JPH05263182A - 靭性の優れた低合金圧延形鋼の製造方法 - Google Patents

靭性の優れた低合金圧延形鋼の製造方法

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JPH05263182A
JPH05263182A JP5816692A JP5816692A JPH05263182A JP H05263182 A JPH05263182 A JP H05263182A JP 5816692 A JP5816692 A JP 5816692A JP 5816692 A JP5816692 A JP 5816692A JP H05263182 A JPH05263182 A JP H05263182A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 建造物の構造部材に用いる靭性の優れたH形
鋼・I形鋼等のフランジを有する形鋼を低合金化しオン
ラインで製造する。 【構成】 製鋼工程での予備脱酸により溶鋼の酸素濃度
を制御し所定の成分鋼とした後、Ti脱酸する製鋼法
と、中間圧延パス間水冷と、仕上げ圧延終了後の加速冷
却の組合せ処理により組織の微細化と低合金化を図り、
強度・靭性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建造物の構造部材とし
て用いられる靭性の優れた低合金圧延形鋼の製造法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】建造物の超高層化、安全規準の厳格化な
どから、柱用に用いられる鋼材、例えば板厚の大きなサ
イズのH形鋼(以下、極厚H形鋼と称す)には、一層の
高強度化、高靭性化、低降伏比化が求められている。こ
のような要求特性を満たすために、従来は圧延終了後に
焼準処理などの熱処理を施すことが行われた。熱処理の
付加は熱処理コストと生産効率の低下など大幅なコスト
上昇を招き、経済性に問題があった。この課題を解決す
るためには圧延ままで高性能の材質特性を得られるよう
に、新しい合金設計、製造法の開発が必要となった。
【0003】一般に、フランジを有する形鋼、例えばH
形鋼をユニバーサル圧延により製造すると、圧延造形上
の制約およびその形状の特異性からウェブ、フランジ、
フィレットの各部位で圧延仕上げ温度、圧下率、冷却速
度に差を生じる。その結果、部位間に強度、延性、靭性
のバラつきが発生し、例えば溶接構造用圧延鋼材(JI
S G3106)等の規準に満たない部位が生じる。特
に極厚H形鋼を連続鋳造スラブを素材とし圧延する場合
には連続鋳造設備で製造可能なスラブ最大厚みに限界が
あるため、低圧下比となる。さらに、圧延造形上の寸法
精度の制約から板厚の厚いフランジ部は高温圧延とな
り、圧延終了後の鋼材冷却は徐冷となって、ミクロ組織
は粗粒化する。
【0004】TMCPによる細粒化法も周知であるが、
造形上の制約から形鋼圧延では鋼板の製造法の大圧下は
できない。また、厚鋼板分野ではVNの析出効果を利用
し高強度・高靭性鋼を製造する、例えば特公昭62−5
0548号公報、特公昭62−54862号公報の技術
が提案されている。しかしながら、この従来法では溶鋼
の脱酸を一般的なAl脱酸処理で行っているため粒内フ
ェライト生成核として、組織の細粒化に効果を示す微細
な複合酸化物が生成せず、組織の細粒化が十分ではなか
った。即ち、従来のAl脱酸は溶製過程の初期段階でA
l添加し、溶鋼の脱酸と生成したAl23 を浮上分離
し高清浄化を目的にしていた。即ち、従来は如何に溶鋼
の酸素濃度を下げ、鋼中の一次脱酸酸化物数を減らすか
に重点が置かれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解決するために、製鋼、圧延および圧延後の冷却まで
の工程を総合的に対象とした新規な製造手段により、圧
延ままで組織を細粒化し、強度・靭性の優れた低合金圧
延形鋼を提供すること、即ち、製造工程においてフェラ
イトの核生成サイトを増加させ、核生成したフェライト
の成長を抑制し細粒化する手段を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、 重量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.0
