JP2001206835A - コラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤 - Google Patents

コラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤

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JP2001206835A JP2000015566A JP2000015566A JP2001206835A JP 2001206835 A JP2001206835 A JP 2001206835A JP 2000015566 A JP2000015566 A JP 2000015566A JP 2000015566 A JP2000015566 A JP 2000015566A JP 2001206835 A JP2001206835 A JP 2001206835A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活
剤を提供する。 【解決手段】カンゾウ、ソウハクヒ、スギナ、アロエ、
キンギンカ、オウバク、ガイヨウ及びゲンチアナからな
る群より選ばれる少なくとも一種の植物の抽出物を有効
成分とするコラーゲン合成促進剤、該剤と更にコラゲナ
ーゼ産生促進物質とを含有するコラーゲン代謝賦活剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコラーゲン合成促進
剤及びコラーゲン代謝賦活剤に関し、更に詳しくは、特
定植物抽出物を含有するコラーゲン合成促進剤、及びコ
ラーゲンの分解を亢進させると共にコラーゲンの合成を
刺激することによってコラーゲンの代謝回転を高めるこ
とのできるコラーゲン代謝賦活剤に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の蛋白質に比べ、コラーゲンの代謝
回転速度は非常に遅く、生理的条件に於いても、老化に
伴ってコラーゲンの代謝回転速度が更に低下していくこ
とが知られている。コラーゲンの代謝回転速度はコラー
ゲンの分解速度と合成速度により決まるが、この様な老
化に伴う代謝回転速度の低下はコラーゲンの架橋構造
(老化架橋)の増加につながり、例えば、皮膚の硬化や
しわの形成に関わっている。難分解・難抽出性の固いコ
ラーゲンが増加することにより、細胞の足場として増殖
・分化・移動に関与するコラーゲンの機能が損なわれ、
細胞活性の低下を来し、更にコラーゲンの代謝回転速度
が低下するという悪循環に陥ると考えられている(現代
化学、12月号、36頁、1990年参照)。
【0003】この様な老化に伴うコラーゲン代謝回転速
度の低下を食い止める手段としては、コラーゲン分解の
律速酵素であるコラゲナーゼを増強してコラーゲンの分
解を促すことによって老化架橋の形成を阻止すると同時
に、コラーゲンの合成速度を高めてやることにより、コ
ラーゲンの代謝を促進することが考えられる。
【0004】ところで、コラゲナーゼは、結合組織中の
間質型コラーゲン(I型、II型、及びIII型コラー
ゲン)を分解する際の律速酵素であり、コラーゲンの代
謝に重要な役割を果たしている。コラゲナーゼは、前駆
体であるプロコラゲナーゼとして細胞より分泌され、生
体内ではその後プラスミンやストロムライシン等のタン
パク分解酵素によってコラゲナーゼに活性化されると考
えられている(Biochemical Journa
l、166巻、21頁、1977年及びProceed
ings of the National Acad
emy ofSciences of the U.
S.A.、86巻、2632頁、1989年参照)。
【0005】細胞のプロコラゲナーゼ産生能を増強する
ことを可能とする物質として、これまで、インターロイ
キン1、腫瘍壊死因子(TNF)、表皮成長因子(EG
F)、血小板誘導成長因子(PDGF)等のサイトカイ
ン及びホルボールエステル等が知られている。しかしこ
れらのサイトカイン類は高価であり、製造コストが高く
なるため使用が限られる。また、ホルボールエステルは
発癌プロモーター物質であってその使用は安全とは言い
難い。
【0006】一方、コラーゲン,特に結合組織内で主た
るコラーゲンであるI型コラーゲンの合成あるいは分泌
の亢進は、線維芽細胞を用いた実験により、TGF−
β、アスコルビン酸及びその誘導体、エストロジェン、
テストステロン及びインシュリンなどで達成できること
が知られている(細胞外マトリクスのバイオサイエンス
とバイオテクノロジー、165頁、株式会社アイピーシ
ー、1990年参照)。
【0007】ところで、例えばTGF−βやエストロジ
ェンの場合は、コラーゲンの合成を促進し、しかもコラ
ゲナーゼの分泌を抑制する為、コラーゲンの代謝賦活と
