JP3696001B2 - 汚水処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚水処理装置に関し、特に、確実に汚水処理能力を発揮できる汚水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来の汚水処理装置では、リン化合物を凝集させることにより、汚水中からリン化合物を除去していた。なお、リン化合物を凝集させるためには、FeCl3 等の凝集剤を添加したり、電気化学的に鉄イオンまたはアルミニウムイオンを溶出させたりしていた。
【0003】
しかしながら、上記のようにして形成された凝集物は、微粒子状であることが多い。このことから、凝集させたリン化合物を、処理水中から確実に除去することは困難であった。
【0004】
また、従来の汚水処理装置には、地下に配置されるタイプのものがあった。このようなタイプの汚水処理装置は、一般に、マンホールがはずされ、作業員が、地下に手を入れることにより、点検や修理を行なっていた。
【0005】
このように、地下で点検や修理が行なわれると、当該点検や修理が十分に行なわれない場合があった。汚水処理装置において、点検や修理が十分に行なわれないと、汚水処理能力が確実に発揮されなくなる場合がある。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、確実に汚水処理能力を発揮できる汚水処理装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明にかかる汚水処理装置は、地下に設けられ、汚水を処理する汚水処理装置であって、汚水を収容する汚水処理部と、前記汚水処理部に鉄イオンまたはアルミニウムイオンを供給するイオン供給部とを含み、前記イオン供給部は、マンホールと一体化が可能な電極を備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項1に記載の発明によると、マンホールを地上に移動させることにより、電極を地上に移動させることができる。
【0021】
これにより、電極のメンテナンスが、容易に、かつ、確実に、行なえることになる。
【0022】
請求項2に記載の本発明にかかる汚水処理装置は、請求項5に記載の発明にかかる汚水処理装置の構成に加えて、前記電極が、前記処理水に浸されているか否かを検知できる検知手段をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
請求項2に記載の発明によると、請求項5に記載の発明による作用に加えて、電極を、処理水に浸されていない状態を回避することができる。これにより、電極をマンホールに一体化させることにより想定される不都合を回避することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示す各実施の形態の汚水処理装置は、主に、家庭用排水や工場排水を処理する大規模な排水処理施設に適用されるものであるが、家庭用合併浄化槽等の中小規模の排水処理施設に適用することも出来る。また、各実施の形態の汚水処理装置によれば、特に、生活排水やメッキ工場の廃水等に含まれるリン化合物を、凝集沈澱処理することが出来る。
【0025】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態である汚水処理装置を含む汚水処理システムを示す図である。
【0026】
図1を参照して、1は、地中に埋設されたタンクである。該タンク1内部は、第1しきり壁2、第2しきり壁3および第3しきり壁4により、後述する第1嫌気ろ床槽5、第2嫌気ろ床槽10、生物ろ過槽14、処理水槽19および消毒槽21に区画されている。
【0027】
5は、生活雑排水が流入する流入口6を有する第1嫌気ろ床槽、7は、前記第1嫌気ろ床槽5内に配設された第1嫌気ろ床であり、第1嫌気ろ床槽5内に流入した生活雑排水中に混入している難分解性の雑物を沈殿分離するとともに、第1嫌気ろ床7に付着した嫌気性微生物により有機物を嫌気分解する。また、有機性の窒素をアンモニア性窒素に嫌気分解する。
【0028】
8は、第1移流管であり、前記第1嫌気漏床槽5で嫌気分解された処理水を、第1仕切壁2上部を貫通する第1給水口9を介して後退する第2嫌気漏床槽10に供給する。
【0029】
10は、前記第1仕切壁2により第1嫌気ろ床槽5と区画された第2嫌気ろ床槽、11は、前記第2嫌気ろ床槽10内に配設された第2嫌気ろ床であり、第2嫌気ろ床11により、浮遊物質を捕捉し嫌気性微生物により有機物を嫌気分解するとともに、有機性の窒素をアンモニア性窒素に嫌気分解する。