5〜0.50%、Mn:0.5〜1.8%、N:0.0
03〜0.012%、Al≦0.005%を含み、残部
がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を、予備脱酸処
理によって溶存酸素を重量%で0.003〜0.015
%に調整後さらに、チタン脱酸し、該チタン含有量が重
量%で0.005〜0.025%で、かつ溶鋼の溶存酸
素[O%]に対し−0.006≦[Ti%]−2[O
%]≦0.008の関係を満たす鋳片に鋳造し、該鋳片
を1100〜1300℃の温度域に再加熱後に圧延を開
始し、中間圧延工程のパス間で鋼材表層部の温度をAr
3 −20℃以下・Ar3 −100℃以上に水冷し、その
復熱過程で少なくとも1回以上圧延し、最終仕上げ圧延
後に1〜30℃/Sの冷却速度で600〜400℃まで
冷却する靭性の優れた低合金圧延形鋼の製造方法およ
び、 重量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.0
5〜0.50%、Mn:0.5〜1.8%、N:0.0
03〜0.012%、Al≦0.005%を含み、加え
てV≦0.20%、Cr≦0.7%、Mo≦0.3%、
Nb≦0.05%、Ni≦1.0%、Cu≦1.0%、
の1種または2種以上を含み、残部がFeおよび不可避
不純物からなる溶鋼を、予備脱酸処理によって溶存酸素
を重量%で0.003〜0.015%に調整後さらに、
チタン脱酸し、該チタン含有量が重量%で0.005〜
0.025%で、かつ溶鋼の溶存酸素[O%]に対し−
0.006≦[Ti%]−2[O%]≦0.008の関
係を満たす鋳片に鋳造し、該鋳片を1100〜1300
℃の温度域に再加熱後に圧延を開始し、中間圧延工程の
パス間で鋼材表層部の温度をAr3 −20℃以下・Ar
3 −100℃以上に水冷し、その復熱過程で少なくとも
1回以上圧延し、最終仕上げ圧延後に1〜30℃/Sの
冷却速度で600〜400℃まで冷却する靭性の優れた
低合金圧延形鋼の製造方法にある。
【0007】本発明は、組織を細粒化するために、製鋼
過程において適正な脱酸処理を行い、溶鋼の高清浄化、
溶存酸素濃度の制御と最後にチタン脱酸することによ
り、粒内フェライト生成核として働く微細な複合酸化物
を鋼中に多数分散させ、更に熱間圧延パス間で水冷する
ことにより、鋼板の表層部と内部に温度差を与え、低圧
下条件下においても、より高温の内層部への圧下浸透を
高め、粒内フェライト生成核となる加工転位を導入し、
粒内フェライト生成核を増加させるものである。加え
て、圧延後のγ/α変態温度域を冷却制御することによ
り、その核生成させたフェライトの成長を抑制させ、ミ
クロ組織の細粒化を可能とし、高能率で製造コストの安
価な形鋼の製造を可能とするものである。
【0008】
【作用】以下、本発明の作用を実施例に基づき詳細に説
明する。鋼の高強度化はフェライト結晶の細粒化、合金
元素による固溶体強化、硬化相による分散強化、微細析
出物による析出強化等によって達成される。また、高靭
性化は結晶の細粒化、母相(フェライト)の固溶N,C
の低減、破壊の発生起点となる硬化相の高炭素マルテン
サイト及び粗大な酸化物・析出物の低減と微細化等によ
り達成される。
【0009】一般的には鋼の高強度化により靭性は低下
し、高強度化と高靭性化は相反する対処が必要である。
両者を同時に満たす冶金因子は唯一、結晶の細粒化であ
る。
【0010】本発明の特徴は、製鋼工程において、溶鋼
の溶存酸素量の制御と強脱酸元素Al,Ca等での脱酸
をせず、弱脱酸元素のTiにより適正な脱酸処理を行
い、微細なTi系酸化物を鋼中に多数分散させること
と、熱間圧延工程において熱間圧延パス間で水冷と復熱
時に圧延することを繰り返すこと、の両処理により粒内
フェライト生成核を増加させ、加えて圧延後の冷却を制
御し、そのフェライトの成長を抑制し、ミクロ組織の細
粒化を行い圧延ままで母材の高強度化と高靭性化を達成
するものである。
【0011】次に本発明形鋼の基本成分範囲の限定理由
について述べる。まず、Cは鋼の強度を向上させる有効
な成分として添加するもので、0.04%未満では構造
用鋼として必要な強度が得られず、また、0.20%を
超える過剰の添加は、母材靭性、耐溶接割れ性、溶接熱
影響部靭性などを著しく低下させるので下限を0.04
