JP4041611B2 - アニオン性赤外線吸収剤、感光性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版 - Google Patents

アニオン性赤外線吸収剤、感光性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成材料として有用な新規アニオン性赤外線吸収剤、ポジ型画像形成材料として好適な特定のアニオン性赤外線吸収剤を含有する感光性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版に関し、特に、赤外線レーザー、サーマルヘッド等の熱により書き込み可能であり、特にコンピュータ等のディジタル信号から直接製版できるいわゆるダイレクト製版用の平版印刷版原版に好適な、赤外線レーザ用のポジ型画像形成可能な感光性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザの発達に伴い、コンピュータのディジタルデータから直接製版するシステムとして、これらの赤外線レーザーを用いるものが注目されている。
ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平板印刷版材料が特開平7−285275号公報に開示されている。この発明は、アルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収し熱を発生する物質と、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加した画像記録材料であり、画像部ではポジ型感光性化合物が、アルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、非画像部では熱により分解して溶解阻止能を発現しなくなり、現像により除去され得るようになって、画像を形成する。
【0003】
本発明者らの検討の結果、キノンジアジド化合物類を画像記録材料に添加しなくても、ポジ画像が得られることを見出したが、単にキノンジアジド化合物類を除した画像記録材料においては、現像液の濃度に対する感度の安定性、即ち現像のラチチュードが悪くなってしまうという欠点がある。
【0004】
一方、オニウム塩やアルカリ不溶性の水素結合可能な化合物はアルカリ可溶性高分子のアルカリ溶解抑制作用を有することが知られている。赤外線レーザー対応画像形成材料としては、カチオン性赤外線吸収色素をアルカリ水可溶高分子の溶解抑制剤として用いた組成物がポジ作用を示すことがWO97/39894に記載されている。このポジ作用は赤外線吸収色素がレーザー光を吸収し、発生する熱で照射部分の高分子膜の溶解抑制効果を消失させて画像形成を行う作用である。
その画像形成性は感材のレーザー照射表面では十分であるが、熱拡散のため感材の深部までは十分な効果は得られず、従って露光部/未露光部のアルカリ現像のON-OFFがつきにくく、良好な画像が得られない問題(低感度、現像ラチチュードが狭い)があった。ここで言う現像ラチチュードとはアルカリ現像液のアルカリ濃度を変化させたときに良好な画像形成ができる許容範囲をさす。
【0005】
また、赤外線レーザー対応画像形成材料には、感度向上のため、赤外線吸収剤を併用するのが一般的でり、画像形成材料に用いられる赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン色素、金属錯体などの染料や、カーボンブラック、フタロシアニンなどの顔料が知られている。しかし金属錯体は分子吸光係数が低く、顔料は現像での汚れなどの問題があった。シアニン色素は波長適性、分子吸光係数共に良いものの、多量に用いた場合に現像性を著しく悪化させるという問題があった。
そこで本発明者はアニオン性色素であるオキソノール色素を用いることにより良好な画像を形成しうることを見出し、先に特願平10−79912号として提案したが、赤外線に対する波長適性に関してはなお、改良が望まれていた。
長波長領域に吸収を持つオキソノール色素としては、例えば、EP444786号にはペンタメチン体が記載されているが、画像形成材料として重要なファクターである分子吸光係数等の物性に関する記述はない。また、EP397435号にはヘプタメチンオキソノールの例が開示されているが、これらの化合物の吸収はいずれも780nm以下と赤外線レーザー対応としては波長が短く、また分子吸光係数も低いという問題があった。このように現在公知のオキソノール系色素には吸収極大波長が800nm近傍あるいはそれを超えるものはほとんどなく、長波長領域に吸収を有するアニオン性の赤外線吸収色素が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、画像形成材料に好適に用い得る長波長領域に吸収を有する新規なアニオン性赤外線吸収剤、高感度で、かつ現像ラチチュードが良好な感光性組成物及びそれを用いたダイレクト製版用の赤外線レーザで高感度に画像を形成しうるポジ型平版印刷版原版を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、画像形成性、すなわち感度と現像ラチチュードを増加する目的で鋭意研究を重ねた結果、特定のアニオン性赤外線吸収剤を用いることにより、現像ラチチュードが向上することを見出し、特願平10−79912号として提案したが、アニオン性赤外線吸収剤のなかでも、分子内に比較的長い共役鎖を有するオキソノール系色素を用いることにより、レーザーに対するマッチングが改良され、さらに、優れた感度と広い現像ラチチュードが得られることを見いだし、本発明を完成するに到った。また、これらのアニオン性赤外線吸収剤のうち、下記一般式(1)で表される化合物はナフトインダンジオン基を末端に導入した新規化合物であり、吸収波長が長波長であり、分子吸光係数が高く、画像形成材料として有用であることを見いだした。
【0008】
すなわち、本発明の請求項1に記載の新規化合物は、下記一般式(1)で表されるアニオン性赤外線吸収剤である。
【0009】
【化5】
Figure 0004041611
【0010】
式中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。X+は陽イオンを示す。Y1〜Y6及びZ1〜Z6は互いに独立に水素原子又は置換基を表し、それらが置換基を表すとき、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、前記一般式(1)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、Y1〜Y6及びZ1〜Z6がすべて水素原子を表すのもが入手の容易性と効果の観点から好ましく、特に、本発明の新規アニオン性赤外線吸収剤として、下記一般式(2)で表されるものや、下記一般式(3)で表されるものが、好ましい態様である。
【0011】
【化6】
Figure 0004041611
【0012】
式中、X+は一般式(1)におけるのと同義である。Aは炭素原子、窒素原子、酸素原子、いおう原子及びセリウム原子から選択された14個以下の環原子により構成される、5員−、6員−、もしくは7員−炭素環式環、5員−、6員−、もしくは7員−複素環式環、または5員−、6員−、もしくは7員−核からなる群より選択される縮合環を完成するのに必要な非金属原子を表す。
【0013】
【化7】
Figure 0004041611
【0014】
式中、X+は一般式(1)におけるのと同義である。
【0015】
また、本発明の請求項6に記載の感光性組成物は、(a)下記一般式(I)で表されるアニオン性赤外線吸収剤、及び(b)水に不溶であり、且つ、アルカリ水溶液に可溶な高分子化合物(以下、適宜、アルカリ水可溶性高分子化合物と称する)を含有し、赤外線レーザの照射により、アルカリ水溶液に可溶となることを特徴とする。
【0016】
【化8】
Figure 0004041611
【0017】
式中、Mは、炭素原子数7以上の共役鎖を表し、Ga-はアニオン性置換基を表し、Gbは中性の置換基を表す。Xm+はプロトンを含む1〜m価のカチオンを示し、ここでmは1乃至6の整数を表す。
また、(a)アニオン性赤外線吸収剤の対カチオンが、熱分解性のオニウム塩構造を有することが好ましい。
【0018】
本発明の請求項8に記載の平版印刷版原版は、支持体上に、前記の感光性組成物からなる感光層を設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明の感光性組成物における作用は明確ではないが、(a)炭素原子数7以上の比較的長い共役鎖を有するアニオン性赤外線吸収剤を用いることにより、対カチオン部が(b)アルカリ水可溶性高分子の溶解抑制剤として働き、レーザー光照射部において、アニオン性赤外線吸収剤がレーザー光を吸収し発生する熱でその溶解抑制効果を消失させることが可能となる。さらに、このアニオン性赤外線吸収剤は分子内に炭素原子数7以上の比較的長い共役鎖を有し、近赤外領域での高い分子吸光係数を持ち、溶剤に対する溶解性にも優れるため、さらなる感度向上を達成できたことと推定される。
従来公知のカチオン性赤外線吸収色素の場合、赤外線領域に吸収を持たせるためその構造がおのずと限定され、溶解抑制効果をになう構造が赤外線領域の吸収能を阻害しない範囲に限定され、所望の溶解抑制効果を分子構造上では制御できないのが現状であったが、アニオン性赤外線吸収剤を用いた場合、対カチオンの自由な選択が可能となり、溶解抑制効果も制約なく自由に変化させることができるため、本発明の効果である所望の画像形成性の向上が可能となり、さらに、ヘプタメチン、ナノメチン等の比較的長い共役鎖をアニオン部に有する構造をとることにより、近赤外領域の分子吸光係数が高くなり、さらなるレーザーへの適合性が達成できたと考えられる。これらのアニオン性赤外線吸収剤のなかでも、前記一般式(1)で表される本発明者が合成により得た新規化合物がナフトインダンジオン基を末端に導入することで、吸収が長波長側にシフトし、且つ分子吸光係数が高いため、効果が良好であった。
【0020】
また、より好ましい態様である(a)アニオン性赤外線吸収剤の対カチオンとして熱分解性のオニウム塩を用いる場合には、熱分解性オニウム塩が赤外線吸収剤の発する熱により分解することで、より迅速に高感度に溶解抑制効果が消失するため、さらなる高感度、高現像ラチチュードな画像形成能を達成することが可能となったと考えられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[一般式(1)で表される新規アニオン性赤外線吸収剤]
本発明においてアニオン性赤外線吸収剤とは、色素の実質的に赤外線を吸収する母核にカチオン構造が無く、アニオン構造を有するものを指す。一般式(1)で表される化合物は、所謂、オキソノール系の赤外線吸収剤に属する。
