JP3697030B2 - 連続鋳造厚鋼板の製造方法 - Google Patents

連続鋳造厚鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中心偏析の内質及び/又は材質への影響を緩和又は無害化した連続鋳造厚鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造の原理は19世紀に発明されたが、その実用化は1950年代のビレット、ブルームの連続鋳造機に始まる。我が国でも1960年代にスラブ連続鋳造が実用化された。特に、日本経済を襲った石油危機を契機として、省エネルギーと生産性の向上の強い要請から、連続鋳造比率が著しく向上した。1970年には5.6%であった連続鋳造比率は、1992年には95%を超えるまでになった。中でも、Al缶対抗としての飲料缶用ブリキ材の品質厳格化、自動車用鋼材に代表される極低炭素鋼の増大と品質の厳格化への対応などにより、連続鋳造技術は大きく進歩した。
【0003】
しかし、その進歩した連続鋳造で製造される鋼の中心偏析は、鋳造後均熱炉にて加熱し分塊圧延を行う従来の造塊法に比べ、明らかに劣っている。そのため、厚板用連続鋳造スラブ、特に耐サワーガス用ラインパイプ用鋼、大入熱溶接用鋼、海洋構造物用鋼などの厚板高級用スラブは、中心部の偏析が割れの起点又は特性劣化の原因となっていた。
【0004】
したがって、厚板スラブの中心偏析は、大変重要な品質問題として従来から多くの研究がなされてきており、その生成メカニズムに対する定量的解析もかなり進んできた。スラブの中心偏析は、鋳片断面を研磨・エッチングすると1/2厚部に現出する目視可能な偏析であり、一般的にマクロ偏析と呼ばれるが、その成因の基となるのがデンドライト樹間におけるミクロ偏析である。マクロ偏析は、ミクロ偏析により濃化した溶鋼が、何らかの原因で発生した流動により、局部的に溶質濃度の高い部分が偏析したものと考えられる。スラブ鋳片は、断面が略長方形をしているので、広面が静鉄圧によりバルジングしやすく、したがって、ロール間バルジングが発生し、局部的な溶鋼流動が発生し、偏析が発生する。
そこで、バルジングを防止するため、第153回西山記念技術講座「鋼のスラブ連続鋳造技術の最近の動向」(平成6年5月16日)に見られるように、サポートロールピッチを短くし、それによるロールの小径化・剛性低下に対して、分割ロールが採用されている。しかし、小径化にも限界があり、ロールピッチが存在することから、完全に溶鋼流動を防止することはむつかしい。
【0005】
その結果、連続鋳造スラブを厚鋼板に圧延した後も、板厚中心部の偏析は残存する。そのため、板厚中心部の低温靭性や耐サワー特性や耐溶接割れ性や板厚方向引張試験による絞り率などが、板厚1/4部のそれらと比較して、著しく劣る場合が生じ、従来の厚鋼板製造は、板厚中心部の材質を向上する必要があった。
【0006】
また、中心偏析の少ない厚鋼板の製造方法には、連続鋳造方法の改善だけでなく、連続鋳造スラブを1250℃以上の高温に約10時間以上保持すること(均熱拡散、以下SPと記す)により、中心偏析部に偏析した元素を拡散させる方法もある。しかし、この製造法は、スラブを高温で長時間保持する必要から、製造コストの上昇と製造工期が長くなり、更に、析出物の粗大化や初期γ粒の粗大化など品質面(内質・材質等)の課題が多く、実際にはほとんど適応されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来技術では、中心偏析をなくすには必ずしも十分ではない事が分かる。そこで、本発明は、、従来の連続鋳造スラブに高温・長時間熱処理を施すことなく、従来の厚鋼板製造の課題である板厚中心部の材質劣化問題を解決しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、以下のとおりである。
【0012】
