JP3762937B2 - 脈動圧低減構造を有する圧縮機 - Google Patents

脈動圧低減構造を有する圧縮機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車空気調和装置の斜板式圧縮機(Swash Plate Type Compressor)に係り、特に冷媒が圧縮されて排出される過程で発生する冷媒吐出脈動圧による騒音を低減し得る構造を備え、駆動騒音の極めて小さい脈動圧低減構造を有する圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用空気調和装置で冷房システムを構成する圧縮機は、プーリを介してエンジンからの動力を電磁クラッチの断続作用によって選択的に受け、蒸発器で熱交換された気体状冷媒を液化し易い高温高圧の状態に圧縮して凝縮機へ吐出する装置である。
このような圧縮機は、冷媒圧縮方式と圧縮構造の違いにより、往復式圧縮機と回転式圧縮機に大別される。
【0003】
前記圧縮機の分類において、往復式に分類される斜板式圧縮機は、エンジンの動力を伝達する駆動軸に、斜めに軸設されたディスク状の斜板が駆動軸によって回転し、前記斜板の回転により、斜板の外周に沿ってシュー(shoe)を介在させて結合された多数のピストンが、シリンダに設けられた多数のボア内部で直線往復運動し、これにより蒸発器で気化された低圧の冷媒を吸入,圧縮して排出するように構成されたものである。
このような斜板式圧縮器は、再びピストン加圧形式によってピストンの一面のみを冷媒加圧面として使用する偏頭ピストン式圧縮機と、ピストンの両面を加圧面として使用する両頭ピストン式圧縮機に分けられる。
【0004】
本発明は、偏頭ピストン式圧縮機に関するもので、特に斜板の傾斜角が可変されてピストンの往復移送量が変化することにより、熱負荷に応じて冷媒圧縮量を調節することが可能な形態の可変容量型斜板式圧縮機に関するものである。
この可変容量型斜板式圧縮機は、部品数が少なく軽量であり、熱負荷に応じて冷媒圧縮容量を制御することができるとともに安定的に調節することができ、且つ、自動車の走行性能を向上させることができるなど、固定容量型斜板式圧縮機に比べて様々な長所を備えている。
図5は斜板式圧縮機の一例として従来の可変容量型斜板式圧縮機の内部構成を示す断面図である。
【0005】
図5に示すように、可変容量型斜板式圧縮機は、内部に長手方向に多数のシリンダボア103が設けられたシリンダブロック101と、シリンダブロック101の前方に設けられ、内部にクランク室113を形成する前方ハウジング111と、シリンダブロック101の後方に設けられ、その内部に冷媒吸入室123及び吐出室125を形成する後方ハウジング121と、シリンダブロック101の各シリンダボア103に前後進可能に挿入され、後端部にブリッジ133が形成された多数のピストン131と、前方ハウジング111を貫いてシリンダブロック101の中央に挿入され、前記前方ハウジング111とシリンダブロックによって回転可能に支持される駆動軸141と、前記クランク室113の内部で駆動軸141に固着され、前記駆動軸141と共に回転するラグプレート151と、前記クランク室113で駆動軸141に対して傾斜角の調節ができるように斜めに嵌合され、外周には前記各ピストン131の後端のブリッジ133の斜板収容溝がシューを介して結合され、前方の一側がラグプレート151に旋回可能にヒンジ結合され、前記ラグプレート151と共に回転する斜板161と、前記シリンダブロック101と後方ハウジング121との間に、シリンダブロック101の各ボア103に対する吸入孔175aと吐出孔175bを有し、且つその前、後面に前記吸入孔175aと吐出孔175bをそれぞれ開閉する吸入リードバルブ175と吐出リードバルブ177と共に介在されて、前記シリンダブロック101のボア103を後方ハウジング121の吸入室123と吐出室125に対して密閉するバルブプレート173とを含んでなる。
