JP3696696B2 - ポリアセタール樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂を含有し、表面状態、衝撃強度およびウェルド特性などが改善された成形材料として有用なポリアセタール樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタールは、優れた機械的性質、電気的性質、耐薬品性、耐熱性を有するエンジニアリング・プラスチックとして広く利用されている。しかし、利用する分野が拡大するに伴って、ポリアセタールを含む材料の性質にもさらに一層の改良が要求されている。例えば、自動車部品などとして用いる成形品には、広い温度範囲に亘って高度の耐衝撃性が望まれている。
従来、ポリアセタールの衝撃特性を改良する試みが数多く行われている。例えば、特公昭45−18023号公報にはいわゆるアイオノマーの添加、特公昭45−26231号公報にはエチレン−アクリル酸共重合体の添加、特公昭50−33095号公報には脂肪族ポリエーテルの添加が提案されている。また、特開昭59−145243号公報、特開昭61−19652号公報には、ポリアセタールへの熱可塑性ポリウレタンの添加が提案されている。
【0003】
これらの組成物は、耐衝撃性などの物性に一応の改善が見られるものの、必ずしも十分ではない。また、前記添加樹脂は成形加工性だけでなく、成形品の表面状態に悪影響を及ぼし、ポリアセタール樹脂組成物を用いて成形した成形体では、表面で剥離現象が生じ、その外観を著しく損なう場合が多い。これらの原因は、ポリアセタールと添加樹脂との親和性、相溶性、ポリアセタールに対する添加樹脂の分散性が劣ることに起因する。そのため、添加された樹脂が微細に分散せず、耐衝撃性を大きく改善できないだけでなく、ポリアセタールと添加樹脂との界面での密着力が小さく、成形品の表面で剥離が生じるものと推測される。
特開平3−212443号公報には、塗装性を改善するため、ポリアセタールにポリエステルポリマーを添加することが提案されている。しかし、この組成物でも、ポリアセタールに対するポリエステルの相溶性が劣るため、ウェルド特性の低下をもたらし、実用的に大きな障害となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ポリアセタール樹脂と特定の熱可塑性樹脂とを有効にアロイ化でき、高いウェルド特性を有するとともに、耐衝撃性が改善されたポリアセタール樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、成形性が高く、表面剥離のない成形品を得る上で有用なポリアセタール樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、表面剥離を抑制でき、高いウェルド特性及び耐衝撃性などが付与されたポリアセタール樹脂組成物の成形品およびその成形方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討の結果、微量であっても多官能性エポキシ系樹脂及び特定の四級ホスホニウム塩又は四級アミン塩を添加すると、ポリアセタール樹脂と特定の熱可塑性樹脂とを有効にアロイ化でき、表面剥離がなく、ウェルド特性の高い成形品が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂と、(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び熱可塑性ポリウレタン系樹脂から選択された少なくとも一種であり、かつ分子中にエポキシ基に対する反応性基を複数有する熱可塑性樹脂と、(C)エポキシ系樹脂と、(D)式 [ R 4 X ] + Y - (Rは同一又は異なってアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはリン原子又は窒素原子を示し、Yはハロゲン原子又は酸基を示す)で表される四級ホスホニウム塩又は四級アミン塩とを含んでいる。このポリアセタール樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(B)及びエポキシ系樹脂(C)は、少なくとも一方が3以上の反応性基又はエポキシ基を有する。この樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(B)の溶融温度は100〜210℃程度である。
【0006】
本発明の方法では、(A)ポリアセタール樹脂と、(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び熱可塑性ポリウレタン系樹脂から選択された少なくとも一種であり、かつ分子中にエポキシ基に対する反応性基を複数有する熱可塑性樹脂と、(C)エポキシ系樹脂と、(D)式 [ R 4 X ] + Y - (Rは同一又は異なってアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはリン原子又は窒素原子を示し、Yはハロゲン原子又は酸基を示す)で表される四級ホスホニウム塩又は四級アミン塩とを混合することにより、前記ポリアセタール樹脂組成物を製造する。本発明の方法には、前記ポリアセタール樹脂組成物を溶融混練して成形する方法やこの樹脂組成物から形成された成形品も含まれる。
なお、本明細書において「酸成分」、「ジカルボン酸成分」、「カルボン酸」、「ジカルボン酸」とは、特に言及しない限り、カルボン酸の等価体、例えば、酸無水物、エステル結合が形成可能な誘導体(例えば、ジメチルエステルなどの低級アルキルエステルなど)などを含む意味に用いる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の樹脂組成物の構成成分について詳細に説明する。
[(A)ポリアセタール樹脂]
ポリアセタール樹脂はオキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位として含む高分子化合物であり、ポリアセタール樹脂には、ポリオキシメチレンホモポリマーおよびポリアセタールコポリマーが含まれる。このコポリマーは、オキシメチレン基以外に、炭素数2〜6程度、好ましくは炭素数2〜4程度のオキシアルキレン単位(例えば、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基など)を構成単位として含んでいる。炭素数2〜6程度のオキシアルキレン基の割合は、ポリアセタールの用途などに応じて適当に選択でき、例えば、ポリアセタール全体に対して、0.1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%程度である。
【0008】
ポリアセタールコポリマーは、二成分で構成されたコポリマー、三成分で構成されたターポリマーなどの複数の成分で構成されていてもよく、ブロックコポリマーなどであってもよい。また、ポリアセタール樹脂は、線状のみならず分岐構造であってもよく、架橋構造を有していてもよい。さらに、ポリアセタール樹脂の末端は、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸とのエステル化などにより安定化されていてもよい。ポリアセタール樹脂の重合度、分岐度や架橋度も特に制限はなく、溶融成形可能であればよい。
好ましいポリアセタール樹脂には、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリアセタールコポリマー(例えば、少なくともオキシメチレン単位とオキシエチレン単位とで構成されたコポリマー)が含まれる。熱安定性の点からは、ポリアセタールコポリマーが好ましい。
【0009】