)鋳造した鋼スラブ厚が400mm以上、スラブ幅が600mm以上であり、かつ、そのスラブ幅を厚鋼板厚とした圧延を施し、板厚部位でのPの偏析度差が−0.5以上+0.5以下とすることを特徴とする連続鋳造厚鋼板の製造方法。但し、板厚部位での偏析度差=板厚中心部の偏析度−板厚1/4部の偏析度である。
【0013】
) 連続鋳造した鋼スラブに圧延を施すに際して、スラブ厚/スラブ幅の形状比が0.3以上〜1.0未満であることを特徴とする前記()に記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法。
【0014】
) 鋳造速度0.4mpm以下として鋼スラブを連続鋳造したことを特徴とする前記()または()に記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法。
【0015】
) 鋼組成が、重量%でC :0.03%〜0.6%、Si:0.1%〜1.0%、Mn:0.5%〜2.0%、P :0.035%以下、S :0.035%以下であり、残部鉄及び不可避的不純物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法。
【0016】
) 鋼組成が更に、重量%で、強度靭性改善元素群Cu:0.1%〜1.5%、Ni:0.1%〜10.0%、Cr:0.02%〜3.5%、Mo:0.1%〜1.5%、Nb:0.003%〜0.1%、Ti:0.003%〜0.07%、V :0.01%〜0.5%の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記()に記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法。
【0017】
) 鋼組成が更に、重量%で、介在物形態制御元素群Ca :0.003%以下、REM:0.03%以下の1種または2種を含有することを特徴とする前記()または()に記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法である。
【0018】
本発明の技術思想を説明する。
【0019】
偏析元素の内でも、偏析しやすく、かつ、材質への影響が大きいと考えられるPに着目し、連続鋳造スラブ(特に大断面スラブ)の偏析状況を把握し、鋳造時の偏析程度を下げ、更に厚鋼板板厚中心部へ偏析を助長する圧延を施さないことにより、板厚中心部の品質にも優れた連続鋳造厚鋼板を得るものである。
【0020】
板厚部位での偏析度差とは、化学成分のリン「P」をフォーカス径50μmΦのX線マイクロアナライザーの線分析でほぼ板幅方向の同じ部位で板厚中心部と板厚1/4部とを板厚方向にそれぞれ20mm測定し、その「P」のピーク濃度値を平均「P」濃度値で割ったものを偏析度とし、それらを測定した後、板厚中心部の偏析度から板厚1/4部の偏析度を引いたものとした。この板厚部の偏析度差は、0.5を超えると中心偏析による品質劣化、特に、板厚方向引張試験による絞り率の劣化(図4)、板厚中心部の低温靭性劣化(図5)等を招くため、0.5以下とした。また、この板厚部の偏析度差が−0.5未満になると、負偏析となり、板厚中心部の引張強度と硬さとが低下しすぎ(図6)、材質の均一性が低下するため、−0.5以上とした。
【0021】
【発明の実施の形態】
Cは0.03%未満になると、必要な強度が確保できないため、0.03%以上とした。また、0.6%超になると、鋼の靭性が劣化するため、0.6%以下とした。
【0022】
Siは強度を確保するために必要な元素であり、0.1%未満になると強度が低下するので、0.1%以上にした。また、1.0%超になると、鋼の靭性が劣化するため、1.0%以下とした。更に好ましくは0.35%以下である。
【0023】
Mnは強度を確保するために必要な元素であり、0.5%未満になると強度が低下するので、0.5%以上とした。また、2.0%超になると、鋼の靭性が劣化するため、2.0%以下とした。
【0024】
Pは0.035%超になると鋼の靭性を劣化させるため、0.035%以下とした。
