JP3698174B2 - 液晶組成物およびこれを用いた液晶表示素子 - Google Patents
液晶組成物およびこれを用いた液晶表示素子 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶組成物、この液晶組成物を用いた液晶表示素子および液晶組成物に好適に使用可能な新規なターフェニル誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
液晶表示素子は液晶の持つ電気光学効果を利用したものであり、これに用いられる液晶相にはネマチック相、コレステリック相、スメクチック相がある。そして現在もっとも広く用いられる表示方式は、ネマチック相を利用したねじれネマチック(以下TNという)型、あるいはねじれ角をさらに大きくしたスーパーツイステッドネマチック(以下STNという)型である。また、画素電極ごとにスイチッング素子を配置して、スイッチング素子をマトリクス駆動し、スイッチング素子を介してそれぞれの画素電極をスイッチするアクティブマトリクス型表示が大容量表示には使用されている。
【0003】
液晶表示素子は
1.小型でしかも薄くできる、
2.駆動電圧が低く、かつ消費電力が小さい、
3.受光素子であるため長時間使用しても目が疲れない、
等の長所を持つことから、従来より腕時計、電卓、オーディオ機器、各種計測機、自動車のダッシュボード等に応用されている。特に最近ではパーソナルコンピューターやワードプロセッサーのディスプレイさらにはカラーテレビなどの画素数の大変多い表示にも応用されCRTに代わる表示素子として注目を集めている。このように液晶表示素子は多方面に応用されており、今後さらにその応用分野は拡大していくと考えられる。これにともない液晶材料に要求される特性も変化していくと思われるが、以下に示した特性は基本的なものである。
【0004】
1.着色がなく、熱、光、電気的、化学的に安定であること。
2.実用温度範囲が広いこと。
3.電気光学的な応答速度が速いこと。
4.駆動電圧が低いこと。
5.電圧−光透過率特性の立ち上がりが急峻であり、またそのしきい値電圧(以下、Vthという)の温度依存性が小さいこと。
6.視角範囲が広いこと。
【0005】
これらの特性のうち、1.の特性を満足する液晶は数多く知られているが2.以下の特性を単一成分で満足させる液晶化合物は知られていない。そこでこれらの特性を得るために数種類のネマチック液晶化合物または非液晶化合物を混合した液晶組成物を用いている。液晶表示素子は、腕時計、電卓、パーソナルコンピューターやワードプロセッサーのディスプレイ等に使用されることから、これらの特性の中でも特に低駆動電圧化が求められている。
【0006】
また、腕時計においては針式のアナログ時計、液晶表示素子を備えたデジタル時計に加えて、最近では表示する情報が多種多様化したため液晶の小窓を備えたハイブリッド時計、さらには針式のアナログ時計の表面に液晶表示素子を重ねた2層式の時計まで開発されてきた(特開昭54−94940など)。このほか時計や電子手帳の分野においては、様々な機能を搭載した多機能型の機種が開発されつつある。このような用途において、無電界下で透明な明るい表示素子の開発が待たれている。そこでこのような用途に合致する、偏光板を用いない明るい反射型表示素子が開発されつつある。例えば電界印加で透明、電界無印加で散乱するモード(PDLCと略記、特公昭58−501631など)や、電界印加で散乱、電界無印加で光吸収または透明となるもの(リバースPDLCと略記、ゲルネットワーク型としては特開平4−227684など、粒子配向分散型としては特開平5−119302など、液晶の液滴分散型としてはアメリカ特許4,994,204など)などが開発されている。
【0007】
ところで腕時計も含めたこれらの情報機器分野においては小型携帯化が進行し、それに搭載する表示素子も省電力化が求められている。またこのような携帯型の情報表示装置または情報処理装置においては電池を用いることが一般的であり、従って装置を使用する上で電池の寿命が極めて重要な課題となる。この為最近、太陽電池を組み合わせた装置が開発されつつある。例えば特開昭53−38371などでは、液晶表示素子と太陽電池を重ね合わせて省スペース化を図っている。また特開昭63−106725などでは液晶表示素子の周辺に太陽電池を配置する構成、およびこの時の液晶表示素子として高分子中に液晶がカプセル状に分散している表示素子を用いた例を提示している。太陽電池を用いるにせよ電池で駆動するにせよ、いずれにしても表示素子としては低消費電力化が求められている。
【0008】
ところが従来の偏光板を用いない明るい高分子分散型液晶表示素子(以下、PDLCと略記する。)は駆動電圧が高いという課題を有していた。例えばPDLC開発初期においては駆動電圧が数十Vであった。今でこそ駆動電圧は10Vを切っているが、それでも5Vは必要であり、なるべく駆動電圧が小さいPDLCが望まれている。
【0009】
従って、本発明の目的は、液晶表示素子や高分子分散型の液晶表示素子の駆動電圧を下げることができる液晶組成物、および低駆動電圧化された液晶表示素子や高分子分散型の液晶表示素子を提供し、さらに、このような液晶表示素子に好適に使用可能な新規な化合物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
一般式
【0011】
【化7】
【0012】
(式中、R1 、A1 およびベンゼン環の水素原子のうち少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子により置換されており、
R1 はアルキル基またはアルコキシ基を示し、
A1 は、ベンゼン環、シクロヘキサン環、
【0013】
【化8】
【0014】
ピリジン環およびピリミジン環からなる群から選択される)
で表される化合物を含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0015】
電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子においては、液晶と高分子との屈折率の差を利用して調光を行っている。
【0016】
液晶組成物中に上記式(1)の化合物を含有せしめることによって、その液晶組成物を使用した液晶表示素子を低駆動電圧化でき、さらに、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できる。
【0017】
なお、上記ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。フッ素原子を用いると、Δε(誘電率の異方性)がより大きく、粘度がより低い化合物になり、低電圧駆動が可能となる。
【0018】
また、本発明によれば、
一般式
【0019】
【化9】
【0020】
(式中、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換され、
R2 はアルキル基またはアルコキシ基を示し、
A2 はシクロヘキサン環またはベンゼン環を示す)
で表される化合物を含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0021】
液晶組成物中に上記式(2)の化合物を含有せしめることによって、その液晶組成物を使用した液晶表示素子を低駆動電圧化でき、さらに、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できる。
【0022】
なお、上記式(2)の化合物においては、シアノ基側のベンゼン環3個の水素原子の少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換されていることが好ましい。シアノ基に直結しているベンゼン環の水素原子のうち、シアノ基に対してオルト位の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されていることがより好ましく、より安定な化合物となる。
【0023】
また、本発明によれば、
一般式
【0024】
【化10】
【0025】
(式中、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換され、
R3 はアルキル基またはアルコキシ基を示し、
A3 はピリジン環、ピリジミン環、シクロヘキサン環またはベンゼン環を示す)で表される化合物を含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0026】
液晶組成物中に上記式(3)の化合物を含有せしめることによって、その液晶組成物を使用した液晶表示素子を低駆動電圧化でき、さらに、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できる。
【0027】
また、本発明によれば、
一般式
【0028】
【化11】
【0029】
(式中、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換され、
R4 はアルキル基またはアルコキシ基を示し、
A4 は存在せずR4 −基がその右側のベンゼン環に直結しているか、またはA4 はシクロヘキサン環あるいはベンゼン環を示す)
で表される化合物を含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0030】
液晶組成物中に上記式(4)の化合物を含有せしめることによって、その液晶組成物を使用した液晶表示素子を低駆動電圧化でき、さらに、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できる。
【0031】
なお、上記式(4)の化合物においては、シアノ基に直結しているベンゼン環の水素原子のうち、シアノ基に対してオルト位の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されていることが好ましい。駆動電圧をより低減できるからである。
【0032】
また、本発明によれば、上記式(2)の化合物と、上記式(3)の化合物と、上記式(4)の化合物とを含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0033】
また、本発明によれば、
上記式(2)の化合物と上記式(4)の化合物とを含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0034】
このように、液晶組成物中に、式(2)の化合物と、式(3)の化合物と、式(4)の化合物とを含有させることによって、または液晶組成物中に、式(2)の化合物と式(4)の化合物とを含有させることによって、その液晶組成物を使用した液晶表示素子を低駆動電圧化でき、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できるだけでなく、ネマチック相−等方相転移点(以下、N−I点と略記する。)が高く、複屈折率が大きい液晶組成物が得られる。
【0035】