前記ポリアセタール樹脂の分子量は特に制限されず、例えば、5,000〜500,000、好ましくは10,000〜400,000程度である。
前記ポリアセタール樹脂は、慣用の方法、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、トリオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソランなどの環状エーテルを重合することにより製造できる。
[(B)熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂(B)には、分子中にエポキシ基に対する反応性基を複数有する樹脂が含まれる。このような反応性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシル基、メルカプト基などの活性水素原子を有する官能基などが挙げられる。好ましい反応性基には、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基などが含まれる。このような反応性基を複数有する熱可塑性樹脂には、例えば、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。好ましい熱可塑性樹脂には、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂などが含まれる。
【0010】
[(B)ポリエステル系樹脂]
熱可塑性ポリエステル系樹脂は、主鎖にエステル結合を有する高分子であり、ポリマー鎖の末端にカルボキシル基又はヒドロキシル基を有していたり、主鎖からカルボキシル基又はヒドロキシル基を含む官能基が懸垂している場合が多い。ポリエステル系樹脂には、例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2-4アルキレンテレフタレート)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-4アルキレンナフタレート)、アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタレートを主たる繰返し単位とし、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸の一部が他のジカルボン酸で置換した酸成分またはアルキレングリコールの一部が他のジオールで置換したジオール成分などの共重合成分を含むコポリエステル(以下、これらを総称して単にポリエステル系共重合体という)、芳香族ポリエステル(例えば、ビスフェノールAなどの芳香族ジオールと、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とのエステル化により生成するポリアリレートなど)などが含まれる。ポリエステル系樹脂には、ポリエステルエラストマーや液晶性ポリエステルも含まれる。これらのポリエステル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0011】
ポリエステル系樹脂は、溶融成形性などを損なわない限り、直鎖状のみならず分岐鎖構造を有していてもよく、また架橋されていてもよい。これらのポリエステル系樹脂のうち、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート、アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル系共重合体、およびポリエステルエラストマーなどが好ましい。
ポリエステル系樹脂の分子量は特に制限されず、例えば、10,000〜1,000,000、好ましくは30,000〜700,000、さらに好ましくは50,000〜500,000程度の範囲から選択できる。
ポリエステル系樹脂の固有粘度は特に制限されないが、良好な分散状態を得るためには、溶融混練温度においてポリアセタール樹脂の溶融粘度に近い又は重複する溶融粘度となるように、ポリエステル系樹脂の固有粘度を選択するのが望ましい。ポリエステル系樹脂の固有粘度は、例えば、0.3〜1.2、好ましくは0.4〜0.8程度である。固有粘度は溶媒としてフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用い、40℃で測定された値である。
【0012】
ポリエステル系共重合体( B-1 )
ポリエステル系共重合体(B-1)は、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸99〜50モル%(好ましくは95〜55モル%)およびテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸成分(例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸)1〜50モル%(好ましくは5〜45モル%)で構成された酸成分と、ジオール成分との重縮合により得られるコポリエステルである。
テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数6〜40程度のジカルボン酸、好ましくは炭素数6〜14程度のジカルボン酸)、脂環族ジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などの炭素数8〜12程度のジカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸などの炭素数8〜14程度のジカルボン酸)が挙げられる。また、ジカルボン酸成分としては、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロテレフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ハイミック酸などの脂環族ジカルボン酸、テトラブロモフタル酸、テトラブロモテレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ヘット酸などのハロゲン含有ジカルボン酸も使用できるとともに、等価な成分としてp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェニル酢酸、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸、プロピオラクトン、ブチロラクトン、カプロラクトン、バレロラクトンなどのラクトンなどを使用してもよい。テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0013】
さらに、必要に応じて、熱可塑性を維持できる範囲で、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
好ましいテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸成分には、アジピン酸、セバシン酸などの炭素数6〜14程度(好ましくは炭素数6〜12程度)の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの炭素数8〜12程度の芳香族ジカルボン酸、又はこれらの誘導体(酸無水物若しくは低級アルキルエステルなど)が含まれる。さらに好ましいジカルボン酸成分としては、アジピン酸、イソフタル酸などが挙げられる。
