JP3694580B2 - 画像形成装置における転写条件の設定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体等の像担持体と転写体との接触部に形成された転写電界により該像担持体上の可視像を該転写体上に転写する転写方法及び装置、並びにこの転写方法を実施する画像形成方法及び装置(複写機、プリンター、ファクシミリ)に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真方式を用いる複写機やプリンターなどの画像形成装置においては、複数色のトナー像を重ね転写によってカラー画像を得るものが幾つか実用化されている。転写ドラム方式は、転写ドラムに巻装されるフィルムに転写材を巻き付け、その転写材に像担持体としての感光体から順次複数色のトナー像を重ね転写する方式で、フィルムに転写材を巻き付けるため転写材を静電的に保持する必要が有り、フイルムには絶縁体が使用される。中間転写方式は、中間転写体に直接感光体から順次複数色のトナー像を重ね転写し、中間転写体上の重ねトナー像を転写材に一括して転写する方式で、転写材を巻き付ける必要がないため中間転写体に絶縁体を用いる必要がなく、中抵抗体(体積抵抗:107〜1014Ωcm)を用いることができる。中抵抗体は付与された電荷が所定の時定数により自然減衰するため、中間転写体に中抵抗体を用いた中間転写方式は、絶縁体を用いる転写ドラム方式のように付与された転写電荷を強制的に除電する除電手段を設ける必要がなく、ペーパーフリー性、全面コピーなどの利点に加え、オゾン低減、省電力などの点で更に有利といえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記中間転写方式で中間転写体に中抵抗体を用いた場合は、中抵抗体が絶縁体に比べ、抵抗値ムラが大きく環境変化や使用によって抵抗変化が生じやすく、電気的に不安定であるため、転写後の文字、ライン画像に「転写チリ」又は「転写ニジミ」と称する異常画像が発生することがある。
【0004】
この問題を解決するために出願人は、像担持体と転写体との接触部(転写ニッブ)で転写電荷を除電する転写方法及び画像形成装置を提案した(特願平8−183210号、特願平9−150197号参照)。この転写方法及び画像形成装置によれば、中間転写体に中抵抗体を用いた場合であっても、「転写チリ」又は「転写ニジミ」などの異常画像の発生を効果的に抑制することが可能となった。
【0005】
本発明者らが上記特願平9−150197号等で提案した構成に関して鋭意解析、実験及び検討を行ったところ、上記転写電荷の付与条件や除電条件によっては所望の転写効率が得られなかったり、転写画像劣化が発生したりする場合があることがわかった。本発明は、上記解析等に基づく、上記特願平9−150197号等で提案した構成の改良に関するものである。
【0006】
本発明は以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、像担持体と転写体との接触部内において転写電荷を減少させて除電する転写装置を備えた画像形成装置において良好な転写効率を得ることができるとともに、上記接触部の終点におけるパッシェン放電による転写画像劣化を防止することができる転写条件の設定方法を提供することである。
【0034】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、可視像を担持する像担持体の表面に一定距離接触しながら移動するベルト状の転写体と、該像担持体と該転写体との接触部内で該転写体上の転写電荷を減少させるように除電する除電部材と、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体に転写電荷を付与する電荷付与部材とを有し、該像担持体と該転写体との接触部に形成された転写電界により該像担持体上の可視像を該転写体上に転写する転写装置を備え、該転写装置は、該転写体として、該転写体の該像担持体との接触面とは反対側の裏面の電位と該裏面上の転写体移動方向における該除電の位置からの距離との関係が線形になるような電気抵抗を有するものを用い、該転写体の裏面で上記除電を行い、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体の裏面に転写電荷を付与する画像形成装置における転写条件の設定方法において、上記接触部で上記像担持体に付着している可視像のトナーを上記転