JP3695474B2 - 光学式エンコーダおよび光学式エンコーダの固定側素子取り付け方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、受光素子の受光面にフォトエッチング等により、スリットが直接、形成された固定側素子を有する光学式エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、円周方向に複数のスリットを配置した回転ディスクと空隙を介して対向する固定側素子を基板に固定した光学式エンコーダの場合、基板の固定側素子を取り付けた面と固定側素子を取り付けた反対側の面の両面に他のチップ部品を配設し、かつ固定側素子と回転ディスクの間の空隙を小さく維持するために、固定側素子と基板の間にスペーサを挿入し、固定側素子の基板平面からの高さが、他のチップ部品の基板平面からの高さよりも高くなるようにしたものが開示されている(例えば、実開昭62−24315号)。この場合、固定側素子と基板に設けたパターンとの間をワイヤボンディングによって接続している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来技術では、固定側素子以外のチップ部品は半田付けにより基板設けたパターンと接続しているので、チップに故障が生じたような場合は、半田を加熱することによって簡単に取り外しができるが、固定側素子の電極と基板に設けたパターンとの接続はアルミなどのワイヤボンディングで行うため、固定側素子が故障したり接続不良が生じたりしたとき、半田で接続した時のように加熱などにより容易に取り外しをすることができないという問題があった。
したがって、固定側素子の接続を外すときは機械的に切断する方法があるが、接続部分が極めて微細であるため、固定側素子の取り替え作業のために多くの時間がかかったり、時には固定側素子を取り付けた部品全体を廃棄することになる場合も生じるなどの問題があった。
本発明は、固定側素子とその他の部品の接続作業条件が同一接続条件となるようにして、品質が安定し、作業時間の短い光学式エンコーダを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の受光素子を備えた固定側素子と、前記固定側素子を接続する基板と、前記固定側素子と前記基板との間に配置されたサブ基板と、前記固定側素子に空隙を介して対向する回転ディスクと、前記回転ディスクを挟んで前記固定側素子の反対側に配置されたLEDとを備えた光学式エンコーダにおいて、前記サブ基板は、前記固定側素子の共通電極に接続するパターンと、前記サブ基板表面の前記基板の外周側に設けられて前記固定側素子の各受光素子電極に各々電気的に接続する複数のパターン電極と、前記パターン電極に設けられて前記サブ基板の裏面に貫通するスルーホールと、前記サブ基板の側面に設けられて前記基板への電気的接続と固着を行う複数の端面スルーホールと、前記サブ基板の裏面に設けられて前記スルーホールと前記スルーホールの各々に対応する前記端面スルーホールとを接続する接続導体と、前記基板に設けた基準穴に対応する位置決め部とを備えたものである。
また、複数の受光素子を備えた固定側素子と、前記固定側素子を接続する基板と、前記固定側素子と前記基板との間に配置されたサブ基板と、前記固定側素子に空隙を介して対向する回転ディスクと、前記回転ディスクを挟んで前記固定側素子の反対側に配置されたLEDとを備え、前記固定側素子を基板に固定する光学式エンコーダの固定側素子取り付け方法において、請求項1記載のサブ基板に前記固定側素子を固定し、前記サブ基板のパターン電極と前記固定側素子の各受光素子電極とをワイヤボンディングで接続し、前記サブ基板を前期パターン電極が前記基板の外周側になるように基板上に配置して、前記基板に任意の位置を基準として位置決めする位置決め部材により前記サブ基板を位置決めし、前記サブ基板の端面スルーホールと前記基板を半田付けにより電気的に接続し、かつ固定することを特徴とする光学式エンコーダの固定側素子取り付け方法である。
【0005】
【作用】
上記手段により、固定側素子と基板の間にスペーサ機能を有するサブ基板を配設し、サブ基板には固定側素子の各電極と対応するパターン電極、スルーホールまたは端面スルーホールを設けてあるので、ワイヤボンディング作業が容易になると共に、固定側素子の基板表面からの高さを部品の高さより高くしてあるので、固定側素子と同じ側に部品を実装することができる。
