JP3697296B2 - タービン動翼 - Google Patents
タービン動翼 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3697296B2 JP3697296B2 JP21765695A JP21765695A JP3697296B2 JP 3697296 B2 JP3697296 B2 JP 3697296B2 JP 21765695 A JP21765695 A JP 21765695A JP 21765695 A JP21765695 A JP 21765695A JP 3697296 B2 JP3697296 B2 JP 3697296B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- blade
- center
- gravity
- cross
- section
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸流タービンの動翼に関し、詳しくは、段落性能並びに信頼性を向上したタービンの動翼に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、軸流タービンにおいては、性能向上を目的として、内部効率の上昇のため、種々の技術が採用されているが、タービン内部損失のうち、特に、2次元流れ損失は、タービンの各段落に共通する損失であるため、その改善策が要望されている。
【0003】
この一般的な軸流タービンの動翼構造を示す段落断面図を図6に示す。タービンの各段落の通路部は、複数枚のノズル翼1がダイアフラム外輪2とダイアフラム内輪3との間に協働して形成するノズル流路から構成されている。また、このノズル流路の下流側には、複数枚の動翼4が配置されている。この動翼4は、ロータホィール5の外周に、周方向に所定間隔で列状に植設されており、動翼4の外周端には、動翼を固定するため並びに作動流体の漏洩を防止するため、シェラウド6が装着されている。
【0004】
このようなタービンの段落構成において、タービン動翼4における2次元流れの発生機構について図7を参照しつつ説明する。高圧蒸気等の作動流体が、隣接する動翼4の間で形成された動翼流路を流れるとき、図7に2点鎖線で示すように、この動翼流路内で円弧状に転向して流されている。このとき、動翼4の翼背面Bから翼腹面F方向に遠心成分が生じさせられる。この遠心成分と動翼流路内の圧力とが平衡しているため、翼腹面Fにおける静圧が高くなる一方、翼背面Bにおいては、作動流体の流速が大きいため、翼背面Bの圧力が低くなる。その結果、動翼流路内においては、翼腹面Fから翼背面Bにかけて、翼腹面Fの圧力が高く翼背面Bの圧力が低いような圧力勾配が生起される。
【0005】
このような圧力勾配は、図7に示すように、動翼根元部の内壁側と、動翼先端部の外壁側(シェラウド6)の流速の遅い層、即ち、境界層においても生起されている。
【0006】
しかし、このような境界層の付近においては、流速が小さく、作用する遠心成分も小さい。そのため、作動流体の流れは、翼腹面Fから翼背面Bに向かって生じている圧力勾配に抗しきれず、その結果、翼腹面Fから翼背面Bに向かう流れ、即ち、図7に示すように、2次流れ7が生起される。この2次流れ7は、動翼4の翼背面Bに衝突し巻き上がり、動翼4の根元部の内壁側、及び先端部の外壁側において、2次流れ渦8a,8bが生起される。
【0007】
このような2次流れ渦8a,8bが生起されると、作動流体が保有するエネルギーの一部が散逸され、加えて、作動流体の不均一な流れが生じさせられ、動翼性能が著しく低下されるといった問題がある。
【0008】
このような動翼の流路内で発生する2次流れ渦8a,8bに起因する2次流れ損失を低減するため、種々のタービン動翼が研究されている。
【0009】
このような一例として、従来、図8に示すように、タービンの回転中心を通るラジアル線に対して動翼9の各翼断面重心が翼腹側にずらされており、しかも、動翼中央の断面重心が動翼先端部の断面重心からθ1だけ傾斜され且つ動翼中央の断面重心が動翼根元部の断面重心からθ2だけ傾斜されるように、動翼が屈曲形状に湾曲して形成されている。このような湾曲動翼9では、図8に示すように、翼間流路における速度ベクトルが、動翼根元部では内壁側の方向に流れ10を押し付け、動翼先端部では外壁側の方向に流れ11を押し付けるといった効果がある。この内壁側の流れ10と外壁側の流れ11とによって境界層の成長が抑制され、その結果、図9に示すように、動翼の圧力損失は、動翼が湾曲されていない場合の損失(図示P1)に比べ、動翼が湾曲されている場合の損失(図示P2)の方が低減されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような図8に示す湾曲動翼では、動翼9の中央部において、翼が極端に屈曲されているため、タービン回転中に作用する動翼自身の遠心力によって翼背面で局部的に過大な応力が発生される。その結果、タービンの安定した運転に支障を来すといった問題がある。また、動翼の振動抑制も要望されている。