写体側に向けて静電的に離脱させるために最低限必要な該転写体の裏面の電位をV1[V]、上記像担持体の誘電体層の厚さをdm[μm]、該誘電体層の比誘電率をεm、上記転写体の厚さをdp[μm]、該転写体の比誘電率をεp、該像担持体上の可視像を構成するトナー粒子1個当たりの平均帯電量をq[fC]、該トナー粒子の平均粒径をd[μm]、該像担持体上の可視像形成部の電位をVL[V]としたとき、上記誘電体層の誘電厚みdm/εmが3.1〜12.5[μm]、上記転写体の誘電厚みdp/εpが1[μm]、上記トナー粒子の単位粒径当たりの平均帯電量q/dの絶対値が0.5[fC/μm]、トナー密度δが1200kg/m3、該トナー粒子1個当たりの平均質量mが0.26ng、充填率Pが0.42、上記像担持体上の可視像におけるトナー層の層厚dtが20μm、該トナー層の比誘電率εrlが1.6である条件下で、結果として下記の(2)式が満足されるように上記転写体の裏面の電位V1の値を決定し、該像担持体上のベタ画像からなる可視像を該転写体側に転写効率90%以上で転写するために最低限必要な、該転写体の電位を絶対値で上記V1以上に保持する時間ΔT[秒]の値と、該接触部の転写体移動方向の終点で該像担持体と該転写体との間にパッシェン放電開始電位差を生じさせる該転写体の裏面の電位V2[V]の値とを決定し、上記転写体移動方向における上記除電の位置から上記接触部の終点までの距離をL1[mm]、該終点から上記転写電荷付与の位置までの距離をL2[mm]、該転写体の移動速度をA[mm/s]、上記電荷付与部材の電位をVt[V]、上記除電部材の電位をV0[V]としたとき、上記決定したV1、V2及びΔTの値を用いて結果として下記の(1)式が満足されるようにL1、L2、Vt及びV0を設定することを特徴とするものである。
【数1】
|V0+ ( V1−V0 ) ・ ( L1+L2 ) / ( L1−A・ΔT ) |≦|Vt|<|V0+ ( V2−V0 ) ・ ( L1+L2 ) /L1| ・・・(1)
【数2】
|V1|≧|{100+5・(dm−10)}+(VL+150)| ・・・(2)
【0035】
この請求項1の転写条件の設定方法では、転写体の裏面の電位と該裏面上の転写体移動方向における上記除電の位置からの距離との関係が線形であるので、該裏面の電位は、該除電の位置からの距離に比例して次第に大きくなり、上記転写電荷付与の位置で上記電荷付与部材の電位Vtになる。したがって、上記終点から上記除電の位置に向かう任意の位置までの距離をX[mm]とすると、該任意の位置における転写体の裏面の電位Vxは、Vx=V0+ ( Vt−V0 ) ・ ( L1−X ) / ( L1+L2 ) ・・・(1−1)式で表される。
ここで、上記接触部の上記除電の位置から上記終点に至る間において転写体の裏面の電位を絶対値で上記V1以上に上記ΔT以上保持するためには、上記電荷付与部材の電位Vtの絶対値を、上記(1−1)式にVx=V1[V]およびX=A・ΔT[mm]を代入して求めたVtの絶対値以上にすればよい。すなわち、(1)式の一部である|Vt|≧|V0+ ( V1−V0 ) ・ ( L1+L2 ) / ( L1−A・ΔT ) |を満足することにより、像担持体上のベタ画像からなる可視像を転写体側に転写効率90%以上で転写できる。
そして、上記接触部の終点における転写体の電位を絶対値で上記V2未満にするには、上記電荷付与部材の電位Vtの絶対値を、上記(1−1)式にVx=V2[V]およびX=0[mm]を代入して求めたVtの絶対値未満にすればよい。すなわち、(1)式の一部である|Vt|<|V0+ ( V2−V0 ) ・ ( L1+L2 ) /L1|を満足することにより、該終点において像担持体と転写体との間のパッシェン放電が発生しないようになる。
更に、請求項1の転写条件の設定方法では、上記条件のもとで像担持体の誘電体層の厚さdmをパラメータとした転写体の裏面の電位Vxと上記静電気力Feとの関係が、図5のようになる。ここで、図5中の符号A1、B1、C1およびD1で示した直線はそれぞれ、上記誘電体層の厚さdmが10μm、20μm、28μmおよび40μmのときのデータを示している。この図5から、上記静電気力Feが7nNとなる転写体の裏面の電位Vxは100+5・(dm−10)により表されることがわかる。したがって、像担持体上の可視像形成部の電位VLを考慮して得られる上記(2)式を満足することにより、該像担持体上のトナー粒子が該転写体に向かって確実に離れる。
【0036】
