JP3694604B2 - スチルベン誘導体、その製造方法およびそれを有する電子写真感光体 - Google Patents
スチルベン誘導体、その製造方法およびそれを有する電子写真感光体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子、電子写真感光体等において、電荷輸送剤(とくに正孔輸送剤)として好適に用いられる新規なスチルベン誘導体、その製造方法およびそれを用いる電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置においては、当該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の有機感光体が使用されている。この有機感光体は、従来の無機感光体に比べて製造が容易であり、電荷輸送剤、電荷発生剤、結着樹脂等の感光体材料の選択肢が多様で、機能設計の自由度が高いという利点を有することから、近年、広く用いられている。
【0003】
有機感光体には、電荷輸送剤を電荷発生剤とともに同一の感光層中に分散させた単層型感光体と、電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光体とがある。一般に、有機感光体は被膜形成能を有しないために、適当なバインダー、例えば樹脂に含有させて用いられる。
上記有機感光体に使用される電荷輸送剤として、特開昭50−31773号公報および特開平2−154268号公報にはスチルベン誘導体が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示されているスチルベン誘導体は、一般にバインダー樹脂との相溶性が乏しく、感光層中に均一に分散されず、電荷移動が生じにくい。そのため、前記スチルベン誘導体自体は高い電荷移動度を有しているにもかかわらず、これを電荷輸送剤として感光体に使用した際には、その特性が十分に発揮できず、感光体の残留電位が高くなり、光感度が十分なものではなかった。
【0005】
本発明の主たる目的は、上述の技術的な問題を解決し、電子写真感光体の電荷輸送剤として好適な新規スチルベン誘導体およびその製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、従来に比べて感度が向上した電子写真感光体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねていくなかで、スチルベン誘導体のうち、分子末端のジフェニルアミノ基が非対称である化合物であり、とりわけ前記ジフェニルアミノ基における一方のフェニル基に置換基がなく、他方のフェニル基にはその2位と他の任意の位置に一個の置換基を有する下記の一般式(1)で表されるスチルベン誘導体は、従来のスチルベン誘導体よりもバインダー樹脂との相溶性に優れ、かつ電荷移動度が大きいという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のスチルベン誘導体は、一般式(1):
【0008】
【化6】
【0009】
(式中、R1およびR3は同一または異なって、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基もしくはアミノ基を有していてもよいアルキル基;ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアラルキル基;ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアリール基、または、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基もしくはアミノ基を有していてもよいアルコキシ基を示す。前記アラルキル基または前記アリール基に置換するカルボキシル基は、エステル化されていてもよい。また、前記アラルキル基または前記アリール基に置換する炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基は、さらに、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基またはアミノ基を有していてもよい。R2およびR4は同一または異なって、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基もしくはアミノ基を有していてもよいアルキル基、または、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基もしくはアミノ基を有していてもよいアルコキシ基を示す。)
で表されることを特徴とする。
【0010】
なお、スチルベン誘導体(1)は、その構造上3個の−CH=CH−基を有するので、シス、トランスの異性体が存在するが、本発明はそれらのいずれも包含するものである。 上記一般式(1)で表される本発明のスチルベン誘導体は、上記特開昭50−31773号公報および特開平2−154268号公報に具体的に開示されていない化合物であると共に、前記公報に具体的に開示された化合物よりもバインダー樹脂との相溶性が高く、かつ電荷移動度が大きいことから、かかるスチルベン誘導体(1)を電子写真感光体における電荷(正孔)輸送剤として使用することにより、高感度の電子写真感光体を提供することができる。
【0011】
また本発明者らは、前記スチルベン誘導体(1)の製造方法において、出発原料である下記トリフェニルアミンのホルミル体(2)を効率よく得る方法を検討したところ、フェニル基の2位に置換基を有するトリフェニルアミン誘導体(5)をフィルスマイヤー(Vilsmeier) 法によりホルミル化すれば、当該化合物(5)における3個のフェニル基のうち、置換基を有するフェニル基はホルミル化されず、無置換のフェニル基のみがホルミル化された前記化合物(2) が効率よく製造でき、スチルベン誘導体(1)の生産性の向上につながるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明のスチルベン誘導体(1)の製造方法は、一般式(2):
【0013】
【化7】
【0014】
(式中、R1 およびR2は、前記と同じである。)
で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体に、一般式(3):
【0015】
【化8】
【0016】
で表されるビスリン酸エステル誘導体を反応させることを特徴とするものである。
本発明の製造方法に使用する上記ホルミル化トリフェニルアミン誘導体(2)は、一般式(4):
【0017】
【化9】
【0018】
(式中、R1 およびR2は、前記と同じである。)
で表されるアニリン誘導体にヨードベンゼンを反応させて、一般式(5):
【0019】
【化10】
【0020】
(式中、R1 およびR2は、前記と同じである。)
で表されるトリフェニルアミン誘導体を得、この化合物をフィルスマイヤー法によりホルミル化させることにより得られる化合物である。
【0021】
前記トリフェニルアミン誘導体(5)をフィルスマイヤー法によりホルミル化させると、スチルベン誘導体(1)の原料であるトリフェニルアミンのホルミル体(2) のみが高収率で製造されるその理由は定かではないが、前記化合物(5)における3個のフェニル基のうち、オルト位に置換基R1を有するフェニル基は、他のフェニル基に比べて、前記化合物(5)における窒素原子とフェニル基との結合軸が置換基R1の影響によりねじれ、窒素原子からの電子供与が乏しくなり、該フェニル基の求核性が低下する。その結果、該フェニル基のパラ位はホルミル化されず、他のフェニル基のパラ位のみがホルミル化される、と推定される。
【0022】
次に、本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層が、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を感光層中に含有することから、電荷発生剤で発生した電荷(正孔)を輸送する速度が速く、すなわち電荷移動度が大きく、帯電および露光時の光感度が優れている。その結果、本発明の電子写真感光体によれば、従来のスチルベン誘導体を正孔輸送剤として使用したときよりも、高い感度が得られる。
【0023】
前記感光層は、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体と共に、電荷発生剤と電子輸送剤とを含有した単層型の感光層であるのが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
〔スチルベン誘導体〕
前記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体において、R1、R2、R3およびR4に相当するアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の炭素数が1〜6の基があげられる。中でも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルまたはt−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0025】
また、R1、R2、R3およびR4に相当するアルキル基は置換基を有していてもよく、具体的にはヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、アルカノイルオキシアルキル基またはアミノアルキル基などがあげられる。とりわけ、本発明のスチルベン誘導体(1)においては、電荷移動度を高めるという観点から、置換基としてアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基などの電子供与基を有するアルキル基が好ましい。
【0026】
上記ヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル、2−ヒドロキシメチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシペンチルまたは6−ヒドロキシヘキシルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基があげられる。
【0027】
上記アルコキシアルキル基としては、例えばメトキシメチル、メトキシエチル、メトキシブチル、エトキシヘキシル、エトキシメチル、ブトキシエチル、t−ブトキシヘキルまたはヘキシルオキシメチルなどの、アルキル部分およびアルコキシ部分の炭素数がいずれも1〜6であるアルコキシアルキル基があげられる。上記アルキルアミノアルキル基としては、例えばメチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ヘキシルアミノメチル、エチルアミノエチル、ヘキシルアミノエチル、メチルアミノプロピル、ブチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、エチルアミノブチル、ヘキシルアミノブチル、メチルアミノヘキシル、エチルアミノヘキシル、ブチルアミノヘキシルまたはヘキシルアミノヘキシルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6であるアルキルアミノアルキル基があげられる。
【0028】
上記ジアルキルアミノアルキル基としては、例えばジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、ジヘキシルアミノメチル、ジエチルアミノエチル、ジヘキシルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、ジブチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、ジエチルアミノブチル、ジヘキシルアミノブチル、ジメチルアミノヘキシル、ジエチルアミノヘキシル、ジブチルアミノヘキシルまたはジヘキシルアミノヘキシルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6であるジアルキルアミノアルキル基があげられる。
【0029】
上記アルコキシカルボニルアルキル基としては、例えばメトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、メトキシカルボニルヘキシル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、プロポキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、ペンチルオキシカルボニルメチル、ヘキシルカルボニルメチル、ヘキシルカルボニルブチルまたはヘキシルカルボニルヘキシルなどの、アルキル部分およびアルコキシ部分のいずれも炭素数1〜6であるアルコキシカルボニル基があげられる。
【0030】
上記カルボキシアルキル基としては、例えばカルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシブチル、カルボキシヘキシルまたは1−メチルー2−カルボキシエチルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6であるカルボキシアルキル基があげられる。