%、上限を0.20%とした。
【0012】次に、Siは母材の強度確保、溶鋼の予備
脱酸などに必要であるが、0.50%を超えるとHAZ
組織内に硬化組織の高炭素マルテンサイトを生成し、溶
接継手部靭性を著しく低下させる。また、0.05%未
満では必要な溶鋼の予備脱酸ができないためSi含有量
を0.05〜0.50%の範囲に限定した。
【0013】Mnは母材の強度、靭性の確保には0.5
%以上の添加が必要であるが、溶接部の靭性、割れ性な
どの許容できる範囲で上限を1.8%とした。
【0014】NはTiNやVNの析出には極めて重要な
元素であり、0.003%未満ではTiN,VNの析出
量が不足し、析出強化と粒内フェライト組織の十分な生
成量が得られないため0.003%以上とした。含有量
が0.012%を超えると母材靭性を低下させ、連続鋳
造時の鋼片の表面割れを生じさせるため0.012%以
下に限定した。
【0015】Tiは脱酸材としTi系酸化物を生成さ
せ、圧延時に粒内フェライトの生成を促進させる効果と
微細なTiNを析出させオーステナイトの細粒化と粒内
フェライトの生成を促進し母材及び溶接部の靭性を向上
させる。従って、0.005%以下では酸化物中のTi
含有量が不足し、粒内フェライト生成核としての作用が
低下するためTi量の下限値を0.005%以上とし
た。しかし0.025%を超えると、過剰なTiはTi
Cを生成し、析出硬化を生じ溶接熱影響部の靭性を著し
く低下させるためこれ未満に限定した。なお、Ti含有
量を溶鋼の溶存酸素[O%]に対し−0.006≦[T
i%]−2[O%]≦0.008の関係を満たす重量%
とするという制限を与えたのは、この関係式において重
量%でTiが[O]濃度に対し過剰である場合は過剰な
Tiが必要以上のTiNを生成し、鋳片割れや母材靭性
を損なうためであり、重量%でTiが[O]濃度に対し
過小である場合は粒内フェライト核となるTi系酸化物
の個数が必要数の40個/mm2 を超えなくなるため、
このように限定した。Alは強力な脱酸元素であり、
0.005%を超えて含有すると粒内フェライト変態を
促進するTi系酸化物、Mn・Si系酸化物などが形成
されず、靭性の低下がもたらされるため0.005%以
下に限定した。
【0016】不可避不純物として含有するP,Sはその
量について特に限定しないが凝固偏析による溶接割れ、
靭性の低下を生じるので、極力低減すべきであり、望ま
しくはP,S量はそれぞれ0.02%未満である。
【0017】以上が本発明鋼の基本成分であるが、母材
強度の上昇、および母材の靭性向上の目的で、V,C
r,Mo,Nb,Ni,Cu、の1種または2種以上を
含有することができる。まず、VはVNとして粒内フェ
ライト組織の生成による細粒化、析出強化による高強度
化のために重要な元素であるが、0.20%を超えると
析出量が過剰になり母材靭性が低下するため0.20%
以下に限定した。
【0018】Crは焼き入れ性の向上により、母材の強
化に有効である。しかし0.7%を超える過剰の添加
は、靭性および硬化性の観点から有害となるため、上限
を0.7%とした。
【0019】Moは母材強度の確保に有効な元素である
が、高価であるため0.3%以下に限定した。
【0020】Nbは母材の強靭化に有効であるが0.0
5%を超える過剰の添加は、靭性及び硬化性の観点から
有害となるため0.05%以下とした。
【0021】Niは、母材の強靭性を高める極めて有効
な元素であるが、1.0%を超える添加は合金コストを
増加させ経済的でないので上限を1.0%とした。
【0022】Cuは母材の強化、耐候性に有効な元素で
あるが、応力除去焼鈍による焼き戻し脆性、溶接割れ
性、熱間加工割れを促進するため、上限を1.0%とし
た。
【0023】次に、上記の成分でなる溶鋼を予備脱酸処
理により溶存酸素を制御する。溶存酸素の制御は溶鋼を
高清浄化すると同時に鋳片内に微細な複合酸化物を生成
させるために極めて重要である。溶存酸素を重量%で
0.003〜0.015%の範囲に制御する理由は、予
備脱酸後の[O]濃度が0.003%未満では粒内フェ
ライト変態を促進する粒内フェライト生成核の複合酸化
物が減少し、細粒化できず靭性を向上できない。一方、
0.015%を超える場合は、他の条件を満たしていて
も、酸化物が粗粒化し脆性破壊の起点となり、靭性を低
下させるための予備脱酸後の[O]濃度を重量%で0.
