JP2004278361A - ピストン式圧縮機 - Google Patents

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Tomohiro Murakami
智洋 村上
Hiroaki Kayukawa
浩明 粥川
Sokichi Hibino
惣吉 日比野
Atsushi Morishita
敦之 森下
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Abstract

【課題】圧縮室の残留ガスが吸入圧領域へ逆流することに起因して生じる吸入脈動を抑制することができるピストン式圧縮機を提供する。
【解決手段】ロータリバルブ30には、第1端が吸入室44に常時連通されるとともに、第2端が吐出終了後の圧縮室26にガス案内通路50よりも先行して連通される残留ガス逆流通路(マフラ室49、残留ガス導入孔51、ガス排出孔52)が形成されている。ロータリバルブ30において前記残留ガス逆流通路の途中にはマフラ室49が配設されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータリバルブを吸入弁として用いたピストン式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両空調装置の冷媒圧縮機として用いられるピストン式圧縮機においては、リード弁よりなる吸入弁が一般的に用いられている。ピストンが上死点位置側から下死点位置側へ移行する吸入行程において、圧縮室側の圧力が吸入圧領域側の圧力よりも小さくなると、吸入圧領域の冷媒ガスが吸入弁を押し退けて圧縮室へ流入する。このようなリード弁等の差圧弁よりなる吸入弁は、吸入圧領域から圧縮室への冷媒ガスの吸入において常に最適な吸入開始のタイミング(以下吸入開始タイミングとする)を保障する。しかし、差圧弁よりなる吸入弁は、自励振動に起因した異音を発生し易い。
【0003】
そこで、自励振動が生じることのないロータリバルブを吸入弁として用いるピストン式圧縮機が従来から存在する(例えば特許文献1参照)。このロータリバルブには、吸入圧領域に常時連通されたガス案内通路が形成されており、該ガス案内通路の圧縮室側はロータリバルブの外周面で開口されている。ロータリバルブは駆動軸と同期回転することで、吸入行程にある圧縮室への導通路にガス案内通路を順次連通させる。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−117365号公報(第4頁、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロータリバルブを吸入弁として用いるピストン式圧縮機では、吸入圧領域の冷媒ガスの圧縮室への吸入開始タイミングは、ロータリバルブの外周面におけるガス案内通路の開口位置で決まる。しかし、最適な吸入開始タイミングは、ピストン式圧縮機の運転条件によって異なる。つまり、最適の吸入開始タイミングは、ピストン式圧縮機の回転数の変化に伴う吸入圧の変化や、容量可変型のピストン式圧縮機では、吐出容量の変化に伴う吸入圧の変化等によって異なる。そのため、ロータリバルブを吸入弁として用いると、実際の吸入開始タイミングと最適の吸入開始タイミングとを常に一致させることは難しい。
【0006】
従って、例えば、低吐出容量等に起因して、実際の吸入開始タイミングが最適の吸入開始タイミングよりも早すぎる場合には、圧縮室に残留する冷媒ガス(残留ガス)の圧力は、吸入圧領域に通じているガス案内通路の圧力よりも高い。そのため、圧縮室の冷媒がロータリバルブにおけるガス案内通路側に逆流し、大きな吸入脈動が発生する。吸入脈動は、外部冷媒回路の配管等における異音発生の原因となる。
【0007】