上記ハロゲン化アルキル基としては、例えばモノクロルメチル、モノブロモメチル、モノヨードメチル、モノフルオロメチル、ジクロルメチル、ジブロモメチル、ジヨードメチル、ジフルオロメチル、トリクロルメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、トリフルオロメチル、モノクロルエチル、モノブロモエチル、モノヨードエチル、モノフルオロエチル、ジブロモブチル、ジヨードブチル、ジフルオロブチル、クロルヘキシル、ブロモヘキシル、ヨードヘキシルまたはフルオロヘキシルなどの、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基があげられる。
【0031】
上記アルカノイルオキシアルキル基としては、アセトキシメチル、2−アセトキシエチル、プロピオニルオキシメチルまたは1−ヘキサノイルオキシー2−メチルペンチルなどの、炭素数2〜6のアルかノイル部分と、炭素数1〜6のアルキル部分とを有するアルカノイルオキシ基があげられる。
上記アミノアルキル基としては、例えばアミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチルまたはアミノヘキシルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6であるアミノアルキル基があげられる。
【0032】
R1 、R2、R3およびR4に相当するアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシまたはヘキシルオキシ等の炭素数が1〜6のアルコキシ基があげられる。また、R1,R2,R3およびR4に相当するアルコキシ基は置換基を有していてもよく、その置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはアルカノイルオキシ基などの、前述のアルキル基におけると同様の置換基があげられる。
【0033】
R1およびR2に相当するアリ−ル(aryl)基としては、例えばフェニル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルなどの基があげられる。
R1およびR2に相当するアラルキル基としては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチルまたは6−フェニルヘキシルなどのアルキル部分の炭素数が1〜6であるアラルキル基があげられる。
【0034】
上記アリ−ル基およびアラルキル基は、置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基またはエステル化されていてもよいカルボキシル基、シアノ基などの他、前述と同様の炭素数1〜6のアルキル基や炭素数1〜6のアルコキシ基などがあげられる。これらの置換位置については、特に限定されない。
【0035】
本発明のスチルベン誘導体(1)には中心スチルベン環基への置換位置の違いによって、下記の一般式(11)〜(13)が含まれるが、とりわけ一般式(11)または(12)で表されるスチルベン誘導体が好適である。
【0036】
【化11】
【0037】
(式中、R1〜R4は前記と同意義である。)
一般式(1)で表されるスチルベン誘導体の具体例として、基R1〜R4に相当する置換基を下記の表1〜3に示す。表1〜3中、化合物番号が「11−」で始まるものは一般式(11)に含まれるスチルベン誘導体であリ、化合物番号が「12−」で始まるものは一般式(12)に含まれるスチルベン誘導体であり、また化合物番号が「13−」で始まるものは一般式(13)に含まれるスチルベン誘導体である。また、表1〜3中、Hは水素原子、Meはメチル基、Etはエチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtertiary−ブチル基、s−Buはsecondary−ブチル基、Phはフェニル基、Bzlはベンジル基を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
〔スチルベン誘導体の製造方法〕
本発明のスチルベン誘導体(1)の合成方法を、R1とR3が同一の基で、かつR2とR4が同一の基である場合を例にとって説明する。
反応式(I) :
【0042】
【化12】
【0043】
(式中、R1およびR4は前記と同意義である。)
この反応は、一般式(2)で表されるトリフェニルアミンのホルミル体とビスリン酸エステル誘導体(3)とを適当な無水溶媒中で、塩基の存在下で反応させるものであって、これにより一般式(1-a) で表される本発明のスチルベン誘導体が得られる。
【0044】
上記反応に使用する溶媒としては、反応自体に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素があげられる。
上記塩基としては、ナトリウムメトキシドなどのナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウムなどの金属水素化物があげられる。
【0045】
一般式(3)のビスリン酸エステル誘導体に対する塩基の使用量は、少なくとも2〜4倍モル量、好ましくは2〜2.5倍モル量である。化合物(2)の使用量は、リン酸エステル誘導体(3)に対して1.8〜2.5倍モル量、好ましくは1.95〜2.05倍モル量である。反応は、通常−10〜25℃で行われ、3〜12時間程度で終了する。
【0046】
反応式(II):
【0047】
【化13】
【0048】
(式中、R1およびR2は前記と同意義である。)
この反応は、アニリン誘導体(4)とヨードベンゼン(90)とをニトロベンゼン中に加え、無水炭酸カリウム、銅等の触媒とともに反応させることにより、トリフェニルアミン誘導体(5)を得、ついで、このトリフェニルアミン誘導体(5)をフィルスマイヤー法によりホルミル化することにより、上記反応式(1)の出発原料であるトリフェニルアミンのホルミル体(2)を得るものである。
【0049】
前記アニリン誘導体(4)とヨードベンゼン(90)との使用割合は、モル比で1:1.7〜3、好ましくは1:1.8〜2.2である。反応は、通常160〜220℃で行われ、4〜30時間程度で終了する。
前記フィルスマイヤー法に使用する試薬(Vilsmeier 試薬)は、(i) オキシ塩化リン、ホスゲン、塩化オキサリル、塩化チオニル、トリフェニルホスフィン−臭素、ヘキサクロロトリホスファザトリエン等のハロゲン化剤と、(ii)N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルホルムアニリド(MFA)、N−ホルミルモルホリン、N,N−ジイソプロピルホルムアミド等との組み合わせにより調製される。特に本発明では、オキシ塩化リンと、溶媒としても使用できるDMFとの組み合わせが好適に用いられる。
【0050】
フィルスマイヤー試薬の調製において、前記(i) と(ii)との使用割合は、通常モル比で1:1〜2、好ましくは1:1〜1.2である。フィルスマイヤー試薬の使用量は、トリフェニルアミン誘導体(5)に対して0.9〜2倍モル量、好ましくは1〜1.1倍モル量である。前記化合物(5)のホルミル化は、通常40〜80℃で行われ、2〜5時間程度で終了する。
【0051】
なお、本発明のスチルベン誘導体(1)においてR1および/またはR2が置換基を有するアルキル基、例えばR1がヒドロキシルアルキル基であるスチルベン誘導体を合成する場合には、ヒドロキシルアルキル基を有するアニリン誘導体を出発原料として合成してもよいし、R1がアルキル基であるスチルベン誘導体を合成した後にそのアルキル基を慣用方法(例えば、酸化など)によりヒドロキシルアルキル基へと変換してもよい。
【0052】
反応式(III) :
【0053】
【化14】
【0054】
(式中、Xはハロゲン原子を示す。)
この反応は、ビスハロゲノメチルスチルベン(91)に亜リン酸トリエステルを無溶媒または適当な溶媒中にて反応させることにより、上記反応式(1)の出発原料であるビスリン酸エステル誘導体(3)を得るものである。その際、第三級アミンを添加すると、反応系からハロゲン化アルキルが除去され、反応が促進する。
【0055】
上記反応に使用する溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミドがあげられる。
上記第三級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどがあげられる。
【0056】
ビスハロゲノメチルスチルベン(91)に対する亜リン酸トリエステルの使用量は、少なくとも2倍モル量、好ましくは2〜2.4倍モル量である。反応は、通常、80〜150℃で行われ、1〜4時間程度で終了する。
反応式(IV):
【0057】
【化15】
【0058】
(式中、RおよびR'は、同一または異なって炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは前記と同意義である。)
この反応は、ハロゲン化メチル安息香酸(97)をエステル化反応に付し、得られたエステル体(98)に亜リン酸トリステルを反応させてモノリン酸エステル誘導体(99)を得、次いでアルデヒド安息香酸エステルを反応させてスチルベンジカルボン酸エステル(100)を得、この化合物を還元反応に付してスチルベンジヒドロキシメチル(101)を調製した後、ハロゲン化剤と反応させることにより、反応工程式(III)の出発原料である化合物(91)を得るものである。
【0059】
上記のエステル化反応は、例えば触媒の存在下でハロゲン化メチル安息香酸(97)に一般式:R−OH(式中、Rは前記と同意義である。)で表されるアルコール類を反応させることにより行われる。使用される触媒としては、エステル化反応に慣用の触媒が用いられ、具体的には塩化水素、濃硫酸、リン酸、ポリリン酸、三フッ化ホウ素、過塩素酸等の無機酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸、トリクロロメタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸無水物、塩化チオニル等の触媒があげられる。
【0060】
上記のエステル化反応は、無溶媒または適当な触媒の存在下に行われる。該溶媒としては、エステル化反応に慣用の溶媒であればいずれも使用でき、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類などがあげられる。
【0061】
化合物(97)に対するアルコール類の使用割合は、1〜3倍モル量、好ましくは1.5〜2.0倍モル量とするのがよい。また、反応温度は80〜160℃、好ましくは100〜150℃で行うのがよい。
化合物(98)から化合物(99)を得る反応は、無溶媒または適当な溶媒中で行なわれ、その際、第三級アミンを添加すると、反応系からハロゲン化アルキルが除去され、反応が促進する。
【0062】
上記反応に使用する溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等ノエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミドがあげられる。
上記第三級アミンとしては、例えば取トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどがあげられる。
【0063】
化合物(98)に対する亜リン酸トリエステルの使用量は、少なくとも等モル量、好ましくは1〜1.2倍モル量である。反応は、通常、80〜150℃で行なわれ、1〜4時間程度で終了する。
化合物(99)から化合物(100)を得る反応は、前記の反応式(1)に準じて実施できる。ここで、化合物(99)のリン酸エステル誘導体に対する塩基の使用量は、少なくとも1〜2倍モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量である。また化合物(99a)の使用量は、化合物(99)に対して0.9〜1.3倍モル量、好ましくは0.98〜1.02倍モル量である。反応は、通常、−10〜25℃で行なわれ、3〜10時間程度で終了する。
【0064】
化合物(100)から化合物(101)を得る反応は、適当な溶媒中で行われる。上記溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等があげられる。
また、この反応に用いられる水素化還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化アルミニウム、水素化ジイソプロピルアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムー塩化アルミニウム、ジボラン等があげられる。化合物(100)に対する水素化還元剤の使用量は、少なくとも2倍モル量、好ましくは2〜2.2倍モル量程度が適当である。反応は、通常、氷冷下〜120℃、好ましくは30〜80℃で行われ、約1〜20時間で終了する。
【0065】
化合物(101)から化合物(91)を得る反応は、無溶媒または適当な溶媒中で行われる。この反応に用いられる溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素があげられる。この反応は、触媒の存在下で行うのが好ましく、その触媒としては、ピリジン、DMF,ピコリン、HMPA等があげられる。