【0011】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、簡単な構造を有し、タービン動翼の圧力損失を低減させることは勿論、動翼の過大応力を低減し、振動を抑制したタービン動翼を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係るタービン動翼は、
タービンのロータホィールの外周に周方向に所定間隔をおいて列状に植設されたタービン動翼であって、
動翼の周方向の各断面重心がロータ回転中心から延びるラジアル線に対して翼背側にずらされている場合を正値とし、翼腹側にずらされている場合を負値と規定した場合に、
動翼中央付近における周方向の各断面重心が、ラジアル線に対して翼腹側にずれ量Lpだけずらされ、これらの各断面重心を結ぶ線がラジアル線に略平行に形成され、
動翼根元部の周方向の断面重心はラジアル線に対して翼背側にずれ量Lrだけずらされ、この根元部から中央付近にかけては、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率に沿って連続的に湾曲して形成され、
動翼先端部の周方向の断面重心はラジアル線に対して翼背側にずれ量Ltだけずらされ、この先端部から中央付近にかけては、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率に沿って連続的に湾曲して形成され、
αを動翼中央付近の各断面重心のずれ量Lp、βを動翼先端部の各断面重心のずれ量Lt、γを動翼根元部の各断面重心のずれ量Lrとしたときに、
α<0<β≦γ
に設定されていることを特徴としている。
【0013】
このように、動翼の周方向の各断面重心が、動翼中央付近においてラジアル線の翼腹側に、動翼根元部及び先端部においてラジアル線の翼背側にずらされているため、翼間流路における速度ベクトルが、動翼根元部では内壁側の方向に流れを押し付け、動翼先端部では外壁側の方向に流れを押し付けることから、2次流れ渦の生起が確実に抑制され、圧力損失が低減されることは勿論である。
これに加えて、動翼の中央付近においては、各断面重心を結ぶ線がラジアル線に略平行に形成され、根元部及び先端部においては、各断面重心を結ぶ線がこの略平行な線に連続するようにして各々所定の曲率で形成されているため、動翼の中央部付近の翼背面での極端な屈曲形状が避けられ、その結果、動翼の前縁、後縁及び翼背面での局部的な応力の発生が低減され、タービン運転の安定性・信頼性が確保される。
【0014】
また、請求項2に係るタービン動翼は、
タービンのロータホィールの外周に周方向に所定間隔をおいて列状に植設されたタービン動翼であって、
動翼の周方向の各断面重心がロータ回転中心から延びるラジアル線に対して翼背側にずらされている場合を正値とし、翼腹側にずらされている場合を負値と規定した場合に、
動翼中央付近における周方向の各断面重心が、ラジアル線に対して翼腹側にずれ量Lpだけずらされ、
動翼根元部および動翼先端部の周方向の断面重心はラジアル線に対して翼背側にそれぞれずれ量LrおよびLtだけずらされ、
動翼根元部から中央付近を介して先端部にかけて、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率に沿って湾曲して形成され、
αを動翼中央付近の各断面重心のずれ量Lp、βを動翼先端部の各断面重心のずれ量Lt、γを動翼根元部の各断面重心のずれ量Lrとしたときに、
α<0<β≦γ
に設定されていることを特徴としている。
【0015】
この場合にも、動翼の周方向の各断面重心が、動翼中央付近においてラジアル線の翼腹側に、動翼根元部及び先端部においてラジアル線の翼背側にずらされているため、2次流れ渦の生起が確実に抑制され、圧力損失が低減されることは勿論である。
さらに、動翼根元部から中央付近を介して先端部にかけて各断面重心を結ぶ線が所定の曲率に沿って形成されているため、動翼の中央部付近の翼背面での極端な屈曲形状が避けられ、動翼の前縁、後縁等での局部的な応力の発生が低減される。
【0016】
さらに、請求項3に係るタービン動翼は、請求項1または2に記載のタービン動翼において、
動翼のタービン軸方向の各断面重心がロータホイール中心線に対して下流側にずらされている場合を正値とし、上流側にずらされている場合を負値と規定した場合に、
動翼中央付近における軸方向の各断面重心が、ロータホィールの中心線に対して下流側に+Spだけずらされ、
動翼根元部および動翼先端部の軸方向の断面重心は上記中心線に対して上流側にそれぞれ−Sr、−Stだけずらされ、