また、サブ基板を使用することにより、あらかじめ固定側素子とサブ基板のワイヤボンディングを別の工程で製造することができ、作業管理が容易となる。また、他のチップ部品と同様に「フォトダイオード組みチップ部品」として取扱ができるため、万一、固定側素子が不良になった場合でも、「フォトダイオード組みチップ部品」のみを交換すれば良いので、従来のようにすべての部品を廃棄する必要がないという経済効果も発生してくる。
さらに、サブ基板に位置決め部を設け、基板に設けた基準穴に合わせて、位置決めピンを基準穴に挿入して固定したあと、半田槽で各スルーホールの半田付けを行うので、半田時の振動や半田の吸着などの原因でサブ基板が動いて、基板とサブ基板の相対的位置が狂うことがなくなる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明を図に示す実施例について説明する。
図1は本発明の第1の実施例を示す側断面図、図2は図1のA−A断面に沿う正断面図である。
図において、1はエンコーダケース、2はエンコーダケース1に固定されたベース、3はベース2に固定された基板で、両面に配線パターンを設けてある。31は位置決めピン32を挿入する基準穴である。4は基板3を挟んでベース2に固定されたLEDケース、41はLEDケース4に固定されたLED、5は円周方向に複数のスリットを配列した回転ディスクで、回転軸51にディスクハブ52を介して固定されている。6は固定側素子で、空隙を介して回転ディスク5に対向している。7は固定側素子6と基板3との間に設けたサブ基板、8は基板3の両面に取り付けられたチップ部品である。なお、サブ基板7と固定側素子6とを重ねた高さは、チップ部品8の高さより高くなるようにしてある。
固定側素子6は、図4(b)に示すように、フォトダイオードA+、A−、B+、B−からなる受光素子61、62、63、64が表面に設けられ、それぞれ電極C1、C2、C3、C4に接続されている。また、裏面には共通電極(図示しない)が設けられている。
なお、共通電極を受光素子のカソードにする場合は電極C1、C2、C3、C4はアノードとなるが、その極性を逆にしてもよい。
【0007】
サブ基板7は、図3(a)に示すように、固定側素子6の外形より僅かに大きい形状を備え、固定側素子6が取り付けられる面には、固定側素子6の受光素子電極C1、C2、C3、C4に電気的に接続するためのパターン電極71、72、73、74と、固定側素子6の共通電極に接続するためのパターン75とを設け、それぞれのパターン電極にスルーホールT1,T2,T3,T4,T5と、端面スルーホールT11,T21,T31,T41,T51と、各端面スルーホールの上端と下端の周囲の面にそれぞれ半円形状のランド部77とを設けてある。
ここで、端面スルーホールとは、従来のスルーホールを約半分になるようにサブ基板の側面でカットしたものである。
サブ基板7の基板3に取り付けられる面には、図3(b)に示すように、スルーホールT1,T2,T3,T4と端面スルーホールT11,T21,T31,T41をそれぞれ接続する導体D1,D2,D3,D4をプリント配線により設けてある。
76は両側面に半円形の凹部の位置決め部で、基板3に設けた基準穴31に挿入した位置決めピン32を通して、サブ基板7が基板3と相対的位置が正確に決まるようにしてある。
なお、位置決めピン32を使用して基板3にサブ基板7を位置決めする理由は、固定側素子6のフォトダイオードと回転ディスクのスリット部の機械的寸法を正確に一致させるためである。
【0008】
つぎに、図4に基づいて、固定側素子6とサブ基板7と基板3の固定方法について説明する。
まず、図4(a)に示すサブ基板7のパターン75に導電性接着剤(図示せず)を塗布し、図4(b)に示す固定側素子6を、図4(c)に示すように、サブ基板7に載せて固定する。したがって、固定側素子6の共通電極とパターン75とが電気的に接続される。この場合、パターン75と固定側素子6の寸法は同一寸法にしてあるため、これらを合わせることにより、固定側素子6とサブ基板7の位置決めが行われる。