いうよりはむしろコラーゲンの蓄積を促進する物質であ
る。また、イターロイキン−1は、コラゲナーゼの分泌
を促進すると同時に、コラーゲンの合成を抑制する為、
この場合、コラーゲンの代謝賦活というよりはむしろコ
ラーゲンの一方的な減少を促すと考えられる。また、グ
ルココルチコイドやレチノイン酸は、コラーゲンとコラ
ゲナーゼの分泌をともに抑制する物質である(細胞マト
リクスのバイオサイエンスとバイオテクノロジー,16
5頁,株式会社アイピーシー,1990年参照)。
【0008】本発明者等はコラーゲンの合成と分解とい
う相反する作用を同時に促し、より積極的にコラーゲン
の代謝を促進することを試み、すでにコラゲナーゼ産生
促進物質である絹部分水解物とコラーゲン合成促進物質
であるアスコルビン酸リン酸エステルを組み合わせたも
の(特願平3─147945号;特開平4−34693
6号公報)、そしてコラゲナーゼ産生促進物質としてエ
タノールアミン誘導体、ペントキシフィリン、セリン誘
導体、又は硫酸塩を、コラーゲン合成促進剤としてアス
コルビン酸誘導体等を含有することを特徴とするコラー
ゲン代謝賦活剤(特願平4−332519号;特開平6
−157232号公報)を出願している。
【0009】しかし、剤形や配合条件に制約されず、更
に安全性が高く、自然派嗜好の植物抽出物である他のコ
ラーゲン産生促進物質との組み合わせが化粧品や医薬品
用途で望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】係る事情に鑑み、本発
明者等は、コラーゲン代謝を賦活させることにより肌の
硬化やしわを予防させることを意図し種々の物質を鋭意
検討した結果、カンゾウ、ソウハクヒ、スギナ、アロ
エ、キンギンカ、オウバク、ガイヨウ及びゲンチアナか
らなる群より選ばれる少なくとも一種の植物の抽出物が
コラーゲン合成を促進させること、更に硫酸塩、硝酸
塩、アンモニウム塩、分子量500以下の絹繊維の硫酸
加水分解物を始めとする絹部分水解物、セリン誘導体、
エタノールアミン及びその誘導体、並びにケイ酸関連物
質及びその塩等のコラゲナーゼ産生促進剤と組み合わせ
るとコラーゲン代謝回転を高めることを見出し、本発明
を完成するに至ったものであって、その目的とするとこ
ろは、コラーゲン合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤
を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、カンゾ
ウ、ソウハクヒ、スギナ、アロエ、キンギンカ、オウバ
ク、ガイヨウ及びゲンチアナからなる群より選ばれる少
なくとも一種の植物の抽出物を含有することを特徴とす
るコラーゲン合成促進剤によって達成される。また、該
コラーゲン合成促進剤とコラゲナーゼ産生促進剤とを組
み合わせたコラーゲン代謝賦活剤によって達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳述
する。
【0013】本発明に用いられるコラーゲン合成促進物
質としては、マメ科カンゾウもしくは類縁植物の根、根
茎又は茎、クワ科ソウハクヒ(クワ)もしくは類縁植物
の根皮、トクサ科スギナもしくは類縁植物の全草、ユリ
科アロエもしくは類縁植物の葉又は葉汁、スイカズラ科
キンギンカ(スイカズラ)もしくは類縁植物の花、葉又
は茎、ミカン科オウバク(キハダ)もしくは類縁植物の
樹皮、キク科ガイヨウ(ヨモギ、モウコヨモギ、ヤマヨ
モギ)もしくは類縁植物の葉、リンドウ科ゲンチアナも
しくは類縁植物の根又は根茎等を、水、エタノール等の
低級アルコール、プロピレングリコールや1,3−ブチ
レングリコール等の多価アルコール、ジエチレングリコ
ールエーテル等の多価アルコールアルキルエーテルその
他の極性溶媒、又はそれらの混液にて抽出して得ること
ができるが、これらに限定されるものではない。
【0014】本発明に係るコラーゲン合成促進物質の含
有量は、処方成分全量を基準として好ましくは0.1〜
5.0質量%の範囲内である。
【0015】本発明に用いられるコラゲナーゼ産生促進
物質としては、プロコラゲナーゼ産生物質(コラゲナー
ゼは、前駆体であるプロコラゲナーゼとして細胞より分
泌され、生体内ではその後、蛋白分解酵素によってコラ
ゲナーゼに活性化されると考えられている)として一般
に知られているもの、例えば、硝酸塩又はアンモニウム
塩、絹部分水解物、セリン及びその誘導体、エタールア
ミン及びその誘導体、ケイ酸関連物質及びその塩等を挙
げることができる。
【0016】本発明に用いられる硫酸塩としては、硫酸
ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫
酸カリウム等が挙げられる。
【0017】本発明に用いられる硝酸塩としては、例え