003〜0.015%に限定した。上記の予備脱酸処理
は真空脱ガス、Al,Si,Ca,Mg脱酸により行っ
た。その理由は真空脱ガス処理は直接溶鋼中の酸素をガ
スおよびCOガスとして除去し、Al,Si,Ca,M
gなどの強脱酸により生成する酸化物系介在物は浮上し
除去しやすいため溶鋼の清浄化に極めて効果的である。
【0024】上記の処理を経た鋳片は次に1100〜1
300℃の温度域に再加熱する。この温度域に再加熱温
度を限定したのは、熱間加工による形鋼の製造には塑性
変形を容易にするため1100℃以上の加熱が必要であ
り、且つV,Nbなどの元素を十分に固溶させる必要が
あるため再加熱温度の下限を1100℃とした。その上
限は加熱炉の性能、経済性から1300℃とした。
【0025】加熱した鋼材は粗圧延、中間圧延、仕上げ
圧延の各工程によって圧延造形するが、本発明法の圧延
工程における特徴は、中間圧延工程において圧延パス間
で鋼片表層部の温度をAr3 −20℃以下・Ar3 −1
00℃以上に冷却し、鋼材表面が復熱する過程で熱間圧
延を行うことを少なくとも中間圧延工程で1回以上行う
ことである。これは圧延パス間の水冷により、鋼片の表
層部と内部の温度差を付与し、低圧下条件においても内
部への加工を浸透させるためと、低温圧延を短時間で効
率的に行うためである。復熱圧延のパス回数は被圧延材
の厚みの大きさ、例えばH形鋼の場合ではフランジの厚
みに応じ、厚みが大きい場合には複数回行う。ここで、
鋼片表層部の温度をAr3 −20℃以下・Ar3 −10
0℃以上に限定し冷却する理由は、圧延に引き続き加速
冷却するため、通常のγ温度域からの冷却では表層部に
焼きが入り硬化相を生成し、加工性を損ねるためであ
る。この温度範囲内に冷却すれば、一旦γ/α変態温度
を切り、次の圧延までに表層部は復熱昇温し、二相共存
温度域での加工となって焼き入性を著しく低減でき、加
速冷却による表面層の硬化を防止できる。中間圧延工程
の後、仕上げ圧延工程で最終製品とするが、本発明では
最終仕上げ圧延が終了した後に、1〜30℃/Sの冷却
速度で600〜400℃まで鋼材を冷却する。
【0026】このいわゆる加速冷却によりフェライトの
粒成長の抑制とパーライト及びベイナイト組織比率を増
加させ、低合金で目標の強度が得られる。600〜40
0℃で加速冷却を停止するのは、600℃超の加速冷却
ではAr1点以上となり、一部γ相が残存しフェライト
の粒成長の抑制とパーライト及びベイナイト組織比率を
増加させることができないためである。また、400℃
未満の冷却では、その後の放冷によりフェライト相に過
飽和に固溶しているC,Nを炭化物、窒化物として析出
させることができず、フェライト相の延性が低下するた
め、この温度範囲に限定した。
【0027】
【実施例】試作形鋼は転炉溶製し、合金を添加後、予備
脱酸処理を行い、溶鋼の酸素濃度を測定し、その量に見
合ったTi量を添加し連続鋳造により250〜300m
m厚鋳片に鋳造した後、図1に示すユニバーサル圧延装
置列でH形鋼に圧延した。粗圧延工程の図示は省略して
いるが、中間ユニバーサル圧延機4の前後に水冷装置5
aを設け、圧延パス間水冷はフランジ内外面のスプレー
冷却とリバース圧延の繰り返しにより行い、仕上げユニ
バーサル圧延機6で圧延を終了した後、この仕上げユニ
バーサル圧延機の後面に設けた冷却装置5bによって製
品のフランジ、ウェブに対してスプレーによる加速冷却
を行った。
【0028】機械特性は図2に示すH形鋼1のフランジ
2の板厚t2 の中心部(1/2t2)でフランジ幅全長
(B)の1/4,1/2幅(1/4B,1/2B)か
ら、ウェブ3の板厚中心部でウェブ高さの1/2Hから
試験片を採集し求めた。なお、これらの箇所の特性を求
めたのはフランジ1/4F部とウェブ1/2w部はフラ
ンジ部とウェブ部の各々の平均的な機械特性を示し、フ
ランジ1/2F部はその特性が最も低下するので、これ
ら3箇所によりH形鋼の機械試験特性を代表できるとし
たためである。
【0029】表1は、試作鋼の化学成分値を示し、表2
は圧延と加速冷却条件に対する機械試験特性を示す。な
お、圧延加熱温度を1280℃に揃えたのは、一般的に
加熱温度の低減は機械特性を向上させることは周知であ
り、高温加熱条件は機械特性の最低値を示すと推定さ
れ、この値がそれ以下の加熱温度での特性を代表できる
と判断したためである。
【0030】表2に示すように、本発明による鋼1〜6
は、目標の母材強度(前記JISG3106)と−5℃
でのシャルピー値47(J)以上を十分に満たしてい
る。一方、比較鋼の鋼7は通常のAl脱酸し、本発明の
Ti脱酸と圧延後の加速冷却処理が施されていないた
め、母材強度は規格を満たすものの、フランジの板厚1
/2で幅1/2部の靭性は目標値を満足しない。鋼8は
Ti脱酸処理のみ施されているが他の処理が施されてい