従来のPDLCにおいては、駆動電圧が一般的に高いという課題を有する一方、ある液晶組成物をPDLCとした時に駆動電圧が3V程度となるものもあるにはあるがN−I点が60℃以下となってしまうという問題もあって、高いN−I点を持つと共に低電圧駆動が可能な液晶組成物は開発されていなかったが、上述のような、式(2)の化合物と、式(3)の化合物と、式(4)の化合物とを含有させた液晶組成物、または、式(2)の化合物と式(4)の化合物とを含有させた液晶組成物を使用すれば、N−I点が高く、70〜80℃程度の耐熱性も確保でき、例えば自動車の中などにこの液晶組成物を使用した液晶表示素子を放置することもできるようになる。
【0036】
またN−I点が高いので、複屈折性が高くなると共に、使用温度領域で複屈折性の温度依存性も小さくなり、表示状態が使用温度の影響を受けにくくなる。
【0037】
従って、この液晶組成物を用いれば、駆動電圧が低く、応答速度が速く、明るく、コントラストが良好な、そしてこれらの特性の温度依存性が小さいPDLCが得られる。
【0038】
なお、式(2)の化合物において、A2 がベンゼン環であると、極めて複屈折率の異方性が大きくなり、表示素子とした場合に散乱が大きくなる。また、化合物の合成も容易である。さらに、耐候性や通電状態での信頼性にも優れる。A2 がシクロヘキサン環であると、ベンゼン環の場合よりも駆動電圧が小さくなる。また、式(2)の化合物においては、シアノ基側のベンゼン環3個の水素原子の少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換されていることが好ましく、水素原子の一つをフッ素原子で置換する場合には、フッ素原子がCN−基のオルト位にあることが好ましく、さらにもう一つのフッ素原子でCN−基のもう一つのオルト位を置換すると、極めて低駆動電圧の液晶組成物を作製することができる。R2 としては、好ましくはプロピル基、ブチル基またはペンチル基が用いられる。
【0039】
式(3)の化合物において、A3 がベンゼン環であると、副屈折率の異方性(Δn)が大きくなり、表示素子とした場合に散乱が大きくなる。A3 がシクロヘキサン環であると、化合物の粘度が低くなり、応答速度が速くなる。A3 がピリジン環またはピリジミン環であると、駆動電圧を下げることができる。水素原子の一つをフッ素原子で置換する場合には、フッ素原子がCN−基のオルト位にあることが好ましく、さらにもう一つのフッ素原子でCN−基のもう一つのオルト位を置換すると、極めて低駆動電圧の液晶組成物を作製することができる。R3 としては好ましくはエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基が用いられる。
【0040】
式(4)の化合物において、A4 が存在せず、R4 −基がその右のベンゼン環に直結していると駆動電圧をより有効に下げることができる。A4 がベンゼン環であると、N−I点を上げることが可能であり、また、Δnが大きく表示素子とした場合に散乱が大きくなる。A4 がシクロヘキサン環であると、N−I点を上げることが可能であり、また、相溶性がよい。水素原子の一つをフッ素原子で置換する場合には、フッ素原子がCN−基のオルト位にあることが好ましく、さらにもう一つのフッ素原子でCN−基のもう一つのオルト位を置換すると、極めて低駆動電圧の液晶組成物を作製することができる。R4 としては好ましくはプロピル基、ブチル基またはペンチル基が用いられる。
【0041】
さらに、また、本発明によれば、
一般式
【0042】
【化12】
【0043】
(式中、R5 は炭素数が1〜10の直鎖アルキル基またはアルコキシ基を示し、X1 は水素原子またはフッ素原子を示す)
で表される化合物を含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0044】
さらに、また、本発明によれば、
一般式
【0045】
【化13】
【0046】
(式中、R6 は炭素数が1〜10の直鎖アルキル基またはアルコキシ基を示し、X2 、X3 、X4はいずれも水素原子またはフッ素原子を示すが、X2 、X3およびX4のうち少なくとも1つはフッ素原子である)で表される化合物を含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0047】
また、本発明によれば、式(5)の化合物と、式(6)の化合物とを含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0048】
また、本発明によれば、
一般式
【0049】
【化14】
【0050】
(式中、R7 は炭素数が1〜10の直鎖アルキル基を示す)で表されるターフェニル誘導体が提供され、このターフェニル誘導体は液晶組成物に好適に使用される。
【0051】
さらに、また、本発明によれば、
一般式
【0052】
【化15】
【0053】
(式中、R7 は炭素数が1〜10の直鎖アルキル基を示す)で表される化合物を含有することを特徴とする液晶組成物およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子が提供される。また、電極間に液晶および高分子を含有する調光層を設けた高分子分散型液晶表示素子において、この液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子も提供される。
【0054】
液晶表示素子の実用温度範囲を広くするためには、結晶相−ネマチック液晶相転移点(以下、C−N点という。)が低く、さらにネマチック液晶相−等方性液体転移点(N−I点)が高い液晶化合物が必要となる。また、駆動電圧を低くするためには、しきい値電圧(Vth)を下げなければいけないが、Vthと弾性定数(以下、Kという。)と誘電率の異方性(以下、Δεという。)との間には次の関係式があり、
【0055】
【数1】
【0056】
Vthを下げるにはΔεが大きく、Kが小さい液晶化合物が必要になる。しかし液晶化合物の分子量が大きいほどN−I点が高く、Δεが小さく、逆に液晶化合物の分子量が小さいほどN−I点が低くΔεが大きくなるという傾向が一般的にはある。そのためN−I点が高く、しかも駆動電圧が低い液晶化合物は今まではなく、N−I点が高い液晶化合物と駆動電圧が低い液晶化合物を組み合わせた液晶組成物が一般的には用いられている。しかしながら、このように、N−I点が高い液晶化合物と駆動電圧が低い液晶化合物を組み合わせた液晶組成物では、それぞれの特性を十分発揮することができず、ある程度の実用温度範囲を確保しつつ低電圧駆動を行うには限界があった。それはN−I点が高い液晶化合物はそれを混合した液晶組成物の駆動電圧を高くしてしまい、駆動電圧が低い液晶化合物はそれを混合した液晶組成物のN−I点を低くしてしまう傾向が一般的にあるからである。
【0057】
これに対して、式(5)の化合物は低電圧駆動を実現するために液晶組成物に混合するものであるが、従来の同じ目的の化合物に比べ、大幅にΔεが大きいため、同じ電圧降下を実現するために必要な量が少なくてすみ、結果的にもとの液晶組成物のN−I点をあまり下げることなく駆動電圧の低下が実現できる。
【0058】
一方、式(6)の化合物はそれ自身のN−I点が高いため、実用温度範囲の広い液晶組成物を得るために液晶組成物中に混合される。従来のN−I点の高い液晶化合物は、Δεが小さいため、もとの液晶組成物の駆動電圧を大幅に上げてしまっていた。これに対し式(6)の化合物はN−I点が高いにもかかわらず、Δεが大きいため、もとの液晶組成物の駆動電圧をあまり上げることなく、実用温度範囲の広い液晶組成物を得ることができる。
【0059】
式(5)の化合物と式(6)の化合物とを共に液晶組成物中に含有せしめることが好ましい。そうすれば、駆動電圧も低く、実用温度範囲も広い液晶組成物を得ることができ、より優れた特性の液晶表示素子が得られる。
【0060】
このように、式(5)の化合物と式(6)の化合物とを共に液晶組成物中に含有せしめる場合には、式(5)の化合物は液晶組成物全体に対して1〜20重量%含有せしめることが好ましく、式(6)の化合物は液晶組成物全体に対して1〜20重量%含有せしめることが好ましい。
【0061】
式(7)の化合物を液晶組成物中に含有せしめると、実用温度範囲が広く、駆動電圧が低い液晶組成物が得られる。
【0062】
式(5)の化合物を含有した液晶組成物を使用した液晶表示素子、式(6)の化合物を含有した液晶組成物を使用した液晶表示素子、式(5)の化合物および式(6)の化合物を共に含有した液晶組成物を使用した液晶表示素子、ならびに式(7)の化合物を含有した液晶組成物を使用した液晶表示素子は、時分割駆動方式を用いた液晶表示装置に好適であり、特にTN型及びSTN型の液晶表示素子において高時分割駆動が可能である。
【0063】
また、式(5)の化合物を含有した液晶組成物、式(6)の化合物を含有した液晶組成物、式(5)の化合物および式(6)の化合物を共に含有した液晶組成物、ならびに式(7)の化合物を含有した液晶組成物はPDLCにも好適に使用され、実用温度範囲が広く、駆動電圧が低く、表示品質に優れた液晶表示素子が提供される。
【0064】
なお、式(2)の化合物の製造方法については、特開平4−290859号公報、式(3)の化合物の製造方法については、Molecular Crystal and Liquid Crystal Vol.42、P.1225(1977年)、Vol.67、P.241(1981年)およびDie Angewandte Chemie Vol.89、P.103(1977年)に記載されている。式(4)の化合物の製造方法については、De−OS 2415929(1974年)に記載されている。
【0065】
また、式(5)、(6)の化合物の製造方法は、それぞれアメリカ特許4551264、特開平3−505093号公報に記載されている。
【0066】
式(7)の化合物は次の工程を有する製造方法により得ることができる。
【0067】
【化16】
【0068】
工程1)化合物(8)をテトラヒドロフラン中でグリニヤール試薬とし、ほう酸トリイソプロピルと反応させ化合物(9)を得る。
【0069】
工程2)化合物(10)と化合物(11)を1,1,2,2−テトラクロロエタン中で塩化アルミニウムの存在下反応させて化合物(12)を得る。
【0070】
工程3)化合物(12)を1,4−ジオキサン中で臭素と水酸化ナトリウムで反応させ化合物(13)を得る。
【0071】
工程4)化合物(13)を塩化チオニルと反応させ化合物(14)を得る。
【0072】
工程5)化合物(14)を1,4−ジオキサン中でアンモニアガスと反応させ化合物(15)を得る。
【0073】
工程6)化合物(15)を塩化チオニルと反応させ化合物(16)を得る。
【0074】
工程7)化合物(9)と化合物(16)をエタノールとベンゼンの混合溶媒中、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウムの存在下で反応させ式(7)の化合物を得る。
【0075】
式(1)〜式(7)の化合物を混合して液晶組成物を構成する他の成分としては次に示した化合物があげられるが、これに限定されることなく、従来のすべての液晶化合物またはその類似化合物と混合して液晶組成物を構成することができる。
【0076】
【化17】
【0077】
ここでR8 およびR9 はアルキル基、アルコキシ基、アルコキシメチレン基、ニトリル基、フルオロ基、またはクロロ基を表し、フェニレン基は2または3位にハロゲン置換基を有してもよく、シクロヘキサン環はトランス配置である。
