JP3697782B2 - 圧縮機のマフラ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両空調システムに適用される圧縮機に関し、特に同圧縮機のマフラ構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、吸入マフラ或いは吐出マフラを、吸入ガス或いは吐出ガスの通路上に備えた圧縮機が提案されている。同マフラは一つのマフラ空間を有し、吸入ガス或いは吐出ガスの圧力脈動成分を同マフラ空間内で反射・干渉させて減衰し、同圧力脈動に起因した振動や騒音を低減する。
【0003】
ここで、例えば前記マフラ空間は、圧縮機構を収容するためのハウジングを構成するハウジング構成体の外周部に凹部を形成し、同凹部をハウジング構成体とは別体の蓋部材により封止することで構成されている。しかし、このようなマフラ空間の形成の仕方では、ハウジング構成体と別体の蓋部材を必要とする。従って、マフラ構造を構成する部品点数が多くなるし、部品点数増にともないその組付工程数も多くなって圧縮機の製造コスト高を招いていた。
【0004】
また、前記マフラはマフラ空間が一つである、所謂、基本形マフラである。このため、マフラ空間内における吸入ガス或いは吐出ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が単調となり、同ガスの圧力脈動を効果的に減衰し得るとは言い難かった。
【0005】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、その目的は、少ない部品点数でマフラ空間を構成できるとともに、冷媒ガス等の圧力脈動を効果的に減衰し得る圧縮機のマフラ構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明では、ハウジング構成体の外周部にマフラ空間を形成し、ハウジング構成体同士の接合により同マフラ空間を封止することで構成されたマフラ構造であって、前記マフラ空間を大容量部と小容量部とに分け、マフラ空間への冷媒ガスの入口を大容量部に開口させるとともに、同マフラ空間からの冷媒ガスの出口を小容量部に開口させたマフラ構造である。
【0007】
請求項2の発明では、前記大容量部と小容量部との間には冷媒ガスの通過断面積を縮小する絞りが介在されている。
請求項3の発明では、前記絞りはマフラ空間の内壁面の一部を突出させることで前記ハウジング構成体と一体形成されている。
【0008】
請求項4の発明では、前記圧縮機構は、ハウジング構成体であるシリンダブロックに形成されたシリンダボアと、同シリンダボア内に収容されて往復動される両頭型のピストンとを備え、一方のピストン端面とシリンダボアとにより囲まれて形成された圧縮室から吐出される吐出ガスと、他方のピストン端面とシリンダボアとにより囲まれて形成された圧縮室から吐出される吐出ガスとが、前記大容量部内において合流するように構成され、一方の圧縮室側からの吐出ガスの入口と、他方の圧縮室側からの吐出ガスの入口とは、マフラ空間の出口までの距離が不等長となるように配置されている。
【0009】
請求項5の発明では、前記圧縮機構は、ハウジング構成体であるシリンダブロックに形成されたシリンダボアと、同シリンダボア内に収容されて往復動される両頭型のピストンとを備え、一方のピストン端面とシリンダボアとにより囲まれて形成された圧縮室から吐出される吐出ガスと、他方のピストン端面とシリンダボアとにより囲まれて形成された圧縮室から吐出される吐出ガスとが、前記大容量部内において合流するように構成され、一方の圧縮室側からの吐出ガスの入口と、他方の圧縮室側からの吐出ガスの入口とは、大容量部内において対向するように配置されている。
【0010】
(作用)
上記構成の請求項1の発明においては、ハウジング構成体の外周部にマフラ空間を形成するとともに、ハウジング構成体同士の接合により同マフラ空間を封止することで構成されている。従って、同マフラ空間を構成するためにハウジング構成体と別体の部材を必要とせず、構成部品点数を低減できる。
【0011】
