JP2962629B2 - 超音波探傷試験における内部特性の優れた耐火形鋼の製造方法 - Google Patents

超音波探傷試験における内部特性の優れた耐火形鋼の製造方法

Info

Publication number
JP2962629B2
JP2962629B2 JP2291693A JP2291693A JP2962629B2 JP 2962629 B2 JP2962629 B2 JP 2962629B2 JP 2291693 A JP2291693 A JP 2291693A JP 2291693 A JP2291693 A JP 2291693A JP 2962629 B2 JP2962629 B2 JP 2962629B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
rolling
weight
section steel
toughness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2291693A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06235021A (ja
Inventor
卓 吉田
和彦 江田
広一 山本
雅文 芝田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2291693A priority Critical patent/JP2962629B2/ja
Publication of JPH06235021A publication Critical patent/JPH06235021A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2962629B2 publication Critical patent/JP2962629B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建造物の構造部材とし
て用いられる超音波探傷試験における内部特性(以下、
UT特性という)の優れた耐火形鋼の製造方法に係わる
ものである。
【0002】
【従来の技術】建築物の安全基準の厳格化等により梁お
よび柱用に用いられる代表的な形鋼であるH形鋼には、
一層の高機能化が求められている。その一例として耐火
設計の見直しが建設省総合プロジェクトより行われ、昭
和63年3月に「新耐火設計法」が制定されたように旧
法令による火災時に鋼材の温度を350℃以下にするよ
うに耐火被覆するとした制限が解除され、鋼材の高温強
度と建築物の実荷重とのかねあいにより、それに適合す
る耐火被覆方法を決定できるようになった。即ち、60
0℃での設計高温強度を確保できる場合にはそれに見合
い耐火被覆を削減できるようになった。
【0003】このような動向に対応し、先に特開平2−
77523号公報の耐火性の優れた建築用低降伏点比鋼
および鋼材並びにその製造方法が提案されている。この
先願発明の要旨は600℃の降伏点が常温時の70%以
上となるようにMo , Nb を添加し高温強度を向上させ
たものである。鋼材の設計高温強度を600℃に設定し
たのは、合金元素による鋼材費の上昇とそれによる耐火
被覆施工費とのかねあいから最も経済的であるという知
見に基づいたものである。
【0004】この耐火鋼材を従来は圧延終了後、大気中
に放冷して製造しているが、フランジを有する形鋼、特
にH形鋼を製造する場合フィレット部においてしばしば
超音波探傷による内部欠陥(以下、UT欠陥という)が
出現していた。これに対し、本発明ではUT欠陥を解消
させるために従来の発想とは異なり、冷却過程の冶金的
現象に着目し、徐冷することにより自己焼き戻し効果を
採り入れた点に特徴がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般にフランジを有す
る形鋼、例えばH形鋼を連続鋳造スラブを素材としてユ
ニバーサル熱間圧延で製造すると、フィレット部におい
てUT特性が著しく悪化する。この理由は、連続鋳造ス