動翼根元部から中央付近を介して先端部にかけて、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率に沿って湾曲して形成され、
これらの位置ずれ量が
Sr≦St<Sp
に設定されていることを特徴としている。
【0017】
このように、請求項1または2のように湾曲された動翼が、タービンの周方向だけでなく、軸方向においても、動翼の各断面重心が、中央付近でロータホィールの中心線の下流側に、動翼根元部及び先端部で中心線の上流側にずらされているため、2次流れ渦の生起が確実に抑制される。
さらに、これら各断面重心を結ぶ線が所定の曲率に沿って形成されているため、動翼での局所的な応力の発生が低減される。
【0018】
さらに、請求項4に係るタービン動翼は、動翼とこれの外周のインテグラルカバーとが一体に構成されたタービンのスナッバ動翼であり、一つのインテグラルカバーとこれに隣接するインテグラルカバーとの接合端部がラジアル線に対して傾斜して形成されていることを特徴としている。
【0019】
このように、請求項1乃至3のように湾曲された動翼に、接合端部がラジアル線に対して傾斜されたスナッバ動翼が組み合わされているため、タービン回転時に自動的に隣接する接合端部に面圧を与えることが可能になり、これにより、動翼の振動を減衰させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るタービン動翼を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
先ず、図1(a)乃至(d)を参照して、第1実施形態に係るタービン動翼を説明する。
【0022】
本実施形態では、図1(a)に示すように、動翼12の中央付近においては、周方向の各断面重心は、ロータ回転中心から延びるラジアル線に対して翼腹側にずらされている。さらに、この中央付近においては、各断面重心を結ぶ線は、ラジアル線に平行で直線に形成されている。
【0023】
各断面重心がラジアル線に対して、翼背側にずらされている場合を正値とし、翼腹側にずらされている場合を負値と規定した場合、中央付近の各断面重心のずれ量は、マイナスとなり、図1(a)に示すように、−Lpと表す。この中央付近の翼断面は、図1(c)に示されている。
【0024】
また、動翼根元部においては、その周方向の断面重心は、ラジアル線に対して翼背側に+Lrだけずらされ、この根元部から中央付近にかけては、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率Rrに沿って連続的に湾曲して形成されている。この動翼根元部の翼断面は、図1(d)に示されている。
【0025】
さらに、動翼先端部においては、その周方向の断面重心は、ラジアル線に対して翼背側に+Ltだけずらされ、この先端部から中央付近にかけては、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率Rtに沿って連続的に湾曲して形成されており、この動翼先端部の翼断面は、図1(b)に示されている。
【0026】
このような重心の位置ずれ量は、動翼6が回転する際に遠心力によって発生する動翼の各部位の応力から決定される。即ち、2次流れ渦を減少させるためには重心の位置ずれ量が大きくされる方がよく、応力低減のためには重心の位置ずれ量が小さくされる方がよい。これらのバランスを取り、各断面重心の位置ずれ量は、次式に示すように、 α<0<β≦γ に設定され、ここでαは、動翼中央付近の各断面重心のずれ量(Lp)であり、βは、動翼先端部の各断面重心のずれ量(Lt)であり、γは、動翼根元部の各断面重心のずれ量(Lr)である。
【0027】
次に、図2に、従来の湾曲動翼と本実施形態の湾曲動翼との応力解析結果の比較を示す。
【0028】
従来の湾曲動翼では、動翼根元部の前縁と後縁(図示のa点、b点)で引張応力が大となり、また、動翼中央付近において、翼背面(図示のc点)においても引張応力が大きくなっている。そのため、従来の湾曲動翼では、応力的な問題があった。
【0029】
これに対して、本実施形態では、動翼中央付近において、翼背面での極端な屈曲を避け、ラジアル線と平行になるように、各断面重心のずれが規定され、また、重心ずれ量が規定されているため、図2(b)に実践で示す動翼前縁、後縁及び翼背面応力が低減される。
【0030】
このように、湾曲動翼において翼断面重心のずれが上記のように規定されているため、動翼での圧力損失が低減されるだけでなく、動翼での応力が低減され、タービン運転上の高い信頼性を確保することができる。
【0031】
次に、図3を参照して、第2実施形態に係るタービン動翼を説明する。
【0032】
