JP3696464B2 - コラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤に関し、更に詳しくは、特定植物抽出物を含有するコラーゲン合成促進剤、及びコラーゲンの分解を亢進させると共にコラーゲンの合成を刺激することによってコラーゲンの代謝回転を高めることのできるコラーゲン代謝賦活剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の蛋白質に比べ、コラーゲンの代謝回転速度は非常に遅く、生理的条件に於いても、老化に伴ってコラーゲンの代謝回転速度が更に低下していくことが知られている。コラーゲンの代謝回転速度はコラーゲンの分解速度と合成速度により決まるが、この様な老化に伴う代謝回転速度の低下はコラーゲンの架橋構造(老化架橋)の増加につながり、例えば、皮膚の硬化やしわの形成に関わっている。難分解・難抽出性の固いコラーゲンが増加することにより、細胞の足場として増殖・分化・移動に関与するコラーゲンの機能が損なわれ、細胞活性の低下を来し、更にコラーゲンの代謝回転速度が低下するという悪循環に陥ると考えられている(現代化学、12月号、36頁、1990年参照)。
【0003】
この様な老化に伴うコラーゲン代謝回転速度の低下を食い止める手段としては、コラーゲン分解の律速酵素であるコラゲナーゼを増強してコラーゲンの分解を促すことによって老化架橋の形成を阻止すると同時に、コラーゲンの合成速度を高めてやることにより、コラーゲンの代謝を促進することが考えられる。
【0004】
ところで、コラゲナーゼは、結合組織中の間質型コラーゲン(I型、II型、及びIII型コラーゲン)を分解する際の律速酵素であり、コラーゲンの代謝に重要な役割を果たしている。コラゲナーゼは、前駆体であるプロコラゲナーゼとして細胞より分泌され、生体内ではその後プラスミンやストロムライシン等のタンパク分解酵素によってコラゲナーゼに活性化されると考えられている(Biochemical Journal、166巻、21頁、1977年及びProceedings of the National Academy of Sciences of the U.S.A.、86巻、2632頁、1989年参照)。
【0005】
細胞のプロコラゲナーゼ産生能を増強することを可能とする物質として、これまで、インターロイキン1、腫瘍壊死因子(TNF)、表皮成長因子(EGF)、血小板誘導成長因子(PDGF)等のサイトカイン及びホルボールエステル等が知られている。しかしこれらのサイトカイン類は高価であり、製造コストが高くなるため使用が限られる。また、ホルボールエステルは発癌プロモーター物質であってその使用は安全とは言い難い。
【0006】
一方、コラーゲン,特に結合組織内で主たるコラーゲンであるI型コラーゲンの合成あるいは分泌の亢進は、線維芽細胞を用いた実験により、TGF−β、アスコルビン酸及びその誘導体、エストロジェン、テストステロン及びインシュリンなどで達成できることが知られている(細胞外マトリクスのバイオサイエンスとバイオテクノロジー、165頁、株式会社アイピーシー、1990年参照)。
【0007】
ところで、例えばTGF−βやエストロジェンの場合は、コラーゲンの合成を促進し、しかもコラゲナーゼの分泌を抑制する為、コラーゲンの代謝賦活というよりはむしろコラーゲンの蓄積を促進する物質である。また、イターロイキン−1は、コラゲナーゼの分泌を促進すると同時に、コラーゲンの合成を抑制する為、この場合、コラーゲンの代謝賦活というよりはむしろコラーゲンの一方的な減少を促すと考えられる。また、グルココルチコイドやレチノイン酸は、コラーゲンとコラゲナーゼの分泌をともに抑制する物質である(細胞マトリクスのバイオサイエンスとバイオテクノロジー,165頁,株式会社アイピーシー,1990年参照)。
【0008】
本発明者等はコラーゲンの合成と分解という相反する作用を同時に促し、より積極的にコラーゲンの代謝を促進することを試み、すでにコラゲナーゼ産生促進物質である絹部分水解物とコラーゲン合成促進物質であるアスコルビン酸リン酸エステルを組み合わせたもの(特願平3─147945号;特開平4−346936号公報)、そしてコラゲナーゼ産生促進物質としてエタノールアミン誘導体、ペントキシフィリン、セリン誘導体、又は硫酸塩を、コラーゲン合成促進剤としてアスコルビン酸誘導体等を含有することを特徴とするコラーゲン代謝賦活剤(特願平4−332519号;特開平6−157232号公報)を出願している。
【0009】
しかし、剤形や配合条件に制約されず、更に安全性が高く、自然派嗜好の植物抽出物である他のコラーゲン産生促進物質との組み合わせが化粧品や医薬品用途で望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
係る事情に鑑み、本発明者等は、コラーゲン代謝を賦活させることにより肌の硬化やしわを予防させることを意図し種々の物質を鋭意検討した結果、カンゾウ、ソウハクヒ、スギナ、アロエ、キンギンカ、オウバク、ガイヨウ及びゲンチアナからなる群より選ばれる少なくとも一種の植物の抽出物がコラーゲン合成を促進させること、更に硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、分子量500以下の絹繊維の硫酸加水分解物を始めとする絹部分水解物、セリン誘導体、エタノールアミン及びその誘導体、並びにケイ酸関連物質及びその塩等のコラゲナーゼ産生促進剤と組み合わせるとコラーゲン代謝回転を高めることを見出し、本発明を完成するに至ったものであって、その目的とするところは、コラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、カンゾウ、ソウハクヒ、スギナ、アロエ、キンギンカ、オウバク、及びゲンチアナからなる群より選ばれる少なくとも一種の植物の抽出物を含有することを特徴とするコラーゲン合成促進剤とコラゲナーゼ産生促進剤とを組み合わせたコラーゲン代謝賦活剤によって達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