ラブを素材とするユニバーサル圧延では素材中心偏析部
が圧延中に集積され、マクロ偏析が出現していない部位
を圧延した場合よりもP、S等の不純物元素がフェライ
ト結晶粒界に濃化し、脆くなるためである。その結果、
例えば、溶接構造用圧延鋼材(JIS G3106)等
の基準に満たない部位が生じる。特に耐火性に優れた鋼
は前述の先願発明に見られるようにMo 等の焼入れ性を
向上させる元素が含有するので、フィレット部ではベイ
ナイトや島状マルテンサイトを生成し、一般鋼よりも一
層UT特性が低下する。その結果、例えば、前記JIS
規格等の基準に満たない部位が生じるものである。
【0006】この偏析の集積に対する対策については、
例えば、特開平2−46960号公報、特開平2−15
857号公報等にみられるように、素材製造段階の連続
鋳造時に、中心のマクロ偏析の生成そのものを抑制する
方法があるが、いずれも連続鋳造設備に特殊な圧下装置
の設置が必要なため、製造コストの上昇等、経済性に問
題があった。
【0007】本発明は生産効率を低下させずに、効率的
に圧延ままでUT欠陥を軽減させ、安価で経済的なUT
特性の優れた耐火形鋼の製造方法を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するためになされたものであり、その特徴点は製鋼
過程において適正な脱酸処理を行い、溶鋼の清浄化、溶
存酸素濃度調整、合金元素のうちAl の添加順序の変更
等により、Al 添加量の制御を行い、鋼中に多数の微細
な複合酸化物を分散させることにより粒内フェライトを
生成させ、ミクロ組織を細粒化し、さらに、圧延後の冷
却工程において徐冷却させることにある。即ち、本発明
は従来の粗圧延前の鋳片を一定温度・時間で焼準処理す
る手段に比較して、格別な設備を必要とせず経済的で効
率良く適正な焼準処理を行うものである。
【0009】本発明の要旨は、(1) 溶鋼に予備脱酸処理
を行い、溶存酸素を重量%で0.003〜0.015%
に溶製後、合金添加により、重量%でC:0.04〜
0.2%、Si : 0.05〜0.50%、Mn : 0.4
〜2.0%、Mo : 0.3〜0.7%、V:0.05〜
0.20%、N:0.004〜0.015%、Ti :
0.005〜0.025%を含み、残部がFe 及び不可
避不純物からなる溶鋼に調整し、さらに金属アルミニウ
ムあるいはフェロアルミニウムの添加により脱酸し、該
Al 含有量が重量%で0.005〜0.015%で、か
つ溶鋼の溶存酸素〔O%〕に対し、−0.004≦〔A
l %〕−1.1〔O%〕≦0.006の関係を満たす鋳
片に鋳造し、該鋳片を1100〜1300℃の温度域に
再加熱後、ユルバーサル圧延法で熱間圧延を実施し、7
50〜1050℃の温度範囲で圧延を終了した後、圧延
終了後に400〜650℃までの冷却速度を0.01℃
/s〜0.30℃/sの範囲内で冷却して製造するUT
特性の優れた耐火形鋼の製造方法であり、さらには、
(2) 溶鋼に予備脱酸処理を行い、溶存酸素を重量%で
0.003〜0.015%に溶製後、合金添加により、
重量%でC:0.04〜0.2%、Si : 0.05〜
0.50%、Mn : 0.4〜2.0%、Mo : 0.3〜
0.7%、V:0.05〜0.20%、N:0.004
〜0.015%、Ti : 0.005〜0.025%を含
み、加えてCr ≦0.7%、Ni ≦1.0%、Nb ≦
0.05%、Cu ≦1.0%の1種または2種以上を含
み、残部がFe 及び不可避不純物からなる溶鋼に調整
し、さらに金属アルミニウムあるいはフェロアルミニウ
ムの添加により脱酸し、該Al 含有量が重量%で0.0
05〜0.015%で、かつ溶鋼の溶存酸素〔O%〕に
対し、−0.004≦〔Al %〕−1.1〔O%〕≦
0.006の関係を満たす鋳片に鋳造し、該鋳片を11
00〜1300℃の温度域に再加熱後、ユニバーサル圧
延法で熱間圧延を実施し、750℃〜1050℃の温度
範囲で圧延を終了した後、圧延終了後に400℃〜65
0℃までの冷却速度を0.01℃/s〜0.30℃/s
の範囲内で冷却して製造するUT特性の優れた耐火形鋼