ここで、特許文献1の技術においてロータリバルブには、吐出終了後の高圧側の圧縮室への導通路と低圧側の圧縮室への導通路とを連通する残留ガスバイパス通路が形成されている。従って、吐出終了後の圧縮室において吐出しきれずに残った残留ガスは、残留ガスバイパス通路を介して低圧側の圧縮室へとバイパス(回収)される。よって、圧縮室の吸入行程中における残留ガスの再膨張が少なくなり、該圧縮室内へ吸入圧領域のガスを確実に吸入でき、ピストン式圧縮機の体積効率を向上させることができる。圧縮室の残留ガスが少なくなれば、該圧縮室からガス案内通路側へのガスの逆流も少なくなる。
【0008】
しかし、前記残留ガスバイパス通路を備えたとしても、圧縮室の残留ガスを完全に回収することは不可能である。つまり、残留ガスが導出される側の圧縮室の圧力と残留ガスが導入される側の圧縮室の圧力とは、やがては吸入圧領域の圧力よりも高い圧力で均衡し、この均衡状態では残留ガスのバイパスは行われない。
従って、圧縮室には残留ガスが多少なりとも残ることとなり、よって前述した残留ガスに起因した吸入脈動の発生の問題も依然として生じることとなっていた。
【0009】
本発明の目的は、圧縮室の残留ガスが吸入圧領域へ逆流することに起因した吸入脈動を抑制することができるピストン式圧縮機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、ロータリバルブには、第1端が吸入圧領域に常時連通されるとともに、第2端が吐出終了後の圧縮室にガス案内通路よりも先行して連通される残留ガス逆流通路が形成されている。前記ロータリバルブにおいて前記残留ガス逆流通路の途中にはマフラ室が配設されている。
【0011】
この発明によれば、吐出終了後の圧縮室には、該圧縮室にガス案内通路が連通されるよりも先行して残留ガス逆流通路が連通される。よって、前記吐出終了後の圧縮室において吐出しきれずに残った残留ガスの少なくとも一部は、マフラ室に回収されることとなる。従って、前記吐出終了後の圧縮室の残留ガスに関して、該残留ガスがマフラ室に回収される分、この圧縮室とガス案内通路とが連通したときに、該圧縮室から高圧なままガス案内通路を介して吸入圧領域に逆流する量が減る。
【0012】
また、前記マフラ室に回収された残留ガスは、該マフラ室内で膨張した後、該マフラ室よりも下流側の残留ガス逆流通路を経由して吸入圧領域に排出される。このとき、前記残留ガスは、前記下流側の残留ガス逆流通路による絞り作用によって減圧された状態で吸入圧領域に排出されるため、この残留ガスが吸入圧領域に与える圧力的影響は小さくなる。
【0013】
従って、前記ガス案内通路及び残留ガス逆流通路を介して逆流する残留ガスの影響によって吸入圧領域で生じる吸入脈動を抑制することが可能となり、この吸入脈動による振動や騒音が生じ難くなる。
【0014】
請求項2の発明は請求項1において、前記ロータリバルブには、吐出終了後の高圧側の圧縮室と、低圧側の圧縮室とを連通する残留ガスバイパス通路が形成されている。前記残留ガス逆流通路の第2端と圧縮室との連通は、前記残留ガスバイパス通路による高圧側の圧縮室と低圧側の圧縮室との連通開始後に開始される。
【0015】
この発明によれば、残留ガス逆流通路へは、吐出終了後の圧縮室における前記残留ガスのうち、残留ガスバイパス通路によって吐出終了後の高圧側の圧縮室から低圧側の圧縮室にバイパスされない残留ガスが導入されることとなる。つまり、残留ガス逆流通路を有さない態様と比較すれば、残留ガスバイパス通路によってバイパスされない前記残留ガスが残留ガス逆流通路に導入される分、前記バイパスされない残留ガスが前記高圧側の圧縮室から高圧なままガス案内通路を介して吸入圧領域に逆流する量が減る。この結果、前記吸入脈動が抑制される。
【0016】
請求項3の発明は請求項1又は2において、前記ロータリバルブは円筒状をなしている。前記マフラ室はロータリバルブと別体とされた半円柱状の中空体が構成している。前記中空体はロータリバルブの内空間に収容配置されている。そして、前記中空体の円筒面はロータリバルブの内空間の円筒面に密着されている。
【0017】
この発明によれば、ロータリバルブの内空間の円筒面に密着可能な円筒面を有する半円柱状の中空体を用いてマフラ室を構成したため、マフラ室を備えたロータリバルブを構成するために、円筒状をなす従来タイプのロータリバルブを流用することが容易となる。