次に、固定側素子6の受光素子電極C1、C2、C3、C4とパターン電極71、72、73、74とをアルミワイヤボンディングにより電気的に接続する。なお、各パターン電極はワイヤボンディングが確実に行われるように、ニッケルメッキと金メッキが施されている。
つぎに、図4(d)に示すように、基板3に他のチップ部品と同様に、固定側素子6を搭載したサブ基板7を基板3に載せ、サブ基板7の位置決め部76を基板3に設けた基準穴31に合わせ、位置決め部76に沿って位置決めピン32を基準穴31に挿入し、固定する。この状態で半田槽(図示しない)に通して、サブ基板7の端面スルーホールT11,T21,T31,T41,T51と基板3のパターン(図示しない)とを電気的に接続する。半田槽を通した後、基板3から位置決めピン32を引き抜くことより固定作業が完成する。
【0009】
図5は本発明の第2の実施例を示す斜視図である。
この場合、サブ基板7の側面には、第1の実施例のスルーホールT1,T2,T3,T4,T5を設けず、図5(a)に示すように、端面スルーホールT11,T21,T31,T41とパターン75を設け、パターン75は直接端面スルーホールT51に接続し、各端面スルーホールの上端と下端の周囲の面にそれぞれ半円形状のランド部77を設けてある。
固定側素子6の受光素子電極C1、C2、C3、C4の位置は、図5(b)に示すように、端面スルーホールT11,T21,T31,T41の近くに設け、ボンディングの長さが短くなるようにしてある。
固定側素子6とサブ基板7と基板3の固定方法は、図5(c)に示すように、受光素子電極C1、C2、C3、C4と端面スルーホールT11,T21,T31,T41のランド部77とをアルミボンディングにより電気的に接続し、それ以外の工程は第1の実施例と同様である。
したがって、各端面スルーホールT11,T21,T31,T41のランド部77を電極としてそれぞれ受光素子電極C1、C2、C3、C4と直接ワイヤボンディングできるようにすることにより、サブ基板7の外形寸法をより小形にすることができる。
【0010】
図6はサブ基板7と基板3とを固定する他の実施例を示す斜視図である。
この場合、正確に加工した直角面33と2本の位置決めピン34とを備えた位置決め治具35を準備し、位置決めピン34を基準位置となる基準穴31に挿入する。この状態で、正確に外形が加工されている四角形状のサブ基板7の対角線上の2か所の角に、直角面33を当てて位置決めする。
このような方法により、サブ基板7の側面に位置決め部76を設ける必要がなくなる。
なお、サブ基板7の材質として、基板3の熱膨張係数(ガラスエポキシ基板の材質の場合、約22×10-6/ ℃)と固定側素子6の熱膨張係数(シリコンの場合、約2.5 ×10-6/ ℃)の間の熱膨張係数を有する材質、例えばセラミック基板(熱膨張係数、約6.8 ×10-6/ ℃)を使用すれば、熱応力による歪みが緩和され、熱によりシリコンフォトダイオードが割れるなどの恐れがなくなる。
また、サブ基板7に基板3と同一の材質の基板を使用し、サブ基板7と固定側素子6の間に、サブ基板7と固定側素子6との間の熱膨張係数を有する導電材料(例えば、銅、熱膨張係数、約16.6×10-6/ ℃)のスペーサを挿入することにより、上記実施例と同一の効果を持たせることができる。
なお、上記実施例は回転ディスクを備えたロータリ形の光学式エンコーダについて説明したが、回転ディスクに代えて、直線的に移動する方向に複数のスリットを有するスリット板を備えたリニア形の光学式エンコーダについても適用が可能である。
【0011】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、固定側素子と基板の間にスペーサ機能を有するサブ基板を配設し、サブ基板には固定側素子の各受光素子電極と対応するパターン電極、スルーホールおよび端面スルーホールを設けて、端面スルーホールと基板の間の接続を半田によって行うので、接続状態を目で確認できると共に、固定側素子が故障したり接続不良が生じたりしたとき、加熱などにより容易に取り外しをすることができる。
また、サブ基板を使用することにより、あらかじめ固定側素子とサブ基板のワイヤボンディングを別の工程で製造することができ、他のチップ部品と同様に「フォトダイオード組みチップ部品」として取扱ができるため、万一、固定側素子が不良になった場合でも、「フォトダイオード組みチップ部品」のみを交換すれば良いので、従来のようにすべての部品を廃棄する必要がないという経済効果も発生してくる。
