JP3695086B2 - 浴用水の循環浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽内の浴用水を浄化することによって、浴用水の長期使用を可能にする浴用水の循環浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭用の風呂において24時間の入浴を可能としたものが提供されている。このものにおいては、浴槽内の浴用水を長期間使用可能とするために、浴槽内の浴用水を常時もしくは周期的に浄化する必要がある。このため、従来にあっては、図3に示すように循環浄化装置を浴槽1に取付けて、浴槽1内の浴用水を浄化するようにしている。すなわち、図3において一端部の吸い込み口15と他端部の吐出口16とを浴用水2を入れた浴槽1に連通させた循環水路3に、ポンプ17、ろ過槽30、ヒータ18を設け、ポンプ17を運転することで、浴槽1内の浴用水2を吸い込み口15から吸い込み、ろ過槽30でろ過し、ヒータ18で加熱して再び吐出口16から浴槽1内に戻すようにしてあり、上記循環水路3を循環させる際に、ろ過槽30でろ過することによって、浴用水2を浄化して長期間の使用が可能となるようにしている。
【0003】
ここで、浴用水2中には汗(アンモニア)やタンパク質等が溶け込んでいる。したがって、この浴用水2中に溶け込んでいる汗(アンモニア)やタンパク質等を除去するために、ろ過槽30としては通常、微生物による分解を利用した生物浄化方式のろ過槽が用いられている。この生物浄化方式では、循環浄化装置を稼動させてからろ過槽30中の微生物が十分繁殖し、その浄化能力が有効なレベルに達するまである程度の期間が必要である。したがって、それまではろ過槽30による十分な浄化能力が得られないため、浴用水2に濁りが生じるという問題がある。
【0004】
そこで、この問題を解決するために、精密ろ過装置を備えた循環浄化装置が特開平7ー213826号公報で提供されている。このものは、循環浄化装置本体で浄化処理し、再び浴槽に戻す吐出管の途中から精密ろ過装置を配備した副吐出管が分岐し、通常の浄化処理した後副吐出管の方に流れる浴用水が精密ろ過装置で精密ろ過されるようにしたものである。
【0005】
また、特開平7ー185545号公報には、代表的な精密ろ過膜である中空糸膜の様々な洗浄方法が提供されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特開平7ー213826号公報に示されている精密ろ過装置を備えた循環浄化装置においては、精密ろ過膜の汚染が生じやすいという問題がある。すなわち、通常、中空糸膜で代表される精密ろ過膜は、浄水器等に用いられてその対象水質が比較的清浄なものであるが、浴用水においては人体よりの老廃物等に起因する有機物系の汚れが含まれており、また、膜表面での菌の増殖及び多糖類の分泌により目詰まりが起こり、ろ過膜を通過する流量が浄水に比べるとすぐに低下し、それと共にろ過効率が悪くなり、浴用水の濁度が低下しないという問題がある。このような膜の目詰まりは通常の目詰まりと異なり、膜表面に生物膜と呼ばれる皮膜が生成されることに起因する。また、いったん生物膜が生成すると、仮に振動等で一部の目詰まりが無くなっても、すぐに生物膜を形成して、十分なろ過流量を得られなくなるという問題がある。
【0007】
特開平7ー185545号公報の一部に示されているように、一般的にそのような場合は、化学薬品を用いた薬剤洗浄により汚染物を除去して流量を回復させることが行われているが、浴用水においては有機物が多いために、より早く生物膜が生成するため、頻繁に薬剤洗浄の必要があり、このため、薬剤添加のためのシステムが必要となり、装置が大きくなる。また、薬剤を定期的に装置に補充する必要があって、不便である。特開平7ー185545号公報では、その他様々な洗浄方法が開示されているが、いずれも上記薬剤洗浄同様何らかの設備を伴い装置が大きくなるという問題がある。
【0008】
