JP3695874B2 - 半導体ウエハのダイシング方法及び該方法に用いる粘着フィルム - Google Patents

半導体ウエハのダイシング方法及び該方法に用いる粘着フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハのダイシング方法及びそれに用いる半導体ウエハダイシング用粘着フィルムに関する。詳しくは、シリコン、ガリウム−砒素等の半導体ウエハの集積回路が組み込まれた側の面(以下、ウエハ表面という)の反対側の面(以下、ウエハ裏面という)に粘着フィルムを貼付して、該ウエハを固定し、素子小片に分割してから、各素子ごとに剥離して該素子小片を取り出す、半導体ウエハのダイシング方法及びそれに用いる半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、半導体集積回路は高純度単結晶シリコン等をスライスしてウエハとした後、エッチング等により集積回路が書き込まれ、さらにウエハの裏面を研削機を用いて、ウエハの厚さを100〜600μm程度まで研削し、素子小片(以下、チップという)に分割(以下、ダイシングという)し、得られたチップをマウンティング、ボンディング、シーリング等の工程を経てパッケージの中に組み込む方法で製造されている。これらの工程のうち、半導体ウエハをチップ化するダイシング工程では、ダイシング時のチップの飛散を防止したり、ダイシング工程を容易にするために粘着フィルムが用いられている。
【0003】
詳細には、リングフレームと呼ばれる金属製またはプラスチック製の円形または方形の枠に粘着フィルムを貼着し、さらにウエハを裏面側から貼着、固定する。ウエハを固定した後、水をかけながら、回転丸刃(以下、ダイシングブレードという)によってチップに分割(ダイシング)する。分割後チップごとに粘着フィルムから剥離して取り出す(以下、ピックアップという)。一般にリングフレーム、半導体ウエハへの粘着フィルムの貼着は、ウエハマウンター、ウエハマウントフレーム作製装置等と称される自動貼着装置により行われている。ダイシングされたチップをピックアップするには、粘着フィルムを放射状にエキスパンドし、チップ同士の間隔を拡げた後に、チップを粘着フィルムを介してニードル等で突き上げ、真空コレット、エアピンセット等で吸着する方法等が用いられている。
【0004】
粘着フィルムをウエハ裏面に貼付して固定し、ダイシングを行う場合、ダイシング中に、チップが飛散しない程度の高い粘着力が必要であり、同時に、チップを粘着フィルムからピックアップする場合には、容易に剥離できる程度の弱い粘着力が求められる。したがって、適切な半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムを選択するにあたり、ダイシング方法、ダイシングにかかる時間、チップの大きさ等を十分考慮することが必要となってくる。
【0005】
近年、性能や種類に応じて一片の長さが0.5〜20mm程度のチップが登場している。大型のチップの場合は、ダイシング終了後、粘着剤層からチップをピックアップするとき、真空コレット、エアピンセット等でピックアップできなくなる問題が生じることがある。また、小型のチップの場合、ダイシング中にチップが飛散するという問題が生じることがある。
【0006】
これらの問題を解決する方法として、例えば、特開昭60−196956号公報には、半導体ウエハを素子小片に切断分離する際の半導ウエハ固定用の接着薄板であって、光透過性の支持体とこの支持体上に設けられた光照射により硬化し三次元網状化する性質を有する感圧性接着剤層とからなる半導体ウエハ固定用接着薄板が開示されている。しかし、該公報に開示されている半導体ウエハ固定用接着薄板は、半導体製造工程で使用した場合、紫外線照射前であっても粘着力が低下することがあり、また、ダイシング後の紫外線照射後における粘着力の低下不足等が生じることもある。
【0007】
紫外線照射前に粘着力が低下した場合、半導体ウエハをダイシングする際に、ウエハ裏面と接着フィルムの間に水、ダイシング時のウエハの切断屑、等が侵入し、ダイシング中にチップが飛散することがある。チップが飛散すると、ダイシングブレードが破損することもあり、その場合には、ダイシングを中断しなければならないだけでなく、ダイシングブレードの交換、工程全体の調整等に多くの時間を要し、生産性を低下させこととなる。また、紫外線照射後の粘着力の低下が十分でない場合、真空コレット、エアピンセット等でのチップのピックアップが困難になるという弊害もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題に鑑み、本発明の目的は、粘着力の経時的変化が極めて少なく、且つ半導体ウエハをチップにダイシングした後に紫外線を照射した場合、粘着力が十分に低下する粘着フィルムを用いた半導体ウエハのダイシング方法及び該方法に用いる粘着フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
通常、紫外線硬化型粘着剤層を有する半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムは、製造直後に遮光包装されて輸送、貯蔵、保管等され、半導体ウエハ製造工場に搬入された後、開封される。通常、工場内は蛍光灯、水銀灯等で照明されているため、粘着フィルムは開封後、照明器具から放射される紫外線に暴露されることとなる。
本発明者らは、上記問題の解決手法について鋭意検討した結果、半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムの粘着特性が変化する原因は、粘着フィルムが半導体製造工程室内に設置される照明用の蛍光灯、水銀灯等が発する紫外線に暴露されていることにあると推定した。
そこで、本発明者らは、基材フィルムにフタロシアニン系色素を含有させて、波長域320〜380nmにおける光線透過率を特定の範囲に制御することにより、半導体製造工程の環境紫外線、すなわち、照明用の蛍光灯、水銀灯等が発する照度0.3mW/cm2程度以下の紫外線(以下、弱い紫外線という)の粘着剤層への暴露量を減少させ、半導体ウエハのダイシング後に照射される強い紫外線の暴露下では良好に粘着力が低下することを見出し、本発明に到った。
【0010】
すなわち、本発明は、基材フィルムの片表面に紫外線照射により硬化する性質を有する粘着剤層が形成された粘着フィルムを、その粘着剤層を介して半導体ウエハの裏面に貼付して該半導体ウエハを素子小片に分割し、分割終了後に該粘着フィルム側から紫外線を照射し、次いで、該粘着フィルムから、素子小片をピックアップする半導体ウエハのダイシング方法であって、該基材フィルムが、フタロシアニン系色素を含有し、波長域320〜380nmの全域における光線透過率が60%以下、該波長域の少なくとも一部における光線透過率が20%以上であり、且つ、厚みが30〜500μmであることを特徴とする半導体ウエハのダイシング方法、及び、該方法に用いる粘着フィルムである。
【0011】
本発明の特徴は、基材フィルムの片表面に紫外線照射により硬化する性質を持つ粘着剤層が形成された紫外線硬化型粘着フィルムであって、基材フィルムが、波長域320〜380nmの全域における光線透過率が60%以下、該波長域の少なくとも一部における光線透過率が20%以上となる程度にフタロシアニン系色素を含有していることにある。
【0012】
