JP2925636B2 - 制振性ポリエステル樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

制振性ポリエステル樹脂組成物及びその成形品

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、振動減衰性に優れ、かつ靭性を有する制振
性ポリエステル樹脂組成物及びこれを成形してなる制振
性部品に関するものである。
〔従来の技術とその課題〕
近年、各種機器の振動源対策に目が向けられ、振動抑
制(制振)性能を有する材料が要求されるようになって
きた。特にCD等のAV(オーディオ ビジュアル)用機構
部品、スピーカー用部品、自動車等のミラー、エンジン
周りのボディーパーツ等にはその性能上、振動が持続し
ないこと、又振動が伝播し難いことが望まれることが多
い。
従来、かかる制振性手段としては、制振用複合金属板
が多用されている。これは、金属板の中間層に弾性ポリ
マーを使用することにより振動を吸収減衰させるもので
あり、このような複合金属板はエンジン、モーター等の
振動発生源を囲む形で使用されている。しかしながら、
かかる制振用複合金属板は加工が煩雑な上、複雑な形状
をもつ部品に応用することは極めて困難であった。
この観点から射出成形によって効率的に複雑な形状の
部品が成形しうる熱可塑性樹脂により上記部品を製造す
るのが好ましいが、特に振動抑制機能を特長とし、他の
一般的物性も兼ね備えた機能性樹脂は開発されておら
ず、単に剛性や比重のあるものを使用したり、使用材料
の欠点を補うために寸法を考慮する等の工夫がなされて
いるのが現状である。
かかる状況の中、特に射出成形部品として良好な一般
物性を有する結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂への制振
制機能の付与は、実用上極めて有用である。例えば、ポ
リアルキレンテレフタレート樹脂等は、機械的性質、電
気的性質、その他物理的・化学的特性に優れ、又ガラス
繊維、カーボン繊維の添加による機械的性質の向上度合
が大きく、更には加工性が良好であるがゆえにエンジニ
アリングプラスチックとして自動車、電気・電子部品等
の広汎な用途に使用されている。しかしながら、ポリア
ルキレンテレフタレート樹脂はそれ自身では制振性が十
分でなく、単に強化用繊維等の無機充填剤による剛性向
上による多少の効果が期待されるのみであり、振動吸収
性(振動減衰性)には尚十分ではない。又、強化用繊維
の添加は伸度の低下が大きく、その利用には少なからず
制限を受けている。
ポリアルキレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエス
テル樹脂は、前述の如く各種特性に優れ、又成形性にも
優れる為、それを基体樹脂とする優れた振動減衰性を有
し、かつ靭性に優れた制振材料の開発が強く期待されて
いる。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らはかかる現状に鑑み、ポリエステル樹脂の
制振化について鋭意検討を重ねた結果、結晶性熱可塑性
ポリエステル樹脂を主体とし、これに特定の重合体と更
に特定のガラス繊維とを配合することによって、振動減
衰性に優れ、かつ靭性に優れた材料が得られることを見
出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、 (A)結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂60〜97重量部と (B)ポリエステルエラストマー及び熱可塑性ポリウレ
タンから選択された少なくとも1種の重合体40〜3重量
部からなる樹脂成分100重量部に対し、 (C)長さ方向に直角の断面の長径(断面の最長の直線
距離)と短径(長径と直角方向の最長の直線距離)の比
が1.5〜5の間にある扁平な断面形状を有するガラス繊
維5〜200重量部 を配合したことを特徴とする制振性ポリエステル樹脂組
成物並びにこれを成形してなる制振部材用成形品を提供
するものである。
以下、本発明の制振性ポリエステル樹脂組成物の構成
成分について詳しく説明する。
まず本発明に用いられる結晶性熱可塑性ポリエステル
樹脂(A)とは、ジカルボン酸化合物と低分子量ジヒド
ロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮
合或いはこれら三成分混合物の重縮合等によって得られ
る結晶性のポリエステルであり、ホモポリエステル、コ
ポリエステルの何れに対しても本発明の効果がある。
ここで用いられるジカルボン酸化合物の例を示せば、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキ
サンジカルボン酸の如き公知のジカルボン酸及びこれら
のアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体等である。
また、これらのジカルボン酸化合物は、エステル形成可
能な誘導体、例えばジメチルエステルの如き低級アルコ
