JP3412997B2 - 高張力圧延鋼材及びその製造方法 - Google Patents
高張力圧延鋼材及びその製造方法Info
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Description
として用いられる靱性の優れた高張力圧延鋼材、および
高張力圧延鋼材の製造方法に係わるものである。
どから、柱用に用いられる鋼材、例えば特に板厚の大き
なサイズのH形鋼(以下、極厚H形鋼と称す)には、一
層の高強度化、高靱性化、低降伏比化が求められてい
る。例えば1994年に建設省と社団法人鋼材倶楽部に
より「高性能鋼利用技術指針」が発表され、SA440
(常温での引張強度が590MPa 以上、0.2%耐力が
440MPa 以上、0℃衝撃吸収エネルギー47J以上)
等の具体的な機械特性仕様が提案されている。
は圧延終了後に焼準処理などの熱処理を施すことが行わ
れた。熱処理の付加は熱処理コストと生産効率の低下な
ど大幅なコスト上昇を招き、経済性に問題があった。こ
の課題を解決するためには圧延ままで高性能の材質特性
を得られるように、新しい合金設計による高張力圧延鋼
材とその製造法の開発が必要となった。
ル圧延により製造すると、圧延造形上の制約およびその
形状の特異性からウェブ、フランジ、フィレットの各部
位で圧延仕上げ温度、圧下率、冷却速度に差を生じる。
その結果、部位間に強度、延性、靱性のバラつきが発生
し、例えば溶接構造用圧延鋼材(JISG3106)等
の規準に満たない部位が生じる。
し圧延する場合には連続鋳造設備で製造可能なスラブ最
大厚みに限界があるため、低圧下比となり、圧延による
加工と再結晶のくり返しによる鍛練が不十分となる。さ
らに、圧延造形上の寸法精度の制約から板厚の厚いフラ
ンジ部は高温圧延となり、圧延終了後の鋼材冷却は徐冷
となる。このような製造条件においては、ミクロ組織は
粗粒化するため、強度および靱性は著しく低下する。
に強制的に加速冷却させる加工熱処理(以降TMCPと
略記)による細粒化法がある。しかし、形鋼圧延では形
鋼造形上の制約から強圧下圧延は困難であり、一方圧延
後の加速冷却に関しても厚肉のサイズでは十分な冷却を
施すまでに多大な時間を要し、生産性を低下させる問題
が発生する。
用し高強度・高靱性鋼を製造する、例えば特公昭62−
50548号公報、特公昭62−54862号公報の技
術が提案されている。しかし、この方法は引張強度が5
90MPa 級の高強度材になると上部ベイナイト組織を含
むようになる。一般にこの上部ベイナイト組織では、高
炭素島状マルテンサイトを生成し靱性を著しく低下させ
るため、従来高強度化鋼には適用できなかった。
ためには、圧延ままで低炭素ベイナイトを生成させ組織
を微細化し、加えて靱性低下の主原因となる高炭素島状
マルテンサイト相の組織分率を低減させる必要がある。
それには製鋼過程でのマイクロアロイの微量添加制御に
よる成分調整した鋳片の製造が必須である。
実施されている強圧下圧延に代わるものであり、形鋼圧
延での軽圧下の熱間圧延においても効率的に組織の細粒
化が可能なように圧延パス間で水冷し、圧延と水冷を繰
り返す方法にある。この方法はさらに仕上げ圧延温度を
低下させることになり、圧延後の加速冷却においても、
必要とする加速冷却温度域が狭くなるので、水冷時間を
低減し、生産性の低下を回避できる。
靱性を得ることを目的とし、低炭素ベイナイトの生成に
よる組織微細化を製鋼過程においてのNb,V,Moの
微量添加と高Cu添加による合金設計をおこなった。加
えて、熱間圧延工程での圧延パス間で水冷することによ
り、鋼板の表層部と内部に温度差を与え、軽圧下条件下
においても、より高温の内部への圧下浸透を高め、粒内
ベイナイト生成核となる加工転位を導入し、粒内ベイナ
イト生成核を増加させる。さらに、圧延後のγ/α変態
温度域を冷却制御することにより、その核生成させたベ
イナイトの粒成長を抑制する方法によればミクロ組織の
細粒化ができ、高能率で製造コストの安価な制御圧延形
鋼の製造が可能であると言う知見に基づき前記課題を解
決したもので、その要旨とするところは、以下のとおり
である。 (1)重量%でC:0.02〜0.06%、Si:0.
