】
〔モノマー(87)の合成〕
p−ビニル安息香酸の代わりにアクリル酸を用いたほかはモノマー(83)と同様の方法でモノマー(87)を合成した。
【0177】
〔極性変換高分子化合物(1)の合成〕
200mlの三口フラスコにモノマー(1):23gを秤取り、メチルエチルケトン:50gに溶かした。この溶液に65℃、窒素気流下にて攪拌しながらアゾビスジメチルバレロニトリル:0.32gを加えた。同温度で攪拌を続けながら、2時間おきにアゾビスジメチルバレロニトリル:0.16gと0.08gを加え、都合6時間攪拌し続けて反応を終了した。反応混合物をアセトン:40gで希釈した後、5Lのホーロービーカーに3Lの蒸留水を入れ、ここにアジターにより良く攪拌しながら先ほど調整した希釈液を滴下した。析出した固体を濾別し、減圧下3日間乾燥した。こうして得られた固体は、GPCにより重量平均分子量1.52万のポリマーであることが判明した。
【0178】
〔極性変換高分子化合物(2)の合成〕
モノマー(1)の代わりにモノマー(2)を用いた以外は極性変換高分子化合物(1)と同様の方法で極性変換高分子化合物(2)を合成した。得られたポリマーの重量平均分子量は1.98万であった。
【0179】
〔極性変換高分子化合物(4)の合成〕
モノマー(1)の代わりにモノマー(10)を用いた以外は極性変換高分子化合物(1)と同様の方法で極性変換高分子化合物(4)を合成した。得られたポリマーの重量平均分子量は1.98万であった。
【0180】
〔極性変換高分子化合物(5)の合成〕
モノマー(1)の代わりにモノマー(83)を用いた以外は極性変換高分子化合物(1)と同様の方法で極性高分子化合物(5)を合成した。得られたポリマーの重量平均分子量は1.56万であった。
【0181】
〔極性変換高分子化合物(18)の合成〕
200mlの三口フラスコにモノマー(3):24gとスチレン:1.04gを秤取り、メチルエチルケトン:50gに溶かした。この溶液に65℃、窒素気流下にて攪拌しながらアゾビスジメチルバレロニトリル:0.32gを加えた。同温度で攪拌を続けながら、2時間おきにアゾビスジメチルバレロニトリル:0.16gと0.08gを加え、都合6時間攪拌し続けて反応を終了した。反応混合物をアセトン:40gで希釈した後、5Lのホーロービーカーに3Lの蒸留水を入れ、ここにアジターにより良く攪拌しながら先ほど調整した希釈液を滴下した。析出した固体を濾別し、減圧下3日間乾燥した。こうして得られた固体は、GPCにより重量平均分子量1.65万のポリマーであることが判明した。
【0182】
〔極性変換高分子化合物(19)の合成〕
200mlの三口フラスコにモノマー(87):10.9gとメチルアクリレート:2.6gを秤取り、メチルエチルケトン:25gに溶かした。この溶液に65℃、窒素気流下にて攪拌しながらアゾビスジメチルバレロニトリル:0.32gを加えた。同温度で攪拌を続けながら、2時間おきにアゾビスジメチルバレロニトリル:0.16gと0.08gを加え、都合6時間攪拌し続けて反応を終了した。反応混合物をアセトン:25gで希釈した後、5Lのホーロービーカーに3Lの蒸留水を入れ、ここにアジターにより良く攪拌しながら先ほど調整した希釈液を滴下した。析出した固体を濾別し、減圧下3日間乾燥した。こうして得られた固体は、GPCにより重量平均分子量2.31万のポリマーであることが判明した。
【0183】
〔実施例1〜4〕
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に2%硝酸に20秒間浸漬して水洗した。このときの砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2で2.4g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。
上記のように調製したアルミニウム板に、下記のように調製した溶液[1]をペイントシェーカーにより1時間良く振とうした後、ロットバー#10で塗布し、100℃で1分間乾燥して表1のような平版印刷用原版〔1〕〜〔4〕を得た。
【0184】
溶液[1]
・極性変換高分子化合物(表1) 2.0g
・赤外線吸収剤IRG22(日本化薬製) 0.18g
・シリカゲル粒子サイリシア#445(富士シリシア化学社製)1.0g
・ガラスビーズ 3.0g
・メチルエチルケトン 6.0g
・アセトニトリル 6.0g
【0185】
【表1】
Figure 0003698391
【0186】
〔比較例1〜4〕
溶液[1]の代わりに、下記のように調製した溶液[2]を使用した以外は、実施例1と同様の方法により表2のような平版印刷版用原版〔5〕〜〔8〕を得た。
【0187】
溶液[2]
・極性変換高分子化合物(表2) 3.0g
・赤外線吸収剤IRG22(日本化薬製) 0.18g
・メチルエチルケトン 6.0g
・アセトニトリル 6.0g
【0188】
【表2】
Figure 0003698391
【0189】
〔実施例1〜4と比較例1〜4の平版印刷用原版の印刷評価〕
上記のようにして得られた平版印刷用原版〔1〕〜〔8〕をPearl Setter(Presstek社製、発振波長:908nm、出力:1.2W)を用いて主走査速度2.0m/sec及び3.0m/secで画像露光を行った後、何ら後処理することなく印刷機にかけて印刷を行った。印刷機としてはRyoubi 3200を、湿し水にはEU−3の1:100希釈液を、インキにはインキFグロス墨を用いた。表3にその結果を示す。実施例〔1〕〜〔4〕の平版印刷用原版においてはいずれの主走査速度においても汚れのない鮮明な印刷物が得られたのに対し、比較例〔1〕〜〔4〕の平版印刷用原版においては主走査速度2.0m/secでは汚れが生じなかつたが、主走査速度3.0m/secでは印刷物に汚れが生じた。