の製造方法にある。
【0010】
【作用】以下、本発明の作用を実施例に基づき詳細に説
明する。鋼材の高温強度は鉄の融点のほぼ 1/2 の温度
の700℃以下では常温の強化機構とほぼ同様であり、
フェライト結晶粒径の微細化、合金元素による固溶
体強化、硬化層による分散強化、微細析出物による
析出強化等によって支配される。一般にMo 、Cr の添
加により析出強化することと転位の消失抑制による高温
での軟化抵抗を高めることにより達成されている。しか
しMo 、Cr の添加は著しく焼入れ性を上げ、母材のフ
ェライト+パーライト組織をベイナイト組織に変化させ
る。ベイナイト組織を生成し易い成分系鋼を圧延H形鋼
に適用した場合は、特に圧延工程で素材である連続鋳造
スラブの中心偏析部が集積されるように加工されるフィ
レット部において上記Mo 、Cr が濃化し、ベイナイト
および島状マルテンサイト組織分率が著しく高くなる。
その結果として特に靱性が低下し、内部で割れが発生
し、UT欠陥等が出現する。
【0011】本発明の特徴はベイナイトあるいは島状マ
ルテンサイト中に過飽和に固溶したCを圧延終了後40
0〜650℃の温度域で徐冷することにより、安定炭化
物として析出させ、靱性の低下を抑制させることから、
内部での割れを防止し、優れたUT特性を有するところ
にある。つぎに本発明が対象とする基本成分範囲の限定
理由について述べる。
【0012】まず、Cは鋼の強度を向上させる有効な成
分として添加するもので0.04%未満では、構造用鋼
として必要な強度が得られず、また0.20%を超える
過剰の添加は、母材靱性、耐溶接割れ性、溶接熱影響部
靱性等を著しく低下させるので、下限を0.04%、上
限を0.20%とした。Si は母材の強度確保、溶鋼の
予備脱酸等に必要であるが0.50%を超えると溶接熱
影響部内に硬化組織の高炭素マルテンサイトを生成し、
溶接継手部靱性を著しく低下させる。また、0.05%
未満では必要な溶鋼の予備脱酸ができないため、Si 含
有量を0.05%〜0.50%の範囲に限定した。
【0013】Mn は母材の強度、靱性の確保には0.4
%以上の添加が必要であるが、溶接部の靱性、割れ性等
の許容できる範囲内で上限を2.0%とした。NはVN
の析出には極めて重要な元素であるが、0.003%未
満ではVNの析出量が不足し、フェライト組織の充分な
生成量が得られず、600℃の高温強度も確保できない
ため0.003%を下限とした。他方0.015%を超
えると母材靱性が劣化し、連続鋳造時に鋼片に表面割れ
が生じるため0.015%を上限とした。
【0014】Mo は母材強度および高温強度の確保に有
効な元素であるが、0.3%未満ではVNの析出強化と
の複合作用によっても充分な高温強度が確保できず、
0.7%を超えると焼入れ性が上昇しすぎて母材靱性、
溶接熱影響部靱性が劣化するため0.3〜0.7%に制
限した。Ti は脱酸材としてTi 系酸化物を生成させ、
圧延時に粒内フェライトの生成を促進させ、また微細な
TiNを析出させ、オーステナイトの細粒化と粒内フェ
ライトの生成を促進し、母材及び溶接部の靱性を向上さ
せる効果があるが、0.005%未満では酸化物中のT
i 含有量が不足し、粒内フェライト生成核としての作用
が低下し、他方0.025%を超えると過剰なTi はT
iCを生成し、析出硬化を生じ溶接熱影響部の靱性を著
しく低下させるため0.005〜0.25%に制限し
た。
【0015】不可避不純物として含有するP,Sはその
量について特に限定しないが、凝固時のマクロ偏析によ
り溶接割れや靱性の低下が生じるので、極力低減すべき
であり、また、本発明でP,S量が、目的とする量まで
低減できるのは、それぞれ0.02%未満である。以上
が本発明の対象となる鋼の基本成分であるが、母材強度
の上昇及び靱性向上の目的で、V、Cr 、Ni 、Nb 、
Cu 、の1種または2種以上を含有することができる。
【0016】まず、VはVNとして粒内フェライト組織
の生成とその微粒化、高温強度の確保のために極めて重
要であるが、0.02%超では析出物が過剰になり、母
材靱性の溶接熱影響部靱性が劣化するため上限を0.0