05〜0.25%、Mn:0.8〜1.8%、Cu:
0.7〜1.5%、Ti:0.02%以下、Nb:0.
03%以下、V:0.1%以下、Mo:0.4%以下、
B:0.0003%以下、N:0.004%以下、A
l:0.1%以下、を含み、かつ、MAeq.=10
〔Nb%〕+5〔V%〕+〔Mo%〕の式で示すMAe
q.が0.4〜1.0%となるNb,V,Mo量を含有
し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、それを熱
間圧延で成形した形材あるいは板材の引張強度が590
MPa 以上、0.2%耐力が440MPa 以上、0℃でのシ
ャルピー衝撃吸収エネルギーが47J以上で、かつ組織
中の高炭素島状マルテンサイト相の組織分率が3%以下
であることを特徴とする高張力圧延鋼材。 (2)重量%でC:0.02〜0.06%、Si:0.
05〜0.25%、Mn:0.8〜1.8%、Cu:
0.7〜1.5%、Ti:0.02%以下、Nb:0.
03%以下、V:0.1%以下、Mo:0.4%以下、
B:0.0003%以下、N:0.004%以下、A
l:0.1%以下、を含み、かつ、MAeq.=10
〔Nb%〕+5〔V%〕+〔Mo%〕の式で示すMAe
q.が0.4〜1.0%となるNb,V,Mo量を含有
し、加えてCr:1.0%以下、Ni:2.0%以下、
のいずれかの1種または2種を含有し残部がFeおよび
不可避不純物からなり、それを熱間圧延で成形した形材
あるいは板材の引張強度が590MPa 以上、0.2%耐
力が440MPa 以上、0℃でのシャルピー衝撃吸収エネ
ルギーが47J以上で、かつ組織中の高炭素島状マルテ
ンサイト相の組織分率が3%以下であることを特徴とす
る高張力圧延鋼材。 (3)重量%でC:0.02〜0.06%、Si:0.
05〜0.25%、Mn:0.8〜1.8%、Cu:
0.7〜1.5%、Ti:0.02%以下、Nb:0.
03%以下、V:0.1%以下、Mo:0.4%以下、
B:0.0003%以下、N:0.004%以下、A
l:0.1%以下、を含み、かつ、MAeq.=10
〔Nb%〕+5〔V%〕+〔Mo%〕の式で示すMAe
q.が0.4〜1.0%となるNb,V,Mo量を含有
し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋳片を12
00〜1300℃の温度域に再加熱した後に圧延を開始
し、圧延工程で鋼材の表面温度を700℃以下に水冷
し、以降の圧延パス間の復熱過程で圧延する水冷・圧延
工程を1回以上繰り返し圧延し、圧延終了後に平均温度
が700〜400℃まで0.5〜10℃/sの冷却速度
で冷却し、その後放冷することを特徴とする高張力圧延
鋼材の製造方法。 (4)重量%でC:0.02〜0.06%、Si:0.
05〜0.25%、Mn:0.8〜1.8%、Cu:
0.7〜1.5%、Ti:0.02%以下、Nb:0.