そして、冷媒ガスがマフラ空間内に流入され、同冷媒ガスの圧力脈動成分が同マフラ空間内において反射・干渉されることで、同マフラ空間から流出される冷媒ガスの圧力脈動が減衰される。
【0012】
ここで、前記マフラ空間は大容量部と小容量部とに分けられており、冷媒ガスは先ず大容量部に流入される。そして、大容量部に流入された冷媒ガスは、同大容量部より容積の小さな小容量部を介して同マフラ空間から流出される。従って、同小容量部がマフラ空間内に流入された冷媒ガスを絞り、同冷媒ガスの流動はマフラ空間内において遅滞される。その結果、同マフラ空間内における冷媒ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が効果的になされ、マフラ空間から流出される冷媒ガスの圧力脈動が効果的に減衰される。
【0013】
請求項2の発明においては、大容量部と小容量部との間には冷媒ガス等の通過断面積を縮小する絞りが介在されている。従って、各容量部内における冷媒ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が効果的になされ、同マフラ空間から流出される冷媒ガスの圧力脈動が効果的に減衰される。
【0014】
請求項3の発明においては、前記絞りは、マフラ空間の内壁面の一部を突出させることで前記ハウジング構成体と一体形成されている。従って、同絞りを構成するためにハウジング構成体と別体の部材を必要とせず、構成部品点数が低減される。
【0015】
請求項4の発明においては、一方の圧縮室側からの吐出ガスの入口と、他方の圧縮室側からの吐出ガスの入口とは、マフラ空間の出口までの距離が不等長となるように配置されている。このように、マフラ空間内における一方の側からの吐出ガスの通路長さと他方の側からの吐出ガスの通路長さとを異ならせることにより、同マフラ空間内における両吐出ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が効果的になされる。その結果、同マフラ空間から流出される冷媒ガスの圧力脈動が効果的に減衰される。
【0016】
請求項5の発明においては、一方の圧縮室から吐出された吐出ガスと、他方の圧縮室から吐出された吐出ガスとが、前記大容量部内において合流される。ここで、一方の圧縮室側からの吐出ガスの入口と、他方の圧縮室側からの吐出ガスの入口とは、同大容量部内において対向されている。このため、両吐出ガスが大容量部内においてぶつかり合うことにより互いの圧力脈動成分が干渉され、圧縮機からの吐出ガスの圧力脈動が効果的に減衰される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を両頭ピストン式圧縮機のマフラ構造において具体化した一実施形態について説明する。
【0018】
図1に示すように、ハウジング構成体としての一対のシリンダブロック11A,11Bは、対向端縁において互いに接合されている。同じくハウジング構成体としてのフロントハウジング12は、フロント側シリンダブロック11Aの前端面にフロント側弁形成体13を介して接合されている。同じくハウジング構成体としてのリヤハウジング14は、リヤ側シリンダブロック11Bの後端面にリヤ側弁形成体15を介して接合されている。
【0019】
複数のボルト挿通孔16は、フロントハウジング12からフロント側弁形成体13、両シリンダブロック11A,11B及びリヤ側弁形成体15を貫通してリヤハウジング14に穿設されている。複数の通しボルト17は、同ボルト挿通孔16に対してフロントハウジング12側より挿入され、その先端部を以てリヤハウジング14に形成されたネジ孔16aに螺合されている。そして、フロントハウジング12及びリアハウジング14は、これらの通しボルト17により、対応するシリンダブロック11A,11Bの端面に締結固定されている。
【0020】
駆動軸18は、前記シリンダブロック11A,11B及びフロントハウジング12の中央に、一対のラジアルベアリング19を介して回転可能に支持されている。リップシール20は、駆動軸18の前端外周とフロントハウジング12との間に介装されている。そして、同駆動軸18は、図示しないクラッチ機構を介して車両エンジン等の外部駆動源に作動連結され、クラッチ機構の接続時に外部駆動源の駆動力が伝達されて回転駆動される。