【0030】
12は、第2移流管であり、前記第2嫌気ろ床槽10で嫌気分解された処理水を、第2仕切壁3上部に貫通する第2給水口13を介して後述する生物ろ過槽14に給水する。なお、32は、第2移流管12に噴出口31を配設された噴出装置であり、第3ブロア30に接続されている。噴出装置32は、第3ブロア30から空気を送られることにより、当該噴出口31から第2移流管12内に吹出す。これにより、第2移流管12における、第2嫌気ろ床槽10から生物ろ過槽14への処理水の給水が促進される。
【0031】
14は、前記第2仕切壁3により第2嫌気ろ床槽10と区画された生物ろ過槽であり、第2嫌気ろ床槽10で嫌気処理された処理水が第2移流管12を介して流入する。15は、前記生物ろ過槽14内に設けられた接触材であり、好気性微生物の培養を促進する。16は、前記生物ろ過槽14底部に配設された第1散気管であり、多数の空気吹出口を形成するとともに、第1ブロア17と接続され、第1ブロア17から供給される空気を空気吹出口から放出して生物ろ過槽14内を好気状態に維持して、処理水を好気性微生物により好気分解するとともに、硝化の働きによりアンモニア性窒素を硝酸性の窒素に分解する。一般に、硝化菌とは、アンモニア酸化細菌と亜硝酸化細菌のことを指す。
【0032】
接触材15には、増殖して徐々に大きくなった生物膜が付着している。そして、前記第1ブロア17から第1散気管16に空気が供給されると、第1散気管16の空気吹出口から空気が放出され、接触材15に付着している生物膜を剥離する。
【0033】
19は、前記第3仕切壁4により生物ろ過槽14と区画された処理水槽であり、29は、第3移流管である。第3移流管29は、第1ポンプ18に接続されており、第1ポンプ18が運転されることにより、前記第2嫌気ろ床槽10で嫌気分解された処理水の上澄み液を、第3仕切壁4上部を貫通する連通口20を介して後退する処理水槽に供給する。
【0034】
21は、前記処理水槽19上部に設けた消毒槽であり、処理水槽19で分離された上澄み液が流入するようになっている。22は、前記消毒槽21内部に設けられた殺菌装置であり、殺菌装置22内に備えた塩素系等の薬品により、消毒槽19に流入した処理水を消毒し、排水口23を介して消毒された処理水をタンク1外に排水するようになっている。
【0035】
24は、前記生物ろ過槽14と第1嫌気ろ床槽5の上部に設けられた電解槽37とを連通する第1返送管ある。25は、前記第1返送管24内に配設された第2散気管であり、多数の空気吹出口を形成するとともに、第2ブロア26接続されている。第1散気管25は、該第2ブロア26から供給される空気を空気吹出口から放出し、これにより、処理水槽19内の所定量の上澄み液を第1返送管24内に吸込み、電解槽37に移送するようになっている。
【0036】
電解槽37内には、電極41,42が配設され、当該電極41,42の下方には、第3散気管40が配設されている。第3散気管40は、多数の空気吹出口が形成され、また、第4ブロア39に接続されている。そして、第4ブロア39から空気が送られることにより、第3散気管40は、空気吹出口から空気を吹出し、電極41,42表面の、生物膜や硝酸イオン等に起因する不動態膜等の膜を、除去する。なお、電極41,42は、第3散気管40の空気の吹出しによる膜の除去がより効果的に行なわれるように、電解槽37の壁面付近に設けられることが好ましい。
【0037】
電解槽37内の処理水は、排出口47を介して、第1嫌気ろ床槽5に排出される。なお、電解槽37の排出口47には、蓋36が設けられている。蓋36は、浮玉35に接続されている。また、蓋36付近には、第1嫌気ろ床槽5の水位を検出する水位センサ48が備えられている。電極41,42、水位センサ48、および第4ブロア39は、電源装置38に接続されている。
【0038】
電極41,42は、たとえば、鉄またはアルミニウムにより構成される。電源装置38は、電極41,42に、いずれか一方を+極、他方が−極となるように、電圧を印加する。ここで、電極41,42が鉄で構成された場合の、+極と−極における電解反応を示す。
【0039】
+極: Fe→Fe2++2e- …(1)
−極: 2H+ +2e- →H2 ↑ …(2)
なお、+極で生成された2価の鉄イオン(Fe2+)は、空気により酸化されて、3価の鉄イオン(Fe3+)となる。一方、電極41,42がアルミニウムで構成された場合には、−極の反応は変わらず、+極の電解反応が、以下の式(3)となる。
【0040】