【0066】
また、この反応に用いられるハロゲン化剤としては、例えば塩化チオニル、臭化チオニル、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素、三塩化リン、三臭化リン等のハロゲン化リンがあげられる。
化合物(99)に対するハロゲン化剤の使用量は、少なくとも2倍モル量、好ましくは2〜5倍モル量である。反応は、氷冷下〜120℃、好ましくは40〜100℃程度で行われ、約1〜18時間で終了する。
【0067】
次に、スチルベン誘導体の合成において、基R1とR3またはR2とR4が異なる基である場合には、上記一般式(3)のリン酸エステル誘導体に代えてモノリン酸エステル誘導体を、順次、異なる基を有するトリフェニルアミンのホルミル体(2)に反応させることにより、合成される。
具体的には、下記反応式(IV)に示すように、まず、式(92)の化合物に亜リン酸トリエステルを反応させてモノリン酸エステル(93)を得、ついで、これに上記トリフェニルアミンのホルミル体(2)を反応させてモノスチルベン誘導体(94)を得、さらにそれをクロロ化した化合物(95)を得る。
【0068】
反応式(IV):
【0069】
【化16】
【0070】
(式中、X,R1およびR2は前記と同意義である。)
次いで、下記反応式(V) に示すように、上記化合物(95)に亜リン酸トリエステルを反応させて化合物(96)を得、これにトリフェニルアミンのホルミル体(2')を反応させることにより、スチルベン誘導体(1')が得られる。
反応式(V) :
【0071】
【化17】
【0072】
(式中、X,R1〜R4は前記と同意義である。)
一般式(1)で表されるスチルベン誘導体は、前述のように電荷移動度が大きく、すなわち高い正孔輸送能を有することから、電子写真感光体における正孔輸送剤として好適に使用されるほか、太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子等の種々の分野での利用が可能である。
次に、本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含有した感光層を、導電性基体上に設けたものである。感光体には、前述のように単層型と積層型とがあるが、本発明はこのいずれにも適用可能である。
【0073】
単層型感光体は、導電性基体上に単一の感光層を設けたものである。この感光層は、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)、電荷発生剤、結着樹脂、さらに必要に応じて電子輸送剤を適当な溶媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることで形成される。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単で生産性に優れている。
【0074】
本発明の単層型電子写真感光体は、従来の単層型電子写真感光体に比べて、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度が向上している。
一方、積層型感光体は、まず導電性基体上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層を形成し、次いでこの電荷発生層上に、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)の少なくとも1種と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成することによって作製される。また、上記とは逆に、導電性基体上に電荷輸送層を形成し、その上に電荷発生層を形成してもよい。但し、電荷発生層は電荷輸送層に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成するのが好ましい。
【0075】
積層型感光体は、上記電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、上記のように、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送剤として、本発明のスチルベン誘導体(1) のような正孔輸送剤を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。
【0076】
本発明の積層型電子写真感光体は、従来のスチルベン誘導体を正孔輸送剤として使用した積層型電子写真感光体に比べて、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度が向上している。
前述のように、本発明の電子写真感光体は、単層型および積層型のいずれにも適用できるが、特に正負いずれの帯電型にも使用できること、構造が簡単で製造が容易であること、層を形成する際の被膜欠陥を抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上できること等の観点から、単層型が好ましい。
【0077】
次に、本発明の電子写真感光体に用いられる種々の材料について説明する。
《電荷発生剤》
本発明に用いられる電荷発生剤としては、例えば下記の一般式(CG1) 〜(CG12)で表される化合物があげられる。
(CG1) 無金属フタロシアニン
【0078】
【化18】
【0079】
(CG2) オキソチタニルフタロシアニン
【0080】
【化19】
【0081】
(CG3) ペリレン顔料
【0082】
【化20】
【0083】
(式中、Rg1およびRg2は同一または異なって、炭素数が18以下の置換または未置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカノイル基またはアラルキル基を示す。)
(CG4) ビスアゾ顔料
【0084】
【化21】
【0085】
〔式中、CP1およびCP2は同一または異なってカップラー残基を示し、Qは次式:
【0086】
【化22】
【0087】
(式中、Rg3は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環式基を示し、アルキル基、アリール基または複素環式基は置換基を有していてもよい。ωは0または1を示す。)
【0088】
【化23】
【0089】
(式中、Rg4およびRg5は同一または異なって、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
【0090】
【化24】
【0091】
(式中、Rg6は水素原子、エチル基、クロロエチル基またはヒドロキシエチル基を示す。)
【0092】
【化25】
【0093】
または
【0094】
【化26】
【0095】
(式中、Rg7、Rg8およびRg9は同一または異なって、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
で表される基を示す。〕
(CG5) ジチオケトピロロピロール顔料
【0096】
【化27】
【0097】
(式中、Rg10およびRg11は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示し、Rg12およびRg13は同一または異なって、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。)
(CG6) 無金属ナフタロシアニン顔料
【0098】
【化28】
【0099】
(式中、Rg14、Rg15、Rg16およびRg17は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。)
(CG7) 金属ナフタロシアニン顔料
【0100】
【化29】
【0101】
(式中、Rg18、Rg19、Rg20およびRg21は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示し、MはTiまたはVを示す。)
(CG8) スクアライン顔料
【0102】
【化30】
【0103】
(式中、Rg22およびRg23は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。)
(CG9) トリスアゾ顔料
【0104】
【化31】
【0105】
(式中、CP3、CP4およびCP5は同一または異なって、カップラー残基を示す。)
(CG10)インジゴ顔料
【0106】
【化32】
【0107】
(式中、Rg24およびRg25は同一または異なって、水素原子、アルキル基またはアリール基を示し、Zは酸素原子または硫黄原子を示す。)
(CG11)アズレニウム顔料
【0108】
【化33】
【0109】
(式中、Rg26およびRg27は同一または異なって、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。)
(CG12)シアニン顔料
【0110】
【化34】
【0111】
(式中、Rg28およびRg29は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示し、Rg30およびRg31は同一または異なって、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。)
上記例示の電荷発生剤において、アルキル基としては、前述と同様な基のほか、n−ペンチル、n−ヘキシル等の炭素数5〜6の基が含まれる。炭素数18以下の置換または未置換のアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基に加えて、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、ペンタデシル、オクタデシル等を含む基である。
【0112】
シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3〜8の基があげられる。 アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等の炭素数が1〜6の基があげられる。
【0113】
アリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等の基があげられる。アルカノイル基としては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル等があげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
複素環式基としては、例えばチエニル、フリル、ピロリル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、2H−イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラニル、ピリジル、ピペリジル、ピペリジノ、3−モルホリニル、モルホリノ、チアゾリル等があげられる。また、芳香族環と縮合した複素環式基であってもよい。
【0114】
上記基に置換してもよい置換基としては、例えばハロゲン原子、アミノ基、水酸基、エステル化されてもよいカルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基等があげられる。
CP1、CP2、CP3、CP4およびCP5で表されるカップラー残基としては、例えば下記一般式(Cp-1)〜(Cp-11) に示す基があげられる。
【0115】
【化35】
【0116】
【化36】
【0117】
各式中、Rg32は、カルバモイル基、スルファモイル基、アロファノイル基、オキサモイル基、アントラニロイル基、カルバゾイル基、グリシル基、ヒダントイル基、フタルアモイル基またはスクシンアモイル基を示す。これらの基は、ハロゲン原子、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、カルボニル基、カルボキシル基等の置換基を有していてもよい。
【0118】
Rg33は、ベンゼン環と縮合して芳香族環、多環式炭化水素または複素環を形成するのに必要な原子団を示し、これらの環は前記と同様な置換基を有してもよい。
Rg34は、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基を示す。
Rg35は、2価の鎖式炭化水素基または芳香族炭化水素基を示し、これらの基は前記と同様な置換基を有してもよい。
【0119】
Rg36は、アルキル基、アラルキル基、アリール基または複素環式基を表し、これらの基は前記と同様な置換基を有してもよい。
Rg37は、2価の鎖式炭化水素基もしくは芳香族炭化水素基とともに、または上記基(Cp-1)〜(Cp-11) 中の2つの窒素原子とともに複素環を形成するのに必要な原子団を表し、これらの環は前記と同様な置換基を有してもよい。
【0120】
Rg38は、水素原子、アルキル基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アロファノイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基またはシアノ基を示し、水素原子以外の基は前記と同様な置換基を有していてもよい。