2%に制限した。Ni は、母材の強靱性を高める極めて
有効な元素であるが、1.0%超の添加は合金コストを
増加させ経済的でないので上限を1.0%とした。
【0017】Cr は焼入れ性を向上させ、母材の強化、
高温強化に有効である。しかし、0.7%を超える過剰
の添加は、靱性及び硬化性の観点から有害となるため上
限を0.7%とした。Nb は母材の強靱化には有効であ
るが、0.05%を超える過剰の添加は靱性及び硬化性
の観点から有害となるため上限を0.05%とした。
【0018】Cu は母材の強化、耐候性に有効な元素で
あるが、応力除去焼鈍による焼戻し脆性、溶接割れ、熱
間加工割れなどを考慮して、上限を1.0%とした。溶
鋼の予備脱酸処理を行い、溶存酸素を重量%で0.00
3〜0.015%に制御するのは、溶鋼を高清浄化する
と同時に鋳片内に微細な酸化物を分散させるために極め
て重要だからである。予備脱酸後の〔O〕濃度が0.0
03%未満では粒内フェライト変態を促進する粒内フェ
ライト生成核の複合酸化物が減少し、細粒化できないた
め靱性は向上できない。一方、0.015%を超える場
合は、他の条件を満たしていても、酸化物が粗粒化し、
脆性破壊の発生起点となり、靱性を低下させる。以上の
理由により、予備脱酸後の〔O〕濃度を0.003〜
0.015%に限定した。
【0019】なお、予備脱酸処理は真空脱ガスとAl 、
Si 、Zr 、Ca 、Mg 脱酸の1種あるいは2種以上の
組合わせで行った。その理由は真空ガス処理は直接溶鋼
中の酸素をガス及びCOガスとして除去し、Al 、Si
、Zr 、Ca 、Mg 等の強脱酸により生成する酸化物
系介在物は浮上し除去しやすいため、溶鋼の清浄化に極
めて効果的だからである。
【0020】Al は強力な脱酸元素であるが、0.01
5%超の含有は粒内フェライト変態を促進する複合酸化
物が形成されず、靱性の低下がもたらされることと、過
剰の固溶Al はNと化合しAlNを形成し、本発明鋼の
特徴であるVNの析出量を低減させるため0.015%
以下に制限し、一方、0.005%未満では目的の複合
酸化物が生成できないため、0.005〜0.015%
に制限した。
【0021】さらに溶鋼のAl 含有量〔Al %〕を溶鋼
の溶存酸素〔O%〕に対し−0.004≦〔Al %〕−
1.1〔O%〕≦0.006%の関係を満たすように制
限したのは、この関係において重量%でAl が〔O〕濃
度に対し過剰である場合は複合酸化物の生成数が減少
し、粒内フェライト生成核としては無効なAl23 を多
数生成して組織の細粒化ができず靱性が低下し、重量%
でAl が〔O〕濃度に対し過小である場合は粒内フェラ
イト核となる複合酸化物が著しく減少するため組織の細
粒化ができず靱性が低下するためである。Al の添加順
序を最後とするのは製鋼の初期段階で添加した場合には
Al は脱酸力が強く、粒内フェライト生成核としては無
効なAl23 を生成し、浮上し易いためと、低融点の複
合酸化物ができにくいためである。
【0022】上記の製造方法で溶製した溶鋼を連続鋳造
機により鋳片に製造した後、1100〜1300℃の温
度域に再加熱する。この温度域に再加熱温度を限定した
のは、熱間加工による形鋼の製造には塑性変形を容易に
するため1100℃以上の加熱が必要であり、また、加
熱炉の性能、経済性から上限を1300℃とした。加熱
した鋼材は、粗圧延、中間圧延、仕上圧延の各工程によ
って圧延成形を行う。圧延終了温度を750〜1050
℃としたのは、低温圧延ほど靱性は向上するが、形鋼の
造形上750℃未満での加工は困難であり、また105
0℃を超えての加工は粗粒組織を生成して靱性が低下す
るためである。
【0023】熱間圧延後に400〜650℃までの温度
域での平均冷却速度を0.01〜0.30℃/sとした
のはフィレット部内に存在する偏析集積部のベイナイト
あるいは島状マルテンサイト組織中に過飽和に固溶し、
靱性およびUT特性を阻害する、C、Nを徐冷却により
冷却過程で焼戻しさせることにより炭化物、窒化物とし
て析出させ、上記材質特性を向上させるためである。平
