JP3596163B2 - 循環温浴器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、風呂の浴水を濾過及び加熱しながら循環させる循環温浴器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、生活の快適さ便利さを追求して循環温浴器が普及しつつある。この循環温浴器は浴水を循環させ、濾過槽で浴水を濾過して清浄化し、ヒーターを設けて浴水を加熱して多くは24時間いつでも入浴できるものである。
【0003】
そこで従来の循環温浴器について説明する。図2は従来の循環温浴器の概略全体図である。1は浴槽、2は浴水を循環する循環ポンプ、3は循環水路、5は濾過装置で内部に濾材4が充填されている。濾材4は多孔質のセラミックボールや砂、麦飯石あるいは糸巻きフィルター等であり、この濾材4には後述する細菌や他の微生物が固定されている。6は浴槽1内の浴水を循環ポンプ2の作用によって循環水路3に吸引する吸入口、7は浴水を循環水路3から浴槽1内へ戻す排出口、8は循環される浴水を加熱するヒーター、9は紫外線ランプである。
【0004】
以上のように構成された従来の循環温浴器についてその動作を説明する。循環ポンプ2が運転開始されると、浴槽1内の浴水が吸入口6より吸引され循環水路3を介しての循環が開始される。循環ポンプ2から吐き出された浴水はヒーター8に送られ、適当な温度に加熱される。加熱された浴水は循環水路3を経て濾過装置5に送られる。濾過装置5には濾材4が充填されており、浴水の温度近くで自然発生する好気性細菌や、皮膚常在菌類等でミクロコッカス(Micrococcus)、シュウドモナス(Pseudomonus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)等に代表される微生物が固定されて棲息している。このため濾材4によって浴水中の濁度成分の吸着が行われ、濾材4に固定された細菌や微生物によって濁度成分を構成する脂分や蛋白質等が分解、濾過される。濾過装置5で清浄化された浴水は次に紫外線ランプ9に送られ、紫外線ランプ9の周囲を流れて浴水中に繁殖している細菌が殺菌される。紫外線ランプ9を出た浴水は循環水路3の排出口7から浴槽1内に還流される。従来の循環温浴器はこのような浴水の循環を24時間行っており、常時浴水中の濁度成分を取り除いて清浄化し、あわせて浴水の殺菌を図って、いつでも快適に入浴することができるようにしている。
【0005】
このほか従来の循環温浴器には、濾過装置5のほかにさらに予備的に粗濾過を行って浴水中に混入した毛髪や垢等の比較的大きなゴミを除去するため、ヘアーキャッチャーを吸入口6に設けたものも存在する。このヘアーキャッチャーによって濾過装置5の濾過寿命を長くするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の循環温浴器のように濾過装置に濾材を設け、この濾材に固定された細菌や微生物によって浴水中の濁度成分である垢や脂肪分等を捕捉、分解し、浴水を濾過する生物濾過による方法は、細菌や微生物が十分に濾材に固定され分解能力が発揮されるまでの運転開始初期の7日間〜10日間程度の期間は、浴水中の清浄化が不十分で濁度成分が除去されず、頻繁に浴槽水を交換しなければならないという問題があった。
【0007】
また、濾材に十分に細菌や微生物が固定されていても、浴水の濁度成分を濾過するには時間がかかり、頻繁に入浴する場合浴水の濁りが増加し、清浄な状態で入浴を行うことができない場合が発生していた。
【0008】
さらに、濁度成分を物理的に濾過する場合は、浴水の濁度成分の界面動電位、これはゼータ電位とも呼ばれるが、浴水ではこの界面動電位のほとんどがマイナスであって、浴水中で互いに反発し合って均一な乳濁状態(エマルジョン)となって分散しており、この濁度成分を除去するためには(1)0.1μmの粒子のほとんどを濾過できる濾過精度0.1μmの中空糸膜等のフィルターを利用して精密濾過するか、(2)界面動電位がプラスの特殊なフィルターを使用して界面動電位がマイナスの濁度成分を吸着除去しなければならず、濾材のコストが高く、メンテナンスが煩雑で、濾材の寿命がきわめて短い等の問題があった。
【0009】
そこで本発明は従来の問題点を解決するためのもので、運転開始初期から微小な濁度成分まで容易に濾過し、濾過性能が高いため濾過のスピードが速く、連続して入浴してもいつも清浄な状態で入浴することができ、洗浄作業が容易で、濾材のコストが安く、しかも閉塞寿命も長く、メンテナンスが容易で衛生的な循環温浴器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の循環温浴器は、循環される浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成する電解槽と、酸性の浴水とアルカリ性の浴水をそれぞれ濾過する第1濾過器および第2濾過器を備え、第1濾過器と第2濾過器のうち酸性の浴水が濾過される濾過器においてマイナスの界面動電位をもつ濁度成分が界面動電位を中性またはプラスに変化させられて濾過されるとともに、第1濾過器で濾過された浴水と第2濾過器で濾過された浴水とが循環水路または浴槽において合流されることを特徴とする。
【0012】
これにより運転開始初期から微小な濁度成分まで容易に濾過し、濾過性能が高いため濾過のスピードが速く、連続して入浴してもいつも清浄な状態で入浴することができ、洗浄作業が容易で、濾材のコストが安く、しかも閉塞寿命も長く、メンテナンスが容易で衛生的な循環温浴器を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、浴槽から浴水を吸引して循環水路を循環させる循環ポンプと、循環水路に設けられるとともに電極を備え循環される浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成する電解槽と、酸性の浴水とアルカリ性の浴水をそれぞれ濾過する第1濾過器および第2濾過器を備え、第1濾過器と第2濾過器のうち酸性の浴水が濾過される濾過器においてマイナスの界面動電位をもつ濁度成分が界面動電位を中性またはプラスに変化させられて濾過されるとともに、第1濾過器で濾過された浴水と第2濾過器で濾過された浴水とが循環水路または浴槽において合流されることを特徴とする循環温浴器であり、酸性の浴水で一般的なマイナスの界面動電位をもつ濁度成分が中性またはプラスの界面動電位に変化して第1濾過器で濾過され、循環を繰り返しながら浴水は清浄化される。
【0014】
請求項2に記載された発明は、電極に印加する電圧の極性を反転させて浴水を電気分解し、生成される酸性とアルカリ性の水質を反転させて第1濾過器と第2濾過器を洗浄するから、濁度成分の界面動電位が中性またはプラスのものをマイナスに、中性またはマイナスのものはプラスにすることができ、この界面動電位を与えられることによって再び凝集が解かれて分解され、濁度成分を各濾過器から離脱させることができる。
【0015】
請求項3に記載された発明は、浴槽から浴水を吸引して循環水路を循環させる循環ポンプと、循環水路に設けられるとともに電極を備え循環される浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成する電解槽と、酸性の浴水とアルカリ性の浴水をそれぞれ濾過する第1濾過器および第2濾過器と、酸性の浴水のpHを所定の値に設定するため電極への電力供給量を制御する制御部を備え、第1濾過器と第2濾過器のうち酸性の浴水が濾過される濾過器においてマイナスの界面動電位をもつ濁度成分が界面動電位を中性またはプラスに変化させられて濾過されるとともに、第1濾過器で濾過された浴水と第2濾過器で濾過された浴水とが循環水路または浴槽において合流されることを特徴とする循環温浴器であるから、制御部によって酸性の浴水のpHを制御するだけで浴水の濾過を行うことができる。
【0016】
請求項4に記載された発明は、浴槽から浴水を吸引して循環路を循環させる循環ポンプと、隔膜で区画して形成されそれぞれに電極が配設された第1電解室および第2電解室を有すとともに、第1電解室には循環路から浴水を通水し第2電解室には浴水を滞留させて電気分解する電解槽と、第1電解室の電極にプラスの電圧を印加したとき第1電解室から吐出された酸性の浴水を濾過する濾過器と、酸性の浴水のpHを所定の値に設定するため電極への電力供給量を制御する制御部を備え、濾過器でマイナスの界面動電位をもつ濁度成分の界面動電位を変化させて濾過することを特徴とする循環温浴器であるから、第1電解室だけ浴水を通水させ第2電解室は浴水を滞留させたままで電気分解できて強酸性の浴水で濾過をすることができるとともに、構成を簡単化、コンパクトにすることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態の循環温浴器について説明する。図1は本発明の一実施の形態における循環温浴器の概略全体図である。
【0020】
まず図1を用いて濾過の作用と構成について説明をする。図1において、1は浴槽、2は循環ポンプ、3は循環水路、5は濾過装置で濾過フィルター41が内蔵されている。濾過装置5には第1濾過器51と第2濾過器52の2つの濾過器が設けられている。また濾過フィルター41は従来技術のように微生物によって生物濾過を図るものではなく、物理的に濾過するものが適当である。ただ物理的濾過とはいっても実際上濾過フィルター41に微生物が棲息することはありえるものである。6は吸入口、7は排出口、8はヒーター、10は電解槽である。11はバイパス弁で、濾過装置5を洗浄する場合に電解槽10や濾過装置5を介さずヒーター8で加熱された浴水を直接排出口7から浴槽1に返還するため開放されるものである。12は3方弁であり、13はpHセンサーであって電解槽10内で電気分解された浴水のpHを検出するものである。電解槽10にはそれぞれ電極が配設された第1電解室101と第2電解室102が設けられており、マイナスの電圧が印加された電極を含む電解室からはアルカリ性の浴水が吐出され、プラスの電圧が印加された電極を含む電解室からは酸性の浴水が吐出される。14は流量センサー、15は排水口であり、16は循環ポンプ2やヒーター8、3方弁12、バイパス弁11を制御する制御部である。17は第1電解室101と第2電解室102から吐出されたアルカリ性と酸性の浴水を合流させる合流部である。なお合流部17は設けずにアルカリ性と酸性の浴水を直接浴槽1に戻してもよい。
【0021】
制御部16からの指令によって循環ポンプ2に電力が供給されると、循環ポンプ2が回転を開始する。この循環ポンプ2の作用によって浴槽1内の浴水が吸入口6から吸い込まれ、実線矢印で示すように浴水は循環水路3を介してヒーター8に送られる。ヒーター8ではこの浴水が加熱され、浴水の温度が一定温度に保たれるように制御部16が電力の供給を行う。ヒーター8を出た浴水は電解槽10に送られる。電解槽10は密閉容器で構成されており、上述した通り内部には第1電解室101と第2電解室102の2つの電解室が隔膜によって仕切られて形成されている。第1電解室101と第2電解室102には浴水を電気分解することができるように電極が設けられている。この電極は腐食が起こらないようにチタンに白金メッキが施されたものである。ヒーター8から送られてきた浴水を導入するため第1電解室101と第2電解室102には、循環水路3が2つの分岐路に分かれて各電解室の流入口に接続されている。同様に電解槽10にはこの2つの電解室から浴水を吐出する流出口がそれぞれ形成されている。従って流出口の一方からは酸性の浴水が、他方からはアルカリ性の浴水が吐出される。
【0022】
吐出される酸性の浴水とアルカリ性の浴水は、それぞれがpHセンサー13でpHを検出され、例えば酸性の浴水の場合、pHが所定の値である4.5になるように制御部16が電極への電力の供給量を制御する。第1電解室101の電極にプラスの電圧、第2電解室102の電極にマイナスの電圧をそれぞれ印加した場合、第1電解室101で生成された酸性の浴水は第1濾過器51、第2電解室で生成されたアルカリ性の浴水は第2濾過器52でそれぞれ濾過される。印加する電圧の極性を反転させると、アルカリ性の浴水が第1濾過器51に、酸性の浴水が第2濾過器52に送られて濾過されることになる。濾過装置5は密閉容器で構成され、内部には第1濾過器51と第2濾過器52が設けられている。しかしいずれの濾過器51,52も濾過フィルター41を装着した構造となっている。本実施の形態においては濾過フィルター41は濾過精度5μmの糸巻きフィルターを使用している。界面動電位処理を行っていない通常の濾過フィルター41の場合、例えば本実施の形態の糸巻きフィルターのような場合には、pH7の浴水中でマイナスの界面動電位を有すものである。
【0023】
また、一般に浴水の大部分の濁度成分は、pH7(中性)付近でマイナスの電位を帯びているが、浴水のpH7から変化させると濁度成分の界面動電位も変化する。すなわち電気分解によって生成された酸性の浴水中の濁度成分は、浴水がpH7以下となるため界面動電位がマイナスから変化して、中性もしくはプラスに変化する。このpHの作用により濁度成分は互いにファンデルワールス力等によって凝集して濾過が可能な程度の大きさのフロックを形成したり、界面動電位がプラスであれば濾過フィルター41のマイナスの表面に電位吸着されて濾過されることになる。このように酸性の浴水のpHは濁度成分の濾過性能に大きく影響を及ぼすものであり、これをpH5以下にすれば濁度成分の除去性能が向上する。とくにpH4.5前後が最適の状態を示す。そして、例えば、初期の濁度が3度の浴水を循環濾過する場合に、pH7(電気分解を行わない場合)の浴水であれば1時間後の濁度は約1度、最終的に濁度約0.5度の浴水にまで濾過するのにすぎないが、これが上記のpH4.5の浴水であれば1時間後の濁度は0.3度以下となり、最終的に濁度0.1度以下の浴水にまで濾過できるものである。そして浴水中には多くの一般細菌が存在するが、この一般細菌もほぼすべての界面動電位が他の濁度成分と同様にマイナスである。従って浴水を酸性にすることによって他の濁度成分と同様に濾過フィルター41によって濾過でき、浴水中の一般細菌の増殖を防止することができる。
【0024】
次に生成されたアルカリ性の浴水について説明する。アルカリ性の浴水においては逆にプラスの界面動電位をもった濁度成分が凝集されて濾過される。ただ上記した通り一般に濁度成分の中にはプラスの界面動電位をもった成分が少ないため、また、濾過フィルター41においては界面動電位処理を施さない限り通常プラスの界面動電位を示さないために、アルカリ性の浴水のpHを制御してもこのような一般の濁度成分と普通の濾過フィルター41を用いる限り、酸性の浴水のpHを制御するのと比較して濾過能力に大きく影響することはない。それ故このような濁度成分と普通の濾過フィルター41を用いる場合、酸性側の浴水のpHだけを制御することで浴水の濾過が十分行われるものである。
【0025】
濾過装置5で濾過されたアルカリ性と酸性の浴水は、濾過装置5を出たところで合流部17によって合流される。この合流によって浴水のpHはほぼ中性(約pH7)になり、3方弁12を通って排出口7から浴槽1に戻される。このため浴槽1内の浴水が酸性やアルカリ性に変化することはない。以上のような循環濾過の運転を繰り返すことで、本実施の形態の循環温浴器では浴水を清浄に保つことができる。
【0026】
ところで以上述べたとおり、一般的な濁度成分と普通の濾過フィルター41を前提とすれば酸性側の浴水のpHだけを制御し、アルカリ性側のpHは制御しなくても、濾過装置5の濾過能力は十分である。そこで電解槽10の中で酸性の浴水を生成する第1電解室101へは循環水路3から浴水を通水するが、アルカリ性の浴水を吐出する第2電解室102には浴水を滞留させて電気分解を行うようにすれば、濾過能力は落とさず、アルカリ性側の流路構成を不要にすることができ、循環温浴器の構成を簡単にすることができる。このとき吐出される酸性の浴水のpHは、酸性側に設けられたpHセンサー13で検出され、この検出信号によって制御部16が電極へ供給する電力の供給量を制御することにより、浴水を所定の値のpHに設定できるものである。この場合濾過装置5も第1濾過器51のみで足りることになる。第2電解室102内の浴水を滞留させることにより、生成される酸性の浴水のpHは相当小さく、強酸性の浴水を吐出することができる。
【0027】
次に一定時間循環運転を行った後、濾過装置5内部の濾過フィルター41に濾過された濁度成分を排出するための洗浄動作について説明する。洗浄は1日に1回もしくは2回、制御部16によって所定の時間になると行われる。また、流量センサー14で循環する浴水の循環量が所定の水量以下に低下した場合にも、濾過装置5が濁度成分により目詰まりしたことを示すから、制御部16は洗浄を開始する。洗浄動作は、タイマからの信号または流量センサー14からの信号を受けて制御部16がバイパス弁11を開くことから開始される。この開放によって電解槽10側へ流れる浴水の水量が低下する。続いて制御部16は3方弁12を切り替える。この切り替えで電解槽10と濾過装置5を通ってから合流部17で合流された浴水は、点線の矢印の方向である排水口15の側に送られて浴槽1の外部に排出されることになる。
【0028】