ジオール成分としては、炭素数2〜12程度のアルキレンジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの炭素数2〜10程度の脂肪族グリコール)、ポリオキシアルキレングリコール[アルキレン基の炭素数が2〜4程度であり、複数のオキシアルキレン単位を有するグリコール、例えば、ジ(オキシエチレン)グリコール、ジ(オキシプロピレン)グリコール、ジ(オキシテトラメチレン)グリコール、トリ(オキシエチレン)グリコール、トリ(オキシプロピレン)グリコール、トリ(オキシテトラメチレン)グリコールなど]、両末端にヒドロキシル基を有するポリエステルオリゴマーで構成されたジオール、脂環族ジオール(例えば、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、水素化ビスフェノールAなど)、芳香族ジオール[例えば、2,2−ビス−(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−β−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、キシレングリコールなど]が挙げられる。
【0014】
ジオール成分としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなど)付加物などのハロゲン化ジオールも使用できる。さらに、熱可塑性を維持できる範囲で、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオールを併用してもよい。
これらのジオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。好ましいジオール成分は、炭素数2〜6程度の直鎖状アルキレングリコール(エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなど)、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポリ(オキシ−直鎖状C2-4アルキレン)単位を含むグリコール]、1,4−シクロヘキサンジメチロールから選ばれた少なくとも一種である。さらに好ましいジオール成分は、▲1▼直鎖状C2-4アルキレングリコール(特に1,4−ブタンジオール又はエチレングリコール)から選ばれた少なくとも一種のジオール、又は▲2▼上記直鎖状C2-4アルキレングリコール▲1▼の一部がジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメチロールから選択された少なくとも一種で置換されたジオールが含まれ、二種以上の直鎖状C2-4アルキレングリコールを用いる場合には、1,4−ブタンジオールとエチレングリコールとを組み合わせてジオールを構成してもよい。
【0015】
好ましいポリエステル系共重合体(B-1)には、テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸の一部が、イソフタル酸、アジピン酸から選択された少なくとも一種の他のジカルボン酸で置換された酸成分と、▲1▼直鎖状C2-4アルキレングリコールから選ばれたジオール(特に、1,4−ブタンジオール又はエチレングリコール)、若しくは▲2▼このジオール▲1▼の一部が、エチレングリコール(1,4−ブタンジオールを使用した場合)、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメチロールから選ばれた少なくとも一種で置換されたジオール成分とからなるコポリエステルが含まれる。
特に好ましい共重合体は、90〜60モル%のテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸と10〜40モル%のイソフタル酸とで構成された酸成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロールから選ばれた少なくとも一種のジオール成分とを共重合したコポリエステルである。
【0016】
ポリエステルエラストマー( B-2 )
ポリエステルエラストマー(B-2)は成形品の耐衝撃性などを大きく改善する上で有用である。ポリエステルエラストマー(B-2)には、ポリエステルブロック共重合体、例えば、低分子量ジオールを含むポリエステル単位で構成されたハードセグメントと、ポリエーテルジオール又は脂肪族ポリエステルジオールを含む(ポリ)エステル単位で構成されたソフトセグメントとを含有するブロック共重合体が含まれる。前記ハードセグメントとソフトセグメントとの割合は、5/95〜95/5(重量%)程度の範囲から選択でき、25/75〜75/25(重量%)程度である場合が多い。
ポリエステルのハードセグメントを形成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス−(4−カルボキシフェニル)メタンなどの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、およびアジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。機械的特性や耐熱性の点から、ジカルボン酸成分の少なくとも50モル%以上(例えば、60〜100モル%)は芳香族ジカルボン酸であるのが好ましく、芳香族ジカルボン酸としては、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0017】
ハードセグメントを形成するジオール成分としては、炭素数2〜12程度の脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの炭素数2〜6程度の脂肪族ジオール)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロールなど)、芳香族ジオール[例えば、ビス−(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス−(p−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビス−(p−ヒドロキシジフェニル)プロパンなどのビスフェノールなど]、およびそれらの混合物が使用できる。好ましいジオール成分には炭素数2〜8の脂肪族ジオール、特に炭素数2〜4程度の脂肪族ジオールが含まれる。
【0018】
ハードセグメントは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2-4アルキレン−テレフタレート単位又は対応するポリC2-4アルキレン−イソフタレート単位、ポリブチレンテレフタレート単位などで構成する場合が多い。
ポリエステルエラストマー(B-2)のソフトセグメントを構成するジカルボン酸成分としては前記ハードセグメントを構成する酸成分が使用され、ジオール成分としては、ポリエーテルジオール[特にポリ(オキシアルキレン)グリコール]や脂肪族ポリエステルジオールが好適である。
ポリ(オキシアルキレン)グリコールには、例えば、ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシトリメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体のグリコール、ポリエチレンオキシド−ポリ(オキシテトラメチレン)ブロック共重合体のグリコールなどが例示される。これらのポリエーテルジオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリエーテルジオールにはポリ(オキシ−直鎖状C2-4アルキレン)グリコールが含まれ、特にポリ(オキシテトラメチレン)グリコールを用いる場合が多い。ポリエーテルジオールの数平均分子量は、例えば、約200〜6000程度の範囲から選択できる。
【0019】