均冷却速度が0.01℃/s未満では、充分に炭化物
化、窒化物化が進行し、UT特性は充分に改善されるも
のの生産効率に支障をきたすため下限値を0.01℃/
sとし、0.30℃/s超では炭化物化、窒化物化が不
充分でUT特性の改善効果は小さいため上限値を0.3
0℃/sとした。
【0024】
【実施例】試作形鋼は転炉溶製し、成分調整後、連続鋳
造により240mm〜300mm厚鋳片に鋳造した後、図1
に示すレイアウトの加熱炉1で加熱し、粗圧延機2で粗
圧延した後、引き続いて、第1中間圧延機3、第2中間
圧延機4、仕上圧延機5で所定の寸法のH形鋼となるま
で成形を行う。圧延後の冷却速度は冷却床6またはオフ
ライン7において鋼材間隔を調整して冷却するかあるい
は保冷用のカバーにて鋼材を覆いつつ冷却することによ
り400〜650℃間の冷却速度を0.01〜0.30
℃/sに調整する。
【0025】機械特性は、図2に示すH形鋼8のフラン
ジ9の板厚t2 の中心部(1/2 t2)でフランジ幅全長
(B)の1/4幅(1/4B)、1/2幅(1/2B)
から、及び、ウェブ10の中心部で、ウェブ高さの1/
2部(1/2H)から試験片を採取して求めた。なお、
これらの箇所の特性を求めたのは、フランジ1/4B部
とウェブ1/2H部はフランジ部とウェブ部の各々の平
均的な機械特性を示し、フランジ1/2BはUT特性が
最も低下するフィレット部11に相当するので、これら
3箇所によりH形鋼の機械試験特性およびUT特性を代
表できるとしたためである。ここで、超音波探傷試験に
ついては、JISでは特に定められていないが、例え
ば、感度 STB-N1 100%+1.5dB の条件でUTエコー最大
高さが30%以上である場合は実用上有害であるとみな
し、30%未満であれば実用上問題ないとみなす。
【0026】表1は、試作鋼の化学成分値を示し、表2
は圧延と冷却条件に対する機械試験特性を示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】なお、加熱温度を1280℃に揃えたの
は、一般的に加熱温度の低減によって、機械特性を向上
させることは周知であり、高温加熱条件は機械特性の最
低値を示すと推定され、この値がそれ以下の加熱温度で
の特性を代表できると判断したためである。表2に示す
ように本発明による鋼1〜6は、目標の母材強度(前記
JIS G3106)と0℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギー値
47(J)以上を充分に満たしなおかつフランジ1/2
部でのUT欠陥に関してはエコー最大高さが30%未満
であり、問題ない。一方、比較鋼の鋼7は、圧延終了後
400〜650℃間の平均冷却速度は0.31℃/sで
あるが、母材強度は規格を満たすものの、フィレット部
に相当するフランジの板厚1/2で幅1/2部ではUT
エコー最大高さが41%検出されており有害である。鋼
8は、フランジ板厚が24mmで鋼7のフランジ板厚35
mmよりも11mm薄いサイズで圧延終了後400〜650
℃間の平均冷却速度は1.21℃/sであるが、フラン
ジの板厚1/2で幅1/2部でUTエコー最大高さが3
2%となり有害である。さらに鋼9では、フランジの板
厚が60mmと厚く、圧延終了後400〜650℃間の平
均冷却速度は0.70℃/sであるが、フランジの板厚
1/2で幅1/2部のUTエコー最大高さが60%とな
り、UT欠陥はさらに顕著となる。
【0030】即ち、本発明の要件が全て満たされた時
に、表2に示される鋼1〜6のように、圧延形鋼の機械
試験特性を最も満たしにくいフィレット部においても充
分な強度を有し、UT特性を有する圧延形鋼の製造が可
能になる。なお、本発明が対象とする圧延形鋼は、上記
のH形鋼のみならず、I形鋼、山形鋼、溝形鋼、不等辺
不等厚山形鋼等のフランジを有する形鋼にも適用できる
ことは勿論である。
【0031】
【発明の効果】本発明により、UT欠陥が発生しやすい
フィレット部においても優れたUT特性を有する形鋼
が、効率的に製造可能となり、大型建造物の信頼性向
上、安全性確保、経済性の向上等の産業上の効果は極め
て顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を実施する装置配置列例の説明略図で
ある。
【図2】H形鋼の断面形状を示し、各部位の名称と機械
試験片の採取位置を示す図である。
【符号の説明】
1…加熱炉 2…粗圧延機 3…第1中間圧延機 4…第2中間圧延機 5…仕上圧延機 6…冷却床 7…オフライン 8…H形鋼 9…フランジ 10…ウェブ 11…フィレット部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芝田 雅文 大阪府堺市築港八幡町1番地 新日本製 鐵株式会社堺製鐵所内 (56)参考文献 特開 平5−105947(JP,A) 特開 平5−271754(JP,A) 特開 平4−141552(JP,A) 特開 平4−157117(JP,A) 特開 平2−305918(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 8/00 C21D 9/00 102

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C : 0.04〜0.20%、 Si : 0.05〜0.50%、 Mn : 0.4〜2.0%、 Mo : 0.3〜0.7%、 N : 0.003〜0.015%、 Ti : 0.005〜0.025% を含み、残部がFe 、及び不可避不純物からなる溶鋼を
    予備脱酸処理によって溶存酸素を重量%で0.003〜
    0.015%に調整後、さらに金属アルミもしくはフェ
    ロアルミの添加により脱酸し、該Al 含有量が重量%で
    0.005〜0.015%で、かつ溶鋼の溶存酸素〔O
    %〕に対し、−0.004≦〔Al %〕−1.1〔O
    %〕≦0.006の関係を満たす鋳片に連続鋳造で鋳造
    し、該鋳片を1100〜1300℃の温度域に再加熱後
    に圧延を開始し、750〜1050℃の温度範囲で圧延
    を終了させ、圧延終了後に400〜650℃までの冷却
    速度を0.01℃/s〜0.30℃/sの範囲内で冷却
    して製造することを特徴とする超音波探傷試験における
    内部特性の優れた耐火形鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で C : 0.04〜0.20%、 Si : 0.05〜0.50%、 Mn : 0.4〜2.0%、 Mo : 0.3〜0.7%、 N : 0.003〜0.015%、 Ti : 0.005〜0.025% を含み、加えてV≦0.20%、Cr ≦0.7%、Nb
    ≦0.05%、Ni ≦1.0%、Cu ≦1.0%の1種
    または2種以上を含み、残部がFe 、及び不可避不純物
    からなる溶鋼を予備脱酸処理によって溶存酸素を重量%
    で0.003〜0.015%に調整後、さらに金属アル
    ミもしくはフェロアルミの添加により脱酸し、該Al 含
    有量が重量%で0.005〜0.015%で、かつ溶鋼
    の溶存酸素〔O%〕に対し、−0.004≦〔Al %〕
    −1.1〔O%〕≦0.006の関係を満たす鋳片に連
    続鋳造で鋳造し、該鋳片を1100〜1300℃の温度
    域に再加熱後に圧延を開始し、750〜1050℃の温
    度範囲で圧延を終了させ、圧延終了後に400〜650
    ℃までの冷却速度を0.01℃/s〜0.30℃/sの
    範囲内で冷却して製造することを特徴とする超音波探傷
    試験における内部特性の優れた耐火形鋼の製造方法。