本発明は上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、簡単且つ確実に精密ろ過装置の目詰まり防止ができ、また、装置のコンパクト化も図れる浴用水の循環浄化装置を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の浴用水の循環浄化装置は、浴槽1内の浴用水2を循環させて浄化する循環浄化装置の循環水路3中にバイパス路4を設け、精密ろ過膜5aを内蔵する精密ろ過装置5をバイパス路4中に設け、精密ろ過装置5に開閉弁6を介してドレイン7を設け、精密ろ過装置5内部には精密ろ過膜5a周囲に常時水流を起こす手段を備え、循環水路3からバイパス路4への分岐点より下流側で且つ合流点より上流側の循環水路3中に流量絞り弁8を設け、流量絞り弁8を一定時間毎に作動させて精密ろ過膜5aの回りに生じる水流に強弱をつけるように電気的制御をすることを特徴とするものである。このような構成とすることで、精密ろ過装置5内の中空糸膜のような精密ろ過膜5a周囲に生じる水流によって、精密ろ過膜5a表面における菌の繁殖による生物膜の形成を抑制して膜の目詰まりを抑制する。また、精密ろ過装置内に徐々に溜まっていくろ過されない濁り成分はドレイン7から排出する。しかも、電気的制御により、一定時間毎に流量絞り弁8を作動させ、本流の流量を絞ってバイパス路4の水量を増加させて精密ろ過装置5内の水流を強くしたり、あるいは精密ろ過措置5内の水流を弱くしたりすることができ、水流に強弱を付けることができるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を以下添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1、図2に本発明の一実施形態を示す。ろ過循環装置の循環水路3は一端部が吸い込み口15、他端部が吐出口16となっていて、この吸い込み口15と吐出口16とが浴用水2を入れた浴槽1内に連通してある。この循環水路3の吸い込み口15寄りの位置にポンプ17が設けてあり、吐出口16寄りの位置にヒータ18が設けてある。このヒータ18は浴用水1の温度低下を防ぐためのものであって、小熱量のものでもよいものである。ヒータ18の上流側には殺菌装置19が設けてあり、この殺菌装置19は塩素供給装置、紫外線ランプ、オゾン発生装置等任意のものが採用できるものであって、特に限定するものではない。循環水路3中にはバイパス路4が設けてある。バイパス路4の途中には精密ろ過装置5が設けてあり、精密ろ過装置5には精密ろ過を行うための中空糸膜のような精密ろ過膜5aが内蔵してある。ここで、精密ろ過膜5aとしては必ずしも中空糸膜にのみ限定されるものではなく、他の精密ろ過膜を用いてもよいものである。精密ろ過装置5には開閉弁6を介してドレイン7が設けてある。
【0015】
なお、上記バイパス路4は循環水路3に合流せず精密ろ過装置5から直接浴槽1に戻るようにしてもよい。
また、精密ろ過膜5aは定期的に取り外されて機械的な洗浄または化学的な洗浄が行われ、洗浄後再び精密ろ過装置5に設置できるように取り外し可能なように構成してあってもかまわないものである。
【0016】
ここで、精密ろ過装置5内に水流を発生させる手段として、精密ろ過装置5の内壁に斜め方向に溝を形成し、また、精密ろ過装置5内への浴用水2の入口は斜め方向に流入するように角度が付けられている。したがって、精密ろ過装置5内には図2の矢印に示すように渦流が発生するものである。もちろん精密ろ過装置5内の精密ろ過膜5aの回りで水流を発生させる手段としては上記の実施例にのみ限定されるものではない。
【0017】
循環水路3からバイパス路4への分岐点より下流側で且つバイパス路4の循環水路3への合流点より上流側に流量絞り弁8が設けてある。
上記のような構成の循環浄化装置は、循環水路3の吸い込み口15と吐出口16とを浴用水2中に浸漬した状態で浴槽1に設置されるものであり、通常の運転時にはポンプ17を駆動することで吸い込み口15から循環水路3に浴槽1内の浴用水2が吸い込まれ、殺菌装置19が作動している時はここで殺菌され、また、ヒータ18が作動している時にはここで温度加熱して温度低下が防がれた後、吐出口16から浴槽1内に返送されるものである。この場合、浴用水の一部は循環水路3から分岐したバイパス路4へ流れ、精密ろ過装置5を通過して濁りを除去された後、循環水路3へ合流して浴槽1内に戻るようになっている。この時、精密ろ過装置5内では精密ろ過膜5aの周囲で渦流が発生し、中空糸膜のような精密ろ過膜5aに物理的振動が与えられることになり、精密ろ過膜5aの膜表面への生物膜発生が防がれて精密ろ過膜5aの目詰まりを防止することが可能となる。
【0018】