脂肪族ポリエステルジオールには、前記脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの重縮合により生成する両末端にヒドロキシル基を有するジオール、例えば、C4-15脂肪族ジカルボン酸とC2-6脂肪族ジオールとの重縮合により生成するポリエステルジオールが含まれる。好ましいポリエステルジオールにはC4-12脂肪族ジカルボン酸とC2-4脂肪族ジオールとの重縮合により生成するポリエステルジオールが含まれ、特に両末端にヒドロキシル基を有するポリエチレンアジペート又はポリブチレンアジペートを用いる場合が多い。ポリエステルジオールの数平均分子量は、例えば、約200〜6000程度の範囲から選択できる。
ソフトセグメントは、ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシ−直鎖状C2-4アルキレン)グリコールと、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸とのエステルで構成する場合が多い。
【0020】
ポリエステルエラストマー(B-2)は、慣用の方法で製造できるとともに、市販品として入手することも可能である。
好ましいポリエステルエラストマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブテンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート単位をハードセグメントとし、分子量200〜6000程度のポリオキシエチレングリコール又はポリオキシテトラメチレングリコールとテレフタル酸及び/又はイソフタル酸とのエステルをソフトセグメントとするポリエステルエラストマーである。
[(B)ポリアミド系樹脂]
ポリアミド系樹脂は、主鎖にアミド結合を有する高分子であり、ポリマー鎖の末端にアミノ基又はカルボキシル基を有していたり、主鎖からアミノ基又はカルボキシル基を含む官能基が懸垂している場合が多い。ポリアミド系樹脂は、通常、ラクタムの開環重合、アミノカルボン酸の重縮合、又はジアミンとジカルボン酸との重縮合により得られる。ポリアミド系樹脂には、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミドなどが含まれる。また、ポリアミド系樹脂には、液晶性ポリアミド、液晶性コポリエステルアミドやポリアミドエラストマーも含まれる。これらのポリアミド系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0021】
ポリアミド系樹脂は、溶融成形性を損なわない限り、直鎖状のみならず分岐鎖構造を有していてもよく、また架橋されていてもよい。これらのポリアミド系樹脂のうち、ラクタムの開環重合、アミノカルボン酸の重縮合、またはジアミンとジカルボン酸との重縮合により得られる脂肪族ポリアミド又はポリアミドエラストマーなどが好ましい。
ポリアミド系樹脂の分子量は特に制限されず、例えば、10,000〜1,000,000、好ましくは30,000〜700,000、さらに好ましくは50,000〜500,000程度の範囲から選択できる。
ポリアミド
脂肪族ポリアミドには、例えば、ラクタムの開環重合により得られるポリアミド(例えば、ポリアミド6、ポリアミド12など)、アミノカルボン酸の重縮合により得られるポリアミド(例えば、ポリアミド11など)、ジアミンとジカルボン酸との重縮合により得られるポリアミド(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612など)やこれらのポリアミドの構成モノマー単位を含む共重合ポリアミドなどが含まれる。
【0022】
好ましい脂肪族ポリアミドには、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12などが例示できる。特に好ましい脂肪族ポリアミドにはポリアミド6、ポリアミド12が含まれる。
ポリアミドエラストマー (B-3、B-4)
ポリアミドエラストマー(B-3、B-4)は成形品の耐衝撃性などを大きく改善する上で有用である。ポリアミドエラストマーには、例えば、前記ポリアミド単位で構成されたハードセグメントと、ポリオキシアルキレン単位で構成されたソフトセグメントとを含有するブロック共重合体が含まれる。この共重合体は、例えば、末端にカルボキシル基又はアミノ基を有するポリアミドオリゴマー(ハードセグメント)と、ポリエーテルジアミン又はポリエーテルジカルボン酸(ソフトセグメント)との重縮合により生成できる。なお、ハードセグメントは、例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612から選択された少なくとも一種のセグメントで構成する場合が多い。ポリオキシアルキレンセグメントは、前記ポリエステルエラストマーの項で例示したポリオキシアルキレングリコールに対応するセグメントを利用できる。
【0023】
前記ハードセグメントとソフトセグメントとの割合は、5/95〜95/5(重量%)程度の範囲から選択でき、25/72〜75/25(重量%)である場合が多い。
[(B)ポリウレタン系樹脂]
熱可塑性ポリウレタン系樹脂は、主鎖にウレタン結合を有する高分子であり、通常、ポリマー鎖の末端にヒドロキシル基などの反応性官能基を有していたり、主鎖からヒドロキシル基などを含む官能基が懸垂している場合が多い。ポリウレタン系樹脂には、例えば、ポリイソシアネート成分(例えば、脂肪族、脂環族、芳香族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート成分)とポリオール成分(例えば、脂肪族、脂環族、芳香族ポリオールなどの低分子量ポリオール成分、またはポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなど)との反応により生成する熱可塑性ポリウレタンなどが含まれる。ポリウレタンの調製に際しては、鎖伸長剤(例えば、ジオール又はジアミンなど)を用いてもよい。また、ポリウレタン系樹脂には、ポリウレタンエラストマーも含まれる。これらのポリウレタン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0024】
ポリウレタン系樹脂は、熱可塑性を維持できる範囲に限り、直鎖状のみならず分岐鎖構造を有していてもよく、また架橋されていてもよい。これらのポリウレタン系樹脂のうち、ジイソシアネート成分とジオール成分との反応により生成するポリウレタンおよびポリウレタンエラストマーなどが好ましい。
ポリウレタンの分子量は特に制限されず、例えば、10,000〜1,000,000、好ましくは30,000〜700,000、さらに好ましくは50,000〜500,000程度の範囲から選択できる。
ポリウレタン (B-5)
ジイソシアネート成分には、例えば、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートなど)、芳香族ジイソシアネート(例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなど)などが挙げられる。
【0025】
ジオール成分としては、例えば、C2-10アルキレンジオール、ポリオキシアルキレングリコール[例えば、ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、又はこれらの共重合体のグリコール(例えば、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体など)など]、ポリエステルジオール(例えば、末端にヒドロキシル基を有するポリエチレンアジペートやポリブチレンアジペートなどのC4-12脂肪族ジカルボン酸とC2-6脂肪族ジオールとの重縮合により生成するポリエステルジオールなど)などが例示できる。