ば、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アンモニ
ウム等が挙げられ、アンモニウム塩としては、例えば、
酢酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、乳酸アンモニ
ウム等が挙げられる。
【0018】絹部分水解物、特に、水溶性絹ペプチドは
皮膚化粧料等に用いられる公知物質であり、例えばその
製造法として特公昭58−17763号公報、特公昭5
9−31520号公報、特公昭60−41043号公報
等が知られている。絹部分水解物の中でも、分子量50
0以下の絹繊維の硫酸加水分解物が特に好ましいものと
して挙げることができる。
【0019】セリン誘導体としては、下記一般式(1)
で示される化合物が挙げられ、更に具体的には、例え
ば、N−メチル−L−セリン、N−メチル−DL−セリ
ン、N,N−ジメチル−L−セリン、N,N−ジメチル
−DL−セリン等を挙げることができる。
【0020】
【化1】
【0021】上記式(1)中、R1及びR2は、それぞれ
水素原子又はメチル基を示し、同じであっても異なって
いても良い。
【0022】エタノールアミン及びその誘導体として
は、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられ、更
に具体的には、例えば、モノエタノールアミン、N−メ
チルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールア
ミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−
プロパノール、N−メチル−2−アミノ−1−ブタノー
ル、N−メチル−2−アミノ−1−プロパノール等を挙
げることができる。エタノールアミン及びその誘導体
は、遊離のアミンあるいはアミン塩の形で用いられる。
アミン塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐
酸塩等の鉱酸の塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、リン
ゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、低級脂
肪酸塩、高級脂肪酸塩等の有機酸の塩等が挙げられる。
【0023】
【化2】
【0024】上記(2)式中R3及びR4は、それぞれ水
素原子又は又はメチル基を示し、同じであっても異なっ
ていても良い。R5は、水素原子、メチル基又はエチル
基を示す。但し、R3及びR4が同時に水素原子である
か、又は同時にメチル基である場合は、R5は、水素原
子ではない。
【0025】ケイ酸関連物質及びその塩としては、例え
ば特開平7−188036号公報記載のケイ酸、ケイ酸
カリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリ
ウム等を挙げることができる。
【0026】本発明に用いられるコラゲナーゼ産生促進
物質の含有量は、その剤形により異なるが、硝酸塩、ア
ンモニウム塩、セリン又はその誘導体、エタノールアミ
ン又はその誘導体、ケイ酸関連物質又はその塩を用いる
場合は、その含有量は処方成分全量を基準として好まし
くは0.001〜10質量%である。また、絹繊維の硫
酸加水分解物を用いる場合は、処方成分全量を基準とし
て絹繊維換算として0.0001〜5質量%含むことが
好ましい。含有量がその下限よりも少ないと効果は十分
でなく、上限を越えてもその増量分に見合った効果は期
待できない場合がある。
【0027】尚、本発明のコラーゲン合成促進剤及びコ
ラーゲン代謝賦活剤には上記の他にタール系色素、酸化
鉄等の着色顔料、パラベン、フェノキシエタノール等の
防腐剤、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリ
シロキサン、環状シリコン等のシリコン油、パラフィ
ン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブスクワラン、米
スクワラン、米胚芽油、ホホバ油、ヒマシ油、紅花油、
オリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油等の植物
油、ミツロウ、モクロウ、カルナバロウ等のロウ類、ミ
リスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、イ
ソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロ
ピル等のエステル油、エタノール等の低級アルコール
類、セタノール、ベヘニルアルコール、ステアリルアル
コール、長鎖分岐脂肪族アルコール等の高級アルコール