【0021】
図2に示すように、複数のシリンダボア21は、前記駆動軸18と平行に延びるように、各シリンダブロック11A,11Bの両端部間に同一円周上で所定間隔おきに貫通形成されている。複数の両頭型のピストン22は各シリンダボア21内に往復動可能に嵌挿支持され、それらの両端面と弁形成体13,15との間において各シリンダボア21内には、圧縮室23(フロント側),24(リヤ側)が複数形成されている。
【0022】
クランク室25は、前記両シリンダブロック11A,11Bの中間内部に区画形成されている。斜板26は、クランク室25内において駆動軸18に嵌合固定され、その外周部がシュー27を介してピストン22の中間部に係留されている。そして、同ピストン22は、駆動軸18の回転により斜板26を介して往復動される。一対のスラストベアリング28は、斜板26の両端面と各シリンダブロック11A,11Bの内端面との間に介装され、このスラストベアリング28を介して斜板26が両シリンダブロック11A,11B間に挟着保持されている。前記クランク室25は、導入通路49及び吸入口50を介して図示しない外部冷媒回路に接続されており、吸入圧領域を構成している。
【0023】
フロント側吸入室29及びリヤ側吸入室30は、前記フロントハウジング12及びリヤハウジング14内の中心部に区画形成されている。吸入通路31は両シリンダブロック11A,11Bにそれぞれ貫設され、前記フロント側吸入室29及びリヤ側吸入室30をクランク室25に接続している。フロント側吐出室32及びリヤ側吐出室33は、フロントハウジング12及びリヤハウジング14内の外周部において環状に区画形成されている。
【0024】
複数の吸入孔34は、各シリンダボア21に対応して前記各弁形成体13,15に貫設されている。吸入弁35は各弁形成体13,15に形成され、各吸入孔34を開閉する。そして、ピストン22の上死点位置から下死点位置への移動に伴って吸入弁35が開放され、両吸入室29,30から各圧縮室23,24内に冷媒ガスが吸入される。
【0025】
複数の吐出孔36は各シリンダボア21に対応して、前記各弁形成体13,15に貫設されている。吐出弁37は各弁形成体13,15に形成され、各吐出孔36を開閉する。そして、ピストン22の下死点位置から上死点位置への移動に伴って、前記吐出弁37の作用により各圧縮室23,24内の冷媒ガスが所定の圧力にまで圧縮されて両吐出室32,33に吐出される。なお、同吐出弁37の開度は、各弁形成体13,15にそれぞれ重合されたリテーナ38によって規定される。
【0026】
次に、上記構成の両頭ピストン式圧縮機のマフラ構造について説明する。
図1〜図3に示すようにフロント側膨出部41Aは、フロント側シリンダブロック11Aの外側に一体形成されている。リヤ側膨出部41Bはリヤ側シリンダブロック11Bの外側に一体形成され、両シリンダブロック11A,11Bの接合状態にてフロント側膨出部41Aと連続される。マフラ空間42は各膨出部41A,41Bの内部にそれぞれ形成され、互いに対向される膨出部41B,41Aとの接合面で開口されている。そして、両シリンダブロック11A,11B(膨出部41B,41A)が接合されることで各マフラ空間42が封止されるとともに、両マフラ空間42は一体化された空間を構成している。同マフラ空間42は、所定の容積を稼ぐためにシリンダブロック11A,11Bの外壁面11aに沿ってその周方向に延在されており、なるべく膨出部41A,41Bの突出度合いを小さくするようにしている。また、両膨出部41A,41Bに跨がってマフラ空間42を形成してその容積を稼ぐことも、同膨出部41A,41Bの突出度合いを小さくすることに貢献される。
【0027】
絞り43は、マフラ空間42の内壁面42aの一部を突出させることでシリンダブロック11A,11Bと一体形成され、同マフラ空間42を横断する方向(シリンダブロック11A,11Bの周方向)へ向かう吐出ガスの通過断面積を、同膨出部位において一旦縮小することで構成されている。そして、図3において網線領域で示すように、同絞り43はマフラ空間42を縦断して(シリンダブロック11A,11Bの一方の端部側から他方の端部側に延在して)設けられており、同マフラ空間42は、同絞り43によって大容量部44と同大容量部44より容積の小さな小容量部45とに分けられている。