Rg39は、アルキル基またはアリール基を示し、これらの基は前記と同様な置換基を有してもよい。
【0121】
アルケニル基としては、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチルアリル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル等の炭素数が2〜6のアルケニル基があげられる。
前記Rg33において、ベンゼン環と縮合して芳香族環を形成するのに必要な原子団としては、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等の炭素数1〜4のアルキレン基があげられる。
【0122】
上記Rg33とベンゼン環との縮合により形成される芳香族環としては、例えばナフタリン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環等があげられる。
またRg33において、ベンゼン環と縮合して多環式炭化水素を形成するのに必要な原子団としては、例えば上記炭素数1〜4のアルキレン基や、あるいはカルバゾール環、ベンゾカルバゾール環、ジベンゾフラン環等があげられる。
【0123】
またRg33において、ベンゼン環と縮合して複素環を形成するのに必要な原子団としては、例えばベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、1H−インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−インダドリル、ベンゾイミダゾリル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾニリル、キノキサリニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、キサンテニル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェナジニル、フェノキサジニル、チアントレニル等があげられる。
【0124】
上記Rg33とベンゼン環との縮合により形成される芳香族性複素環式基としては、例えばチエニル、フリル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、チアゾリルがあげられる。また、さらに他の芳香族環と縮合した複素環式基(例えばベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル等)であってもよい。
【0125】
前記Rg35、Rg37において、2価の鎖式炭化水素基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等があげられ、2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン、ナフチレン、フェナントリレン等があげられる。
前記Rg36において、複素環式基としては、ピリジル、ピラジル、チエニル、ピラニル、インドリル等があげられる。
【0126】
前記Rg37において、2つの窒素原子とともに複素環を形成するのに必要な原子団としては、例えばフェニレン、ナフチレン、フェナントリレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等があげられる。
上記Rg37と、2つの窒素原子とにより形成される芳香族性複素環式基としては、例えばベンゾイミダゾール、ベンゾ[f]ベンゾイミダゾール、ジベンゾ[e,g]ベンゾイミダゾール、ベンゾピリミジン等があげられる。これらの基は前記と同様な置換基を有してもよい。
【0127】
前記Rg38において、アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等の基があげられる。
本発明においては、上記例示の電荷発生剤のほかに、例えばセレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の無機光導電材料の粉末や、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等の従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
【0128】
また、上記例示の電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
上記例示の電荷発生剤のうち、特に半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば前記一般式(CG1) で表される無金属フタロシアニンや一般式(CG2) で表されるオキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料が好適に用いられる。なお、上記フタロシアニン系顔料の結晶形については特に限定されず、種々のものを使用できる。
【0129】
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば前記一般式(CG3) で表されるペリレン顔料や一般式(CG4) で表されるビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
《正孔輸送剤》
本発明の電子写真感光体においては、正孔輸送剤である本発明のスチルベン誘導体(1)とともに、従来公知の他の正孔輸送剤を感光層に含有させてもよい。
【0130】
かかる正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えば下記の一般式(HT1) 〜(HT13)で表される化合物等があげられる。
【0131】
【化37】
【0132】
(式中、Rh1、Rh2、Rh3、Rh4、Rh5およびRh6は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。aおよびbは同一または異なって0〜4の整数を示し、c、d、eおよびfは同一または異なって0〜5の整数を示す。但し、a、b、c、d、eまたはfが2以上のとき、各Rh1、Rh2、Rh3、Rh4、Rh5およびRh6は異なっていてもよい。)
【0133】
【化38】
【0134】
(式中、Rh7、Rh8、Rh9、Rh10およびRh11は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。g、h、iおよびjは同一または異なって0〜5の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。但し、g、h、i、jまたはkが2以上のとき、各Rh7、Rh8、Rh9、Rh10およびRh11は異なっていてもよい。)
【0135】
【化39】
【0136】
(式中、Rh12、Rh13、Rh14およびRh15は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。Rh16はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。m、n、oおよびpは同一または異なって、0〜5の整数を示す。qは0〜6の整数を示す。但し、m、n、o、pまたはqが2以上のとき、各Rh12、Rh13、Rh14、Rh15およびRh16は異なっていてもよい。)
【0137】
【化40】
【0138】
(式中、Rh17、Rh18、Rh19およびRh20は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。r、s、tおよびuは同一または異なって、0〜5の整数を示す。但し、r、s、tまたはuが2以上のとき、各Rh17、Rh18、Rh19およびRh20は異なっていてもよい。)
【0139】
【化41】
【0140】
(式中、Rh21およびRh22は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。Rh23、Rh24、Rh25およびRh26は同一または異なって、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。)
【0141】
【化42】
【0142】
(式中、Rh27、Rh28およびRh29は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。)
【0143】
【化43】
【0144】
(式中、Rh30、Rh31、Rh32およびRh33は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。)
【0145】
【化44】
【0146】
(式中、Rh34、Rh35、Rh36、Rh37およびRh38は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。)
【0147】
【化45】
【0148】
(式中、Rh39は水素原子またはアルキル基を示し、Rh40、Rh41およびRh42は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。)
【0149】
【化46】
【0150】
(式中、Rh43、Rh44およびRh45は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。)
【0151】
【化47】
【0152】
(式中、Rh46およびRh47は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアルコキシ基を示す。Rh48およびRh49は同一または異なって、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。)
【0153】
【化48】
【0154】
(式中、Rh50、Rh51、Rh52、Rh53、Rh54およびRh55は同一または異なって、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。αは1〜10の整数を示し、v、w、x、y、zおよびβは同一または異なって0〜2の整数を示す。但し、v、w、x、y、zまたはβが2のとき、各Rh50、Rh51、Rh52、Rh53、Rh54およびRh55は異なっていてもよい。)
【0155】
【化49】
【0156】
(式中、Rh56、Rh57、Rh58およびRh59は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、Φは次式:
【0157】
【化50】
【0158】
で表される基(Φ−1)、(Φ−2)または(Φ−3)を示す。)
上記例示の正孔輸送剤において、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基およびハロゲン原子としては、前述と同様な基があげられる。
上記基に置換してもよい置換基としては、例えばハロゲン原子、アミノ基、水酸基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基等があげられる。置換基の置換位置については特に限定されない。
【0159】
また本発明においては、上記例示の正孔輸送剤(HT1) 〜(HT13)とともに、またはこれに代えて、従来公知の正孔輸送物質、すなわち2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等を用いることもできる。
【0160】
本発明において、正孔輸送剤は1種のみを用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。また、ポリビニルカルバゾール等の成膜性を有する正孔輸送剤を用いる場合には、結着樹脂は必ずしも必要でない。
《電子輸送剤》
本発明に用いられる電子輸送剤としては、高い電子輸送能を有する種々の化合物、例えば下記の一般式(ET1) 〜(ET17)で表される化合物等があげられる。
【0161】
【化51】
【0162】
(式中、Re1、Re2、Re3、Re4およびRe5は同一または異なって、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいフェノキシ基またはハロゲン原子を示す。)
【0163】
【化52】
【0164】
(式中、Re6はアルキル基、Re7は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基を示す。γは0〜5の整数を示す。但し、γが2以上のとき、各Re7は互いに異なっていてもよい。)
【0165】
【化53】
【0166】
(式中、Re8およびRe9は同一または異なって、アルキル基を示す。δは1〜4の整数を示し、εは0〜4の整数を示す。但し、δおよびεが2以上のとき、各Re8およびRe9は異なっていてもよい。)
【0167】
【化54】
【0168】
(式中、Re10はアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示す。ζは0〜4、ηは0〜5の整数を示す。但し、ηが2以上のとき、各Re10は異なっていてもよい。)
【0169】
【化55】
【0170】