さらに、サブ基板に位置決め部を設け、基板に設けた基準位置に合わせて、位置決め部材を基準位置に位置決めしたあと、半田槽で各スルーホールの半田付けを行うので、半田時の振動や半田の吸着などの原因でサブ基板が動いて、基板とサブ基板の相対的位置が狂うことがなくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す側断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施例を示す図1のA−A断面に沿う正断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施例のサブ基板を示す斜視図である。
【図4】 本発明の第1の実施例を示す斜視図である。
【図5】 本発明の第2の実施例を示す斜視図である。
【図6】 本発明の位置決め治具を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 エンコーダケース、2 ベース、3 基板、31 基準穴、32、34位置決めピン、33 直角面、35 位置決め治具、4 LEDケース、5 回転ディスク、51 回転軸、52 ディスクハブ、6 固定側素子、61、62、63、64 受光素子、7 サブ基板、71、72、73、74 パターン電極、75 パターン、76 位置決め部、77 ランド部、8 チップ部品、T1,T2,T3,T4,T5 スルーホール、T11,T21,T31,T41,T51 端面スルーホール
Claims (2)
- 複数の受光素子を備えた固定側素子と、前記固定側素子を接続する基板と、前記固定側素子と前記基板との間に配置されたサブ基板と、前記固定側素子に空隙を介して対向する回転ディスクと、前記回転ディスクを挟んで前記固定側素子の反対側に配置されたLEDと、を備えた光学式エンコーダにおいて、
前記サブ基板は、
前記固定側素子の共通電極に接続するパターンと、
前記サブ基板表面の前記基板の外周側に設けられて前記固定側素子の各受光素子電極に各々電気的に接続する複数のパターン電極と、
前記パターン電極に設けられて前記サブ基板の裏面に貫通するスルーホールと、
前記サブ基板の側面に設けられて前記基板への電気的接続と固着を行う複数の端面スルーホールと、
前記サブ基板の裏面に設けられて前記スルーホールと前記スルーホールの各々に対応する前記端面スルーホールとを接続する接続導体と、
前記基板に設けた基準穴に対応する位置決め部と、
を備えたことを特徴とする光学式エンコーダ。 - 複数の受光素子を備えた固定側素子と、前記固定側素子を接続する基板と、前記固定側素子と前記基板との間に配置されたサブ基板と、前記固定側素子に空隙を介して対向する回転ディスクと、前記回転ディスクを挟んで前記固定側素子の反対側に配置されたLEDとを備え、前記固定側素子を基板に固定する光学式エンコーダの固定側素子取り付け方法において、
請求項1記載のサブ基板に前記固定側素子を固定し、
前記サブ基板のパターン電極と前記固定側素子の各受光素子電極とをワイヤボンディングで接続し、
前記サブ基板を前記パターン電極が前記基板の外周側になるように基板上に配置して、前記基板に任意の位置を基準として位置決めする位置決め部材により前記サブ基板を位置決めし、
前記サブ基板の端面スルーホールと前記基板を半田付けにより電気的に接続し、かつ固定することを特徴とする光学式エンコーダの固定側素子取り付け方法。
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JP5096887B2 (ja) * | 2007-11-20 | 2012-12-12 | 光洋電子工業株式会社 | ロータリエンコーダ |
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1995
- 1995-06-14 JP JP17280895A patent/JP3695474B2/ja not_active Expired - Lifetime
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