【0028】
そして、前記両吐出室32,33は、各弁形成体13,15からシリンダブロック11A,11Bにかけてそれぞれ貫設された連通路46,47を介して、前記大容量部44に連通されている。両連通路46,47は、大容量部44への入口46a,47aが、同大容量部44内において互いに対向されるように配置されている。マフラ空間42の出口としての吐出口48はリヤ側膨出部41Bに穿設されており、前記小容量部45は同吐出口48を介して外部冷媒回路に連通されている。従って、前記入口46aから吐出口48までの直線距離と、入口47aから吐出口48までの直線距離とは不等長となっている(入口46aから吐出口48までの直線距離の方が長い)。
【0029】
次に、前記構成の両頭ピストン式圧縮機の作用について説明する。
さて、クラッチ機構の接続により、車両エンジン等の外部駆動源から駆動軸18に駆動力が伝達されると、斜板26の回転に連動してピストン22の往復動が開始される。ピストン22の往復動が開始されると、各圧縮室23,24では、同ピストン22の往復動に伴って、冷媒ガスの吸入室29,30からの吸入、圧縮室23,24内での圧縮、及び吐出室32,33への吐出のサイクルが開始される。
【0030】
そして、フロント側及びリヤ側吐出室32,33に吐出された吐出ガスは、それぞれ連通路46,47を介してマフラ空間42の大容量部44内に流入される。同大容量部44内に流入された吐出ガスは、絞り43及び小容量部45を通過し、吐出口48を介して外部冷媒回路に向けて排出される。
【0031】
従って、前記吐出ガスがマフラ空間42を通過されることにより、その圧力脈動成分が同マフラ空間42内において反射・干渉され、吐出口48を介して外部冷媒回路に排出される吐出ガスの圧力脈動が減衰される。
【0032】
上記構成の本実施形態においては、次のような効果を奏する。
(1)膨出部41A,41Bがシリンダブロック11A,11Bの外側に一体形成されている。そして、同膨出部41A,41B内にマフラ空間42をそれぞれ形成することで、同マフラ空間42を両シリンダブロック11A,11Bの接合により封止した。従って、同マフラ空間42を構成するためにシリンダブロック11A,11Bと別体の部材を必要とせず、マフラ構造を構成する部品点数を低減できるし、その組付工程数も低減でき、ひいては圧縮機の低コスト化につながる。
【0033】
(2)前記吐出ガスは先ず大容量部44に流入され、次に同大容量部44より容積の小さな小容量部45を介してマフラ空間42から流出される。従って、マフラ空間42内における吐出ガスの流動が同小容量部45に絞られて遅滞され、同マフラ空間42内における吐出ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が効果的になされる。その結果、マフラ空間42から流出される吐出ガスの圧力脈動が効果的に減衰される。ここで、例えば、吐出ガスを先ず小容量部45に流入させ、大容量部44から流出させるような構成を採った場合、同吐出ガスは小容量部45によってマフラ空間42に流入される前に絞られ、前述した吐出ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が効果的になされないのである。
【0034】
(3)絞り43が大容量部44と小容量部45との間に介在されており、同絞り43によって吐出ガスの通過断面積が一旦縮小される。従って、各容量部44,45内における吐出ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が効果的になされ、マフラ空間42から流出される吐出ガスの圧力脈動が効果的に減衰される。
【0035】
(4)大容量部44及び小容量部45は、一つのマフラ空間42を絞り43により分けることで形成されており、両空間44,45は両シリンダブロック11A,11Bの接合により同時に封止される。従って、組付工程数を低減でき、圧縮機の製造コストを低減できる。
【0036】