本実施形態では、各断面重心のずれは、第1実施形態と同様に、動翼12の中央付近においては、周方向の各断面重心は、ロータ回転中心から延びるラジアル線に対して翼腹側にずらされ、根元部及び先端部においては、各断面重心は、各々、+Lr,+Ltだけ、ラジアル線に対して翼背側にずらされている。
【0033】
また、翼背面における応力低減を行うためには、局部的な屈曲を避けることが好ましい。そのため、本実施形態では、各断面重心を結ぶ線は、根元部から中央付近を介して先端部にかけて、所定の曲率Rにより湾曲して形成されている。
【0034】
この場合にも、動翼12の周方向の各断面重心が、中央付近においてラジアル線の翼腹側に、根元部及び先端部においてラジアル線の翼背側にずらされているため、2次流れ渦の生起が抑制され、圧力損失が低減されることは勿論であるが、さらに、根元部から中央付近を介して先端部にかけて各断面重心を結ぶ線が所定の曲率Rに沿って形成されているため、動翼12の中央部付近の翼背面での極端な屈曲形状が避けられ、動翼の前縁、後縁等での局部的な応力の発生が低減される。
【0035】
次に、図4を参照して、本発明の第3実施形態に係るタービン動翼を説明する。
【0036】
上述した実施形態では、周方向の断面重心が位置ずれされているのに対し、本実施形態は、更に軸方向の断面重心が位置ずれされたいわゆるスキュー動翼13に関するものである。
【0037】
すなわち、本実施形態では、図4に示すように、スキュー動翼13の中央付近において、その軸方向の各断面重心が、ロータホィールの中心線に対して+Spだけ下流側にずらされ、根元部および動翼先端部においては、その軸方向の断面重心は、上記中心線に対して、各々、−Sr,−Stだけ上流側にずらされている。さらに、根元部から中央付近を介して先端部にかけて、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率に沿って湾曲して形成されている。これらの位置ずれ量は、Sr≦St<Spに設定されている。
【0038】
上述した第1及び第2実施形態では、周方向の断面重心が位置ずれされているが、速度ベクトルを動翼の内壁側、外壁側に向け2次流れ渦を減少させるためには、周方向の断面重心の位置ずれ量(Lr,Lp,Lt)の規定値が大きくされるのが効果的である。しかしながら、翼断面の応力的制限から重心の位置ずれ量が制限されるため、本実施形態のように、軸方向の断面重心が位置ずれしたスキュー動翼を組み合わせることにより、内壁側の流れ14(図4(a))及び外壁側の流れ15(図4(a))が更に追加されさらなる動翼の圧力損失の低減が達成される。さらに、このスキュー動翼13は、軸方向の翼断面剛性が高いため、周方向に断面重心が位置ずれされた場合に比べ、遠心力による応力増加が少ないといった利点もある。そのため、このようなスキュー動翼13と、周方向に断面重心が位置ずれされた動翼とを組み合わせることが一層効果的である。
【0039】
次に、図5を参照して、本発明の第4実施形態に係るタービン動翼を説明する。
【0040】
本実施形態は、周方向の断面重心が位置ずれした動翼に、動翼の振動を抑制するスナッバ動翼を組み合わせたものに関する。
【0041】
このスナッバ動翼は、図5に示すように、動翼16とこれの外周のインテグラルカバー17とが一体に構成されたものである。さらに、本実施形態では、一つのインテグラルカバー17とこれに隣接するインテグラルカバー17との接合端部18がラジアル線に対して傾斜して形成されている。
【0042】
従来、スナッバ動翼は、周方向の各断面重心が位置ずれした動翼には採用されておらず、この断面重心が位置ずれされていない動翼にのみ採用されており、動翼組み込み作業時に、強制的に外力を加え、隣接する接合端部18に面圧が与えられていた。
【0043】
本発明に係るような周方向の各断面重心が位置ずれされた動翼の場合に、上記のように、接合端部18がラジアル軸線に対して傾斜されていると、タービン回転中にインテグラルカバー17が回転変位し、タービン回転時に自動的に隣接する接合端部18に面圧を与えることが可能になり、これにより、動翼の振動を減衰させることができる。従って、周方向の各断面重心が位置ずれされた動翼に、本実施形態に係るスナッバ動翼を組み合わせることが効果的である。これにより、タービンの性能向上と同時に、動翼の振動を減衰することができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されないのは勿論であり、種々変形可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1では、動翼の周方向の各断面重心が、動翼中央付近においてラジアル線の翼腹側に、動翼根元部及び先端部においてラジアル線の翼背側にずらされているため、翼間流路における速度ベクトルが、動翼根元部では内壁側の方向に流れを押し付け、動翼先端部では外壁側の方向に流れを押し付けることから、2次流れ渦の生起が確実に抑制され、圧力損失が低減されることは勿論である。