類、コレステロール、フィトステロール、分岐脂肪酸コ
レステロールエステル、マカデミアナッツ脂肪酸フィト
ステリルエステル等のステロール類及び誘導体、硬化油
等の加工油類、ステアリン酸、ミリスチン酸、イソステ
アリン酸、オレイン酸、イソ型長鎖脂肪酸、アンテイソ
型長鎖脂肪酸等の高級脂肪酸、リモネン、水素添加ビサ
ボロール等のテルペン類、トリカプリル・カプリン酸グ
リセリル、2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソ
型長鎖脂肪酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル
等のトリグリセリド、セチル硫酸ナトリウム、N−ステ
アロイル−L−グルタミン酸塩等の陰イオン界面活性
剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アル
コール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂
肪酸エステル、変性シリコン、蔗糖エステル等の非イオ
ン界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イ
オン界面活性剤、ベタイン型、スルホベタイン型、スル
ホアミノ酸型等の両性界面活性剤、レシチン、リゾフォ
スファチジルコリン、セラミド、セレブロシド等の天然
系界面活性剤、酸化チタン、酸化亜鉛等の顔料、ジブチ
ルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤、塩化ナトリウム、
塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫
酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、塩化カルシウム等
の無機塩類、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、琥珀
酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリ
ウム、ジクロロ酢酸、メバロン酸、グリチルリチン酸等
の有機酸及びその塩、塩酸エタノールアミン、硝酸アン
モニウム、塩酸アルギニン、ジイソプロピルアミン塩、
尿素、デカルボキシカルノシン等の有機アミン類及びそ
の塩、エデト酸等のキレート剤、キサンタンガム、カル
ボキシビニルポリマー、カラギーナン、ペクチン、アル
キル変性カルボキシビニルポリマー、寒天等の増粘剤、
水酸化カリウム、ジイソプロパノールアミン、トリエタ
ノールアミン等の中和剤、ヒドロキシメトキシベンゾフ
ェノンスルフォン酸塩等の紫外線吸収剤、ジプロピレン
グリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン、
プロピレングリコール、ソルビトール、マルビトール、
ジグリセリン、ラフィノース等の多価アルコール、各種
アミノ酸、アスコルビン酸、ビオチン、トコフェロール
等のビタミン類及びアスコルビン酸硫酸エステル塩、ア
スコルビン酸燐酸エステル塩、ニコチン酸トコフェロー
ル等のビタミン誘導体等を本発明の目的を達成する範囲
内で適宜配合することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明する。尚、実施例で用いたカンゾウ、ソウハクヒ、ス
ギナ、アロエ、キンギンカ、オウバク、ガイヨウ及びゲ
ンチアナは、それぞれの植物乾燥物を粉砕し、質量にて
10倍量のエタノールを用い常温で一昼夜抽出したもの
を常法により減圧乾固したものを用いた。
【0029】試験例1 正常ヒト線維芽細胞株[白人女性の皮膚より採取された
Detroit−551(ATCC CCL 11
0)]の濃度を10容量%ウシ胎仔血清(以下FBSと
略記)を含むMEM培地にて1×105個/mLに調整
し、2枚の24穴プレートにそれぞれ0.4mLずつ播
種(4×104個/穴)し5%炭酸ガス、飽和水蒸気
下、37℃で24時間培養した。なお、MEM培地は、
大日本製薬社製最少必須培地10−101に、それぞれ
終濃度0.1質量%ラクトアルブミン酵素水解物(シグ
マ社製)、1容量%非必須アミノ酸、1mmol/Lピ
ルビン酸ナトリウム(以上いずれも大日本製薬社製)、
0.12質量%炭酸水素ナトリウム及び50mg/Lス
トレプトマイシンを添加して調製した。24時間後培養
液を吸引除去し、終濃度0.6容量%FBSを添加した
MEM培地で細胞を2回洗浄した後、ポアーサイズが
0.2μmのニトロセルロース膜(アドバンテック東洋
製、DISMIC−25)で濾過滅菌したコラーゲン合
成促進剤又はコラーゲン代謝賦活剤を添加した同培地に
交換した。尚、同プレートを2枚作製して、1枚をコラ
ーゲン産生量の測定に、残りの1枚をプロコラゲナーゼ