ールエステルの形で重合に使用することも可能である。
これは二種以上が使用されることもある。
次に本発明の結晶性ポリエステルを構成する低分子量
ジヒドロキシ化合物の例を示せば、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペン
チルグリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒド
ロキシフェニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジ
フェニルエーテル、シクロヘキサンジオール、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ジエトキシ化
ビスフェノールAの如きジヒドロキシ化合物及びこれら
のアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体等であり、
一種又は二種以上を混合使用することができる。
また、オキシカルボン酸の例を示せば、オキシ安息香
酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカルボン酸
等のオキシカルボン酸及びこれらのアルキル、アルコキ
シ又はハロゲン置換体があげられる。また、これら化合
物のエステル形成可能な誘導体も使用できる。本発明に
おいては、これら化合物の一種又は二種以上が用いられ
る。
また、これらの他に三官能性モノマー、即ちトリメリ
ット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリス
リトール、トリメチロールプロパン等を少量併用した分
岐又は架橋構造を少量有するポリエステルであってもよ
い。
本発明では、上記の如き化合物をモノマー成分とし
て、重縮合により生成する結晶性熱可塑性ポリエステル
は何れも本発明の(A)成分として使用することがで
き、単独で、又は二種以上混合して使用されるが、好ま
しくはポリアルキレンテレフタレート、更に好ましくは
ポリブチレンテレフタレートを主体とする重合体が使用
される。
次に本発明においては、上記結晶性熱可塑性ポリエス
テル樹脂(A)に、ポリエステルエラストマー及び熱可
塑性ポリウレタンから選択された少なくとも一種の重合
体(B)が配合される。
(B)成分として用いられるポリエステルエラストマ
ーとは、ポリエステルハードセグメントと数平均分子量
約200〜6000のポリエーテルソフトセグメントからなる
共重合体であり、ハードセグメントとソフトセグメント
の比率は10〜90重量%対90〜10重量%のものである。ポ
リエステルハードセグメントを形成するジカルボン酸成
分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
2,6−及び1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カ
ルボキシフェニル)メタンなどの芳香族ジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジ
カルボン酸などの脂環族ジカルボン酸及びアジピン酸、
セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸基などが挙げられ
るが、機械的性質や耐熱性の点で少なくとも50モル%以
上が芳香族ジカルボン酸基の使用が好ましく、特にテレ
フタル酸、イソフタル酸の使用が推奨される。
またハードセグメントを構成するジオール成分として
は、炭素数2〜12の脂肪族もしくは脂環族ジオール即ち
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグ
リコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ールやビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−
ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンなどのビスフェノール及びそれらの混
合物を用いうるが、特に炭素数2〜8の脂肪族もしくは
脂環族ジオールが好ましく用いられる。
また、ポリエーテルソフトセグメントを構成するポリ
(アルキレンオキシド)グリコールとは、ポリ(エチレ
ンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−及び1,2−プロピ
レンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキ
シド)グリコール、ポリエチレンオキシドグリコール−
ポリプロピレンオキシドグリコールブロック共重合体、
ポリエチレンオキシドグリコール−ポリ(テトラメチレ
ンオキシド)グリコールブロック共重合体などであり、
特にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールが好ま
しく、勿論これらの併用も可能である。これらのポリエ
ーテルグリコールの平均分子量は約200〜6000の範囲が