【0078】
特に、式(5)〜(7)の化合物は上記の化合物を初めとして他のすべての液晶化合物またはその類似化合物と良好な相溶性を有し、得られた液晶組成物は、実用温度範囲が広く、しきい値電圧が低いという特徴を有する。
【0079】
式(1)の化合物を上記化合物に混合して液晶組成物を構成する場合には、式(1)の化合物は液晶組成物全体に対して5〜70重量%混合することが好ましい。
【0080】
式(2)の化合物を上記化合物に混合して液晶組成物を構成する場合には、式(2)の化合物は液晶組成物全体に対して3〜20重量%混合することが好ましい。3重量%未満ではこの化合物を含有させる効果があまりなく、20重量%を超えると析出する可能性がある。この範囲で式(2)の化合物を混合することによりN−I点の高い、またΔnの大きい組成物が得られる。
【0081】
式(3)の化合物を上記化合物に混合して液晶組成物を構成する場合には、式(3)の化合物は液晶組成物全体に対して5〜20重量%混合することが好ましい。5重量%未満ではこの化合物を含有させる効果があまりなく、20重量%を超えると組成物のN−I点を大きく低下させることになる。この範囲で式(3)の化合物を混合することにより駆動電圧が低く、Δnの大きい組成物が得られる。
【0082】
式(4)の化合物を上記化合物に混合して液晶組成物を構成する場合には、式(4)の化合物は液晶組成物全体に対して5〜20重量%混合することが好ましい。5重量%未満ではこの化合物を含有させる効果があまりなく、20重量%を超えると析出する可能性がある。この範囲で式(4)の化合物を混合することによりN−I点の高い、低電圧駆動の組成物が得られる。
【0083】
式(5)の化合物を上記化合物に混合して液晶組成物を構成する場合には、式(5)の化合物は液晶組成物全体に対して5〜20重量%混合することが好ましい。5重量%未満ではこの化合物を含有させる効果があまりなく、20重量%を超えると組成物のN−I点を大きく低下させてしまう。この範囲で式(5)の化合物を混合することによりΔnの大きい低電圧駆動の組成物が得られる。
【0084】
式(6)の化合物を上記化合物に混合して液晶組成物を構成する場合には、式(6)の化合物は液晶組成物全体に対して5〜20重量%混合することが好ましい。5重量%未満ではこの化合物を含有させる効果があまりなく、20重量%を超えると析出する可能性がある。この範囲で式(6)の化合物を混合することによりN−I点の高い、低電圧駆動の組成物が得られる。
【0085】
式(7)の化合物を上記化合物に混合して液晶組成物を構成する場合には、式(7)の化合物は液晶組成物全体に対して1〜20重量%混合することが好ましい。低温領域での結晶析出を考慮した場合には、式(7)の化合物を液晶組成物全体に対して1〜10重量%混合することがより好ましい。
【0086】
また、式(1)〜式(7)の化合物同士を混合して液晶組成物を構成することもできる。
【0087】
さらに、式(2)、式(3)および式(4)の化合物同士を混合して液晶組成物を構成することも好ましく、式(2)の化合物であってシアノ基側のベンゼン環3個の水素原子の少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換されている化合物と、式(3)の化合物と、式(4)の化合物であってシアノ基に直結しているベンゼン環の水素原子のうち、シアノ基に対してオルト位の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている化合物とを混合して液晶組成物を構成することがより好ましく、式(2)の化合物であってシアノ基に直結しているベンゼン環の水素原子のうち、シアノ基に対してオルト位の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている化合物と、式(3)の化合物と、式(4)の化合物であってシアノ基に直結しているベンゼン環の水素原子のうち、シアノ基に対してオルト位の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている化合物とを混合して液晶組成物を構成することがさらに好ましい。このようにして液晶組成物を構成すると、その液晶組成物を使用した液晶表示素子を低駆動電圧化でき、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できるだけでなく、N−I点が高く、複屈折率が大きい液晶組成物が得られる。
【0088】
さらに、また、式(2)および式(4)の化合物同士を混合して液晶組成物を構成することも好ましく、式(2)の化合物であってシアノ基側のベンゼン環3個の水素原子の少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換されている化合物と、式(4)の化合物であってシアノ基に直結しているベンゼン環の水素原子のうち、シアノ基に対してオルト位の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている化合物とを混合して液晶組成物を構成することがより好ましく、式(2)の化合物であってシアノ基に直結しているベンゼン環の水素原子のうち、シアノ基に対してオルト位の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている化合物と、式(4)の化合物であってシアノ基に直結しているベンゼン環の水素原子のうち、シアノ基に対してオルト位の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている化合物とを混合して液晶組成物を構成することがさらに好ましい。このようにして液晶組成物を構成しても、その液晶組成物を使用した液晶表示素子を低駆動電圧化でき、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できるだけでなく、N−I点が高く、複屈折率が大きい液晶組成物が得られる。
【0089】
高分子分散型の液晶表示素子において用いられる液晶および高分子を含有する調光層は、好ましくは、高分子または高分子前駆体と液晶とを相溶した混合液を作成し、その後この混合液を電極間に配置して、混合液を相分離手段により液晶と高分子とに相分離させて形成した層である。ここで、相分離手段としては、好ましくは、紫外線を混合層に照射して高分子前駆体を重合させる方法を用いることができる。
【0090】
また、液晶および高分子を含有する調光層は、高分子または高分子前駆体と液晶とを相溶した混合液を作成し、その後この混合液を電極間に配向させて配置して、混合液が液晶相をとっている状態で混合液を相分離手段により液晶と高分子とに相分離させて形成することができる。この形成方法においては、まず、基板をラビングして配向処理をしておく。すると、混合液は液晶相をとっており、液晶および高分子は配向状態となる。この状態で例えば紫外線を当てて高分子前駆体を重合させて相分離すれば、液晶が配向した状態をそのまま保つことができる。なお、ここで、混合液が液晶相をとっているとは、混合液が特定の状態で配向した状態をいう。
【0091】
高分子または高分子前駆体と液晶とを相溶した混合液にさらにカイラル成分を添加することもできる。カイラル成分を添加することにより、液晶表示素子を見る角度によって見え方が異なるという問題を解決できる。また、2色性色素を含有している場合には、2色性色素にツイスト構造を生じさせてコントラストを高めることができる。
【0092】
液晶表示素子が電極間に液晶および高分子を配向して分散させた層を設けた液晶表示素子である場合には、液晶中に2色性色素をさらに含有することもできる。このようにすれば、電圧を印加しない状態では液晶および高分子については透明となるが、2色性色素によって光が吸収されて黒色表示となり、電圧が印加されている状態では散乱されて白色表示となる液晶表示装置が得られる。
【0093】
なお、このようなPDLCに使用される高分子前駆体として、一般式
【0094】
【化18】
【0095】
(式中、Y1 およびY2 は、メタクリレート基、アクリレート基、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フッ素原子、シアノ基のいずれかを示すが、Y1 およびY2 の少なくとも一方はメタクリレート基またはアクリレート基のどちらかを示し、A5 は存在せずその両側のベンゼン環同士が単結合で直結しているか、またはA5 は
【0096】
【化19】
【0097】
酸素原子、あるいは硫黄原子のいずれかを示し、A5 の両側のベンゼン環の水素原子はすべて水素原子であるか、または少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子によって置換されている)で表される化合物のうち少なくとも1種が好ましく使用される。
【0098】
電極間に液晶および高分子を配向して分散させた層を設けた液晶表示素子において、液晶に式(5)の化合物と式(6)の化合物とを併せて混合した場合には、特に上記高分子前駆体が好ましく用いられる。
【0099】
電極間に液晶および高分子を配向して分散させた層を設けた液晶表示素子において、液晶に式(7)の化合物を混合した場合にも、特に上記高分子前駆体が好ましく用いられる。
【0100】
なお、液晶表示素子の表側表面に表面反射を減じる処理を施すことが好ましい。写り込みが防げるからである。
【0101】
また、液晶表示素子の背面に太陽電池を配置することもできる。特にPDLCを用いた透過型の液晶表示装置の場合には、光の透過率が高いので太陽電池を有効に働かせることができる。
【0102】
また、液晶表示素子の基板と液晶層または高分子分散液晶層との間にカラーフィルターを配置して、カラー表示とすることができる。
【0103】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0104】
(実施例1)
本実施例では式(2)の化合物と式(3)の化合物と式(4)の化合物とを含有する液晶組成物について述べる。表1に本実施例で用いた液晶組成物を示す。
【0105】
こうして作製した液晶(LC1と略記する)のN−I点は78℃、誘電率の異方性△εは37、屈折率の異方性△nは0.23であった。
【0106】
なお、各化合物の混合比率はここに示した値でなくてもよく、用途に応じて最適化するとよい。また各化合物の構造もここに示したものでなくてもよく、アルキル基の長さ、フッ素の置換数及び置換位置は用途に応じて最適化するとよい。このことは、本実施例に限らず、以下に述べる各実施例においても同様である。
【0107】
【表1】
【0108】
この表1において、X=プロピル基と記載されている化合物は、CN基の代わりにプロピル基が結合した化合物を示し、Fが1つでCNのオルト位と記載されていない化合物については、化合物中の水素原子がF等のハロゲン原子で置換されていない化合物を示している。
【0109】
(実施例2)
本実施例では式(3)の化合物と式(4)の化合物を含有する液晶組成物について述べる。表2に本実施例で作製した液晶組成物を示す。
【0110】
こうして作製した液晶(LC2と略記)のN−I点は51℃、△εは37.8、△nは0.21であった。
【0111】
【表2】
【0112】
