JP7183721B2 - 連続鋳造鋳片の熱間幅圧下圧延方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片の熱間幅圧下圧延方法 Download PDF

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本発明は、連続鋳造鋳片の熱間幅圧下圧延方法に関する。
連続鋳造機で鋳造して得られた鋳片(スラブ)を所定長さに切断した後、すぐに当該鋳片を加熱し熱間幅圧下圧延するプロセスが行われる場合がある。このプロセスによれば、連続鋳造機で鋳造された鋳片の顕熱を利用して短時間の加熱で鋳片を圧延することができるため、工程の大幅な削減による生産性向上や省エネルギー化が可能となる。
一方、連続鋳造鋳片には、鋳型内での凝固中に割れの芽が発生している。連続鋳造鋳片を熱間幅圧下圧延した際に、この割れの芽から鋳片に割れや疵が発生しやすいという課題がある。そこで、こうした課題を解決するため、これまで種々の方法が検討されてきた。
例えば、特許文献1には、連続鋳造された高温鋳片スラブをホットチャージ圧延する際に、(Fe,Mn)S、(Fe,Mn)O等の微細な準安定析出物がデンドライト界面やオーステナイト粒界面に析出して、熱間圧延による引張応力で発生する割れを防止するため、O,Sを所定量以下とし、Mn/Sを10以上とすると共に冷却速度を規定し、950~1300℃で少なくとも10分間保温した鋳片スラブを熱間幅圧延する方法が開示されている。これにより、割れの原因となる微細な準安定析出物を粗大球状化すると共に、MnSを粒内に析出させて無害化し、割れ発生を防止できるとしている。
また、特許文献2記載の技術は、Alキルド鋼鋳片を直送圧延する方法であって、連続鋳造中の二次冷却における冷却速度を規定してAr1変態させ、復熱させてAc3変態させることによって、金属組織の相変態を2度行わせ、割れの原因となる低融点のFeリッチな複合硫化物の析出位置を粒界とは異なるところに制御し、鋳片の表面疵を防止する方法が開示されている。
特公平1-12561号公報 特許第3575400号公報
連続鋳造鋳片を加熱し熱間幅圧下圧延するプロセスでは、鋳片の表面近傍に存在する微少な割れの芽が熱間幅圧下圧延時に開口して割れとなりやすい。特に、熱間幅圧下圧延時に温度が低下する鋳片の幅方向コーナー近傍では割れが発生しやすい。これをエッジ割れと呼んでおり、製品での疵の原因となるため、発生を抑制することが求められていた。
上記課題に対して、特許文献1に記載の方法で、ある程度はエッジ割れの発生を抑制できるものの、完全に防止することはできなかった。また、特許文献1の実施例に記載されているように、鋳片を1050~1210℃の温度で加熱すると、鋳片表面に厚いスケールが生成し、スケールを噛み込むスケール起因疵が発生するという新たな課題があった。
特許文献2に記載の方法では、全体的に割れにくくすることはできるが、鋳片幅方向コーナー部は、温度が下がった後、復熱しにくいため本技術を適用できず、エッジ割れの防止はできなかった。
このように、先行技術では、連続鋳造鋳片を熱間幅圧下圧延する際に発生するエッジ割れとスケール起因疵を防止することはできていない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、連続鋳造鋳片を加熱し熱間幅圧下圧延するプロセスにおいて、鋳片のエッジ割れとスケール起因疵を共に防止することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、Cを0.03~0.30質量%、Siを0.01~0.80質量%、Mnを0.79~3.00質量%、Pを0.005~0.050質量%、Sを0.0001~0.0150質量%、Alを0.01~0.10質量%含有する溶鋼を連続鋳造機で鋳造し、得られた鋳片を所定長さに切断した後、該鋳片を加熱しサイジングミルを用いて熱間幅圧下圧延する方法において、
熱間幅圧下圧延開始温度T(℃)が(1)式を満足し、且つ990℃未満であることを特徴としている。
T>1/{-188.09([Mn]・[S])+5.5229([Mn]・[S])-0.0541([Mn]・[S])+0.000983}-273 (1)
ここで、[Mn]:Mnの濃度(質量%)、[S]:Sの濃度(質量%)