【0022】
前記一般式(1)中、Lは共役炭素原子数7以上を有する長鎖の共役メチン鎖を表す。メチン鎖を構成する炭素原子は置換基を有していても良く、また、その置換基同士が連結して環構造を形成しても構わない。メチン鎖が置換基を有する場合、その置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基等が挙げられ、なかでも、アルキル基、ハロゲン原子が好ましく挙げられる。また、合成適性の観点からは置換基を有しないものや、環構造のものが好ましい。
+はカチオンを示す。カチオンとしては金属イオンやアンモニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、オキソニウム塩、セレニウム塩、ホスホニウム塩などが挙げられ、画像形成性の観点からは、熱分解性のものが好ましい。
【0023】
式中、Y1〜Y4及びZ1〜Z4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基同士が互いに連結して環構造を形成していてもよい。ここで、導入し得る置換基としては前述メチン鎖の場合に述べた各置換基が同様に挙げられ、好ましくは、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子などである。
本発明の赤外線吸収剤においては、置換基を有さないナフトインダジオン基を両末端に導入したもの、即ち、Y1〜Y4及びZ1〜Z4がすべて水素原子を表すものが、合成の容易性の観点から好ましい。
このような好ましい態様を具体的に表すと、メチン鎖に環構造を有するものとして、下記一般式(2)で表されるアニオン性赤外線吸収剤が挙げられる。
【0024】
【化9】
Figure 0004041611
【0025】
式中、Aは炭素原子、窒素原子、酸素原子、いおう原子及びセリウム原子から選択された14個以下の環原子により構成される、5員−、6員−、もしくは7員−の縮合環を完成するのに必要な非金属原子を表し、該環構造は炭素環式環であっても、複素環式環であってもよく、または5員−、6員−、もしくは7員−核の上の原子であってもよい。
メチン鎖の置換基が環構造を形成する場合、6員炭素環式環を1つあるいは2つ形成していることが好ましく、該環構造がさらに置換基を有していてもよい。
【0026】
また、Y1〜Y4及びZ1〜Z4がすべて水素原子を表し、メチン鎖に環構造を有さない構造としては、下記一般式(3)で表されるアニオン性赤外線吸収剤が挙げられる。
【0027】
【化10】
Figure 0004041611
【0028】
式中、X+は一般式(1)におけるのと同義である。
以下に、本発明に係る新規アニオン性赤外線吸収剤の代表的な化合物[IR−21、IR−13]の構造、その吸収極大波長及び分子吸光係数を示すが、本発明はこれに制限されるものではない。ここで、対象例として、下記IR−21と同じ共役メチン鎖と対カチオンを有する染料化合物の構造、その吸収極大波長及び分子吸光係数を示す。
【0029】
【化11】
Figure 0004041611
【0030】
このように、末端にナフトインダンジオン基を導入し、共役炭素原子数7以上の比較的長鎖のメチン鎖を有する、所謂オキソノール系色素と呼ばれるアニオン性赤外線吸収剤は新規化合物であり、本発明者らの評価によれば、800nm付近の長波長領域に吸収を有し、分子吸光係数も高く、画像形成材料として有用であることが判明した。この極大吸収波長と分子吸光係数の優位性は類似の構造を有する染料化合物(dey−1)との対象において明らかである。
【0031】
次に、先に述べた新規化合物であるオキソノール系色素をはじめとする分子内に比較的長鎖の共役メチン鎖を有する赤外線吸収剤を含有する本発明の感光性組成物について、各構成要件を挙げて説明する。本発明の感光性組成物は、前述のように、(a)前記一般式(I)で表されるアニオン性赤外線吸収剤、及び(b)水に不溶であり、且つ、アルカリ水溶液に可溶な高分子化合物を含有し、赤外線レーザの照射により、アルカリ水溶液に可溶となることを特徴とする。この特徴により、赤外線レーザーの露光により、書き込み可能な、感光記録材料に有用な感光性組成物となる。
【0032】
[(a)一般式(I)で表されるアニオン性赤外線吸収剤]
本発明においてアニオン性赤外線吸収剤とは、色素の実質的に赤外線を吸収する母核にカチオン構造が無く、アニオン構造を有するものを指すが、一般式(I)で表される化合物は、所謂、オキソノール系の赤外線吸収剤に属し、なかでも、分子内に比較的長い共役鎖を有する化合物ある。このアニオン性赤外線吸収剤の対カチオンは、プロトンを含む一価の陽イオン或いは多価の陽イオンである。一般式(I)中、Mは、炭素原子数7以上の共役鎖を表し、この共役鎖は置換基や環構造を有していてもよい。共役鎖Mは下記式で表すことができる。
【0033】
【化12】
Figure 0004041611
【0034】
式中、R1〜R2n+1はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基を示し、これらは互いに連結して環構造を形成していてもよい。nは3〜8の整数を示す。
【0035】
a -はアニオン性置換基を表し、Gbは中性の置換基を表す。Xm+はプロトンを含む1〜m価のカチオンを示し、ここでmは1乃至6の整数を表す。
【0036】
1〜R2n+1がアルキル基の場合、アルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0037】
これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−C1、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリ一ルウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、及びその共役塩基基(以下、「カルボキシラート」という。)、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基(以下、「スルホナト基」という。)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2 NHSO2R、Rはアルキル基を表す。)及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2Ar、Arはアリール基を表す。)及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2R、Rはアルキル基を表す。)及びその共役塩基基、N−アリ一ルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2Ar、Arはアリール基を表す。)及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(OR)3、Rはアルキル基を表す。)、アリーロキシシリル基(−Si(OAr)3、Arはアリール基を表す。)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(一PO32)及びその共役塩基基(以下、「ホスホナト基」という。)、ジアルキルホスホノ基(−PO32、Rはアルキル基を表す。)、ジアリールホスホノ基(−PO3Ar2、Arはアリール基を表す。)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(R)(Ar)、Rはアルキル基、Arはアリール基を表す。)モノアルキルホスホノ基(−PO3H(R)、Rはアルキル基を表す。)及びその共役塩基基(以下、「アルキルホスホナト基」という。)、モノアリールホスホノ基(−PO3H(Ar)、Arはアリール基を表す。)及びその共役塩基基(以下、「アリールホスホナト基」という。)、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以下、「ホスホナトオキシ基」という。)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3 2、Rはアルキル基を表す。)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(Ar)2、Arはアリール基を表す。)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(R)(Ar)、Rはアルキル基、Arはアリール基を表す。)、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3 H(R)、Rはアルキル基を表す。)及びその共役塩基基(以下、「アルキルホスホナトオキシ基」という。)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3 H(Ar)、Arはアリール基を表す。)及びその共役塩基基(以下、「アリ一ルホスホナトオキシ基」という。)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述の一般式(1)のR1〜R2n+1において例示したアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等があげられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。前記のアシル基(R1CO−)としては、R1が水素原子及び前記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
【0038】
これら置換基のうち、さらに好ましいものとしては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスホノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基等を挙げることができる。
【0039】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては、前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られる置換アルキル基の好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルガルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)ガルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)ガルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファイルオクチル基、
【0040】
ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
【0041】
1〜R2n+1がアリール基の場合、アリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらの中でも、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0042】
置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前記のアルキル基、置換アルキル基、置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、ガルバモイルフェニル基、N−メチルガルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)ガルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
【0043】
1〜R2n+1のアルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基(−C(R7)=C(R8)(R9)、並びに−C≡C(R10)としては、R7、R8、R9、R10が一価の非金属原子団のものが使用できる。好ましいR7、R8、R9、R10の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基並びに置換アーリル基を挙げることができる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを同様に挙げることができる。R7、R8、R9、R10の好ましい置換基の例としては、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられる。
このようなR1〜R2n+1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オタタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキジル基、2−エチルヘキシル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルヘンジル基、1−メチル−1−フェネチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、フェノキジエチル基、アリロキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、モルホリノエチル基、モルホリノプロピル基、スルホプロピル基、スルホナトプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基・カルボキジメチル基、カルボキジエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルプロピル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−エチルアミノカルバモイルメチル基、N−フェニルカルバモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルブチル基、P−トリエンスルホニルアミノプロピル基、ベンゾイルアミノヘキシル基、ホスフォノメチル基、ホスフォノエチル基、ホスフォノプロピル基、p−ホスフォノベンジルアミノカルボニルエチル基、ホスフォナトメチル基、ホスフォナトプロピル基、ホスフォナトブチル基、p−ホスフォナトベンジルアミノカルボニルエチル基、ビニル基、エチニル基を挙げることができる。
【0044】
1〜R2n+1の置換カルボニル基(R11CO−)としては、R11が一価の非金属原子団であるものを用いることができる。置換カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前記のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、ならびに置換アリール基として例示したものを挙げることができる。これらの中でも、より好ましい置換基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、ガルバモイル基、N−アルキルガルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、が挙げられ、更により好ましいものとしては、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基ならびにアリーロキシカルボニル基が挙げられる。好ましい置換基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
【0045】
置換チオ基(R14S−)としては、R14が水素を除く一価の非金属原子団であるものを用いることができる。好ましい置換チオ基の例としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アシルチオ基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前記のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、ならびに置換アリール基として例示したものを挙げることができ、アシルチオ基におけるアシル基(R13CO−)のR13は前記のとおりである。これらの中ではアルキルチオ基、ならびにアリールチオ基がより好ましい。好ましい置換チオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、エトキシエチルチオ基、カルボキシエチルチオ基、メトキシカルボニルチオ基等が挙げられる。
【0046】
置換スルホニル基(R19SO2−)としては、R19が一価の非金属原子団であるものを用いることができる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前記のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、ならびに置換アリール基として例示したものを挙げることができる。置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0047】
置換スルフィニル基(R18SO−)としてはR18が一価の非金属原子団であるものを用いることができる。好ましい例としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前記のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、ならびに置換アリール基として例示したものを挙げることができる。これらのうち、より好ましい例としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基が挙げられる。このような置換スルフィニル基の具体例としては、ヘキシルスルフィニル基、ベンジルスルフイニル基、トリルスルフィニル基等が挙げられる。
【0048】
置換オキシ基(R12O−)としては、R12が水素を除く一価の非金属原子団であるものを用いることができる。好ましい置換オキシ基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、ならびにアリール基としては前記のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、ならびに置換アリール基として例示したものが挙げられる。また、アシルオキシ基におけるアシル基(R13CO−)としては、R13が、前記のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、ならびに置換アリール基として例示したものが挙げられる。これらの置換基の中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基、がより好ましい。好ましい置換オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ等が挙げられる。
【0049】
置換アミノ基(R15NH−、(R16)(R17)N−)としては、R15、R16、R17が水素を除く一価の非金属原子団のであるものを用いることができる。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前記のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、ならびに置換アリール基として例示したものを挙げることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリール−アシルアミノ基におけるアシル基(R13CO−)のR13は前記のとおりである。これらのうち、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、が挙げられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
【0050】
ここで、前記一般式(I)において、好ましい共役鎖を有する構造を以下に例示する。下記式において、Ga -はアニオン性置換基を表し、Gbは中性の置換基を表す。
以下に示すのは共役メチン鎖として、ヘプタメチン鎖(式中、n=3)を有するものであり、メチン鎖は置換基や下記に示すような環構造を有していてもよい。
【0051】
【化13】
Figure 0004041611
【0052】
同様に、共役メチン鎖として、ナノメチン(式中、n=4)、ウンデカメチン(n=5)を有するものを下記に示す。これらはメチン鎖上の任意の位置にさらに環構造を有していていもよい。
【0053】
【化14】
Figure 0004041611
【0054】
また、前記一般式(I)において、Ga -はアニオン性置換基を表し、Gbは中性の置換基を表が、これらは、それぞれ下記の構造で表すことができる。
【0055】
【化15】
Figure 0004041611
【0056】
式中、L1〜L4は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン、シアノ基及び前述のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基があげられ、またL1とL2、L3とL4が連結して環構造を形成していてもよい。好ましいものとしてGbはシアニン色素の酸性核が、またGa -は酸性核がアニオン化したものが挙げられる。酸性核としては「The teory of the Photographic Process」p,199、テーブル8、2−Bに記載される化合物や以下のものが挙げられる。
【0057】
1)1,3−ジカルボニル核、例えば1,3−インダンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、
2)ピラゾリノン核、例えば3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾリル)−3−メチル−2−ピラゾリンー5−オン、
3)イソオキサゾリノン核、例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オン等、
4)オキシインドール核、例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドール、
【0058】
5)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核、例えばバルビツル酸又は2−チオバルビツル酸及びその誘導体、かかる誘導体としては、1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3一ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)−、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−3−アリール体等が挙げられる。6)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、例えばローダニン及びその誘導体、かかる誘導体としては3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン等が挙げられる。
【0059】
7)2−チオ−2,4一オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン)核、例えば2−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン、
8)チアナフテノン核、例えば3(2H)−チアナフテノン及び3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイド、
9)2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン、
10)2,4−チアゾリジンシオン核・例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン、
11)チアゾリジノン核、例えば4−チアゾリジノン、3−エチル−4−チアゾリジノン、
【0060】
12)4−チアゾリノン核、例えば2−エチルメルカプト−5−チアゾリン−4−オン、2−アルキルフェニルアミノ−5−チアゾリン−4−オン、
13)2−イミノ−2−オキソゾリン−4−オン(凝ヒダントイン)核、
14)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核、例えば、2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン、
15)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核、例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンシオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、
16)2−イミダゾリン−5−オン核、例えば2−n−プロピル−メルカプト−2−イミダゾリン−5−オン、
【0061】
17)フラン−5−オン、
18)4−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン核もしくは4−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン核、例えばN−メチル−4−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン、N−n−ブチル−4−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン、N−メチル−4−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン、
19)置換もしくは非置換の4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン、4−ヒドロキシクマリン、
20)置換もしくは非置換のチオインドキシル、例えば5−メチルチオインドキシル。
【0062】
また、前記一般式(I)中、Zはカルコゲン原子、−C(Y1)(Y2)基、を示す。ここで、Y1、Y2は同一で異っていてもよく、−CN、−CO2R’、−SO2R''を表す。R’、R''は前記と同様のアルキル基、アリール基を示す。
【0063】
アニオン性赤外線吸収剤において好ましい態様は、対カチオンがポジ型画像形成作用を持つものであり、そのような対イオンとしてはオニウム塩構造を有するものが挙げられる。ここで、オニウム塩としては、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレニウム塩、ホスホニウム塩、カルボニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
【0064】
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974) 、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980) 、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules, 17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct (1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307 (1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31 (1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73 (1985)、J. V. Crivello et al. J. Org. Chem., 43, 3055 (1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789 (1984) 、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279 (1985) 、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5) ,1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877 (1979) 、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同410,201号、同339,049 号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307 (1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047 (1979) に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct (1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
【0065】
また、特開平9−134009号に記載のアンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等も本発明に好ましく用いることができる。
【0066】
オキソニウム塩は、下記一般式(A)または一般式(B)で表される。
【0067】
【化16】
Figure 0004041611
【0068】
式中、Ra〜Rdはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基を示し、Reはアルキレン基、アリーレン基を表す。また、隣接するRa〜RcあるいはRdとReは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
【0069】
セレニウム塩は、下記一般式(C)または一般式(D)で表される。
【0070】
【化17】
Figure 0004041611
【0071】
式中、Rf〜Riはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基を示し、Rjはアルキレン基、アリーレン基を表す。また、隣接するRf〜RgあるいはRiとRjは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
【0072】
ジアゾニウム塩は、下記一般式(E)で表される。
【0073】
【化18】
Figure 0004041611
【0074】
式中、Rkはアルキル基、アリール基を表す。
【0075】
カルボニウム塩は、下記一般式(F)または一般式(G)で表される。
【0076】
【化19】
Figure 0004041611
【0077】
式中、Rl〜Roはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基を示し、Rpはアルキレン基、アリーレン基を表す。また、隣接するRl〜RmあるいはRoとRpは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
【0078】
また、他の好ましいオニウム塩として、下記一般式(H)乃至一般式(I)で表されるものが挙げられる。
【0079】
【化20】
Figure 0004041611
【0080】
前記式中、RA、RB、RC、RD、RJ、RK、RL及びRMはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、RA、RB、RC及びRDは互いに結合して環を形成していてもよく、RJ、RK、RL及びRMは互いに結合して環を形成していてもよい。RE、RF及びRGはそれぞれ独立にアルキル基、又はアリール基を表し、RE、RF及びRGは互いに結合して環を形成していてもよい。RH及びRIはそれぞれ独立にアルキル基を表す。
【0081】
さらに好ましい例として、対カチオンが熱分解性のオニウム塩である態様が挙げられる。本発明において熱分解性のオニウム塩とは、示差熱/熱重量分析或いは融点測定器を用いて測定した場合に、分解が10mol%生ずる温度が200℃以下のオニウム塩を指すものとする。
このような熱分解性オニウム塩はオニウム塩の置換基を変化させることで容易に得ることができる。ここで用いられる熱分解性オニウム塩としては、熱分解性の上記要件を満たすものであれば、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレニウム塩、ホスホニウム塩、カルボニウム塩、ヨードニウム塩等のいずれであってもよい。
【0082】
以下に一般式(I)で表されるアニオン性赤外線吸収剤の対イオンとして好ましいオニウム塩の例を示すが、本発明はこれらの具体例に制限されるものではない。
【0083】
一般式(A)乃至一般式(G)で表される好適な対カチオン部分構造の例としては以下のものが挙げられる。
【0084】
【化21】
Figure 0004041611
【0085】
【化22】
Figure 0004041611
【0086】
一般式(H)で表される好適な対カチオン部分構造の例としては以下のものが挙げられる。
【0087】
【化23】
Figure 0004041611
【0088】
一般式(I)で表される好適な対カチオン部分構造の例としては以下のものが挙げられる。
【0089】
【化24】
Figure 0004041611
【0090】
【化25】
Figure 0004041611
【0091】
一般式(J)で表される好適な対カチオン部分構造の例としては以下のものが挙げられる。
【0092】
【化26】
Figure 0004041611
【0093】
一般式(K)で表される好適な対カチオン部分構造の例としては以下のものが挙げられる。
【0094】
【化27】
Figure 0004041611
【0095】
【化28】
Figure 0004041611
【0096】
前記一般式(I)で表されるオキソノール系色素としては、欧州特許(以下、EPと記す)第397,435号、特許登録第2676212号に記載の色素が挙げられる。
以下に前記好適な対イオンと組み合わせてなるアニオン性赤外線吸収剤の好適な具体例(IR−1)〜(IR−54)を示すが、本発明はこれらの具体例に制限されるものではない。化合物番号の下に共役メチン鎖の炭素原子数を表示する。なお、本発明の前記一般式(1)に挙げた新規なアニオン性赤外線吸収剤に該当するものとしては、(IR−21)、(IR−13)、(IR−40)(IR−431)、(IR−53)及び(IR−54)が挙げられる。
なお、これらの色素の構造は共鳴構造のひとつにより表すものとし、例えば、以下の構造式は同一の分子を表す。
【0097】
【化29】
Figure 0004041611
【0098】
【化30】
Figure 0004041611
【0099】
【化31】
Figure 0004041611
【0100】
【化32】
Figure 0004041611
【0101】
【化33】
Figure 0004041611
【0102】
【化34】
Figure 0004041611
【0103】
【化35】
Figure 0004041611
【0104】
【化36】
Figure 0004041611
【0105】
【化37】
Figure 0004041611
【0106】
【化38】
Figure 0004041611
【0107】
【化39】
Figure 0004041611
【0108】
【化40】
Figure 0004041611
【0109】
【化41】
Figure 0004041611
【0110】
本発明においては、これらのアニオン性赤外線吸収剤は、感光性組成物の全固形分に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%の割合で添加することができる。添加量が0.01重量%より少ないとこの感光性組成物によって画像を形成することができず、50重量%を超えて添加すると、平版印刷版原版の感光層として用いた場合に、非画像部に汚れを生じる虞がある。
【0111】
本発明の感光性組成物には、この赤外線吸収剤に加えて、画像形成性を向上させる目的で他の赤外線吸収性を有する顔料あるいは染料を添加することができる。
顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
【0112】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
【0113】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0114】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると感光層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0115】
染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。
本発明において、これらの顔料、もしくは染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
【0116】
そのような赤外光、もしくは近赤外光を吸収する顔料としてはカーボンブラックが好適に用いられる。また、赤外光、もしくは近赤外光を吸収する染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、 特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料、米国特許5,380,635号に記載のジヒドロペリミジンスクアリリウム染料等を挙げることができる。
【0117】
また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物、Epolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125、Epolight IV −62A等は特に好ましく用いられる。
【0118】
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの顔料もしくは染料は、印刷版材料全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10重量%の割合で印刷版材料中に添加することができる。顔料もしくは染料の添加量が0.01重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると感光層の均一性が失われ、記録層の耐久性が悪くなる。
【0119】
これらの染料もしくは顔料は感光性組成物に添加して他の成分とともに感光層に添加してもよいし、平版印刷版原版の作製にあたり、感光層以外の別の層を設けそこへ添加してもよい。これらの染料もしくは顔料は一種のみを添加してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。
【0120】
[(b)アルカリ水溶液可溶性樹脂]
本発明に使用される(b)アルカリ水溶液可溶性高分子化合物とは、高分子化合物の主鎖又は側鎖に、以下のような酸基構造を有するものを指す。
フェノール性水酸基(−Ar−OH)、カルボン酸基(−CO3H)、スルホン酸基(−SO3H)、リン酸基(−OPO3H)、スルホンアミド基(−SO2NH−R)、置換スルホンアミド系酸基(活性イミド基)(−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R)。
ここで、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を有する。
なかでも、好ましい酸基として、(b−1)フェノール性水酸基、(b−2)スルホンアミド基、(b−3)活性イミド基が挙げられ、特に(b−1)フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂(以下、「フェノール性水酸基を有する樹脂」という。)が最も好ましく用いることができる。
【0121】
(b−1)フェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体(以下、「フェノールホルムアルデヒド樹脂」という。)、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(以下、「m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂」という。)、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、および、ピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。あるいは、フェノール基を側鎖に有するモノマーを共重合させた共重合体を用いることもできる。用いるフェノール基を有するモノマーとしては、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等が挙げられる。具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。高分子の重量平均分子量は5.0×102〜2.0×104で、数平均分子量が2.0×102〜1.0×104のものが、画像形成性の点で好ましい。また、これらの樹脂を単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。組み合わせる場合には、米国特許第4123279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
【0122】
これらのフェノール性水酸基を有する樹脂は、重量平均分子量が500〜20000で数平均分子量が200〜10000のものが好ましい。
更に、米国特許第4123279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物を併用してもよい。かかるフェノール性水酸基を有する樹脂は、1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0123】