【0018】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれかにおいて、ピストン式圧縮機の好適な態様について言及するものである。即ち、前記ピストンのストローク量を変更可能な吐出容量可変機構を備えている。
【0019】
従って、例えば、ピストンのストローク量が小さく、圧縮室の残留ガスの圧力と、ガス案内通路の圧力との差が大きい場合であっても、前記残留ガスの少なくとも一部を、残留ガス逆流通路を介して吸入圧領域に逆流させることで、前記吸入脈動を効果的に抑制することが可能である。
【0020】
上記目的を達成するために請求項5の発明は、ロータリバルブには、該ロータリバルブの開弁に先行して吐出終了後の圧縮室と吸入圧領域とを連通することで、圧縮室の残留ガスを吸入圧領域に逆流させることが可能な残留ガス逆流通路が形成されている。前記ロータリバルブにおいて前記残留ガス逆流通路の途中にはマフラ室が配設されている。
【0021】
この発明によれば、吐出終了後の圧縮室は、残留ガス逆流通路を介して、ロータリバルブの開弁に先行して吸入圧領域と連通される。よって、前記吐出終了後の圧縮室において吐出しきれずに残った残留ガスの少なくとも一部は、マフラ室に回収されることとなる。従って、前記吐出終了後の圧縮室の残留ガスに関して、該残留ガスがマフラ室に回収される分、ロータリバルブが開弁されたときに、前記圧縮室から高圧なまま吸入圧領域に逆流する量が減る。
【0022】
また、前記マフラ室に回収された残留ガスは、該マフラ室内で膨張した後、該マフラ室よりも下流側の残留ガス逆流通路を経由して吸入圧領域に排出される。このとき、前記残留ガスは、前記下流側の残留ガス逆流通路による絞り作用によって減圧された状態で吸入圧領域に排出されるため、この残留ガスが吸入圧領域に与える圧力的影響は小さくなる。
【0023】
従って、吐出終了後の圧縮室から吸入圧領域に逆流する残留ガスの影響によって吸入圧領域で生じる吸入脈動を抑制することが可能となり、この吸入脈動による振動や騒音が生じ難くなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、車両空調装置に用いられる吐出容量可変型のピストン式圧縮機(以下、単に圧縮機とする)に具体化した一実施形態について説明する。
【0025】
(圧縮機)
図1に示すように、圧縮機は、シリンダブロック11と、その前端に接合固定されたフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に弁・ポート形成体13を介して接合固定されたリヤハウジング14とを備えている。これらシリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング14が圧縮機のハウジングを構成する。なお、図1の左方を圧縮機の前方とし右方を後方とする。
【0026】
前記シリンダブロック11とフロントハウジング12とで囲まれた領域にはクランク室15が区画されている。回転軸16はクランク室15を貫通するように配設され、フロントハウジング12とシリンダブロック11との間で回転可能に架設支持されている。回転軸16は、車両の走行駆動源であるエンジンEgに作動連結されており、エンジンEgから動力の供給を受けて回転される。なお、回転軸16は、その前端側が、転がり軸受19を介してフロントハウジング12に支持されている。
【0027】
前記クランク室15内において回転軸16には、ラグプレート20が一体回転可能に固定されている。クランク室15内には、斜板21が収容されている。斜板21は、回転軸16にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ機構22は、ラグプレート20と斜板21との間に介在されている。従って、斜板21は、ヒンジ機構22を介したラグプレート20との間でのヒンジ連結、及び回転軸16の支持により、ラグプレート20及び回転軸16と同期回転可能であるとともに、回転軸16の軸線L方向へのスライド移動を伴いながら回転軸16に対し傾動可能となっている。