参照符号191はクランク室113内の圧力をボアの圧力と対比して調節することにより、斜板の傾斜角を変化させる圧力調節装置である。
【0006】
前記構成を有する圧縮機は、その各構成が次のように有機的に作動し、冷媒を圧縮して凝縮機(図示せず)に吐き出すものである。
まず、駆動軸141がエンジンの駆動力を伝達されるプーリ(図示せず)の回転力を電磁クラッチ(図示せず)の断続作用によってディスク及びハブ組立体(図示せず)を介して選択的に受けて回転すると、その駆動軸141に固着されたラグプレート151が共に回転しながら、その一端にヒンジ結合された斜板161を共に回転させる。この際、斜板161は、駆動軸141に対する傾斜角をもってその外周が軸方向に揺れるため、斜板161の外周に結合された各ピストン131がシリンダボア103内で軸方向に直線往復運動する。この過程でピストン131が直線往復動しつつ、ボア103内に正圧と負圧を交番に生成して冷媒を吸入,圧縮して排出する。
【0007】
このような過程で冷媒を加圧する斜板式圧縮機は、上述したように、一定の間隔をもって周期的に行われるピストンの直線往復運動によって冷媒を圧縮するため、冷媒がシリンダボア103,吐出室125を経由して吐出口129から排出される過程において、冷媒流動が各ピストン131によって行われる冷媒吐出周期と同じ周期を有する脈動圧を必然的に伴い、その脈動圧による駆動騒音が発生するという問題点を抱えている。
【0008】
この脈動圧による騒音の問題を解消するために、例えばピストンの両面を冷媒加圧面とする両頭ピストン式圧縮機の場合には、前方ハウジングから吐き出される圧縮冷媒の脈動圧と後方ハウジングから発生する圧縮冷媒の脈動圧とを互いに重畳させる方式で脈動圧をある程度低減することができる。
一方、上述したようにピストンの一面のみを冷媒加圧面とする偏頭ピストン式の斜板式圧縮機の場合には、両頭ピストン式圧縮機とは異なり、図5に示すようにシリンダブロックの一側に只一つの冷媒吐出室125のみ有するために、2つの冷媒吐出室から吐き出される2つの冷媒流動を重畳させる両頭ピストン式圧縮機の脈動圧低減方式を採用できないという問題点を抱えている。
【0009】
従来の偏頭ピストン式の斜板式圧縮機の場合には、駆動騒音を減少させるために、図5に示すようにシリンダブロック101または後方ハウジング121の外周面一側に、後方ハウジング121の吐出口129及びこの吐出口129に連結された吐出管路(図示せず)と連通する大体積のマフラー(muffler;図示せず)を別に設置して駆動騒音を減少させる方式が用いられてきた。
しかし、上述したように別途のマフラーを設けた従来の偏頭ピストン式の斜板式圧縮機は、シリンダブロック101または後方ハウジング121の外周面一側に別に設けられる大体積のマフラー181が圧縮機全体の装置体積を大きく増大させることから圧縮機のコンパクト化の趨勢に逆行するという問題点があった。更に、加圧された圧縮冷媒が吐出室125から一つの吐出口129と吐出管路(図示せず)に連通する只一つの流路を介して圧送されるので、脈動圧低減効果があまり大きくなく、駆動騒音が依然大きいという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来の問題点を勘案して創案されたものであり、その目的は、偏頭ピストンを用いる斜板式圧縮機であって、冷媒が圧縮,排出される過程で必然的に発生する冷媒吐出脈動圧を低減させ、且つ、圧縮機の体積も増大させない脈動圧低減構造を備えるとともに、駆動騒音が小さく、装置全体がコンパクトに形成可能である脈動圧低減構造を有する圧縮機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る脈動圧低減構造を有する斜