JP3570080B2 - 循環温浴器およびその濾過方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴水を加熱しながら循環して浄化する循環温浴器、およびその濾過方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、生活の快適さ便利さを追求して循環温浴器が普及しつつある。この循環温浴器は浴水を循環させ、濾過槽で浴水を濾過して浄化し、ヒーターを設けて浴水を加熱して多くは、24時間いつでも入浴できるものである。
【0003】
そこで従来の循環温浴器について説明する。図8は従来の循環温浴器の概略構成図である。図8において、51は浴水中の毛髪、糸くず等の大きなごみを除去するための多孔質スポンジ状のヘアーキャッチャー、52は浴槽57内の浴水を吸引し後述する循環路58を循環させるポンプ、53は循環路58に設けられポンプ52によって循環される浴水を浄化する濾過槽であり、濾過槽53には多孔質セラミックボールや麦飯石等の濾材55が内蔵されている。54は浄化された浴水を所定の温度にまで加熱して浴槽57内の浴水を一定温度に保つことができるヒーターである。56はポンプ52や濾過槽53、ヒーター54等を内部に収容した循環温浴器の本体である。循環路58は、本体56内でポンプ52と濾過槽53、濾過槽53とヒーター54の間をそれぞれ接続する配管581と、本体56と浴槽57との間をつなぐホース582から構成されるものである。
【0004】
以上のように構成された従来の循環温浴器についてその動作を説明する。ポンプ52が運転を開始されると、浴槽57内の浴水がヘアーキャッチャー51から吸引され、循環路58を通して循環が開始される。この際浴水中の毛髪や糸くず等の大きなゴミはヘアーキャッチャー51で除去されて粗濾過され浄化される。次いでポンプ52から吐き出された浴水は循環路58を通り濾過槽53に送られる。濾過槽53には濾材55が多数充填されており、浴水の温度付近で自然発生する好気性浄化細菌や、皮膚常在菌類等でミクロコッカス(Micrococcus)、シュウドモナス(Pseudomonas)、ストレプトコッカス(Streptococcus)等に代表される微生物がこの濾材55に固定されて棲息している。このため濾材55によって浴水中の濁度成分の吸着が行われるとともに、この濾材55に固定された細菌や微生物によって濁度成分を構成する脂分や蛋白質等が分解、濾過される。濾過槽53の生物濾過によって浄化された浴水は循環路58を通ってヒーター54に入る。ヒーター54において、浄化後の浴水は浴槽57内の浴水を一定温度に保つため所定の温度にまで加熱される。加熱後、浴水は循環路58のホース582を通って、浴槽57内に戻される。
【0005】
このように従来の循環温浴器は、上記した浴水の循環を概ね24時間行っており、常時浴水中の濁度成分を取り除いて浄化し、いつも快適に入浴することができるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の循環温浴器のような細菌や微生物等による生物濾過を行う場合には、循環温浴器を設置した後濾過槽53の浄化能力を十分発揮させることができるようになるまでに、比較的長時間の立ち上がり期間、おおむね運転開始初期の7日間〜10日間程度の期間を必要とするものであった。というのは、濾過槽53の濾材55に固定される好気性浄化細菌は浴水中で自然発生する必要があり、しかもそれが濾材55上で固定されなければならないし、皮膚常在菌類も同じく濾材55に繁殖、固定される必要があるからである。この立ち上がり期間の間は濾過槽53に予定されている本来の浄化能力は期待できない。しかもこのような生物濾過のための濾過槽53は大型の装置とならざるをえないといった問題があった。
【0007】
また、浴水の水質が悪かったり、入浴者が外薬を使用中であったりすると、極端な場合には入浴者の体質や服用中の薬が影響するなどして、好気性浄化細菌が死滅したり、繁殖がすすまず濾材55への固定が遅れ、濾過槽53が思った通りに浄化性能を発揮しないといった問題が発生していた。
【0008】
さらに、こうした細菌や微生物を良好な状態で維持するためには、循環温浴器の運転中は浴水の温度を35℃以上に常に維持しておかなければならないが、お風呂を使用しない時間帯でも浴水の温度を維持するためにヒーターに通電する必要があり、加熱のためのランニングコストがかかるという問題もある。
【0009】