本発明者らは、鋳片のエッジ割れの起点が、鋳片の表面近傍の割れの芽に析出したMnS非金属介在物であることを発見した。因って、鋳片を熱間幅圧下圧延するときにMnS非金属介在物が析出していないようにできれば、鋳片のエッジ割れを防止することができる。
本発明では、鋳片に含まれるMnとSの濃度積に応じて決まる温度(Mn及びSが鉄中に固溶した状態の温度)で鋳片を熱間幅圧下圧延する。具体的には、熱間幅圧下圧延開始温度Tが(1)式を満足すると、MnS非金属介在物の析出量をエッジ割れに影響しないレベルまで低減でき、鋳片のエッジ割れが防止される。
また、熱間幅圧下圧延開始温度Tが990℃以上となる温度まで加熱炉で加熱すると、鋳片表面にスケールが大量に生成して表面疵の原因となるので、熱間幅圧下圧延開始温度Tは990℃未満とする。
本発明に係る連続鋳造鋳片の熱間幅圧下圧延方法では、熱間幅圧下圧延開始温度を制御することにより、MnS非金属介在物を析出させないようにして鋳片のエッジ割れを防止すると共に、スケールの過剰な生成を抑制してスケール起因疵を防止することができる。
950℃における熱力学平衡計算によるMnS析出量と実際の熱間幅圧下圧延後の鋳片のエッジ割れ発生率との関係を示したグラフである。 S濃度、温度を変化させたときの熱力学平衡計算によるMnS析出量との関係を示したグラフである。 熱間幅圧下圧延開始温度とスケール起因疵発生率との関係を示したグラフである。 [Mn]・[S]濃度積と熱間幅圧下圧延開始温度の関係において、エッジ割れ発生及び/又はスケール起因疵発生領域との関係を示したグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
[本発明の考え方]
本発明者らは、炭素鋼を連続鋳造機で鋳造し、得られた鋳片(スラブ)を所定長さに切断した後、当該鋳片を加熱し、サイジングミルを用いて熱間幅圧下圧延したものについて割れ等の調査を実施した。
炭素鋼はC-Si-Mn系の成分組成を有する鋼種とし、鋼中のSを20ppm~100ppmの低濃度から高濃度まで変化させた各鋳片について熱間幅圧下圧延を行った。そして、熱間幅圧下圧延後の鋳片から全幅で100mm程度の長さでサンプリングして、まずは目視でエッジ割れの有無を確認した。
熱間幅圧下圧延後にエッジ割れが発生した鋳片から、エッジ割れ部位を100mm角×10mm厚みの詳細観察用の試験片を切り出して、金属組織、非金属介在物の調査、解析を行った。
電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて観察した結果、エッジ割れが発生した周囲には、割れに沿ってまだ結合していない微細な亀裂が多数並んで分布していることが確認された。また、その微細な亀裂の内部に多数の介在物が存在しており、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて非金属介在物を同定した結果、MnS非金属介在物であることがわかった。これらの観察結果から推定されるエッジ割れ発生メカニズムは以下の通りである。
連続鋳造時の鋳片、特に温度が低下しやすい幅方向コーナー部で、割れの芽となるMnS非金属介在物が多数発生する。これら割れの芽部位は、局部的に延性が劣るため、その後、熱間幅圧下圧延時の引張応力によって、MnS非金属介在物が破壊したり、ボイドが生成したりして、多数の微細な亀裂となる。そして、これら多数の微細な亀裂が結合して割れとなり、鋳片表面に開口したものがエッジ割れとなる。
連続鋳造時の鋳片では、最初は固体鉄中にMn、Sも固溶している。この固溶した状態では、固体鉄中で非金属介在物を形成していないので、圧延によって鉄が延ばされて変形しても全く悪影響がない。しかし、鋳片温度が、ある温度よりも低下すると、固体鉄中に固溶するMnとSの濃度積が固溶限を上回り(固溶する限界の固溶限は、鋳片温度が低下すると徐々に小さくなる。)、固体鉄中に固溶しているMn、Sが反応してMnS非金属介在物を形成し析出する。鋳片温度が低くなればなるほど、また、MnとSの濃度積が大きければ大きいほど、MnS非金属介在物が多く形成される。
熱間幅圧下圧延によって鋳片に引張応力が作用すると、析出したMnS非金属介在物は、鉄中で異物としてそれ自身が破壊したり、鉄とMnS非金属介在物の変形抵抗が異なるため、鉄との界面でボイドを形成する。MnS析出物が多く形成されるほど、鉄とMnS非金属介在物の異相界面が形成され、多数の微細な亀裂の原因となる。そして、これら多数の微細な亀裂が結合して、鋳片表面に開口しエッジ割れとなる。