これに加えて、動翼の中央付近においては、各断面重心を結ぶ線がラジアル線に略平行に形成され、根元部及び先端部においては、各断面重心を結ぶ線がこの略平行な線に連続するようにして各々所定の曲率で形成されているため、動翼の中央部付近の翼背面での極端な屈曲形状が避けられ、その結果、動翼の前縁、後縁及び翼背面での局部的な応力の発生が低減され、タービン運転の安定性・信頼性が確保される。
【0046】
また、請求項2では、この場合にも、動翼の周方向の各断面重心が、動翼中央付近においてラジアル線の翼腹側に、動翼根元部及び先端部においてラジアル線の翼背側にずらされているため、2次流れ渦の生起が確実に抑制され、圧力損失が低減されることは勿論である。
さらに、動翼根元部から中央付近を介して先端部にかけて各断面重心を結ぶ線が所定の曲率に沿って形成されているため、動翼の中央部付近の翼背面での極端な屈曲形状が避けられ、動翼の前縁、後縁等での局部的な応力の発生が低減される。
【0047】
さらに、請求項3では、請求項1または2のように湾曲された動翼が、タービンの周方向でなく、軸方向においても、動翼の各断面重心が、中央付近でロータホィールの中心線の下流側に、動翼根元部及び先端部で中心線の上流側にずらされているため、2次流れ渦の生起が確実に抑制される。
さらに、これら各断面重心を結ぶ線が所定の曲率に沿って形成されているため、動翼での局所的な応力の発生が低減される。
【0048】
さらに、請求項4では、請求項1乃至3のように湾曲された動翼に、接合端部がラジアル線に対して傾斜されたスナッバ動翼が組み合わされているため、タービン回転時に自動的に隣接する接合端部に面圧を与えることが可能になり、これにより、動翼の振動を減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は、本発明の第1実施形態に係るタービン動翼を軸方向から視た図であり、図1(b)乃至(d)は、各々、先端部、中央付近、根元部の周方向の断面図である。
【図2】 図2(a)は、従来の湾曲動翼の模式図であり、図2(b)は、従来の湾曲動翼と第1実施形態の湾曲動翼との応力解析結果の比較を示すグラフである。
【図3】 本発明の第2実施形態に係るタービン動翼を軸方向から視た図である。
【図4】 図4(a)は、本発明の第3実施形態に係るタービン動翼をタービン側部から視た図であり、図4(b)は、先端部、中央付近、根元部の周方向の断面図である。
【図5】 図5(a)は、本発明の第4実施形態に係るタービン動翼を軸方向から視た図であり、図5(b)は、図5(a)のタービン動翼の平面図である。
【図6】 従来のタービンの側方断面図である。
【図7】 従来の動翼流路内で発生する2次流れを説明する図である。
【図8】 従来の湾曲動翼を示す模式図である。
【図9】 従来の湾曲動翼による圧力損失低減を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ノズル翼
2 ダイアフラム外輪
3 ダイアフラム内輪
5 ロータホィール
6 シェラウド
7 2次流れ
8 2次流れ渦
12 湾曲動翼
13 スキュー動翼
16 スナッバ動翼
17 インテグラルカバー
18 接合端面
B 翼背面
F 翼腹面
Claims (4)
- タービンのロータホィールの外周に周方向に所定間隔をおいて列状に植設されたタービン動翼であって、
動翼の周方向の各断面重心がロータ回転中心から延びるラジアル線に対して翼背側にずらされている場合を正値とし、翼腹側にずらされている場合を負値と規定した場合に、
動翼中央付近における周方向の各断面重心が、ラジアル線に対して翼腹側にずれ量Lpだけずらされ、これらの各断面重心を結ぶ線がラジアル線に略平行に形成され、
動翼根元部の周方向の断面重心はラジアル線に対して翼背側にずれ量Lrだけずらされ、この根元部から中央付近にかけては、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率に沿って連続的に湾曲して形成され、
動翼先端部の周方向の断面重心はラジアル線に対して翼背側にずれ量Ltだけずらされ、この先端部から中央付近にかけては、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率に沿って連続的に湾曲して形成され、
αを動翼中央付近の各断面重心のずれ量Lp、βを動翼先端部の各断面重心のずれ量Lt、γを動翼根元部の各断面重心のずれ量Lrとしたときに、
α<0<β≦γ
に設定されていることを特徴とするタービン動翼。 - タービンのロータホィールの外周に周方向に所定間隔をおいて列状に植設されたタービン動翼であって、
動翼の周方向の各断面重心がロータ回転中心から延びるラジアル線に対して翼背側にずらされている場合を正値とし、翼腹側にずらされている場合を負値と規定した場合に、