そして、長時間循環温浴器の未使用状態が続くと有機物が減少して細菌や微生物が死滅するため、これを再使用する際には濾過槽内のぬめり等の洗浄と乾燥が必要になる。さらに運転を再開すると上述の立ち上がり期間が再び必要になり、循環温浴器のメンテナンスを欠かすことができず、メンテナンス上の大きな課題をもつものであった。
【0010】
そこで本発明は従来の問題点を解決するためのもので、浄化性能に優れ、装置を設置した当初から浄化性能を十分に発揮でき、小型で衛生的であり、使用しないときにはその期間の長さに関わらず停止することができ、お風呂使用時以外は浴水の温度を保持することが不要で省エネとなる循環温浴器を提供することを目的とする。
【0011】
また浄化性能に優れ、装置を設置した当初から浄化性能を十分に発揮でき、衛生的な循環温浴器の濾過方法を提供することを特徴とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の循環温浴器は、循環路に設けられるとともに電極を備え循環される浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成する電解槽と、ゼータ電位処理が施され前記酸性の浴水を濾過する第1フィルターと、ゼータ電位処理が施され前記アルカリ性の浴水を濾過する第2フィルターと、前記第1フィルターで濾過された浴水と前記第2フィルターで濾過された浴水とを合流させる合流部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
これにより、小型でありながら浄化性能に優れ、装置を設置した当初から浄化性能を十分に発揮でき、小型で衛生的であり、使用しないときにはその期間の長さに関わらず停止することができ、お風呂使用時以外は浴水の温度を保持することが不要で省エネを実現できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、浴槽から浴水を吸引して循環路を循環させるポンプと、循環路に設けられるとともに電極を備え循環される浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成する電解槽と、ゼータ電位処理が施され酸性の浴水を濾過する第1フィルターと、ゼータ電位処理が施されアルカリ性の浴水を濾過する第2フィルターと、第1フィルターで濾過された浴水と第2フィルターで濾過された浴水とを合流させる合流部とを備えたことを特徴とする循環温浴器であるから、酸性の浴水中の濁度成分は凝集されるとともに第1フィルターに電位的に吸着され、アルカリ性の浴水中の濁度成分は第2フィルターに電位的に吸着される。
【0015】
請求項2に記載された発明は、電解槽が密閉容器を隔膜で区画して形成されそれぞれに電極が配設された第1電解室および第2電解室を備えており、第1電解室と第2電解室に浴水を通水して電気分解するから、構成がコンパクトになる。
【0016】
請求項3に記載された発明は、ポンプの吐出側の循環路に電解槽と第1フィルター及び第2フィルターとをこの順に設け、前記電解槽の流入側と合流部の後流側の循環路とをそれぞれ流路切り換え手段を介して迂回路で接続するとともに、前記電解槽の第1電解室と第2電解室の流出側にそれぞれ逆止弁を設け、前記第1フィルターと前記第2フィルター
には逆洗時の排水を排出する排水路をそれぞれ設け、前記流路切り換え手段を切り換えることによって前記ポンプを吐出された浴水が前記迂回路を経て前記第1フィルターと前記第2フィルターを洗浄後前記排水路から排出されるから、逆洗によって第1フィルターと第2フィルターの寿命を延ばすことができる。
【0017】
請求項4に記載された発明は、浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成し、生成された酸性の浴水とアルカリ性の浴水をそれぞれゼータ電位処理された2つのフィルターでそれぞれ濾過した後、濾過された酸性とアルカリ性の浴水を合流させることを特徴とする循環温浴器の濾過方法であるから、浄化性能に優れたものである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図1、図6、図7を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態の循環温容器および濾過方法について説明する。図1は本発明の一実施の形態における循環温浴器の概略構成図である。
【0019】