【0013】
本発明に用いられるコラーゲン合成促進物質としては、マメ科カンゾウもしくは類縁植物の根、根茎又は茎、クワ科ソウハクヒ(クワ)もしくは類縁植物の根皮、トクサ科スギナもしくは類縁植物の全草、ユリ科アロエもしくは類縁植物の葉又は葉汁、スイカズラ科キンギンカ(スイカズラ)もしくは類縁植物の花、葉又は茎、ミカン科オウバク(キハダ)もしくは類縁植物の樹皮、リンドウ科ゲンチアナもしくは類縁植物の根又は根茎等を、水、エタノール等の低級アルコール、プロピレングリコールや1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、ジエチレングリコールエーテル等の多価アルコールアルキルエーテルその他の極性溶媒、又はそれらの混液にて抽出して得ることができるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
本発明に係るコラーゲン合成促進物質の含有量は、処方成分全量を基準として好ましくは0.1〜5.0質量%の範囲内である。
【0015】
本発明に用いられるコラゲナーゼ産生促進物質としては、プロコラゲナーゼ産生物質(コラゲナーゼは、前駆体であるプロコラゲナーゼとして細胞より分泌され、生体内ではその後、蛋白分解酵素によってコラゲナーゼに活性化されると考えられている)として一般に知られているもの、例えば、硝酸塩又はアンモニウム塩、絹部分水解物、セリン及びその誘導体、エタールアミン及びその誘導体、ケイ酸関連物質及びその塩等を挙げることができる。
【0016】
本発明に用いられる硫酸塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる硝酸塩としては、例えば、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム等が挙げられ、アンモニウム塩としては、例えば、酢酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、乳酸アンモニウム等が挙げられる。
【0018】
絹部分水解物、特に、水溶性絹ペプチドは皮膚化粧料等に用いられる公知物質であり、例えばその製造法として特公昭58−17763号公報、特公昭59−31520号公報、特公昭60−41043号公報等が知られている。絹部分水解物の中でも、分子量500以下の絹繊維の硫酸加水分解物が特に好ましいものとして挙げることができる。
【0019】
セリン誘導体としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられ、更に具体的には、例えば、N−メチル−L−セリン、N−メチル−DL−セリン、N,N−ジメチル−L−セリン、N,N−ジメチル−DL−セリン等を挙げることができる。
【0020】
【化1】
【0021】
上記式(1)中、R1及びR2は、それぞれ水素原子又はメチル基を示し、同じであっても異なっていても良い。
【0022】
エタノールアミン及びその誘導体としては、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられ、更に具体的には、例えば、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−プロパノール、N−メチル−2−アミノ−1−ブタノール、N−メチル−2−アミノ−1−プロパノール等を挙げることができる。エタノールアミン及びその誘導体は、遊離のアミンあるいはアミン塩の形で用いられる。アミン塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩等の鉱酸の塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、低級脂肪酸塩、高級脂肪酸塩等の有機酸の塩等が挙げられる。
【0023】
【化2】
【0024】
上記(2)式中R3及びR4は、それぞれ水素原子又は又はメチル基を示し、同じであっても異なっていても良い。R5は、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。但し、R3及びR4が同時に水素原子であるか、又は同時にメチル基である場合は、R5は、水素原子ではない。
【0025】
ケイ酸関連物質及びその塩としては、例えば特開平7−188036号公報記載のケイ酸、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0026】
本発明に用いられるコラゲナーゼ産生促進物質の含有量は、その剤形により異なるが、硝酸塩、アンモニウム塩、セリン又はその誘導体、エタノールアミン又はその誘導体、ケイ酸関連物質又はその塩を用いる場合は、その含有量は処方成分全量を基準として好ましくは0.001〜10質量%である。また、絹繊維の硫酸加水分解物を用いる場合は、処方成分全量を基準として絹繊維換算として0.0001〜5質量%含むことが好ましい。含有量がその下限よりも少ないと効果は十分でなく、上限を越えてもその増量分に見合った効果は期待できない場合がある。
【0027】