産生量の測定に用いた。
【0030】コラーゲン産生量の定量:コラーゲンの産
生量はβ−アミノプロピオニトリルを終濃度50μg/
mL、トリチウム−L−プロリンを最終50μCi/m
L添加して、さらに24時間培養した培養液より、ペプ
シンに耐性かつ食塩濃度依存的溶解度によって分画され
たコラーゲン画分に取り込まれた放射活性で測定した。
ペプシン処理及び食塩濃度によるコラーゲンの分画法
は、Webster等の方法(Analytical
Biochemistry,220頁,1979年参
照)に準じた。
【0031】尚、コラーゲン合成促進活性は、検体添加
群放射活性を非検体添加群放射活性で除した割合として
示す。
【0032】プロコラゲナーゼ産生促進活性を調べるの
に先立って、培養上清中にプロコラゲナーゼと同時に産
生されている、コラゲナーゼインヒビター(蛋白質)の
除去を行った。
【0033】コラゲナーゼインヒビターの除去:得られ
た培養上清250μLに10mmol/Lトリス塩酸緩
衝液〔4℃でpH7.8に調整、1mmol/L塩化カ
ルシウム、0.05容量%Brij−35[ICI社製
ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル]を含
む〕を1.75mL加え、同緩衝液で平衡化したCM−
セファロースCL−6B TM(ファルマシア社製、ベ
ッド容量0.5mL)に供した。
【0034】次に、125mmol/L食塩を含む同緩
衝液0.5mLにてインヒビターを除去(計4回、総量
2mL)し、500mmol/L食塩を含む同緩衝液
0.5mLにてプロコラゲナーゼを回収(計4回、総量
2mL)した。
【0035】プロコラゲナーゼ産生量の定量:本実験で
用いた細胞では、産生されるコラゲナーゼはそのままで
は活性をもたないプロコラゲナーゼとして回収されるの
で、プロコラゲナーゼ産生量は、トリプシンで活性化し
て得られるコラゲナーゼ活性として定量した。トリプシ
ンによる活性化法、及びフルオレッセインイソチオシア
ネートで標識されたI型コラーゲン(コスモバイオ社
製)を基質としたコラゲナーゼ活性の測定法は、永井等
の方法(Japanese Journal of I
nflamation、4巻、123頁、1984年参
照)に準じた。
【0036】尚、1単位は、35℃で1分間に1μgの
I型コラーゲンを分解する酵素量を示す。
【0037】得られたコラーゲン合成促進率結果を下記
に示した。
【0038】 濃度 コラーゲン合成促進率 (mg/L) (%±S.E.) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− カンゾウ 50 270 ± 8.8 12.5 135 ± 23 ソウハクヒ 200 194 ± 23 50 124 ± 17 スギナ 200 140 ± 4.8 50 84.7± 6.3 アロエ 200 137 ± 3.6 50 108 ± 8.0 キンギンカ 200 135 ± 8.0 50 128 ± 13 オウバク 20 200 ± 20 10 127 ± 13 ガイヨウ 12.5 149 ± 37 10 125 ± 25 ゲンチアナ 200 153 ± 8.0 50 107 ± 9.3
【0039】上記の通り、カンゾウ、ソウハクヒ、スギ
ナ、アロエ、キンギンカ、オウバク、ガイヨウ及びゲン
チアナにはコラーゲン合成促進効果があることが明白と
なった。
【0040】得られたコラゲナーゼ産生促進活性の結果
を下記に示した。
【0041】 濃度 コラゲナーゼ産生促進活性 (mmol/L) (単位/mL±S.E.) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 無添加 − 22.5± 3.7 硝酸ナトリウム 80 46.5± 4.8 硝酸アンモニウム 2 38.5± 6.6 酢酸アンモニウム 10 51.3± 3.8 酒石酸アンモニウム 5 49.6± 5.5 乳酸アンモニウム 5 78.7± 3.7 絹繊維加水分解物 2.5* 30.3± 6.8 N−メチルセリン 0.001 36.2± 4.2 N−メチルエタノールアミン 1 111.0±13 メタケイ酸ナトリウム 1 47.9± 6.4 *:以下、絹繊維加水分解物は特開平4−346936号公報実施例記載の方法 に得られたものを用いた。
【0042】上記の通り、硝酸ナトリウム、硝酸アンモ
ニウム、酢酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、乳酸
アンモニウム、絹繊維加水分解物、N−メチルセリン、
N−メチルエタノールアミン及びメタケイ酸ナトリウム
にはコラゲナーゼ産生促進活性があることが確認され
た。
【0043】コラーゲン合成促進物質と、コラゲナーゼ
産生促進物質を同時添加しコラーゲン合成促進率とコラ