図1において、1は浴槽、2は循環路、3はヘアーキャッチャー、4は循環温浴器の本体、5はポンプである。循環路2は後述する電解槽11に入る前で2つに分岐され、後述する第1フィルター12、第2フィルター13を経た後で合流されるものである。ヘアーキャッチャー3は循環路2の吸い込み端に設けられ、毛髪や糸くず等の大きなゴミを除去するもので、多孔質のスポンジ状体のものである。6は密閉容器からなる電解槽11を2つの電解室に区画する隔膜であり、7は第1電極、8は第1電解室、9は第2電極、10は第2電解室である。第1電解室8と第2電解室10は、隔膜6によって電解槽11を構成する密閉容器を区画することで形成されており、第1電解室8の内部には第1電極7が配設されるとともに、第2電解室10の内部には第2電極9が配設されている。第1電極7、第2電極9はいずれもが腐食防止の目的でチタンに白金メッキを施したものである。密閉容器を隔膜で区画して電解槽11を構成するから循環温浴器をコンパクトな構成にすることができる。
【0020】
12は表面に後述するゼータ電位処理が施され、酸性の浴水を濾過するための第1フィルターである。同じく13は表面にゼータ電位処理が施され、アルカリ性の浴水を濾過するための第2フィルターである。また14は浄化後の浴水を所定の温度にまで加熱して浴槽57内の浴水を一定温度に保つことができるヒーターであり、15は第1フィルター12で濾過された浴水と第2フィルター13で濾過された浴水とを合流させる合流部である。ポンプ5、電解槽11、第1フィルター12、第2フィルター13、ヒーター14はそれぞれ循環路2で接続されるとともに、いずれもが循環温浴器の本体4の内部に収容されている。
【0021】
以上のように構成された本実施の形態1の循環温浴器についてその動作を説明する。ポンプ5が運転を開始されると、浴槽1内の浴水がポンプ5の作用でヘアーキャッチャー3から吸引され、循環路2を通して循環が開始される。この際浴水中の毛髪や糸くず等の大きなゴミはヘアーキャッチャー3で除去、分離されて浄化される。次いでポンプ5から吐き出された浴水は循環路2を通り電解槽11に送られる。しかし電解槽11の直前で循環路2は2つに分岐され、分岐路のそれぞれが第1電解室8と第2電解室10に接続される。第1電解室8内には第1電極7が設けられ、第2電解室10内には第2電極9が設けられているから、図示しない制御部がこれも図示しない電源部から第1電極7にプラスの直流電圧を印加し、また第2電極9にはマイナスの直流電圧を印加する。これによって電解槽11内の浴水は電気分解され、第1電解室8には酸性の浴水が生成され、第2電解室10にはアルカリ性の浴水が生成される。
【0022】
第1電解室8と第2電解室10にはそれぞれ流出路が接続されており、第1電解室8は一方の流出路によって第1フィルター12と接続され、第2電解室10は他方の流出路によって第2フィルター13に接続される。従って第1電解室8で生成された酸性の浴水中の濁度成分は第1フィルター12で濾過され、第2電解室10で生成されたアルカリ性の浴水中の濁度成分は第2フィルター13で濾過される。この第1フィルター12と第2フィルター13とは、いずれもが糸状のカーボンを卷いたフィルターであり、カチオン性コロイド状シリカ等の改質剤によってその表面のゼータ電位が変化させられいる。なおこのゼータ電位というのは、互いに接した液相と固相とが相対的に運動するとき、両者の界面に生じる電位のことである。そして本実施の形態1でいえば第1フィルター12、第2フィルター13の表面上を水が流れるから、この相対運動でフィルター表面に生じる電位がゼータ電位に該たることになる。このように本発明にいうゼータ電位処理は、第1フィルター12、第2フィルター13のような固体表面をカチオン性コロイド状シリカ等の改質剤で処理して、水に対して所定の電位特性のゼータ電位をもたせるようにする処理のことである。図2は本発明の一実施の形態におけるフィルターのゼータ電位処理前後のゼータ電位曲線図である。縦軸はゼータ電位を表し、横軸は接する水のpHを示している。図2によれば、第1フィルター12、第2フィルター13は、ゼータ電位未処理時にはpH7の水との間でー100mV程度のマイナスのゼータ電位を帯びているが、ゼータ電位処理を行うことにより+10mV程度のプラスのゼータ電位に変化している。そしてpHがpH7より低くなった酸性のときには、処理、未処理を問わずゼータ電位はプラスを示す。しかしpHがpH7より高くなってアルカリ性を示すときには、処理、未処理を問わずゼータ電位はマイナスとなる。なお図2に記載したゼータ電位曲線は糸巻きフィルターをプラスにゼータ電位処理した場合の典型的なものを示すものである。そしてpH7の水と接触する状態においては、ゼータ電位処理を行わない限り、糸巻きフィルターでは通常ゼータ電位はマイナスである。