動翼中央付近における周方向の各断面重心が、ラジアル線に対して翼腹側にずれ量Lpだけずらされ、
動翼根元部および動翼先端部の周方向の断面重心はラジアル線に対して翼背側にそれぞれずれ量LrおよびLtだけずらされ、
動翼根元部から中央付近を介して先端部にかけて、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率に沿って湾曲して形成され、
αを動翼中央付近の各断面重心のずれ量Lp、βを動翼先端部の各断面重心のずれ量Lt、γを動翼根元部の各断面重心のずれ量Lrとしたときに、
α<0<β≦γ
に設定されていることを特徴とするタービン動翼。 - 動翼のタービン軸方向の各断面重心がロータホイール中心線に対して下流側にずらされている場合を正値とし、上流側にずらされている場合を負値と規定した場合に、
動翼中央付近における軸方向の各断面重心が、ロータホィールの中心線に対して下流側に+Spだけずらされ、
動翼根元部および動翼先端部の軸方向の断面重心は上記中心線に対して上流側にそれぞれ−Sr、−Stだけずらされ、
動翼根元部から中央付近を介して先端部にかけて、これらの各断面重心を結ぶ線は、所定の曲率に沿って湾曲して形成され、
これらの位置ずれ量が
Sr≦St<Sp
に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のタービン動翼。 - 動翼とこれの外周のインテグラルカバーとが一体に構成されたタービンのスナッバ動翼であり、
一つのインテグラルカバーとこれに隣接するインテグラルカバーとの接合端部がラジアル線に対して傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のタービン動翼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21765695A JP3697296B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | タービン動翼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21765695A JP3697296B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | タービン動翼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0960501A JPH0960501A (ja) | 1997-03-04 |
JP3697296B2 true JP3697296B2 (ja) | 2005-09-21 |
Family
ID=16707671
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21765695A Expired - Lifetime JP3697296B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | タービン動翼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3697296B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE19812624A1 (de) | 1998-03-23 | 1999-09-30 | Bmw Rolls Royce Gmbh | Rotor-Schaufelblatt einer Axialströmungsmaschine |
AU2003266505A1 (en) * | 2003-09-10 | 2005-04-06 | Hitachi, Ltd. | Turbine rotor blade |
FR2899269A1 (fr) * | 2006-03-30 | 2007-10-05 | Snecma Sa | Aube de redresseur optimisee, secteur de redresseurs, etage de compression, compresseur et turbomachine comportant une telle aube |
JP4923073B2 (ja) * | 2009-02-25 | 2012-04-25 | 株式会社日立製作所 | 遷音速翼 |
FR2981396A1 (fr) * | 2011-10-13 | 2013-04-19 | Snecma | Aube de stator de turbomachine comportant une portion bombee |
FR3040071B1 (fr) * | 2015-08-11 | 2020-03-27 | Safran Aircraft Engines | Aube de rotor de turbomachine |