+極: Al→Al3++3e- …(3)
本実施の形態において、以下では、電極41,42が鉄で構成されている場合について説明するが、特記する場合を除いて、すべての点において、鉄をアルミニウムに変更することが可能である。
【0041】
式(1)の電解反応と酸化反応により生成した3価の鉄イオン(Fe3+)は、第1返送管24から送られる処理水の中のリン化合物を凝集するために、利用される。なお、Fe3+を用いたリン化合物の凝集の反応式の主なものを式(4)に示す。
【0042】
PO4 3- +Fe3+→FePO4 ↓ …(4)
電解槽37の底部には、電解槽37内部の凝集物や汚泥を電解槽37から除去するためのバルブ43が形成されている。バルブ43を開放することにより、電解槽37内の汚泥や凝集物は、第1嫌気漏床槽5に移動する。
【0043】
図2は、電解槽37およびその付近の詳細な構成を示す図である。図2を参照して、第1返送管24から送られる処理水は、電解槽37の流入口46に流れ込む。電極41,42付近には、第3散気管40が備えられている。第3散気管40は、電極41,42付近に空気を供給する。
【0044】
排出口47を覆う蓋35は、浮玉35に接続されている。なお、蓋35は、蝶番34でその下端を排出口47に接続されることにより、排出口47を開閉可能に覆っている。ここで、第1嫌気ろ床槽5の水位について、蓋36が開状態にある場合に、第1嫌気ろ床槽5内の溶液が、排出口47を介しては電解槽37内に流れ込むことがない水位を、水位100aとし、第1嫌気ろ床槽5内の溶液が、排出口47を介して電解槽37内に流れ込むような水位を、水位100bとする。
【0045】
第1嫌気ろ床槽5の水位が水位100aである場合には、浮玉35は、図2の符号35aで示す位置にあるため、蓋36は、符号36aに示す、排出口47を開いた状態となる。一方、第1嫌気ろ床槽5の水位が水位100bである場合には、浮玉35は、図2の符号35bで示す、排出口47を閉じた状態となる。したがって、本実施の形態では、排出口47が蓋36に覆われ、かつ、蓋36が浮玉35に接続されることにより、流入口6から流れ込む生活雑排水中に混入しているスカムが、電解槽37内に直接流れ込むことを、より確実に回避できる。なお、上記した水位100aは、第1嫌気ろ床槽5内の溶液は電解槽37内に流れ込むが、当該溶液の中のスカム等は、電解槽37内に流れ込まないような水位を含むよう、構成することができる。
【0046】
電解槽37には、図示せぬ制御部が設けられ、当該制御部は、バルブ43の開閉、電極41,42に流れる電流値、電極41,42間の電圧値、第3散気管40から吹出す空気の量、電極41,42に印加する電圧の極性等を制御することができる。
【0047】
水位センサ48は、第1嫌気漏床槽5の水位が所定の水位に達したことを検知するために設けられている。水位センサ48の検出出力は、上記の制御部に入力される。ここで、所定の水位とは、たとえば、流入口6から流れ込む生活雑排水が、電解槽37内に直接流れ込むような水位である。そして、制御部は、水位センサ48により、所定の水位に達したことを検出した場合には、音声や表示等により警告を発することができる。制御部がこのように構成されることにより、電解槽37内に流入口6から流れ込む生活雑排水が直接流れ込まないように、流入口6を介する排水の流入量を調整できるため、より確実に、電解槽37にスカムが流れ込むことを回避できる。なお、上記した所定の水位は、第1嫌気漏床槽5内の溶液は電解槽37内に流れ込むが、当該溶液の中のスカム等は、電解槽37内に流れ込まないような水位とすることもできる。
【0048】
本実施の形態の汚水処理システムのメンテナンスを行なう人間は、上記の警告がなされたか否かにより、電解槽37内に流入口6から流れ込む生活雑排水が直接流れ込んだことがあるか否かを判断できる。したがって、蓋35および浮玉36が備えられていない場合であれば、警告の有無により、電極41,42付近にスカムが堆積しているか否かを判断できるため、電解槽37の清掃の必要性を容易に判断できる。
【0049】
また、制御部は、水位センサ48により、所定の水位に達したことを検出した場合には、第3散気管40からの空気の供給量を増加させるよう制御を行なうことも出来る。制御部がこのような制御を行なうことにより、電極41,42付近にスカムが流れ込んた場合でも、第3散気管40から供給される空気量を増加させることにより、当該スカムを、電解槽37外に排出することが出来る。これにより、スカムが、電極41,42付近に堆積することを、より確実に回避することが出来る。