ないため、組織の細粒化が十分でなく、母材強度の規格
を満たせず、加えて、フランジの板厚1/2で幅1/2
部の靭性も目標値を満足しない。また、鋼9は本発明に
おいて加速冷却処理のみを施し、低合金化は達成できた
が、他の処理を行っていないのでフランジ部の靭性が目
標値を満たさず、さらに、圧延パス間水冷によるγ細粒
化が達成されていないので加速冷却によりフランジ表層
部は焼きが入り、外側面の表面硬さが目標のビッカース
硬さでHv240以下を遥かに超えて、加工性の低下を
生じる。
【0031】即ち、本発明の要件が総て満たされた時
に、表2に示される形鋼1〜6のように、圧延形鋼の機
械試験特性を最も満たしにくいフランジ板厚1/2,幅
1/2部においても十分な強度を有し、優れた靭性を持
つ圧延形鋼の製造が可能になる。なお、本発明が対象と
する圧延形鋼は上記実施例のH形鋼に限らずI形鋼、山
形鋼、溝形鋼、不等辺不等厚山形鋼等の他のフランジを
有する形鋼にも適用できることは勿論である。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明により圧延形鋼は機械試験特性を
最も保証しにくいフランジ板厚1/2,幅1/2部にお
いても十分な強度を有し、優れた靭性を持つ低合金圧延
形鋼の製造がオンラインで可能になり、大型建造物の信
頼性向上、安全性の確保、経済性等の産業上の効果は極
めて顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置配置例の略図。
【図2】H形鋼の断面形状および機械試験片の採取位置
を示す図。
【符号の説明】
1…H形鋼 2…フランジ 3…ウェブ 4…中間圧延機 5a…中間圧延機前後面の水冷装置 6…仕上げ圧延機 5b…仕上げ圧延機
後面の冷却装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小田直樹 堺市築港八幡町1番地 新日本製鐵株式会 社堺製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C:0.04〜0.20%、 Si:0.05〜0.50%、 Mn:0.5〜1.8%、 N:0.003〜0.012%、 Al≦0.005%を含み、 残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を、予備脱
    酸処理によって溶存酸素を重量%で0.003〜0.0
    15%に調整後さらに、チタン脱酸し、該チタン含有量
    が重量%で0.005〜0.025%で、かつ溶鋼の溶
    存酸素[O%]に対し−0.006≦[Ti%]−2
    [O%]≦0.008の関係を満たす鋳片に鋳造し、該
    鋳片を1100〜1300℃の温度域に再加熱後に圧延
    を開始し、中間圧延工程のパス間で鋼材表層部の温度を
    Ar3 −20℃以下・Ar3 −100℃以上に水冷し、
    その復熱過程で少なくとも1回以上圧延し、最終仕上げ
    圧延後に1〜30℃/Sの冷却速度で600〜400℃
    まで冷却することを特徴とする靭性の優れた低合金圧延
    形鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で C:0.04〜0.20%、 Si:0.05〜0.50%、 Mn:0.5〜1.8%、 N:0.003〜0.012%、 Al≦0.005%を含み、 加えてV≦0.20%、Cr≦0.7%、Mo≦0.3
    %、Nb≦0.05%、Ni≦1.0%、Cu≦1.0
    %、の1種または2種以上を含み、 残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を、予備脱
    酸処理によって溶存酸素を重量%で0.003〜0.0
    15%に調整後さらにチタン脱酸し、該チタン含有量が
    重量%で0.005〜0.025%で、かつ溶鋼の溶存
    酸素[O%]に対し−0.006≦[Ti%]−2[O
    %]≦0.008の関係を満たす鋳片に鋳造し、該鋳片
    を1100〜1300℃の温度域に再加熱後に圧延を開
    始し、中間圧延工程のパス間で鋼材表層部の温度をAr
    3 −20℃以下・Ar3 −100℃以上に水冷し、その
    復熱過程で少なくとも1回以上圧延し、最終仕上げ圧延
    後に1〜30℃/Sの冷却速度で600〜400℃まで
    冷却することを特徴とする靭性の優れた低合金圧延形鋼
    の製造方法。
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Cited By (9)

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