この表2において、X=プロピル基と記載されている化合物は、CN基の代わりにプロピル基が結合した化合物を示し、Fが1つでCNのオルト位と記載されていない化合物については、化合物中の水素原子がF等のハロゲン原子で置換されていない化合物を示している。
【0113】
(実施例3)
本実施例では式(2)の化合物と、式(4)の化合物と、式(3)の化合物のうちシクロヘキサン系化合物とを含有する液晶組成物について述べる。表3に本実施例で作製した液晶組成物を示す。
【0114】
こうして作製した液晶(LC3と略記)のN−I点は88℃、△εは44、△nは0.20であった。
【0115】
【表3】
【0116】
この表3において、X=プロピル基と記載されている化合物は、CN基の代わりにプロピル基が結合した化合物を示し、Fが1つでCNのオルト位と記載されていない化合物については、化合物中の水素原子がF等のハロゲン原子で置換されていない化合物を示している。
【0117】
なお、本実施例では、式(3)の化合物であってシクロヘキサン系の化合物をわずかに混入させたが、この化合物を除去してもよい。
【0118】
(実施例4)
本実施例では式(4)の化合物と、式(3)の化合物のうちシクロヘキサン系化合物とを含有する液晶組成物について述べる。表4に本実施例で作製した液晶組成物を示す。
【0119】
こうして作製した液晶(LC4と略記)のN−I点は62℃、△εは45.6、△nは0.16であった。
【0120】
【表4】
【0121】
この表4において、Fが1つでCNのオルト位と記載されていない化合物については、化合物中の水素原子がF等のハロゲン原子で置換されていない化合物を示している。
【0122】
(実施例5)
本実施例では式(2)の化合物と式(3)の化合物と式(4)の化合物とを含有する液晶組成物であって、式(2)の化合物にクォーターフェニル化合物を用いた例について述べる。表5に本実施例で用いた液晶組成物を示す。
【0123】
こうして作製した液晶(LC5と略記)のN−I点は73℃、△εは37、△nは0.25であった。
【0124】
【表5】
【0125】
この表5において、X=プロピル基と記載されている化合物は、CN基の代わりにプロピル基が結合した化合物を示し、Fが1つでCNのオルト位と記載されていない化合物については、化合物中の水素原子がF等のハロゲン原子で置換されていない化合物を示している。
【0126】
(実施例6)
本実施例では式(2)の化合物と式(3)の化合物と式(4)の化合物とを含有する液晶組成物であって、式(2)の化合物にジフッソ化合物を用いた例について述べる。表6に本実施例で用いた液晶組成物を示す。
【0127】
こうして作製した液晶(LC6と略記)のN−I点は70℃、△εは40、△nは0.23であった。
【0128】
【表6】
【0129】
この表6において、X=プロピル基と記載されている化合物は、CN基の代わりにプロピル基が結合した化合物を示し、Fが1つでCNのオルト位と記載されておらずまたFが2つで共にCNのオルト位とも記載されていない化合物については、化合物中の水素原子がF等のハロゲン原子で置換されていない化合物を示している。
【0130】
(実施例7)
本実施例では実施例1で示した液晶組成物LC1を用い、この液晶と高分子前駆体とを相溶させた混合液を、この混合液が液晶相をとっている状態で、液晶と高分子とに相分離させて形成した層を用いて液晶表示素子を作製した例を示す。
【0131】
まずこのように相分離された液晶と高分子とを挾持する空パネルについて説明する。図1に本実施例で用いた液晶表示素子100の構成を示した。ガラス透明基板1上にITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極膜3を形成し、その上にポリイミドからなる配向膜を塗布し、その後ラビングして配向制御層4を形成した。ガラス透明基板2上にITOからなる透明電極膜5を形成し、その上にポリイミドからなる配向膜を塗布し、その後ラビングして配向制御層6を形成した。ガラス基板1および2間の間隙を5μmに保ちつつ電極面を内側にしてシール剤7を介してガラス基板1および2の周囲を張り合わせて空パネル50を形成した。次に、この空パネル50に以下に示す液晶および高分子前駆体の混合液を封入した。
【0132】
液晶として実施例1で示したLC1を用い、さらにカイラル成分として旭電化社製CNL611Lを液晶98.5重量%に対して1.5重量%加えてカイラルネマチック液晶とした。高分子前駆体としてブチルフェニルトランメタクリレートとビフェニルジメタクリレートとを4:1の割合で混合したものを上記カイラル液晶95重量%に対して5重量%混合した。
【0133】
この混合液を先に示した空パネル50に封入して、50℃にて紫外線(300〜400nm、3.5mW/cm2 )を照射して高分子前駆体を重合し、液晶中から高分子を析出させて液晶表示素子100を作製した。
【0134】
ここで使用した混合液においては液晶と高分子前駆体は相溶しており、混合液は液晶状態をとっている。基板はラビングして配向処理をされており、混合液は液晶状態をとっているから、空パネル50に混合液を封入すると液晶および高分子は配向状態となる。この状態で紫外線を当てて高分子前駆体を重合させて相分離しているから、液晶が配向した状態がそのまま保たれる。
【0135】
こうして作製した液晶表示素子100の背面に反射板として太陽電池21を配置して、電極3および5の間に電界を印加しつつ、反射率を測定した(図2参照)。その際、液晶表示素子100表面への法線から20度傾いた方向の光源22から光を入射して、法線方向への反射光強度を結像用レンズ23および光電子増倍管24を使用して測定した。以下の実施例でも同様の測定方法によった。
【0136】
印加電圧と反射率の関係を図3に実線で示す。また、1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。さらに、70℃での耐熱性を調べたところ、8時間加熱で変化無かった。
【0137】
ここで用いる高分子前駆体については、本実施例においては、ブチルフェニルトランメタクリレートとビフェニルジメタクリレートとを混合したものを用いたが、その他にフェニルメタクリレート、ビフェニルメタクリレート、ターフェニルメタクリレート、クォーターフェニルメタクリレート、トランメタクリレートなど、およびこれらを主骨格とした化合物を用いることができる。このような高分子前駆体を使用すれば、紫外線による重合後においては高分子は粒子状となる。
【0138】
カイラル成分は液晶分子をツイスト(ねじれ)させるために添加した。ここではカイラス成分としてカイラルピッチの温度依存性が極めて小さいものを用いたが、これに限らず他の化合物を用いることができる。例えばメルク社製S(またはR)1011、S(またはR)811、CB15、CE2など、チッソ社製CM20などのCMシリーズ、旭電化社製CNLシリーズなどを用いることができる。また添加するカイラル成分の量については、液晶の配向方向がパネルの厚み方向で20〜450度に調整することが好ましい。20度未満ではカイラル成分を添加する効果がほとんどなく、450度を超えると駆動電圧が高くなってしまう。この範囲内では、表示素子とした場合に全方位からの散乱が大きくなり、明るい素子となる。また、駆動電圧も低い。なお、添加するカイラル成分の量は、液晶の配向方向がパネルの厚み方向で50〜280度に調整することがより好ましい
電極表面の配向処理については、上記のように、ポリイミドなどの配向膜を形成した後にラビング処理を施すことが一般的であるが、配向膜を形成せず直接電極上をラビングしてもよい。
【0139】
上記においては、2枚の電極間の間隙を5μmとしたが、必ずしも5μmとする必要はない。5μmより薄いと駆動電圧が低くなり、散乱度が減少する。5μmより厚いと駆動電圧が高くなり、散乱度が大きくなる。それゆえ用途に応じて間隙を調整するとよい。
【0140】
高分子前駆体を重合する際の紫外線としては400nm以短で強度が100mW/cm2 以下の紫外線を用いることが好ましく、さらに好ましくは20mW〜1mW/cm2 がよい。また、電子線を用いても同様に高分子前駆体を重合することが可能であるが、その際電子線を通り安くするため、ガラス基板の厚みを100μm以下とすることが好ましい。
【0141】
(実施例8)
本実施例では、実施例2で作製した液晶LC2を用い、その他の材料および条件は実施例7に従って液晶表示素子を作製し、その電気光学特性を測定した(図3破線参照)。
【0142】
(実施例9)
本実施例では、高分子前駆体としてP1
【0143】
【化20】
【0144】
を用いた例を示す。このような長いアルキル鎖を有する高分子前駆体を用いると、高分子がゲル状のネットワーク構造になる。本実施例においては、高分子以外の材料およびその他の条件は実施例7に従い、カイラル液晶97重量%に対してP1を3重量%混合して液晶表示素子を作製した。こうして作製した液晶表示素子の電気光学特性を図4実線に示した。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。
【0145】
ここで用いる高分子前駆体はP1の他、これと似た構造を有する重合性化合物であれば用いることができる。市販品としては東亜合成社製のアロニックスおよびレゼダマクロモノマー、日本化薬社製のKAYARADおよびKAYAMER、サンノプコ社製のノプコマー、SICOMETおよびフォトマー、東都化成社製のエポトート、ネオトート、トープレンおよびダップトート、油化シェル社製のエピコート、旭電化社製のアデカレジン、アデカオプトマーおよびアデカオプトン、スリーボンド社製の2200シリーズ、昭和高分子社製のリポキシおよびスピラック、日本ポリウレタンの製品などを用いることができる。これらのモノマーを実施例7で示した高分子前駆体(高分子が粒子状となる例)に1部混合して用いてもよい。
【0146】
(実施例10)
本実施例では、液晶として実施例2の液晶LC2を用い、他の条件は実施例9と同じとした。
【0147】
実施例9に従って液晶表示素子を作製して電気光学特性を測定した(図4破線参照)。
【0148】
(実施例11)
本実施例では、実施例3で作製した液晶LC3を用いて、実施例7に従って液晶表示素子を作製した。こうして作製した液晶表示素子の電気光学特性を図5実線に示した。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。さらに70℃での耐熱性を調べたところ、8時間加熱では変化無かった。
【0149】
(実施例12)
本実施例では、実施例4で作製した液晶LC4を用いて、実施例7に従って液晶表示素子を作製した。こうして作製した表示素子の電気光学特性を図5破線に示した。
【0150】
(実施例13)
本実施例では、実施例3で作製した液晶LC3と実施例9で用いた高分子前駆体P1とを用いて、実施例9に従って液晶表示素子を作製した。こうして作製した液晶表示素子の電気光学特性を図6実線に示した。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。さらに70℃での耐熱性を調べたところ、8時間加熱では変化無かった。
【0151】
(実施例14)
本実施例では、実施例4で作製した液晶LC4と実施例9で用いた高分子前駆体P1を用いて、実施例9に従って液晶表示素子を作製した。こうして作製した液晶表示素子の電気光学特性を図6破線に示した。