【0050】
つまり、以上説明した本実施の形態では、少なくとも、浮玉35と蓋36の組合わせ、または、水位センサ48のいずれか一方を備えていれば、スカムが、電極41,42付近に堆積することを回避出来ることになる。
【0051】
電極41,42は、それぞれ、電極支持部41a,42aに取付けられている。電極支持部41a,42aは、電極41,42の上部に位置し、電解槽37内の処理水には、浸らないように、後述する支持棒37a,37bにより支持されている。図3に、電極41,42および電極支持部41a,42aの構造を示す。また、図4に、電極41,42および電極支持部41a,42aが、電解槽37上に取付けられるために組み合わされた状態を示す。
【0052】
図3および図4を参照して、電極41,42は、それぞれ、その上部を、電極支持部41a,42aにネジ止されている。電極支持部41aには、電極支持部42aと対向すべき面に、スペーサ405が取付けられている。そして、電極支持部41aと電極支持部42aは、図4に示すように、スペーサ405を介して、対向するように組み合わされ、固定される。スペーサ405の巾を適宜調整することにより、電極41と電極42の距離が調整される。
【0053】
ここで、電極支持部41a,42aの構成を説明する。図5は、電極支持部41aの斜視図である。電極支持部41aは、電源装置38と電極41とを接続させるための配線を内包している。当該配線の一端は、コネクタ410であり、他端は、コネクタ411である。電極41は、電極支持部41aにネジ止されることにより、コネクタ410に、電気的に接続される。また、コネクタ411は、電源装置38に、電気的に接続される。これにより、電極41は、電極支持部41aにネジ止されることにより、電源装置38と、電気的に接続される。また、電極支持部42aも、電極支持部41aと同様に、2つのコネクタを有し、配線を内包している。そして、電極42は、電極支持部42aにネジ止されることにより、電源装置38と、電気的に接続される。
【0054】
電極41,42および電極支持部41a,42aがこのように構成されるため、本実施の形態の汚水処理システムでは、電極41,42と電源装置38を結ぶ配線が、処理水内に横たわることを回避できる。また、これらの接続部であるコネクタが、処理水内に浸され腐食することを回避できる。
【0055】
図6は、電解槽37の斜視図である。電解槽37の上部には、所定の間隔で、2本の支持棒37a,37bが設置されている。電極支持部41a,42aは、その左右の下端を、支持棒37a,37b上に配置されることにより、電解槽37上に設置される。つまり、この状態では、電極41,42は、それぞれ、支持棒37a,37bに挟まれることになる。
【0056】
電解槽37内において、電極41,42の位置ずれが生じないように、1個の電極支持部により支持され、さらに、切り欠き部を備えることができる。図7に、電極41,42を支持でき、かつ、切り欠き部を備えた電極支持部を示す。
【0057】
電極支持部450には、表裏両面に、電極41,42の上部をそれぞれ嵌め込むことができる切り欠き部451が形成されている。電極41,42は、それぞれ切り欠き部451に、その上部を嵌め込まれ、ネジ止される。これにより、電解槽37内での電極41,42の位置がより確実に固定されるため、電解槽37内の鉄イオンの分布が安定する。したがって、電解槽37では、式(4)の反応が、安定して起こることになる。これにより、本実施の形態の汚水処理装置の汚水処理能力が安定する。なお、電極支持部450が電解槽37上に設置される際には、右端450aと左端450bの下面が、支持棒37a,37bに接触する。これにより、電極41,42は、電解槽37に設置された状態では、それぞれ、支持棒37a,37bに挟まれる。
【0058】
電極支持部450と電極41,42とが、ユニット化されて輸送される場合、図8に示すように、ケースに収納されて輸送されることが好ましい。詳しくは、ユニット化された電極支持部450と電極41,42は、電極41,42部分がケース460内に収まるように、ケース460に収納される。なお、収納される際に、電極支持部450の右端450aと左端450bは、それぞれ、ケース460に、ネジ461,462により、ネジ止される。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図9に、本実施の形態の汚水処理装置を示す。なお、これ以降説明する第2の実施の形態から第6の実施の形態の各汚水処理装置は、汚水中のリン化合物を除去することを主眼に置いたものであり、単体で使用することも出来るし、嫌気ろ床槽等の嫌気性微生物を収容するような処理槽等と組合わせて使用することも出来る。
【0060】
図9を参照して、活性汚泥槽61は、活性汚泥を収容しており、流入口69を介して他の装置等から汚水が送り込まれるように構成されている。活性汚泥槽61の底部には、第1散気管62が配設されている。第1散気管62は、第1ブロア65に接続されており、第1ブロア65から供給される空気を、空気吹出口から放出する。これにより、活性汚泥槽61内を好気状態に維持して、処理水を好気性微生物により好気分解するとともに、硝化の働きによりアンモニア性窒素を硝酸性の窒素に分解する。
【0061】
活性汚泥槽61には、循環管63の一端が挿入されている。活性汚泥槽61内の処理水は、ポンプ64により、循環管63を介して電解槽70に送られる。また、活性汚泥槽61内の処理水の上澄みは、移流管77を介して沈殿槽67に送られる。
【0062】
電解槽70は、電極71,72を備えており、これらは、鉄またはアルミニウムにより構成することが出来る。電極71,72は、電源装置73に接続されており、これらの電解により、電解槽70に、鉄イオンまたはアルミニウムイオンが供給される。そして、このような金属イオンが供給されることにより、電解槽70では、リン化合物が、たとえば上記した式(4)に従って凝集する。電解槽70の電極71,72の下方には、第2散気管74が配設されている。第2散気管74は、第2ブロア66に接続され、第2ブロア66から供給された空気を、空気吹出口から電極71,72付近に放出する。第2散気管74の下方には、バルブ75が設けられている。バルブ75は、開閉可能に設けられており、通常は、閉状態とされているが、電解槽70内の汚泥や凝集物を活性汚泥槽61に排出するために、適宜、開放される。
【0063】
なお、活性汚泥槽61には、磁石61aが備えられている。そして、電解槽70内で生じたリン化合物の凝集物は、磁石61aに吸着する。これにより、本実施の形態における汚水処理装置では、より確実に、処理水中のリン化合物を除去することができる。リン化合物の凝集物は、酸化した形で、磁石61aに吸着すると考えられる。そして、本実施の形態では、磁石61aにより、磁気部材からなる吸着手段が構成されている。
【0064】
電極71,72は、上記した電極41,42と同様に、その上部を、電極支持部41a,42aと同様の形状を有する電極支持部(図示略)によって支持されている。
【0065】
また、本実施の形態の電解槽70には、活性汚泥槽61から活性汚泥が処理水とともに送られる。そして、上記の式(4)に従った反応生成物は、活性汚泥槽61からの活性汚泥を核として、比較的容易に凝集し、また、個々の凝集物が大きくなる。したがって、上記の式(4)に従った反応生成物は凝集物として沈降しやすくなるため、電解槽70における処理期間が長期に及んだ場合でも、電極71,72の電解反応は、比較的速やかに起こる。なお、電極71,72間の距離は、汚泥の大きさを考慮して、2cm以上とされることが好ましい。
【0066】
一方、沈殿槽67では、送られた処理水の上澄みが、排出口78を介して排出される。一方、沈殿槽67の底部には、汚泥68が堆積している。沈殿槽67の汚泥68は、定期的に除去される。
【0067】
本実施の形態の汚水処理装置によれば、磁石61aを備えているため、装置の規模にもよるが、約90〜95%という高いリン化合物の除去率を達成できる。
【0068】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図10に、本実施の形態の汚水処理装置を示す。
【0069】
図10を参照して、活性汚泥槽81は、活性汚泥を収容しており、流入口89を介して他の装置等から汚水が送り込まれるように構成されている。活性汚泥槽81の底部には、第1散気管82が配設されている。第1散気管82は、第1ブロア85に接続されており、第1ブロア85から供給される空気を、空気吹出口から放出する。
【0070】
活性汚泥槽81には、循環管83の一端が挿入され、活性汚泥槽81内の処理水は、ポンプ84により、循環管83を介して電解槽90に送られる。また、活性汚泥槽81内には、先端部に膜97を備えた移流管98が、膜97部分が活性汚泥槽81内に浸るように、配設されている。そして、活性汚泥槽81内の処理水は、ポンプ87により、膜97を介し、移流管98内を経て、活性汚泥槽81外へ排出される。膜97としては、たとえば、膜の穴径が約0.05〜1μmの平膜や中空糸膜等を用いることができる。