03%以下、V:0.1%以下、Mo:0.4%以下、
B:0.0003%以下、N:0.004%以下、A
l:0.1%以下、を含み、かつ、MAeq.=10
〔Nb%〕+5〔V%〕+〔Mo%〕の式で示すMAe
q.が0.4〜1.0%となるNb,V,Mo量を含有
し、加えてCr:1.0%以下、Ni:2.0%以下の
いずれかの1種または2種を含有し残部がFeおよび不
可避不純物からなる鋳片を1200〜1300℃の温度
域に再加熱した後に圧延を開始し、圧延工程で鋼材の表
面温度を700℃以下に水冷し、以降の圧延パス間の復
熱過程で圧延する水冷・圧延工程を1回以上繰り返し圧
延し、圧延終了後に平均温度が700〜400℃まで
0.5〜10℃/sの冷却速度で冷却し、その後放冷す
ることを特徴とする高張力圧延鋼材の製造方法。
する。鋼の高強度化は・フェライト結晶の微細化・合金
元素による固溶体強化、硬化相による分散強化・微細析
出物による析出強化等によって達成される。また、高靱
性化は・結晶の微細化・母相(フェライト)の固溶N,
Cの低減・破壊の発生起点となる硬化相の高炭素マルテ
ンサイト及び粗大な酸化物、析出物の低減と微細化等に
より達成される。一般的には鋼の高強度化により靱性は
低下し、高強度化と高靱性化は相反する対処が必要であ
る。両者を同時に満たす冶金因子は唯一、結晶の微細化
である。
ロアロイング合金設計に基づき低炭素ベイナイト組織化
し、さらに組織微細化による高強度・高靱性化を達成す
るものである。加えて本発明では、熱間圧延工程におい
て、熱間圧延パス間でフランジ表面を水冷し、その復熱
時に圧延することを繰り返すことによりフランジの板厚
中心部に圧下浸透効果を付与し、この部位においてもT
MCPによる組織微細化効果を高め、この組織微細化に
よりH形鋼の各部位における母材の機械特性を向上させ
るとともにバラツキを低減し均質化を達成するものであ
る。
限定理由について述べる。まず、Cは鋼を強化するため
に添加するもので、0.02%未満では構造用鋼として
必要な強度が得られず。また、0.06%を超える過剰
の添加は、母材靱性、耐溶接割れ性、溶接熱影響部(以
下HAZと略記)靱性などを著しく低下させるので、下
限を0.02%、上限を0.06%とした。
脱酸などに必要であるが、0.25%を超えるとHAZ
内に硬化組織の高炭素島状マルテンサイトを生成し、溶
接継手部靱性を著しく低下させる。また、0.05%未
満では溶鋼の予備脱酸が十分にできないためSi含有量
を0.05〜0.25の範囲に限定した。Mnは母材の
強度、靱性の確保には0.8%以上の添加が必要である
が、溶接部の靱性、割れ性などに対する許容濃度の上限
から1.8%とした。
α相中の転位上にCu相を析出し、その析出硬化により
母材の常温強度を増加させる。ただし、このα中でのC
u相の析出は0.7%未満ではα中でのCuの固溶限内
であり、析出が生じないためCu析出による強化は得ら
れない。また1.5%以上ではその析出強化は飽和する
のでCu:0.7〜1.5%に限定した。
TiCを析出し、その析出硬化により母材および溶接熱
影響部の靱性を劣化させるため0.02%以下に制限し
た。Nbは鋼中に固溶し著しく焼入性を上昇させ強度を
増加させる目的で添加している。0.03%超ではNb
炭窒化物を析出量が増加し固溶Nbとしての効果が飽和
するので0.03%以下に制限した。
き、V炭窒化物の析出により強化することから低合金化
でき溶接特性を向上できる。しかしながら、Vの過剰な
添加は溶接部の硬化や、母材の高降伏点化をもたらすの
で、含有量の上限をV:0.1%とした。Moは母材強
度および高温強度の確保に有効な元素である。0.4%
超ではMo炭化物(Mo2C)を析出し固溶Moとして
の焼入性向上効果が飽和するので0.4%以下に制限し
た。
主原因となる高炭素島状マルテンサイトが顕著に増加す
るので0.0003%以下に制限した。Nは窒化物を生
成し、析出強化および粒成長を抑制するが、固溶Nはフ
ェライトを強化し、またベイナイト相のラス境界に高炭
素島状マルテンサイトの生成を促進し靱性を劣化させる
ためN含有量を0.004%以下に制限した。
力な脱酸元素であり、0.1%超の含有では粗大な介在
物の生成および鋳込み時のノズル詰まりなどを生じるた
め0.1%以下に制限した。次にマイクロアロイのなか
でNb,V,Moの含有量について、MAeq.=10
〔Nb%〕+5〔V%〕+〔Mo%〕の式で示すMAe
q.が0.4〜1.0%となるよう規定した。すなわ
ち、これらの各元素の焼入性に対する寄与を求めた結
果、各元素の重みが関係するという知見によってこの関
係式を設定したものである。この式でのMAeq.が
0.4%未満では目標のベイナイト組織割合が得られ
ず、また1.0%超ではベイナイトは得られるものの過
剰元素が炭窒化物として析出し、靱性低下をもたらすた
め0.4〜1.0%の範囲に限定した。
ては、それらの量を特に限定しないが凝固偏析による溶
接割れ、靱性の低下を生じるので、極力低減すべきであ
り、望ましくはP,S量はそれぞれ0.02%未満に制
限することが望ましい。以上の元素に加えて、母材強度
の上昇、および母材の靱性向上の目的で、Cr,Niの
1種または2種以上を含有することができる。
有効である。しかし1.0%を超える過剰の添加は、靱
性および硬化性の観点から有害となるため、上限を1.