【0025】
Sは0.035%超になると、鋼の靭性を劣化させるため、0.035%以下とした。
【0026】
更に、高い強度が必要な時は、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、Ti、Vの添加が有効である。しかし、Cuは0.1%未満になると、強度上昇にはほとんど効果がないので、0.1%以上とした。また、1.5%超になると粒界が粗くなり網割れ等が生じやすく、また、コストが高くなりすぎるため、1.5%以下とした。
【0027】
Niは0.1%未満になると、強度上昇にはほとんど効果がないので、0.1%以上とした。また、10.0%超になると低温靭性はほぼ飽和するが、コストが高くなりすぎるため、10.0%以下とした。
【0028】
Crは0.02%未満になると、強度上昇にはほとんど効果がないので、0.02%以上とした。また、3.5%超になると割れ感受性が高くなりまたコストも高くなりすぎるため、3.5%以下とした。
【0029】
Moは0.1%未満になると、強度上昇にはほとんど効果がないので、0.1%以下とした。また、1.5%超になると析出硬化がほぼ飽和しコストが高すぎるため、1.5%以下とした。
【0030】
Nbは0.003%未満になると、強度上昇にはほとんど効果がないので、0.003%以上とした。また、0.1%超になると粗大なNb炭化物やNb炭窒化物を析出しやすくなり強度や靭性が損なわれ、コストが高すぎるため、0.1%以下とした。
【0031】
Tiは0.003%未満になると、強度上昇にはほとんど効果がないので、0.003%以上とした。また、0.07%超になると粗大なTi炭化物やTi炭窒化物を析出しやすくなり靭性が損なわれ、コストが高すぎるため、0.07%以下とした。
【0032】
Vは0.01%未満になると、強度上昇にはほとんど効果がないので、0.01%以上とした。また、0.5%超になると粗大なV炭化物を析出しやすくなり、強度、靭性が損なわれ、コストも著しく上昇するため、0.5%以下とした。
【0033】
低温靭性を向上や異方性改善の必要のある時、Ca、REMは有効であるが、Caは0.003%超になると、鋼の清浄度を悪化し、低温靭性を劣化させるため、0.003%以下とした。REMは0.03%超になると、鋼の清浄度を悪化し、低温靭性を劣化させるため、0.03%以下とした。
【0034】
スラブ厚みが400mm未満になると、スラブを立ててスラブ幅を鋼板厚とする熱間圧延が容易でなくなるため、400mm以上とした。スラブ厚みは、本発明の圧延法では、厚鋼板の幅方向になるので、厚い方が好ましいが、1000mm超となると連続鋳造設備の設備費が飛躍的に高騰するので、好ましくは1000mm以下である。また、スラブ幅は600mm未満になると、厚鋼板としての用途に適用しにくいので、600mm以上が好ましい。
【0035】
本発明の圧延法では、図2に示すスラブ厚(ST)方向4の圧延とは異なり、図1に示すようにスラブ幅方向3の圧延であるから、スラブ幅(SW)方向3が圧延後の厚鋼板の板厚(t)方向になる。スラブ幅(SW)は広い方が熱間圧延の圧下比を大きくすることが可能になるので結晶粒の細粒化には好ましいが、スラブ厚(ST)/スラブ幅(SW)の形状比(ST/SW)が0.3未満になると、図1に示すように、連続鋳造スラブ1を立ててスラブ幅(SW)方向3が板厚(t)方向となるように圧延ロール2で圧延すると、スラブ1が挫屈しやすく、圧下が十分に厚鋼板内(特に厚鋼板の板厚中心部)に伝達されずに、板厚1/4から板厚中心部の結晶粒の細粒化が損なわれやすいので、スラブ厚/スラブ幅の形状比(ST/SW)は0.3以上が好ましい。また、スラブ厚/スラブ幅の形状比(ST/SW)が1.0以上になると、図2に示すように従来の圧延方法になるため、本発明の目的である厚鋼板を得ることが難しくなるので、1.0未満とした。このように、スラブを立ててスラブ幅(SW)方向が厚鋼板の板厚(t)方向となる圧延すると、図3(a)に示すようにスラブ中に存在していた中心偏析5は、図3(c)に示すように、中心偏析は厚鋼板の板厚(t)中心付近にのみ存在するわけではなく、板幅(w)の中央付近のほぼ板厚(t)方向に存在することになり、厚鋼板への偏析の影響を緩和、又は無害化でき、特に、板厚中心部の靭性及び、厚み方向引張試験による絞り率が非常に優れる。これに対して、従来の圧延方法では図3(b)に示すように中心偏析5は板厚(t)中心の板幅(w)方向に存在する。