(b−2)スルホンアミド基を有するアルカリ水可溶性高分子化合物の場合、この高分子化合物を構成する主たるモノマーである(b−2)スルホンアミド基を有するモノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなるモノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
このような化合物としては、例えば、下記一般式(4)〜(8)で示される合物が挙げられる。
【0124】
【化42】
Figure 0004041611
【0125】
式中、X1、X2はそれぞれ−O−又は−NR17−を示す。R21、R24はそれぞれ水素原子又は−CH3を表す。R22、R25、R29、R32、R36はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R23、R27、R33は水素原子、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。また、R26、R27は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を示す。R28、R30、R34は水素原子又は−CH3を表す。R31、R35はそれぞれ単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1、Y2はそれぞれ単結合または−CO−を表す。
【0126】
具体的には、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0127】
(b−3)活性イミド基を有するアルカリ水可溶性高分子化合物の場合、下記式で表される活性イミド基を分子内に有するものであり、この高分子化合物を構成する主たるモノマーである(b−3)活性イミド基を有するモノマーとしては、1分子中に、下記の式で表される活性イミノ基と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなるモノマーが挙げられる。
【0128】
【化43】
Figure 0004041611
【0129】
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0130】
本発明に用い得るアルカリ水可溶性共重合体は、前記(b−1)から(b−3)の酸性基を含むモノマーは、1種類である必要はなく、同一の酸性基を有するモノマーを2種以上、または、異なる酸性基を有するモノマーを2種以上共重合させたものも用いることもできる。
共重合の方法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることができる。
【0131】
前記共重合体は、共重合させる(b−1)から(b−3)の酸性基を有するモノマーを共重合成分として10モル%以上含んでいることが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。共重合成分が10モル%より少ないと、フェノール性水酸基を有する樹脂との相互作用が不十分となり共重合成分を用いる場合の利点である現像ラチチュードの向上効果が不充分となる。
【0132】
また、この共重合体には、前記(b−1)から(b−3)の酸性基を含むモノマー以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
共重合体成分として用いうるモノマーの例としては、下記(1)〜(12)に挙げるモノマーを用いることができる。
【0133】
(1)例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、およびメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0134】
本発明においてアルカリ水可溶性高分子化合物としては、単独重合体、共重合体に係わらず、重量平均分子量が2000以上、数平均分子量が500以上のものが膜強度の点で好ましい。さらに好ましくは、重量平均分子量が5000〜300000、数平均分子量が800〜250000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
【0135】
前記共重合体において、(b−1)〜(b−3)の酸性基を有するモノマーと、他のモノマーとの配合重量比が、現像ラチチュードの点から50:50から5:95の範囲にあるものが好ましく、40:60から10:90の範囲にあるものがより好ましい。
【0136】
これらアルカリ水可溶性高分子化合物は、それぞれ1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよく、全感光性組成物固形分中、30〜99重量%、好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは50〜90重量%の添加量で用いられる。アルカリ可溶性の高分子化合物の添加量が30重量%未満であると記録層の耐久性が悪化し、また、99重量%を越えると感度、耐久性の両面で好ましくない。
【0137】
〔その他の成分〕
本発明の感光性組成物には、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。例えば、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することは、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点では、好ましい。
【0138】
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類およびカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
上記の環状酸無水物、フェノール類および有機酸類の印刷版材料中に占める割合は、0.05〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。
【0139】
また、本発明における印刷版材料中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の印刷版材料中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0140】
本発明における印刷版材料中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号および同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
【0141】
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、印刷版材料全固形分に対し、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%の割合で印刷版材料中に添加することができる。更に本発明の印刷版材料中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよびポリマー等が用いられる。
【0142】
さらに、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、さらには特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物及び本発明者らが先に提案した特願平9−328937号明細書に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物等を目的に応じて適宜添加することができる。
【0143】
本発明の感光性組成物を含む感光層塗布液や、保護層等の所望の層の塗布液用成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより平版印刷版原版を製造することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、感光性印刷版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光層の皮膜特性は低下する。
【0144】
本発明における感光性組成物を用いた感光層塗布液中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全印刷版材料の0.01〜1重量%さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0145】
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0146】
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0147】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0148】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号および第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、または電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウムおよび米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0149】
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に本発明の感光性組成物を含むポジ型の感光層を設けたものであるが、必要に応じてその間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
【0150】
この有機下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
【0151】
上記のようにして作製されたポジ型平版印刷版原版は、通常、像露光、現像処理を施される。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。レーザービームとしてはヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマレーザー、固体レーザー、半導体レーザー等が挙げられる。
本発明においては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
【0152】
本発明の平版印刷版原版の現像液および補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム、第3リン酸アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ほう酸ナトリウム、ほう酸カリウム、ほう酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
