JP3698015B2 - モータ制御システムの自己診断方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に1個以上のLSIとシングルチップマイコンにて構成されるFA用途など産業用のモータ制御システムの故障診断に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、1個のLSIとシングルチップマイコンがバス接続されているモータ制御システムは、図6のような構成で実現されており、テスト専用のチェックランドをプリント基板上に設け、動作時の信号を専用治具にてテストしていた。
【0003】
図6において、シングルチップマイコン1のバス信号は周辺LSI2と接続されており、バス信号がHi−Zのときの電位を安定させるためのプルアップ抵抗器41から4X、およびテスト用のチェックランド51から5Xで構成されており、チェックランド51から5Xの配線引き回し、チェックランド自体の面積をプリント基板上に確保しなければならず、バスの多ビット化、システムの小型化ができにくいという問題があった。
【0004】
これに対して、シリアル通信を利用したJTAG/バウンダリスキャン技術が提案されているが、その具現化には専用のI/Oを必要とし、またシステムを構成する部品の大半がJTAGに対応していなければならず、I/O数の増加によるシステムの大型化、コストアップ、新規部品採用による開発期間の長期化などの別の問題があった。
【0005】
また、接続対象の電源をON/OFFし、ONした時の状態で正常あるいは異常を判断する方法(例えば、特開平11−118864号公報)や、コネクタをまたいでテスト用の入力信号、出力信号を設け、その信号伝播でチェックする方法(例えば、特開平6−75814号公報)が提案されているが、いずれの場合においても、自己診断用の部品を必要とするためシステムの大型化、コストアップなどの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成では、チェックランドの配線引き回し、チェックランド自体の面積をプリント基板上に確保しなければならず、バスの多ビット化、システムの小型化ができにくいという問題があった。
【0007】
また、JTAG/バウンダリスキャンなどの方法を導入しても、その具現化には専用のI/Oまたは部品を必要とし、システムの大型化、コストアップ、新規部品採用による開発期間の長期化などの問題があった。
【0008】
さらに、テスト工程でのテストだけではライフサイクルにおける一部の故障が発生した場合にもシステムの誤動作につながり、その故障箇所を特定することが困難であった。
【0009】
本発明は、上記の従来の課題を解決するものであり、テスト専用のチェックランドやI/Oを設けることなくシステムの接続を自己診断する機能、およびライフサイクル中においても自己診断を行う機能、および自己診断した結果から、部品、信号線などの故障箇所を特定する機能を備えたモータ制御システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は、1個以上のLSIがシングルチップマイコンおよび電位を安定させるプルアップ抵抗器あるいはプルダウン抵抗器とバス接続されたシステムで構成されるモータ制御システムにおいて、前記シングルチップマイコンのバス信号ピンを入出力ポートに切り替え、L電位あるいはH電位を出力する第1のステップと、その後入出力ポートを入力ポートに切り替える第2のステップと、入出力ポートの電位が安定する時間を待つ第3のステップと、入出力ポートの電位を読み込む第4のステップとを備え、第4のステップにおいて、プルアップ抵抗器あるいはプルダウン抵抗器により規定された電位であれば正常と判断し、そうでなければ異常と判断するもので、シングルチップマイコンとLSIとのバス接続を自己診断できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために本発明は、1個以上のLSIがシングルチップマイコンおよび電位を安定させるプルアップ抵抗器あるいはプルダウン抵抗器とバス接続されたシステムで構成されるモータ制御システムにおいて、前記シングルチップマイコンのバス信号ピンを入出力ポートに切り替え、L電位あるいはH電位を出力する第1のステップと、その後入出力ポートを入力ポートに切り替える第2のステップと、入出力ポートの電位が安定する時間を待つ第3のステップと、入出力ポートの電位を読み込む第4のステップとを備え、第4のステップにおいて、プルアップ抵抗器あるいはプルダウン抵抗器により規定された電位であれば正常と判断し、そうでなければ異常と判断するモータ制御システムの自己診断方法であり、テスト専用のチェックランドやI/Oを設けることなくシングルチップマイコンとLSIとのバス接続の状態を自己診断することができる。
【0012】
また、自己診断の結果からシステムを構成する部品、信号線などの故障箇所を特定する請求項1に記載のモータ制御システムの自己診断方法であり、故障箇所が特定できるので要因解析が容易に行える。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。
【0014】
図1において、1はシングルチップマイコン、2はLSI、31〜3Xはシングルチップマイコン1の入出力ポート、41〜4Xはプルアップ抵抗器で、シングルチップマイコン1とLSI2はプルアップ抵抗器41〜4Xにてプルアップされたバスで接続されている。
【0015】
(実施例1)
通常動作時には、入出力ポート31〜3Xはシングルチップマイコン1の内蔵バスコントローラでその入出力機能が制御されているが、一般的にバス接続されているポートにおいても汎用入出力ポートへの設定を行うことができるものが多く、ここでは、その切り替え機能を用いてバス接続されている31〜3Xの入出力ポートを汎用入出力ポートに設定し、LSI2との接続状態を確認する方法について、図2と図3を併用しながらその動作について説明する。
【0016】
まず、入出力ポート31〜3Xを出力ポートに設定し、L電位を出力する第1のステップ(タイミング100、ステップ200)を実行する。
【0017】