請求項2の発明は、可視像を担持する像担持体の表面に一定距離接触しながら移動するベルト状の転写体と、該像担持体と該転写体との接触部内で該転写体上の転写電荷を減少させるように除電する除電部材と、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体に転写電荷を付与する電荷付与部材とを有し、該像担持体と該転写体との接触部に形成された転写電界により該像担持体上の可視像を該転写体上に転写する転写装置を備え、該転写装置は、該転写体として、該転写体の該像担持体との接触面とは反対側の裏面の電位と該裏面上の転写体移動方向における該除電の位置からの距離との関係が線形になるような電気抵抗を有するものを用い、該転写体の裏面で上記除電を行い、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体の裏面に転写電荷を付与する画像形成装置における転写条件の設定方法において、上記接触部で上記像担持体に付着している可視像のトナーを上記転写体側に向けて静電的に離脱させるために最低限必要な該転写体の裏面の電位をV1[V]、上記像担持体の誘電体層の厚さをdm[μm]、該誘電体層の比誘電率をεm、上記転写体の厚さをdp[μm]、該転写体の比誘電率をεp、該像担持体上の可視像を構成するトナー粒子1個当たりの平均帯電量をq[fC]、該トナー粒子の平均粒径をd[μm]、該像担持体上の可視像形成部の電位をVL[V]としたとき、上記誘電体層の誘電厚みdm/εmが8.8[μm]、上記転写体の誘電厚みdp/εpが1[μm]、上記トナー粒子の単位粒径当たりの平均帯電量q/dの絶対値が0.33〜1.0[fC/μm]、トナー密度δが1200kg/m3、該トナー粒子1個当たりの平均質量mが0.26ng、充填率Pが0.42、上記像担持体上の可視像におけるトナー層の層厚dtが20μm、該トナー層の比誘電率εrlが1.6である条件下で、結果として下記の(3)式が満足されるように上記転写体の裏面の電位V1の値を決定し、該像担持体上のベタ画像からなる可視像を該転写体側に転写効率90%以上で転写するために最低限必要な、該転写体の電位を絶対値で上記V1以上に保持する時間ΔT[秒]の値と、該接触部の転写体移動方向の終点で該像担持体と該転写体との間にパッシェン放電開始電位差を生じさせる該転写体の裏面の電位V2[V]の値とを決定し、上記転写体移動方向における上記除電の位置から上記接触部の終点までの距離をL1[mm]、該終点から上記転写電荷付与の位置までの距離をL2[mm]、該転写体の移動速度をA[mm/s]、上記電荷付与部材の電位をVt[V]、上記除電部材の電位をV0[V]としたとき、上記決定したV1、V2及びΔTの値を用いて結果として前述の(1)式が満足されるようにL1、L2、Vt及びV0を設定することを特徴とするものである。
【数3】
|V1|≧|140+45・(q−2)+5・(q−2)2+(VL+150)| ・・・(3)
【0037】
この請求項2の転写条件の設定方法では、転写体の裏面の電位と該裏面上の転写体移動方向における上記除電の位置からの距離との関係が線形であるので、該裏面の電位は、該除電の位置からの距離に比例して次第に大きくなり、上記転写電荷付与の位置で上記電荷付与部材の電位Vtになる。したがって、上記終点から上記除電の位置に向かう任意の位置までの距離をX[mm]とすると、該任意の位置における転写体の裏面の電位Vxは、Vx=V0+ ( Vt−V0 ) ・ ( L1−X ) / ( L1+L2 ) ・・・(1−1)式で表される。
ここで、上記接触部の上記除電の位置から上記終点に至る間において転写体の裏面の電位を絶対値で上記V1以上に上記ΔT以上保持するためには、上記電荷付与部材の電位Vtの絶対値を、上記(1−1)式にVx=V1[V]およびX=A・ΔT[mm]を代入して求めたVtの絶対値以上にすればよい。すなわち、(1)式の一部である|Vt|≧|V0+ ( V1−V0 ) ・ ( L1+L2 ) / ( L1−A・ΔT ) |を満足することにより、像担持体上のベタ画像からなる可視像を転写体側に転写効率90%以上で転写できる。
そして、上記接触部の終点における転写体の電位を絶対値で上記V2未満にするには、上記電荷付与部材の電位Vtの絶対値を、上記(1−1)式にVx=V2[V]およびX=0[mm]を代入して求めたVtの絶対値未満にすればよい。すなわち、(1)式の一部である|Vt|<|V0+ ( V2−V0 ) ・ ( L1+L2 ) /L1|を満足することにより、該終点において像担持体と転写体との間のパッシェン放電が発生しないようになる。