【0153】
これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0154】
更に自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量のPS版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。現像液および補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。
更に現像液および補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液および補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷版として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0155】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化および標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽およびスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0156】
本発明の感光性組成物を用いた感光性平版印刷版原版について説明する。画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行われる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行う方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
【0157】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニング処理する場合には、該バーニング処理前に、特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
【0158】
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥重量)が適当である。
整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
【0159】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行われている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合には、ガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0160】
【実施例】
以下、本発明を、アニオン性赤外線吸収剤の合成例及び実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの合成例、実施例に限定されない。
まず、本発明の新規なアニオン性赤外線吸収剤の合成例について説明する。
[アニオン性赤外線吸収剤(IR−21)の合成]
合成は下記スキームに準じて行った。
【0161】
【化44】
Figure 0004041611
【0162】
A−1(0.04mol)、A−3(0.02mol)、及びエタノール(40ml)の入ったビーカーにトリエチルアミン(0.08mol)を加え、室温で30分撹拌後50℃で10分間撹拌すると黒色の懸濁液となった。この液を40mlの水に入れ、析出した固体を濾取した。この固体は1H−NMRから先に例示化合物として挙げた(IR−53)であることを確認した。図3にそのチャートを示した。また吸収極大はλmax=798nm(MeOH)であった。
(IR−21への塩交換)
(IR−53)のDMSO溶液を、テトラブチルアンモニウムブロミドの水溶液に滴下し、析出した固体を濾取した。さらなる精製としてアセトン/ヘキサンからリスラリーを行い(IR−21)を得た。このように対カチオンの変更は容易に行うことができるため、他のカチオンを有する化合物も同様に合成することが可能である。構造の確認は1H−NMRにより行った。このデータを図1に示した。mpを測定したところ、155〜156℃であった。また吸収極大はλmax=798nm(MeOH)であった。
【0163】
[アニオン性赤外線吸収剤(IR−13)の合成]
合成は下記スキームに準じて行った。
【0164】
【化45】
Figure 0004041611
【0165】
A−2(0.04mol)、A−3(0.02mol)、及びメタノール(40ml)の入ったビーカーにトリエチルアミン(0.08mol)を1分間かけて滴下し、室温で1時間撹拌すると濃青色の懸濁液となった。この液にテトラブチルアンモニウムブロミド(10g)を加え、さらに5分撹拌すると濃青色固体が析出する。この固体を濾取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール展開)で精製し(IR−13)を得た。構造は1H−NMR、により確認した。チャートを図2に示した。mpを測定したところ、180〜184℃であった。また吸収極大はλmax=811nm(MeOH)であった。
【0166】
以上のように新規なアニオン性赤外線吸収剤である(IR−21)、(IR−13)はインダンジオン基に置換基を導入することにより吸収を長波長にし、且つ分子吸光係数も高くなっていることが分かる。
【0167】
また、本発明の感光性組成物に有用な他のアニオン性赤外線吸収剤の合成も、下記スキームに示す如く活性メチレンを有する化合物とメチレン鎖供与体とを塩基の存在下で縮合させることにより行うことができる。この合成方法は、色素の一般的な合成法、例えば、「染料と薬品」(1991年)第274〜289頁に記載されたオキソノール色素の合成法に準じて行うことができる。
【0168】
【化46】
Figure 0004041611
【0169】
メチレン鎖供与体の例としては、以下の構造が挙げられる。
【0170】
【化47】
Figure 0004041611
【0171】
(合成例1:化合物IR−8の合成)
A−1(10mmol)、A−2(5mmol)と、メタノール(20ml)とをビーカーに入れ、トリエチルアミン(20mmol)を10分間かけて滴下し、室温で2時間攪拌した。この液にテトラブチルアンモニウムブロミド(10mmol)を加え、さらに20分間攪拌すると固体が析出した。析出した固体をろ取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、さらに酢酸エチル/ヘキサンでリスラリーし、IR−8を収率25%で得た。IR−8の構造は、質量分析、1H−NMR、赤外線吸収スペクトルで確認した。
【0172】
【化48】
Figure 0004041611
【0173】
(合成例2:化合物IR−10の合成)
トリフェニルスルホニウムクロリド(10mmol)のメタノール/水溶液に化合物IR−8(1mmol)を加え、析出した結晶をろ取した。同様の操作を3回繰り返して塩交換を行い、IR−10を収率50%で得た。IR−10の構造は、質量分析、1H−NMR、赤外線吸収スペクトルで確認した。
同様にして、IR−9、IR−37及びIR−44も合成できる。
【0174】
(合成例3:化合物IR−15の合成)
A−3(10mmol)、A−2(5mmol)と、メタノール(20ml)とをビーカーに入れ、トリエチルアミン(20mmol)を10分間かけて滴下し、室温12時間攪拌した。この液にテトラブチルアンモニウムブロミド(10mmol)を加え、さらに20分間攪拌すると固体が析出した。析出した固体をろ取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、さらに酢酸エチル/ヘキサンでリスラリーし、IR−15を収率35%で得た。IR−15の構造は、質量分析、1H−NMR、赤外線吸収スペクトルで確認した。
【0175】
【化49】
Figure 0004041611
【0176】
前記IR−15の塩交換によりIR−51を合成することができる。
【0177】
(合成例4:化合物IR−12の合成)
合成例1において、A−2を下記A−4に変更し、テトラブチルアンモニウムブロミドを下記式で示される化合物に変更したほかは、合成例1と同様にして、IR−12を収率20%で得た。IR−12の構造は、質量分析、1H−NMR、赤外線吸収スペクトルで確認した。
【0178】
【化50】
Figure 0004041611
【0179】
(合成例5:化合物IR−27の合成)
合成例3において、A−2を上記A−4に変更したほかは、合成例3と同様にして、IR−27を収率12%で得た。IR−27の構造は、質量分析、1H−NMR、赤外線吸収スペクトルで確認した。
前記IR−27の塩交換によりIR−48及びIR−49を合成することができる。
【0180】
(実施例1〜11)
〔基板の作製〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用いこの表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2で3g/m2の直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗し、乾燥し、さらに、下記下塗り液を塗布し、塗膜を90℃で1分乾燥した。乾燥後の塗膜の塗布量は10mg/m2であった。
【0181】
<下塗り液の組成>
β−アラニン 0.5g
メタノール 95 g
水 5 g
【0182】
得られた基板に以下の感光液1において赤外線吸収剤を下記表1のように変えたものを調製し、それぞれを塗布量が1.8g/m2になるよう塗布し、実施例1〜11の平版印刷版原版を得た。
【0183】
Figure 0004041611
【0184】
(実施例12〜22)
〔アルカリ水溶液可溶性高分子化合物としての共重合体の合成〕
<合成例(共重合体1)>
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
【0185】
この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。
【0186】