0%とした。Niは母材の強靱性を高める極めて有効な
元素であるが2.0%を超える添加は合金コストを増加
させ経済的でないので上限を2.0%とした。
炭素島状マルテンサイト相の組織分率が3%以下に限定
したのは、3%を超えると、靱性低下が顕著となり0℃
では十分な靱性が得られないためである。上記の処理を
経た鋳片は次に1200〜1300℃の温度域に再加熱
する。この温度域に再加熱温度を限定したのは、熱間加
工による形鋼の製造には塑性変形を容易にするため12
00℃以上の加熱が必要であり、且つV,Nbなどの元
素を十分に固溶させる必要があるため再加熱温度の下限
を1200℃とした。その上限は加熱炉の性能、経済性
から1300℃とした。
以上、フランジ表面温度を700℃以下に冷却し、次の
圧延パス間の復熱過程で圧延する水冷・圧延工程を1回
以上繰り返し行うとしたのは、圧延パス間の水冷によ
り、フランジの表層部と内部とに温度差を付与し、軽圧
下条件においても内部への加工歪みを浸透させるため
と、水冷により短時間で低温圧延を実現させTMCPを
効率的に行うためである。
た後、復熱過程で圧延するのは、仕上げ圧延後の加速冷
却による表面の焼入れ硬化を抑制し軟化させるために行
うものである。その理由はフランジ表面温度を700℃
以下に冷却すれば一旦γ/α変態温度を切り、次の圧延
までに表層部は復熱昇温し、圧延はγ/αの二相共存温
度域での加工となり、γ細粒化と加工された微細αとの
混合組織を形成する。これにより表層部の焼入性を著し
く低減でき、加速冷却により生じる表面層の硬化を防止
できるからである。
00〜400℃まで0.5〜10℃/sの冷却速度で冷
却し放冷するとしたのは、加速冷却によりフェライトの
粒成長抑制とベイナイト組織を微細化し高強度・高靱性
を得るためである。次いで、加速冷却を700〜400
℃で停止するのは、700℃を超える温度で停止した場
合には、表層部の一部がArl点以上となりγ相を残存
し、この共存するγ相が、フェライトに変態し、さらに
フェライトが成長し粗粒化するため加速冷却の停止温度
を700℃以下とした。また、400℃未満の冷却で
は、その後の放冷中にベイナイト相のラス間に生成する
高炭素マルテンサイトが、冷却中にセメンタイトを析出
することにより分解できず、硬化相として存在すること
になる。この高炭素マルテンサイトは脆性破壊の起点と
して作用、靱性の低下を招くことになる。これらの理由
により、加速冷却の停止温度を700〜400℃に限定
した。
鋳造により250〜300mm厚鋳片に鋳造した。鋳片の
冷却はモールド下方の二次冷却帯の水量と鋳片の引き抜
き速度の選択により制御した。該鋳片を加熱し、粗圧延
工程の図示は省略するが、図1に示すユニバーサル圧延
装置列でH形鋼に圧延した。圧延パス間水冷は中間ユニ
バーサル圧延機4の前後に水冷装置5aを設け、フラン
ジ外側面のスプレー冷却とリバース圧延の繰り返しによ
り行い、圧延後の加速冷却は仕上げユニバーサル圧延機
6で圧延終了後にその後面に設置した冷却装置5bでフ
ランジ外側面をスプレー冷却した。
t2 の中心部(1/2t2 )でラフンジ幅全長(B)の
1/4,1/2幅(1/4B,1/2B)から、採集し
た試験片を用い求めた。なお、これらの箇所についての