【0028】
図1〜図3に示すように、複数(図1及び図2においては一つのみ図示)のシリンダボア23は、前記シリンダブロック11において回転軸16の後端側を取り囲むようにして貫通形成されている。片頭型のピストン24は、各シリンダボア23に往復動可能に収容されている。シリンダボア23の前後開口は、弁・ポート形成体13及びピストン24によって閉塞されており、このシリンダボア23内にはピストン24の往復動に応じて体積変化する圧縮室26が区画されている。
【0029】
前記各ピストン24は、シュー25を介して斜板21の外周部に係留されている。従って、回転軸16の回転にともなう斜板21の回転が、シュー25を介してピストン24の往復動に変換される。
【0030】
前記圧縮機のハウジングには、弁・ポート形成体13及びリヤハウジング14を貫通するようにして連通路27が形成されている。また、リヤハウジング14には、吐出室28が形成されている。連通路27は弁・ポート形成体13及びリヤハウジング14の中央部に形成されているとともに、吐出室28は連通路27の外周を取り囲むようにして形成されている。連通路27には、図示しない外部冷媒回路の車室内側熱交換器につながる外部配管が接続されている。吐出室28には、図示しない外部冷媒回路の車室外側熱交換器につながる外部配管が接続されている。この外部冷媒回路及び圧縮機は冷媒循環回路を構成する。
【0031】
前記連通路27内の冷媒ガスは、各ピストン24の上死点位置から下死点側への移動により、シリンダブロック11内に配設されたロータリバルブ30を介して圧縮室26に吸入される。圧縮室26に吸入された冷媒ガスは、ピストン24の下死点位置から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体13に形成された吐出ポート31及び吐出弁32を介して吐出室28に吐出される。吐出室28に吐出された冷媒ガスは、外部冷媒回路へと排出される。
【0032】
前記圧縮機のハウジング内には、抽気通路33及び給気通路34並びに制御弁35が設けられている。抽気通路33はクランク室15と連通路27とを連通する。給気通路34は吐出室28とクランク室15とを連通する。給気通路34の途中には、電磁弁よりなる制御弁35が配設されている。
【0033】
前記制御弁35の開度を調節することで、給気通路34を介した吐出室28からクランク室15への高圧な冷媒ガスの導入量と抽気通路33を介したクランク室15から連通路27への冷媒ガス導出量とのバランスが制御され、クランク室15の内圧が制御される。クランク室15の内圧変更に応じて、ピストン24を介してのクランク室15の内圧と圧縮室26の内圧との差が変更され、斜板21の傾斜角度が変更される結果、ピストン24のストローク量すなわち圧縮機の吐出容量が変更される。
【0034】
例えば、前記クランク室15の内圧が低下されると斜板21の傾斜角度が増大し、ピストン24のストローク量が増大して圧縮機の吐出容量が増大される。逆に、クランク室15の内圧が上昇されると斜板21の傾斜角度が減少し、ピストン24のストローク量が減少して圧縮機の吐出容量が減少される。
【0035】
なお、前記回転軸16、ラグプレート20、斜板21、ヒンジ機構22、シュー25、抽気通路33、給気通路34、及び、制御弁35は、ピストン24のストローク量を変更可能な吐出容量可変機構を構成する。
【0036】
(吸入弁機構)
前記圧縮機のハウジングには、シリンダブロック11においてシリンダボア23に囲まれた中心部に、収容孔41が貫通形成されている。収容孔41は、軸線L方向に延在する円柱状の内空間を有するとともに後方側で連通路27に連通されている。収容孔41と各圧縮室26とは、シリンダブロック11において軸線Lを中心とした放射状に形成された複数(本実施形態においては五つ。図3参照。)の導通路42を介してそれぞれ連通されている。
【0037】