板式圧縮機は、内部に前後方向に貫通する多数のボアが放射状に配列形成されたシリンダブロックと、前記シリンダブロックの前方に前記シリンダブロックの各ボアと同時に連通するクランク室が形成された前方ハウジングと、前記シリンダブロックの各ボアに対応する冷媒吸入孔と吐出孔を有するバルブプレート、及び前記バルブプレートの前、後面で前記吸入孔と吐出孔をそれぞれ開閉する吸入リードバルブ、吐出リードバルブを介在して前記シリンダブロックの後面に結合され、シリンダブロックの後方に、それぞれ前記吸入孔と吐出孔を介して前記ボアに連通する単一の吸入室と単一の吐出室を互いに隔離してそれぞれ形成し、前記吸入室に連通する吸入管路及び前記吐出室に対して離隔した少なくとも2つの吐出口を介して連通する吐出管路が一体化して形成され、前記吐出室と前記吐出管路とを連通させる前記少なくとも2つの吐出口は、互いに対して、その各吐出口を介して前記吐出管路に同一周期の脈動圧をもって前記吐出室から吐き出される各冷媒流動が前記吐出管路の合流地点で位相差をもつようにする距離だけ離隔している構造を有する後方ハウジングと、前記前方ハウジングを貫いてクランク室の中心に前記シリンダブロックの長手方向に配置され、前記前方ハウジングによって支持される駆動軸と、前記クランク室の前記駆動軸に固着され、前記駆動軸によって回転するラグプレートと、前記駆動軸に斜めに嵌合され、一端が前記ラグプレートにヒンジ固定されて前記ラグプレートによって回転する斜板と、前記斜板の外周に結合され、前記駆動軸の回転による斜板外周の前後方向揺れで前記シリンダブロックの各ボア内で往復動する多数のピストンとを含んでなることを特徴とする。
【0012】
前記2つの冷媒流動脈動圧の位相差は、その脈動圧周期の1/2であることが好ましい。また、前記後方ハウジングにおいて、前記吸入管路と前記吸入室とを連通させる前記吸入口は、前記吸入管路の入り口に対する離隔距離を異にした少なくとも2つ以上であることが好ましい。
【0013】
上述した本発明の脈動圧低減構造を有する圧縮機の構成によれば、ピストンによって圧縮された冷媒が少なくとも2つの吐出口を介して分散吐出され、脈動圧が低減された状態で吐出管路に吐き出されるので、脈動圧の周波数はその吐出口の数に比例して増加するが、脈動圧の大きさに比例する圧縮機の駆動騒音は大幅に縮小することができる。
更に、2つの吐出口の位置を、各吐出口から吐き出される各冷媒流動が脈動圧周期の1/2である脈動圧の位相差をもって吐出管路で合流するように設定すると、2つの冷媒流動の合流時にうなり現象による脈動圧の増大を最小化することができるから、圧縮機の駆動騒音を最も効果的に低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各構成の特徴と作用を好適な実施例により具体的に説明する。図1は本発明の一実施例に係る脈動圧低減構造を有する圧縮機の構成を示す断面図である。図1に示すように本発明に係る脈動圧低減構造を有する圧縮機は、シリンダブロック1と、前記シリンダブロック1の前面に設けられる前方ハウジング3と、前記シリンダブロック1の後面に設けられる後方ハウジング4と、前記シリンダブロック1と後方ハウジング4との間に介在されるバルブプレート51と、前記前方ハウジング3を貫通し、この前方ハウジング3によって回転可能に支持される駆動軸6と、この駆動軸6に固着されたラグプレート61と、前記駆動軸6に嵌合され、ラグプレート61に一端がヒンジ固定される斜板7と、前記シリンダブロック1の各ボア11に対して前,後進可能に挿入される多数のピストン2とからなり、本願の脈動圧低減構造を有する圧縮機は一般的な斜板式圧縮機の主要構成をそのまま含んでいる。
【0015】