ポリウレタンエラストマー
ポリウレタンエラストマーは成形品の耐衝撃性などを大きく改善する上で有用である。ポリウレタンエラストマーは、例えば、前記ジイソシアネート成分と、ポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレングリコール単位を含むポリエステルジオールなどのジオール成分との反応により生成するポリウレタンエラストマーが含まれる。
【0026】
熱可塑性樹脂には、融点が明瞭に現れる樹脂(例えば、結晶性高分子)と融点が明瞭に現れない樹脂(例えば、非晶性高分子など)が存在する。そのため、本明細書では、「溶融温度」とは熱可塑性樹脂の「融点」又は「溶融フロー温度」を意味する。なお、「融点」とは、示差熱走査熱量計(DSC)を用い、JISK 7121に規定する測定法に従って測定したときの融解ピーク温度を意味する。また、「溶融フロー温度」とは、ノズル(内径1mm)を備えたフローテスター(島津製作所(株)製)中にペレットを充填し、荷重500kgを作用させて温度を上昇させたときの流動開始温度を意味する。
前記熱可塑性樹脂(B)は、樹脂組成物の混練性、成形性や成形品の特性を改善するため、適当な溶融温度、例えば、100〜210℃(例えば、130〜210℃)、好ましくは150〜200℃、さらに好ましくは190℃以下(例えば、150〜190℃程度)の溶融温度を有しているのが望ましい。
【0027】
前記熱可塑性樹脂(B)の使用量は、所望する成形品の特性などに応じて選択でき、例えば、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して、1〜100重量部(例えば、1〜80重量部)、好ましくは5〜70重量部、さらに好ましくは10〜50重量部程度であり、5〜60重量部程度である場合が多い。(B)成分の添加量が1重量部未満では、耐衝撃性がさほど改善されず、100重量部を越えると、ポリアセタール樹脂の特性である高温剛性や荷重撓み温度などが低下し易い。
[(C)エポキシ系樹脂]
(A)ポリアセタール樹脂 および(B)反応性基を複数有する熱可塑性樹脂に(C)エポキシ系樹脂を添加する際に、熱可塑性樹脂(B)及びエポキシ系樹脂(C)のうち少なくとも一方が3以上の反応性基又はエポキシ基を有する樹脂を用いると、熱可塑性樹脂(B)とエポキシ系樹脂(C)が架橋するためか、ポリアセタール樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを有効にアロイ化でき、高いウェルド特性を有するとともに、耐衝撃性が大きく改善されたポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
【0028】
エポキシ系樹脂には、例えば、グリシジルエーテル型(ビスフェノール型、ノボラック型、ポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテルなど)、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、環状脂肪族型、直鎖脂肪族型、複素環式などのエポキシ樹脂などが含まれる。エポキシ系樹脂としては、分子中にエポキシ基を2または3以上有する樹脂を用いることができる。分子中に2つのエポキシ基を有する2官能性エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル型、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレートなどのグリシジルエステル型、ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン型、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペートなどの環状脂肪族型などのエポキシ樹脂が挙げられる。また、分子中に3以上のエポキシ基を有する多官能性エポキシ系樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミンなどのグリシジルアミン型、トリグリシジルイソシアネート又はヒダントイン型エポキシ樹脂などの複素環式などのエポキシ樹脂の他、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンなどが挙げられる。これらのエポキシ系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0029】
これらのエポキシ系樹脂のうち、2官能性エポキシ樹脂としてはビスフェノール型エポキシ樹脂、3官能以上の多官能性エポキシ樹脂としてはノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の他、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などが挙げられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂は、溶融成形性を損なわない限り、分子量や分子量分布に制限はなく、さらにハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素など)などの置換基を有していてもよい。このような置換基を有する樹脂には、例えば、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0030】
好ましいビスフェノール型エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型、F型、AD型エポキシ樹脂が含まれる。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ノボラック型エポキシ樹脂には、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が含まれる。ノボラック型エポキシ樹脂は、溶融成形性を損なわない限り、分子量や分子量分布に制限はなく、レゾール型を含んで、分岐鎖構造又は架橋構造を有していてもよい。これらのノボラック型エポキシ樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性樹脂(B)とエポキシ系樹脂(C)とは、熱可塑性樹脂(B)の反応性基およびエポキシ系樹脂(C)のエポキシ基の数に応じて、架橋系を構成するように組み合わせられる。熱可塑性樹脂(B)とエポキシ系樹脂(C)との組み合わせは、▲1▼反応性基を2つ有する2官能性熱可塑性樹脂(B)と、3以上のエポキシ基を有する多官能性エポキシ系樹脂(C)との組み合わせ、▲2▼反応性基を3以上有する多官能性熱可塑性樹脂(B)と、2つのエポキシ基を有する2官能性エポキシ系樹脂(C)との組み合わせ、▲3▼反応性基を3以上有する多官能性熱可塑性樹脂(B)と、3以上のエポキシ基を有する多官能性エポキシ系樹脂(C)との組み合わせなどが挙げられる。ポリアセタール樹脂と熱可塑性樹脂との特性をアロイ化により有効に発現させるためには、反応性基を少なくとも2つ有する多官能性熱可塑性樹脂(B)(例えば、両末端に反応性基を有する熱可塑性樹脂)と3以上のエポキシ基を有する多官能性エポキシ系樹脂(C)とを組み合わせるのが有利である。
【0031】