ここで、流量絞り弁8を作動させることで、循環水路3の本流の流量を絞ってバイパス路4の流量を増加させて精密ろ過装置5内の水流を強くしたり、あるいは本流の流量を多くしてバイパス路4の流量を減少させて精密ろ過装置5内の水流を弱くしたりでき、精密ろ過装置5内の精密ろ過膜5aの回りに生じる水流に強弱を付けることができるものであって、効果的に精密ろ過膜5aの目詰まりを防止することが可能となる。この流量絞り弁8の作動による精密ろ過装置5内の精密ろ過膜5aの回りに生じる水流に強弱を付けるに当たっては、流量絞り弁8を電気的制御により一定時間毎に作動させる。
【0019】
精密ろ過装置5でろ過された浴用水2はバイパス路4から循環水路3へと戻るが、菌を代表とするろ過されない濁り成分は精密ろ過装置5内に徐々に溜まっていき、濁り濃度が高くなる程精密ろ過膜5aの目詰まりが起こりやすくなるが、一定時期毎に開閉弁6を開いてドレイン7から濁り成分を排出することにより、その可能性を下げることができるようにしてある。
【0020】
本実施形態における渦発生時の目詰まり防止効果を膜流量維持度合いにより評価したところ、以下のようになった。
すなわち、初期の流量が4.1リットル/minである時、精密ろ過装置5内に渦流発生手段を持つ本実施形態のものと、持たないものとの一週間後のバイパス路4の各流量値は、精密ろ過装置5内に渦流発生手段を持つものは3.3リットル/min、持たないものは0.2リットル/minとなった。ちなみに浴用水2の濁度は精密ろ過装置5内に渦流発生手段を持つものは0.25、持たないものは1.6であり、流量値の大小がそのまま濁度に反映された。これにより、本実施形態において、流量値が低下せずにほぼ維持できたのは、渦流が精密ろ過膜5a表面を常に振動させていることの効果によることが判る。渦流の発生しないものの方は精密ろ過膜5aに汚れが付着しているのが肉眼でも判り、精密ろ過膜5aの表面に生物膜が発生して目詰まりを起こしていた。
【0028】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、上述のように、浴槽内の浴用水を循環させて浄化する循環浄化装置の循環水路中にバイパス路を設け、精密ろ過膜を内蔵した精密ろ過装置をバイパス路中に設け、精密ろ過装置に開閉弁を介してドレインを設け、精密ろ過装置内部には精密ろ過膜周囲に常時水流を起こす手段を備え、循環水路からバイパス路への分岐点より下流側で且つ合流点より上流側の循環水路中に流量絞り弁を設け、流量絞り弁を一定時間毎に作動させて精密ろ過膜の回りに生じる水流に強弱をつけるように電気的制御をするので、精密ろ過膜の膜表面での菌の繁殖による生物膜の形成が抑制できて精密ろ過膜の目詰まり防止が可能であり、また、精密ろ過装置内に徐々に溜まっていくろ過されない濁り成分はドレインより定期的に排出することができて目詰まり防止を補助でき、これらの結果、特に膜洗浄手段を設けることなく精密ろ過膜の長期使用が可能となるものであり、しかも、電気的制御により流量絞り弁を一定時間毎に作動させて、バイパス路の流量を多くしたり、少なくしたりできて、水流に強弱を付けて精密ろ過膜の目詰まり防止効果を上げることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成図である。
【図2】同上の精密ろ過装置内において渦流を発生させるための一実施形態を示す概略説明図である。
【図3】従来例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 浴槽
2 浴用水
3 循環水路
4 バイパス路
5 精密ろ過装置
5a 精密ろ過膜
6 開閉弁
7 ドレイン
8 流量絞り弁
Claims (1)
- 浴槽内の浴用水を循環させて浄化する循環浄化装置の循環水路中にバイパス路を設け、精密ろ過膜を内蔵した精密ろ過装置をバイパス路中に設け、精密ろ過装置に開閉弁を介してドレインを設け、精密ろ過装置内部には精密ろ過膜周囲に常時水流を起こす手段を備え、循環水路からバイパス路への分岐点より下流側で且つ合流点より上流側の循環水路中に流量絞り弁を設け、流量絞り弁を一定時間毎に作動させて精密ろ過膜の回りに生じる水流に強弱をつけるように電気的制御をすることを特徴とする浴用水の循環浄化装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25918597A Expired - Fee Related JP3695086B2 (ja) | 1997-09-25 | 1997-09-25 | 浴用水の循環浄化装置 |
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