このような構成において、シリンダブロック1は、ピストン2が往復しながら冷媒を吸入し且つ加圧することが可能な空間、即ちボア11を提供する通常のアルミニウム材質の中実体であり、その内部には、円周方向に等間隔をもって放射状に配列され、前記シリンダブロック1を前後方向に貫通し、それぞれピストン2が挿入されて往復運動できるようにする多数のボア11を形成する。
前方ハウジング3はダイカスト成形物であって、前記シリンダブロック1の前面と結合し、シリンダブロック1の前方に前記シリンダブロック1の各ボア11と同時に連通し外部からは密閉されたクランク室31を形成する。
【0016】
後方ハウジング4は本発明の特徴部を備える要素であり、図1乃至図3に示すように、バルブプレート51などを介在して前記シリンダブロック1の後面と結合するダイカスト成形物であって、前記シリンダブロック1の後方に、前記バルブプレート51によって前記シリンダブロック1のボア11に対して遮断された独立的な4つの空間、即ちシリンダブロック1の各ボア11の外側部分と同時に連通する吸入室45と、この吸入室45に吸入口(図示せず)を介して連通し、反対側入口端481に蒸発器の排出管(図示せず)が連結される吸入管路48と、前記シリンダブロック1の各ボアと同時に連通する吐出室42と、前記吐出室42に対して所定の間隔を有する少なくとも2つの吐出口471,472を介して連通し、単一の出口473を有して、この出口473に凝縮機の流入管(図示せず)が連結される吐出管路47とを形成する。
【0017】
前記シリンダブロック1と後方ハウジング4との間に介在されるバルブプレート51は、図1及び図3に示すようにシリンダブロック1の各ボア11に対応する位置に1対ずつの吸入孔511と吐出孔512を有する遮断板であって、シリンダブロック1のボア11に対して後方ハウジング4の吸入室45と吐出室42を遮断し、その遮断された空間を各吸入孔511と吐出孔512を介してのみ連通させる。
【0018】
このバルブプレート51の前,後面に取り付けられる吸入リードバルブ52と吐出リードバルブ53は、それぞれバルブプレート51の吸入孔511と吐出孔512を一方向にのみ開放するリーフ型バルブ(leaf type valve)であって、吸入リードバルブ52は吸入孔511をシリンダブロック1のボア11方向にのみ開放し、吐出リードバルブ53は吐出孔512を後方ハウジング4の吐出室42方向にのみ開放する。吐出リードバルブ53の後面には吐出リードバルブ53が強い吐出圧によって過度に開放されないようにするリテーナ(retainer)54が取り付けられる。
【0019】
前記駆動軸6は、前方ハウジング3を貫き、その先端がクランク室31の中心を通過してシリンダブロック1の中心に挿入され、前方ハウジング3とシリンダブロック1によって回転可能に支持される動力軸であって、前方ハウジング3の外側からその駆動軸6に固着されたプーリ(図示せず)によって回転する。
前記ラグプレート61は、前方ハウジング3のクランク室31内で前記駆動軸6に固着され、その一端が後述する斜板7の一端とヒンジ結合して斜板7を駆動軸方向に旋回できるように固定する。これにより、前記ラグプレート61は駆動軸6によって斜板7と共に回転する。
【0020】
斜板7は、前記クランク室31内で駆動軸6に対して駆動軸方向に傾斜の調節ができるように斜めに嵌合され、その一端がラグプレート61にヒンジ固定された回転体であって、ラグプレート61によって回転することにより、その外周部が軸方向に揺れる。
【0021】
ピストン2は、その先端のヘッド部が前記シリンダブロック1の各ボア11に挿入され、各後端部はその後端一側に設けられたブリッジ21の斜板収容溝がシューを介在したまま斜板7の外周を狭持する。これにより、ピストン2は斜板7が回転するにつれて、その斜板7外周の前後方向の揺れによりシリンダブロック1のボア11内で強制的に前後進運動をし、ボアの内部に正圧と負圧を交番に生成する。
【0022】