【0023】
第1フィルター12、第2フィルター13からの吐出路はお互いに合流部15で合流させられる。第1フィルター12で濾過された酸性の浴水と、第2フィルター13で濾過されたアルカリ性の浴水とは、合流部15で合流されて中和され、ヒーター14に送られる。ヒーター14では浴槽1内の浴水の温度を一定に保つために浴水を所定の温度にまで加熱する。ヒーター14で加熱された浴水は循環路2を介して再び浴槽1に戻される。
【0024】
次にこの循環温浴器で行われる浄化について詳しく説明する。第1電極7にプラスの直流電圧を印加し、第2電極9にマイナスの直流電圧を印加すると、電解槽11内の浴水は電気分解され、第1電解室8内では酸性の浴水が生成され、第2電解室10内にはアルカリ性の浴水が生成される。ところで浴水中の濁度成分も浴水中で運動する固相であるから浴水との間にゼータ電位をもっている。浴水の濁度成分はpH7(中性)付近で一般的にマイナスの電位を帯びているものであり、図3に示すようにpH変化にともなってゼータ電位は変化する。図3は浴水中に一般的に含まれる濁度成分のゼータ電位曲線図である。すなわち高いpH(アルカリ性)においては一般的な濁度成分はマイナスのゼータ電位を示し、pHが下がるにつれてゼータ電位も低下し、pH7より低い所定のpH(以下、等電点という)でゼータ電位は0mVとなる。さらにpHが低下して低いpH(酸性)になると、プラスのゼータ電位を示すようになる。ただこのような一般的な濁度成分とは違って、わずかではあるが、これとは逆にpH7(中性)付近でプラスの電位を帯びている濁度成分も微少量だが存在する。図4は浴水中に微少量含まれる濁度成分のゼータ電位曲線図である。この濁度成分は低いpH(酸性)ではプラスのゼータ電位を示し、pHが上がるにつれてゼータ電位も上昇して、pH7より高い所定の等電点でゼータ電位は0mVとなる。そしてさらにpHが上がって高いpH(アルカリ性)になると、マイナスのゼータ電位を示すようになるものである。
【0025】
第1電解室8内で生成された酸性の浴水中の濁度成分は、ほとんどが図3に示すタイプの濁度成分であるから、等電点より弱い酸性(pHを高く)にしてゼータ電位をマイナスにしておけば、第1フィルター12は図2に記載したゼータ電位曲線Bの特性を有しているため、物理的な濾過のほか電位吸着の作用で除濁できる。また濁度成分が等電点付近で0mVの電位をもつ場合には、濁度成分を構成する粒子が互いにファンデルワールス力で凝集を開始して成長し、最終的には第1フィルター12の表面上にこれも同じくファンデルワールス力等で吸着される。さらにpH7では溶解していた溶解性の脂肪酸が、酸性の条件下析出反応を起こすようになる。このように大部分の濁度成分は酸性の浴水とすることによって濾過されるものである。
【0026】
次に第2電解室10で生成されたアルカリ性の浴水中の濁度成分は、図2で示すように第2フィルター13が等電点以下のアルカリ性のときには第2フィルター13がプラスのゼータ電位をもっているため、濁度成分がマイナスのゼータ電位をもつpHである限り、物理的な濾過のほかに電位吸着の作用で除濁される。また濁度成分が0mVのゼータ電位をもつ場合には、酸性の場合と同様に、濁度成分のお互いの粒子がファンデルワールス力で凝集を起こして成長し、同じくファンデルワールス力が作用して第2フィルター13の表面に吸着される。
【0027】
また、図4で示した微少量の濁度成分の場合、第2電解室10で生成されたアルカリ性の浴水中の等電点付近で電位が0mVとなり、濁度成分のお互いの粒子がファンデルワールス力によって凝集を起こして成長し、第2フィルター13の表面にファンデルワールス力等で吸着される。このほか、Ca++、Na+等の金属イオンが核となって溶け込んでいる脂質を析出させるケン化現象による浴水中の脂質の析出も起こり、第2フィルター13に懸濁物質として濾過される。第2フィルター13においても電位吸着の条件が整えば吸着される。
【0028】