更に、請求項2の転写条件の設定方法では、上記条件のもとでトナー粒子1個当たりの平均帯電量qをパラメータとした転写体の裏面の電位Vxと上記静電気力Feとの関係が、図6のようになる。ここで、図6中の符号A2、B2、C2、D2、E2およびF2で示した直線はそれぞれ、上記トナーの平均帯電量qが1fC、2fC、3fC、4fC、5fCおよび6fCのときのデータを示している。この図6から、上記静電気力Feが7nNとなる転写体の裏面の電位Vxは、q=2〜6fCの範囲内において140+45・(q−2)+5・(q−2)2により表されることがわかる。したがって、像担持体上の可視像形成部の電位VLを考慮して得られる上記(3)式を満足することにより、該像担持体上のトナー粒子が該転写体に向かって確実に離れる。
【0038】
請求項3の発明は、可視像を担持する像担持体の表面に一定距離接触しながら移動するベルト状の転写体と、該像担持体と該転写体との接触部内で該転写体上の転写電荷を減少させるように除電する除電部材と、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体に転写電荷を付与する電荷付与部材とを有し、該像担持体と該転写体との接触部に形成された転写電界により該像担持体上の可視像を該転写体上に転写する転写装置を備え、該転写装置は、該転写体として、該転写体の該像担持体との接触面とは反対側の裏面の電位と該裏面上の転写体移動方向における該除電の位置からの距離との関係が線形になるような電気抵抗を有するものを用い、該転写体の裏面で上記除電を行い、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体の裏面に転写電荷を付与する画像形成装置における転写条件の設定方法において、上記接触部の転写体移動方向の終点で該像担持体と該転写体との間にパッシェン放電開始電位差を生じさせる該転写体の電位をV2[V]、上記像担持体の誘電体層の厚さをdm[μm]、該誘電体層の比誘電率をεm、上記転写体の厚さをdp[μm]、該転写体の比誘電率をεp、該像担持体上の可視像を構成するトナー粒子1個当たりの平均帯電量をq[fC]、該トナー粒子の平均粒径をd[μm]、該該像担持体上の可視像形成部の電位をVL[V]としたとき、上記誘電体層の誘電厚みdm/εmが3.1〜12.5[μm]、上記転写体の誘電厚みdp/εpが1[μm]、上記トナー粒子の単位粒径当たりの平均帯電量q/dの絶対値が0.17〜1.0[fC/μm]、トナー密度δが1200kg/m3、該トナー粒子1個当たりの平均質量mが0.26ng、充填率Pが0.42、上記像担持体上の可視像におけるトナー層の層厚dtが5〜60μm、該トナー層の比誘電率εrlが1.6である条件下で、結果として下記の(4)式が満足されるように上記転写体の裏面の電位V2の値を決定し、上記接触部で上記像担持体に付着している可視像のトナーを上記転写体側に向けて静電的に離脱させるために最低限必要な該転写体の裏面の電位V1[V]の値と、該像担持体上のベタ画像からなる可視像を該転写体側に転写効率90%以上で転写するために最低限必要な、該転写体の電位を絶対値で上記V1以上に保持する時間ΔT[秒]の値とを決定し、上記転写体移動方向における上記除電の位置から上記接触部の終点までの距離をL1[mm]、該終点から上記転写電荷付与の位置までの距離をL2[mm]、該転写体の移動速度をA[mm/s]、上記電荷付与部材の電位をVt[V]、上記除電部材の電位をV0[V]としたとき、上記決定したV1、V2及びΔTの値を用いて結果として前述の(1)式が満足されるようにL1、L2、Vt及びV0を設定することを特徴とするものである。
【数4】
|V2|<|〔{600+10・(dt−5)}+5・(dm−10)〕+VL| ・・・(4)
【0039】
この請求項3の転写条件の設定方法では、転写体の裏面の電位と該裏面上の転写体移動方向における上記除電の位置からの距離との関係が線形であるので、該裏面の電位は、該除電の位置からの距離に比例して次第に大きくなり、上記転写電荷付与の位置で上記電荷付与部材の電位Vtになる。したがって、上記終点から上記除電の位置に向かう任意の位置までの距離をX[mm]とすると、該任意の位置における転写体の裏面の電位Vxは、Vx=V0+ ( Vt−V0 ) ・ ( L1−X ) / ( L1+L2 ) ・・・(1−1)式で表される。