ゲナーゼ産生促進活性を調べた結果を表1及び2に示し
た。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1、2記載のようにコラーゲン合成促進
物質と、コラゲナーゼ産生促進物質を同時添加しても互
いの作用を相殺することなく、コラーゲンの合成と分解
の両方を促進することができる。
【0047】以下、本発明のコラーゲン合成促進剤及び
コラーゲン代謝賦活剤の応用例(皮膚化粧料)を示す。
【0048】処方例1〜3(スキンクリーム) 本発明のコラーゲン合成促進物質及びコラゲナーゼ産生
促進物質を下記の組成でそれぞれを配合し、スキンクリ
ームを調製した(処方例1〜3)。尚、濃度は以下全て
質量%で示す。
【0049】 (1)組成 処方例1 処方例2 処方例3 (A) ステアリン酸 1 1 0 イソステアリン酸 0 0 1 モノステアリン酸グリセリン 2 2 2 ベヘニルアルコール 2 2 2 サラシミツロウ 1 1 0 ミリスチン酸セチル 1 1 1 セスキオレイン酸ソルビタン 1 1 1 N−ステアロイルフィトスフィンゴシン 0.1 0.1 0.1 水素添加レシチン 0.1 0.1 0.1 植物スクワラン 5 5 5 ミリスチン酸オクチルドデシル 5 5 5 (B) オオバク 0.01 0.1 1.0 絹繊維加水分解物 0.01 0.1 1.0 1,3−ブチレングリコール 5 10 5 濃グリセリン 5 5 5 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 0.2 0.2 アスコルビン酸燐酸エステルNa塩 0.2 0.2 0.2 γ−アミノ酪酸 0.1 0.1 0.1 N−ステアロイルグルタミン酸Na塩 0.2 0.2 0.2 アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.05 0.05 0.005 ニコチン酸アミド 0.1 0.1 0.1 ザルコシン 0.1 0.1 0.1 精製水 残量 残量 残量
【0050】(2)調製法 (A)成分及び(B)成分を各々80℃に加熱溶解した
後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、スキンク
リームを調製した。
【0051】処方例4〜6(ローション) 本発明のコラーゲン合成促進物質及びコラゲナーゼ産生
促進物質を下記の組成で配合し、ローションを調製した
(応用例4〜6)。
【0052】 (1)組成 処方例4 処方例5 処方例6 カンゾウ 0.1 0.3 1.0 N−メチル−L−セリン 0.1 0.3 1.0 1,3−ブチレングリコール 5 0 5 ジプロピレングリコール 0 5 5 ラフィノース 1 1 1 エタノール 0 0 1 フェノキシエタノール 0.2 0.2 0.2 ペクチン 0 0 0.05 キサンタンガム 0 0 0.1 クエン酸ナトリウム 0.05 0.05 0.05 スギナ抽出液(エタノール抽出) 0.1 0.1 0.1 ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸 0.2 0.2 0.2 γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸 0.2 0.2 0.2 ヒアルロン酸ナトリウム 0.001 0.001 0.001 グリチルリチン酸ジカリウム 0.2 0.2 0.2 クリタケエキス(エタノール抽出) 0.05 0.05 0.05 デカルボキシカルノシン塩酸塩 0.05 0.05 0.05 香料 0.02 0.02 0.02 精製水 残量 残量 残量
【0053】(2)調製法 各成分をそれぞれ混合溶解し、攪拌して、ローションを
調製した。
【0054】処方例7〜9(ジェル) 本発明のコラーゲン合成促進物質及びコラゲナーゼ産生
促進物質を下記の組成でそれぞれを配合し、ジェルを調
製した(処方例7〜9)。
【0055】 (1)組成 処方例7 処方例8 処方例9 (A) デカメチルシクロペンタシロキサン 10 10 10 イソステアリン酸イソステアリル 1 0 0 オリーブ油 0 1 0 マカデミアナッツ油 0 0 1 ユーカリ油 0.1 0 0.1 ヘキシルデカノール 1 0.1 0 POE硬化ヒマシ油(60E.O.) 2 2 2 球状シリコン粉体(注1) 1 1 5 (B) スギナ 0.1 0.1 0.1 メタケイ酸ナトリウム 0.1 0.1 0.1 グルコサミン 0 0 0 グルクロン酸 0 0 0.1 1,3−ブチレングリコール 5 10 5 ソルビトール液 3 3 3 ポリエチレングリコール4000 1 1 1 カルボキシビニルポリマー 0.2 0.2 0.2 糖セラミド(注2) 0.1 0.1 0.1 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 0.2 0.2 メバロノラクトン 0.5 0.5 0.5 エデト酸二ナトリウム 0.02 0.02 0.02 水酸化カリウム 0.05 0.05 0.05 精製水 残量 残量 残量 注1:東芝シリコーン社製 トスパール 145A 注2:紀文フードケミカル社製 バイオセラミド