(5)絞り43は、マフラ空間42の内壁面42aの一部を同マフラ空間42側に突出させることで構成されている。従って、同絞り43を、シリンダブロック11A,11Bと別体の部材で構成することと比較して部品点数を低減できる。
【0037】
(6)入口46aから吐出口48までの直線距離と、入口47aから吐出口48までの直線距離とは不等長となっている。このように、マフラ空間42内において一方の側からの吐出ガスの通路長さと、他方の側からの吐出ガスの通路長さとを異ならせることにより、同マフラ空間42内における両吐出ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が効果的になされる。その結果、同マフラ空間42から外部冷媒回路に向けて排出される吐出ガスの圧力脈動が効果的に減衰される。
【0038】
(7)フロント側吐出室32から大容量部44への吐出ガスの入口46aと、リヤ側吐出室33からの入口47aとは対向されている。従って、フロント側吐出室32から大容量部44へ流入された吐出ガスと、リヤ側吐出室33から流入された吐出ガスとが同大容量部44内においてぶつかり合う。その結果、互いの圧力脈動成分が干渉されることで、吐出口48から外部冷媒回路に向けて排出される吐出ガスの圧力脈動が効果的に減衰される。
【0039】
(別例)
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、以下の態様でも実施できる。
(1)上記実施形態においては、吐出ガスの圧力脈動を低減する吐出マフラに具体化されていたが、これに限定されるものではなく、吸入ガスの圧力脈動を低減する吸入マフラに具体化しても良い。また、吸入マフラ及び吐出マフラの両方を備えたものに具体化しても良い。このようにすれば、吸入ガスの圧力脈動を低減でき、同圧力脈動に起因した振動や騒音を低減できる。
【0040】
(2)マフラ空間42を3箇所以上の空間に分けること。この場合、同マフラ空間42の入口側の空間よりも出口側の空間の容積を小さくする。
(3)マフラ空間42をフロント側或いはリヤ側膨出部41A,41Bの一方のみに形成し、他方の膨出部41B,41Aは、同マフラ空間42の開口を封止する蓋構成のみとすること。
【0041】
(4)フロントハウジング12とフロント側シリンダブロック11Aとの間、或いはリヤ側シリンダブロック11Bとリヤハウジング14との間で、上記実施形態と同様なマフラ構造を構成すること。
【0042】
(5)フロントハウジング12からリヤ側シリンダブロック11Bに跨がって、或いはフロント側シリンダブロック11Aからリヤハウジング14に跨がって、上記実施形態と同様なマフラ構造を構成すること。この場合、フロント側シリンダブロック11A(前者の場合)或いはリヤ側シリンダブロック11B(後者の場合)に一体形成された膨出部には、フロント側及びリヤ側の両方に向かって開放されたマフラ空間が設けられる。
【0043】
(6)フロントハウジング12からリヤハウジング14に跨がって、上記実施形態と同様なマフラ構造を構成すること。この場合、両シリンダブロック11A,11Bに一体形成された膨出部には、フロント側及びリヤ側の両方に向かって開放されたマフラ空間が設けられる。
【0044】
(7)他のピストン式圧縮機として、例えば、単頭型のピストンを備えた単頭ピストン式圧縮機、或いは斜板に代えてウエーブカムを備えたウエーブカム式圧縮機等において、そのマフラ構造に具体化すること。吐出ガスの圧力脈動が大きいピストン式圧縮機のマフラ構造に具体化することで、振動や騒音の低減効果が有効に奏される。なお、ピストン式圧縮機に限定されるものではなく、ロータリ式圧縮機として、例えば、ベーン式圧縮機やスクロール型圧縮機等においてそのマフラ構造に具体化しても良い。
【0045】
(付記)
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載すると、前記圧縮機構は、ハウジング構成体であるシリンダブロック11A,11Bにシリンダボア21を形成するとともに、同シリンダボア21内にピストン22を往復動可能に収容し、カム体26を回転させることで同ピストン22を往復動させて、冷媒ガスを吸入して圧縮し、吐出する構成である請求項1〜5のいすれかに記載のマフラ構造。
【0046】