(式中、Re11はアルキル基を示し、σは1〜4の整数を示す。但し、σが2以上のとき、各Re11は異なっていてもよい。)
【0171】
【化56】
【0172】
(式中、Re12およびRe13は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基またはシアノ基を示す。Xは酸素原子、=N−CN基または=C(CN)2 基を示す。)
【0173】
【化57】
【0174】
(式中、Re14は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を示し、Re15はハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基、シアノ基またはニトロ基を示す。λは0〜3の整数を示す。但し、λが2以上のとき、各Re15は互いに異なっていてもよい。)
【0175】
【化58】
【0176】
(式中、θは1〜2の整数を示す。)
【0177】
【化59】
【0178】
(式中、Re16およびRe17は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基を示す。νおよびξは0〜3の整数を示す。但し、νまたはξが2以上のとき、各Re16およびRe17は互いに異なっていてもよい。)
【0179】
【化60】
【0180】
(式中、Re18およびRe19は同一または異なって、フェニル基、縮合多環式基または複素環式基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。)
【0181】
【化61】
【0182】
(式中、Re20はアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキル基またはフェニル基を示し、πは1〜2の整数を示す。但し、πが2のとき、各Re20は互いに異なっていてもよい。)
【0183】
【化62】
【0184】
(式中、Re21は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアラルキル基を示す。)
【0185】
【化63】
【0186】
(式中、Re22はハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基、シアノ基またはニトロ基を示す。μは0〜3の整数を示す。但し、μが2以上のとき、各Re22は互いに異なっていてもよい。)
【0187】
【化64】
【0188】
(式中、Re23は置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し、Re24は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または基:
−O−Re24a
を示す。上記基中のRe24aは、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。)
【0189】
【化65】
【0190】
(式中、Re25、Re26、Re27、Re28、Re29、Re30およびRe31は同一または異なってアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基を示す。χおよびφは同一または異なって0〜4の整数を示す。)
【0191】
【化66】
【0192】
(式中、Re32およびRe33は同一または異なってアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基を示す。τおよびψは同一または異なって0〜4の整数を示す。)
【0193】
【化67】
【0194】
(式中、Re34、Re35、Re36およびRe37は同一または異なって水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基またはアミノ基を示す。但し、Re34、Re35、Re36、Re37のうち少なくとも2つは、水素原子でない同一の基である。)
上記例示の電子輸送剤において、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、複素環式基およびハロゲン原子としては、前述と同様な基があげられる。
【0195】
ハロゲン化アルキル基におけるアルキル基およびハロゲン原子としては、前述と同様な基があげられる。
縮合多環式基としては、例えばナフチル、フェナントリル、アントリル等があげられる。アラルキルオキシカルボニル基としては、アラルキル部分が前述した各種のアラルキル基であるものがあげられる。N−アルキルカルバモイル基としては、アルキル部分が前述した各種のアルキル基であるものがあげられる。
【0196】
ジアルキルアミノ基としては、アルキル部分が前述した各種のアルキル基であるものがあげられる。なおアミノに置換する2つのアルキルは同一でも、互いに異なっていてもよい。
上記各基に置換してもよい置換基としては、例えばハロゲン原子、アミノ基、水酸基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基等があげられる。置換基の置換位置については特に限定されない。
【0197】
また本発明においては、上記例示のほかに従来公知の電子輸送物質、すなわち例えばベンゾキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等を用いることができる。
【0198】
本発明において、電子輸送剤は1種のみを用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
《結着樹脂》
上記各成分を分散させるための結着樹脂は、従来、感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えばスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
【0199】
感光層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
【0200】
単層型感光体において、電荷発生剤は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すればよい。本発明のスチルベン誘導体(1)正孔輸送剤)は、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部の割合で配合すればよい。電子輸送剤を含有させる場合、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部とするのが適当である。また、単層型感光体における感光層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
【0201】
積層型感光体において、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷発生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に正孔輸送剤を含有させる場合は、正孔輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは50〜200重量部とするのが適当である。
【0202】
電荷輸送層を構成する正孔輸送剤と結着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しない範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるように、結着樹脂100重量部に対して、本発明のスチルベン誘導体(1) (正孔輸送剤)を10〜500重量部、好ましくは25〜200樹脂の割合で配合するのが適当である。電荷輸送層に電子輸送剤を含有させる場合は、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部とするのが適当である。
【0203】
積層型感光体における感光層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
単層型感光体においては、導電性基体と感光層との間に、また積層型感光体においては、導電性基体と電荷発生層との間、導電性基体と電荷輸送層との間または電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。また、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよい。
【0204】
上記感光層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
【0205】
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
前記感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
【0206】
上記分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0207】
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0208】
【実施例】
本発明を参考例、合成例、実施例および比較例に基づいてさらに説明する。
《スチルベン誘導体の合成》
参考例1
〔α,α'―ジクロロメチルスチルベン(91')の合成〕
標記化合物を下記反応式に沿って合成した。
【0209】
【化68】
【0210】
1)ディーンスタークおよび還流管を備えたフラスコに、パラクロロメチル安息香酸(97')17g、n−ブタノール11.1g(1.5倍モル)、溶媒としてトルエンを300ml加え、8時間還流した。反応終了後、生成物をメタノールから再結晶してクロロメチル安息香酸ブチル(98')を18g得た(収率80%)。
【0211】
2)上記化合物(98)に、亜リン酸トリエステルを反応させてモノリン酸エステル誘導体(99')を得た。この化合物(99')に、p−アルデヒド安息香酸メチルを反応させて、スチルベンジカルボン酸エステル(100')を得た。
すなわち,還流管を備えたフラスコに、化合物(98)10g、亜リン酸トリエステル8.3g(1.2倍モル)を取り、3時間還流した。反応終了後、生成物をヘキサンから再結晶してモノリンサンエステル体(99')を13.3g得た(収率92%)。モノリン酸エステル10gと脱気乾燥した水素化ナトリウム0.73g(等モル)とをTHF200ml中に加え氷冷した。これに、THF50mlに溶解したp−アルデヒド安息香酸メチル7.28g(1.01倍モル)を滴下し、室温で約3時間反応させた。反応後、約2%の希塩酸水溶液400mlに加え、析出した結晶を濾過し、水洗した。その結晶を乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン混合溶媒)で精製して化合物(100')を得た。収量14.27g(収率87%)
3)アルゴン雰囲気下に還流管を備えたフラスコに、1.12g(2倍モル)の水素化アルミニウムリチウム(還元剤、LAH)を含むテトロヒドロフラン(THF)溶液を加え、これにスチルベンジカルボン酸エステル(100')10gを含むTHF溶液50mlを滴下した。次いで、室温で約6時間攪拌した後、反応液を氷浴にあけ、生成物を酢酸エチルで抽出し、十分に水洗した。酢酸エチルを留去して、スチルベンジヒドロキシメチル(101')6.53gを得た(収率92%)。
【0212】
4)還流管を備えたフラスコに、スチルベンビスヒドロキシメチル(96')を5gと、溶媒と試薬を兼ねた塩化チオニル10g、および相関移動触媒としてピリジンの触媒量を加え、8時間還流した。反応終了後、溶媒を留去し、生成物をメタノールから再結晶して、標記化合物α,α'―ジクロロメチルスチルベン(91')4.61gを得た(収率80%)。
【0213】
参考例2
〔ビスリン酸エステル(3)の合成〕
α,α'―ジクロロメチルスチルベン(91')4.5gに対して亜リン酸トリエステル6.47g(2.4倍モル)を加え、3時間還流した後、溶媒を留去し、ヘキサンから再結晶して、下記式の化合物ビスリン酸エステル(3p)6.79gを得た(収率87%)。
【0214】
【化69】
【0215】
上記と同様にして、メタクロロメチル安息香酸を原料化合物として上記式(3m)で表されるビスリン酸エステル誘導体を、またオルソクロロメチル安息香酸を原料化合物として上記式(3m)で表されるビスリン酸エステル誘導体をそれぞれ得た。
参考例3
〔2,6−ジメチルトリフェニルアミンの合成〕
2,6−ジメチルアニリン15g(124ミリモル)、ヨードベンゼン50g(245ミリモル)、無水炭酸カリウム17g(123ミリモル)および粉末銅1g(16ミリモル)をニトロベンゼン150ミリリットル中に加え、還流下、約24時間反応させた。反応後、無機塩を除去し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン混合溶媒)で精製して、標記化合物28.8gを得た(収率85%)。
【0216】
参考例4
〔2−メチル−6−エチルトリフェニルアミンの合成〕
2,6−ジメチルアニリンに代えて6−エチル−0−トルイジンを同モル量用いた以外は参考例1と同様に反応を行い、標記化合物31.0gを得た(収率85%)。