【0071】
電解槽90は、電極91,92を備えており、これらは、鉄またはアルミニウムにより構成することが出来る。電極91,92は、電源装置93に接続されており、これらの電解により、電解槽90に、鉄イオンまたはアルミニウムイオンが供給される。電解槽90の電極91,92の下方には、第2散気管94が配設されている。第2散気管94は、第2ブロア86に接続され、第2ブロア86から供給された空気を、空気吹出口から電極91,92付近に放出する。第2散気管94の下方には、バルブ95が設けられている。バルブ95は、開閉可能に設けられており、通常は、閉状態とされているが、電解槽90内の汚泥や凝集物を活性汚泥槽81に排出するために、適宜、開放される。活性汚泥槽81の底部には、汚泥が堆積するが、この汚泥は、定期的に除去される。
【0072】
電極91,92は、上記した電極41,42と同様に、その上部を、電極支持部41a,42aと同様の形状を有する電極支持部(図示略)によって支持されている。
【0073】
なお、膜97は、磁石97aに取付けられている。ここで、膜97と、磁石97aの構造を詳細に説明する。図11は、膜97と磁石97aの側面図である。
【0074】
図10および図11を参照して、磁石97aは、ドーナツ形状を有している。そして、磁石97aの中央の穴を表裏両面から覆うように、膜97が取付けられている。図12は、磁石97aの部分的な斜視図である。磁石97aの上部には、開口が形成され、当該開口には、移流管98の一端が接続されている。すなわち、本実施の形態の汚水処理装置では、磁石97aの近傍までたどり着いた処理水は、膜97を経て、移流管98内に導かれる。
【0075】
本実施の形態では、磁石97aが、膜97の近傍に設けられることにより、リン化合物の凝集物が、磁石97aに吸着し、膜97にたどり着くことを抑制されるため、膜97の目詰まりを、抑制することができる。
【0076】
本実施の形態は、第2の実施の形態における沈殿槽67を、膜97に変更したものと考えられる。これにより、汚水処理装置をよりコンパクトにすることができる。
【0077】
また、本実施の形態においては、磁石97aを備え、かつ、膜97により処理水をろ過することにより、90%以上という、高いリン化合物の除去率を達成することが出来る。
【0078】
以上説明した本実施の形態では、磁石97aにより、磁気部材からなる吸着手段が構成されている。そして、膜97により、活性汚泥槽内の処理水をろ過するためのフィルタが構成されている。なお、本実施の形態では、磁石97aと膜97とは一体的に設けられているが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。一体的に設けられることが好ましいが、これらが互いに近傍に設けられていれば必ずしも一体的に設けられなくてもよい。
【0079】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。図13に、本実施の形態の汚水処理装置を示す。
【0080】
図13を参照して、活性汚泥槽101は、仕切板107により、活性汚泥を収容する部分と、収容しない部分とに分割される。なお、仕切板107の下方は、活性汚泥槽101に接続されておらず隙間があるため、処理水および汚泥の移動が可能である。また、活性汚泥槽101には、流入口109を介して他の装置等から汚水が送り込まれるように構成されている。活性汚泥槽101の底部には、第1散気管102が配設されている。第1散気管102は、第1ブロア105に接続されており、第1ブロア105から供給される空気を、空気吹出口から放出する。
【0081】
活性汚泥槽101には、循環管103の一端が挿入されている。活性汚泥槽101内の処理水は、ポンプ104により、循環管103を介して電解槽110に送られる。また、活性汚泥槽101内の処理水の上澄みは、排出口118を介して活性汚泥槽101外に排出される。
【0082】
電解槽110は、電極111,112を備えており、これらは、鉄またはアルミニウムにより構成することが出来る。電極111,112は、電源装置113に接続されており、これらの電解により、電解槽110に、鉄イオンまたはアルミニウムイオンが供給される。電解槽110の電極111,112の下方には、第2散気管114が配設されている。第2散気管114は、第2ブロア106に接続され、第2ブロア106から供給された空気を、空気吹出口から電極111,112付近に放出する。第2散気管114の下方には、バルブ115が設けられている。バルブ115は、開閉可能に設けられており、通常は、閉状態とされているが、電解槽110内の汚泥や凝集物を活性汚泥槽101に排出するために、適宜、開放される。