フタロシアニン系色素を含有した基材フィルムを用いることにより、蛍光灯等の弱い紫外線の存在下、すなわち、波長320〜380nmの紫外線の照度が0.3mW/cm以下程度の環境では、粘着剤層への紫外線の到達量を減らすことができ、粘着特性の環境紫外線に対する安定性が向上する。
【0013】
また、半導体ウエハをダイシングした後、得られたチップをピックアップする前に、公知の紫外線硬化型粘着フィルム(例えば、特公昭60−196956号公報)に対し通常照射されている紫外線照射光強度と同程度の照度3〜3000mW/cm2、強度30〜3000mJ/cm2〔(株)オーク製作所製、ディジタル指示型紫外線照度計UV−M02、受光器:UV−35を用いて測定した紫外線照度(mW/cm2)に照射時間(秒)をかけた値〕の範囲内の強度の紫外線(以下、強い紫外線)を照射することにより、十分に粘着力を低下させることが可能となる。
【0014】
従って、本発明の方法によれば、粘着フィルムが半導体製造工程において開封されて取扱、放置、保管等されたり、不測の工程トラブル等により粘着フィルムが、自動貼着装置にセットされたまま作業が一時中断した場合や半導体ウエハ裏面に粘着フィルムが貼付された状態で作業が一時中断した場合等があっても粘着力特性が経時的に変化することがなく、半導体ウエハをダイシングする際にウエハ裏面と粘着フィルムの間に水、ダイシング時の切断屑等が浸入してチップの飛散が生じたり、裏面が汚染されることがない。さらに、ダイシング終了後、チップのピックアップに先立って紫外線を照射した際には、粘着力が十分に低下するので、極めて容易にチップをピックアップすることが可能である。
【0015】
基材フィルムにフタロシアニン系色素を含有させた場合、照明灯に起因する環境紫外線の如き弱い紫外線が粘着剤層に到達する量が減少するのに対し、半導体ウエハのダイシング工程においてダイシングの後に照射される、照度3〜3000mW/cm2、強度30〜3000mJ/cm2程度の強い紫外線を照射した場合、粘着力が十分に低下する理由は不明であるが、上記強度の紫外線を照射した場合、フタロシアニン系色素の光熱変換作用により粘着フィルムの温度が上昇し、粘着剤の硬化反応が促進されるものと推定され、これが粘着剤層への紫外線到達量の減少分を補って、紫外線硬化反応が十分起こっているものと推定される。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本発明で用いる粘着フィルムの製造方法について説明する。本発明の粘着フィルムは、通常、基材フィルムの片表面に粘着剤層を構成する成分を含有した粘着剤溶液、エマルジョン液等(以下、これらを総称して粘着剤という)を塗布、乾燥して粘着剤層を形成することにより製造される。この場合、環境に起因する汚染等から粘着剤層を保護するために粘着剤層の表面に剥離フィルムを貼着することが望ましい。また、剥離フィルムの片表面に粘着剤層を形成し、基材フィルムを貼付して粘着剤層を基材フィルム側に転着する方法によっても製造される。この場合は、粘着剤層を乾燥する際等において粘着剤層表面が汚染されない利点がある。
【0017】
基材フィルムまたは剥離フィルムのいずれの片表面に粘着剤を塗布するかは、基材フィルムおよび剥離フィルムの耐熱性、表面張力、半導体ウエハ裏面への汚染性等を考慮して決定する。例えば、剥離フィルムの耐熱性が基材フィルムのそれより優れている場合は、剥離フィルムの表面に粘着剤層を設けた後、基材フィルムに転写する。耐熱性が、同等または基材フィルムの方が優れている場合は、基材フィルムの表面に粘着剤層を設け、その表面に剥離フィルムを貼付する。
【0018】
しかし、粘着フィルムは、剥離フィルムを剥離したときに露出する粘着剤層の表面を介して半導体ウエハ裏面に貼付されることを考慮し、粘着剤層による半導体ウエハ裏面の汚染防止を図るためには、耐熱性の良好な剥離フィルムを使用し、その表面に粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法が好ましい。
【0019】
基材フィルムまたは剥離フィルムの片表面に粘着剤を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロールコーター法、コンマコーター法、バーコーター法、ダイコーター法等が採用できる。
【0020】
本発明において用いる基材フィルムは、原料樹脂ペレットに、フタロシアニン系色素を混合、または原料樹脂ペレットに、フタロシアニン系色素を含有した樹脂ペレットを混合し、押し出し機等によりフィルム状に形成して作製される。粉粒体状樹脂に直接フタロシアニン系色素を添加、混合してフィルム状に成形してもよい。基材フィルムは、単層体であっても、また、積層体であってもよい。
【0021】
用いる樹脂として、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられる。具体的に例示するならば、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、アイオノマー、ポリエステル等の樹脂およびそれらの共重合体エラストマー、およびジエン系、ニトリル系、シリコーン系、アクリル系等の合成ゴムが挙げられる。
【0022】
チップのピックアップ時に通常行われるエキスパンディングの際の基材の拡張性を考慮すると、JIS K−7113、またはJIS K−6760に準拠して測定した引張破壊強さが0.8〜6Kgf/mm2、引張破壊伸びが、100〜2000%の樹脂をフィルム状に加工したものが好ましい。例えば、アイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体等のフィルムが好ましく用いられる。
【0023】
本発明に用いるフタロシアニン系色素を基材フィルムに含有させる効果は、詳細は不明ながら、次のように推定される。すなわち、該色素は、可視域から紫外線域の広い波長範囲において光を吸収し、吸収した光エネルギーを熱エネルギーに変換する性質を有している。このため、この色素を半導体ウエハのダイシング用紫外線硬化型粘着フィルムの基材フィルム中に含有させることで、上記に示した蛍光灯等の弱い紫外線の存在する環境下では、粘着剤層への紫外線の到達量を減らすことができ、紫外線硬化型粘着剤の粘着特性の安定性が向上する。
【0024】
また、紫外線照射により粘着力を低下させる目的で上記に示す高強度の紫外線を照射した場合、該フタロシアニン系色素の紫外線吸収により、該粘着剤層への紫外線到達量は減少するものの、該フタロシアニン系色素の光エネルギーを熱エネルギーに変換する作用により、該粘着フィルムの温度が上昇し、粘着剤の硬化反応が促進され、紫外線の到達量が減少しているにも関わらず、十分な硬化反応が進み、粘着力が低下し剥離性が良好になるものと推測される。
【0025】
本発明に用いるフタロシアニン系色素は、下記の一般式(1)〔化3〕
【0026】
【化3】
Figure 0003695874
(式中、A1〜A8は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、或いは置換又は未置換のアルコキシ基を表す。B1〜B8は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、或いは置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のアルコキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルチオ基、あるいは置換又は未置換のアリールチオ基を表す。Mは2価の金属原子、2価又は4価の置換金属原子、またはオキシ金属を表す。)で表される化合物である。