【0217】
参考例5
〔2,6−ジエチルトリフェニルアミンの合成〕
2,6−ジメチルアニリンに代えて2,6−ジエチルアニリンを同モル量用いた以外は参考例1と同様に反応を行い、標記化合物31.0gを得た(収率83%)。
【0218】
参考例6
〔2―イソプロピルー6−メチルトリフェニルアミンの合成〕
2,6−ジメチルアニリンに代えて6−イソプロピル−o−トルイジンを同モル量用いた以外は参考例1と同様に反応を行い、標記化合物3.4gを得た(収率84%)。
【0219】
参考例7
〔2−イソプロピルー6−エチルトリフェニルアミンの合成〕
2,6−ジメチルアニリンに代えて2−エチル−6−イソプロピルアニリンを同モル量用いた以外は参考例1と同様に反応を行い、標記化合物31.3gを得た(収率80%)。
【0220】
参考例8
〔2−t−ブチル−6−メチルトリフェニルアミンの合成〕
2,6−ジメチルアニリンに代えて6,5−ブチル−6−トルイジンを同モル量用いた以外は参考例1と同様に反応を行い、標記化合物30.1gを得た(収率77%)。
【0221】
参考例9
〔2−s−ブチル−6−エチルトリフェニルアミンの合成〕
2,6−ジメチルアニリンに代えて2−エチル−6−5−ブチルアニリンを同モル量用いた以外は参考例1と同様に反応を行い、標記化合物31.3gを得た(収率80%)。
参考例10
〔2、6−ジメチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンの合成〕
2,6−ジメチルトリフェニルアミン28g(102ミリモル)をジメチルホルムアミド(DMF)300ミリリットルに溶解し、オキシ塩化リン酸16g(104ミリモル)を加えて40℃で1時間反応させた。反応後、水300ミリリットル中に加え、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機層を水洗乾燥して溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン混合溶媒)で精製して、標記化合物26.8g(収率87%)を得た。
【0222】
参考例11
〔2−メチル−6−エチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンの合成)
2,6−ジメチルトリフェニルアミンに代えて2−メチル−6−エチルトリフェニルアミンを同モル量用いた以外は参考例10と同様に反応を行い、標記化合物28.2gを得た(収率87%)。
【0223】
参考例12
〔2,6−ジエチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンの合成)
2,6−ジメチルトリフェニルアミンに代えて2,6−ジエチルトリフェニルアミンを同モル量用いた以外は参考例11と同様に反応を行い、標記化合物27.1gを得た(収率80%)。
【0224】
参考例13
〔2−イソプロピルー6―メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンの合成)2,6−ジメチルトリフェニルアミンに代えて2―イソプロピル−6−メチルトリフェニルアミンを同モル量用いた以外は参考例11と同様に反応を行い、標記化合物28.6gを得た(収率85%)。
【0225】
参考例14
〔2−イソプロピルー6―エチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンの合成)2,6−ジメチルトリフェニルアミンに代えて2―イソプロピル−6−エチルトリフェニルアミンを同モル量用いた以外は参考例11と同様に反応を行い、標記化合物28gを得た(収率80%)。
【0226】
参考例15
〔2−t−ブチルー6―メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンの合成)
2,6−ジメチルトリフェニルアミンに代えて2―t−ブチル−6−メチルトリフェニルアミンを同モル量用いた以外は参考例11と同様に反応を行い、標記化合物27.3gを得た(収率78%)。
【0227】
参考例16
〔2−s−ブチルー6―エチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンの合成)
2,6−ジメチルトリフェニルアミンに代えて2―s−ブチル−6−エチルトリフェニルアミンを同モル量用いた以外は参考例11と同様に反応を行い、標記化合物28.8gを得た(収率79%)。
【0228】
合成例1〔スチルベン誘導体(11−1 )の合成〕
上記式(3p)で表されるビスリン酸エステル7.5g(15.6ミリモル)と脱気乾燥した水素化ナトリウム0.75g(31.2ミリモル)とをテトラヒドロフラン200ミリリットル中に加え、氷冷した。これに、テトラヒドロフラン に溶解した2,6−ジメチル−4’−ホルミルトリフェニルアミン9.5g(31.5ミリモル)を滴下し、室温で約3時間反応させた。反応後、約2%の希塩酸水溶液400ミリリットルに加え、析出した結晶をろ過し、水洗した。結晶を乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン混合溶媒)で精製して、前記表1において化合物番号11−1で示したスチルベン誘導体8.1gを得た(収率67%)。
【0229】
合成例2〔スチルベン誘導体(11−2)の合成〕
2,6−ジメチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、2−エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンを同モル量用いたほかは、合成例1と同様にして反応を行い、前記表1において化合物番号11−2で示したスチルベン誘導体8.7gを得た(収率70%)。
【0230】
融点:141〜143℃
上記スチルベン誘導体(11−2)の赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
合成例3〔スチルベン誘導体(11−3)の合成〕
2,6−ジメチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、2,6−ジエチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンを同モル量用いたほかは、合成例1と同様にして反応を行い、前記表1において化合物番号11−3で示したスチルベン誘導体9.1を得た(収率70%)。
【0231】
合成例4〔スチルベン誘導体(11−4)の合成〕
2,6−ジメチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、2―イソプロピル、6−メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンを同モル量用いたほかは、合成例1と同様にして反応を行い、前記表1において化合物番号11−4で示したスチルベン誘導体8.8gを得た(収率68%)。
【0232】
合成例5〔スチルベン誘導体(11−5)の合成〕
2,6−ジメチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、2―イソプロピル、6−エチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンを同モル量用いたほかは、合成例1と同様にして反応を行い、前記表1において化合物番号11−5で示したスチルベン誘導体8.7gを得た(収率65%)。
【0233】
合成例6〔スチルベン誘導体(11−6)の合成〕
2,6−ジメチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、t―ブチル、6−メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンを同モル量用いたほかは、合成例1と同様にして反応を行い、前記表1において化合物番号11−6で示したスチルベン誘導体8.4gを得た(収率63%)。
【0234】
合成例7〔スチルベン誘導体(11−7)の合成〕
2,6−ジメチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンに代えて、2−s−ブチル、6−エチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンを同モル量用いたほかは、合成例1と同様にして反応を行い、前記表1において化合物番号11−7で示したスチルベン誘導体9.0gを得た(収率65%)。
【0235】
合成例8〔スチルベン誘導体(12−1)の合成〕
合成例1において、上記式(3p)で表されるビスリン酸エステルに代えて上記式(3m)で表されるビスリン酸エステルを同モル量用いたほかは、合成例1と同様にして反応を行い、前記表2において化合物番号12−3で示したスチルベン誘導体7.4gを得た(収率61%)。
【0236】
合成例9〜21
前記に準じた方法により、以下の化合物を合成した。
(合成例9)スチルベン誘導体(12−2) 収量8.1g(収率65%)
(合成例10)スチルベン誘導体(12−3) 収量8.2g(収率63%)
(合成例11)スチルベン誘導体(12−4) 収量8.3g(収率64%)
(合成例12)スチルベン誘導体(12−5) 収量8.0g(収率60%)
(合成例13)スチルベン誘導体(12−6) 収量7.8g(収率58%)
(合成例14)スチルベン誘導体(12−7) 収量8.3g(収率60%)
(合成例15)スチルベン誘導体(13−1) 収量8.6g(収率71%)
(合成例16)スチルベン誘導体(13−2) 収量8.8g(収率70%)
(合成例17)スチルベン誘導体(13−3) 収量9.1g(収率70%)
(合成例18)スチルベン誘導体(13−4) 収量8.7g(収率67%)
(合成例19)スチルベン誘導体(13−5) 収量8.4g(収率63%)
(合成例20)スチルベン誘導体(13−6) 収量8.4g(収率63%)
(合成例21)スチルベン誘導体(13−7) 収量9.7g(収率70%)
《電子写真感光体の製造》
(デジタル光源用単層型感光体)
実施例1
電荷発生剤にはX型無金属フタロシアニン(CG1-1) を用いた。正孔輸送剤には、前記表1の化合物番号(11−1)で表されるスチルベン誘導体を用いた。
【0237】
上記電荷発生剤5重量部、正孔輸送剤100重量部および結着樹脂(ポリカーボネート)100重量部を溶媒(テトラヒドロフラン)800重量部とともにボールミルにて50時間混合分散させて、単層型感光層用の塗布液を作製した。次いでこの塗布液を導電性基材(アルミニウム素管)上にディップコート法にて塗布し、100℃で30分間熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型感光層を有するデジタル光源用の単層型感光体を製造した。 実施例2
正孔輸送剤として、前記表1の化合物番号(11−2)で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0238】
実施例3
正孔輸送剤として、前記表1の化合物番号(11−3)で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例4
単層型感光層用の塗布液中に、さらに電子輸送剤として、式(ET17-1):
【0239】
【化70】
【0240】
で表されるジフェノキノン誘導体を30重量部配合したほかは、実施例1と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例5
正孔輸送剤として、前記表1の化合物番号(11−2)で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例4と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0241】
実施例6
正孔輸送剤として、前記表1の化合物番号(11−3)で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例7〜9
電子輸送剤として、式(ET14-1):
【0242】
【化71】
【0243】
で表されるナフトキノン誘導体を用いたほかは、実施例4〜6と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例10〜12
電子輸送剤として、式(ET14-2):
【0244】
【化72】
【0245】
で表されるナフトキノン誘導体を用いたほかは、実施例4〜6と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例13および14
正孔輸送剤として、前記表2の化合物番号(12−2)で表されるスチルベン誘導体または前記表3の化合物番号(13−2)で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0246】
実施例15および16
正孔輸送剤として、前記表2の化合物番号(12−2)で表されるスチルベン誘導体または前記表3の化合物番号(13−2)で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例4と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0247】
実施例17および18
正孔輸送剤として、前記表2の化合物番号(12−2)で表されるスチルベン誘導体または前記表3の化合物番号(13−2)で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例7と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0248】
実施例19および20
正孔輸送剤として、前記表2の化合物番号(12−2)で表されるスチルベン誘導体または前記表3の化合物番号(13−2)で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例10と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0249】
比較例1
正孔輸送剤として、式(6−1):
【0250】
【化73】
【0251】
で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
比較例2
正孔輸送剤として、式(6−2):
【0252】
【化74】
【0253】
で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
比較例3
正孔輸送剤として、式(6−3):
【0254】
【化75】
【0255】
で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
比較例4
正孔輸送剤として、式(6−4):
【0256】
【化76】
【0257】
で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
比較例5
正孔輸送剤として、式(6−5):
【0258】
【化77】
【0259】
で表されるスチルベン誘導体を用いたほかは、実施例1と同様にしてデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
上記実施例1〜20および比較例1〜5で得られた感光体について下記の電気特性試験(I) を行い、各感光体の電気特性を評価した。
電気特性試験(I)
ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機を用いて各感光体の表面に印加電圧を加え、その表面を+700±20Vに帯電させた後、表面電位Vo (V)を測定した。次いで、露光光源であるハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度8μJ/cm2 )を感光体の表面に照射(照射時間1.5秒)して、上記表面電位Vo が1/2になるのに要した時間を測定し、半減露光量E1/2 (μJ/cm2 )を算出した。また、露光開始から0.5秒経過した時点での表面電位を残留電位Vr (V)として測定した。
【0260】
上記各実施例および比較例で使用した電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤の種類と、電気特性の試験結果とを表4に示す。なお、以下の表において、電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤の種類はそれぞれの式番号または化合物に付した番号で示した。
【0261】
【表4】
【0262】
実施例21〜23
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例1〜3と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例24〜26
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例4〜6と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0263】
実施例27〜29
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例7〜9と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例30〜32
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例10〜12と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0264】
実施例33および34
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例13、14と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例35および36
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例15、16と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0265】
実施例37および38
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例17、18と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例39および40
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例19、20と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0266】
比較例6〜10
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、比較例1〜5と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
上記実施例21〜40および比較例6〜10で得られた感光体について前記電気特性試験(I) を行い、各感光体の電気特性を評価した。各実施例および比較例で使用した電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤の種類と、電気特性の試験結果とを表5に示す。
【0267】
【表5】
【0268】
実施例21〜23
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例1〜3と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例24〜26
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例4〜6と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0269】
実施例27〜29
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例7〜9と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例30〜32
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例10〜12と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0270】
実施例33および34
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例13、14と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例35および36
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例15、16と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0271】
実施例37および38
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例17、18と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例39および40
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例19、20と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0272】
比較例6〜10
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、比較例1〜5と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
実施例41〜60
電荷発生剤としてY型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-2) を用いたほかは、実施例21〜40と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
【0273】
比較例11〜15
電荷発生剤としてY型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-2) を用いたほかは、比較例1〜5と同様にしてそれぞれデジタル光源用の単層型感光体を製造した。
上記実施例41〜60および比較例11〜15で得られた感光体について前記電気特性試験(I)を行い、各感光体の電気特性を評価した。各実施例および比較例で使用した電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤の種類と、電気特性の試験結果とを表6に示す。
【0274】
【表6】
【0275】
(デジタル光源用積層型感光体)
実施例61
電荷発生剤であるX型無金属フタロシアニン(CG1-1) 2.5重量部および結着樹脂(ポリビニルブチラール)1重量部を溶媒(テトラヒドロフラン)15重量部とともにボールミルにて混合分散させて、電荷発生層用の塗布液を作製した。次いでこの塗布液を導電性基材(アルミニウム素管)上にディップコート法にて塗布し、110℃で30分間熱風乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0276】
次に、正孔輸送剤であるスチルベン誘導体(11−1)1重量部および結着樹脂(ポリカーボネート)1重量部を溶媒(テトラヒドロフラン)10重量部とともにボールミルにて混合分散させて、電荷輸送層用の塗布液を作製した。次いでこの塗布液を上記電荷発生層上にディップコート法にて塗布し、110℃で30分間熱風乾燥して、膜厚20μmの電荷発生層を形成し、デジタル光源用の積層型感光体を製造した。
【0277】
実施例62
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(11−2)を用いたほかは、実施例61と同様にしてデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
実施例63
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(11−3)を用いたほかは、実施例61と同様にしてデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
【0278】
実施例64〜66
電荷発生剤としてα型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-1) を用いたほかは、実施例61〜63と同様にしてデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
実施例67〜69
電荷発生剤としてY型オキソチタニルフタロシアニン(CG2-2) を用いたほかは、実施例61〜63と同様にしてそれぞれデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
【0279】
実施例70および71
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(12−2)または(13−2)を用いたほかは、実施例61と同様にしてそれぞれデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
実施例72、73
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(12−2)または(13−2)を用いたほかは、実施例64と同様にしてそれぞれデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
【0280】
実施例74、75
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(12−2)または(13−2)を用いたほかは、実施例67と同様にしてそれぞれデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
比較例16〜18
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(6−1)を用いたほかは、実施例61、64および67と同様にしてデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
【0281】
比較例19〜20
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(6−4)を用いたほかは、実施例61、64および67と同様にしてデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
比較例21〜24
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(6―5)を用いたほかは、実施例61、64および67と同様にしてデジタル光源用の積層型感光体を製造した。
【0282】
上記実施例61〜75および比較例21〜24で得られた感光体について下記の電気特性試験(II)を行い、各感光体の電気特性を評価した。
電気特性試験(II)
感光体の表面を−700±20Vに帯電させたほかは、前記電気特性試験(I) と同様にして表面電位Vo (V)、残留電位Vr (V)および半減露光量E1/2 (μJ/cm2 )を求めた。
【0283】
上記各実施例および比較例で使用した電荷発生剤および正孔輸送剤の種類と、電気特性の試験結果とを表7に示す。
【0284】
【表7】
【0285】
(アナログ光源用単層型感光体)
実施例76〜95
電荷発生剤として、式(CG3-1) :
【0286】
【化78】
【0287】
で表されるペリレン顔料を用いたほかは、実施例1〜20と同様にしてそれぞれアナログ光源用の単層型感光体を製造した。
比較例25〜29
電荷発生剤としてペリレン顔料(CG3-1) を用いたほかは、比較例1〜5と同様にしてそれぞれアナログ光源用の単層型感光体を製造した。
【0288】
上記実施例76〜95および比較例25〜29で得られた感光体について下記の電気特性試験(III) を行い、各感光体の電気特性を評価した。
電気特性試験(III)
露光光源としてハロゲンランプの白色光(光強度8ルックス)を用いたほかは、前記電気特性試験(I)と同様にして、表面電位Vo (V)、残留電位Vr (V)および半減露光量E1/2 (lux・秒)を求めた。
【0289】
上記各実施例および比較例で使用した電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤の種類と、電気特性の試験結果とを表8に示す。
【0290】
【表8】
【0291】
実施例96〜115
電荷発生剤として、式(CG4-1) :
【0292】
【化79】
【0293】
で表されるビスアゾ顔料を用いたほかは、実施例76〜95と同様にしてそれぞれアナログ光源用の単層型感光体を製造した。
比較例30〜34
電荷発生剤としてビスアゾ顔料(CG4-1) を用いたほかは、比較例25〜29と同様にしてアナログ光源用の単層型感光体を製造した。
【0294】
上記実施例96〜115および比較例25〜29で得られた感光体について前記電気特性試験(III) を行い、各感光体の電気特性を評価した。各実施例および比較例で使用した電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤の種類と、電気特性の試験結果とを表9に示す。
【0295】
【表9】
【0296】
実施例116〜135
電荷発生剤として、式(CG4-2) :
【0297】
【化80】
【0298】
で表されるビスアゾ顔料を用いたほかは、実施例76〜95と同様にしてアナログ光源用の単層型感光体を製造した。
比較例35〜39
電荷発生剤としてビスアゾ顔料(CG4-2) を用いたほかは、比較例25〜29と同様にしてアナログ光源用の単層型感光体を製造した。
【0299】
上記実施例116〜135および比較例25〜29で得られた感光体について前記電気特性試験(III)を行い、各感光体の電気特性を評価した。各実施例および比較例で使用した電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤の種類と、電気特性の試験結果とを表10に示す。
【0300】
【表10】
【0301】
実施例136〜155
電荷発生剤として、式(CG4-3) :
【0302】
【化81】
【0303】
で表されるビスアゾ顔料を用いたほかは、実施例76〜95と同様にしてアナログ光源用の単層型感光体を製造した。
比較例40〜44
電荷発生剤としてビスアゾ顔料(CG4-3) を用いたほかは、比較例25〜29と同様にしてアナログ光源用の単層型感光体を製造した。
【0304】
上記実施例136〜155および比較例25〜29で得られた感光体について前記電気特性試験(III)を行い、各感光体の電気特性を評価した。各実施例および比較例で使用した電荷発生剤、正孔輸送剤および電子輸送剤の種類と、電気特性の試験結果とを表11に示す。
【0305】
【表11】
【0306】
(アナログ光源用積層型感光体)
実施例156〜158
電荷発生剤としてペリレン顔料(CG3-1) を用いたほかは、実施例61〜63と同様にしてアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
実施例159〜161
電荷発生剤としてビスアゾ顔料(CG4-1) を用いたほかは、実施例61〜63と同様にしてアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
【0307】
実施例162〜164
電荷発生剤としてビスアゾ顔料(CG4-2) を用いたほかは、実施例61〜63と同様にしてアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
実施例165〜167
電荷発生剤としてビスアゾ顔料(CG4-3) を用いたほかは、実施例61〜63と同様にしてアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
【0308】
実施例168および169
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(12−2)または(13−2)を用いたほかは、実施例156と同様にしてそれぞれアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
実施例170および171
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(12−2)または(13−2)を用いたほかは、実施例162と同様にしてそれぞれアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
【0309】
実施例172および173
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(12−2)または(13−2)を用いたほかは、実施例156と同様にしてそれぞれアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
実施例174および175
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(12−2)または(13−2)を用いたほかは、実施例165と同様にしてそれぞれアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
【0310】
比較例45〜48
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(6-1)を用いたほかは、実施例156、159、162および165と同様にしてアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
比較例49〜52
正孔輸送剤としてスチルベン誘導体(6-4)を用いたほかは、実施例156、159、162および165と同様にしてアナログ光源用の積層型感光体を製造した。
【0311】
上記実施例156〜175および比較例45〜52で得られた感光体について下記の電気特性試験(IV)を行い、各感光体の電気特性を評価した。
電気特性試験(IV)
感光体の表面を−700±20Vに帯電させたほかは、前記電気特性試験(III) と同様にして表面電位Vo (V)、残留電位Vr (V)および半減露光量E1/2 (lux・秒)を求めた。
【0312】
上記各実施例および比較例で使用した電荷発生剤および正孔輸送剤の種類と、電気特性の試験結果とを表12に示す。
【0313】
【表12】
【0314】
表4〜12から明らかなように、実施例1〜175の電子写真感光体は、各実施例に対応する比較例に比べて残留電位Vr の絶対値が小さい。また、半減露光量E1/2 についても、対応する比較例での値と同等またはその値を下回っている。このことから、実施例1〜175の電子写真感光体は、優れた感度を有することがわかる。
【0315】
試験例
(結着樹脂との相溶性についての評価)
上記化合物番号11―1〜3、12−2および13−2のスチルベン誘導体について、結着樹脂との相溶性を下記の方法にて評価した。
(試料の調製)
結着樹脂(ポリカーボネート)100重量部と溶媒(テトラヒドロフラン)800重量部との混合液に、化合物番号11―1〜3、12−2および13−2のスチルベン誘導体をそれぞれ1〜100重量部配合し、均一な塗布液が得られるスチルベン誘導体の最大添加量(重量部)を求めた。なお、塗布液の調製は、上記成分をロールミルにて50時間混合分散させることによって行った。
【0316】
次に、上記各スチルベン誘導体の最大添加量(重量部)を下記式に代入し、結着樹脂に対するスチルベン誘導体の配合率(重量%)を求め、結着樹脂への溶解性を評価した。なお、この配合率が高いほど、結着樹脂への溶解性に優れていることを示す。
【0317】
【数1】
【0318】
対照化合物として、上記の(6−1)〜(6−5)のスチルベン誘導体を用い、上記と同様にして結着樹脂への溶解性を評価した。
これらの結果を表13に示す。
【0319】
【表13】
【0320】
表2より明らかなように、本発明のスチルベン誘導体は、従来のスチルベン誘導体(6−1)〜(6−5) に比べて、結着樹脂に対する溶解性が優れている。
【0321】
【発明の効果】
本発明のスチルベン誘導体(1) は、バインダー樹脂との相溶性が高く、かつ高い電荷輸送能(正孔輸送能)を有する。また、本発明の電子写真感光体は、上記スチルベン誘導体(1) を正孔輸送剤として用いることから、高感度である。従って、本発明の電子写真感光体は、静電式複写機やレーザービームプリンタ等の各種画像形成装置の高速化、高性能化等に寄与するという特有の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】スチルベン誘導体(11−2)の赤外線吸収スペクトルを示す。
Claims (6)
- 一般式(1):
ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基もしくはアミノ基を有していてもよいアルキル基;
ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアラルキル基;
ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよいアリール基;
または、
ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基もしくはアミノ基を有していてもよいアルコキシ基を示す。
前記アラルキル基または前記アリール基に置換するカルボキシル基は、エステル化されていてもよい。また、前記アラルキル基または前記アリール基に置換する炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基は、さらに、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基またはアミノ基を有していてもよい。
R2およびR4は同一または異なって、
ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基もしくはアミノ基を有していてもよいアルキル基、または、
ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基もしくはアミノ基を有していてもよいアルコキシ基を示す。)
で表されるスチルベン誘導体。 - 一般式(1)中のR1とR3とが同一の基で、かつR2とR4とが同一の基である請求項1記載のスチルベン誘導体。
- 導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層が、請求項1または2記載の一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 前記感光層が、請求項1または2記載の一般式(1)で表されるスチルベン誘導体と共に、電荷発生剤と電子輸送剤とを含有した単層型の感光層である請求項5記載の電子写真感光体。
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