前記収容孔41内には、吸入弁としての円筒状をなすロータリバルブ30が、摺動回転可能に収容されている。収容孔41の内周面41aとロータリバルブ30の外周面30aとは、それぞれ、収容孔41とロータリバルブ30との間をシールするシール面を構成している。
【0038】
前記ロータリバルブ30は、該ロータリバルブ30の内空間の後端側が連通路27に開口されているとともに、前端部には小径部30bが設けられている。回転軸16において収容孔41に臨む後端面には、取付孔16aが設けられている。回転軸16の取付孔16aには、ロータリバルブ30が小径部30bを以て圧入固定されている。従って、回転軸16とロータリバルブ30とは同一軸線L上で一体化されており、ロータリバルブ30は回転軸16の回転つまりはピストン24の往復動に同期して回転される。また、回転軸16は、その後端側が、ロータリバルブ30を介して、収容孔41の内周面41aによって滑り軸受支持された状態となっている。
【0039】
前記ロータリバルブ30の周壁には、ガス案内通路50が貫通形成されている。ガス案内通路50は、ロータリバルブ30の内周面(ロータリバルブ30の内空間の円筒面)30c側の端部が、該ロータリバルブ30の内空間の一部を構成する吸入室44と連通されている。また、ガス案内通路50においてロータリバルブ30の外周面30a側の端部は、該外周面30aにおいて周方向に所定区間に亘って開口されている。ガス案内通路50は、吸入室44と各圧縮室26から延びる導通路42とを、ロータリバルブ30の回転に同期して順次連通する。
【0040】
すなわち、前記ロータリバルブ30は、ピストン24が吸入行程に移行した場合に、ガス案内通路50を導通路42に連通させる(ロータリバルブ30の開弁状態)。従って、吸入室44の冷媒ガスは、ガス案内通路50及び導通路42を経由して圧縮室26に吸入される。
【0041】
前記ピストン24の吸入行程の終了時には、ガス案内通路50が導通路42に対して周方向に完全にずれ、圧縮室26内への冷媒ガスの吸入が停止される。ピストン24が吐出行程に移行されると、ロータリバルブ30の外周面30aによって導通路42が閉鎖状態に保持され、冷媒ガスの圧縮及び吐出室28への吐出が妨げられることはない。
【0042】
(残留ガスバイパス構造)
図4においては、前記ロータリバルブ30の回転運動を直線状に展開するとともに、ガス案内通路50の軸線L周りでの旋回を左方への移動に置換した図を示している。該図に示すように、ロータリバルブ30の外周面30aにおいてシール領域には、残留ガスバイパス通路としての残留ガスバイパス溝53が形成されている。残留ガスバイパス溝53は、ロータリバルブ30の軸線L方向(図面の上下方向)に延在される高圧側溝53a、同じく軸線L方向に延在される低圧側溝53b、及びロータリバルブ30の周方向(図面の左右方向)に延在されて両溝53a,53bの前方側の端部間を連通する連通溝53cとからなっている。
【0043】
前記高圧側溝53aは、ロータリバルブ30の外周面30aにおいて、吐出終了直後の高圧側の圧縮室26への導通路42と対向するシール領域に配置されている。従って、高圧側溝53aは、ガス案内通路50の開口(ロータリバルブ30の外周面30aにおける開口)50aに先行して導通路42と連通される。低圧側溝53bは、ロータリバルブ30の外周面30aにおいて、低圧側の圧縮室たる吸入終了直後の圧縮室26への導通路42と対向するシール領域に配置されている。
【0044】
従って、吐出終了直後の圧縮室26において吐出しきれずに残った冷媒ガス(残留ガス)は、導通路42、高圧側溝53a、連通溝53c、低圧側溝53b及び導通路42を同順に経由して、吸入終了直後の圧縮室26へとバイパス(回収)される。よって、圧縮室26の吸入行程中における残留ガスの再膨張が少なくなり、該圧縮室26内へ吸入室44の冷媒ガスを確実に吸入でき、圧縮機の体積効率を向上させることができる。
【0045】
(吸入脈動低減構造)
図2及び図3に示すように、前記ロータリバルブ30内には、マフラ室49が設けられている。マフラ室49は、ロータリバルブ30の内空間に収容配置された、該ロータリバルブ30とは別体とされた半円柱状の中空体としてのマフラユニット45によって構成されている。