尚、本発明のコラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤には上記の他にタール系色素、酸化鉄等の着色顔料、パラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコン等のシリコン油、パラフィン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブスクワラン、米スクワラン、米胚芽油、ホホバ油、ヒマシ油、紅花油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油等の植物油、ミツロウ、モクロウ、カルナバロウ等のロウ類、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油、エタノール等の低級アルコール類、セタノール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、長鎖分岐脂肪族アルコール等の高級アルコール類、コレステロール、フィトステロール、分岐脂肪酸コレステロールエステル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルエステル等のステロール類及び誘導体、硬化油等の加工油類、ステアリン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、イソ型長鎖脂肪酸、アンテイソ型長鎖脂肪酸等の高級脂肪酸、リモネン、水素添加ビサボロール等のテルペン類、トリカプリル・カプリン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソ型長鎖脂肪酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル等のトリグリセリド、セチル硫酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸塩等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、変性シリコン、蔗糖エステル等の非イオン界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、ベタイン型、スルホベタイン型、スルホアミノ酸型等の両性界面活性剤、レシチン、リゾフォスファチジルコリン、セラミド、セレブロシド等の天然系界面活性剤、酸化チタン、酸化亜鉛等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、塩化カルシウム等の無機塩類、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、琥珀酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ジクロロ酢酸、メバロン酸、グリチルリチン酸等の有機酸及びその塩、塩酸エタノールアミン、硝酸アンモニウム、塩酸アルギニン、ジイソプロピルアミン塩、尿素、デカルボキシカルノシン等の有機アミン類及びその塩、エデト酸等のキレート剤、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ペクチン、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、寒天等の増粘剤、水酸化カリウム、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の中和剤、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルフォン酸塩等の紫外線吸収剤、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルビトール、ジグリセリン、ラフィノース等の多価アルコール、各種アミノ酸、アスコルビン酸、ビオチン、トコフェロール等のビタミン類及びアスコルビン酸硫酸エステル塩、アスコルビン酸燐酸エステル塩、ニコチン酸トコフェロール等のビタミン誘導体等を本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。尚、実施例で用いたカンゾウ、ソウハクヒ、スギナ、アロエ、キンギンカ、オウバク、ガイヨウ及びゲンチアナは、それぞれの植物乾燥物を粉砕し、質量にて10倍量のエタノールを用い常温で一昼夜抽出したものを常法により減圧乾固したものを用いた。
【0029】
試験例1
正常ヒト線維芽細胞株[白人女性の皮膚より採取されたDetroit−551(ATCC CCL 110)]の濃度を10容量%ウシ胎仔血清(以下FBSと略記)を含むMEM培地にて1×105個/mLに調整し、2枚の24穴プレートにそれぞれ0.4mLずつ播種(4×104個/穴)し5%炭酸ガス、飽和水蒸気下、37℃で24時間培養した。なお、MEM培地は、大日本製薬社製最少必須培地10−101に、それぞれ終濃度0.1質量%ラクトアルブミン酵素水解物(シグマ社製)、1容量%非必須アミノ酸、1mmol/Lピルビン酸ナトリウム(以上いずれも大日本製薬社製)、0.12質量%炭酸水素ナトリウム及び50mg/Lストレプトマイシンを添加して調製した。24時間後培養液を吸引除去し、終濃度0.6容量%FBSを添加したMEM培地で細胞を2回洗浄した後、ポアーサイズが0.2μmのニトロセルロース膜(アドバンテック東洋製、DISMIC−25)で濾過滅菌したコラーゲン合成促進剤又はコラーゲン代謝賦活剤を添加した同培地に交換した。尚、同プレートを2枚作製して、1枚をコラーゲン産生量の測定に、残りの1枚をプロコラゲナーゼ産生量の測定に用いた。
【0030】
コラーゲン産生量の定量:コラーゲンの産生量はβ−アミノプロピオニトリルを終濃度50μg/mL、トリチウム−L−プロリンを最終50μCi/mL添加して、さらに24時間培養した培養液より、ペプシンに耐性かつ食塩濃度依存的溶解度によって分画されたコラーゲン画分に取り込まれた放射活性で測定した。ペプシン処理及び食塩濃度によるコラーゲンの分画法は、Webster等の方法(Analytical Biochemistry,220頁,1979年参照)に準じた。
【0031】