適当である。
かかるポリエステルエラストマー(B)は任意の方法
で製造することができ、また、ある種のものは市場で入
手することが可能である。
特に(B)成分として好ましいポリエステルエラスト
マーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、或いはポリブテンテレフタレートをハー
ドセグメントとし、分子量200〜6000のポリエチレンオ
キシド−グリコール又はポリブチレンオキシド−グリコ
ールのテレフタル酸エステル及び/又はイソフタル酸エ
ステルをソフトセグメントとするポリエステルエラスト
マーである。
次に(B)成分に使用できる熱可塑性ポリウレタン
は、下記(i)、(ii)及び(iii)を構成成分とする
反応生成物である。
(i)ジイソシアネート化合物 (ii)分子量が500〜5000の高分子量ポリオール (iii)分子量が60〜500の低分子量ポリオール及び/又
はポリアミン ここで熱可塑性ポリウレタン(B)を構成する(i)
のジイソシアネート化合物とは、例えば、1,4−ブチレ
ンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシア
ネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、
4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−
ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソ
シアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの異性
体混合物、4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネ
ート)、2,2−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシア
ネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニ
レンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,
4−ナフチレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイ
ソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、
アゾベンゼン−4,4′−ジイソシアネート、m−又はp
−テトラメチルキシレンジイソシアネート及び1−クロ
ロベンゼン−2,4−ジイソシアネートを包含する。好ま
しくは4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネー
ト)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−ト
リレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート
等である。
次に熱可塑性ポリウレタン(B)の構成成分である
(ii)高分子量ポリオールは分子量が500〜5000、好ま
しくは1000〜3000で、ポリウレタン(B)の軟質セグメ
ントを形成する成分である。かかる高分子量ポリオール
としては主として両末端に水酸基を有するポリエステル
ジオール(ポリ炭酸エステルジオールを含む)、ポリエ
ーテルジオール等であり、その一部少量がトリオール等
であってもよい。
適当なポリエステルジオールは、一種又は二種以上の
2価のアルコールと一種又は二種以上のジカルボン酸と
のポリエステルジオールである。これを構成する適当な
ジカルボン酸は、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、
スベリン酸、メチルアジピン酸、グルタル酸、ピメリン
酸、アゼライン酸、チオジプロピオン酸及びシトラコン
酸及び少量の芳香族ジカルボン酸を含有する混合物等が
挙げられる。また他の構成成分としての適当な2価のア
ルコールは、1,3−又は1,2−プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル
ペンタンジオール、1,5−ジエチレングリコール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ペンタンジオール、1,12−ド
デカンジオール及びそれらの混合物等が挙げられる。
さらに、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、及びカー
ボネート、例えばε−カプロラクトン及び3−ヒドロキ
シル酪酸をポリエステルジオールの構成成分とすること
もできる。
好ましいポリエステルは、ポリアジピン酸エステルの
ジオール、ポリラクトンのジオール及びポリ炭酸エステ
ルのジオールである。
次に、好ましいポリエーテルジオールは、1種又は2
種以上のアルキレングリコール、例えばエチレングリコ