【0036】
連続鋳造速度0.4mpm超になると、連続鋳造の冷却段階において、凝固シェルが十分に発達しないため、バルジングが発生しやすく、中心偏析が大きくなるため、鋼組成によっては、本発明の圧延方法を採用しても十分な効果が得られ難くなりやすいので、0.4mpm以下が好ましい。
【0037】
加熱、熱間圧延温度、全圧延比は、厚鋼板の要求特性に応じて適宜選択すれば良い。熱間スラブを加熱することなく熱間圧延しても、本発明を逸脱するものではない。また、圧延後に厚鋼板の要求特性に応じて熱処理(焼ならし(N)、焼入れ(Q)、直接焼入れ(DQ)、加速冷却(AC)、焼ならし焼戻し(N−T)、焼入れ焼戻し(Q−T)、直接焼入れ焼戻し(DQ−T)、加速冷却焼戻し(AC−T)等)を施しても本発明を逸脱するものではない。
【0038】
本発明の圧延方法を採用すれば、連続鋳造スラブの中心偏析の材質への影響を緩和するために、前述の均熱拡散(SP、例えば1250〜1300℃で約10時間保持)処理といった付加工程を施すことなく、連続鋳造厚鋼板の板厚中心部の材質を改善することができる。また、SP処理を施さないので、圧延前のオーステナイト粒の過度の成長が抑制でき、圧下率を低くとどめても、板厚中心部の材質を十分に満足可能であるので、厚鋼板の製造の際での、圧延工程起因の生産性の低下も回避可能でる。
【0039】
圧延に際しては、スラブ長さ(SL)を圧延方向とする圧延パスのみでも良いが、スラブ厚(ST)を圧延方向とする圧延を1パス以上行うことが、厚鋼板の圧延方向と直角方向の材質異方性を改善する上で望ましい。
【0040】
本発明の連続鋳造厚鋼板及びその製造方法によれば、造塊スラブで生じる負偏析などの偏析も皆無かまたは少なく、低合金鋼や中炭素鋼等の各種厚鋼板において実質的に強度低下や靭性劣化をほとんど生じないので、造塊厚鋼板の板内部(例えば板厚方向、板幅方向)の材質不均一の改善方策としても有効である。
【0041】
本発明の厚鋼板とは、板厚50mm以上で好適である。板厚100mm以上で従来の連続鋳造厚鋼板に比べて材質(特に板厚中心部付近の材質)が同等か良好であり、更に板厚150mm以上では、従来の造塊厚鋼板に対しても材質が同等か更に優れている。本発明の連続鋳造厚鋼板の用途としては、圧力容器用、反応容器用、機械構造用、構造用、建築用、橋梁用、等の通常厚鋼板が適用される用途にはいづれにも適用可能である。
【0042】
【実施例】
次に本発明の実施例(本発明例)と比較例を表1と表2に示す。
【0043】
連続鋳造スラブに厚板圧延を施し、厚さ50mm〜300mmの厚鋼板とした。更に試料によっては、表2の熱処理を施した。厚鋼板No.1〜No.39は、本発明の連続鋳造スラブで本発明の圧延法(スラブ幅方向を鋼板厚方向とするようにスラブを圧延ラインに載せ圧延)を採用して製造した。厚鋼板No.40〜No.50は、比較のために、連続鋳造スラブで通常圧延を施し(通常、熱処理を行う試料は同様の熱処理を施した)、また造塊スラブ(IC)で通常圧延を施し(通常、熱処理を行う試料は同様の熱処理を施した)て厚鋼板を製造した。
【0044】
厚鋼板No.1と厚鋼板No.40とは同一鋼組成であるが、表2に示すように、本発明例のNo.1は、連続鋳造かつ通常厚板圧延を施した比較例のNo.40に比べ、偏析度差ΔPが極めて小さく、板厚中心部の板厚方向の絞り特性および板厚中心部の靭性において格段に優れている。
【0045】