JP2291693A 1993-02-10 1993-02-10 超音波探傷試験における内部特性の優れた耐火形鋼の製造方法 Expired - Lifetime JP2962629B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2291693A JP2962629B2 (ja) 1993-02-10 1993-02-10 超音波探傷試験における内部特性の優れた耐火形鋼の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2291693A JP2962629B2 (ja) 1993-02-10 1993-02-10 超音波探傷試験における内部特性の優れた耐火形鋼の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06235021A JPH06235021A (ja) 1994-08-23
JP2962629B2 true JP2962629B2 (ja) 1999-10-12

Family

ID=12095972

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2291693A Expired - Lifetime JP2962629B2 (ja) 1993-02-10 1993-02-10 超音波探傷試験における内部特性の優れた耐火形鋼の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2962629B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06235021A (ja) 1994-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2760713B2 (ja) 耐火性及び靱性の優れた制御圧延形鋼の製造方法
JP2661845B2 (ja) 含オキサイド系耐火用形鋼の制御圧延による製造方法
JP4207334B2 (ja) 溶接性と耐応力腐食割れ性に優れた高強度鋼板およびその製造方法
JP2607796B2 (ja) 靭性の優れた低合金圧延形鋼の製造方法
JP2579841B2 (ja) 圧延ままで耐火性及び靱性の優れた粒内フェライト系形鋼の製造方法
JPH0765097B2 (ja) 耐火性及び溶接部靭性の優れたh形鋼の製造方法
JP2000328174A (ja) フィレット部靭性および耐ut欠陥特性の優れたh形鋼およびその製造方法
JP3004155B2 (ja) 靭性の優れた形鋼の製造方法
JP3397271B2 (ja) 耐火用圧延形鋼およびその製造方法
JP3004154B2 (ja) 靭性の優れた形鋼の製造方法
JP3107697B2 (ja) 強度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の製造方法
JP2962629B2 (ja) 超音波探傷試験における内部特性の優れた耐火形鋼の製造方法
JP3107698B2 (ja) 強度・靱性および耐火性の優れたフランジを有する形鋼の製造方法
JP2601961B2 (ja) 靭性の優れた圧延形鋼の製造方法
JP3181448B2 (ja) 含酸化物分散鋳片及びその鋳片による靱性の優れた圧延形鋼の製造方法
JP3241199B2 (ja) 酸化物粒子分散鋳片及びその鋳片を素材とする靭性の優れた圧延形鋼の製造方法
JP3107695B2 (ja) 強度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の製造方法
JP2543282B2 (ja) 靭性の優れた制御圧延形鋼の製造方法
JP3107696B2 (ja) 強度・靱性および耐火性の優れたフランジを有する形鋼の製造方法
JP3323272B2 (ja) 延性および靭性に優れた高強度レールの製造法
JP2647313B2 (ja) 含オキサイド系降伏点制御圧延形鋼およびその製造方法
JP2834500B2 (ja) 抵温靭性の優れた高張力鋼板の製造法
JP2529042B2 (ja) 冷間成形による建築用低降伏比鋼管の製造法
JPH08283902A (ja) 耐火用圧延形鋼およびその製造方法
JP3241198B2 (ja) 耐火用酸化物粒子分散鋳片及びこの鋳片を素材とした耐火用圧延形鋼の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19990629