ール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,4−ブ
タンジオール及び1,5−ペンタンジオール、及びそれら
の混合物等の縮合生成物である。適当なポリアルキレン
エーテルグリコールはテトラヒドロフランからも製造す
ることができる。さらに、ポリエーテルジオールは、コ
モノマー、ことに不規則コモノマー又はブロックコモノ
マーとして、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及
び/又はテトラヒドロフラン(THF)から誘導されたエ
ーテルグリコールであってもよく、少量の3−メチルTH
FとのTHFポリエーテルコポリマーを使用することもでき
る。
特に好ましいポリエーテルジオールは、ポリ(テトラ
メチレンエーテル)グリコール(PTMEG)、ポリ(プロ
ピレンオキシド)グリコール、プロピレンオキシドとエ
チレンオキシドとのコポリマー、及びテトラヒドロフラ
ンとエチレンオキシドとのコポリマーである。
次に熱可塑性ポリウレタン(B)の構成成分である
(iii)分子量60〜500の低分子量ポリオール及び/又は
ポリアミンは、主として脂肪族直鎖ジオール又はジアミ
ン、ヒドロキシアミン、或いは芳香族ジオール又はジア
ミン、ヒドロキシアミンから選ばれた少なくとも1種又
はそれ以上で、一部少量のトリオールを含有していても
よい。この成分はポリウレタン(B)の硬質セグメント
となり、また、鎖延長、架橋の役割を果たすものであ
る。
好ましい低分子量ポリオールとしては、1,2−エタン
ジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール1,4−シクロヘキサンジオール、
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリ
ン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ハ
イドロキノンジエチロールエーテル、レゾルシンエチロ
ールエーテル等が挙げられる。また、ポリアミンとして
は、ジフェニルメタンジアミン、m−フェニレンジアミ
ン又はこれらの誘導体等が挙げられる。より好ましくは
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−エ
タンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、グリセリン、ハイドロキノンジエチロールエー
テル、レゾルシンジエチロールエーテル又はこれらの誘
導体である。
かかる反応生成物からなる熱可塑性ポリウレタン
(B)は、高分子量ポリオール(ii)1当量に対して、
低分子量ポリオール及び/又はポリアミン(iii)が約
0.2〜5当量の範囲内の量で構成されたポリウレタンが
好ましく、(ii)成分の多い程軟質となり、組成物の硬
度に影響する。
本発明においては、前記樹脂成分の(A)結晶性熱可
塑性ポリエステルと(B)ポリエステルエラストマー及
び熱可塑性ポリウレタンから選択された少なくとも1種
の重合体とを、樹脂成分の全重量に基づきそれぞれ60〜
97重量部(A)及び40〜3重量部(B)、好ましくは70
〜90重量部(A)及び30〜10重量部(B)になるような
割合で配合する。(B)成分の配合量が3重量部未満で
は振動減衰性の改善効果が十分に発揮されないし、40重
量部を越えると得られる樹脂はポリエステル樹脂本来の
特性が失われ、好ましくない。
本発明においては、前記の樹脂成分に対し、更に扁平
な断面形状を有するガラス繊維(C)が配合される。
本発明で用いられるガラス繊維(C)は、断面が従来
のような円形ではなく、扁平な形状であることを特徴と
している。
従来の円形ガラスが配合された組成物は、本発明の目
的である振動減衰性の改善にあまり効果が認められない
のに対し、意外にも本発明の如く断面形状が扁平なガラ
ス繊維を用いた場合強化ポリエステル樹脂本来の機械的
性質を犠牲にすることなく、減衰性が著しく改善される
ことが判明した。
かかる目的で使用する扁平な断面形状を有するガラス
繊維(C)とは、長さ方向に直角の断面に於いて、長径
(断面の最長の直線距離)と短径(長径と直角方向の最
長の直線距離)の比が1.5〜5のものである。具体的な
形状としては、まゆ形、長円形、楕円形、半円若しくは
円弧形、矩形又はこれらの類似形であって、特にまゆ
形、長円形及び楕円形に属するものが好ましい。
上記長径と短径の比が1.5より小さいものは効果が少
ない。しかし、長径と短径の比が5を越えるものはその
製造自体が困難である。
次に上記ガラス繊維(C)の断面積は、大きくなるに
伴い十分な制振効果が得られなくなり、又、あまりに過
小になるとそれ自体の製造が困難になり、又取り扱い上
の問題も生じる。よって本発明におけるガラス繊維の平
均断面積は、2×10-5〜8×10-3mm2、好ましくは8×1
0-5〜8×10-3mm2である。
ガラス繊維(C)の長さは任意であるが、成形品の機
械的強度の面からは成形品中の平均繊維長が少なくとも
30μm以上で長い方が好ましく、要求される性能に応じ