FR3097262B1 (fr) | 2019-06-14 | 2023-03-31 | Safran Aircraft Engines Pi Aji | Aube de turbomachine avec talon optimise et procede d’optimisation d’un profil d’aube |
CN112065652B (zh) * | 2020-09-10 | 2022-02-18 | 中材科技风电叶片股份有限公司 | 风电叶片及风电机组 |
-
1995
- 1995-08-25 JP JP21765695A patent/JP3697296B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0960501A (ja) | 1997-03-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6126394A (en) | Turbine nozzle and moving blade of axial-flow turbine | |
US7429161B2 (en) | Axial turbine | |
US6375420B1 (en) | High efficiency blade configuration for steam turbine | |
US7753652B2 (en) | Aero-mixing of rotating blade structures | |
KR100248129B1 (ko) | 축류 유체기계용 날개 | |
JP2003074306A (ja) | 軸流タービン | |
JP3927886B2 (ja) | 軸流圧縮機 | |
US6638021B2 (en) | Turbine blade airfoil, turbine blade and turbine blade cascade for axial-flow turbine | |
JP3697296B2 (ja) | タービン動翼 | |
JP3910648B2 (ja) | タービンノズル、タービン動翼及びタービン段落 | |
JP5010507B2 (ja) | 軸流式ターボ機械のタービン段、及びガスタービン | |
JP3883245B2 (ja) | 軸流タービン | |
JP3773565B2 (ja) | タービンノズル | |
JP3786443B2 (ja) | タービンノズル、タービン動翼及びタービン段落 | |
JP2017218983A (ja) | タービン動翼および蒸気タービン | |
JP2003090279A (ja) | 水力回転機械用ベーン | |
JP2004263602A (ja) | 軸流タービンのノズル翼、動翼およびタービン段落 | |
JPS6139482B2 (ja) | ||
JPH0478803B2 (ja) | ||
JPH07253001A (ja) | インテグラルシュラウド動翼 | |
JPH0454203A (ja) | タービン動翼およびタービン段落 | |
JP3541479B2 (ja) | 軸流圧縮機の静翼 | |
JP4950958B2 (ja) | タービン動翼および軸流タービン | |
JPS61187502A (ja) | 軸流タ−ボ機械の翼構造 | |
JP6178268B2 (ja) | タービン動翼および蒸気タービン |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041122 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050215 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050418 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050621 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050704 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100708 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110708 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120708 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130708 Year of fee payment: 8 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |