JP3671684B2 - 浴槽水浄化装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽内の浴槽水を循環して浄化することで、浴槽水の長期使用を可能とする浴槽水浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭用の風呂において24時間の入浴を可能としたものが提供されている。この場合、浴槽内の浴槽水を長期間使用可能とするために浴槽水を常時もしくは周期的に浄化・殺菌する必要がある。このために、従来より知られている循環浄化装置は、一端の吸い込み口と他端の吐出口を浴槽水中に浸漬させた循環水路にポンプ、ヒータ、ろ過槽、殺菌槽を設けたもので、ポンプで浴槽内の浴槽水を吸い込み口から吸い込んで吐出口から吐出させるように循環水路を循環させ、更に、ヒータで循環水路を循環する浴槽水を加熱し、また、ろ過層で浴槽水の汚れをろ過し、更にまた、殺菌槽によりレジオネラ菌等を殺菌するように構成されている。
【0003】
従来の循環浄化装置は、殺菌方式としては紫外線殺菌、オゾン殺菌、加熱殺菌、塩素殺菌から選択しており、塩素殺菌方式を採用している循環浄化装置が特開平8−267072号公報で提供されている。このものは図10に示すように、電解殺菌装置30と、それに塩分を添加するための塩分添加部31と、更に塩分添加制御のための調節弁32とを備えており、電解殺菌の開始に当っては調節弁32が開放され食塩もしくは食塩水が電解殺菌装置30に添加される仕組みになっている。図10中、20は浴槽、21はヒータ、2はポンプ、33はろ過槽である。
【0004】
また、従来からこれと同様に塩水を電気分解する構造を有するものとして酸性イオン水生成装置等が知られており、例えば、特開平7−155764号公報で提供されている。このものは、図11に示すように電解槽40と塩水タンク41と塩水を電解槽40に給水するポンプ2とを備え、電流が一定のもとで電極間の電圧を測定し、基準値との比較に基づいてポンプ2を制御することにより、電解槽40内の塩分濃度を一定に保持することを目的としているものである。図11中15は制御部、42は混合室、43はアルカリ水排水管、44は酸性イオン水タンク、45は入水管である。、
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の装置はろ過槽にファイバーボールのような生物を定着させ浴槽水内の有機物を分解させるろ材を用いているが、反面、レジオネラ菌等の有害な細菌も定着する可能性があった。また、ろ過槽にコロイド粒子状の汚れまたは細菌、レジオネラ菌を取り除けるように目の細かな精密ろ過フィルタを用いており、精密ろ過フィルタが直ぐ目詰まりしてその都度、装置を止めて高価な精密ろ過フィルタを交換しなければならず、手間や費用がかかりメンテナンスも大変であった。また、目詰まりにより循環流量が低下し浄化能力が低下するといった問題があった。
【0006】
また、前記特開平8−267072号公報で提供されているような従来の装置にあっては、塩分添加部の塩濃度が常に一定でない限り電解殺菌装置30内の塩濃度の調整は困難である。また、塩分添加部31の塩濃度を一定にするためには一定濃度の溶液をあらかじめ調整し、それを補充するといった煩雑なメンテナンスが必要となる。仮に、塩分添加部31内に固形の食塩を貯蔵していたとしても、食塩は固着するため調節弁の開放のみで電解殺菌装置30内の塩濃度を調整することはやはり困難である。電解殺菌装置30内の塩濃度が一定でないと一定量の塩素を発生させることができない。塩素発生量が少ないときは殺菌力が不十分となり、浴槽水の殺菌を十分に行うことができず、更には配管系や浴槽20壁にレジオネラ菌の巣窟となり得るヌメリを発生させることになる。逆に塩素発生量が多すぎるときには殺菌は十分にできても塩素臭や肌への刺激という面で入浴に不快な水質となってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、精密ろ過フィルタを洗浄して洗浄能力を維持すると共に、浴槽水の殺菌を十分に行い且つ配管系や浴槽壁にレジオネラ菌の巣窟となり得るヌメリを発生させないために、無隔膜電解槽で食塩水を効率よく電解する際に、塩濃度の調整を精度よく行い一定量の塩素を発生させることのできるコンパクトな浴槽水浄化装置を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る浴槽水浄化装置は、循環流路1にポンプ2、第1開閉弁3を設け、循環流路1のポンプ2の下流から分岐するバイパス流路4を設け、バイパス流路4中に浴槽水のろ過を行うための精密ろ過フィルタ5を内装した精密ろ過槽6を設置し、精密ろ過槽6内の精密ろ過フィルタ5の上流側に流水吐水口16を有する回転自在な洗浄用ノズル17を設け、バイパス流路4の精密ろ過槽6の下流側に第2開閉弁14を設け、循環流路1のポンプ2の下流またはバイパス流路4から分岐し第1切り替え弁7により一対の電極を内蔵した無隔膜電解槽8もしくは、塩溶解槽9、無隔膜電解槽8の両方を経由してバイパス流路4の精密ろ過槽6の上流に合流する第1補助流路10を設け、精密ろ過槽6の精密ろ過フィルタ5よりも上流から分岐し且つ循環流路1のポンプ2よりも上流に合流する第2補助流路11を設け、この第2補助流路11に第2切り替え弁12を介して排水口13を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、精密ろ過装置6による浄化、洗浄用ノズル17による精密ろ過フィルタ5の洗浄、無隔膜電解槽8で生成した塩素による殺菌及び無隔膜電解槽8への塩溶解槽9からの塩の供給を一つのポンプ2で行えるものである。
【0009】
また、第1開閉弁3を閉じ、第2切り替え弁12をポンプ2側に開いた後、第1切り替え弁7を無隔膜電解槽8側に開いて無隔膜電解槽8で生成された塩素水を精密ろ過槽6の精密ろ過フィルタ5の上流、ポンプ2を循環させた後、第2切り替え弁12を閉じて塩素水を精密ろ過フィルタ5を通して浴槽20に出すように制御する制御部15を設けることが好ましい。このような構成とすることで、ポンプ2内を高濃度の塩素水で殺菌することができ、ポンプ2内におけるヌメリの発生を抑え、ヌメリによるポンプ2の目詰まり、レジオネラ菌の発生を抑えることができる。また、精密ろ過フィルタ5の洗浄の時にしか流れることのない第2補助流路11も高濃度の塩素水で殺菌することができる。
【0010】
また、第1開閉弁3を閉じ、第2切り替え弁12を開いた後、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側へ開閉するように制御する制御部15を設けることが好ましい。しかして、塩溶解槽9より無隔膜電解槽8へ塩溶解水を移送し、無隔膜電解槽8において所定量の塩素を生成するために必要な塩の量を制御するとき、塩溶解槽9より無隔膜電解槽8への流量が影響するが、第2切り替え弁12を開いてあるので、塩溶解槽9の精密ろ過フィルタ5の目詰まりの影響を受けることなく流量が一定である。
【0011】
また、ポンプ2を止め、第1開閉弁3を閉じ、第2切り替え弁12をポンプ2側に、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側に開き、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまで駆動時間が一定のポンプ2の駆動回数を制御する制御部15を設けることが好ましい。このような構成とすることで、ポンプ2の駆動時間を一定とし、1回駆動させるたびに電極間の電圧または電流を所定値と比較し、ポンプ2を数回駆動させることで、塩濃度を所定値まで上昇させるものであり、この結果、所定値を大きく上回ることなく無隔膜電解槽8内の塩濃度を調整することができるものである。また、塩溶解槽9の上流の第1切り替え弁7の開閉にかかる時間に関係なく制御できるため、第1切り替え弁7の種類を選ぶ必要がないものである。
【0012】
また、測定された電流値又は電圧値が所定値と等しくなるまでポンプ2の駆動回数で制御し、駆動回数が所定回数に到達した時、塩不足であると判断する制御部15を設けることが好ましい。このような構成とすることで、ポンプ2を1回駆動させるたびに電極間の電圧又は電流を所定値と比較し、数回ポンプ2を駆動させることにより塩濃度を所定値まで上昇させるという制御のとき、塩溶解槽9内の塩残量が少なく、塩溶解槽9の出口の塩濃度が低いとき、何回駆動させても所定値とずれを生じたままとなるため、所定回数、駆動させても所定値に到達しないとき塩不足を表示させるものである。このように塩不足を表示することで、塩濃度不足からくる塩素発生量不足を未然に防ぐことができるものである。