この切り替えとともに洗浄動作を行うために、制御部16は循環運転時に電極に印加していた電圧の極性を反転させ、逆の極性で電圧を印加する。従って各電解室のうち酸性の浴水を作っていた側でアルカリ性の浴水が作られ、アルカリ性の浴水を作っていた側で酸性の浴水が作られることになる。バイパス弁11が開いたら電解槽10に流れる浴水の水量が低下するため(本実施の形態においては約2リットル/分)、電解槽10で電気分解される浴水はそのpHが大きく変化させられる。そこで濾過装置5の洗浄のためアルカリ性側の浴水のpHを11以上になるように制御部16がpHセンサー13の信号によって電極への電力供給量を制御する。このようにして洗浄用に電気分解されたアルカリ性の浴水は電解槽10から第1濾過器51に送られ、酸性の浴水は電解槽10から第2濾過器52に送られる。pH11以上のアルカリ性の浴水は、濾過運転時に酸性の状態におかれることで第1濾過器51の濾過フィルター41で濾過された濁度成分を再び分解するとともに、濾過フィルター41の表面に電位吸着されている濁度成分を表面から再離脱させる。また併せて生成されるpH5以下の酸性の浴水は第2濾過器52に溜まっている濁度成分を同時に洗浄するものである。
【0029】
そこでこの酸性とアルカリ性の水質を反転して行う第1濾過器51と第2濾過器52での洗浄に関してさらに詳述する。第1濾過器51での洗浄について説明すると、浴水中の濁度成分は一般的に界面動電位がマイナスであるが、電気分解によってpH5以下の酸性の浴水になるため、このため酸性の浴水中の濁度成分は界面動電位がマイナスから中性またはプラスに変化させられる。そしてこの界面動電位が中性またはプラスになることにより、濁度成分がファンデルワールス力または濾過フィルター41の電位吸着力によって濾過されるものである。そこでこのような状態の第1濾過器51にpH11以上のアルカリ性の浴水を導入すると、この濁度成分の界面動電位が再びマイナスとなり、この電気的な力によって凝集が解かれて分解し、また濾過フィルター41から離脱することになるのである。これによって単に中性の水で洗浄するより大幅に洗浄効率を向上させることができる。分解されたり浮遊状態となった濁度成分は第1濾過器51から流出し、次に説明する第2濾過器52を洗浄した酸性の浴水と合流された後、3方弁12を通って排水口15より排水される。
【0030】
続いて第2濾過器52の洗浄について説明すると、第2濾過器52ではpH5以下(本実施の形態ではpH2.5程度)の強酸性の浴水を導入して、界面動電位がプラスの濁度成分を分解、離脱させて洗浄する。ところでこの強酸性の浴水には、電気分解により遊離塩素が含まれている。この遊離塩素は殺菌作用を有しているため、第2濾過器52の濾過フィルター41に付着繁殖している細菌を殺菌することができる。従って濾過フィルター41上に発生するぬめり等によって濾過フィルター41が目詰まりするのを防止することができる。
【0031】
このように洗浄用に電気分解した浴水を濾過装置5に導くことにより洗浄効率を上げ、濾過フィルター41を殺菌することができるが、この洗浄動作は約5分程度行うだけで十分である。本実施の形態では2リットル/分程度の水量を洗浄用に用いているから、浴槽1の外部に排出される浴水は1回当たり約10リットル程度であり、浴水の補充はしないか、してもごくわずかですみ、浴水の補充の際急激に浴水温度が低下したりするようなことはなく、実用上の問題を生じることはない。また濾過装置5を自動的に洗浄するから、長期間濾過フィルター41のメンテナンスを行う必要がないものである。
【0032】
洗浄動作が終了すると、制御部16はバイパス弁11を閉とし、3方弁12を実線矢印の方向へ切り替える。浴水は再び循環濾過運転されることになり、全量が電解槽10に送られる。両電極に印加する電圧の極性が洗浄時と反転させられ、電解槽10では再び第1電解室101でpH4.5になるように制御部16が電極への電力供給量を制御する。このような電圧極性の印加を行って制御を行う場合には、濾過運転のときには常に第1電解室101から酸性の浴水が吐出され、第2電解室102からはアルカリ性の浴水が吐出されることになる。しかし、電極に印加する電圧の極性を洗浄時と再濾過時に反転させないように制御するのも適当である。すなわち、再濾過時、電極に印加する電圧の極性を洗浄時のままとし、酸性とアルカリ性の水質を濾過時と再濾過時で反転して濾過するものである。従って再濾過運転のときには第1電解室101でアルカリ性の浴水を生成し、第2電解室102では酸性の浴水を生成して濾過する。このように洗浄動作を挟んで印加する電圧の極性を交互に交換するから、生成される水質が交互に変わって循環濾過運転できるから、両濾過器51,52を同等に洗浄、殺菌することができるものである。