【0027】
上記一般式(1)中、A1〜A8及びB1〜B8で表される置換または未置換のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1、2−ジメチル−プロピル基、n−ヘキシル基、cyclo−ヘキシル基、1、3−ジメチル−ブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1、2−ジメチル−ブチル基、n−へプチル基、1、4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基等の炭素数1〜20の直鎖または、分岐のアルキル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基等のアルコキシアルキル基、2、2、2トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられる。
【0028】
また、置換または、未置換のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、neo−ペンチルオキシ基、1、2−ジメチル−プロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1、3−ジメチルブチルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖または、分岐のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基、ジメトキシメトキシ基、ジエトキシメトキシ基、ジメトキシエトキシ基、ジエトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基、等が挙げられる。置換または未置換のアリ−ル基の例としては、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フッ素化フェニル基、ヨウ素化フェニル基等のハロゲン化フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ピリジル基等が挙げられる。
【0029】
Mで表される2価の金属の例としては、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Cd(II)、Ba(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)等が挙げられる。
【0030】
1置換の3価金属の例としては、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−F、Ga−I、In−Cl、In−Br、In−F、In−I、等が挙げられる。
【0031】
2置換の4価金属の例としては、CrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、GeCl2、GeBr2、GeI2、GeF2、SnCl2、SnBr2、SnF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、TiCl2、TiBr2、TiF2、CrR2、SiR2、SnR2、TiR2、GeR2(Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびその誘導体を表す。)、Si(OR’)2、Sn(OR’)2、Ge(OR’)2、Ti(OR’)2、Cr(OR’)2(R’はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基、およびその誘導体を表す。)、Sn(SR’’)2、Ge(SR’’)2(R’’は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびその誘導体を表す。)等が挙げられる。
オキシ金属の例としてはVO、MnO、TiOなどが挙げられる。
【0032】
上記フタロシアニン系色素の中で、光、熱安定性を考慮すれば、Mで表される金属として、Cu(II)、Ni(II)、Co(II)、また、A1〜A8、B1〜B8のその大部分が水素原子であることが好ましい。さらに色素の入手し易さ等を考慮すると、Mで表される金属がCu(II)であり、且つ、A1〜A8、B1〜B8の全てが水素原子である化合物が特に好ましい。この化合物は、銅フタロシアニン(ピグメントブルー15、カラーインデックス:74160)と称され市販されている。
【0033】
基材フィルムに含まれるフタロシアニン系色素の含有量が増加するに従い、紫外線硬化型粘着剤層への紫外線到達量は減少し、弱い紫外線が照射されることによる粘着剤の粘着特性の変化が少なくなる傾向にある。しかし、同時に半導体ウエハダイシング後における強い紫外線の照射時において粘着力が低下しなくなる傾向がある。かかる点を考慮すると、基材フィルムに含まれるフタロシアニン系色素の含有量は、基材フィルムの光線透過率が波長域320〜380nmの全域において60%以下であり、且つ、波長域が320nm〜380nmの少なくとも一部において20%以上になるように含ませることが重要である。好ましくは、基材フィルムの光線透過率が波長域320〜380nmにおいて50%以下であり、且つ、波長域が320〜380nmの少なくとも一部において35%以上となるように含ませることである。
【0034】
基材フィルムの光線透過率を上記範囲とするために用いるフタロシアニン系色素の含有量は、基材フィルム用の樹脂の種類、基材フィルムの厚み、フタロシアニン系色素の種類等により異なる。例えば、基材フィルム用の樹脂がエチレン−メタクリル酸共重合体、厚みが120μm、フタロシアニン系色素が銅フタロシアニンである場合は、基材フィルム中に0.05〜0.3重量%含む程度に含有することを目途とすればよい。上記含有量は、基材フィルムの厚みを厚くするときにはフタロシアニン系色素の含有量を適宜減らし、基材フィルムの厚みを薄くするときにはフタロシアニン系色素の含有量を適宜増加すればよい。
【0035】
基材フィルムを作製する方法として、Tダイ押出法、インフレーション法、カレンダー法等が挙げられる。
基材フィルムの厚みは、半導体ウエハをダイシングする際のフィルム強度、ウエハ裏面への貼付作業性、並びに、ピックアップ時に通常行われるエキスパンディングの際の基材の拡張性および強度等に影響する。かかる観点から、基材フィルムの厚みは、通常、30〜500μmである。好ましくは、50〜300μmである。
基材フィルムと粘着剤層との接着力を向上させるため、基材フィルムの粘着剤層を設ける面には、コロナ放電処理または化学処理等を施すことが好ましい。また、基材フィルムと粘着剤層の間に下塗り剤を用いてもよい。
【0036】
本発明の粘着フィルムに用いられる粘着剤層としては、紫外線照射により粘着力が低下するものであり、且つ、ダイシングする半導体ウエハの口径、チップの大きさ、ウエハの裏面研削後の凹凸の状態等の条件を考慮にいれ、ダイシング中におけるチップの飛散、紫外線照射後、チップをピックアップする際のピックアップ不良がないように設計されたものであれば、いずれでも用いることができる。通常、粘着剤ポリマー、光重合開始剤、熱架橋剤、分子中に重合性炭素−炭素2重結合を2つ以上有するモノマーおよび/またはオリゴマー等を含有する塗工液(溶液またはエマルジョン液)を基材フィルムまたは、剥離フィルムに塗工することにより形成される。