【0056】(2)調製法 (A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した
後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、クリーム
を調製した。
【0057】処方例10〜12(親油クリーム) 本発明のコラーゲン合成促進物質及びコラゲナーゼ産生
促進物質を下記の組成で配合し、親油クリームを調製し
た(応用例10〜12)。
【0058】 (1)組成 処方例10 処方例11 処方例12 (A) 共変性シリコン(注3) 2 2 2 POE変性シリコン分散液(注4) 0 2 0 スクワラン 0 0 10 デカメチルシクロペンタシロキサン 15 20 10 メチルポリシロキサン 5 2 3 長鎖分岐脂肪酸コレステリル(注5) 0 0 3 シリコンエラストマー分散液(注6) 5 2 0 (B) ソウハクヒ 0.1 0.1 0.1 硝酸アンモニウム 0.1 0.1 0.1 ナイアシン 0.1 0 0 クリタケ抽出物(エタノール抽出) 0 0.1 0 オレンジホモフルーツエキス(注7) 0 0 0.1 塩化ナトリウム 1 1 1 ジプロピレングリコール 5 5 5 濃グリセリン 5 5 5 ラフィノース 1 1 1 パラオキシ安息香酸メチル 0.3 0.3 0.3 精製水 残量 残量 残量 注3:ゴールドシュミット社製 ABIL EM90 注4:東レダウコーニングシリコーン社製 シリコンBY22ー008 注5:日本精化社製 YOFCO CLE-NH 注6:東レダウコーニングシリコーン社製 トレフィルE-500 注7:香栄興業社製 果汁濃縮液
【0059】(2)調製法 (A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した
後混合して、攪拌しつつ30℃まで冷却して、親油クリ
ームを調製した。
【0060】
【発明の効果】以上の如く、本発明により、コラーゲン
合成促進剤及びコラーゲン代謝賦活剤を提供できること
は明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 7/00 A61K 7/00 J 35/78 35/78 J D V K T C A61P 17/00 A61P 17/00 43/00 105 43/00 105 Fターム(参考) 4C083 AA082 AA111 AA112 AA122 AB032 AB081 AB082 AB172 AB271 AB332 AB351 AB371 AB372 AC022 AC072 AC122 AC132 AC172 AC242 AC302 AC352 AC422 AC432 AC442 AC482 AC532 AC581 AC622 AC642 AC662 AC842 AC852 AD042 AD092 AD162 AD172 AD202 AD212 AD332 AD352 AD372 AD451 AD452 AD492 AD532 AD572 AD642 CC02 CC05 CC33 DD23 DD27 DD31 DD41 EE12 4C088 AA18 AB12 AB26 AB34 AB59 AB60 AB62 AB67 AB85 AB86 AC01 AC03 AC05 AC11 AC13 BA08 BA37 MA63 NA14 ZA89 ZC01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンゾウ、ソウハクヒ、スギナ、アロ
    エ、キンギンカ、オウバク、ガイヨウ及びゲンチアナか
    らなる群より選ばれる少なくとも一種の植物の抽出物を
    有効成分とするコラーゲン合成促進剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のコラーゲン合成促進剤
    と、コラゲナーゼ産生促進物質とを含有することを特徴
    とするコラーゲン代謝賦活剤。
  3. 【請求項3】 コラゲナーゼ産生物質が、硫酸塩、硝酸
    塩、アンモニウム塩、分子量500以下の絹繊維の硫酸
    加水分解物、セリン誘導体、エタノールアミン及びその
    誘導体、ケイ酸関連物質及びその塩からなる群より選ば
    れる一種以上である請求項2記載のコラーゲン代謝賦活
    剤。
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