て適宜選択される。通常は50〜1000μmが好ましい。
これらのガラス繊維(C)は、その取り扱い及び樹脂
との密着性の見地から、使用にあたって必要ならば収束
剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。例えば、
エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系
化合物、チタネート系化合物等、公知の表面処理剤、収
束剤の使用が可能である。ガラス繊維はこれ等の化合物
により、予め表面処理又は収束処理を施して用いるか、
又は樹脂材料調製の際同時に添加してもよい。
かかる扁平断面を有する本発明のガラス繊維(C)
は、例えば溶融ガラスを吐出するために使用するブッシ
ングとして、長円形、楕円形、短径、スリット状等の適
当な孔形状を有するノズルを用いて紡糸することにより
調製される。又、各種の断面形状(円形断面を含む)を
有する近接して設けられた複数のノズルから溶融ガラス
を紡出し、紡出された溶融ガラスを互いに接合して単一
のフィラメントとすることにより調製できる。
本発明において用いられるガラス繊維(C)の配合量
は樹脂成分100重量部当たり5〜200重量部であり、好ま
しくは10〜150重量部、更に好ましくは10〜100重量部で
ある。5重量部未満では所望の効果が得られず、200重
量部を越えると成形加工が困難になる。また、併用され
る上記官能性表面処理剤等の使用量は、ガラス繊維
(C)に対し0〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%
である。
かかる成分(A),(B),(C)からなるポリエス
テル樹脂組成物より得られる成形品は、従来の制振化の
主手段であった高剛性に加え、更に振動減衰(振動吸収
性)に優れた性能を示し、従来のガラス繊維強化ポリエ
ステル樹脂では得られなかった極めて良好な制振性を有
する。
本発明の樹脂組成物は、このままで用いても優れた性
能を示すものであるが、更にその目的を阻害しない範囲
で本発明の(B)成分以外の熱可塑性樹脂、(C)成分
以外の繊維状、又は粉粒状及び/又は板状の無機充填剤
を補助的に少量併用することが可能である。
又、本発明組成物には、更にその目的に応じ所望の特
性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂等に添加され
る公知の物質、即ち酸化防止剤や耐熱安定剤、紫外線吸
収剤等の安定剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、染料や顔
料等の着色剤、潤滑剤、可塑剤及び結晶化促進剤、結晶
核剤等を配合することが可能である。
次に本発明の樹脂組成物の調製は、従来の強化充填剤
入樹脂の調製法として一般に用いられる方法により容易
に調製される。即ち、ガラス繊維としては、適当な寸法
に集束切断されたチョップドストランド或いはロービン
グ又はフィラメント状等のものを何れも常法通り使用で
きる。又、例えば各成分を混合した後、押出機により練
込み押出して、ペレットを調製し、しかる後成形する方
法、一旦組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調
製し、そのペレットを所定量混合(稀釈)して成形に供
し、成形後に目的組成の成形品を得る方法、成形機に各
成分を直接仕込む方法等、何れも使用できる。
成形法も、目的とする部品の形状、構造等に応じ熱可
塑性樹脂の成形法として一般に知られている何れの方法
も可能であるが、射出成形が最も好ましい。
〔実 施 例〕
以下本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。尚、評価の方法は以下の通りであ
る。
振動減衰率の測定: 幅約13mm、長さ約130mm、厚さ約3mmの試験片を成形
し、試験片を図1に示す如く固定して一端に一定の自由
振動を与え、デジタルオシロスコープを使用して時間と
出力電圧の変化(減衰曲線)を測定し、下記式を用いて
単位時間(秒)当たりの対数減衰率を求めた。
引張り強伸度 ASTM D−638に準拠して、引張り強伸度を測定した。
アイゾット衝撃強度 ASTM D−256に準拠して、ノッチ付きアイゾット衝撃
強度を測定した。
実施例1〜9 (A)成分としてポリブチレンテレフタレートと、
(B)成分として後述のポリエステルエラストマー又は
熱可塑性ポリウレタンと、(C)成分として断面の長径
/短径比約2.3のまゆ形断面形状を有する収束した長さ3
mmのチョップドストランドガラス繊維とを添加混合し、
押出機にて溶融混練してペレットを得た。
次いでこのペレットを用い、射出成形により試験片を
作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1〜12 ポリブチレンテレフタレート(A)に、(B)成分を
加えない場合、(B)成分として本発明の要件に属さな
いエチレンとアクリル酸エチルの共重合体(B′)を用
いたもの、及び本発明の要件に属さない円形断面を有す
る長さ3mmのチョップドガラス繊維(C′)のみを添加