【0152】
(実施例15)
本実施例では、実施例5で作製した液晶LC5を用いて、実施例7に従って液晶表示素子を作製した。こうして作製した液晶表示素子の電気光学特性を図7実線に示した。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。さらに70℃での耐熱性を調べたところ、8時間加熱では変化無かった。
【0153】
(実施例16)
本実施例では、実施例5で作製した液晶LC5と実施例9で用いた高分子前駆体P1を用いて、実施例9に従って液晶表示素子を作製した。こうして作製した液晶表示素子の電気光学特性を図7破線に示した。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。さらに70℃での耐熱性を調べたところ、8時間加熱では変化無かった。
【0154】
(実施例17)
本実施例では、実施例6で作製した液晶LC6を用いて、実施例7に従って液晶表示素子を作製した。こうして作製した液晶表示素子の電気光学特性を図8実線に示した。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。さらに70℃での耐熱性を調べたところ、8時間加熱では変化無かった。
【0155】
(実施例18)
本実施例では、実施例6で作製した液晶LC6と実施例9で用いた高分子前駆体P1を用いて、実施例9に従って液晶表示素子を作製した。こうして作製した液晶表示素子の電気光学特性を図8破線に示した。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。さらに70℃での耐熱性を調べたところ、8時間加熱では変化無かった。
【0156】
(実施例19)
本実施例では、実施例1で作製した液晶LC1に2色性色素を混合した例を示す。ここで作製する空パネルは実施例7で示したものにおいて電極5をアルミニウムで形成したものを用いた。また液晶LC1にカイラル成分としてメルク社製S1011を0.8重量%、2色性色素として三井東圧染料社製M361(黄色)、SI512(紫色)、M34(青色)をそれぞれ1.5重量%、2重量%、0.5重量%加えたゲストホスト液晶を用いた。実施例7に従い液晶表示素子を作製したところ、電界印加で光散乱(白表示)、電界無印加で光吸収(黒表示)を行うことができた(図9実線参照)。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。また70℃での耐熱性試験でも変化無かった。尚本実施例では電極5に反射層を作り込んだので、液晶表示素子100の背面に太陽電池などの光吸収板または光反射板を配置する必要はない。
【0157】
ここで用いる2色性色素としては、耐光性の良好なアントラキノン系またはペリレン系が好ましいが、信頼性を要求しない用途にはアゾ系などでもよい。
【0158】
(実施例20)
本実施例では、液晶として実施例2で作製した液晶LC2を用い、他の条件は実施例19と同じとした。実施例19と同様に表示素子を作製して電気光学特性を測定した(図9破線参照)。
【0159】
(実施例21)
本実施例では、高分子前駆体として実施例9に示したP1を用い、他の条件は実施例19と同じとした。高分子前駆体については実施例9、その他については実施例19に従って液晶表示素子を作製した。電界印加で光散乱(白表示)電界無印加で光吸収(黒表示)を行うことができた(図10実線参照)。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。また70℃での耐熱性試験でも変化無かった。
【0160】
(実施例22)
本実施例では、液晶として実施例2で作製した液晶LC2を用い、他の条件は実施例21と同じとした。実施例19と同様に液晶表示素子を作製して電気光学特性を測定した(図10破線参照)。
【0161】
(実施例23)
本実施例では、液晶として実施例3で作製した液晶LC3を用い、他の条件は実施例19と同じとした。実施例19に従って液晶表示素子を作製したところ、電界印加で光散乱(白表示)電界無印加で光吸収(黒表示)を行うことができた(図11実線参照)。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。また70℃での耐熱性試験でも変化無かった。
【0162】
(実施例24)
本実施例では、液晶として実施例4で作製した液晶LC4を用い、他の条件は実施例23と同じとした。実施例23と同様に液晶表示素子を作製して電気光学特性を測定した(図11破線参照)。
【0163】
(実施例25)
本実施例では、液晶として実施例3で作製した液晶LC3を用い、他の条件は実施例21と同じとした。実施例21に沿って液晶表示素子を作製した(図12実線参照)。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。また70℃での耐熱性試験でも変化無かった。
【0164】
(実施例26)
本実施例では、液晶として実施例4で作製した液晶LC4を用い、他の条件は実施例25と同じとした。実施例25と同様に液晶表示素子を作製して電気光学特性を測定した(図12破線参照)。
【0165】
(実施例27)
本実施例では、液晶として実施例5で作製した液晶LC5を用い、他の条件は実施例19と同じとした。実施例19に従って液晶表示素子を作製したところ、電界印加で光散乱(白表示)電界無印加で光吸収(黒表示)を行うことができた(図13実線参照)。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。また70℃での耐熱性試験でも変化無かった。
【0166】
(実施例28)
本実施例では、液晶として実施例5で作製した液晶LC5を用い、他の条件は実施例21と同じとした。実施例21に沿って液晶表示素子を作製した(図13破線参照)。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。また70℃での耐熱性試験でも変化無かった。
【0167】
(実施例29)
本実施例では、液晶として実施例6で作製した液晶LC6を用い、他の条件は実施例19と同じとした。実施例19に従って液晶表示素子を作製したところ、電界印加で光散乱(白表示)電界無印加で光吸収(黒表示)を行うことができた(図14実線参照)。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。また70℃での耐熱性試験でも変化無かった。
【0168】
(実施例30)
本実施例では、液晶として実施例6で作製した液晶LC6を用い、他の条件は実施例21と同じとした。実施例21に沿って液晶表示素子を作製した(図14破線参照)。1/1から1/8デューティの単純マトリックス駆動が可能であった。また70℃での耐熱性試験でも変化無かった。
【0169】
(実施例31)
本実施例では、実施例1の液晶組成物LC1を用い、高分子ゲルネットワーク型液晶表示素子を作製した例を示す。
【0170】
実施例1の液晶組成物LC1にカイラル成分として旭電化社製CNL611Lを液晶98.5重量%に対して1.5重量%加えてカイラルネマチック液晶とした。さらに、高分子前駆体として東亜合成化学社製M6200を5重量%、光重合開始剤としてイルガキュア184を2重量%用いた。そのほかについては実施例7と同様にして液晶表示素子を作製した。ただし、電極表面に配向処理を施さず、高分子前駆体の光重合時に温度を80℃として等方相にて重合した。
【0171】
こうして作製した液晶表示素子は電界印加で透明、電界無印加で散乱する。この液晶表示素子の電気光学特性を測定した(図15実線参照)。
【0172】
用いる高分子前駆体については、実施例9で示したゲルネットワークを作り安いものを用いることができる。
【0173】
実施例3、実施例5、実施例6で示した液晶組成物も同様に用いることができる。また、液晶中にカイラル成分をいれなくてもよい。
【0174】
液晶に2色性色素を添加することにより、電界印加で透明、電界無印加で色素による光吸収及び光散乱を生ぜしめることができる。
【0175】
(実施例32)
本実施例では、実施例2の液晶組成物LC2を用い、他は実施例31と同様にして、液晶表示素子を作製して電気光学特性を測定した(図15破線参照)。
【0176】
(実施例33)
本実施例では、実施例5の液晶組成物LC5を用いて高分子中に液晶液滴が分散した表示素子を作製した例を示す。
【0177】
実施例5の液晶組成物LC5にカイラル成分としてメルク社製R811を2重量%混合し、高分子前駆体として東亜合成化学社製M6200を30重量%、光重合開始剤としてイルガキュア184を2重量%混合した。そのほかについては実施例31と全く同様にして液晶表示素子を作製した。
【0178】
こうして作製した液晶表示素子の電気光学特性を測定した(図16実線参照)。
【0179】
実施例1、実施例3、実施例6で示した液晶組成物も同様に用いることができる。また液晶中にカイラル成分をいれなくてもよい。
【0180】
液晶に2色性色素を添加することにより、電界印加で透明、電界無印加で色素による光吸収及び光散乱を生ぜしめることができる。
【0181】
(実施例34)
本実施例では、実施例2の液晶組成物を用いて実施例33と同様にして液晶表示素子を作製して電気光学特性を測定した(図16破線参照)。
【0182】
(実施例35)
本実施例では、カプセル型液晶を高分子中に分散した例を示す。まずポリビニルアルコール30重量%と実施例5に示した液晶組成物LC5とを70重量%量り取る。ポリビニルアルコールを水に溶かして15%水溶液を作り、そこへ先に秤量した液晶組成物LC5を入れて、さらに界面活性剤を加えた。この溶液を激しく攪拌して懸濁溶液とした。これを電極付基板に塗布して水を蒸発させ、その後電極付の対向基板を張り合わせた。この操作は真空中で行うと気泡が入らない。また液晶を塗布して張り合わせてもよい。
【0183】
こうして作製した表示素子の電極間に電界を印加して電気光学特性を測定した(図17実線参照)。
【0184】
実施例1、実施例3、実施例6で示した液晶組成物も同様に用いることができる。また液晶中にカイラル成分を入れてもよい。
【0185】
液晶に2色性色素を添加することにより、電界印加で透明、電界無印加で色素による光吸収及び光散乱を生ぜしめることができる。
【0186】
(実施例36)
本実施例では、実施例2の液晶組成物LC2を用いて、実施例35と同様にして液晶表示素子を作製して電気光学特性を測定した(図17破線参照)。
【0187】
(実施例37)
本実施例では、上述した各実施例をカラーフィルターを用いたカラー液晶表示素子に応用した例を示す。図18に、本実施例で用いたカラーフィルター10を形成した液晶表示素子100の概略部分断面図を示した。カラーフィルター10以外の部材及び製造条件については、上述した各実施例の部材、条件を用いた。裏側電極5としては反射性電極を用いた。なお、本実施例では2色性色素を添加していないが、コントラストを高めるために2色性色素を添加してもよい。このカラー液晶表示素子100にカラー表示用液晶ドライバーを接続してコンピュータ端末として用いたところ、コントラストの良好なカラー表示を行うことができた。もちろん時計、テレビやゲーム機の表示も可能である。