ここで、上記接触部の上記除電の位置から上記終点に至る間において転写体の裏面の電位を絶対値で上記V1以上に上記ΔT以上保持するためには、上記電荷付与部材の電位Vtの絶対値を、上記(1−1)式にVx=V1[V]およびX=A・ΔT[mm]を代入して求めたVtの絶対値以上にすればよい。すなわち、(1)式の一部である|Vt|≧|V0+ ( V1−V0 ) ・ ( L1+L2 ) / ( L1−A・ΔT ) |を満足することにより、像担持体上のベタ画像からなる可視像を転写体側に転写効率90%以上で転写できる。
そして、上記接触部の終点における転写体の電位を絶対値で上記V2未満にするには、上記電荷付与部材の電位Vtの絶対値を、上記(1−1)式にVx=V2[V]およびX=0[mm]を代入して求めたVtの絶対値未満にすればよい。すなわち、(1)式の一部である|Vt|<|V0+ ( V2−V0 ) ・ ( L1+L2 ) /L1|を満足することにより、該終点において像担持体と転写体との間のパッシェン放電が発生しないようになる。
更に、請求項3の転写条件の設定方法では、上記条件のもとでトナー層の層厚dtをパラメータとした像担持体の誘電体層の厚さdm[μm]と上記V2とVLの差V2−VL[V]との関係が、図8のようになる。ここで、図8中の符号A4、B4、C4、D4、E4、F4およびG4で示した直線はそれぞれ、上記トナー層厚dtが5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μmおよび60μmのときのデータを示している。この図8から、上記V2−VLを表す式{600+10・(dt−5)}+5・(dm−10)を求めることができる。したがって、上記(4)式を満足することにより、上記接触部の転写体移動方向の終点における像担持体と転写体との間のパッシェン放電が発生しない。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を中間転写ベルト方式のカラー画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
図2は本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は、像担持体としての一本の感光体ドラム1上に異なる色成分毎に形成されたトナー像を転写体としての中間転写ベルト2上に転写し、この中間転写ベルト2上のトナー像を転写材としての転写紙等に一括転写することによってカラー画像を得る1ドラム中間転写方式を採用している。
【0059】
感光体ドラム1はアルミ素管上に、下引き層/電荷発生層/電荷輸送層の順に重ねて製膜した機能分離型の誘電体層としての感光層を有している。感光層の厚さdmは10〜40μm、比誘電率εmは約3.2である。
【0060】
上記感光体ドラム1は、帯電手段としてのスコロトロン帯電器3で均一にマイナス帯電(約−650V〜−700V)された後、画像情報に応じたレーザ光4が照射され、−100V〜−500Vの静電潜像が形成される。感光体ドラム1の帯電電位や露光電位を電位センサ5で検出し、検出結果に基づいて帯電条件や露光条件などを制御することもできる。
【0061】
上記静電潜像が形成された感光体ドラム1の表面に対向する位置には、互いに異なる色のトナー(黒:Bk、シアン:C、マゼンタ:M、イエロー:Y)を用いる4色の現像器6Bk、6C、6M、6Yが並べて配置されている。各現像器は、各色毎に感光体ドラム1上の静電潜像を現像する。各現像器は、乾式2成分現像剤を用い、感光体ドラム1上の低電位部にマイナス帯電トナーを付着させる反転現像方式を採用している。各現像剤のトナーは粉砕法により製造した不定形タイプのトナーであり、その平均粒径は6〜8μmである。各現像器における現像バイアスの値は約−500V〜−550Vに設定した。この現像バイアスには交流成分を重畳させてもよい。現像後の感光体ドラム表面に対向する位置には、画像濃度検知手段としての反射型の光学センサ7が設置されている。この光学センサ7で感光体ドラム1上のトナー像における光学的反射率を検出し、この検出結果からトナー付着量を求めてプロセス条件を制御することもできる。各色のトナー像は中間転写ベルト2上に転写される。
【0062】