エポキシ系樹脂(C)は少量の使用量で、ポリアセタール樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを有効にアロイ化でき、高いウェルド特性や耐衝撃性を有するポリアセタール樹脂組成物が得られる。そのためエポキシ系樹脂の使用量は、成形品の特性を損なわない限り広い範囲から選択でき、例えば、(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜2.5重量部程度であり、0.05〜1重量部程度である場合が多い。
[(D)エポキシ反応促進剤]
ポリアセタール樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、エポキシ系樹脂(C)が共存する系に、(D)触媒(エポキシ反応促進剤)を添加すると、エポキシ系樹脂(C)を活性化して樹脂(A)および(B)の親和性、相溶性を改善でき、成形加工時の表面剥離をさらに抑制するとともに、衝撃強度、ウェルド特性などに優れた成形材料を得ることができる。
【0032】
エポキシ反応促進剤としては、慣用の反応促進剤、例えば、アミン系硬化剤、有機酸系硬化剤、塩基性活性水素化合物(例えば、ジシアンアミド、有機酸ジヒドラジドなど)なども使用可能であるものの、ホスホニウム塩(特に四級ホスホニウム塩)、アミン塩(特に四級アミン塩)を使用すると、エポキシ系樹脂を活性化でき、耐衝撃性やウェルド強度などの機械的物性が著しく優れたポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。これらのエポキシ反応促進剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ホスホニウム塩又はアミン塩は、例えば、式[RXH3]+Y−で表されるモノ置換型の塩(モノアルキルホスホニウム塩など)、式[R2XH2]+Y−で表されるジ置換型の塩(ジアルキルホスホニウム塩など)、式[R3XH]+Y−で表されるトリ置換型の塩(トリアルキルホスホニウム塩など)であってよいが、式[R4X]+Y−で表される四級の塩であるのが好ましい。なお、前記式中、Rは同一又は異なってアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アラルキル基を示し、Xはリン原子又は窒素原子を示し、Yはハロゲン原子又は酸基を示す。
【0033】
ホスホニウム塩又はアミン塩において、Rで表されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1-10アルキル基が例示できる。好ましいアルキル基には、直鎖状又は分岐鎖状C1-6アルキル基が含まれる。
アリール基には、フェニル、ナフチル基などのC6-12アリール基が含まれ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基などのC4-10シクロアルキル基が例示でき、アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル基などのC7-14アラルキル基が例示できる。
【0034】
複数の置換基Rが置換したホスホニウム塩又はアミン塩において、置換基Rの種類は、置換基の数によって異なっていてもよい。
また、ホスホニウム塩又はアミン塩において、Xで表されるハロゲン原子には、塩素、臭素、ヨウ素原子が含まれ、酸基には、ギ酸、酢酸などの有機酸やオキシカルボン酸のアニオン残基が含まれる。Xは塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオンである場合が多い。
四級ホスホニウム塩
好ましい四級ホスホニウム塩には、RがC1-6アルキル基、フェニル基、ベンジル基である化合物が含まれ、これらの置換基Rの置換数及び組み合わせは特に制限されない。四級ホスホニウム塩には、例えば、テトラ−C1-6アルキルホスホニウムハライド(例えば、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイドなど)、テトラ−C6-10アリールホスホニウムハライド(例えば、テトラフェニルホスホニウムブロマイドなど)、C1-6アルキル−トリ−C6-10アリールホスホニウムハライド(例えば、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイドなど)、ジ−C1-6アルキル−ジ−C6-10アリールホスホニウムハライド(例えば、ジメチルジフェニルホスホニウムブロマイド、ジエチルジフェニルホスホニウムブロマイド、ジブチルジフェニルホスホニウムブロマイドなど)、トリ−C1-6アルキル−モノ−C6-10アリールホスホニウムハライド(例えば、トリメチルフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルフェニルホスホニウムブロマイド、トリブチルフェニルホスホニウムブロマイドなど)、トリ−C1-6アルキル−モノ−C7-14アラルキルホスホニウムハライド(例えば、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、トリエチルベンジルホスホニウムブロマイド、トリプロピルベンジルホスホニウムブロマイド、トリブチルベンジルホスホニウムブロマイドなど)、C7-14アラルキル−トリ−C6-10アリールホスホニウムハライド(例えば、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、フェネチルトリフェニルホスホニウムクロライドなど)などが含まれる。これらの四級ホスホニウム塩は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0035】
四級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのテトラ−C1-6アルキルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドなどのテトラ−C6-10アリールホスホニウムハライド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイドなどのC1-6アルキル−トリ−C6-10アリールホスホニウムハライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドなどのC7-14アラルキル−トリ−C6-10アリールホスホニウムハライドなどを用いる場合が多い。
四級アミン塩
好ましい四級アミン塩には、RがC1-6アルキル基、フェニル基、ベンジル基である化合物が含まれ、これらの置換基Rの置換数及び組み合わせは特に制限されない。四級アミン塩には、例えば、テトラ−C1-6アルキルアンモニウムハライド(例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイドなど)、テトラ−C6-10アリールアンモニウムハライド(例えば、テトラフェニルアンモニウムクロライドなど)、C1-6アルキル−トリ−C6-10アリールアンモニウムハライド(例えば、メチルトリフェニルアンモニウムクロライド、エチルトリフェニルアンモニウムクロライド、ブチルトリフェニルアンモニウムクロライドなど)、ジ−C1-6アルキル−ジ−C6-10アリールアンモニウムハライド(例えば、ジメチルジフェニルアンモニウムクロライド、ジエチルジフェニルアンモニウムクロライドなど)、トリ−C1-6アルキル−モノ−C6-10アリールアンモニウムハライド(例えば、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド、トリエチルフェニルアンモニウムクロライドなど)、トリ−C1-6アルキル−モノ−C7-14アラルキルアンモニウムハライド(例えば、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリプロピルベンジルアンモニウムクロライドなど)、C7-14アラルキル−トリ−C6-10アリールアンモニウムハライド(例えば、ベンジルトリフェニルアンモニウムクロライド、フェネチルトリフェニルアンモニウムクロライドなど)などが含まれる。アミン塩には、N−アルキルピリジニウムハライド(例えば、N−メチルピリジウムクロライドなど)なども含まれる。これらの四級アミン塩は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0036】