【0033】
このように電解槽10で浴水のpHを変化させて濁度成分を濾過することで、微小な濁度成分まで迅速に濾過することができ、循環温浴器を設置した当初から十分な濾過性能をもち、メンテナンスのいらない循環温浴器を提供することができるものである。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明の循環温浴器によれば、運転開始初期から微小な濁度成分まで容易に濾過し、濾過性能が高いため濾過のスピードが速く、連続して入浴してもいつも清浄な状態で入浴することができ衛生的で、洗浄作業が容易で、濾材のコストが安く、しかも閉塞寿命も長く、メンテナンスが容易でである。また酸性の浴水だけのpH制御を行うだけで濾過できるから循環温浴器の構成が簡単化することができるし、電解室の一方には通水するが他方は滞留させた状態で電気分解するから、強酸性の浴水を作って濾過能力を上げることができ、循環温浴器の構成をさらに簡単にすることができる。また本発明の循環温浴器の濾過方法は電気分解を利用して界面動電位を変化させるから、微小な濁度成分まで容易に濾過でき、濾過性能が高く、濾過のスピードが速いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における循環温浴器の概略全体図
【図2】従来の循環温浴器の概略全体図
【符号の説明】
1 浴槽
2 循環ポンプ
3 循環水路
4 濾材
5 濾過装置
6 吸入口
7 排出口
8 ヒーター
9 紫外線ランプ
10 電解槽
11 バイパス弁
12 3方弁
13 pHセンサー
14 流量センサー
15 排水口
16 制御部
17 合流部
41 濾過フィルター
51 第1濾過器
52 第2濾過器
101 第1電解室
102 第2電解室
Claims (4)
- 浴槽から浴水を吸引して循環水路を循環させる循環ポンプと、前記循環水路に設けられるとともに電極を備え循環される浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成する電解槽と、前記酸性の浴水と前記アルカリ性の浴水をそれぞれ濾過する第1濾過器および第2濾過器を備え、前記第1濾過器と前記第2濾過器のうち前記酸性の浴水が濾過される濾過器においてマイナスの界面動電位をもつ濁度成分が界面動電位を中性またはプラスに変化させられて濾過されるとともに、前記第1濾過器で濾過された浴水と前記第2濾過器で濾過された浴水とが前記循環水路または前記浴槽において合流されることを特徴とする循環温浴器。
- 電極に印加する電圧の極性を反転させて浴水を電気分解し、生成される酸性とアルカリ性の水質を反転させて第1濾過器と第2濾過器を洗浄することを特徴とする請求項1記載の循環温浴器。
- 浴槽から浴水を吸引して循環水路を循環させる循環ポンプと、前記循環水路に設けられるとともに電極を備え循環される浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成する電解槽と、前記酸性の浴水と前記アルカリ性の浴水をそれぞれ濾過する第1濾過器および第2濾過器と、前記酸性の浴水のpHを所定の値に設定するため前記電極への電力供給量を制御する制御部を備え、前記第1濾過器と前記第2濾過器のうち前記酸性の浴水が濾過される濾過器においてマイナスの界面動電位をもつ濁度成分が界面動電位を中性またはプラスに変化させられて濾過されるとともに、前記第1濾過器で濾過された浴水と前記第2濾過器で濾過された浴水とが前記循環水路または前記浴槽において合流されることを特徴とする循環温浴器。
- 浴槽から浴水を吸引して循環路を循環させる循環ポンプと、隔膜で区画して形成されそれぞれに電極が配設された第1電解室および第2電解室を有すとともに、第1電解室には前記循環路から浴水を通水し第2電解室には浴水を滞留させて電気分解する電解槽と、前記第1電解室の電極にプラスの電圧を印加したとき前記第1電解室から吐出
された酸性の浴水を濾過する濾過器と、前記酸性の浴水のpHを所定の値に設定するため前記電極への電力供給量を制御する制御部を備え、前記濾過器でマイナスの界面動電位をもつ濁度成分の界面動電位を変化させて濾過することを特徴とする循環温浴器。
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