本発明を、吸入ガス或いは吐出ガスの圧力脈動が比較的大きなピストン式圧縮機において具体化することは、その圧力脈動の減衰効果が大きい。
【0047】
【発明の効果】
上記構成の請求項1の発明によれば、マフラ空間がハウジング構成体同士の接合により封止される。従って、同マフラ空間を封止するのにハウジング構成体と別体の部材を必要とせず、少ない部品点数でマフラ構造を構成でき、圧縮機の低コスト化を図り得る。また、マフラ空間を大容量部と小容量部とに分け、冷媒ガスを先ず大容量部に流入さた後、小容量部を介して同マフラ空間から流出させる。従って、マフラ空間内における冷媒ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が効果的になされ、同マフラ空間から流出される冷媒ガスの圧力脈動を効果的に減衰し得る。
【0048】
請求項2の発明によれば、絞りが大容量部と小容量部との間に介在されており、同絞りによって冷媒ガスの通過断面積が一旦縮小される。従って、各容量部内における冷媒ガスの圧力脈動成分の反射・干渉が効果的になされ、冷媒ガスの圧力脈動をさらに効果的に減衰し得る。
【0049】
請求項3の発明によれば、絞りがハウジング構成体と一体形成されているため、少ない部品点数でマフラ構造を構成できるし、大容量部及び小容量部を同時に封止でき組付工程数も少なくて済む。
【0050】
請求項4又は5の発明によれば、吐出ガスの圧力脈動をさらに効果的に減衰し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 両頭ピストン式圧縮機の縦断面図。
【図2】 リヤ側シリンダブロックの端面図。
【図3】 図2のA−A線に対応する圧縮機の断面図。
【符号の説明】
11A,11B…ハウジング構成体としてのシリンダブロック、22…圧縮機構を構成するピストン、26…同じく斜板、42…マフラ空間、44…大容量部、45…小容量部。

Claims (5)

  1. 複数のハウジング構成体を接合してなるハウジング内に圧縮機構が収容されるとともに、同圧縮機構の動作により冷媒ガス等を吸入して圧縮し、吐出する構成の圧縮機において、
    前記ハウジング構成体の外周部にマフラ空間を形成し、ハウジング構成体同士の接合により同マフラ空間を封止することで構成されたマフラ構造であって、前記マフラ空間を大容量部と小容量部とに分け、マフラ空間への冷媒ガスの入口を大容量部に開口させるとともに、同マフラ空間からの冷媒ガスの出口を小容量部に開口させたマフラ構造。
  2. 前記大容量部と小容量部との間には冷媒ガスの通過断面積を縮小する絞りが介在された請求項1に記載のマフラ構造。
  3. 前記絞りはマフラ空間の内壁面の一部を突出させることで前記ハウジング構成体と一体形成された請求項2に記載のマフラ構造。
  4. 前記圧縮機構は、ハウジング構成体であるシリンダブロックに形成されたシリンダボアと、同シリンダボア内に収容されて往復動される両頭型のピストンとを備え、一方のピストン端面とシリンダボアとにより囲まれて形成された圧縮室から吐出される吐出ガスと、他方のピストン端面とシリンダボアとにより囲まれて形成された圧縮室から吐出される吐出ガスとが、前記大容量部内において合流するように構成され、一方の圧縮室側からの吐出ガスの入口と、他方の圧縮室側からの吐出ガスの入口とは、マフラ空間の出口までの距離が不等長となるように配置された請求項1〜3のいずれかに記載のマフラ構造。
  5. 前記圧縮機構は、ハウジング構成体であるシリンダブロックに形成されたシリンダボアと、同シリンダボア内に収容されて往復動される両頭型のピストンとを備え、一方のピストン端面とシリンダボアとにより囲まれて形成された圧縮室から吐出される吐出ガスと、他方のピストン端面とシリンダボアとにより囲まれて形成された圧縮室から吐出される吐出ガスとが、前記大容量部内において合流するように構成され、一方の圧縮室側からの吐出ガスの入口と、他方の圧縮室側からの吐出ガスの入口とは、大容量部内において対向するように配置された請求項1〜3のいずれかに記載のマフラ構造。
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