【0013】
また、ポンプ2を止め、第1開閉弁3を閉じて第2切り替え弁12をポンプ2側に開いた後、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側に開き、ポンプ2の1回目の駆動時間が長く、2回目以降は短く且つ一定の駆動時間であり、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまでポンプ2の駆動回数を制御する制御部15を設けることが好ましい。このような構成とすることで、無隔膜電解槽8の塩濃度を最初の1回目で大きく所定値に近づけておいた後、小刻みに濃度を上げてより精度よく無隔膜電解槽8内の塩濃度を所定値に調整することができるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0015】
図1には本発明の装置の配管構成図が示してある。循環流路1は一端に吸い込み口18を設けると共に他端に吐出口19を設けてあり、上記吸い込み口18と吐出口19とが浴槽20内の浴槽水中に浸漬させてある。循環流路1には上流側から下流側にかけて順にポンプ2、第1開閉弁3、ヒータ21を設けてある。
【0016】
循環流路1のポンプ2と第1開閉弁3との間からバイパス流路4が分岐してあり、このバイパス流路4には浴槽水のろ過を行うための精密ろ過フィルタ5を内装した精密ろ過槽6が設けてある。精密ろ過槽6内には精密ろ過フィルタ5の上流側に流水吐水口16を有する回転自在な洗浄用ノズル17が設けてある。この洗浄用ノズル17はポンプ2からバイパス流路4に浴槽水が供給された際、モータ又は水流の働きにより精密ろ過槽6の上流側の外周を回転するように構成してあり、また、回転と同時に流水吐水口16から浴槽水を精密ろ過フィルタ5の上流側の外周に吐水して精密ろ過フィルタ5を上流側において洗浄するようになっている。バイパス流路4には更に精密ろ過槽6よりも下流側に第2開閉弁14が設けてある。バイパス流路4の下流側の端部は循環流路1の第1開閉弁3よりも下流側(図に示す実施形態ではヒータ21よりも下流側)に連通接続してある。なお、上記においてはバイパス流路4の下流側の端部を循環流路1の第1開閉弁14よりも下流側に連通接続した例を示したが、バイパス流路4の下流側の端部を循環流路1に接続することなく、直接浴槽20内の浴槽水に浸漬してもよいものである。
【0017】
循環流路1のポンプ2と第1開閉弁3との間またはバイパス流路4の精密ろ過槽6よりも上流側から第1補助流路10が分岐してある。第1補助流路10の途中には上流側から順に第1切り替え弁7、無隔膜電解槽8が設けてある。また、第1切り替え弁7と無隔膜電解槽8とを別の分岐水路22で接続してあり、分岐水路22に塩溶解槽9が設けてある。第1補助流路10の他端(下流側端部)はバイパス流路4の精密ろ過槽6よりも上流側に連通接続してある(なお第1補助流路10の上流側端部をバイパス流路4の精密ろ過槽6よりも上流側に連通接続した場合には、第1補助流路10の下流側端部は上流側端部のバイパス流路4への接続部分よりも下流側で且つ精密ろ過槽6よりも上流側において連通接続するものである)。第1切り替え弁7は無隔膜電解槽8側と塩溶解槽9側のいずれも閉とする状態と、無隔膜電解槽8側が開で塩溶解槽9側が閉の状態と、塩溶解槽9が開で無隔膜電解槽8が閉の状態とを切り替えるものである。
【0018】
塩溶解槽9は実施形態においては二重筒構造をしていて、内筒に塩を収納するようになっている。ここでは、その内筒の上面が開放してあり、側面が格子状に開口し、その開口部をメッシュで覆ってある。一方、外筒には蓋を開閉自在に取り付けてあり、蓋を開いた後、内筒を設置し、再び蓋を閉めて密閉する構造となっている。もちろん、上記塩溶解槽9は必ずしも円筒構造に限定されるものではない。
【0019】
無隔膜電解槽8は実施形態では塩溶解槽9と同様に円筒構造となっており、一対の不溶性電極板よりなる電極を隔膜を介することなく対向配置した無隔膜タイプのものとして形成してある。ここで、電極を構成する電極板の形状は無隔膜電解槽8の下方まで達する長方形である。塩溶液には塩素イオン(Cl-)が含まれているが、無隔膜電解槽8で塩素イオン(Cl-)の一部を電気分解すると、塩素イオン(Cl-)は塩素(Cl2)や次亜塩素酸イオン(ClO-)に交換され、浴槽水に殺菌力を持たせることができるものである。上記無隔膜電解槽8と塩溶解槽9とは同一サイズの円筒構造にして金型を共通化してコストを下げるようにしてもよいが、必ずしも同一サイズの円筒構造とする必要なない。
【0020】
精密ろ過槽6の精密ろ過フィルタ5の上流に第2補助流路11の一端部が連通接続してあり、この第2補助流路11の他端部が循環流路1のポンプ2よりも上流側に連通接続してある。第2補助流路11には第2切り替え弁12を介して排水口13が設けてある。この第2切り替え弁12はポンプ2側と排水口13側の両方が閉の状態と、ポンプ2側が開で排水口13側が閉の状態と、ポンプ2側が閉で排水口13側が開の状態とを切り替えるための弁である。
【0021】
ここで、第1開閉弁3、第2開閉弁14、第1切り替え弁7、第2切り替え弁12は電磁弁であってもよく、また、電動弁であってもよいものである。そして、これら第1開閉弁3、第2開閉弁14、第1切り替え弁7、第2切り替え弁12は制御回路よりなる制御部15に接続されて開閉及び駆動が制御されるものである。また、無隔膜電解槽8の一対の電極に通電して電解を行う制御も制御部15により行うものである。
【0022】
図2は上記の構成の本発明の浴槽水浄化装置において、浴槽水の浄化時における装置内の浴槽水の流れを矢印で示しており、第1開閉弁3、第2開閉弁14は開、第1切り替え弁7、第2切り替え弁12は閉の状態となっており、ポンプ2の下流において浴槽水の一部が循環流路1をそのまま流れてヒータ21で加温しながら浴循環流路1の吐出口19側に流れ、また、ポンプ2の下流において浴槽水の他の一部がバイパス流路4に流れて精密ろ過槽6内に設けた中空糸膜よりなる精密ろ過フィルタ5を通過する際に細菌、レジオネラ菌等をろ過し、ろ過して浄化された浴槽水が循環流路1の吐出口19側に流れて循環流路1のヒータ21を流れて加温された浴槽水と合流して吐水口19から浴槽20に返送されるものである。ここで、精密ろ過フィルタ5を備えた精密ろ過槽6をバイパス流路4に設けることで、中空糸膜よりなる精密ろ過フィルタ5が目詰まりを起こして流量が低下した場合でも循環流路1に一定量の浴槽水が流れるため浴槽水の温度低下を起こさない構成となっている。なお、第1切り替え弁7は無隔膜電解槽8側に開としておいてもよい。
【0023】
図3は殺菌時の装置内の浴槽水の流れを矢印で示しており、第1開閉弁3、第2開閉弁14を閉、第2切り替え弁12をポンプ2側に開にした状態で第1切り替え弁7を無隔膜電解槽8側が開となるように切り替え、塩素水をポンプ2に循環させ、その後、第2開閉弁14を開、第2切り替え弁12を閉にし、塩素水を中空糸膜よりなる精密ろ過フィルタ5を通して浴槽20に返送するものである。ここで、塩素水をポンプ2に循環させる際第2開閉弁14は開状態としていてもよい。
【0024】
ここで、実際の制御の一例を示すと、例えば、容量300mlの無隔膜電解槽9内で450mgの塩素が発生されたとすると無隔膜電解槽9内の塩素濃度は1500ppmになる。第1開閉弁3、第2開閉弁14を共に閉、第2切り替え弁12をポンプ2側に開にした状態で第1切り替え弁7を無隔膜電解槽8側が開となるように切り替え、塩素水をポンプ2に循環させた時、精密ろ過槽6と流路の配管の合計の容積を1500mlとするとポンプ2を殺菌する塩素水の濃度は100ppmとなる。次に、第2切り替え弁12を閉、第2開閉弁14を開にし、100ppmの塩素水で精密ろ過槽6内の精密ろ過フィルタ5を殺菌した後、塩素水は浴槽20に投入される。浴槽20内の浴槽水が200lとすると浴槽20内の浴槽水の塩素濃度は2.25ppmとなる。このように浴槽20内の浴槽水で希釈されずに100ppmでポンプ2、精密ろ過フィルタ5を殺菌するので効果的にポンプ2、精密ろ過フィルタ5の殺菌ができて、ポンプ2、精密ろ過フィルタ5にヌメリが発生するのを抑え、ヌメリによるポンプ2の目詰まり、レジオネラ菌の発生を抑えることができるものである。また、ポンプ2に塩素水を流す際に精密ろ過フィルタ5の洗浄の際にしか流れない流路である第2補助流路11もくまなく殺菌できていっそう殺菌効果が向上する。