特性を求めたのは、ラフンジ1/4F部はH形鋼の平均
的な機械特性を示し、フランジ1/2F部はその特性が
最も低下するので、これらの2箇所によりH形鋼の機械
試験特性を代表できると判断したためである。
値、MAeq.値および代表的な炭素当量式(Pcm)
を、表2には、それらの鋼の圧延・加速冷却条件と、そ
れらのH形鋼の機械試験特性値および組織中の高炭素島
状マルテンサイト相の組織分率を示す。なお、圧延加熱
温度を1300℃に揃えたのは、一般的に加熱温度の低
下によりγ粒は細粒化し、機械試験特性を向上させるこ
とは周知であり、高温加熱条件では機械特性の最低値を
示すと推定され、この値がそれ以下の加熱温度での機械
試験特性を代表できると判断したためである。
〜5では、SA440の強度規格を満足している。すな
わち0.2%耐力はその下限値の440MPa を超え、引
張強度も590MPa を超えており、またこれらの降伏比
(YS/TS)は0.8以下の低YR値を満たしてい
る。これらの鋼の圧延組織中の高炭素島状マルテンサイ
ト相の組織分率は、3%以下であり、良好な靱性を保持
する。すなわちシャルピー衝撃値が0℃で47Jを超え
ており、SA440での靱性規格を十分に満たしてい
る。
が、H形鋼7ではCu含有量が、下限値未満であり、強
度が低下し規格値を満たさない。H形鋼8ではCとNb
含有量が、H形鋼9ではMo含有量が、H形鋼10はB
が過剰であるため、焼入性が向上し強度は十分である
が、高炭素島状マルテンサイト相の組織分率は3%以上
であり、0℃での衝撃吸収エネルギーは規格値に届かな
い。H形鋼11では、N濃度が上限値を超えるため、固
溶N量が増加し、靱性が不十分である。
発明の下限値0.4%未満であるため、強度不足を生じ
る。一方H形鋼13では、MAeq.値が上限値1.0
%を超えるため析出強化を生じ靱性値低下をもたらしそ
の規格値を満たすことができない。すなわち、本発明の
製造法の要件が総て満たされた時に、表2に示されるH
形鋼1〜5のように、圧延形鋼の機械試験特性の最も保
証しにくいフランジ板厚1/2、幅1/2部においても
十分な強度、靱性を有する、高張力圧延形鋼の生産が可
能になる。なお、本発明が対象とする圧延形鋼は上記実
施例のH形鋼に限らずI形鋼、山形鋼、溝形鋼、不等辺
不等厚山形鋼等のフランジを有する形鋼や厚鋼板にも適
用できることは勿論である。
圧延法を適用した圧延形鋼は機械試験特性の最も保証し
にくいフランジ板厚1/2、幅1/2部においても十分
な強度を有し、優れた靱性を持つ形鋼の製造が圧延まま
で可能となり、大型鋼構造物の信頼性の向上、安全性の
確保、経済性等の産業上の効果は極めて顕著なものであ
る。
を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で C:0.02〜0.06%、 Si:0.05〜0.25%、 Mn:0.8〜1.8%、 Cu:0.7〜1.5%、 Ti:0.02%以下、 Nb:0.03%以下、 V:0.1%以下、 Mo:0.4%以下、 B:0.0003%以下、 N:0.004%以下、 Al:0.1%以下、 を含み、かつ、MAeq.=10〔Nb%〕+5〔V
%〕+〔Mo%〕の式で示すMAeq.が0.4〜1.