厚鋼板No.8と厚鋼板No.41、No.45とはほぼ同一鋼組成(9Ni−Mo系)であるが、表2に示すように、本発明例のNo.8は、連続鋳造スラブにSP処理(1250℃×10時間)を行い、加熱後に通常厚板圧延を施した比較例のNo.41に比べ、板厚中心部の板厚方向の絞り特性および板厚中心部の靭性において格段に優れている。更に、造塊(IC)スラブにSP処理(1250℃×10時間)を行い、加熱後に通常厚板圧延を施した比較例のNo.45に比べても、偏析度差ΔPが小さく、板厚中心部の板厚方向の絞り特性および板厚中心部の靭性において格段に優れている。
【0046】
厚鋼板No.9と厚鋼板No.42とは同一鋼組成(S53C相当材)であるが、表2に示すように、本発明例のNo.9(板厚300mm)は、造塊(IC)スラブにSP処理を施すことなく通常厚板圧延を施した比較例のNo.42(板厚200mm)に比べ、偏析度差ΔPが極めて小さく、板厚中心部の引張強度と板厚方向の絞り特性において格段に優れ、更に板厚中心部の靭性も良好である。
【0047】
厚鋼板No.11と厚鋼板No.43とは同一鋼組成(2・1/4Cr−1Mo系)であるが、表2に示すように、本発明例のNo.11は、造塊(IC)スラブにSP処理を施すことなく通常厚板圧延を施した比較例のNo.43に比べ、板厚中心部の引張強度はほぼ同等であるが、偏析度差ΔPが極めて小さく、板厚中心部の板厚方向の絞り特性において格段に優れ、更に板厚中心部の靭性も良好である。
【0048】
厚鋼板No.12と厚鋼板No.44とは同一鋼組成(3Cr−1Mo系)であるが、表2に示すように、本発明例のNo.12は、若干遅めの連続鋳造後、スラブにSP処理を施すことなく通常厚板圧延を施した比較例のNo.44に比べ、偏析度差ΔPが極めて小さく、板厚中心部の引張強度と板厚方向の絞り特性において格段に優れ、更に板厚中心部の靭性も良好である。
【0049】
厚鋼板No.36と厚鋼板No.46とは同一鋼組成(A710相当材)であるが、表2に示すように、本発明例のNo.36は、連続鋳造後、スラブにSP処理(1250℃×10時間)を行ったに、通常厚板圧延を施した比較例のNo.46に比べ、偏析度差ΔPが極めて小さく、板厚中心部の板厚方向の絞り特性と靭性において格段に優れている。また、板厚中心部の引張強度がともに595N/mm2以上である。
【0050】
厚鋼板No.37と厚鋼板No.47とは同一鋼組成(耐磨耗材)であるが、表2に示すように、本発明例のNo.37は、連続鋳造後、スラブにSP処理を施すことなく通常厚板圧延を施した比較例のNo.47に比べ、偏析度差ΔPが極めて小さく、板厚中心部の引張強度は250N/mm2程度高く(Hvで約80高く)、板厚中心部の板厚方向の絞り特性と靭性において格段に優れている。
【0051】
厚鋼板No.14と厚鋼板No.48とは同一鋼組成(良溶接性HT595鋼)であるが、表2に示す。No.14は本発明例であり、No.48は、連続鋳造スラブにSP処理(1250℃×10時間)を行った後に形状比(ST/SW)が0.25のスラブにスラブ幅方向を厚鋼板の板厚方向として厚板圧延を施した比較例である。No.14は、No.48に比べ、偏析度差ΔPが五分の1程度と小さく、板厚中心部の板厚方向の絞りはほぼ5倍と優れ、靭性において格段に優れている。また、板厚中心部の引張強度はNo.14とNo.48ともに595N/mm2以上である。
【0052】
厚鋼板No.39と厚鋼板No.49とは同一鋼組成(耐磨耗材)であるが、表2に示すように、No.39は本発明例であり、No.49は造塊(IC)スラブにSP処理を施すことなく通常厚板圧延(スラブ厚方向を板厚方向として圧延)を施した比較例である。No.39はNo.49に比べ、偏析度差ΔPが極めてゼロに近く、板厚中心部の板厚方向の絞りがほぼ3倍と優れ、靭性においても格段に優れている。また、板厚中心部の引張強度はNo.39とNo.49ともに520N/mm2以上である。
【0053】