【0025】
図4には塩溶解槽9から無隔膜電解槽8に塩溶解水を移送するときの装置内の浴槽水の流れを矢印で示しており、第1開閉弁3、第2開閉弁14を閉、第2切り替え弁12をポンプ2側に開にした後、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側への開閉を制御し、所定量の塩溶解水を無隔膜電解槽8に送るようにしている。
【0026】
ここで、電解殺菌を行うときの動作を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。電解殺菌をスタートさせる指令を受けた制御部はまず第1切り替え弁7に信号を送り、塩溶解槽9側に短時間だけ1回開ける(この塩溶解槽9側に第1切り替え弁7を開く時間は設定された一定時間である)。そのとき、ポンプ2の正圧がかかっているので、第1切り替え弁7を通って浴槽水が塩溶解槽9に少量流入(上記のように短時間だけ第1切り替え弁7を塩溶解槽9側に開とするので結果的に塩溶解槽9には少量だけ流入することになる)して無隔膜電解槽8に流入する。無隔膜電解槽8内では塩溶解水の流入により電気伝導度が上がり、一定電流を電極に通電したならば、電極間にかかる電圧は下がることになる。制御部は電極に通電することにより電圧値を測定し、あらかじめ設定しておいた所定値と比較し、測定された電圧値の方が所定値よりも大きいときにはもう1回第1切り替え弁7を開く。これを数回繰り返すと電圧値は徐々に下がっていき、ついには測定された電圧値が所定値と同じになるか、もしくは下回るが、このとき、無隔膜電解槽8内の塩濃度が所定の濃度に達したことを意味し、制御部15からの信号で無隔膜電解槽8で電解を始める。一定時間電解を続けた後、制御部15からの信号により無隔膜電解槽8側へ第1切り替え弁7を開き、浴槽水が無隔膜電解槽8へ流入し、無隔膜電解槽8に貯留している電解により発生した塩素水をバイパス流路4に押し出す。ここで、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側が開となるようにした場合、塩溶解槽9から無隔膜電解槽8に送られる塩の量は、塩溶解槽9の塩濃度と、塩溶解槽9から無隔膜電解槽8への流量が影響するが、精密ろ過フィルタ5を通らない流路(つまり精密ろ過槽6の精密ろ過フィルタ5よりも上流側)を通って第2補助流路11からポンプ2側に流れるので、精密ろ過フィルタ5の目詰まりの影響を受けず流量が一定である。
【0027】
図5、図6には精密ろ過フィルタ5の洗浄時における装置内の浴槽水の流れを矢印で示しており、図5に示すように、第1開閉弁3、第2開閉弁14は共に閉、第1切り替え弁7は閉、第2切り替え弁12はポンプ2側が開状態となっており、精密ろ過槽6内の洗浄用ノズル17が回転しつつ精密ろ過フィルタ5に流水を吹き付けながら浴槽水が循環して精密ろ過フィルタ5を洗浄する。次に図6に示すように、第2切り替え弁12が排水口13側を開とするように切り替えられ、洗浄排水が排水口13から浴槽20外に排水されるものである。
【0028】
このように、本発明によれば、精密ろ過装置6による浄化、洗浄用ノズル17による精密ろ過フィルタ5の洗浄、無隔膜電解槽8で生成した塩素による殺菌及び無隔膜電解槽8への塩溶解槽9からの塩の供給等を一つのポンプ2で行えるものである。
【0029】
次に、図8に基づいて本発明の第2の実施形態につき説明する。本実施形態における装置の配管構成は前述の第1の実施形態と基本的構成は同じであり、電解殺菌を行うに当っての制御部15による制御が異なっている点に特徴があるので、電解殺菌についての説明以外の重複する説明は省略する。すなわち、本実施形態は電解殺菌時に前述の実施形態と比べて第1切り替え弁7を制御する代わりにポンプ2を制御する点に特徴があり、第1開閉弁3、第2開閉弁14を共に閉じ、第2切り替え弁12をポンプ2側に開いた後、ポンプ2を止め、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側が開となるように切り替える。そして、図8のフローチャートに基づいてポンプ2の駆動を制御部15により制御し、塩溶解水を無隔膜電解槽8に送る。この場合におけるポンプ2の駆動時間は一定である。そして、制御部15は電極に通電することで電圧値を測定し、あらかじめ設定しておいた所定値と比較し、測定された電圧値の方が所定値よりも大きいときにはもう1回ポンプ2を一定時間駆動する。これを数回繰り返すと電圧値は徐々に下がっていき、ついには測定された電圧値が所定値と同じになるか、もしくは下回るが、このとき、無隔膜電解槽8内の塩濃度が所定の濃度に達したことを意味し、制御部15からの信号で無隔膜電解槽8で電解を始める。一定時間電解を続けた後、制御部15からの信号により無隔膜電解槽8側へ第1切り替え弁7を開き、浴槽水が無隔膜電解槽8へ流入し、無隔膜電解槽8に貯留している電解により発生した塩素水をバイパス流路4に押し出す。ここで、ポンプ2の駆動を数回繰り返した後も測定した電圧値とあらかじめ設定した所定値が等しくならないときは、塩溶解槽9内の塩残量が少ないためである。このように、あらかじめ設定しておいた所定回数ポンプ2を駆動させても測定電圧値が所定値にならないときは制御部15により塩切れ表示部(図示せず)により塩切れ状態であることを表示するようになっている。塩切れ表示部による表示は文字による表示、あるいは光による表示、あるいは音による表示等種々の表示手段が採用できるものである。
【0030】
実際の制御の態様の一例を説明すると、例えば、容量500mlの無隔膜電解槽8内の塩濃度を1%とするためには塩の量が5g必要であり、塩溶解槽9内に塩が十分あるときは塩溶解槽9の出口の塩濃度は一定であるから、仮に20%とすると、塩溶解槽9から25mlの塩溶解水が無隔膜電解槽8へ移送されればよいことになる。ポンプ2が駆動しているとき、塩溶解槽9から無隔膜電解槽8への流量を0.5l/minとすると、さらにポンプ2の1回の駆動時間を0.6secと設定しているとき、5回のポンプ2の駆動で塩溶解槽9から塩溶解水が無隔膜電解槽8内へ25ml移送され、無隔膜電解槽8内の塩濃度は1%に達することになる。今、塩溶解槽9の出口の塩濃度を一定としたが、塩溶解槽9内の塩残量が少なくなってくると出口の塩濃度が少しずつ薄くなってくるが、無隔膜電解槽8で電圧を検出しながらフィードバック制御をかけているため、ポンプ2の駆動回数を増やすことにより、無隔膜電解槽8内の塩濃度を達成することができるものである。
【0031】
次に、図9に基づいて本発明の更に他の実施形態につき説明する。本実施形態は電解殺菌に当って上記図8に示す第2の実施形態に比べてポンプ2の駆動の仕方を2段階で制御するようにした点が異なり、他は第1の実施形態と同様であるので電解殺菌以外の重複する説明は省略する。電解殺菌を行うときの動作は図9に示すフローチャートにしたがって行う。すなわち、電解殺菌をスタートさせる指令を受けた制御部15はまずポンプ2に信号を送り、ポンプ2を1回駆動させる。この時、浴槽水が塩溶解槽9に流入し、その量と同じ量の塩溶解水が無隔膜電解槽8に流入する。電解槽15内では塩溶解水の流入により電気電導度が大きく上がり、一定電流を電極に通電したときの電極間にかかる電圧は大きく下がることになる。制御部15は電圧値を測定し、あらかじめ設定してある所定値と比較し、検出された電圧値の方が所定値より大きいとき、今度はポンプ2の駆動時間を1回目よりも短く駆動する。2回目以降、同じ短い時間のポンプ2の駆動を数回繰り返すことにより電圧値は少しずつ下がっていき、ついには測定された電圧値が所定値と同じになるか、もしくは下回るが、このとき、無隔膜電解槽8内の塩濃度が所定の濃度に達したことを意味し、制御部15からの信号で無隔膜電解槽8で電解を始める。一定時間電解を続けた後、制御部15からの信号により無隔膜電解槽8側へ第1切り替え弁7を開き、浴槽水が無隔膜電解槽8へ流入し、無隔膜電解槽8に貯留している電解により発生した塩素水をバイパス流路4に押し出す。この制御方法では無隔膜電解槽8内の塩濃度を最初の1回目で大きく所定値に近づけておいた後、小刻みに濃度を上げるという方法で、より精度よく無隔膜電解槽8内の塩濃度を所定値に調整することができるものである。更に、ポンプ2の駆動の総回数も少なくて済み、ポンプ2のトラブルも防止することができるものである。