【0046】
図5に示すように、マフラユニット45は、有底半円筒状の本体47と、該本体47の開口端部47aに固着される蓋部48とからなっている。これら本体47と蓋部48とで区画されたマフラユニット45の内空間が、マフラ室49をなしている。なお、前述の「半円柱状」、及び、「半円筒状」は、円柱や円筒を、その軸線方向に沿う平面によって二等分した一方のものの形状のみを指すものではない。つまり、前記軸線に直行する平面での断面形状が円弧状の外周面を有する中空形状であればよい。
【0047】
図2及び図3に示すように、前記マフラユニット45は、本体47の外周面(中空体の円筒面)47bがロータリバルブ30の内周面(内空間の円筒面)30cに密着した状態で固着されている。ロータリバルブ30の内空間におけるマフラユニット45の外部の空間は、連通路27及びガス案内通路50と連通する吸入室44をなしている。連通路27、吸入室44及びガス案内通路50は、吸入圧領域を構成する。
【0048】
前記マフラ室49とロータリバルブ30の外周側とは、ロータリバルブ30、及び、マフラユニット45の本体47の周壁を貫通するようにして設けられた残留ガス導入孔51によって連通されている。残留ガス導入孔51は、ロータリバルブ30の外周面30aと内周面30cとを連通するバルブ側孔51aと、マフラユニット45の本体47の外周面47bと内周面とを連通するマフラ側孔51bとからなっている。また、マフラ室49と吸入室44とは、蓋部48の前後面間を貫通するようにして設けられたガス排出孔52を介して連通されている。
【0049】
マフラ室49、残留ガス導入孔51、及び、ガス排出孔52は、残留ガス逆流通路を構成する。つまり、残留ガス逆流通路の途中にマフラ室49が設けられることによって、該残留ガス逆流通路の通過断面積は、マフラ室49よりも上流側の部分、及び、下流側の部分が、マフラ室49に比べて小さく設定されている。
【0050】
前記ガス排出孔52において蓋部48の後面側の端部(残留ガス逆流通路の第1端)は、吸入室44と常時連通されている。また、残留ガス導入孔51においてロータリバルブ30の外周面30a側の端部(残留ガス逆流通路の第2端)は、該外周面30aにおいて、吐出終了後の圧縮室26への導通路42と対向するシール領域に開口されている。詳細には、残留ガス導入孔51の前記端部(前記第2端)は、前記シール領域において、残留ガスバイパス溝53の高圧側溝53aとガス案内通路50の開口50aとの間の位置に開口されている。
【0051】
従って、前記残留ガス導入孔51は、回転軸16の回転に伴って、吐出終了後の圧縮室26に対応する導通路42に対して、該導通路42と残留ガスバイパス溝53の高圧側溝53aとの連通期間後において、ガス案内通路50よりも先行して連通される。
【0052】
前記回転軸16の回転に伴って、吐出終了後の圧縮室26に対応する導通路42とロータリバルブ30の残留ガス導入孔51とが連通すると、前記圧縮室26の残留ガスは、残留ガス導入孔51を介してマフラ室49に回収される。マフラ室49に回収された残留ガスは、該マフラ室49内で膨張する。そして、マフラ室49内の冷媒ガスは、ガス排出孔52を介して吸入室44に排出される。このとき、この冷媒ガスは、ガス排出孔52による絞り作用によって減圧された状態で吸入室44に排出される。
【0053】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
(1)吐出終了後の圧縮室26には、導通路42を介して、該圧縮室26にガス案内通路50の開口50aが連通されるよりも先行して残留ガス導入孔51が連通される。よって、前記吐出終了後の圧縮室26において吐出しきれずに残った残留ガスの少なくとも一部は、マフラ室49に回収されることとなる。従って、前記吐出終了後の圧縮室26の残留ガスに関して、該残留ガスがマフラ室49に回収される分、この圧縮室26とガス案内通路50とが連通したときに、該圧縮室26から高圧なままガス案内通路50を介して吸入室44に逆流する量が減る。