【0037】
粘着剤ポリマーとしては、天然ゴム、SBR等のゴム系、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等のアクリル系等が挙げられる。この中で、半導体ウエハのダイシング用紫外線硬化型粘着フィルムに用いる粘着剤は、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0038】
粘着剤ポリマーにアクリル系粘着剤を用いる場合、粘着剤ポリマーを構成する単量体単位としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、および、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の官能基を有するアクリル系モノマー、メタクリル系モノマーが、1種類以上組み合わされ、必要に応じて、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート、2−(1−アジリジニル)エチルアクリレート、2−(1−アジリジニル)エチルメタクリレート等の自己架橋性の官能基を有するモノマー、ジビニルベンゼン、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等の多官能性モノマー、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアマイド等重合性炭素−炭素2重結合を有するモノマーも組み合わされる。
【0039】
また、粘着剤ポリマーに重合性炭素−炭素2重結合が導入されたものを用いれば、紫外線照射の際、粘着力の低下が大きく特に好ましく、この分子内に重合性炭素−炭素2重結合を持つ粘着剤ポリマーを合成する場合、既知の様々な方法が挙げられる。あらかじめポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、ポリマー内の官能基と付加反応する官能基を有する重合性炭素−炭素2重結合を持つモノマーを重合性炭素−炭素2重結合を残したまま、付加反応させる方法がポリマー中の重合性炭素−炭素2重結合の量をコントロールする点で好ましい。
【0040】
例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸基を有するモノマーを共重合させ、重合後ポリマー中のカルボン酸基と付加反応し得るエポキシ基を有するアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルを付加させる方法や、あるいは、その逆にアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルを共重合させ、重合後ポリマー中のエポキシ基とアクリル酸、メタクリル酸等を付加反応させる方法等である。これらの官能基の組み合わせは、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、水酸基とイソシアネート基等容易に付加反応が起こる組み合わせが望ましい。また、付加反応に限らずカルボン酸基と水酸基の縮合反応等、重合性炭素−炭素2重結合が容易に導入できる反応であればいかなる反応を用いても良い。また、ポリマーの持つ2重結合量としては、主成分のモノマーに対し、1〜30重量%の官能基を有するモノマーを共重合させ、その官能基の数と同等もしくは少ない範囲で重合性炭素−炭素2重結合を有するモノマーを付加させることが望ましい。
【0041】
このように予め、官能基を有するポリマーを重合して得られたポリマーと官能基を有するモノマーとの高分子反応により粘着剤ポリマーを合成する場合、官能基を有するモノマーとしては、沸点が250℃以下のものが好ましい。沸点が250℃以下の場合、未反応モノマーが粘着剤塗工時の乾燥中(通常、100℃から150℃の熱風中で20秒〜5分程度乾燥する)に蒸発し、ウエハ裏面を汚染しない。このようなモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、イソシアネ−トエチルアクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0042】
粘着剤ポリマーが有する官能基と架橋反応させ、粘着力および凝集力の調整をするために、架橋性官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤を用いてもよい。
この架橋剤としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフェニルメタン−4、4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1、6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−トルエン−2、4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物、及びヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物が挙げられる。
これらは、単独で使用しても良いし、また、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0043】
上記熱架橋剤の含有量は、被着体となる半導体ウエハの口径、チップの大きさ、ウエハ裏面の凹凸の状態等の条件を考慮にいれ、ダイシング中におけるチップの飛散がないように適宜設定されるが、通常、JIS Z−0237に規定される方法に準拠して、被着体としてSUS−304BA板を用い、剥離速度300mm/min.、剥離角度180度の条件下で測定した、強い紫外線照射前の粘着力が150〜2000g/25mmの範囲となるように設計される。さらに好ましくは200〜2000g/25mmの範囲である。
架橋性官能基を1分子中に2個以上有する熱架橋剤の含有量は、粘着剤ポリマー100重量部に対し0.1〜20重量部である。好ましくは0.5〜10重量部である。
【0044】
半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムの粘着剤層が、半導体製造工程等の室内に設置される照明用の蛍光灯、水銀灯等が発する弱い紫外線に暴露されたときに経時的に変質して、半導体ウエハの裏面に対する粘着力が低下すれば、半導体ウエハをダイシングする際に、粘着フィルムとウエハ裏面の間に水、ウエハの切断屑等が侵入し、チップの飛散やウエハ裏面の汚染等の原因となる。また、粘着剤層が照明用の蛍光灯、水銀灯等が発する弱い紫外線に暴露されたときに経時的に変質し、その結果、半導体ウエハをダイシングした後、強い紫外線を照射した時に粘着力が十分に低下しない場合は、チップをピックアップする際に失敗することがある。従って、半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムの粘着特性は、照明用の蛍光灯、水銀灯等が発する弱い紫外線に暴露された場合であっても、経時的変化を起こさないことが重要である。
【0045】