その後、入出力ポート31〜3Xを入力ポートに切り替える第2のステップ(タイミング101、ステップ201)を実行し、プルアップ抵抗器41〜4Xの時定数の遅れ時間を待つ第3のステップ(ステップ202)を経て、入出力ポート31〜3Xの入力をチェックする第4のステップ(タイミング102、ステップ203)を実行する。
【0018】
第4のステップ(ステップ203)において、プルアップ抵抗器41〜4Xが正常に接続されておれば、入出力ポート31〜3Xの入力がプルアップ抵抗器によってH電位に変化しているので正常と判断でき、断線あるいはL電位との短絡があった場合には、L電位のままとなり異常を検出できる。
【0019】
また、1度だけの検出ではノイズなどによる誤動作の可能性もあるため複数回第1のステップから第4のステップの作業を繰り返すことで検出精度を高めることも可能である。
【0020】
なお、実施例1は31〜3Xの集まりで説明したが、1ピンずつの動作としても同じ効果を得られることはいうまでもなく、異常を検出した場合は、その異常箇所を、例えば入出力ポートの31というように特定することができるため、解析の際には入出力ポートの31につながる部品、配線パターンをチェックすればよく、解析時間を大幅に短縮できる。
【0021】
また、プルアップ抵抗器はLSIに内蔵されたものを使用しても、同様に実施できる。
【0022】
さらに、異常箇所をモータ制御機器のもつLEDや液晶、コンソールなどの表示装置に表示してもよく、専用治具の開発を省略できる。
【0023】
(実施例2)
次に、短絡の有無を診断する方法について、図4と図5を併用してその動作を説明する。
【0024】
ここでは一例として物理的に隣接している入出力ポート31、32、33を用い、入出力ポート32の短絡の有無を診断する方法について説明する。
【0025】
まず、入出力ポート31、32、33を出力ポートに設定し入出力ポート31からL電位、入出力ポート32、33からH電位を出力する第1のステップ(タイミング300、ステップ400)を実行する。
【0026】
その後、入出力ポート32を入力ポートに切り替える第2のステップ(タイミング301、ステップ401)を実行し、プルアップ抵抗器42の時定数の遅れ時間を待つ第3のステップ(ステップ402)を経て、入出力ポート32の入力をチェックする第4のステップ(タイミング302、ステップ403)を実行する。第4のステップ(ステップ403)において、入出力ポート32の入力がL電位であれば、入出力ポート31と入出力ポート32は短絡と判断する。
【0027】
そして、第4のステップ(ステップ403)において、入出力ポート32の入力がH電位(正常な状態)の場合には、さらに、入出力ポート33との短絡の有無を以下のようにして診断する。
【0028】
入出力ポート31、32、33を出力ポートに設定し、今度は入出力ポート31、32からH電位、入出力ポート33からL電位を出力する第1のステップ(タイミング303、ステップ404)を実行する。
【0029】
その後、入出力ポート32を入力ポートに切り替える第2のステップ(タイミング304、ステップ405)を実行し、プルアップ抵抗器42の時定数の遅れ時間を待つ第3のステップ(ステップ406)を経て、入出力ポート32の入力をチェックする第4のステップ(タイミング305、ステップ406)を実行する。第4のステップにおいて、入出力ポート32の入力がL電位であれば、入出力ポート33と入出力ポート32は短絡と判断する。
【0030】
実施例2では、シングルチップマイコン1の隣接する入出力ポートの短絡の有無の診断について説明したが、LSI2の隣接するピン、配線パターン上での隣接するパターンについても同様に診断できる。
【0031】
【発明の効果】
上記の実施例から明らかなように本発明によれば、テスト専用のチェックランドやI/Oを設けることなくシステムのバス接続の状態を自己診断することが可能である。
【0032】
また、システムの電源リセット時毎に本自己診断を実行すれば、ライフサイクル中の故障においても自己診断を行い、システムの誤動作を防止できる。
【0033】
さらに、自己診断の結果から故障している部品や信号線を特定することができ、迅速なサービスを提供できる。
【0034】
このように、テスト専用のチェックランドやI/Oを設けることなくシステムの接続状態を自己診断する機能、ライフサイクル中においても自己診断を行う機能、および自己診断結果から部品、信号線などの故障箇所を特定する機能を備えた信頼性の高い小型で低コストのモータ制御システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1におけるモータ制御システム内のバス接続の説明図
【図2】 本発明の実施例1におけるバス接続の状態を診断するタイミングチャート
【図3】 本発明の実施例1におけるバス接続の状態を診断するフローチャート
【図4】 本発明の実施例2におけるバス接続の短絡の有無を診断するタイミングチャート
【図5】 本発明の実施例2におけるバス接続の短絡の有無を診断するフローチャート
【図6】 従来のモータ制御システム内のバス接続の説明図
【符号の説明】
1 シングルチップマイコン
2 LSI
31、32、33、3X 入出力ポート
41、42、43、4X プルアップ抵抗器
Claims (2)
- 1個以上のLSIがシングルチップマイコンおよび電位を安定させるプルアップ抵抗器あるいはプルダウン抵抗器とバス接続されたシステムで構成されるモータ制御システムにおいて、前記シングルチップマイコンのバス信号ピンを入出力ポートに切り替え、L電位あるいはH電位を出力する第1のステップと、その後入出力ポートを入力ポートに切り替える第2のステップと、入出力ポートの電位が安定する時間を待つ第3のステップと、入出力ポートの電位を読み込む第4のステップとを備え、第4のステップにおいて、プルアップ抵抗器あるいはプルダウン抵抗器により規定された電位であれば正常と判断し、そうでなければ異常と判断するモータ制御システムの自己診断方法。
- 自己診断の結果からシステムを構成する部品、信号線などの故障箇所を特定する請求項1に記載のモータ制御システムの自己診断方法。
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