参照符号8は、クランク室31の圧力とボア11内部の圧力との相関関係によってクランク室31の圧力を調整し、冷房負荷に応じて斜板7の傾斜角を調節することにより、結果的にピストン2の往復移送量を調節して圧縮機の圧縮容量を調節する圧力調節弁である。
【0023】
以上の全構成は、図1に示すように、前方ハウジング3の縁部を通して挿入され、シリンダブロック1及びバルブプレート51を経由して後方ハウジング4に締結されるボルト13によって螺合されて一体化され、その駆動軸6に結合されたプーリ(図示せず)がエンジンの動力によって回転するにつれて、次のような過程を経て蒸発器(図示せず)で熱交換され気化された低圧の冷媒を吸入,圧縮して凝縮機(図示せず)に吐き出す。
まず、駆動軸6がエンジンの駆動力が伝達されるプーリ(図示せず)の回転力を、電磁クラッチ(図示せず)の断続作用によってディスク及びハブ組立体(図示せず)を介して受けて回転すると、その駆動軸6に固着されたラグプレート61が回転すると同時に、ラグプレート61にヒンジ結合された斜板7を回転させる。
【0024】
斜板7は駆動軸6に対して所定の角度に傾いており、回転時にその外周が軸方向に揺れるため、斜板7の外周にブリッジ部21が結合された各ピストン2をシリンダブロック1のボア11内で直線往復移動させる。このピストン2の直線往復過程において、図3から分るように、ピストン2がクランク室31側に後進する間(吸入行程)には、シリンダボア11の内部には負圧が発生し、その負圧によって吸入リードバルブ52が吸入孔511を開放し、これにより冷媒が蒸発器から後方ハウジング4の吸入管路47に沿って吸入室123に流入し、バルブプレート51の吸入孔511を介してシリンダボア11内に吸入される。
【0025】
一方、ピストン2がバルブプレート51側に前進すると(圧縮行程)、シリンダブロックのボア11に流入された冷媒がピストン2の加圧によって圧縮され、そのボア11内の圧力により排出リードバルブ53が吐出孔512を開放する。これにより、ピストン2によって圧縮された高圧の冷媒がシリンダブロック1のボア11からバルブプレート51の吐出孔512を介して後方ハウジング4の吐出室42に吐き出された後、引き続き前記吐出室42の互いに離隔している吐出口471,472を介して吐出管路48に吐き出されて凝縮機(図示せず)に圧送される。
【0026】
このような冷媒の吐出は一定の時間差を置いて周期的に行われるピストン2の直線往復運動によって達成されるため、冷媒がシリンダボア11から吐出室42を経由して吐出管路47に沿って排出される過程で、冷媒流動が各ピストン2によって行われる冷媒吐出の周期と同じ周期を有する脈動圧を必然的に伴い、その脈動圧による駆動騒音が発生することになる。
【0027】
しかし、本発明に係る脈動圧低減構造を有する圧縮機は、図3に示すように、ピストン2によって圧縮されボア11からバルブプレート51の吐出孔512を介して吐出室42に吐き出された冷媒を、前記吐出孔512に対する離隔距離が異なる少なくとも2つの吐出口471,472からなる脈動圧低減構造を通して時間差を置いて吐出管路47に分散吐出するので、各吐出口471,472を介して吐出管路47に吐き出される冷媒の脈動圧を著しく低めることができる。
この際、脈動圧の周波数は、吐出室42と吐出管路47とを連結する吐出口471,472の数に比例して増加するが、脈動圧は大きく低減するので、脈動圧の大きさに比例して発生する駆動騒音が大幅に縮小する。
特に、吐出口471,472の位置を、各吐出口471,472から吐き出される冷媒流動が脈動圧の位相差(好ましくは脈動圧周期の1/2の位相差)を置いて吐出管路47で合流するように設定すると、2つの冷媒流動の合流時に、うなり現象によって脈動圧が増大することを抑制することができ、圧縮機の駆動騒音をさらに低減することができる。
【0028】