尚、コラーゲン合成促進活性は、検体添加群放射活性を非検体添加群放射活性で除した割合として示す。
【0032】
プロコラゲナーゼ産生促進活性を調べるのに先立って、培養上清中にプロコラゲナーゼと同時に産生されている、コラゲナーゼインヒビター(蛋白質)の除去を行った。
【0033】
コラゲナーゼインヒビターの除去:
得られた培養上清250μLに10mmol/Lトリス塩酸緩衝液〔4℃でpH7.8に調整、1mmol/L塩化カルシウム、0.05容量%Brij−35[ICI社製ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル]を含む〕を1.75mL加え、同緩衝液で平衡化したCM−セファロースCL−6B TM(ファルマシア社製、ベッド容量0.5mL)に供した。
【0034】
次に、125mmol/L食塩を含む同緩衝液0.5mLにてインヒビターを除去(計4回、総量2mL)し、500mmol/L食塩を含む同緩衝液0.5mLにてプロコラゲナーゼを回収(計4回、総量2mL)した。
【0035】
プロコラゲナーゼ産生量の定量:
本実験で用いた細胞では、産生されるコラゲナーゼはそのままでは活性をもたないプロコラゲナーゼとして回収されるので、プロコラゲナーゼ産生量は、トリプシンで活性化して得られるコラゲナーゼ活性として定量した。トリプシンによる活性化法、及びフルオレッセインイソチオシアネートで標識されたI型コラーゲン(コスモバイオ社製)を基質としたコラゲナーゼ活性の測定法は、永井等の方法(Japanese Journal of Inflamation、4巻、123頁、1984年参照)に準じた。
【0036】
尚、1単位は、35℃で1分間に1μgのI型コラーゲンを分解する酵素量を示す。
【0037】
得られたコラーゲン合成促進率結果を下記に示した。
【0038】
【0039】
上記の通り、カンゾウ、ソウハクヒ、スギナ、アロエ、キンギンカ、オウバク、ガイヨウ及びゲンチアナにはコラーゲン合成促進効果があることが明白となった。
【0040】
得られたコラゲナーゼ産生促進活性の結果を下記に示した。
【0041】
【0042】
上記の通り、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、絹繊維加水分解物、N−メチルセリン、N−メチルエタノールアミン及びメタケイ酸ナトリウムにはコラゲナーゼ産生促進活性があることが確認された。
【0043】
コラーゲン合成促進物質と、コラゲナーゼ産生促進物質を同時添加しコラーゲン合成促進率とコラゲナーゼ産生促進活性を調べた結果を表1及び2に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
表1、2記載のようにコラーゲン合成促進物質と、コラゲナーゼ産生促進物質を同時添加しても互いの作用を相殺することなく、コラーゲンの合成と分解の両方を促進することができる。
【0047】
以下、本発明のコラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤の応用例(皮膚化粧料)を示す。
【0048】
処方例1〜3(スキンクリーム)
本発明のコラーゲン合成促進物質及びコラゲナーゼ産生促進物質を下記の組成でそれぞれを配合し、スキンクリームを調製した(処方例1〜3)。尚、濃度は以下全て質量%で示す。
【0049】
【0050】
(2)調製法
(A)成分及び(B)成分を各々80℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、スキンクリームを調製した。
【0051】
処方例4〜6(ローション)
本発明のコラーゲン合成促進物質及びコラゲナーゼ産生促進物質を下記の組成で配合し、ローションを調製した(応用例4〜6)。
【0052】
【0053】
(2)調製法
各成分をそれぞれ混合溶解し、攪拌して、ローションを調製した。
【0054】
処方例7〜9(ジェル)
本発明のコラーゲン合成促進物質及びコラゲナーゼ産生促進物質を下記の組成でそれぞれを配合し、ジェルを調製した(処方例7〜9)。
【0055】
【0056】
(2)調製法
(A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、クリームを調製した。
【0057】
処方例10〜12(親油クリーム)
本発明のコラーゲン合成促進物質及びコラゲナーゼ産生促進物質を下記の組成で配合し、親油クリームを調製した(応用例10〜12)。
【0058】
【0059】
(2)調製法
(A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、親油クリームを調製した。
【0060】
【発明の効果】
以上の如く、本発明により、コラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤を提供できることは明らかである。
Claims (2)
- カンゾウ、ソウハクヒ、スギナ、アロエ、キンギンカ、オウバク、及びゲンチアナからなる群より選ばれる少なくとも一種のコラーゲン合成促進剤とコラゲナーゼ産生促進物質とを含有することを特徴とするコラーゲン代謝賦活剤。
- コラゲナーゼ産生促進物質が、硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、分子量500以下の絹繊維の硫酸加水分解物、一般式(1)で示されるセリン誘導体、一般式(2)で示されるエタノールアミン及びその誘導体、ケイ酸、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種以上である請求項1記載のコラーゲン代謝賦活剤。
一般式(1)
一般式(2)
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