【0188】
本実施例で用いるカイラル成分、液晶と高分子からなる層、空パネルの構成および製造条件等については、実施例1から実施例35に示した構成のものを用いることができる。また以下に示す電子装置にも同様に応用できる。
【0189】
カラーフィルターについては、一般的に用いられる透過型カラーフィルターよりも色濃度を薄くすると明るい表示が得られる。またその色については、赤青緑の3原色の他、イエロー、シアン、マジェンタなどカラー表示可能な色の組合せから自由に選ぶことができる。
【0190】
またカラーフィルター10を挿入する位置については、液相表示素子100の表示側の基板2の液晶と接する側にカラーフィルター10を形成したが、カラーフィルター10を基板1上に形成してもよい。またカラーフィルター10は基板と電極5との間に形成することが駆動電圧の点から好ましいが、基板上に透明電極を設け、その透明電極上にカラーフィルターを形成してもよい。
【0191】
カラーフィルター10を基板2に形成する場合には、高分子前駆体を重合するための紫外線を透過する材料でカラーフィルター10を形成すると好都合である。
【0192】
(実施例38)
上述した各実施例で作製した液晶表示素子を情報処理装置である電子手帳の表示部分に用いた実施例を示す。図19に本実施例の情報処理装置の概略部分断面斜視図を示した。上述した各実施例に沿って液晶表示素子31を作製してその背面に太陽電池32を配置し、その太陽電池32の電力を電子手帳の電源に接続して用いた。表示素子部においては電極として8×100の単純マトリックス用透明電極を形成して1/8デューティで駆動した。液晶表示素子31を透過した光により太陽電池32で発電でき、これにより使用時間を大幅に延長することが可能となった。表示容量については、液晶表示素子31をコモン電極を2ライン同時選択してセグメント電極に上下から信号を入力することにより表示容量を2倍にすることができる。また同様の方法により表示容量を整数倍にすることも可能である。
【0193】
また太陽電池32を電子手帳に内蔵した蓄電池に接続して、太陽電池32で発電した電力を蓄電池で蓄えておき、暗いところでも十分装置を働くようにすることができた。
この情報処理装置34の表面または裏面にタブレットまたはタッチパネルのような情報入力装置33を配置してもよい。
【0194】
本実施例は腕時計形のリストコンピュータとしても用いることができる。その際、表示品位を向上させる目的で実施例19から実施例30に示したような2色性色素入りの表示素子を用いるとよい。この場合でもコモン電極数8ラインの整数倍で単純マトリックス駆動を行うことができた。もちろんスタティック駆動も可能である。
【0195】
(実施例39)
本実施例では、上述の各実施例で作製した液晶表示素子を情報表示装置としての時計に応用した例を示した。特にここでは文字盤に液晶表示素子を用いた例を示す。図20に、本実施例の情報表示装置の概略断面図を示す。中心に穴の開いた液晶表示素子31を、上述した各実施例に沿って作製して、その背面に太陽電池32を配置して、アナログ時計の軸を通して針36をつけてハイブリッド腕時計を作製した。表示素子部においては電極として8×100の単純マトリックス用透明電極を形成して1/8デューティで駆動した。液晶表示素子31を透過した光により太陽電池32で発電でき、これにより使用時間を大幅に延長することが可能となった。表示容量については、液晶表示素子31をコモン電極を2ライン同時選択してセグメント電極に上下から信号を入力することにより表示容量を2倍にすることができる。もちろんスタティック駆動も可能である。
【0196】
また同様の方法により表示容量を整数倍にすることも可能である。
【0197】
また太陽電池32を情報表示装置に内蔵した蓄電池に接続して、太陽電池32で発電した電力を蓄電池で蓄えておき、暗いところでも十分装置を働くようにすることができた。
また太陽電池32の電圧では十分に液晶表示素子31を駆動できない場合、昇圧回路を組み込んで太陽電池32の電圧を5Vまで昇圧したところ、極めて明るい表示を得ることができた。
【0198】
また駆動方法として、液晶ドライバーのグラウンドを駆動タイミングに合わせて振ることにより、実質的に電源電圧の2倍の電圧を印加することができ、これによれば本実施例に挙げた液晶表示素子を十分駆動することができ、極めて明るい表示を得ることができた。
【0199】
本実施例で挙げた表示素子は駆動電圧が小さいので十分低消費電力ではあるが、時計としてさらに電池寿命を伸ばすために、スイッチを押したときだけ液晶表示素子31で表示を行うようにすることもできる。
【0200】
もちろん太陽電池32の代わりに光吸収板を配置しても同様の表示を行うことができる。この時、駆動電源は内蔵電池のみとなる。
【0201】
(実施例40)
本実施例では、上述した各実施例で作製した液晶表示素子を情報表示装置としての時計に応用した例を示した。特にここでは時計のカバーガラスに液晶表示素子31を用いた例を示す(図21参照)。液晶表示素子31を上述した各実施例に沿って作製して、文字盤として太陽電池32を用い、アナログ時計の軸を通して針36をつけてハイブリッド腕時計を作製したところ、極めて視認性の高い表示を行うことが可能であった。
【0202】
他の構成については実施例39で述べたものをそのまま用いることができる。
【0203】
(実施例41)
本実施例では、上述した各実施例で作製した液晶表示素子を情報表示装置35としての携帯型テレビに応用した例を示した(図22参照)。液晶表示素子31を上述した各実施例に沿って作製し、その背面に太陽電池32を配置して、携帯型テレビの箇体に組み込んだところ、極めて視認性の高い表示を行うことが可能であり、かつ使用時間を大幅に延長することができた。なお、本実施例においては、液晶表示素子31上に保護パネル37を設けた。
【0204】
他の構成については実施例38または39で述べたものをそのまま用いることができる。
【0205】
(実施例42)
本実施例では、式(7)の化合物の合成方法について説明する。
【0206】
4−メトキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニルの製造
工程1)窒素雰囲気中、フラスコへマグネシウム7.7gを入れ、そこへテトラヒドロフラン280mlへ4−メトキシブロモベンゼン50gを溶かした溶液を滴下した。滴下終了後室温で一晩攪拌し、グリニヤール試薬を作成した。ほう酸トリイソプロピル100gをテトラヒドロフラン30mlに溶解し、その中へグリニヤール試薬を室温で滴下した。滴下終了後室温で一晩攪拌した。その後、10%塩酸150mlを加え1時間攪拌した。クロロホルムで抽出後、水で3回洗浄しクロロホルムを留去し、4−メトキシフェニルほう酸19gを得た。
【0207】
工程2)塩化アルミニウム67g、4−ブロモ−2−フルオロビフェニル50.2gを1,1,2,2−テトラクロロエタン200mlに溶解し、0℃以下に冷却した。その中へ1,1,2,2−テトラクロロエタン100mlに溶かした塩化アセチル19gを滴下した。その後室温で2時間攪拌し、さらに50℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を氷500g、水110ml、濃塩酸110mlの溶液中に注いだ。クロロホルムで抽出し、水で3回洗浄を行い、クロロホルムと1,1,2,2−テトラクロロエタンを留去した。残さを減圧蒸留(180〜190゜C/4mmHg)し、アセトンとメタノールの混合溶媒中より再結晶を行い4−ブロモ−2−フルオロ−4”−アセチルビフェニル44gを得た。
【0208】
工程3)水300mlに水酸化ナトリウム55gを溶解し、5゜C以下で臭素84gを滴下した。その中へ1,4−ジオキサン114mlに4−ブロモ−2−フルオロ−4”−アセチルビフェニル44gを溶解した溶液を5℃以下で滴下した。その後、40℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を濃塩酸230mlと氷450g中へ注ぎ、析出した結晶を濾過した。その後結晶を水洗し、エタノール中より再結晶後、80℃で乾燥し、4−(4”−ブロモ−2”−フルオロフェニル)安息香酸40gを得た。
【0209】
工程4)4−(4”−ブロモ−2”−フルオロフェニル)安息香酸40gを塩化チオニル30mlに加え、5時間還流した。その後、塩化チオニルを留去し、ヘキサンで洗浄し、4−(4”−ブロモ−2”−フルオロフェニル)ベンゾイルクロライド37gを得た。
【0210】
工程5)1,4−ジオキサン120mlに4−(4”−ブロモ−2”−フルオロフェニル)ベンゾイルクロライド37gを溶解させ、5゜C以下で攪拌した。その中へ1,4−ジオキサン250mlにでアンモニアガスを飽和させた溶液を滴下した。その後、反応液中へアンモニアガスを吹き込みながら5℃以下で1時間攪拌した。反応液を水中へあけ、析出した結晶をろ過し、水洗を行った。得られた結晶を乾燥させ4−(4”−ブロモ−2”−フルオロフェニル)ベンゾイルアミド32gを得た。
【0211】
工程6)4−(4”−ブロモ−2”−フルオロフェニル)ベンゾイルアミド32gを塩化チオニル40mlに加え5時間還流した。その後、塩化チオニルを留去し、水を加え、クロロホルムで抽出した。水洗、5%水酸化カリウム溶液で洗浄後もう一度水洗しクロロホルムを留去した。残さをアセトンとメタノールの混合中より再結晶を行い4−ブロモ−2−フルオロ−4’−シアノビフェニル20gを得た。
【0212】
工程7)窒素雰囲気中、4−ブロモ−2−フルオロ−4’−シアノビフェニル13g、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム0.5g、ベンゼン90ml、2M炭酸ナトリウム水溶液70mlの混合液中へ、4−メトキシフェニルほう酸7.6gをエタノール60mlに溶かした溶液を室温で滴下した。その後5時間還流後、室温に冷却し、反応液をクロロホルムで抽出し、水洗を3回行いクロロホルムを留去した。得られた残さを減圧蒸留した後、アセトン中より再結晶をし、4−メトキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル6.6gを得た。この化合物はネマチック液晶相を示し、C−N点は126.3゜Cであり、N−I点は247.3゜Cであった。
【0213】
同様の方法で以下の化合物を合成した。
【0214】
4−エトキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル
C−N点 129.2゜C、 N−I点 260.0゜C
4−プロポキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル
4−ブトキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル
4−ペンチルオキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル
4−ヘキシルオキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル
4−ヘプチルオキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル
4−オクチルオキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル
4−ノニル−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル
4−デシルオキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニル。
【0215】
(実施例43)
本実施例では、式(7)の化合物を含有する液晶組成物について説明する。市販の混合液晶ZLI−1565(メルク社製品、N−I点89.3℃)をベース液晶とし、式(7)の化合物と骨格は同じであるが、側鎖にフッ素原子が結合していない化合物で、現在一般的にN−I点を上げる目的で使用されている4−ペンチル−4”−シアノターフェニルと本発明の式(7)の化合物である実施例42で合成した4−メトキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニルを含有する液晶組成物La、Lbをそれぞれ作った。
【0216】
【表7】
【0217】
液晶組成物LaおよびLbのN−I点、複屈折(△n)を測定した。その結果は以下の通りであった。
【0218】
【表8】
【0219】
(実施例44)
本実施例では、式(7)の化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子について説明する。
【0220】
図23に示すようにガラス基板41及び42の上に透明電極膜(例えばITO膜)からなる電極43をそれぞれ形成し、この上にポリイミド等よりなる配向膜をそれぞれ塗布する。次にラビングして配向制御層44をそれぞれ形成し、さらにガラス基板41及び42をシール剤46を介して対向配置し、ガラス基板41及び42間に実施例43で作った液晶組成物LaまたはLbを注入し、基板41及び42の外面に偏光板45をそれぞれ貼り付けてTN型の液晶表示セルLA(液晶組成物Laを使用したもの)およびLB(液晶組成物Lbを使用したもの)を作成した。なおセルギャップは8μmとした。
【0221】
このようにして作成した液晶表示セルLA、LBを交流スタティック駆動を用い、25℃で電圧−光透過性の視角依存性(以下αという)、急峻性(以下βという)、及び閾値電圧Vthを測定した。なお、α、β、Vthは次式で定義した。
【0222】
【数2】
【0223】
Vth=V10
但し、
θ:液晶表示セルに対する入射光角度(パネルに対して垂直方向を90゜とする)
V10、V90:光透過率がそれぞれ10%、90%時の電圧値。
【0224】
測定の結果は以下のとおりであった。
【0225】
【表9】
【0226】
なお、上記の実施例においてはTN型の液晶表示セルを用いたが、STN型の表示セルを用いた場合にも同様な効果が得られた。
【0227】
(実施例45)
本実施例では、式(7)の化合物を含有する液晶組成物を使用したPDLC液晶表示素子について説明する。
【0228】
市販の混合液晶TL202(メルク社製品、N−I点84.0゜C)をベース液晶として式(7)の化合物と骨格は同じであるが、側鎖にフッ素原子が結合していない化合物で、現在一般的にN−I点を上げる目的で使用されている4−ペンチル−4”−シアノターフェニルと式(7)の化合物である実施例42の4−メトキシ−3’−フルオロ−4”−シアノターフェニルを含有した液晶組成物Lc,Ldを以下に示すとおり調合した。
【0229】
【表10】
【0230】
この液晶組成物Lc(N−I点97℃),Ld(N−I点95℃)に、カイラル成分R1011(メルク社製品)0.8%、高分子前駆体としてビフェニル−4−イルメタクリレート7%を混合した。この混合物を実施例44と同様の空パネルに封入して、紫外線照射で高分子前駆体を光重合して液晶と高分子とを相分離させた。なお、測定はセル温度20℃、セルギャップ5μmで行った。
【0231】
こうして作製したPDLC表示素子LC(液晶組成物Lcを使用したもの)、LD(液晶組成物Ldを使用したもの)を図24に示したような光学系に配置して、1kHzの短形波で波高値を変化させた信号を印加し、電圧を変化させながら反射率を測定し、最小反射率、最大反射率、しきい値電圧(最小反射率から最大反射率へ5%変化したときの電圧値、以下Vthと表す)、飽和電圧(最小反射率から最大反射率へ95%変化したときの電圧値、以下Vsat と表す)を測定した。反射率は素子の代わりに白色上質紙を配置した場合の反射率を100%とした。なお、図24に示すように、PDLC表示素子52の背面に反射性の背景板51を設け、PDLC表示素子52表面への法線から70゜傾いた方向の光源53から光を入射して、法線方向への反射光強度を結像用レンズ54および光電子増倍管55を使用して反射率を測定した。但し、PDLC表示素子52に反射電極を使用する場合には反射性の背景板51を設ける必要はない。ところで、素子の反射率はパネルへの入射角度を一定にしても光の入射方向により反射率の値が変わるという素子の回転による視角依存性があることがすでに調べられている。したがって測定条件を合わせるために、ここで示した反射率は最も反射率が大きくなる入射角度でパネルを固定したときの値を用いた。このようにして次に示した表のとおり表示素子の測定結果を得た。
【0232】
【表11】
【0233】
このように式(7)の化合物を使用することにより、TN素子、PDLC素子の駆動電圧を大幅に下げることができた。しかもその他の特性は従来の化合物を使用した時と同じであつた。
【0234】
(実施例46〜63)
本実施例では、式(5)の化合物及び式(6)の化合物を含有する液晶組成物について説明する。
【0235】
市販の混合液晶TL202(メルク社製品、N−I点77℃)をベース液晶とし、本実施例の化合物と骨格は同じであるが、側鎖にフッ素原子が結合していない化合物で、現在一般的に駆動電圧を下げる目的で使用されている4ープロピルー4”ーシアノビフェニルと、N−I点を上げる目的で使用されている4−ペンチル−4”−シアノターフェニルを使用して実施例46〜49の組成物(比較例)と、同じくベース液晶にTL202を用いた本実施例の組成物である実施例50〜63の液晶組成物を調合した。使用したベース液晶、化合物の混合比率は表12、表13のとおりであり、それぞれの組成物にa〜rの名称をつけた。なお、混合比率は重量パーセントである。
【0236】
【表12】
【0237】
【表13】
【0238】
組成物a〜rのN−I点を測定し、その結果を表12、13に示した。
【0239】
(実施例64〜111)
本実施例では、式(5)の化合物及び式(6)の化合物を含有する実施例46〜63の液晶組成物を使用したPDLC液晶表示素子について説明する。
【0240】
図25に示すようにガラス基板61及び62の上に透明電極膜(例えばITO膜)からなる電極63をそれぞれ形成し、この上にポリイミド等よりなる配向膜を塗布する。次にラビングして配向制御層64をそれぞれ形成し、さらにガラス基板61及び62をシール剤65を介して対向配置し、空パネルを作成した。
【0241】
次に実施例46〜63で調合した液晶組成物a〜rに、カイラル成分R1011(メルク社製品)0.8%、高分子前駆体として表14、表15の化合物を混合した。それぞれの実施例に使用した組成物、高分子前駆体の種類、混合比率(組成物に対する比率)は表14、表15のとおりである。なお、混合比率は重量パーセントである。この混合物を先の空パネルに封入して、紫外線照射で高分子前駆体を光重合して液晶と高分子を相分離させた。なお、セルギャップは5μmで行った。
【0242】
【表14】
【0243】
【表15】
【0244】
こうして作製したPDLC表示素子を図26に示したような光学系に配置して、1kHzの短形波で波高値を変化させた信号を印加し、電圧を変化させながら反射率を測定し、最小反射率、最大反射率を測定後、しきい値電圧Vth(最小反射率から最大反射率へ5%変化したときの電圧値)を測定した。その結果、表14、表15に示したとおりの測定結果を得た。なお、図26に示すように、PDLC表示素子72の背面に反射性の背景板71を設け、PDLC表示素子72表面への法線から20゜傾いた方向の光源73から光を入射して、法線方向への反射光強度を結像用レンズ74および光電子増倍管75を使用して反射率を測定した。但し、PDLC表示素子72に反射電極を使用する場合には反射性の背景板71を設ける必要はない。
【0245】
液晶組成物のN−I点が75℃〜85℃である組成物を使用した場合のPDLC素子について、従来組成物であるa、bと本発明組成物であるe、k、o、pを用いた場合のVthを比較してみる。実施例64、65、82、92、102は組成物a、bを用いた場合、実施例68、74、78、79、89、99、109は組成物e、k、o、pを用いた場合である。同じ高分子前駆体を用いた値で比べると、実施例74は実施例64、65に比べ0.5〜0.9V低い。また実施例82と実施例89を比較した場合は0.2V低くなっている。
【0246】
次に、液晶組成物のN−I点が85℃〜95℃である組成物を使用した場合のPDLC素子について、従来組成物であるc、dと本発明組成物であるi、j、mを用いた場合のVthを比較してみる。実施例66、67、83、93、103は組成物c、dを用いた場合、実施例72、73、76、86、96、106は組成物i、j、mを用いた場合である。同じ高分子前駆体を用いた値で比べると、実施例72、73は実施例66、67に比べ0.1〜0.4V低く、実施例76との比較では1V以上低くなっている。
【0247】
このように式(5)の化合物及び式(6)の化合物を含有する液晶組成物を使用することにより、PDLC素子の駆動電圧を大幅に下げることができた。しかもその他の特性は従来の化合物を使用した時と同じであつた。
【0248】
【発明の効果】
本発明においては、
一般式
【0249】
【化21】
【0250】
(式中、R1 、A1 およびベンゼン環の水素原子のうち少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子により置換されており、
R1 はアルキル基またはアルコキシ基を示し、
A1 は、ベンゼン環、シクロヘキサン環、
【0251】
【化22】
【0252】
ピリジン環およびピリミジン環からなる群から選択される)
で表される化合物を含有する液晶組成物を使用することにより液晶表示素子を低駆動電圧化でき、また、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できる。
【0253】
また、本発明においては、
一般式
【0254】
【化23】
【0255】
(式中、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換され、
R2 はアルキル基またはアルコキシ基を示し、
A2 はシクロヘキサン環またはベンゼン環を示す)
で表される化合物を含有する液晶組成物を使用することにより液晶表示素子を低駆動電圧化でき、また、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できる。
【0256】
また、本発明においては、
一般式
【0257】
【化24】
【0258】
(式中、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換され、