例えば、図3に示すように、吐出室42に2つの吐出口471,472、即ち第1吐出口471と第2吐出口472を形成し、前記第1,2吐出口471,472を介して分散して吐き出された各冷媒の流動速度と、その流動の脈動圧周期をそれぞれV(m/sec),T(sec)と仮定し、各第1吐出口471の位置を、バルブプレート51の吐出孔512からその第1吐出口471を経由して2つの流動が合流する吐出管路47内のP地点までの距離SがaVT(m)(aは整数、VTは1周期当り移動距離)となるように設定したとすれば、第2吐出口472はバルブプレート51の吐出孔512から第2吐出口472を経由したP地点までの距離SがbVT+a(bは整数,a<VT)となる位置に設けられなければならないことを意味する。
【0029】
即ち、前記第1,2吐出口471,472が、その各吐出口を介して分散,吐出されて流れる2つの経路の冷媒流動が地点Pでその脈動圧周期を交差させて合流し得るようにする位置に設けられなければ、2つの流動の、うなりによる脈動圧の増大を防ぐことができないため、脈動による圧縮機の駆動騒音を低減することができない。
一方、上述したように、脈動圧に位相差を与えるための第1,2吐出口471,472の位置設定に考慮されるべき変数としての冷媒速度Vは、冷媒の性質(圧縮性と粘性)、冷媒の流動を案内する吐出孔512やリテーナ54、吐出室42及び吐出管路47などの形状、各吐出口471,472の大きさ、吐出圧などの数多くの因子によって影響を受けて理論的な計算が殆ど不可能であるため、吐出口471,472の数量及び大きさ、その位置などは、圧縮機に対する試行錯誤(trial and error)によって設定することが好ましい。
【0030】
図4のグラフは、試行錯誤を繰り返して吐出冷媒の脈動圧位相が正確に交差するように設定された吐出口471,472を有する圧縮機の冷媒脈動圧特性を示す。このグラフはピストン2が7つ設けられた圧縮機において、ピストン2の圧縮によって吐出室に吐出された冷媒が第1吐出口471及び第2吐出口472を介して分散吐出され、その脈動圧の位相が完全に交差した状態で合流する時の、特定地点の冷媒流動の脈動圧特性を示すもので、サイクルAは第1吐出口471の冷媒流動の脈動圧特性を示し、サイクルBは第1,2吐出口472をそれぞれ経由して吐出管路48に分散吐出された2つの冷媒流動が再び合流する時の、吐出管路47出口481側の冷媒流動の脈動圧特性を示す。
【0031】
図4のグラフから分るように、各吐出口471,472を通過して吐出管路47で合流した冷媒流動は、脈動圧が最も大幅に低減する。従って、N個のピストン2を有する本発明に係る圧縮機は、本実施例のように、後方ハウジング4の吐出室42に2つの吐出口471,472を設けた場合、吐出管路48の出口を介して2N個の圧力波動を有する冷媒流動によって冷媒を吐き出すが、1つの吐出口を有する圧縮機に比べて脈動圧が吐出口の数に反比例する水準に縮小された状態で冷媒を吐き出すので、脈動圧の大きさに比例して発生する駆動騒音が非常に小さいという騒音特性を有する。
【0032】
一方、上述した吐出冷媒の脈動圧低減構造は、ボアに吸入される吸入冷媒の脈動圧を低減するための構造へも適用することができる。
例えば、吸入室45と吸入管路48との間に複数の吸入口(図示せず)を設けると、蒸発器から吸入室45を経由してボアに流入する冷媒が位相差を異ならせながら、脈動圧の大きさが大幅に縮小した複数の流動によってボア11に分散流入されるようにして、冷媒吸入による脈動圧まで低減することができるので、圧縮機の駆動騒音を更に減少させることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る脈動圧低減構造を有する圧縮機は、ピストンによって圧縮されボアから吐き出される冷媒を脈動圧低減構造としての2つの吐出口を介して分散して吐き出すので、脈動圧の周波数はその吐出口の数に比例して増加するが、脈動圧は吐出口の数に反比例する大きさに減少した状態で冷媒を吐出する。