No.18とNo.50とは同一鋼組成(Cu−Ni−Cr−Mo−V系)で板厚125mmの厚鋼板である。表2に示すように、No.18は本発明例であり、No.50は造塊(IC)スラブであるが、形状比(ST/SW)が0.30であることからスラブ幅方向を板厚方向として熱間圧延を施した比較例である。No.18はNo.49に比べ、偏析度差ΔPが1/6と極めて小さく、板厚中心部の板厚方向の絞りがほぼ3倍と優れている。また、板厚中心部の靭性においても−20℃のシャルピー試験結果の吸収エネルギーが、No.18では206Jであり、No.49の26Jと比較して格段に優れている。また、板厚中心部の引張強度はNo.39とNo.49ともに785N/mm2以上であるが、絞りが良好であるNo.18の方が約70N/mm2高かった。
【0054】
【表1】
Figure 0003697030
【0055】
【表2】
Figure 0003697030
【0056】
【発明の効果】
本発明により、板厚方向の内質及び/又は材質に優れた連続鋳造厚鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続鋳造スラブ圧延方法の一例を示す図である。
【図2】従来のスラブ圧延方法を示す図である。
【図3】スラブ厚鋼板の断面のマクロ偏析模式図である。
(a)連続鋳造スラブ
(b)通常圧延での連続鋳造厚鋼板
(c)本発明圧延による連続鋳造厚鋼板
【図4】偏析度差と板厚方向引張試験の絞り率との関係を示す図である。
(S40C、板厚150mm)
【図5】偏析度差と低温靭性との関係を示す図である。
【図6】偏析度差と常温引張強さとの関係を示す図である。
(0.15C−1.03Mn−0.22Si−0.068Ti、数字はwt%、板厚100mm)
【符号の説明】
1 連続鋳造スラブ
2 圧延ロール
3 スラブ幅方向
4 スラブ厚方向
5 中心偏析
SW スラブ幅
ST スラブ厚
SL スラブ長さ
t 板厚
w 板幅

Claims (6)

  1. 連続鋳造した鋼スラブ厚が400mm以上、スラブ幅が600mm以上であり、かつ、そのスラブ幅方向を厚鋼板厚方向とした圧延を施し、板厚部位でのPの偏析度差が−0.5以上+0.5以下とすることを特徴とする連続鋳造厚鋼板の製造方法。但し、板厚部位での偏析度差=板厚中心部の偏析度−板厚1/4部の偏析度である。
  2. 連続鋳造した鋼スラブに圧延を施すに際して、スラブ厚/スラブ幅の形状比が0.3以上〜1.0未満であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法。
  3. 鋳造速度0.4mpm以下として鋼スラブを連続鋳造したことを特徴とする請求項または請求項に記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法。
  4. 鋼組成が、重量%でC :0.03%〜0.6%、Si:0.1%〜1.0%、Mn:0.5%〜2.0%、P :0.035%以下、S :0.035%以下であり、残部鉄及び不可避的不純物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法。
  5. 鋼組成が更に、重量%で、強度靭性改善元素群Cu:0.1%〜1.5%、Ni:0.1%〜10.0%、Cr:0.02%〜3.5%、Mo:0.1%〜1.5%、Nb:0.003%〜0.1%、Ti:0.003%〜0.07%、V :0.01%〜0.5%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項に記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法。
  6. 鋼組成が更に、重量%で、介在物形態制御元素群Ca :0.003%以下、REM:0.03%以下の1種または2種を含有することを特徴とする請求項または請求項に記載の連続鋳造厚鋼板の製造方法。
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