紫外線硬化後の粘着力を低下させる目的で、分子内に重合性炭素−炭素2重結合を2個以上有するモノマーおよび/またはオリゴマーを用いてもよい。このモノマーおよび/またはオリゴマーとして、通常分子量が5000以下のものが挙げられ、具体的に例示すると、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ウレタンメタクレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、エポキシメタクリレート系オリゴマー、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(メタクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレートの各種変性体、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの各種変性体、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートの各種変性体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの各種変性体、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの各種変性体等が用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。ここで、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレートなる記載は、アクリル酸及びメタクリル酸、並びに、アクリレート、メタクリレートを意味する。
【0046】
分子内に重合性炭素−炭素2重結合を2個以上有するモノマーまたはオリゴマーの含有量は、粘着剤ポリマー100重量部に対し、通常1〜100重量部である。
分子内に重合性炭素−炭素2重結合を2個以上有するモノマーおよび/またはオリゴマーは、半導体ウエハ裏面を汚染し、パッケージング時におけるモールド樹脂等との密着不良やパッケージにクラックが発生する原因となる可能性がある。従って、その含有量は極力低減させることが好ましい。このような観点から、上述したように粘着剤の主成分であるアクリル系、メタクリル系ポリマー等に重合性炭素−炭素2重結合を導入しておくことが好ましく、この場合、紫外線硬化型粘着剤中に含有する分子内に重合性炭素−炭素2重結合を2個以上有するモノマーおよび/またはオリゴマーの量を減らすことができる。その場合、粘着剤ポリマー100重量部に対し1〜20重量部程度である。また、粘着剤ポリマーの主鎖または側鎖に重合性炭素−炭素2重結合が導入さている場合には、上記モノマーおよび/またはオリゴマーの含有量を0にすることもできる。
【0047】
さらに、紫外線照射により粘着剤層が硬化した後の粘着力は、ダイシングする半導体ウエハの口径、チップの大きさ、ウエハの裏面研削後の凹凸の状態等の条件を勘案し、適宜決定されるが、通常、SUS−304BA板被着体に対して100g/25mm以下になる様に設定することが好ましい。更に好ましくは50g/25mm以下である。したがって、分子内に重合性炭素−炭素2重結合を2個以上有するモノマーおよび/またはオリゴマーは、前記設定条件をみたすように含有させることが好ましい。
【0048】
紫外線硬化型粘着剤を構成する光重合開始剤は、紫外線吸収によりラジカルを発生させる性質を有し、粘着剤層の紫外線硬化反応を開始させる目的で使用される。具体的に例示すれば、ベンゾイン〔日本曹達(株)製、ニッソキュアーBO等〕、ベンゾインメチルエーテル〔日本曹達(株)製、ニッソキュアーMBO等〕、ベンゾインエチルエーテル〔日本曹達(株)製、ニッソキュアーEBO等〕、ベンゾインイソプロピルエーテル〔日本曹達(株)製、ニッソキュアーIBPO等〕、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール〔日本チバガイギー(株)、イルガキュア−651、等〕等のベンゾイン系、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔日本チバガイギー(株)、イルガキュア−184、等〕、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モノホリノプロパン−1〔日本チバガイギー(株)、イルガキュア−907、等〕、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2プロピル)ケトン〔メルクジャパン(株)、ダロキュアー2959、等〕、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、等のアセトフェノン系、ベンゾフェノン〔日本化薬(株)製、カヤキュアーBP〕、ヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、チオキサンソン〔日本曹達(株)製、ニッソキュア−TX、等〕、2−メチルチオキサンソン〔日本曹達(株)製、ニッソキュア−MTX、等〕、2、4−ジエチルチオキサンソン〔日本化薬(株)製、カヤキュア−DETX、等〕、クロロチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、等のチオキサンソン系、ベンジル、アンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−tert−ブチルアンスラキノン、等が挙げられる。
【0049】
これらは1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。含有量はそれ自体が半導体ウエハ裏面を汚染する原因となるため、できるだけ少ない方が好ましいが、硬化速度を考慮すると光重合開始効果によっても異なるが、粘着剤ポリマー100重量部に対して、0.1〜15重量部が好ましい。さらに好ましくは1〜15重量部である。
【0050】
また、本発明に用いる紫外線硬化型粘着剤は、上記の光重合開始剤の他に、反応の促進、酸素による重合阻害の軽減、等を目的として、必要に応じて光開始助剤を含有しても良い。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル〔日本化薬(株)製、カヤキュア−EPA、等〕、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。光開始助剤の含有量は、通常、上記光開始剤との総和が、上記光重合開始剤の含有量の範囲内に成るようにすることが好ましい。
そのほか、紫外線硬化型半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムの保存性をよくするために、フェノチアジン、ハイドロキノン等の重合禁止剤等各種を半導体ウエハ裏面を汚染しない程度に含有してもよい。
【0051】
本発明に用いる粘着フィルムの粘着剤層厚みは、被着体となる半導体ウエハの口径、チップの大きさ、ウエハの裏面研削後の裏面凹凸の状態、ダイシングの方法等を考慮し、適宜設定されるが、ダイシング時の粘着力、ダイシングブレードの切込み、ダイシング終了後に強い紫外線を照射した後のチップのピックアップ性等を勘案すると、通常2〜100μm程度である。好ましくは、5〜70μmである。
【0052】