上記のエッジ割れ発生メカニズムより、本発明者らは、エッジ割れを防止するためには、熱間幅圧下圧延時のMnS非金属介在物の析出量を低減することが重要であるとの考えに到達した。そこで、エッジ割れの発生状況が異なる複数の鋼種について、熱間幅圧下圧延時のMnS非金属介在物の析出量とエッジ割れ発生率の関係を整理した。なお、熱間幅圧下圧延温度が約950℃のものについて整理した。
熱間幅圧下圧延時のMnS非金属介在物の析出量は、Mn、Sの鉄中の濃度と温度の関数であり、熱力学平衡計算によって求まる。そこで、950℃における熱力学平衡計算によるMnS非金属介在物析出量(以降、「計算MnS析出量」と呼ぶ。)を、熱力学平衡計算ソフトsolgasmix Ver.3.1を用いて算出した。また、それぞれの条件の鋳片各20枚のエッジ割れの有無を調査し、エッジ割れが発生した鋳片の枚数割合をエッジ割れ発生率とした。
図1に、計算MnS析出量と熱間幅圧下圧延後の鋳片のエッジ割れ発生率との関係について示す。計算MnS析出量が1mol/1000kg鋼を超えると、エッジ割れ発生率が急激に上昇することが同図よりわかる。従って、1mol/1000kg鋼をエッジ割れ発生限界とした。
また、図2に、Mn濃度を一定とし、S濃度と温度を変化させたときの計算MnS析出量との関係を示す。
温度及びS濃度が上昇すると、計算MnS析出量が上昇することが同図よりわかる。また、計算MnS析出量を、エッジ割れ発生限界である1mol/1000kg鋼以下とするためには、S濃度によって温度を変える必要があることがわかる。
実際にはMn濃度も変化するため、Mn濃度とS濃度に応じた熱間幅圧下圧延温度とする必要がある。そこで、熱間幅圧下圧延開始温度TをMnとSの濃度積の三次関数と仮定し、熱力学平衡計算による計算MnS析出量が1mol/1000kg鋼となるデータに対して回帰分析を実施して、以下の関係式(2)を得た。
T>1/{-188.09([Mn]・[S])+5.5229([Mn]・[S])-0.0541([Mn]・[S])+0.000983}-273 (2)
ここで、[Mn]:Mnの濃度(質量%)、[S]:Sの濃度(質量%)である。また、熱間幅圧下圧延開始温度としたのは、熱間幅圧下圧延の1パス目でエッジ割れが発生するかどうかが決まると推定されるためである。
本発明では、式(2)を満足する熱間幅圧下圧延開始温度で鋳片を熱間幅圧下圧延することにより、エッジ割れの無い鋳片を製造することができる。
図3は、熱間幅圧下圧延開始温度とスケール起因疵発生率との関係を示したグラフである。実際の熱間圧延後のスケール起因疵発生率を調査して、温度との関係を求めたものである。なお、それぞれの条件の鋳片各20枚を調査し、スケール起因疵が発生した鋳片の割合をスケール疵発生率とした。
熱間幅圧下圧延開始温度が990℃以上になると、スケール起因疵発生率が急激に上昇し、熱間幅圧下圧延開始温度の上昇に伴い、スケール起因疵発生率がさらに増大することが同図よりわかる。
図4は、[Mn]・[S]及び熱間幅圧下圧延開始温度とエッジ割れ及びスケール起因疵の有無との関係を示したグラフである。なお、[Mn]・[S]はMnとSの濃度積、縦軸は熱間幅圧下圧延開始温度の逆数である。また、図中の実線は式(2)で表される[Mn]・[S]に応じた熱間幅圧下圧延開始温度の限界温度を示しており、破線はスケール起因疵が発生する限界温度990℃を示している。
熱間幅圧下圧延開始温度が限界温度(○と×の境界)以下になると、エッジ割れが発生することが同図よりわかる。また、熱間幅圧下圧延開始温度が限界温度を超えていればエッジ割れは発生しないが、990℃以上になると、スケール起因疵が発生することがわかる。
[本発明の一実施の形態に係る連続鋳造鋳片の熱間幅圧下圧延方法]
転炉で吹錬して、更に真空脱ガス装置を用いて精錬した溶鋼中に、C、Si、Mn等の合金を添加して撹拌し、脱酸と成分調整を行う。Sについては、必要なS上限まで溶銑予備処理あるいは二次精錬工程で脱硫を行う。また、Alやその他、必要な合金を添加して成分調整を行う。このようにして溶製された溶鋼を連続鋳造して鋳片を製造する。連続鋳造では、例えば、通常の250mm厚もしくは300mm厚程度のスラブ連続鋳造で実施する。