【0032】
【発明の効果】
上記の請求項1記載の本発明にあっては、循環流路にポンプ、第1開閉弁を設け、循環流路のポンプの下流から分岐するバイパス流路を設け、バイパス流路中に浴槽水のろ過を行うための精密ろ過フィルタを内装した精密ろ過槽を設置し、精密ろ過槽内の精密ろ過フィルタの上流側に流水吐水口を有する回転自在な洗浄用ノズルを設け、バイパス流路の精密ろ過槽の下流側に第2開閉弁を設け、循環流路のポンプの下流またはバイパス流路から分岐し第1切り替え弁により一対の電極を内蔵した無隔膜電解槽もしくは、塩溶解槽、無隔膜電解槽の両方を経由してバイパス流路の精密ろ過槽の上流に合流する第1補助流路を設け、精密ろ過槽の精密ろ過フィルタの上流から分岐し且つ循環流路のポンプよりも上流に合流する第2補助流路を設け、この第2補助流路に第2切り替え弁を介して排水口を設けてあるので、浄化、殺菌、精密ろ過フィルタの洗浄を一つのポンプで行えるものであって、この結果、装置のサイズを小さくできるものである。
【0033】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、第1開閉弁を閉じ、第2切り替え弁をポンプ側に開いた後、第1切り替え弁を無隔膜電解槽側に開いて無隔膜電解槽で生成された塩素水を精密ろ過槽の精密ろ過フィルタの上流、ポンプを循環させた後、第2切り替え弁を閉じて塩素水を精密ろ過フィルタを通して浴槽に出すように制御する制御部を設けてあるので、ポンプ内を高濃度の塩素水で殺菌できてヌメリを抑え、ヌメリによるポンプの目詰まりを防止し、レジオネラ菌の発生を抑えることができるものであり、また、精密ろ過フィルタの洗浄の時にしか流れることのない第2補助流路も高濃度の塩素水で殺菌できて、殺菌効果を向上させることができる。
【0034】
また、請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、第1開閉弁を閉じ、第2切り替え弁を開いた後、第1切り替え弁を塩溶解槽側へ開閉するように制御する制御部を設けてあるので、塩溶解槽より無隔膜電解槽へ塩溶解水を移送し、無隔膜電解槽において所定量の塩素を生成するために必要な塩の量を制御するとき、塩溶解槽より無隔膜電解槽への流量が影響するが、第2切り替え弁を開いてあるので、塩溶解槽の精密ろ過フィルタの目詰まりの影響を受けることなく流量を一定にできて所定量の塩素を供給するのに必要な量の塩を無隔膜電解槽に正確に供給できるものである。
【0035】
また、請求項4記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、ポンプを止め、第1開閉弁を閉じ、第2切り替え弁をポンプ側に、第1切り替え弁を塩溶解槽側に開き、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまで駆動時間が一定のポンプの駆動回数を制御する制御部を設けてあるので、ポンプの駆動時間を一定とし、1回駆動させるたびに電極間の電圧または電流を所定値と比較し、ポンプを数回駆動させることにより、塩濃度を所定値まで上昇させ、この結果、所定値を大きく上回ることなく無隔膜電解槽内の塩濃度を調整することができるものである。また、塩溶解槽の上流の第1切り替え弁の開閉にかかる時間に関係なく制御できるため、第1切り替え弁の種類を選ぶ必要がなくてコストを抑えることができるものである。
【0036】
また、請求項5記載の発明にあっては、上記請求項4記載の発明の効果に加えて、測定された電流値又は電圧値が所定量と等しくなるまでポンプの駆動回数で制御し、駆動回数が所定回数に到達した時、塩不足であると判断する制御部を設けてあるので、ポンプを1回駆動させるたびに電極間の電圧又は電流を所定値と比較し、数回ポンプを駆動させることにより塩濃度を所定値まで上昇させるという制御のとき、塩溶解槽内の塩残量が少なく、塩溶解槽の出口の塩濃度が低いとき、何回駆動させても所定値とずれを生じたままとなるため、所定回数、駆動させても所定値に到達しないとき塩不足を表示させるものであり、このように塩不足を表示することで、塩濃度不足からくる塩素発生量不足を未然に防ぐことができるものである。
【0037】
また、請求項6記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、ポンプを止め、第1開閉弁を閉じて第2切り替え弁をポンプ側に開いた後、第1切り替え弁を塩溶解槽側に開き、ポンプの1回目の駆動時間が長く、2回目以降は短く且つ一定の駆動時間であり、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまでポンプの駆動回数を制御する制御部を設けてあるので、無隔膜電解槽の塩濃度を最初の1回目で大きく所定値に近づけておいた後、小刻みに濃度を上げてより精度よく無隔膜電解槽内の塩濃度を所定値に調整することができ、さらに駆動させる回数が少なくて済むので、ポンプ駆動によるトラブルを少なくする可能性が高まるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配管構成図である。
【図2】同上の浴槽水の浄化時における装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図3】同上の殺菌時の装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図4】同上の塩溶解槽から無隔膜電解槽に塩溶解水を移送するときの装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図5】同上の精密ろ過フィルタの洗浄時における装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図6】同上の精密ろ過フィルタの洗浄後における排水時における装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の電解殺菌のフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態の電解殺菌のフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態の電解殺菌のフローチャートである。
【図10】従来例の配管構成図である。
【図11】他の従来例の配管構成図である。
【符号の説明】
1 循環流路
2 ポンプ
3 第1開閉弁
4 バイパス流路
5 精密ろ過フィルタ
6 精密ろ過槽
7 第1切り替え弁
8 無隔膜電解槽
9 塩溶解槽
10 第1補助流路
11 第2補助流路
12 第2切り替え弁
13 排水口
14 第2開閉弁
15 制御部
16 流水吐水口
17 洗浄用ノズル
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽内の浴槽水を循環して浄化することで、浴槽水の長期使用を可能とする浴槽水浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭用の風呂において24時間の入浴を可能としたものが提供されている。この場合、浴槽内の浴槽水を長期間使用可能とするために浴槽水を常時もしくは周期的に浄化・殺菌する必要がある。このために、従来より知られている循環浄化装置は、一端の吸い込み口と他端の吐出口を浴槽水中に浸漬させた循環水路にポンプ、ヒータ、ろ過槽、殺菌槽を設けたもので、ポンプで浴槽内の浴槽水を吸い込み口から吸い込んで吐出口から吐出させるように循環水路を循環させ、更に、ヒータで循環水路を循環する浴槽水を加熱し、また、ろ過層で浴槽水の汚れをろ過し、更にまた、殺菌槽によりレジオネラ菌等を殺菌するように構成されている。
【0003】
従来の循環浄化装置は、殺菌方式としては紫外線殺菌、オゾン殺菌、加熱殺菌、塩素殺菌から選択しており、塩素殺菌方式を採用している循環浄化装置が特開平8−267072号公報で提供されている。このものは図10に示すように、電解殺菌装置30と、それに塩分を添加するための塩分添加部31と、更に塩分添加制御のための調節弁32とを備えており、電解殺菌の開始に当っては調節弁32が開放され食塩もしくは食塩水が電解殺菌装置30に添加される仕組みになっている。図10中、20は浴槽、21はヒータ、2はポンプ、33はろ過槽である。
【0004】
また、従来からこれと同様に塩水を電気分解する構造を有するものとして酸性イオン水生成装置等が知られており、例えば、特開平7−155764号公報で提供されている。このものは、図11に示すように電解槽40と塩水タンク41と塩水を電解槽40に給水するポンプ2とを備え、電流が一定のもとで電極間の電圧を測定し、基準値との比較に基づいてポンプ2を制御することにより、電解槽40内の塩分濃度を一定に保持することを目的としているものである。図11中15は制御部、42は混合室、43はアルカリ水排水管、44は酸性イオン水タンク、45は入水管である。、
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の装置はろ過槽にファイバーボールのような生物を定着させ浴槽水内の有機物を分解させるろ材を用いているが、反面、レジオネラ菌等の有害な細菌も定着する可能性があった。また、ろ過槽にコロイド粒子状の汚れまたは細菌、レジオネラ菌を取り除けるように目の細かな精密ろ過フィルタを用いており、精密ろ過フィルタが直ぐ目詰まりしてその都度、装置を止めて高価な精密ろ過フィルタを交換しなければならず、手間や費用がかかりメンテナンスも大変であった。また、目詰まりにより循環流量が低下し浄化能力が低下するといった問題があった。
【0006】
また、前記特開平8−267072号公報で提供されているような従来の装置にあっては、塩分添加部の塩濃度が常に一定でない限り電解殺菌装置30内の塩濃度の調整は困難である。また、塩分添加部31の塩濃度を一定にするためには一定濃度の溶液をあらかじめ調整し、それを補充するといった煩雑なメンテナンスが必要となる。仮に、塩分添加部31内に固形の食塩を貯蔵していたとしても、食塩は固着するため調節弁の開放のみで電解殺菌装置30内の塩濃度を調整することはやはり困難である。電解殺菌装置30内の塩濃度が一定でないと一定量の塩素を発生させることができない。塩素発生量が少ないときは殺菌力が不十分となり、浴槽水の殺菌を十分に行うことができず、更には配管系や浴槽20壁にレジオネラ菌の巣窟となり得るヌメリを発生させることになる。逆に塩素発生量が多すぎるときには殺菌は十分にできても塩素臭や肌への刺激という面で入浴に不快な水質となってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、精密ろ過フィルタを洗浄して洗浄能力を維持すると共に、浴槽水の殺菌を十分に行い且つ配管系や浴槽壁にレジオネラ菌の巣窟となり得るヌメリを発生させないために、無隔膜電解槽で食塩水を効率よく電解する際に、塩濃度の調整を精度よく行い一定量の塩素を発生させることのできるコンパクトな浴槽水浄化装置を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る浴槽水浄化装置は、循環流路1にポンプ2、第1開閉弁3を設け、循環流路1のポンプ2の下流から分岐するバイパス流路4を設け、バイパス流路4中に浴槽水のろ過を行うための精密ろ過フィルタ5を内装した精密ろ過槽6を設置し、精密ろ過槽6内の精密ろ過フィルタ5の上流側に流水吐水口16を有する回転自在な洗浄用ノズル17を設け、バイパス流路4の精密ろ過槽6の下流側に第2開閉弁14を設け、循環流路1のポンプ2の下流またはバイパス流路4から分岐し第1切り替え弁7により一対の電極を内蔵した無隔膜電解槽8もしくは、塩溶解槽9、無隔膜電解槽8の両方を経由してバイパス流路4の精密ろ過槽6の上流に合流する第1補助流路10を設け、精密ろ過槽6の精密ろ過フィルタ5よりも上流から分岐し且つ循環流路1のポンプ2よりも上流に合流する第2補助流路11を設け、この第2補助流路11に第2切り替え弁12を介して排水口13を設けて成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、精密ろ過装置6による浄化、洗浄用ノズル17による精密ろ過フィルタ5の洗浄、無隔膜電解槽8で生成した塩素による殺菌及び無隔膜電解槽8への塩溶解槽9からの塩の供給を一つのポンプ2で行えるものである。
【0009】
また、第1開閉弁3を閉じ、第2切り替え弁12をポンプ2側に開いた後、第1切り替え弁7を無隔膜電解槽8側に開いて無隔膜電解槽8で生成された塩素水を精密ろ過槽6の精密ろ過フィルタ5の上流、ポンプ2を循環させた後、第2切り替え弁12を閉じて塩素水を精密ろ過フィルタ5を通して浴槽20に出すように制御する制御部15を設けることが好ましい。このような構成とすることで、ポンプ2内を高濃度の塩素水で殺菌することができ、ポンプ2内におけるヌメリの発生を抑え、ヌメリによるポンプ2の目詰まり、レジオネラ菌の発生を抑えることができる。また、精密ろ過フィルタ5の洗浄の時にしか流れることのない第2補助流路11も高濃度の塩素水で殺菌することができる。
【0010】
また、第1開閉弁3を閉じ、第2切り替え弁12を開いた後、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側へ開閉するように制御する制御部15を設けることが好ましい。しかして、塩溶解槽9より無隔膜電解槽8へ塩溶解水を移送し、無隔膜電解槽8において所定量の塩素を生成するために必要な塩の量を制御するとき、塩溶解槽9より無隔膜電解槽8への流量が影響するが、第2切り替え弁12を開いてあるので、塩溶解槽9の精密ろ過フィルタ5の目詰まりの影響を受けることなく流量が一定である。
【0011】
また、ポンプ2を止め、第1開閉弁3を閉じ、第2切り替え弁12をポンプ2側に、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側に開き、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまで駆動時間が一定のポンプ2の駆動回数を制御する制御部15を設けることが好ましい。このような構成とすることで、ポンプ2の駆動時間を一定とし、1回駆動させるたびに電極間の電圧または電流を所定値と比較し、ポンプ2を数回駆動させることで、塩濃度を所定値まで上昇させるものであり、この結果、所定値を大きく上回ることなく無隔膜電解槽8内の塩濃度を調整することができるものである。また、塩溶解槽9の上流の第1切り替え弁7の開閉にかかる時間に関係なく制御できるため、第1切り替え弁7の種類を選ぶ必要がないものである。
【0012】
また、測定された電流値又は電圧値が所定値と等しくなるまでポンプ2の駆動回数で制御し、駆動回数が所定回数に到達した時、塩不足であると判断する制御部15を設けることが好ましい。このような構成とすることで、ポンプ2を1回駆動させるたびに電極間の電圧又は電流を所定値と比較し、数回ポンプ2を駆動させることにより塩濃度を所定値まで上昇させるという制御のとき、塩溶解槽9内の塩残量が少なく、塩溶解槽9の出口の塩濃度が低いとき、何回駆動させても所定値とずれを生じたままとなるため、所定回数、駆動させても所定値に到達しないとき塩不足を表示させるものである。このように塩不足を表示することで、塩濃度不足からくる塩素発生量不足を未然に防ぐことができるものである。
【0013】
また、ポンプ2を止め、第1開閉弁3を閉じて第2切り替え弁12をポンプ2側に開いた後、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側に開き、ポンプ2の1回目の駆動時間が長く、2回目以降は短く且つ一定の駆動時間であり、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまでポンプ2の駆動回数を制御する制御部15を設けることが好ましい。このような構成とすることで、無隔膜電解槽8の塩濃度を最初の1回目で大きく所定値に近づけておいた後、小刻みに濃度を上げてより精度よく無隔膜電解槽8内の塩濃度を所定値に調整することができるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0015】
図1には本発明の装置の配管構成図が示してある。循環流路1は一端に吸い込み口18を設けると共に他端に吐出口19を設けてあり、上記吸い込み口18と吐出口19とが浴槽20内の浴槽水中に浸漬させてある。循環流路1には上流側から下流側にかけて順にポンプ2、第1開閉弁3、ヒータ21を設けてある。
【0016】
循環流路1のポンプ2と第1開閉弁3との間からバイパス流路4が分岐してあり、このバイパス流路4には浴槽水のろ過を行うための精密ろ過フィルタ5を内装した精密ろ過槽6が設けてある。精密ろ過槽6内には精密ろ過フィルタ5の上流側に流水吐水口16を有する回転自在な洗浄用ノズル17が設けてある。この洗浄用ノズル17はポンプ2からバイパス流路4に浴槽水が供給された際、モータ又は水流の働きにより精密ろ過槽6の上流側の外周を回転するように構成してあり、また、回転と同時に流水吐水口16から浴槽水を精密ろ過フィルタ5の上流側の外周に吐水して精密ろ過フィルタ5を上流側において洗浄するようになっている。バイパス流路4には更に精密ろ過槽6よりも下流側に第2開閉弁14が設けてある。バイパス流路4の下流側の端部は循環流路1の第1開閉弁3よりも下流側(図に示す実施形態ではヒータ21よりも下流側)に連通接続してある。なお、上記においてはバイパス流路4の下流側の端部を循環流路1の第1開閉弁14よりも下流側に連通接続した例を示したが、バイパス流路4の下流側の端部を循環流路1に接続することなく、直接浴槽20内の浴槽水に浸漬してもよいものである。
【0017】
循環流路1のポンプ2と第1開閉弁3との間またはバイパス流路4の精密ろ過槽6よりも上流側から第1補助流路10が分岐してある。第1補助流路10の途中には上流側から順に第1切り替え弁7、無隔膜電解槽8が設けてある。また、第1切り替え弁7と無隔膜電解槽8とを別の分岐水路22で接続してあり、分岐水路22に塩溶解槽9が設けてある。第1補助流路10の他端(下流側端部)はバイパス流路4の精密ろ過槽6よりも上流側に連通接続してある(なお第1補助流路10の上流側端部をバイパス流路4の精密ろ過槽6よりも上流側に連通接続した場合には、第1補助流路10の下流側端部は上流側端部のバイパス流路4への接続部分よりも下流側で且つ精密ろ過槽6よりも上流側において連通接続するものである)。第1切り替え弁7は無隔膜電解槽8側と塩溶解槽9側のいずれも閉とする状態と、無隔膜電解槽8側が開で塩溶解槽9側が閉の状態と、塩溶解槽9が開で無隔膜電解槽8が閉の状態とを切り替えるものである。
【0018】
塩溶解槽9は実施形態においては二重筒構造をしていて、内筒に塩を収納するようになっている。ここでは、その内筒の上面が開放してあり、側面が格子状に開口し、その開口部をメッシュで覆ってある。一方、外筒には蓋を開閉自在に取り付けてあり、蓋を開いた後、内筒を設置し、再び蓋を閉めて密閉する構造となっている。もちろん、上記塩溶解槽9は必ずしも円筒構造に限定されるものではない。
【0019】
無隔膜電解槽8は実施形態では塩溶解槽9と同様に円筒構造となっており、一対の不溶性電極板よりなる電極を隔膜を介することなく対向配置した無隔膜タイプのものとして形成してある。ここで、電極を構成する電極板の形状は無隔膜電解槽8の下方まで達する長方形である。塩溶液には塩素イオン(Cl-)が含まれているが、無隔膜電解槽8で塩素イオン(Cl-)の一部を電気分解すると、塩素イオン(Cl-)は塩素(Cl2)や次亜塩素酸イオン(ClO-)に交換され、浴槽水に殺菌力を持たせることができるものである。上記無隔膜電解槽8と塩溶解槽9とは同一サイズの円筒構造にして金型を共通化してコストを下げるようにしてもよいが、必ずしも同一サイズの円筒構造とする必要なない。
【0020】
精密ろ過槽6の精密ろ過フィルタ5の上流に第2補助流路11の一端部が連通接続してあり、この第2補助流路11の他端部が循環流路1のポンプ2よりも上流側に連通接続してある。第2補助流路11には第2切り替え弁12を介して排水口13が設けてある。この第2切り替え弁12はポンプ2側と排水口13側の両方が閉の状態と、ポンプ2側が開で排水口13側が閉の状態と、ポンプ2側が閉で排水口13側が開の状態とを切り替えるための弁である。
【0021】
ここで、第1開閉弁3、第2開閉弁14、第1切り替え弁7、第2切り替え弁12は電磁弁であってもよく、また、電動弁であってもよいものである。そして、これら第1開閉弁3、第2開閉弁14、第1切り替え弁7、第2切り替え弁12は制御回路よりなる制御部15に接続されて開閉及び駆動が制御されるものである。また、無隔膜電解槽8の一対の電極に通電して電解を行う制御も制御部15により行うものである。
【0022】
図2は上記の構成の本発明の浴槽水浄化装置において、浴槽水の浄化時における装置内の浴槽水の流れを矢印で示しており、第1開閉弁3、第2開閉弁14は開、第1切り替え弁7、第2切り替え弁12は閉の状態となっており、ポンプ2の下流において浴槽水の一部が循環流路1をそのまま流れてヒータ21で加温しながら浴循環流路1の吐出口19側に流れ、また、ポンプ2の下流において浴槽水の他の一部がバイパス流路4に流れて精密ろ過槽6内に設けた中空糸膜よりなる精密ろ過フィルタ5を通過する際に細菌、レジオネラ菌等をろ過し、ろ過して浄化された浴槽水が循環流路1の吐出口19側に流れて循環流路1のヒータ21を流れて加温された浴槽水と合流して吐水口19から浴槽20に返送されるものである。ここで、精密ろ過フィルタ5を備えた精密ろ過槽6をバイパス流路4に設けることで、中空糸膜よりなる精密ろ過フィルタ5が目詰まりを起こして流量が低下した場合でも循環流路1に一定量の浴槽水が流れるため浴槽水の温度低下を起こさない構成となっている。なお、第1切り替え弁7は無隔膜電解槽8側に開としておいてもよい。
【0023】
図3は殺菌時の装置内の浴槽水の流れを矢印で示しており、第1開閉弁3、第2開閉弁14を閉、第2切り替え弁12をポンプ2側に開にした状態で第1切り替え弁7を無隔膜電解槽8側が開となるように切り替え、塩素水をポンプ2に循環させ、その後、第2開閉弁14を開、第2切り替え弁12を閉にし、塩素水を中空糸膜よりなる精密ろ過フィルタ5を通して浴槽20に返送するものである。ここで、塩素水をポンプ2に循環させる際第2開閉弁14は開状態としていてもよい。
【0024】
ここで、実際の制御の一例を示すと、例えば、容量300mlの無隔膜電解槽9内で450mgの塩素が発生されたとすると無隔膜電解槽9内の塩素濃度は1500ppmになる。第1開閉弁3、第2開閉弁14を共に閉、第2切り替え弁12をポンプ2側に開にした状態で第1切り替え弁7を無隔膜電解槽8側が開となるように切り替え、塩素水をポンプ2に循環させた時、精密ろ過槽6と流路の配管の合計の容積を1500mlとするとポンプ2を殺菌する塩素水の濃度は100ppmとなる。次に、第2切り替え弁12を閉、第2開閉弁14を開にし、100ppmの塩素水で精密ろ過槽6内の精密ろ過フィルタ5を殺菌した後、塩素水は浴槽20に投入される。浴槽20内の浴槽水が200lとすると浴槽20内の浴槽水の塩素濃度は2.25ppmとなる。このように浴槽20内の浴槽水で希釈されずに100ppmでポンプ2、精密ろ過フィルタ5を殺菌するので効果的にポンプ2、精密ろ過フィルタ5の殺菌ができて、ポンプ2、精密ろ過フィルタ5にヌメリが発生するのを抑え、ヌメリによるポンプ2の目詰まり、レジオネラ菌の発生を抑えることができるものである。また、ポンプ2に塩素水を流す際に精密ろ過フィルタ5の洗浄の際にしか流れない流路である第2補助流路11もくまなく殺菌できていっそう殺菌効果が向上する。
【0025】
図4には塩溶解槽9から無隔膜電解槽8に塩溶解水を移送するときの装置内の浴槽水の流れを矢印で示しており、第1開閉弁3、第2開閉弁14を閉、第2切り替え弁12をポンプ2側に開にした後、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側への開閉を制御し、所定量の塩溶解水を無隔膜電解槽8に送るようにしている。
【0026】