ところで以上述べた酸性の浴水のpH、アルカリ性の浴水のpHは、酸性の場合はpH5.5以下が望ましく、アルカリ性場合はpHが9.5以上であることが望ましい。電位吸着、ファンデルワールス力、脂質析出、脂肪酸析出等の全てが総合的に関与してこのようなpHを示すものである。本実施の形態1においては酸性のpHは4.5、アルカリのpHは11としている。図5は電気分解、ゼータ電位処理の有無を条件にした除濁曲線図である。縦軸は濁度、横軸は運転時間を示す。図5において、(1)は電気分解無・ゼータ電位処理無、(2)は電気分解無・ゼータ電位処理有、(3)は電気分解有・ゼータ電位処理無、(4)は電気分解有・ゼータ電位処理有の場合であり、図5は濁度2度の浴水が運転時間とともにどのように変化したかが示すものである。運転開始後3時間に(1)の電気分解無・ゼータ電位処理無の場合は0.6〜0.7度の濁度になり、(2)の電気分解無・ゼータ電位処理有の場合は0.2〜0.3度の濁度になっているが、(3)の電気分解有・ゼータ電位処理無の場合と(4)の電気分解有・ゼータ電位処理有の場合には、ともに0.1度以下なって、除濁性能が電気分解を行うと格段に向上することが分かる。そして(3)の電気分解有・ゼータ電位処理無の場合と(4)の電気分解有・ゼータ電位処理有の場合とを比較すると、運転開始後30分〜1時間に(3)の電気分解有・ゼータ電位処理無の場合は0.5度程度であるが、(4)の電気分解有・ゼータ電位処理有の場合は0.2度になり、運転開始初期に著しく除濁性能を向上させることができる。従って電気分解し、ゼータ電位処理を施したフィルターを用いることで浄化性能を向上させるとともに、浄化速度を上げることができる。
【0029】
濾過された酸性の浴水とアルカリ性の浴水は、合流部15で合流されるため中和され、電気分解を行わない循環温浴器と同様に、浴槽1ではpH7付近の浴水になるから、浴槽1内では通常の循環温浴器と全く変わりがない。またアルカリ水の一部を外部に排水し、合流後の浴水を弱酸性にして皮膚の活性化をねらったり、逆に酸性の浴水の一部を同じように捨ててアルカリ性の浴水とすることも自在である。
【0030】
(実施の形態2)
本発明の他の実施の形態の循環温浴器について説明する。図6は本発明の他の実施の形態の浄化運転時の概略構成図、図7は本発明の他の実施の形態の逆洗運転時の概略構成図である。この実施の形態2において実施の形態1と同一の符号を用いているものは、実施の形態1と基本的に同一のものであり、詳細な説明は実施の形態1に譲って省略する。
【0031】
図6、図7において、16はポンプ5の吐出側の循環路2に設けられた第1三方弁、17は浴水が合流される合流部15の後流側でヒーター14の前に設けられた第2三方弁である。循環路2にはポンプ5、電解槽11、第1フィルター12、第2フィルター13、ヒーター14が順に設けられているが、実施の形態2ではこのうち電解槽11、第1フィルター12、第2フィルター13をバイパスする迂回路24が設けられている。三方弁16と第2三方弁17はこの循環路2と迂回路24の流路の接続状態を切り換える流路切り換え手段である。18は第1電解室8と第1フィルター12の間に設けられた第1逆止弁、19は第2電解室10と第2フィルター13の間に設けられた第2逆止弁である。20は第1電磁弁、21は第1排水路、22は第2電磁弁、23は第2排水路である。第1排水路21と第2排水路23は、第1フィルター12、第2フィルター13を逆洗した時、洗浄後の排水を排水するものである。
【0032】
通常の浄化運転の時には、第1三方弁16と第2三方弁17は実施の形態1と全く同様に循環路2を浴水が流れるように切り換えられる。従ってポンプ5が運転を開始されると、浴槽1内の浴水がヘアーキャッチャー3から吸引され、循環が開始される。ヘアーキャッチャー3で浴水中の毛髪や糸くず等の大きなゴミは除去されて浄化される。ポンプ5から吐き出された浴水は循環路2、三方弁16を通り電解槽11に送られる。電解槽11の直前で循環路2は2つに分岐され、分岐路のそれぞれが第1電解室8と第2電解室10に接続される。電解槽11内の浴水は電気分解され、第1電解室8には酸性の浴水が生成され、第2電解室10にはアルカリ性の浴水が生成される。第1電解室8は第1逆止弁を介して第1フィルター12と接続され、第2電解室10は第2逆止弁を介して第2フィルター13に接続されているから、第1電解室8で生成された酸性の浴水の濁度成分は第1フィルター12で濾過され、第2電解室10で生成されたアルカリ性の浴水の濁度成分は第2フィルター13で濾過される。第1フィルター12で濾過された酸性の浴水と、第2フィルター13で濾過されたアルカリ性の浴水とは、合流部15で合流されて中和され、三方弁17を経てヒーター14に送られる。ヒーター14では浴槽1内の浴水の温度を一定に保つために浴水を所定の温度にまで加熱され、循環路2を介して再び浴槽1に戻される。
【0033】