【0054】
また、前記マフラ室49に回収された残留ガスは、該マフラ室49内で膨張した後、ガス排出孔52を経由して吸入室44に排出される。このとき、前記残留ガスは、ガス排出孔52による絞り作用によって減圧された状態で吸入室44に排出されるため、この残留ガスが吸入室44に与える圧力的影響は小さくなる。
【0055】
従って、前記ガス案内通路50及び残留ガス逆流通路を介して逆流する残留ガスの影響によって吸入室44で生じる吸入脈動を抑制することが可能となり、この吸入脈動による振動や騒音が生じ難くなる。
【0056】
(2)前記残留ガス逆流通路の第2端(残留ガス導入孔51のロータリバルブ30の外周面30a側の端部)と圧縮室26との連通は、残留ガスバイパス溝53による高圧側の圧縮室26と低圧側の圧縮室26との連通期間後に行われる。これによれば、残留ガス導入孔51へは、残留ガスバイパス溝53が、吐出終了後の高圧側の圧縮室26から低圧側の圧縮室26にバイパスしきれなかった残留ガスが導入されることとなる。つまり、残留ガス逆流通路を有さない態様と比較すれば、残留ガスバイパス溝53がバイパスしきれなかった前記残留ガスが残留ガス逆流通路に導入される分、前記バイパスしきれなかった残留ガスが前記高圧側の圧縮室26から高圧なままガス案内通路50を介して吸入室44に逆流する量が減る。この結果、前記吸入脈動が抑制される。
【0057】
(3)ロータリバルブ30の内周面30cに密着可能な外周面47bを有するマフラユニット45を用いてマフラ室49を構成した。従って、マフラ室を備えたロータリバルブを構成するために、円筒状をなす従来タイプのロータリバルブを流用することが容易となる。
【0058】
(4)前記圧縮機は、ピストン24のストローク量を変更可能な吐出容量可変機構を備えている。従って、例えば、ピストン24のストローク量が小さく、圧縮室26の残留ガスの圧力と、ガス案内通路50の圧力との差が大きい場合であっても、前記残留ガスの少なくとも一部を、残留ガス逆流通路を介して吸入室44に逆流させることで、前記吸入脈動を効果的に抑制することが可能である。
【0059】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で例えば以下の態様でも実施できる。
○ 前記実施形態では、ロータリバルブ30とマフラユニット45とが別体とされたが、例えば、マフラユニット45を構成する本体47がロータリバルブ30と一体形成されるなど、マフラ室49を区画する隔壁の少なくとも一部がロータリバルブ30と一体形成されてもよい。
【0060】
○ 残留ガス導入孔51と残留ガスバイパス溝53とが連通されていてもよい。この場合、例えば、残留ガス導入孔51のロータリバルブ30における外周面30a側の端部を、残留ガスバイパス溝53内に開口させる。これによれば、残留ガス導入孔51と圧縮室26との連通は、残留ガスバイパス溝53を介して、残留ガスバイパス溝53による高圧側の圧縮室26と低圧側の圧縮室26との連通時に行われる。
【0061】
○ 残留ガスバイパス溝53は、必ずしも設けられる必要はない。
○ 例えば、ロータリバルブ30及びマフラユニット45の周壁内に、マフラ室49とガス案内通路50とを連通するガス排出孔を設ける等して、マフラ室49内の冷媒ガスを、吸入室44介することなくガス案内通路50内に排出するようにしてもよい。つまり、残留ガス逆流通路を介して吸入圧領域に逆流した残留ガスを、該吸入圧領域から圧縮室26に吸入される冷媒ガスと合流させる構成であれば、残留ガス逆流通路の吸入圧領域側の端部(第1端)はどこに設けられていてもよい。
【0062】
○ 前記実施形態では、シリンダブロック11の導通路42を、ロータリバルブ30のガス案内通路50及び残留ガス導入孔51を圧縮室26と連通可能とする通路として兼用したが、これに限定されない。残留ガス導入孔51と圧縮室26とを連通可能とする通路を、シリンダブロック11において導通路42とは別に設けてもよい。
【0063】