ここで、電解殺菌を行うときの動作を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。電解殺菌をスタートさせる指令を受けた制御部はまず第1切り替え弁7に信号を送り、塩溶解槽9側に短時間だけ1回開ける(この塩溶解槽9側に第1切り替え弁7を開く時間は設定された一定時間である)。そのとき、ポンプ2の正圧がかかっているので、第1切り替え弁7を通って浴槽水が塩溶解槽9に少量流入(上記のように短時間だけ第1切り替え弁7を塩溶解槽9側に開とするので結果的に塩溶解槽9には少量だけ流入することになる)して無隔膜電解槽8に流入する。無隔膜電解槽8内では塩溶解水の流入により電気伝導度が上がり、一定電流を電極に通電したならば、電極間にかかる電圧は下がることになる。制御部は電極に通電することにより電圧値を測定し、あらかじめ設定しておいた所定値と比較し、測定された電圧値の方が所定値よりも大きいときにはもう1回第1切り替え弁7を開く。これを数回繰り返すと電圧値は徐々に下がっていき、ついには測定された電圧値が所定値と同じになるか、もしくは下回るが、このとき、無隔膜電解槽8内の塩濃度が所定の濃度に達したことを意味し、制御部15からの信号で無隔膜電解槽8で電解を始める。一定時間電解を続けた後、制御部15からの信号により無隔膜電解槽8側へ第1切り替え弁7を開き、浴槽水が無隔膜電解槽8へ流入し、無隔膜電解槽8に貯留している電解により発生した塩素水をバイパス流路4に押し出す。ここで、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側が開となるようにした場合、塩溶解槽9から無隔膜電解槽8に送られる塩の量は、塩溶解槽9の塩濃度と、塩溶解槽9から無隔膜電解槽8への流量が影響するが、精密ろ過フィルタ5を通らない流路(つまり精密ろ過槽6の精密ろ過フィルタ5よりも上流側)を通って第2補助流路11からポンプ2側に流れるので、精密ろ過フィルタ5の目詰まりの影響を受けず流量が一定である。
【0027】
図5、図6には精密ろ過フィルタ5の洗浄時における装置内の浴槽水の流れを矢印で示しており、図5に示すように、第1開閉弁3、第2開閉弁14は共に閉、第1切り替え弁7は閉、第2切り替え弁12はポンプ2側が開状態となっており、精密ろ過槽6内の洗浄用ノズル17が回転しつつ精密ろ過フィルタ5に流水を吹き付けながら浴槽水が循環して精密ろ過フィルタ5を洗浄する。次に図6に示すように、第2切り替え弁12が排水口13側を開とするように切り替えられ、洗浄排水が排水口13から浴槽20外に排水されるものである。
【0028】
このように、本発明によれば、精密ろ過装置6による浄化、洗浄用ノズル17による精密ろ過フィルタ5の洗浄、無隔膜電解槽8で生成した塩素による殺菌及び無隔膜電解槽8への塩溶解槽9からの塩の供給等を一つのポンプ2で行えるものである。
【0029】
次に、図8に基づいて本発明の第2の実施形態につき説明する。本実施形態における装置の配管構成は前述の第1の実施形態と基本的構成は同じであり、電解殺菌を行うに当っての制御部15による制御が異なっている点に特徴があるので、電解殺菌についての説明以外の重複する説明は省略する。すなわち、本実施形態は電解殺菌時に前述の実施形態と比べて第1切り替え弁7を制御する代わりにポンプ2を制御する点に特徴があり、第1開閉弁3、第2開閉弁14を共に閉じ、第2切り替え弁12をポンプ2側に開いた後、ポンプ2を止め、第1切り替え弁7を塩溶解槽9側が開となるように切り替える。そして、図8のフローチャートに基づいてポンプ2の駆動を制御部15により制御し、塩溶解水を無隔膜電解槽8に送る。この場合におけるポンプ2の駆動時間は一定である。そして、制御部15は電極に通電することで電圧値を測定し、あらかじめ設定しておいた所定値と比較し、測定された電圧値の方が所定値よりも大きいときにはもう1回ポンプ2を一定時間駆動する。これを数回繰り返すと電圧値は徐々に下がっていき、ついには測定された電圧値が所定値と同じになるか、もしくは下回るが、このとき、無隔膜電解槽8内の塩濃度が所定の濃度に達したことを意味し、制御部15からの信号で無隔膜電解槽8で電解を始める。一定時間電解を続けた後、制御部15からの信号により無隔膜電解槽8側へ第1切り替え弁7を開き、浴槽水が無隔膜電解槽8へ流入し、無隔膜電解槽8に貯留している電解により発生した塩素水をバイパス流路4に押し出す。ここで、ポンプ2の駆動を数回繰り返した後も測定した電圧値とあらかじめ設定した所定値が等しくならないときは、塩溶解槽9内の塩残量が少ないためである。このように、あらかじめ設定しておいた所定回数ポンプ2を駆動させても測定電圧値が所定値にならないときは制御部15により塩切れ表示部(図示せず)により塩切れ状態であることを表示するようになっている。塩切れ表示部による表示は文字による表示、あるいは光による表示、あるいは音による表示等種々の表示手段が採用できるものである。
【0030】
実際の制御の態様の一例を説明すると、例えば、容量500mlの無隔膜電解槽8内の塩濃度を1%とするためには塩の量が5g必要であり、塩溶解槽9内に塩が十分あるときは塩溶解槽9の出口の塩濃度は一定であるから、仮に20%とすると、塩溶解槽9から25mlの塩溶解水が無隔膜電解槽8へ移送されればよいことになる。ポンプ2が駆動しているとき、塩溶解槽9から無隔膜電解槽8への流量を0.5l/minとすると、さらにポンプ2の1回の駆動時間を0.6secと設定しているとき、5回のポンプ2の駆動で塩溶解槽9から塩溶解水が無隔膜電解槽8内へ25ml移送され、無隔膜電解槽8内の塩濃度は1%に達することになる。今、塩溶解槽9の出口の塩濃度を一定としたが、塩溶解槽9内の塩残量が少なくなってくると出口の塩濃度が少しずつ薄くなってくるが、無隔膜電解槽8で電圧を検出しながらフィードバック制御をかけているため、ポンプ2の駆動回数を増やすことにより、無隔膜電解槽8内の塩濃度を達成することができるものである。
【0031】
次に、図9に基づいて本発明の更に他の実施形態につき説明する。本実施形態は電解殺菌に当って上記図8に示す第2の実施形態に比べてポンプ2の駆動の仕方を2段階で制御するようにした点が異なり、他は第1の実施形態と同様であるので電解殺菌以外の重複する説明は省略する。電解殺菌を行うときの動作は図9に示すフローチャートにしたがって行う。すなわち、電解殺菌をスタートさせる指令を受けた制御部15はまずポンプ2に信号を送り、ポンプ2を1回駆動させる。この時、浴槽水が塩溶解槽9に流入し、その量と同じ量の塩溶解水が無隔膜電解槽8に流入する。電解槽15内では塩溶解水の流入により電気電導度が大きく上がり、一定電流を電極に通電したときの電極間にかかる電圧は大きく下がることになる。制御部15は電圧値を測定し、あらかじめ設定してある所定値と比較し、検出された電圧値の方が所定値より大きいとき、今度はポンプ2の駆動時間を1回目よりも短く駆動する。2回目以降、同じ短い時間のポンプ2の駆動を数回繰り返すことにより電圧値は少しずつ下がっていき、ついには測定された電圧値が所定値と同じになるか、もしくは下回るが、このとき、無隔膜電解槽8内の塩濃度が所定の濃度に達したことを意味し、制御部15からの信号で無隔膜電解槽8で電解を始める。一定時間電解を続けた後、制御部15からの信号により無隔膜電解槽8側へ第1切り替え弁7を開き、浴槽水が無隔膜電解槽8へ流入し、無隔膜電解槽8に貯留している電解により発生した塩素水をバイパス流路4に押し出す。この制御方法では無隔膜電解槽8内の塩濃度を最初の1回目で大きく所定値に近づけておいた後、小刻みに濃度を上げるという方法で、より精度よく無隔膜電解槽8内の塩濃度を所定値に調整することができるものである。更に、ポンプ2の駆動の総回数も少なくて済み、ポンプ2のトラブルも防止することができるものである。
【0032】
【発明の効果】
上記の請求項1記載の本発明にあっては、循環流路にポンプ、第1開閉弁を設け、循環流路のポンプの下流から分岐するバイパス流路を設け、バイパス流路中に浴槽水のろ過を行うための精密ろ過フィルタを内装した精密ろ過槽を設置し、精密ろ過槽内の精密ろ過フィルタの上流側に流水吐水口を有する回転自在な洗浄用ノズルを設け、バイパス流路の精密ろ過槽の下流側に第2開閉弁を設け、循環流路のポンプの下流またはバイパス流路から分岐し第1切り替え弁により一対の電極を内蔵した無隔膜電解槽もしくは、塩溶解槽、無隔膜電解槽の両方を経由してバイパス流路の精密ろ過槽の上流に合流する第1補助流路を設け、精密ろ過槽の精密ろ過フィルタの上流から分岐し且つ循環流路のポンプよりも上流に合流する第2補助流路を設け、この第2補助流路に第2切り替え弁を介して排水口を設けてあるので、浄化、殺菌、精密ろ過フィルタの洗浄を一つのポンプで行えるものであって、この結果、装置のサイズを小さくできるものである。