四級アミン塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウムクロライドなどのテトラ−C1-6アルキルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドなどのトリ−C1-6アルキル−モノ−C7-10アラルキルアンモニウムハライドなどを用いる場合が多い。
四級ホスホニウム塩及び四級アミン塩(D)は極めて少量の添加量で、エポキシ樹脂(C)を活性化してポリアセタール樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との親和性、相溶性を改善でき、ポリアセタール樹脂組成物のウェルド特性や耐衝撃性を向上できる。そのため四級ホスホニウム塩及び四級アミン塩(D)の添加量は、成形品の特性を損なわない限り広い範囲から選択でき、例えば、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部程度であり、0.01〜0.2重量部程度(例えば、0.01〜0.1重量部程度)である場合が多い。
【0037】
本発明の組成物は、用途などに応じて、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候(光)安定剤などの安定剤、潤滑剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、有機高分子改良剤、着色剤、充填剤などを含くんでいてもよく、充填剤としては、無機化合物、有機化合物、金属やセラミックなどで構成された繊維状、粉粒状、板状などのフィラーが例示できる。これらの添加剤は一種又は二種以上混合して使用できる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物を溶融混練して成形すると、マトリックス中のドメインを構成する熱可塑性樹脂(B)は架橋され、成形時の高剪断力に対して細針状に引き延ばされることなく粒子状の形態を維持することができるためか、成形品は高いウェルド特性、耐衝撃性を有し、成形品の表面剥離やフローマークの発生を有効に防止できる。特に熱可塑性樹脂(B)としてエラストマー(例えば、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマーなど)を用いても、ドメインを構成する熱可塑性樹脂(B)はマトリックスのポリアセタール樹脂(A)に対する分散性が高くなり、また、成形時の高剪断力に対しても粒子状の形態を保持することができるためか、ウェルド特性を大きく改善でき、成形品の表面剥離やフローマークをさらに有効に防止できる。そのため、ポリアセタール樹脂組成物は成形用材料として有用である。
【0038】
本発明のアセタール樹脂組成物は、慣用の方法、例えば、溶融混練し、押出し成形、射出成形などの慣用の成形方法で成形できる。好ましい成形方法には、射出成形法が挙げられる。射出成形において、ゲート数は特に制限されず、複数のゲート(例えば、2つのゲート)から射出を行い成形してもよい。特に本発明の樹脂組成物は、複数のゲートを利用して射出成形してもウェルド特性の高い成形品が得られる。このようにして得られた成形品において、成形品の表層部における分散相(熱可塑性樹脂相)のアスペクト比は1〜3、好ましくは1〜2程度であり、表層剥離やフローマークの発生を防止し、高い精度で成形品を得ることができる。
本発明の樹脂組成物又は成形品は、何ら処理することなく優れた物性を示すものの、組成物の調整後または成形品を成形後、熱処理すると、組成物又は成形品の特性を向上させつつ安定化できる場合がある。熱処理温度は樹脂組成物の成分とその割合などに応じて選択でき、通常、80℃以上であって樹脂組成物の熱変形温度を越えない温度、例えば、80〜130℃程度、好ましくは80〜120℃程度である。
【0039】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂と、反応性基を複数有する熱可塑性樹脂と、エポキシ系樹脂とを組み合わせているため、ポリアセタール樹脂と熱可塑性樹脂とを有効にアロイ化して、ポリアセタ−ル樹脂と熱可塑性樹脂との特性を有効に発現でき、またウェルド特性および耐衝撃性を大きく改善できる。さらに、樹脂組成物は、成形性が高く、成形品の表面剥離を大きく低減できる。
本発明の方法では、前記成分を混合するという簡単な操作で、前記の優れた特性を有するポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
本発明の成形方法では、前記成分を溶融混練して成形するだけで、表面剥離がなく、ウェルド特性が高く、耐衝撃性に優れた成形品を得ることができる。
【0040】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、成形品の剥離試験および機械的特性は次のようにして評価した。
[表層剥離試験]
試験片の表面にセロハンテープRを貼り付け、急速に引き剥がした後、成形品表面の剥離状況を目視で観察し、以下の4段階で評価した。
◎:剥離は全くない
○:極僅かに剥離がある
△:少し剥離がある
×:テープを貼着した面積の半分以上が剥離する
[ウェルド特性]
ゲートを両端に有し、厚み2mmのウェルド試験片を用い、ASTM D−638に準じて、ウェルド引張強度とウェルド引張伸度を測定した。
【0041】
[アイゾット衝撃強度]
ATSM D−256に準拠して、ノッチ付き試験片について、アイゾット衝撃強度を測定した。
また、実施例及び比較例では、下記のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂及びホスホニウム塩を用いた。
[(B)熱可塑性樹脂]
B−1:イソフタル酸30モル%を含む酸成分を用いて得られた変性ポリブチレンテレフタレート(溶融フロー温度160℃、固有粘度IV=0.5)
B−2:ポリエステルエラストマー(ヘキストセラニーズ社製、ライトフレックス635)(溶融フロー温度170℃)
B−3:ポリアミド12エラストマー(ダイセルヒュルス社製、E62S1)(融点170℃)
B−4:ポリアミド12エラストマー(ダイセルヒュルス社製、E40S3)(融点150℃)
B−5:熱可塑性ポリウレタン(日本ミラクトラン社製、ミラクトランE375MSJP−1)(溶融フロー温度110℃)
[(C)エポキシ系樹脂]
C−1:多官能エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート180S65)
C−2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート1004K)
C−3:フェノキシ樹脂(東都化成社製、YP−50)
[(D)エポキシ反応促進剤]
D:四級ホスホニウム塩(テトラブチルホスホニウムブロマイド)
実施例1〜8および比較例1〜7