○ ワッブルタイプの吐出容量可変機構を有するピストン式圧縮機において本発明を適用してもよい。
○ 固定容量型のピストン式圧縮機に本発明を適用してもよい。
【0064】
○ 両頭ピストン式の圧縮機において本発明を適用してもよい。
○ 斜板に代えてウエーブカムをカム体として用いた、ウエーブカムタイプのピストン式圧縮機において本発明を適用してもよい。
【0065】
○ 空調装置以外に用いられるピストン式圧縮機において本発明を適用してもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、ピストン式圧縮機において、圧縮室の残留ガスが吸入圧領域へ逆流することに起因した吸入脈動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピストン式圧縮機の概要を示す断面図。
【図2】図1の要部拡大図。
【図3】図1の1−1線における断面を拡大した図。
【図4】ロータリバルブの外周面を展開した図。
【図5】マフラユニットを取り出して示す分解斜視図。
【符号の説明】
16…吐出容量可変機構を構成する回転軸、20…同じくラグプレート、21…同じく斜板、22…同じくヒンジ機構、23…シリンダボア、24…ピストン、25…吐出容量可変機構を構成するシュー、26…圧縮室、27…吸入圧領域を構成する連通路、30…ロータリバルブ、30c…ロータリバルブ30の内空間の円筒面としての内周面、33…吐出容量可変機構を構成する抽気通路、34…同じく給気通路、35…同じく制御弁、44…吸入圧領域を構成する吸入室、45…マフラ室を構成する中空体としてのマフラユニット、47b…マフラユニットの円筒面としての外周面、49…残留ガス逆流通路を構成するマフラ室、50…吸入圧領域を構成するガス案内通路、51…残留ガス逆流通路を構成する残留ガス導入孔、52…同じくガス排出孔、53…残留ガスバイパス通路としての残留ガスバイパス溝。

Claims (5)

  1. 回転軸の周囲に配列された複数のシリンダボア内にピストンを収容し、前記ピストンによって前記シリンダボア内に区画される圧縮室に吸入圧領域からガスを導入するためのガス案内通路を有するロータリバルブを備え、前記圧縮室と前記ガス案内通路との連通によって吸入圧領域から前記ガス案内通路を介して前記圧縮室へガスを導入するピストン式圧縮機において、
    前記ロータリバルブには、第1端が前記吸入圧領域に常時連通されるとともに、第2端が吐出終了後の圧縮室に前記ガス案内通路よりも先行して連通される残留ガス逆流通路が形成され、前記ロータリバルブにおいて前記残留ガス逆流通路の途中にはマフラ室が配設されていることを特徴とするピストン式圧縮機。
  2. 前記ロータリバルブには、吐出終了後の高圧側の圧縮室と、低圧側の圧縮室とを連通する残留ガスバイパス通路が形成されており、前記残留ガス逆流通路の第2端と圧縮室との連通は、前記残留ガスバイパス通路による高圧側の圧縮室と低圧側の圧縮室との連通開始後に開始される請求項1に記載のピストン式圧縮機。
  3. 前記ロータリバルブは円筒状をなすとともに、前記マフラ室はロータリバルブと別体とされた半円柱状の中空体が構成し、前記中空体はロータリバルブの内空間に収容配置されており、該中空体の円筒面はロータリバルブの内空間の円筒面に密着されている請求項1又は2に記載のピストン式圧縮機。
  4. 前記ピストンのストローク量を変更可能な吐出容量可変機構を備えている請求項1〜3のいずれかに記載のピストン式圧縮機。
  5. 圧縮室と吸入圧領域との間のガス通路を開閉する吸入弁としてロータリバルブを用いたピストン式圧縮機において、
    前記ロータリバルブには、該ロータリバルブの開弁に先行して吐出終了後の圧縮室と吸入圧領域とを連通することで、圧縮室の残留ガスを吸入圧領域に逆流させることが可能な残留ガス逆流通路が形成され、前記ロータリバルブにおいて前記残留ガス逆流通路の途中にはマフラ室が配設されていることを特徴とするピストン式圧縮機。
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