0%となるNb,V,Mo量を含有し、残部がFeおよ
び不可避不純物からなり、それを熱間圧延で成形した形
材あるいは板材の引張強度が590MPa 以上、0.2%
耐力が440MPa 以上、0℃でのシャルピー衝撃吸収エ
ネルギーが47J以上で、かつ低炭素ベイナイト組織中
の高炭素島状マルテンサイト相の組織分率が3%以下で
あることを特徴とする高張力圧延鋼材。 - 【請求項2】 重量%で C:0.02〜0.06%、 Si:0.05〜0.25%、 Mn:0.8〜1.8%、 Cu:0.7〜1.5%、 Ti:0.02%以下、 Nb:0.03%以下、 V:0.1%以下、 Mo:0.4%以下、 B:0.0003%以下、 N:0.004%以下、 Al:0.1%以下、 を含み、かつ、MAeq.=10〔Nb%〕+5〔V
%〕+〔Mo%〕の式で示すMAeq.が0.4〜1.
0%となるNb,V,Mo量を含有し、加えてCr:
1.0%以下、Ni:2.0%以下、のいずれかの1種
または2種を含有し残部がFeおよび不可避不純物から
なり、それを熱間圧延で成形した形材あるいは板材の引
張強度が590MPa 以上、0.2%耐力が440MPa 以
上、0℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーが47J以
上で、かつ低炭素ベイナイト組織中の高炭素島状マルテ
ンサイト相の組織分率が3%以下であることを特徴とす
る高張力圧延鋼材。 - 【請求項3】 重量%で C:0.02〜0.06%、 Si:0.05〜0.25%、 Mn:0.8〜1.8%、 Cu:0.7〜1.5%、 Ti:0.02%以下、 Nb:0.03%以下、 V:0.1%以下、 Mo:0.4%以下、 B:0.0003%以下、 N:0.004%以下、 Al:0.1%以下、 を含み、かつ、MAeq.=10〔Nb%〕+5〔V
%〕+〔Mo%〕の式で示すMAeq.が0.4〜1.
0%となるNb,V,Mo量を含有し、残部がFeおよ
び不可避不純物からなる鋳片を1200〜1300℃の
温度域に再加熱した後に圧延を開始し、圧延工程で鋼材
の表面温度を700℃以下に水冷し、以降の圧延パス間
の復熱過程で圧延する水冷・圧延工程を1回以上繰り返
し圧延し、圧延終了後に平均温度が700〜400℃ま
で0.5〜10℃/sの冷却速度で冷却し、その後放冷
することを特徴とする高張力圧延鋼材の製造方法。 - 【請求項4】 重量%で C:0.02〜0.06%、 Si:0.05〜0.25%、 Mn:0.8〜1.8%、 Cu:0.7〜1.5%、 Ti:0.02%以下、 Nb:0.03%以下、 V:0.1%以下、 Mo:0.4%以下、 B:0.0003%以下、 N:0.004%以下、 Al:0.1%以下、 を含み、かつ、MAeq.=10〔Nb%〕+5〔V
%〕+〔Mo%〕の式で示すMAeq.が0.4〜1.
0%となるNb,V,Mo量を含有し、加えてCr:
1.0%以下、Ni:2.0%以下のいずれかの1種ま
たは2種を含有し残部がFeおよび不可避不純物からな
る鋳片を1200〜1300℃の温度域に再加熱した後
に圧延を開始し、圧延工程で鋼材の表面温度を700℃
以下に水冷し、以降の圧延パス間の復熱過程で圧延する
水冷・圧延工程を1回以上繰り返し圧延し、圧延終了後
に平均温度が700〜400℃まで0.5〜10℃/s
の冷却速度で冷却し、その後放冷することを特徴とする
高張力圧延鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP00579996A JP3412997B2 (ja) | 1996-01-17 | 1996-01-17 | 高張力圧延鋼材及びその製造方法 |
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JP00579996A JP3412997B2 (ja) | 1996-01-17 | 1996-01-17 | 高張力圧延鋼材及びその製造方法 |
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