R3 はアルキル基またはアルコキシ基を示し、
A3 はピリジン環、ピリジミン環、シクロヘキサン環またはベンゼン環を示す)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用することにより液晶表示素子を低駆動電圧化でき、また、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できる。
【0259】
また、本発明においては、
一般式
【0260】
【化25】
【0261】
(式中、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子により置換され、
R4 はアルキル基またはアルコキシ基を示し、
A4 は存在せずR4 −基がその右側のベンゼン環に直結しているか、またはA4 はシクロヘキサン環あるいはベンゼン環を示す)
で表される化合物を含有する液晶組成物を使用することにより液晶表示素子を低駆動電圧化でき、また、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できる。
【0262】
また、本発明においては、液晶組成物中に、式(2)の化合物と、式(3)の化合物と式(4)の化合物とを含有させることによって、または液晶組成物中に式(2)の化合物と式(4)の化合物とを含有させることによって、その液晶組成物を使用した液晶表示素子を低駆動電圧化でき、その液晶組成物を使用した高分子分散型の液晶表示素子も低駆動電圧化できるだけでなく、ネマチック相−等方相転移点(N−I点)が高く、複屈折性が高く、使用温度領域で複屈折性の温度依存性も小さな液晶組成物が得られ、表示状態が使用温度の影響を受けにくくすることができる。
【0263】
従って、この液晶組成物を用いれば、駆動電圧が低く、応答速度が速く、明るく、コントラストが良好な、そしてこれらの特性の温度依存性が小さいPDLCが得られる。
【0264】
さらに、また、本発明においては、
一般式
【0265】
【化26】
【0266】
(式中、R5 は炭素数が1〜10の直鎖アルキル基またはアルコキシ基を示し、X1 は水素原子またはフッ素原子を示す)
で表される化合物を含有する液晶組成物を使用することによって、駆動電圧も低く、実用温度範囲も広い液晶表示素子や高分子分散型の液晶表示素子を得ることができる。
【0267】
さらに、また、本発明においては、
一般式
【0268】
【化27】
【0269】
(式中、R6 は炭素数が1〜10の直鎖アルキル基またはアルコキシ基を示し、X2 、X3 、X4はいずれも水素原子またはフッ素原子を示すが、X2 、X3およびX4のうち少なくとも1つはフッ素原子である)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用することによって、駆動電圧も低く、実用温度範囲も広い液晶表示素子や高分子分散型の液晶表示素子を得ることができる。
【0270】
さらに、本発明においては、上記式(5)の化合物と式(6)の化合物とを共に含有する液晶組成物を使用することによって、駆動電圧も低く、実用温度範囲も広く、より優れた特性の液晶表示素子や高分子分散型の液晶表示素子を得ることができる。
【0271】
さらに、また、本発明においては、
一般式
【0272】
【化28】
【0273】
(式中、R7 は炭素数が1〜10の直鎖アルキル基を示す)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用することによって、実用温度範囲が広く、駆動電圧が低い液晶表示素子や高分子分散型の液晶表示素子が得られる。
【0274】
また、本発明の液晶組成物を使用した液晶表示素子や高分子分散型の液晶表示素子は、時計や車載用メーターパネル、その他機械式メーター、家庭用電器製品、電子機器などの表示部に応用でき、アナログ表示とデジタル表示を1つの表示窓で実現できる。特にアナログ表示の質感を損なうことが全く無いため、高級感を要求される用途には最適である。デジタル表示装置(ツイストネマチック型液晶素子、LED、VFD、プラズマディスプレイなど)に本発明を応用しても同様の効果が得られる。
【0275】
また、本発明における、
一般式
【0276】
【化29】
【0277】
(式中、R7 は炭素数が1〜10の直鎖アルキル基を示す)で表されるターフェニル誘導体は液晶組成物に好適に使用され、駆動電圧も低く、実用温度範囲も広い液晶表示素子や高分子分散型の液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例7乃至実施例36で用いた空パネル及びこれらの実施例で作製した液晶表示装置の概略断面図である。
【図2】本発明の実施例7乃至実施例36における液晶表示素子の電気光学特性を測定した際の光学系を示す図である。
【図3】本発明の実施例7及び8の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図4】本発明の実施例9及び10の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図5】本発明の実施例11及び12の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図6】本発明の実施例13及び14の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図7】本発明の実施例15及び16の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図8】本発明の実施例17及び18の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図9】本発明の実施例19及び20の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図10】本発明の実施例21及び22の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図11】本発明の実施例23及び24の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図12】本発明の実施例25及び26の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図13】本発明の実施例27及び28の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図14】本発明の実施例29及び30の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図15】本発明の実施例31及び32の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図16】本発明の実施例33及び34の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図17】本発明の実施例35及び36の液晶表示装置の電気光学特性を示す図である。
【図18】本発明の実施例37のカラーフィルター10を形成した液晶表示素子の概略部分断面図である。
【図19】本発明の実施例38の情報処理装置の概略部分断面斜視図である。
【図20】本発明の実施例39の情報表示装置の概略図である。
【図21】本発明の実施例40の、カバーガラスに本発明の液晶表示素子を用いた時計の概略図である。
【図22】本発明の実施例41の携帯型テレビを示す概略部分断面斜視図である。
【図23】本発明の実施例44及び45で作成した液晶表示素子を示す断面図である。
【図24】本発明の実施例44乃び45における液晶表示素子の電気光学特性を測定した際の光学系を示す図である。
【図25】本発明の実施例64乃至111で作成した液晶表示素子を示す図である。
【図26】本発明の実施例64乃至111における表示素子の電気光学特性を測定した際の光学系を示す図である。
【符号の説明】
1、2…ガラス透明基板
3、5…透明電極膜
4、6…配向制御膜
7…シール剤
10…カラーフィルター
21…太陽電池
22、53、73…光源
23、54、74…結像用レンズ
24、55、75…光電子増倍管
31…液晶表示素子
32…太陽電池
33…情報入力装置(タッチパネルまたはタブレット)
34…情報処理装置
35…情報表示装置
36…時計の針
37…保護パネル
41、42、61、62…ガラス基板
43、63…電極
44、64…配向制御膜
45…偏光板
46、65…シール剤
50…空パネル
51、71…反射性の背景板
52、72…PDLC表示素子
100…液晶表示素子
Claims (7)
- 液晶および高分子を含有する調光層を電極間に設けた高分子分散型液晶表示素子において、
前記液晶として、一般式
前記高分子として、一般式
また、Y1 およびY2 は、それぞれ、メタクリレート基、アクリレート基、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フッ素原子、シアノ基のいずれかを示すが、Y1 およびY2 の少なくとも一方は、メタクリレート基またはアクリレート基のいずれかを示す。)で表される高分子前駆体のうち少なくとも1種を使用して得られたものを用いることを特徴とする液晶表示素子。 - 前記式(1)の化合物において、前記ハロゲン原子がフッ素原子であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
- 液晶および高分子を含有する調光層を電極間に設けた高分子分散型液晶表示素子において、
前記液晶として、一般式
前記高分子として、一般式
また、Y1 およびY2 は、それぞれ、メタクリレート基、アクリレート基、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フッ素原子、シアノ基のいずれかを示すが、Y1 およびY2 の少なくとも一方は、メタクリレート基またはアクリレート基のいずれかを示す。)で表される高分子前駆体のうち少なくとも1種を使用して得られたものを用いることを特徴とする液晶表示素子。 - 前記調光層は、高分子または高分子前駆体と液晶とを相溶した混合液を作成し、その後前記混合液を前記電極間に配置して、前記混合液を相分離手段により液晶と高分子とに相分離させて形成した層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶表示素子。
- 前記調光層は、高分子または高分子前駆体と液晶とを相溶した混合液を作成し、その後前記混合液を前記電極間に配向させて配置して、前記混合液が液晶相をとっている状態で前記混合液を相分離手段により液晶と高分子とに相分離させて形成した層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液晶表示素子。
- 前記混合液にさらにカイラル成分を添加したことを特徴とする請求項4または5記載の液晶表示素子。
- 前記液晶中に2色性色素をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液晶表示素子。
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