従って、脈動圧の大きさに比例する駆動騒音が非常に小さいという長所を有する。特に、本発明に係る脈動圧低減構造を有する圧縮機において、各吐出口から分散吐出された各冷媒流動が冷媒脈動圧周期の1/2である脈動圧の位相差をもって吐出管路で合流するように2つの吐出口の位置を設定すると、2つの冷媒流動の合流時に、うなり現象による脈動圧の増大を最小化することができて、圧縮機の駆動による騒音を最も効果的に低減することができる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脈動圧低減構造を有する圧縮機の内部構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る脈動圧低減構造を有する圧縮機の後方ハウジングの正面図である。
【図3】本発明に係る脈動圧低減構造を有する圧縮機の圧縮冷媒吐出経路を示す部分拡大側断面図である。
【図4】本発明に係る脈動圧低減構造を有する圧縮機の吐出冷媒流動の脈動圧特性を示すグラフである。
【図5】従来の圧縮機の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 ピストン
4 後方ハウジング
11 ボア
42 吐出室
47 吐出管路
471 第1吐出口
472 第2吐出口
512 吐出孔

Claims (3)

  1. 内部に前後方向に貫通する多数のボアが放射状に配列形成されたシリンダブロックと、
    前記シリンダブロックの前方に前記シリンダブロックの各ボアと同時に連通するクランク室が形成された前方ハウジングと、
    前記シリンダブロックの各ボアに対応する冷媒吸入孔と吐出孔を有するバルブプレート、及び前記バルブプレートの前、後面で前記吸入孔と吐出孔をそれぞれ開閉する吸入リードバルブ、吐出リードバルブを介在して前記シリンダブロックの後面に結合され、シリンダブロックの後方に、それぞれ前記吸入孔と吐出孔を介して前記ボアに連通する単一の吸入室と単一の吐出室を互いに隔離してそれぞれ形成し、前記吸入室に連通する吸入管路及び前記吐出室に対して離隔した少なくとも2つの吐出口を介して連通する吐出管路が一体化して形成され、前記吐出室と前記吐出管路とを連通させる前記少なくとも2つの吐出口は、互いに対して、その各吐出口を介して前記吐出管路に同一周期の脈動圧をもって前記吐出室から吐き出される各冷媒流動が前記吐出管路の合流地点で位相差をもつようにする距離だけ離隔している構造を有する後方ハウジングと、
    前記前方ハウジングを貫いてクランク室の中心に前記シリンダブロックの長手方向に配置され、前記前方ハウジングによって支持される駆動軸と、
    前記クランク室の前記駆動軸に固着され、前記駆動軸によって回転するラグプレートと、
    前記駆動軸に斜めに嵌合され、一端が前記ラグプレートにヒンジ固定されて前記ラグプレートによって回転する斜板と、
    前記斜板の外周に結合され、前記駆動軸の回転による斜板外周の前後方向揺れで前記シリンダブロックの各ボア内で往復動する多数のピストンとを含んでなることを特徴とする脈動圧低減構造を有する圧縮機。
  2. 前記2つの冷媒流動脈動圧の位相差は、その脈動圧周期の1/2であることを特徴とする請求項1に記載の脈動圧低減構造を有する圧縮機。
  3. 前記後方ハウジングにおいて、前記吸入管路が前記吸入室に一体化して形成され、前記吸入管路と前記吸入室とを連通させる前記吸入口は、前記吸入管路の入り口に対する離隔距離を異にした少なくとも2つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の脈動圧低減構造を有する圧縮機。
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