したもの、更にガラス繊維と(B)成分を併用添加した
ものを表2に示す如く添加混合して、実施例と同様にペ
レットを調製し、前記の評価を行った。結果を表2に示
す。
実施例10、比較例13 (A)成分として実施例9に用いたポリブチレンテレ
フタレートの代わりに、ポリブチレンテレフタレートと
ポリエチレンテレフタレートの混合ポリマーを用いる以
外は、実施例9と同様にペレットを調製し、前記の評価
を行った。又、比較の為、円形断面を有するガラス繊維
を用いたものについて評価を行った。結果をそれぞれ表
1及び表2に示す。
実施例11 (C)成分として実施例9に用いたガラス繊維の代わ
りに、断面の長径/短径比約1.8の楕円形断面形状を有
する長さ3mmのチョップドストランドガラス繊維を用い
ること以外は実施例9と同様にペレットを調製し、前記
の評価を行った。結果を表1に示す。
(注)*1 B−1;ポリブチレンテレフタレートセグメン
トとポリテトラメチレンオキシドテレフタレートセグメ
ントよりなるポリエステルエラストマー B−2;ポリブチレンテレフタレートセグメン
ト及びポリブテンテレフタレートセグメントと、ポリテ
トラメチレンオキシドテレフタレートセグメントよりな
るポリエステルエラストマー B−3;ポリエーテル型ポリウレタン〔ジイソ
シアネートとして4,4′−メチレンビス(フェニルイソ
シアネート)を用いたウレタン〕 B−4;ポリエステル型ポリウレタン〔ジイソ
シアネートとして4,4′−メチレンビス(フェニルイソ
シアネート)を用いたウレタン〕 *2 長径/短径比 実施例1〜10及び比較例1及び2は約2.3、実施例11
は約1.8 〔発明の効果〕 以上の説明及び実施例より明らかな如く、特定の重合
体、及び特定の断面形状を有するガラス繊維を配合して
なる本発明のポリエステル樹脂組成物は、成形品の振動
減衰性を大幅に改善することができ、しかも従来のガラ
ス繊維強化ポリエステル樹脂に比べ、引張伸度、衝撃値
等の靭性が改善され、かつ優れた制振効果を有するもの
である。
従って、本発明の組成物は、音響機器部品或いはエン
ジン、モーター等の発振源を有する自動車部品、例えば
ルームミラー、フェンダーミラー等の構造部品、OA機器
等の直接構造部品等で、剛性及び靭性等が要求される部
品に好ましく用いられる。
【図面の簡単な説明】
図1は実施例における振動減衰率の測定状況を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−283853(JP,A) 特開 昭62−202837(JP,A) 特開 昭62−187136(JP,A) 特開 昭61−219731(JP,A) 特開 昭62−223257(JP,A) 特開 昭61−19617(JP,A) 特開 昭58−101148(JP,A) 特開 昭54−83052(JP,A) 特開 昭52−8057(JP,A) 特開 昭50−160365(JP,A) 特開 昭50−78649(JP,A) 特開 昭50−53448(JP,A) 特開 昭50−48059(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂60
    〜97重量部と (B)ポリエステルエラストマー及び熱可塑性ポリウレ
    タンから選択された少なくとも1種の重合体40〜3重量
    部からなる樹脂成分100重量部に対し、 (C)長さ方向に直角の断面の長径(断面の最長の直線
    距離)と短径(長径と直角方向の最長の直線距離)の比
    が1.5〜5の間にある扁平な断面形状を有するガラス繊
    維5〜200重量部 を配合したことを特徴とする制振性ポリエステル樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】(A)結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂が
    主としてポリブチレンテレフタレートからなるポリエス
    テルである請求項1記載の制振性ポリエステル樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】樹脂成分(B)中の熱可塑性ポリウレタン
    が下記(i)、(ii)及び(iii)より構成された生成
    物である請求項1又は2記載の制振性ポリエステル樹脂
    組成物。 (i)ジイソシアネート化合物 (ii)分子量が500〜5000の高分子量ポリオール (iii)分子量が60〜500の低分子量ポリオール及び/又
    はポリアミン
  4. 【請求項4】(C)成分のガラス繊維が、まゆ形、長円
    形、楕円形、半円もしくは円弧形、矩形又はそれらの類
    似形より選ばれた断面形状を主体とするものである請求
    項1〜3のいずれか1項記載の制振性ポリエステル樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項記載の制振性
    ポリエステル樹脂組成物を成形してなる制振性部品。
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