上記のようにして得られる本発明の粘着フィルムは、半導体ウエハ裏面に貼着する工程から該ウエハのダイシング工程を経て、強い紫外線を照射する前までの一連の工程において、チップ裏面にしっかりと貼着してチップの飛散を防止するに十分な粘着力を有する粘着フィルムである。ここで、チップの飛散を防止するに十分な粘着力とは、ダイシング時に冷却水の水圧やダイシングブレードの回転の勢い等によりチップが粘着フィルムより脱落しない程度の粘着力であり、具体的には、JIS Z−0237に規定される方法に準拠して、被着体としてSUS304−BA板を用い、剥離速度300mm/min.、剥離角度180度の条件下で測定した粘着力が、150〜2000g/25mmの範囲内であることを意味する。好ましくは200〜2000g/25mmの範囲内である。また、強い紫外線照射により粘着剤層が硬化した後の粘着力は、ダイシングする半導体ウエハの口径、チップの大きさ、ウエハの裏面研削後の凹凸の状態等の条件を勘案し、適宜決定されるが、通常、SUS−304BA板被着体に対して100g/25mm以下になる様に設定することが好ましい。更に好ましくは50g/25mm以下である。但し、上記の被着体となる半導体ウエハの口径、チップの大きさ、ウエハの裏面研削後の裏面凹凸の状態、ダイシングの方法等の条件を考慮して設定された紫外線照射前後の粘着物性に対して、経時変化が起こらないことが重要である。
【0053】
本発明の粘着フィルムの粘着剤層表面に配設する剥離フィルムとして、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられる。必要に応じてその表面にシリコーン処理等が施されたものが好ましい。剥離フィルムの厚みは、通常10〜500μm、好ましくは30〜100μmである。
【0054】
次に、本発明の半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムを用いて、半導体ウエハをダイシングする方法について説明する。本発明の半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムには、通常、粘着剤層を保護するために剥離フィルムが貼付されているので、先ずその剥離フィルムを剥離して粘着剤層を露出させる。次に、この粘着フィルムを粘着剤層を介して、金属製またはプラスチック製のリングフレームに貼着し、リングフレームに貼着した粘着フィルムに、半導体ウエハを裏面から貼着する。この後、ダイシングブレードにより、摩擦熱の除去とウエハ切断屑の除去を目的として水をかけながら、半導体ウエハをチップに分割する。ダイシングが終了した後、粘着剤層を硬化させるために基材フィルム側から特定量の強い紫外線を照射する。この後、粘着フィルム上のチップをピックアップする。
【0055】
半導体ウエハの裏面に粘着フィルムを貼着する操作は、人手により行っても良いし、また、ウエハマウンター、ウエハマウント作製装置と称される粘着フィルムを半導体ウエハに貼着する装置を用い行ってもよい。この様な機器としては、例えば、(株)タカトリ製、形式:ATM−8100等が挙げられる。
【0056】
本発明の方法が適用できる半導体ウエハのダイシング方式には特に限定はなく、公知のダイシング方式が適用できる。ダイシング方式としては、例えば、金属製等のリングフレームに半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムを貼着し、これにウエハを貼着し、ダイシングブレードにより、ウエハをチップ状に完全に分割するフルカット方式がある。ダイシングする際には半導体ウエハ、ダイシングブレード等に水をかけて冷却しながら行うことが好ましい。
【0057】
ウエハのダイシングが終了した後、粘着フィルムの基材フィルム側から強い紫外線を照射して粘着剤層を硬化させ、粘着力を低下させる。しかる後、粘着フィルムからチップをピックアップするが、この方法としては、例えば、粘着フィルムを放射状に拡大(以下、エキスパンディングという)し、チップ間を一定間隔に広げたのち、チップをニードル等で突き上げるとともに、真空コレット、エアピンセット等で吸着する方法等によりピックアップする方法が挙げられる。ダイシング装置としては、例えば、(株)ディスコ製、形式:DFD−2S/8等が挙げられる。
【0058】
強い紫外線を照射する条件は、特開昭60−196956号公報に開示されている条件と同程度でよい。具体的には、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を光源として用い、粘着フィルムの特性等に応じて、照度が3〜3000mW/cm2〔(株)オーク製作所製、ディジタル指示型紫外線照度計UV−M02(受光器:UV−35)を用いて測定した紫外線照度〕程度の照度の紫外線を、強度が30〜3000mJ/cm2〔上記で求めた照度に照射時間(秒)をかけた値〕程度に成るように適宜照射する。紫外線照射機器として、例えば、高圧水銀ランプ〔(株)オーク製作所、形式:OHD−320M〕等が挙げられる。
【0059】
紫外線照射光の照度および強度が上記下限値より低い場合、粘着力の低下が不十分となる傾向があり、粘着フィルムからチップをピックアップする際にピックアップ不良が発生する可能性がある。紫外線照射光強度の上限は、紫外線を発する光源の熱による半導体ウエハへの影響、基材フィルムの融点または軟化点、作業性、作業者の安全性等を考慮すると、3000mJ/cm2程度が好ましい。
【0060】
本発明が適用できる半導体ウエハとして、シリコンウエハ、ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、ガリウム−ヒ素−アルミニウム等のウエハが挙げられる。
また、半導体ウエハの汚染防止の観点より、基材フィルム、剥離フィルム、粘着剤等すべての原料資材の製造環境および粘着剤の塗布、乾燥環境、および半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムを用いた半導体ウエハをダイシングする環境はすべて、米国連邦規格209bに規定されるクラス1、000以下のクリーン度に維持されていることが好ましい。
【0061】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。尚、実施例に示した各種特性値は下記の方法で得たものである。
(1)基材フィルムの光線透過率(%)
自記分光光度計(日立製作所製、形式:U−3500形)を用いる。測定時、リファレンス側には試料として何も設置せず、サンプル側に実施例、比較例で作成した基材フィルム(厚み:120μm)を設置し、波長域320〜380nmにおける光線透過率を測定する。
【0062】
(2)粘着フィルムの粘着力(g/25mm)
SUS304−BA板(JIS G−4305規定、縦:200mm、横:50mm)の表面に貼着された試料について、23℃の雰囲気下においてJIS−Z0237に規定される方法に準拠して、試料の50mmの辺の端を挟持し、剥離速度300mm/min.、剥離角度180度の条件下で剥離し、その際の応力を測定し、25mm幅に換算して粘着力とする。粘着力は、上記操作を2回行い、その平均値で示す。
【0063】
<試料の調製−1>
(i)SUS板貼着−蛍光灯照射
粘着フィルムをその粘着剤層を介してSUS304−BA板(JIS G−4305規定、縦:200mm、横:50mm)の表面に貼着して、その基材フィルム側表面に蛍光灯〔(株)東芝製、東芝蛍光ランプ、ネオラインラピッドマスター、FLR40SW/M/36〕を用いて、照度0.1mW/cm2〔紫外線の照度は、ディジタル指示型紫外線照度計UV−M02〔受光器:UV−35、(株)オ−ク製作所製を用い測定〕の紫外線を1時間、24時間、48時間、96時間それぞれ照射する。その後、各試料について上記方法により粘着力を測定する。この試験結果を「高圧水銀灯UV照射前」として〔表1〕に示す。