その後、連続鋳造鋳片を所定長さに切断して加熱炉に装入する。加熱炉では、熱間幅圧下圧延開始温度Tが(2)式を満足し、且つ990℃未満となるようにして鋳片を30分から50分程度加熱した後、熱間幅圧下圧延を行う。この時、同時にサイジングミルを用いて厚み圧下を行ってもよい。
本発明が対象とする鋼種は、熱間圧延用薄板鋼種、厚板鋼種で、MnSが生成しやすく、熱間幅圧下によるエッジ割れが生成する課題が顕著な鋼種成分を対象とする。これら対象鋼種の溶鋼に含まれる主要成分の範囲は以下の通りである。
<C:0.03~0.30質量%>
Cは、鋼の焼き入れ性と強度を制御する最も基本的な元素である。鋼板の強度を確保するために必須の元素であり、少なくとも0.03質量%が必要である。しかし、C濃度が0.30質量%を超えると、加工性ならびに溶接性が劣化する。そのため、本実施の形態では、C濃度を0.30質量%以下とする。
<Si:0.01~0.80質量%>
Siは主要な脱酸元素の一つであり、伸びを大きく損なうことなく鋼の強度を向上することができる。そのため、Si濃度を0.01質量%以上とする必要がある。一方、Si濃度が高すぎると、靭延性が極端に悪くなり、スケールの固着を促進する。そのため、本実施の形態では、Si濃度の上限を0.80質量%とする。
<Mn:0.50~3.00質量%>
Mnは、製綱段階での脱酸に有用な元素であり、C、Siと共に鋼板の高強度化に有効な元素である。このような効果を得るためには、Mn濃度を0.50質量%以上とする必要がある。しかしながら、Mnを3.00質量%を超えて含有させると、Mnの偏析や固溶強化の増大により鋼の延性が低下する。また、溶接性や母材靭性も劣化するので、Mn濃度の上限は3.00質量%とする。
<S:0.0001~0.0150質量%>
Sは、不純物として偏析し、熱延製品としたときに、MnS系の延伸介在物を形成して加工性を劣化させる。そのため、S濃度の上限を0.0150質量%とした。Sは、極力低濃度であることが望ましく、二次精錬において脱硫負荷をかけすぎると、脱硫コストが高くなり、コストが高くなる。従って、S濃度の下限は0.0001質量%とする。
<P:0.005~0.050質量%>
PはFe原子よりも小さな置換型固溶強化元素として作用する点において有効である。しかし、P濃度が0.050質量%を超えると、オーステナイトの粒界に偏析し、粒界強度を低下させることにより、ねじり疲労強度を低下させ、加工性の劣化を引き起こす原因にもなりえる。そのため、P濃度の上限を0.050質量%とする。一方、固溶強化の必要がなければPを添加する必要はなく、P濃度の下限値は0.005質量%とする。
<Al:0.01~0.10質量%>
Alは、一般に鋼の脱酸に用いられる元素である。その酸化物がクラスター化して粗大になり易く、加工性を劣化させるため、極力抑制することが望ましい。しかしながら、安価で有効な脱酸元素であるため、Al濃度の下限は0.01質量%とした。一方、ハイテンの鋼種によっては、Siを使わずAlで強度を出す場合もあるため、Al濃度の上限は0.10質量%とする。
なお、上記溶鋼は、さらに以下の成分を含んでいてもよい。
<Ti:0~0.045質量%>
Tiは主要な脱酸元素の一つであると共に、炭化物、窒化物、炭窒化物を形成し、結晶粒の微細化・高強度化機能を担う。コストが高くなることと、0.045質量%を超えてTiを含有すると、粗大な炭化物、窒化物、炭窒化物を形成してしまい、かえって材質の劣化を招き、含有量に見合う効果が期待できない。このため、本実施の形態では、Ti濃度の上限を0.045質量%とする。一方、ハイテン鋼の鋼種によっては、Tiを添加せず、他の安価な高強度化元素、例えば、C,Si,Mnを使用する場合もあることから0を下限とする。
Nb、Vは、CもしくはNと複合炭化物、複合窒化物、複合炭窒化物を形成して母材組織の細粒化を促進し、靭性向上に寄与する。
<Nb:0~0.045質量%>
複合炭化物、複合窒化物等を得るため、Nbを含有させることが好ましいが、Nb濃度が0.045質量%を超えると、母材組織の細粒化の効果が飽和し、製造コストが高くなる。このため、Nb濃度は0.045質量%を上限とする。一方、ハイテン鋼の鋼種によっては、Nbを添加せず、他の安価な高強度化元素、例えば、C,Si,Mnを使用する場合もあることから0を下限とする。
<V:0~0.034質量%>