【0083】
仕切板107の、活性汚泥を収容しない側の面には、磁石107aが取付けられている。磁石107aにより、電解槽110内の凝集物の中の、リン化合物の凝集物を、効率よく、収集することができる。
【0084】
本実施の形態のように、磁石107aにリン化合物の凝集物を吸着させ、収集することにより、処理水内のリン化合物を、再生の容易な形で収集できることになる。これにより、リンの枯渇が深刻な事態となりつつある今日において、本実施の形態の汚水処理装置は、リンの再生の高効率化に寄与できるものであるといえる。
【0085】
以上説明した本実施の形態の汚水処理装置は、仕切板107を設けることにより、図9に示した汚水処理装置の活性汚泥槽内61に沈殿槽67を設けたような構成となっている。
【0086】
なお、本実施の形態の汚水処理装置によれば、装置の規模にもよるが、約90〜95%という高いリン化合物の除去率を達成できる。
【0087】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。図14に、本実施の形態の汚水処理装置を示す。
【0088】
図14を参照して、本実施の形態における汚水処理装置の全体構造は、図9に示した汚水処理装置の構造とほぼ同様であるため、図9に示した汚水処理装置と共通する構成要素には、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0089】
本実施の形態の汚水処理装置では、活性汚泥槽61内の処理水が、ポンプ64により、循環管63を介して電解槽70に送られる。そして、電解槽70の上澄みは、流出管76を介して沈殿槽67に送られる。そして、沈殿槽67の上澄みは、排出口78から、汚水処理装置外に排出される。
【0090】
沈殿槽67内にある流出管76には、磁石67aが設置されている。これにより、電解槽70で生じたリン化合物の凝集物を、より効率よく、また、他の凝集物や汚泥から分離された形で、磁石67aに吸着させることができる。したがって、本実施の形態の汚水処理装置では、第4の実施の形態よりもさらにリンの再生の高効率化に寄与できるものであると考えられる。
【0091】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。図15に、本実施の形態の汚水処理装置を示す。
【0092】
図15を参照して、本実施の形態における汚水処理装置の全体構造は、図13に示した汚水処理装置の構造とほぼ同様であるため、図13に示した汚水処理装置と共通する構成要素には、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0093】
本実施の形態の汚水処理装置では、活性汚泥槽101は、仕切板107,150により、流入口109から順に、活性汚泥を収容する領域、電極111,112を収容する領域、汚泥108を沈殿させる領域に分割されている。
【0094】
流入口109から送られてきた処理水は、活性汚泥槽101内の汚泥を収容する領域に収容され、当該領域の上澄みは、電極111,112を収容する領域に送られる。
【0095】
電極111,112を収容する領域の下方にある処理水および凝集物は、汚泥108を沈殿させる領域に送られ、当該領域の上澄みが、排出口118を介して、活性汚泥槽101外に排出される。
【0096】
なお、仕切板150の、汚泥108を沈殿させる領域側の壁面には、磁石150aが設置されている。これにより、電極111,112を収容する領域において生成された、リン化合物の凝集物を、より効率よく、また、他の凝集物や汚泥から分離された形で、磁石150aに吸着させることができる。
【0097】
活性汚泥槽101外へ排出された処理水は、別途設けられる嫌気漏床槽(嫌気性微生物を収容する槽)に送られることが好ましい。
【0098】
活性汚泥槽101において、汚泥108を沈殿させる領域を含む側壁は、汚泥108を活性汚泥を収容する領域へ送りやすくするために、傾斜している。
【0099】
[第7の実施の形態]
本実施の形態の汚水処理装置は、マンホールと電極とを一体化させることができるタイプの汚水処理装置である。図16に、本実施の形態の汚水処理装置を示す。なお、本実施の形態の汚水処理装置は、図1に示した汚水処理装置から、マンホールと電極41,42の周辺部分の構成のみを変更したものであるため、図1に示した汚水処理装置と同様の構成要素には、同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