【0190】
【表3】
Figure 0003698391
【0191】
〔実施例5〕
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に2%硝酸に20秒間浸漬して水沈した。このときの砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であつた。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2で2.2g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。
上記のように調製したアルミニウム板に、以下のように調製した溶液[3]をペイントシューカーにより1時間良く振とうした後、150rpmで回転塗布し、8℃で3分間乾燥して平版印刷用原版〔9〕を得た。乾燥後の重量は1.2g/m2であった。
【0192】
溶液[3]
・極性変換高分子化合物(1) 4.5g
・赤外線吸収剤IR−125(和光純薬(株)製) 0.3g
・酸化チタンルチル型(和光純薬(株)製) 1.6g
・ガラスビーズ 10g
・メチルエチルケトン 30g
・アセトニトリル 30g
【0193】
〔実施例5の平版印刷用原版の印刷評価〕
得られた平版印刷用原版〔9〕を波長1064nmの赤外線を発するYAGレーザーによりレーザーパワー:360mW、走査速度:3.0m/secで露光した。露光後、ハイデルKOR−D機にて通常通り印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。何れの走査速度においても非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0194】
〔実施例6〕
下記のように調製した溶液[4]をペイントシェーカーにより1時間良く振とうした後、表面をコロナ帯電処理したPETに回転数:150rpmで回転塗布し、80℃で3分間乾燥して平版印刷版用原版〔10〕を得た。乾燥後の重量は1.0g/m2であった。
【0195】
溶液[4]
・極性変換高分子化合物(2) 4.5g
・赤外線吸収剤IR−125(和光純薬(株)製) 0.30g
・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 0.05g
1−ナフタレン−スルホン酸にした染料
・粉末銅(和光純薬(株)製) 1.3g
・ガラスビーズ 10g
・メチルエチルケトン 30g
・アセトニトリル 30g
【0196】
〔実施例6の平版印刷用原版の印刷評価〕
得られた平版印刷用原版〔10〕を波長1064nmの赤外線を発するYAGレーザーによりレーザーパワー:360mW、走査速度:3.0m/secで露光した。露光後、ハイデルKOR−D機にて通常通り印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。何れの走査速度においても非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0197】
〔実施例7〕
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に2%硝酸に20秒間浸漬して水洗した。このときの砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2で2.4g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。
上記のように調製したアルミニウム板に、以下のように調製した溶液[5]をペイントシェーカーにより1時間良く振とうした後、ロッドバー#14を用いて塗布し、80℃で3分間乾燥して平版印刷用原版〔11〕を得た。乾燥後の重量は1.5g/m2であった。
【0198】
溶液[5]
・極性変換高分子化合物(18) 4.5g
・赤外線吸収剤IR−125(和光純薬(株)製) 0.30g
・メガファックF−177 0.06g
(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系界面活性剤)
・酸化アルミニウム 1.0g
・ガラスビーズ 10g
・メチルエチルケトン 30g
・アセトニトリル 30g
【0199】
〔実施例7の平版印刷用原版の印刷評価〕
得られた平版印刷用原版〔11〕を波長1064nmの赤外線を発するYAGレーザーによりレーザーパワー:360mW、走査速度:3.0m/secで露光した。露光後、ハイデルKOR−D機にて最初の30枚は湿し水のみで印刷した後、通常通り印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。何れの走査速度においても非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0200】
〔実施例8〕
下記のように調製した溶液[6]をペイントシェーカーにより1時間良く振とうした後、表面をコロナ帯電処理したPETにロッドバー#14を用いて塗布し、80℃で3分間乾燥して平版印刷版用原版〔12〕を得た。乾燥後の重量は1.3g/m2であった。
【0201】
溶液[6]
・極性変換高分子化合物(4) 4.5g
・赤外線吸収剤IR−125(和光純薬(株)製) 0.30g
・メガファックF−177 0.06g