(ii)SUS板貼着−蛍光灯照射−高圧水銀灯照射
(i)項と同様にして、照度0.1mW/cm2の紫外線を1時間、24時間、48時間、96時間それぞれ照射した試料に対し、さらに、高圧水銀灯〔(株)オーク製作所、形式:OHD−320M〕を用いて、紫外線(照度:10mW/cm2、強度:400mJ/cm2)を照射する。各試料について上記方法により粘着力を測定する。尚、紫外線の照度は、ディジタル指示型紫外線照度計UV−M02〔受光器:UV−35、(株)オーク製作所製〕を用い測定する。この試験結果を「高圧水銀灯UV照射後」として〔表1〕に示す。
【0064】
<試料の調製−2>
(iii)SUS板貼着前−蛍光灯照射
23℃において、平板状の粘着フィルム(幅:30cm、長さ:200cm)の基材フィルム側表面に、(i)項と同様にして、蛍光灯を用いて照度0.1mW/cm2の紫外線を3時間、3日間、10日間それぞれ照射する。次いで、試料をSUS304−BA板(JIS G−4305規定、縦:200mm、横:50mm)の表面に貼着して、紫外線が照射されない暗所に1時間放置する。その後、上記方法により粘着力を測定する。この試験結果を「高圧水銀灯UV照射前」として〔表2〕に示す。
(iv)SUS板貼着前−蛍光灯照射−高圧水銀灯照射
23℃において、平板状の粘着フィルムに対し、(iii)項と同様にして、照度0.1mW/cm2の紫外線を3時間、3日間、10日間それぞれ照射した。
その試料をSUS304−BA板(JIS G−4305規定、縦:200mm、横:50mm)の表面に貼着して、暗所に1時間放置する。さらに、貼付された試料に対し、(ii)項と同様にして、高圧水銀灯を用いて紫外線(照度:10mW/cm2、強度:400mJ/cm2)を照射する。各試料について上記方法により粘着力を測定する。この試験結果を「高圧水銀灯UV照射後」として〔表2〕に示す。
【0065】
(3)ダイシング中に飛散したチップの割合(%)
裏面研削が終了し、表面に集積回路が形成された半導体シリコンウエハ(径:6インチ、厚み300μm)の裏面に、それぞれの実施例、比較例で得られた粘着フィルムを貼着し、フリーオートマチックダイシングソー〔(株)ディスコ製、形式:DFD−2S/8〕を用いて、水をかけ冷却しながら、一片の長さが2mmのチップにフルカットする。各実施例、および比較例毎に半導体シリコンウエハを3枚使用し、ダイシングを3回行い、このとき、飛散したチップの個数を計数し、飛散したチップの割合(%)を求める。
【0066】
<試料の調製>
(i)ウエハ裏面貼着−蛍光灯照射
23℃において、粘着フィルムをその粘着剤層を介してリングフレームに貼着し、これに粘着剤層を介して半導体シリコンウエハ(径:6インチ、厚み:300μm)を裏面から貼着して、粘着フィルムの基材フィルム表面に蛍光灯〔(株)東芝製、東芝蛍光ランプ、ネオラインラピッドマスター、FLR40SW/M/36〕を用いて、照度0.1mW/cm2の紫外線を1時間、24時間、48時間、96時間それぞれ照射する。試料が貼付された各ウエハについて上記方法によりダイシングを実施する。この試験結果を〔表3〕に示す。
(ii)ウエハ裏面貼着前−蛍光灯照射
平板状の粘着フィルム(幅:250mm、長さ:550cm)の基材フィルム側表面に、(2)−(iii)項と同様にして、蛍光灯を用いて照度0.1mW/cm2の紫外線を3時間、3日間、10日間それぞれ照射し、それらの試料を半導体シリコンウエハ(径:6インチ、厚み:300μm)の裏面(集積回路非形成面)に貼着して、上記方法により半導体ウエハをダイシングする。この試験結果を〔表4〕に示す。
【0067】
(4)チップピックアップ不良の割合(%)
前項のダイシング終了後、粘着フィルム側より、高圧水銀ランプ〔(株)オーク製作所、形式:OHD−320M〕を用いて、紫外線(照度:10mW/cm2、強度:400mJ/cm2)を照射する。しかる後、粘着フィルムの基材フィルム側よりニードルで突き上げ、エアピンセットで吸着することによりチップをピックアップする。ダイシング中に飛散しなかったチップの個数、及び、ピックアップできなかったチップの個数を計数し、前者に対する後者の割合(%)を求める。
【0068】
調製例1
<粘着剤の調製>:窒素置換したフラスコ中にトルエン65重量部及び酢酸エチル50重量部を添加し、撹拌下、80℃において、アクリル酸エチル48重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル27重量部、アクリル酸メチル20重量部、メタクリル酸グリシジル5重量部及びベンゾイルパーオキサイド0.2重量部の混合物を滴下し、10時間重合反応を行った。反応終了後、冷却し、これにキシレン25重量部、アクリル酸2.5重量部及びテトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド1.5重量部を加え空気を吹き込みながら80℃で10時間反応させ、アクリル系の粘着剤ポリマーの主剤溶液を得た。得られた溶液中の粘着剤ポリマー固形分100重量部当たり、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(チバガイギー製、商品名:イルガキュア−651)を7重量部、イソシアナート系架橋剤〔三井東圧化学(株)製、商品名:オレスターP49−75S〕を1.5重量部(固形分として)、及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを11.7重量部添加し、アクリル系粘着剤を製造した。
【0069】
実施例1
エチレン−メタクリル酸共重合体ペレット(メタクリル酸分:9重量%)100重量部、及び、銅フタロシアニン(ピグメントブルー15、カラーインデックス:74160)を含むエチレン−メタクリル酸共重合体ペレット〔銅フタロシアニン30重量部及びエチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸分:9重量%)100重量部を含有〕0.5重量部を混合し、それをTダイ押出機を用いて製膜し、厚み120μmのフィルムを作成し、これを基材フィルムとした。得られた基材フィルムの光線透過率を上記方法により測定した。得られた光線透過率スペクトル(A)を〔図1〕に示す。
調製例1で得られた粘着剤を約5℃に維持しながらロールコーターを用いて、厚さ50μmのポリプロピレンフィルム(剥離フィルム)に塗布し、100℃において2分間乾燥させ、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。次いで、得られた粘着剤表面にコロナ放電処理を施した厚さ120μmの基材フィルムの該処理面を張り合わせ、押圧して粘着剤層を転写させることにより半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムを製造した。製造後、直ちに紫外線に暴露されないよう保護し、23℃の環境で保管した。
得られた粘着フィルムについて上記方法により粘着力を測定した。また、得られた粘着フィルムを半導体ウエハ裏面に貼着して、半導体ウエハのダイシング試験を実施し、さらに、ピックアップ試験を実施した。得られた結果を〔表1〕乃至〔表4〕に示す。