ポリアセタール(ポリプラスチック(株)製、ジェラコンM90)と、上記変性ポリブチレンテレフタレート(B−1)又はポリエステルエラストマー(B−2)と、多官能エポキシ樹脂(C−1)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C−2)又はフェノキシ樹脂(C−3)と、テトラブチルホスホニウムブロマイド(D)を表1および表2に示す割合でドライブレンドした後、二軸押出機にて190℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットを射出成形機により成形し、ゲートを両端に有するウェルド試験片と衝撃試験片を作成した。ASTM D638に準じて、得られた試験片のウェルド強度およびウェルド伸度を測定するとともに、ASTM D256に準じて、アイゾット衝撃強度を測定した。また、剥離試験も行った。表1および表2に結果を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
表1および表2より、比較例の樹脂組成物に比べて、実施例の樹脂組成物は、ウェルド強度、ウェルド伸度およびアイゾット衝撃強度が大きい。また、剥離試験では、比較例の樹脂組成物は剥離したが、実施例の樹脂組成物は全く剥離しなかった。
実施例9〜14および比較例8〜12
ポリアセタール(ポリプラスチック(株)製、ジェラコンM90)と、上記ポリアミド12エラストマー(B−3)又は(B−4)と、多官能エポキシ樹脂(C−1)又はフェノキシ樹脂(C−3)と、テトラブチルホスホニウムブロマイド(D)を表3および表4に示す割合で用いる以外、前記実施例と同様にして調製した試験片のウェルド強度、ウェルド伸度およびアイゾット衝撃強度を測定するとともに、剥離試験をしたところ、表3および表4に示す結果を得た。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
表3および表4より、比較例の樹脂組成物に比べて、実施例の樹脂組成物は、ウェルド強度、ウェルド伸度およびアイゾット衝撃強度が大きい。また、剥離試験では、比較例の樹脂組成物は剥離したが、実施例の樹脂組成物は全く剥離しなかった。
実施例15〜17および比較例13〜15
ポリアセタール(ポリプラスチック(株)製、ジェラコンM90)と、上記ポリウレタン(B−5)と、多官能エポキシ樹脂(C−1)又はフェノキシ樹脂(C−3)と、テトラブチルホスホニウムブロマイド(D)を表5に示す割合で用いる以外、前記実施例と同様にして調製した。そして、得られた試験片のウェルド強度、ウェルド伸度およびアイゾット衝撃強度を測定するとともに、剥離試験をしたところ、表5に示す結果を得た。
【0048】
【表5】
【0049】
表5より、比較例の樹脂組成物に比べて、実施例の樹脂組成物は、ウェルド強度、ウェルド伸度およびアイゾット衝撃強度が大きい。また、剥離試験では、比較例の樹脂組成物は剥離したが、実施例の樹脂組成物は全く剥離しなかった。
Claims (13)
- (A)ポリアセタール樹脂と、(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び熱可塑性ポリウレタン系樹脂から選択された少なくとも一種であり、かつ分子中にエポキシ基に対する反応性基を複数有する熱可塑性樹脂と、(C)エポキシ系樹脂と、(D)式 [ R 4 X ] + Y - (Rは同一又は異なってアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはリン原子又は窒素原子を示し、Yはハロゲン原子又は酸基を示す)で表される四級ホスホニウム塩又は四級アミン塩とで構成されているポリアセタール樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂(B)及びエポキシ系樹脂(C)のうち少なくとも一方の樹脂が3以上の反応性基又はエポキシ基を有する、ポリアセタール樹脂組成物。
- 熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート、ポリアルキレンテレフタレート系共重合体、ポリアルキレンナフタレート系共重合体、ポリエステルエラストマーから選択された少なくとも一種である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ポリアルキレンテレフタレート系共重合体が、90〜60モル%のテレフタル酸および10〜40モル%のイソフタル酸で構成されたジカルボン酸成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロールから選択された少なくとも一種のジオール成分との重縮合により得られる共重合体である請求項2記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ポリアミド系樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドエラストマーから選択された少なくとも一種である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 熱可塑性ポリウレタン系樹脂が、ポリイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオール又はポリエステルポリオールとの反応により得られるポリウレタン又はポリウレタンエラストマーである請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(B)が100〜210℃の溶融温度を有する請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- エポキシ系樹脂(C)が、分子中に3以上のエポキシ基を有する多官能性エポキシ系樹脂である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- エポキシ系樹脂(C)が、ノボラック型エポキシ樹脂である請求項1又は7記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して、熱可塑性樹脂(B)1〜100重量部、およびエポキシ系樹脂(C)0.01〜10重量部を含む請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (D)四級ホスホニウム塩又は四級アミン塩の含有量が、ポリアセタール樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜1重量部である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ポリアセタール樹脂(A)と、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び熱可塑性ポリウレタン系樹脂から選択された少なくとも一種であり、かつ分子中にエポキシ基に対する反応性基を複数有する熱可塑性樹脂(B)と、エポキシ系樹脂(C)と、式 [ R 4 X ] + Y - (Rは同一又は異なってアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、又はアラルキル基を示し、Xはリン原子又は窒素原子を示し、Yはハロゲン原子又は酸基を示す)で表される四級ホスホニウム塩又は四級アミン塩(D)とを混合する方法であって、前記熱可塑性樹脂(B)及びエポキシ系樹脂(C)のうち少なくとも一方の樹脂として3以上の反応性基又はエポキシ基を有する樹脂を用いるポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物により形成された成形品。
- 請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物を溶融混練して成形する成形方法。
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