次に攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた100ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.0210モル)、メタクリル酸エチル2.05g(0.0180モル)、アクリロニトリル1.11g(0.021モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g、メタクリル酸エチル2.05g、アクリロニトリル1.11g、N,N−ジメチルアセトアミド20g及び「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりこの共重合体1の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,000であった。
【0187】
実施例1〜11で用いた基板と同様のものに、以下の感光液2において赤外線吸収剤を下記表2のように変えたものを調製し、それぞれを塗布量が1.8g/m2になるよう塗布し、実施例12〜22の平版印刷版原版を得た。
Figure 0004041611
【0188】
(比較例1〜2)
実施例1において、感光液1に配合された一般式(I)で表される赤外線吸収剤を下記構造で示す赤外線吸収剤B−1、B−2に代えた以外は、実施例1とまったく同様にして比較例1〜4の平版印刷版原版を得た。
【0189】
【化51】
Figure 0004041611
【0190】
(比較例3〜4)
実施例11において、感光液2に配合された一般式(I)で表される赤外線吸収剤を前記構造で示した赤外線吸収剤B−1、B−2に代えた以外は、実施例11とまったく同様にして比較例3〜4の平版印刷版原版を得た。
【0191】
(実施例23〜33)
<合成例(共重合体2)>
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
【0192】
この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。
【0193】
次に攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた20ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g(0.0192モル)、メタクリル酸エチル2.94g(0.0258モル)、アクリロニトリル0.80g(0.015モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルアセトアミド及び「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりこの共重合体2の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,000であった。
【0194】
実施例1〜11で用いた基板と同様のものに、以下の感光液3において赤外線吸収剤を下記表3のように変えたものを調製し、それぞれを塗布量が1.8g/m2になるよう塗布し、実施例23〜33の平版印刷版原版を得た。
【0195】
Figure 0004041611
【0196】
(比較例5〜6)
実施例23において、感光液3に配合された一般式(I)で表される赤外線吸収剤を前記構造で示した赤外線吸収剤B−1、B−2に代えた以外は、実施例23とまったく同様にして比較例5〜6の平版印刷版原版を得た。
【0197】
〔平版印刷版原版の性能評価〕
前記のようにして作製した実施例1〜33、および比較例1〜6の各平版印刷版原版について、下記の基準により性能評価を行った。評価結果を表1乃至表3に示す。
【0198】
(画像形成性:感度及び現像ラチチュードの評価)
得られた平版印刷版原版を、波長840nm半導体レーザを用いて露光した後、富士写真フイルム(株)製現像液DP−4、リンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機(富士写真フイルム(株)製:「PSプロセッサー900VR」)を用いて現像した。その際、DP−4は1:6で希釈したもの及び1:12で希釈したものの二水準を使用し、それぞれの現像液にて得られた非画像部の線幅を測定し、その線幅に相当するレーザーの照射エネルギーを求めて、これを感度とした。そして、標準である1:6で希釈したものと、1:12で希釈したものとの差を記録した。その差が小さいほど現像ラチチュードが良好であり、20mJ/cm2以下であれば、実用可能なレベルである。
【0199】
(保存安定性の評価)
得られた平版印刷版原版を、レーザー露光する前に60℃で3日間保存し、その後前記と同様にレーザ露光および現像を行い、同様に感度を測定して前記の結果と比較した。感度の変動は、20mJ/cm2以下であれば保存安定性は良好であり、実用可能なレベルであると評価した。
【0200】
【表1】
Figure 0004041611
【0201】
【表2】
Figure 0004041611
【0202】
【表3】
Figure 0004041611
【0203】
表1乃至表3の結果より、実施例1〜33の平版印刷版原版はいずれも、比較例1〜6の平版印刷版原版と比較して赤外線レーザに対する感度が高いことがわかった。また、2つの希釈濃度の現像液に対する感度の差が格段に小さく、実用上必要とされる20mJ/cm2以下の性能を達成しており、現像ラチチュードに優れていることが確認された。
さらに、保存安定性の評価結果から、本発明の平版印刷版原版はすべて、保存の前後における感度の変動が実用上必要とされる20mJ/cm2以下の性能を達成していることがわかった。
【0204】
次に、本発明に係る新規アニオン性赤外線吸収剤についても、同様に平版印刷版原版を作成し、その性能を評価した。
(実施例34〜37)
実施例1において、感光液1に配合された一般式(I)で表される赤外線吸収剤を表4に示す新規アニオン性赤外線吸収剤に代えた以外は、実施例1とまったく同様にして実施例34〜37の平版印刷版原版を得た。
これらの平版印刷版原版についても、実施例1と同様に感度と現像ラチチュードに関する性能評価を行った。評価結果を下記表4に示す。
【0205】
【表4】
Figure 0004041611
【0206】
(実施例38〜41)
実施例12において、感光液2に配合された一般式(I)で表される赤外線吸収剤を表5に示す新規アニオン性赤外線吸収剤に代えた以外は、実施例12とまったく同様にして実施例38〜41の平版印刷版原版を得た。
これらの平版印刷版原版についても、実施例1と同様に感度と現像ラチチュードに関する性能評価を行った。評価結果を下記表5に示す。
【0207】
【表5】
Figure 0004041611
【0208】
(実施例42〜45)
実施例12において、感光液3に配合された一般式(I)で表される赤外線吸収剤を表6に示す新規アニオン性赤外線吸収剤に代えた以外は、実施例12とまったく同様にして実施例41〜45の平版印刷版原版を得た。
これらの平版印刷版原版についても、実施例1と同様に感度と現像ラチチュードに関する性能評価を行った。評価結果を下記表6に示す。
【0209】
【表6】
Figure 0004041611
【0210】
表4乃至表6の結果より、本発明の一般式(1)で表される新規なアニオン性赤外線吸収剤を用いた実施例34〜45の平版印刷版原版はいずれも、前記実施例1〜33と同様に、赤外線レーザに対する感度が高く、現像ラチチュードに優れていることが確認された。
【0211】
【発明の効果】
本発明の新規アニオン性赤外線吸収剤は、長波長領域に吸収極大を有し、画像形成材料として有用である。また、本発明の感光性組成物によれば、高感度で、かつ現像液の濃度に対する感度の安定性、即ち現像ラチチュードの良好な感光性組成物を提供することができる。さらに、この感光性組成物を用いた平版印刷版原版は赤外線レーザによるダイレクト製版が可能で、高感度、且つ、現像ラチチュードが良好であるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の新規アニオン性赤外線吸収剤IR(1−1)のNMRスペクトルを表すグラフである。
【図2】 本発明の新規アニオン性赤外線吸収剤IR(1−2)のNMRスペクトルを表すグラフである。
【図3】 本発明の新規アニオン性赤外線吸収剤IR(1−3)のNMRスペクトルを表すグラフである。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表されるアニオン性赤外線吸収剤。
    Figure 0004041611
    式中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。X+はカチオンを示す。Y1〜Y6及びZ1〜Z6は互いに独立に水素原子又は置換基を表し、それらが置換基を表すとき、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
  2. 前記一般式(1)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すことを特徴とする請求項1に記載のアニオン性赤外線吸収剤。
  3. 前記一般式(1)中、Y1〜Y6及びZ1〜Z6がすべて水素原子を表すことを特徴とする請求項1に記載のアニオン性赤外線吸収剤。
  4. 下記一般式(2)で表されるアニオン性赤外線吸収剤。
    Figure 0004041611
    式中、X+は一般式(1)におけるのと同義である。Aは炭素原子、窒素原子、酸素原子、いおう原子及びセリウム原子から選択された14個以下の環原子により構成される、5員−、6員−、もしくは7員−炭素環式環、5員−、6員−、もしくは7員−複素環式環、または5員−、6員−、もしくは7員−核からなる群より選択される縮合環を完成するのに必要な非金属原子を表す。
  5. 下記一般式(3)で表されるアニオン性赤外線吸収剤。
    Figure 0004041611
    式中、X+は一般式(1)におけるのと同義である。
  6. 下記(a)及び(b)を含有し、赤外線レーザの照射により、アルカリ水溶液に可溶となることを特徴とする感光性組成物。
    (a)下記一般式(I)で表されるアニオン性赤外線吸収剤、
    (b)水に不溶であり、且つ、アルカリ水溶液に可溶な高分子化合物。
    Figure 0004041611
    式中、Mは、炭素原子数7以上の共役鎖を表し、Ga-はアニオン性置換基を表し、Gbは中性の置換基を表す。Xm+はプロトンを含む1〜m価のカチオンを示し、ここでmは1乃至6の整数を表す。
  7. 前記(a)一般式(I)で表されるアニオン性赤外線吸収剤の対カチオンが、熱分解性のオニウム塩構造を有することを特徴とする請求項6に記載の感光性組成物。
  8. 支持体上に、前記請求項6又は請求項7に記載の感光性組成物からなる感光層を設けたことを特徴とする平版印刷版原版。
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