上述した複合炭化物、複合窒化物等を得るためにはVを含有させることが好ましいが、V濃度が0.034質量%を超えると、効果が飽和し、製造コストが高くなる。このため、V濃度は0.034質量%を上限とする。一方、ハイテン鋼の鋼種によっては、Vを添加せず、他の安価な高強度化元素、例えば、C,Si,Mnを使用する場合もあることから0を下限とする。
Zrは、硫化物の形態制御により、粒界を強化し、加工性を向上するために、必要に応じて含有することができる。
<Zr:0~0.013質量%>
Zrは、上述した硫化物を球状化して母材の靭性を改善する効果を得るために、濃度を高くすることが好ましい。しかし、Zrを多量に含有すると、かえって鋼の清浄性を損ない、延性を劣化させる。そのため、Zr濃度は0.013質量%を上限とする。一方、求められる靭性によっては、Zrの添加を必要としない場合もあることから0を下限とする。
<Ca:0~0.005質量%>
Caは、ハイテンの加工性を損なうSを固定するために有効な元素であるが、Caを多量に含有させても効果が飽和し、かえって鋼の清浄性を損ない、延性を劣化させる。そのため、Ca濃度は0.005質量%を上限とする。一方、Caを添加せず、極低濃度まで脱硫することで、Ca添加を省くことができる。従って、Ca濃度の下限は0とする。
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
本発明の効果について検証するために実施した検証試験について説明する。
表1~表3に試験条件及び試験結果の一覧を示す。
本試験では、表1~表3に示す化学成分の溶鋼を転炉で吹錬し、更に真空脱ガス装置を用いて精錬した溶鋼中に、C、Si、Mn等の合金を添加して撹拌し、脱酸と成分調整を行った。Sについては、各試験ケースS濃度となるまで溶銑予備処理あるいは二次精錬工程により脱硫を行った。また、Alやその他、必要な合金を添加して成分調整を行った。このようにして溶製された溶鋼を連続鋳造して鋳片を製造した。連続鋳造では、250mm厚もしくは300mm厚程度のスラブ連続鋳造で実施した。
連続鋳造後、連続鋳造鋳片を所定長さに切断して、加熱炉に装入した。鋳片を30分から50分程度加熱した後、加熱炉から抽出し、サイジングミルを用いて表1~表3に示す熱間幅圧下圧延開始温度で熱間幅圧下圧延を行った。その後、鋳片のエッジ割れ及びスケール起因疵の有無について調査した。
割れの評価方法は、先ず目視で行い、エッジ割れが見られた場合はエッジ割れについて×とした。目視でエッジ割れが不明な場合は、鋳片の上下面スカーフ溶削を2~4mm行い、エッジ割れが見られた場合はエッジ割れについて×とした。鋳片の上下面スカーフ溶削を行っても不明な場合は、鋳片からC断面(鋳片の長手方向と直交する断面)サンプルを切り出し、表面を研磨してカラーチェックを行い、エッジ割れが見られた場合は×、見られない場合は○とした。また、目視観察でスケール起因疵が見られた場合はスケール起因疵について×、見られない場合はスケール起因疵について○とした。
Figure 0007183721000001
Figure 0007183721000002
Figure 0007183721000003
表1は全て発明例であり、エッジ割れもスケール起因疵も発生しなかった。
表2は、本発明に係る熱間幅圧下圧延開始温度範囲より低い温度で熱間幅圧下圧延を行った比較例であり、エッジ割れが発生した。
表3は、本発明に係る熱間幅圧下圧延開始温度範囲より高い温度で熱間幅圧下圧延を行った比較例であり、エッジ割れはないものの、スケール起因疵が発生した。

Claims (1)

  1. Cを0.03~0.30質量%、Siを0.01~0.80質量%、Mnを0.79~3.00質量%、Pを0.005~0.050質量%、Sを0.0001~0.0150質量%、Alを0.01~0.10質量%含有する溶鋼を連続鋳造機で鋳造し、得られた鋳片を所定長さに切断した後、該鋳片を加熱しサイジングミルを用いて熱間幅圧下圧延する方法において、
    熱間幅圧下圧延開始温度T(℃)が次式を満足し、且つ990℃未満であることを特徴とする連続鋳造鋳片の熱間幅圧下圧延方法。
    T>1/{-188.09([Mn]・[S])+5.5229([Mn]・[S])-0.0541([Mn]・[S])+0.000983}-273
    ここで、[Mn]:Mnの濃度(質量%)、[S]:Sの濃度(質量%)
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