図16を参照して、汚水処理装置には、その上部を、複数のマンホール28で覆われている。なお、マンホール28には、絶縁体400を介して、電極41,42が取付けられている。ここで、図17を参照しつつ、電極41,42の絶縁体400への取付態様を説明する。
【0101】
本実施の形態の汚水処理装置では、マンホール28には、絶縁体400を介して、電極41,42が取付けられている。詳しくは、電極41,42は、ネジ止等により絶縁体400に取付けられる。そして、電極41,42を取付けられた絶縁体400が、ネジ止等によりマンホール28に取付けられる。そして、電極41,42には、それぞれ接続線402が接続され、電源装置38に接続されている。これにより、作業員は、地上から、マンホール28の把手28aを操作してマンホール28を取外すことにより、地下内に入ること無く、電極41,42を地上に取り出すことができる。つまり、電極41,42のメンテナンスが、他の実施の形態の汚水処理装置に比べて、格段に、容易になる。
【0102】
本実施の形態の汚水処理装置では、電極41,42は、処理水に浸るが、絶縁体400は、処理水には浸らないように、構成される。なお、絶縁体400内に、両端にコネクタを備えた接続線を収容させ、一端のコネクタを電源装置38に、他端のコネクタを電極41または電極42と接続させることもできる。このようにすれば、電極41,42と電源装置38との接続部分が処理水に浸ることを回避できる。つまり、当該接続部分が腐食することを回避できる。
【0103】
なお、本実施の形態のように、電極41,42をマンホール28に取付けると、汚水処理装置内の電極41,42の位置が、他の実施の形態における電極の位置に比べて、高くなる場合がある。電極41,42の位置が高くなると、電極41,42が処理水に浸らず、電極41,42に電圧を印加しても、鉄イオンまたはアルミニウムイオンが供給されなくなる。そこで、本実施の形態では、電極41,42間の電圧値をモニタすることにより、電極41,42が処理水に浸っているか否かを判断することができる。そして、本実施の形態の汚水処理装置には、電極41,42間の電圧値が、電極41,42が処理水に浸っていないとされる値を示した場合に、その旨を報知する手段が備えられることが好ましい。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態である汚水処理装置を含む汚水処理システムを示す図である。
【図2】 図1の電解槽およびその付近の詳細な構成を示す図である。
【図3】 図1の電極および電極支持部の構造を示す図である。
【図4】 図3の電極および電極支持部が、電解槽上に取付けられるために組み合わされた状態を示す図である。
【図5】 図3の電極支持部の斜視図である。
【図6】 図1の電解槽の斜視図である。
【図7】 2つの電極を支持でき、かつ、切り欠き部を備えた電極支持部を示す図である。
【図8】 ユニット化された電極と電極支持部とが、ケースに収納される状態を示す図である。
【図9】 本発明の第2の実施の形態である汚水処理装置を示す図である。
【図10】 本発明の第3の実施の形態である汚水処理装置を示す図である。
【図11】 図10の膜と磁石の側面図である。
【図12】 図10の磁石の部分的な斜視図である。
【図13】 本発明の第4の実施の形態である汚水処理装置を示す図である。
【図14】 本発明の第5の実施の形態である汚水処理装置を示す図である。
【図15】 本発明の第6の実施の形態である汚水処理装置を示す図である。
【図16】 本発明の第7の実施の形態である汚水処理装置を示す図である。
【図17】 図16の電極のマンホールへの取付態様を説明するための図である。
【符号の説明】
28 マンホール、37 電解槽、41,42 電極、41a,42a,450 電極支持部、61a,67a,97a,107a,150a 磁石、97 膜、400 絶縁体。
Claims (2)
- 地下に設けられ、汚水を処理する汚水処理装置であって、
汚水を収容する汚水処理部と、
前記汚水処理部に鉄イオンまたはアルミニウムイオンを供給するイオン供給部とを含み、
前記イオン供給部は、マンホールと一体化が可能な電極を備えていることを特徴とする汚水処理装置。 - 前記電極が、前記処理水に浸されているか否かを検知できる検知手段をさらに含む請求項1に記載の汚水処理装置。
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