【0070】
実施例2〜3、比較例1〜2
銅フタロシアニン(ピグメントブルー15、カラーインデックス:74160)を含むエチレン−メタクリル酸共重合体ペレット〔銅フタロシアニン30重量部及びエチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸分:9重量%)100重量部を含有〕を0.25重量部(実施例2)、1重量部(実施例3)、0.05重量部(比較例1)、または、1.8重量部(比較例2)に替えた以外、実施例1と同様にして半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムをそれぞれ製造した。
得られた基材フィルムの光線透過率を実施例1と同様にして測定し、光線透過率スペクトル(実施例2−B)、(実施例3−C)、(比較例1−D)、(比較例2−E)を〔図1〕に示す。また、得られた半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムについて実施例1と同様の試験を上記方法により実施した。得られた結果を〔表1〕乃至〔表4〕に示す。
【0071】
【表1】
Figure 0003695874
【0072】
【表2】
Figure 0003695874
【0073】
【表3】
Figure 0003695874
【0074】
【表4】
Figure 0003695874
【0075】
【発明の効果】
本発明の半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムは、フタロシアニン系色素を含有した基材フィルムを用いている。そのため、蛍光灯等の弱い紫外線の存在下、すなわち、波長320〜380nmの紫外線の照度が0.3mW/cm2以下程度の環境では、粘着剤層への紫外線の到達量を減らすことができ、粘着特性の環境紫外線に対する安定性が優れている。一方、半導体ウエハのダイシング終了後、得られたチップをピックアップする前に通常照射されている照度3〜3000mW/cm2程度、強度30〜3000mJ/cm2程度の紫外線を照射することにより、十分に粘着力を低下させることが可能である。
従って、本発明の方法によれば、粘着フィルムが半導体ウエハのダイシング工程で開封されて取扱い、放置、保管等されたり、不測の工程トラブル等により粘着フィルムが自動貼着装置にセットされたまま作業が一時中断した場合、半導体ウエハに粘着フィルムが貼着された状態で作業が中断した場合等であっても粘着力が経時的に低下することがなく、半導体ウエハをダイシングする際にウエハ裏面と粘着フィルムの間に水、ウエハの切断屑等が浸入することがなく、チップが飛散することがない。さらに、ダイシング工程終了後、チップのピックアップに先立って紫外線を照射した際には、粘着力が十分に低下するのでチップのピックアップ不良を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、基材フィルムの光線透過率スペクトル(波長域310〜390nm)である。
【符号の説明】
A:実施例1で得られた基材フィルム。
B:実施例2で得られた基材フィルム。
C:実施例3で得られた基材フィルム。
D:比較例1で得られた基材フィルム。
E:比較例2で得られた基材フィルム。

Claims (8)

  1. 基材フィルムの片表面に紫外線照射により硬化する性質を有する粘着剤層が形成された粘着フィルムを、その粘着剤層を介して半導体ウエハの裏面に貼付して該半導体ウエハを素子小片に分割し、分割終了後に該粘着フィルム側から紫外線を照射し、次いで、該粘着フィルムから、素子小片を取り出す半導体ウエハのダイシング方法であって、該基材フィルムが、フタロシアニン系色素を含有し、波長域320〜380nmの全域における光線透過率が60%以下、該波長域の少なくとも一部における光線透過率が20%以上であり、且つ、厚みが30〜500μmであることを特徴とする半導体ウエハのダイシング方法。
  2. フタロシアニン系色素が、一般式(1)〔化1〕
    Figure 0003695874
    (式中、A1〜A8は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、或いは置換又は未置換のアルコキシ基を表す。B1〜B8は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、或いは置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のアルコキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルチオ基、あるいは置換又は未置換のアリールチオ基を表す。Mは2価の金属原子、2価又は4価の置換金属原子、またはオキシ金属を表す。)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の半導体ウエハのダイシング方法。
  3. 前記一般式(1)におけるMがCu(II)であり、A1〜A8及びB1〜B8の全てが水素原子であることを特徴とする請求項2記載の半導体ウエハのダイシング方法。
  4. 基材フィルムが、波長域320〜380nmの全域における光線透過率が50%以下、該波長域の少なくとも一部における光線透過率が35%以上であることを特徴とする請求項1〜3に記載の半導体ウエハのダイシング方法。
  5. 基材フィルムの片表面に紫外線照射により硬化する性質を有する粘着剤層が形成された半導体ウエハのダイシング用粘着フィルムであって、該基材フィルムが、フタロシアニン系色素を含有し、波長域320〜380nmの全域における光線透過率が60%以下、該波長域の少なくとも一部における光線透過率が20%以上であり、且つ、厚みが30〜500μmであることを特徴とする半導体ウエハのダイシング用粘着フィルム。
  6. フタロシアニン系色素が、一般式(1)〔化2〕
    Figure 0003695874
    (式中、A1〜A8は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、或いは置換又は未置換のアルコキシ基を表す。B1〜B8は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、或いは置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のアルコキシ基、置換又は未置換のアリールオキシ基、置換又は未置換のアルキルチオ基、あるいは置換又は未置換のアリールチオ基を表す。Mは2価の金属原子、2価又は4価の置換金属原子、またはオキシ金属を表す。)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項5記載の半導体ウエハのダイシング用粘着フィルム。
  7. 前記一般式(1)におけるMがCu(II)であり、A1〜A8及びB1〜B8の全てが水素原子であることを特徴とする請求項6記載の半導体ウエハのダイシング用粘着フィルム。
  8. 基材フィルムが、波長域320〜380nmの全域における光線透過率が50%以下、該波長域の少なくとも一部における光線透過率が35%以上であることを特徴とする請求項5〜7に記載の半導体ウエハのダイシング用粘着フィルム。
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