(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系界面活性剤)
・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオン/を 0.05g
1−ナフタレン−スルホン酸にした染料
・架橋アクリル樹脂マイクロゲル 1.4g
・ガラスビーズ 10g
・メチルエチルケトン 30g
・アセトニトリル 30g
【0202】
〔実施例8の平版印刷用原版の印刷評価〕
得られた平版印刷用原版〔12〕を波長1064nmの赤外線を発するYAGレーザーによりレーザーパワー:360mW、走査速度:3.0m/secで露光した。露光後、ハイデルKOR−D機にて最初の30枚は湿し水のみで印刷した後、通常通り印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。何れの走査速度においても非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0203】
〔実施例9〕
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に2%硝酸に20秒間浸漬して水洗した。このときの砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2で2.4g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。
上記のように調製したアルミニウム板に、以下のように調製した溶液[7]をペイントシエーカーにより1時間良く振とうした後、ロッドバー#14を用いて塗布し、30℃で3分間乾燥して平版印刷用原版〔13〕を得た。乾燥後の重量は1.3g/m2であった。
【0204】
溶液[7]
・極性変換高分子化合物(19) 4.5g
・赤外線吸収剤IR−125(和光純薬(株)製) 0.30g
・酸発生剤 0.15g
(ジフェニルヨードニウムアントラキノンスルホン酸塩)
・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 0.05g
1−ナフタレン−スルホン酸にした染料
・メガファックF−177 0.06g
(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系界面活性剤)
・シリカゲル粒子サイリシア#445(富士シリシア化学社製)1.0g
・メチルエチルケトン 30g
・アセトニトリル 30g
【0205】
〔実施例9の平版印刷用原版の印刷評価〕
得られた平版印刷用原版〔13〕を波長1064nmの赤外線を発するYAGレーザーによりレーザーパワー:360mW、走査速度:3.0m/secで露光した。露光後、ハイデルKOR−D機にて通常通り印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。何れの走査速度においても非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0206】
〔実施例10〕
下記のように調製した溶液[8]をペイントシェーカーにより1時間良く振とうした後、表面をコロナ帯電処理したPETに150rpmにて回転塗布し、80℃で3分間乾燥して平版印刷版用原版〔14〕を得た。乾燥後の重量1は1.3g/m2であつた。
【0207】
溶液[8]
・極性変換高分子化合物(5) 4.5g
・赤外線吸収剤IR−125(和光純薬(株)製) 0.30g
・酸発生剤 0.15g
(ジフェニルヨードニウムアントラキノンスルホン酸塩)
・シリカゲル粒子サイリシア#445(富士シリシア化学社製)1.0g
・メチルエチルケトン 30g
・アセトニトリル 30g
【0208】
〔実施例10の平版印刷用原版の印刷評価〕
得られた平版印刷用原版〔14〕を波長1064nmの赤外線を発するYAGレーザーによりレーザーパワー:360mW、走査速度:3.0m/secで露光した、露光後、ハイデルKOR−D機にて最初の30枚は湿し水のみで印刷した後、通常通り印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。何れの走査速度においても非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0210】
【発明の効果】
本発明によれば、画像書き込み後、湿式現像処理やこすり等の特別な処理を必要としない機上現像型平版印刷版用原版であって、より高感度であり、旦つ、残色、汚れのない印刷物を与えることができる機上現像型平版印刷版用原版を提供することができる。また、本発明によれば、特に赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザー等を用いて記録することにより、ディジタルデータから直接製版可能な機上現像型平版印刷版用原版を提供することができる。

Claims (2)

  1. 親水性表面を有する支持体の上に、(a)側鎖に熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有する疎水性高分子化合物と、(b)レーザー光を吸収して熱に変換しうる光吸収剤と、(c)固形粒子とを含有する層を有する機上現像型平版印刷版用原版。
  2. 請求項1に記載の機上現像型平版印刷版用原版を、レーザー露光により画像様に露光した後、露光部記録層を印刷機上で除去することを特徴とする平版印刷版の製造方法。
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