【0033】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、第1開閉弁を閉じ、第2切り替え弁をポンプ側に開いた後、第1切り替え弁を無隔膜電解槽側に開いて無隔膜電解槽で生成された塩素水を精密ろ過槽の精密ろ過フィルタの上流、ポンプを循環させた後、第2切り替え弁を閉じて塩素水を精密ろ過フィルタを通して浴槽に出すように制御する制御部を設けてあるので、ポンプ内を高濃度の塩素水で殺菌できてヌメリを抑え、ヌメリによるポンプの目詰まりを防止し、レジオネラ菌の発生を抑えることができるものであり、また、精密ろ過フィルタの洗浄の時にしか流れることのない第2補助流路も高濃度の塩素水で殺菌できて、殺菌効果を向上させることができる。
【0034】
また、請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、第1開閉弁を閉じ、第2切り替え弁を開いた後、第1切り替え弁を塩溶解槽側へ開閉するように制御する制御部を設けてあるので、塩溶解槽より無隔膜電解槽へ塩溶解水を移送し、無隔膜電解槽において所定量の塩素を生成するために必要な塩の量を制御するとき、塩溶解槽より無隔膜電解槽への流量が影響するが、第2切り替え弁を開いてあるので、塩溶解槽の精密ろ過フィルタの目詰まりの影響を受けることなく流量を一定にできて所定量の塩素を供給するのに必要な量の塩を無隔膜電解槽に正確に供給できるものである。
【0035】
また、請求項4記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、ポンプを止め、第1開閉弁を閉じ、第2切り替え弁をポンプ側に、第1切り替え弁を塩溶解槽側に開き、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまで駆動時間が一定のポンプの駆動回数を制御する制御部を設けてあるので、ポンプの駆動時間を一定とし、1回駆動させるたびに電極間の電圧または電流を所定値と比較し、ポンプを数回駆動させることにより、塩濃度を所定値まで上昇させ、この結果、所定値を大きく上回ることなく無隔膜電解槽内の塩濃度を調整することができるものである。また、塩溶解槽の上流の第1切り替え弁の開閉にかかる時間に関係なく制御できるため、第1切り替え弁の種類を選ぶ必要がなくてコストを抑えることができるものである。
【0036】
また、請求項5記載の発明にあっては、上記請求項4記載の発明の効果に加えて、測定された電流値又は電圧値が所定量と等しくなるまでポンプの駆動回数で制御し、駆動回数が所定回数に到達した時、塩不足であると判断する制御部を設けてあるので、ポンプを1回駆動させるたびに電極間の電圧又は電流を所定値と比較し、数回ポンプを駆動させることにより塩濃度を所定値まで上昇させるという制御のとき、塩溶解槽内の塩残量が少なく、塩溶解槽の出口の塩濃度が低いとき、何回駆動させても所定値とずれを生じたままとなるため、所定回数、駆動させても所定値に到達しないとき塩不足を表示させるものであり、このように塩不足を表示することで、塩濃度不足からくる塩素発生量不足を未然に防ぐことができるものである。
【0037】
また、請求項6記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、ポンプを止め、第1開閉弁を閉じて第2切り替え弁をポンプ側に開いた後、第1切り替え弁を塩溶解槽側に開き、ポンプの1回目の駆動時間が長く、2回目以降は短く且つ一定の駆動時間であり、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまでポンプの駆動回数を制御する制御部を設けてあるので、無隔膜電解槽の塩濃度を最初の1回目で大きく所定値に近づけておいた後、小刻みに濃度を上げてより精度よく無隔膜電解槽内の塩濃度を所定値に調整することができ、さらに駆動させる回数が少なくて済むので、ポンプ駆動によるトラブルを少なくする可能性が高まるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配管構成図である。
【図2】同上の浴槽水の浄化時における装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図3】同上の殺菌時の装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図4】同上の塩溶解槽から無隔膜電解槽に塩溶解水を移送するときの装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図5】同上の精密ろ過フィルタの洗浄時における装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図6】同上の精密ろ過フィルタの洗浄後における排水時における装置内の浴槽水の流れを示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の電解殺菌のフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態の電解殺菌のフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態の電解殺菌のフローチャートである。
【図10】従来例の配管構成図である。
【図11】他の従来例の配管構成図である。
【符号の説明】
1 循環流路
2 ポンプ
3 第1開閉弁
4 バイパス流路
5 精密ろ過フィルタ
6 精密ろ過槽
7 第1切り替え弁
8 無隔膜電解槽
9 塩溶解槽
10 第1補助流路
11 第2補助流路
12 第2切り替え弁
13 排水口
14 第2開閉弁
15 制御部
16 流水吐水口
17 洗浄用ノズル
Claims (6)
- 循環流路にポンプ、第1開閉弁を設け、循環流路のポンプの下流から分岐するバイパス流路を設け、バイパス流路中に浴槽水のろ過を行うための精密ろ過フィルタを内装した精密ろ過槽を設置し、精密ろ過槽内の精密ろ過フィルタの上流側に流水吐水口を有する回転自在な洗浄用ノズルを設け、バイパス流路の精密ろ過槽の下流側に第2開閉弁を設け、循環流路のポンプの下流またはバイパス流路から分岐し第1切り替え弁により一対の電極を内蔵した無隔膜電解槽もしくは、塩溶解槽、無隔膜電解槽の両方を経由してバイパス流路の精密ろ過槽の上流に合流する第1補助流路を設け、精密ろ過槽の精密ろ過フィルタよりも上流から分岐し且つ循環流路のポンプよりも上流に合流する第2補助流路を設け、この第2補助流路に第2切り替え弁を介して排水口を設けて成ることを特徴とする浴槽水浄化装置。
- 第1開閉弁を閉じ、第2切り替え弁をポンプ側に開いた後、第1切り替え弁を無隔膜電解槽側に開いて無隔膜電解槽で生成された塩素水を精密ろ過槽の精密ろ過フィルタの上流、ポンプを循環させた後、第2切り替え弁を閉じて塩素水を精密ろ過フィルタを通して浴槽に出すように制御する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の浴槽水浄化装置。
- 第1開閉弁を閉じ、第2切り替え弁を開いた後、第1切り替え弁を塩溶解槽側へ開閉するように制御する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の浴槽水浄化装置。
- ポンプを止め、第1開閉弁を閉じ、第2切り替え弁をポンプ側に、第1切り替え弁を塩溶解槽側に開き、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまで駆動時間が一定のポンプの駆動回数を制御する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の浴槽水浄化装置。
- 測定された電流値又は電圧値が所定値と等しくなるまでポンプの駆動回数で制御し、駆動回数が所定回数に到達した時、塩不足であると判断する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項4記載の浴槽水浄化装置。
- ポンプを止め、第1開閉弁を閉じて第2切り替え弁をポンプ側に開いた後、第1切り替え弁を塩溶解槽側に開き、ポンプの1回目の駆動時間が長く、2回目以降は短く且つ一定の駆動時間であり、測定された電流値又は電圧値が所定値に等しくなるまでポンプの駆動回数を制御する制御部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の浴槽水浄化装置。
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