次に逆洗運転の時には、図示しない制御部が給電を止めてポンプ5の運転を停止し、次に三方弁16、三方弁17を切り換え、電磁弁20、電磁弁22を開にする。すると三方弁16によって循環路2は迂回路24に接続され、三方弁17によって迂回路24は循環路2の第1フィルター12、第2フィルター13側に接続される。この状態でポンプ5の運転を再開すると、浴槽1内の浴水はヘアーキャッチャー3から吸引され、ポンプ5、三方弁16を経て迂回路24を送られ、三方弁17を経て循環路2の合流部15に送られる。浴水は合流部15で浄化運転とは逆方向に流れて2つに分流され、それぞれが第1フィルター12と第2フィルター13を洗浄した後、第1排水路21と第2排水路23から排水される。電解槽11の流出路にはそれぞれ第1逆止弁18と第2逆止弁19が設けられているため、電解槽11側へは浴水は流れ込むことができず、第1排水路21,第2排水路23側の電磁弁20、電磁弁22が開になっているからである。第1フィルター12と第2フィルター13においてフィルター表面で濾過された浴水の懸濁物質は水圧で離脱される。離脱された懸濁物質は第1排水路21と第2排水路23から洗浄後の浴水と一緒に外部に排出される。この逆洗運転を定期的に行うことによって実施の形態2においては第1フィルター12と第2フィルター13の寿命を延ばすことができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明の循環温浴器によれば、浄化性能に優れ、装置を設置した当初から浄化性能を十分に発揮でき、小型で衛生的であり、使用しないときにはその期間の長さに関わらず停止することができ、お風呂使用時以外は浴水の温度を保持することが不要で省エネを実現できる。さらに定期的に逆洗運転を行うことによってフィルターの寿命を延ばすことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における循環温浴器の概略全体図
【図2】本発明の一実施の形態におけるフィルターのゼータ電位処理前後のゼータ電位曲線図
【図3】浴水中に一般的に含まれる濁度成分のゼータ電位曲線図
【図4】浴水中に微少量含まれる濁度成分のゼータ電位曲線図
【図5】電気分解、ゼータ電位処理の有無を条件にした除濁曲線図
【図6】本発明の他の実施の形態の浄化運転時の概略構成図
【図7】本発明の他の実施の形態の逆洗運転時の概略構成図
【図8】従来の循環温浴器の概略構成図
【符号の説明】
1,57 浴槽
2,58 循環路
3,51 ヘアーキャッチャー
4,56 本体
5,52 ポンプ
6 隔膜
7 第1電極
8 第1電解室
9 第2電極
10 第2電解室
11 電解槽
12 第1フィルター
13 第2フィルター
14,54 ヒーター
15 合流部
16,17 三方弁
18 第1逆止弁
19 第2逆止弁
20 第1電磁弁
21 第1排水路
22 第2電磁弁
23 第2排水路
24 迂回路
53 濾過槽
55 濾材
581 配管
582 ホース
Claims (4)
- 浴槽から浴水を吸引して循環路を循環させるポンプと、前記循環路に設けられるとともに電極を備え循環される浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成する電解槽と、ゼータ電位処理が施され前記酸性の浴水を濾過する第1フィルターと、ゼータ電位処理が施され前記アルカリ性の浴水を濾過する第2フィルターと、前記第1フィルターで濾過された浴水と前記第2フィルターで濾過された浴水とを合流させる合流部とを備えたことを特徴とする循環温浴器。
- 電解槽が、密閉容器を隔膜で区画して形成されそれぞれに電極が配設された第1電解室および第2電解室を備えており、前記第1電解室と前記第2電解室には浴水を通水して電気分解することを特徴とする請求項1記載の循環温浴器。
- ポンプの吐出側の循環路に電解槽と第1フィルター及び第2フィルターとをこの順に設け、前記電解槽の流入側と合流部の後流側の循環路とをそれぞれ流路切り換え手段を介して迂回路で接続するとともに、前記電解槽の第1電解室と第2電解室の流出側にそれぞれ逆止弁を設け、前記第1フィルターと前記第2フィルターには逆洗時の排水を排出する排水路をそれぞれ設け、前記流路切り換え手段を切り換えることによって前記ポンプを吐出された浴水が前記迂回路を経て前記第1フィルターと前記第2フィルターを洗浄後前記排水路から排出されることを特徴とする請求項2記載の循環温浴器。
- 浴水を電気分解して酸性の浴水とアルカリ性の浴水を生成し、生成された酸性の浴水とアルカリ性の浴水をそれぞれゼータ電位処理された2つのフィルターでそれぞれ濾過した後、濾過された酸性とアルカリ性の浴水を合流させることを特徴とする循環温浴器の濾過方法。
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