本画像形成装置の感光体ドラム1から中間転写ベルト2へトナーを転写する(以下、この転写を「ベルト転写」という。)転写装置では、感光体ドラム1と中間転写ベルト2との接触部(以下「転写ニップ」という。)に対して転写電圧を間接的に印加する間接印加方式を採用している。この転写装置では、中間転写ベルト2の入口ローラ8と電荷付与部材としての出口ローラ9の間に架張された部分が感光体ドラム1に接触している。この中間転写ベルト2は、フッ素系の樹脂の中にカーボンブラツクを分散させた単層の中抵抗体であり、厚さdpは50〜300μm、比誘電率εpは約11であった。また、中間転写ベルト2の材料としては、ポリカーボネートなどの他の樹脂を用いることもできる。
【0063】
上記中間転写ベルト2としては、表面抵抗値Rsが1×107〜1×1010Ω/□、または体積抵抗値Rvが1×107〜1×1011Ωcmのものを用いることが好ましい。この表面抵抗値Rsおよび体積抵抗値Rvは、ハイレスタIP(油化電子製、MCP−HT260)を用いて測定したものである。測定に用いたプローブはHRSプローブであり、印加バイアスおよび印加時間はそれぞれ100Vおよび10秒に設定した。なお、上記表面抵抗値Rsおよび体積抵抗値Rvは、JIS K6911に基づく方法で測定してもよい。
【0064】
上記入口ローラ8は接地され、電荷付与部材としての出口ローラ9はプラス極性の転写電圧(Vt)が印加される。この転写電圧(Vt)は図示しない電源によって供給され、その出力値は図示しない制御部によってコントロールされている。
【0065】
ベルト転写後の感光体ドラム1上の残留トナーはPCC10によって帯電量が制御され、ドラムクリーニング装置のブラシ11及びブレード12で除去される。感光体ドラム1上の残留電荷は除電ランプ13で除去される。そして、中間転写ベルト2上に一色目のトナー画像が形成された後、二色目の作像動作を開始し、中間転写ベルト2上に二色目のトナー像を重ねてベルト転写する。このとき、転写される順番毎に転写電圧を増加させていってもよい。フルカラー画像の場合、中間転写ベルト2上に黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色のトナー画像を順次形成した後、一括して転写材としての記録紙14上に転写する。
【0066】
中間転写ベルト2上から記録紙14上へのトナー像の転写(以下、この転写を「ペーパー転写」という。)は、紙転写ローラ15で記録紙14の裏側からプラス極性の電圧を印加する。ペーパー転写後の中間転写ベルト2上に残留したトナーはベルトクリーニング装置17によって除去される。
【0067】
なお、感光体ドラム1からトナー像が転写される中間転写体としては、剛体の中間転写ドラムを使用することもできるが、本実施形態のような中間転写ベルト方式のカラー画像形成装置は、ベルト廻りのレイアウトの自由度が大きく、装置を小型化できる利点がある。
【0068】
図1は、上記ベルト転写を行う転写装置における転写ニップの説明図である。本転写装置では、幅Nの転写ニップ内において中間転写ベルト2の裏面の少なくとも一部に接触して転写電荷を減少させて除電する除電部材としての幅Bの導電性ブラシ16を設けている。この導電性ブラシ16を接地あるいは転写バイアスと逆極性の電圧を印加することによって、転写ニップの入口側での転写電界を弱め、プレ転写によるトナーの飛び散りを防止することができる。ここで、上記導電性ブラシ16の下流端から転写ニップの終点である分離開始位置までの距離をL1[mm]、分離開始位置から出口ローラ9による転写電荷付与の位置までの距離をL2[mm]とする。
【0069】
図3は、転写ニップにおける中間転写ベルト2の裏面電位(以下、「ベルト裏面電位」という。)の変化を示す特性図である。中間転写ベルト2の抵抗値が比較的小さい場合、ベルト裏面電位は上記除電位置からのベルト位置に対して線形であると近似することができる。ベルト裏面電位は、導電性ブラシ16の接触部ではゼロあるいはプラス電位となり、出口ローラ9の位置では転写バイアス値Vtとなる。一般に転写バイアス値Vtには最適範囲が存在する。Vtの増加とともにトナーの転写効率が増加し、Vt=Vminで転写効率が所定の値(例えば90%)に達する。さらにVtを増加させていくと、Vt=Vmaxで転写効率が上記所定の値以下に低下し、トナー散りなどが発生し始める。
【0070】
上記最適転写バイアスVtの下限値Vmin[V]は、転写ニップ内で最低限必要なべルト裏面電位V1[V]と、トナー層の移動に最低限必要な時間ΔT[秒]で決まると考えられる。上記V1は、転写ニップで感光体ドラム1に付着している可視像のトナーを中間転写ベルト2側に向けて静電的に離脱させるために最低限必要なベルト裏面電位である。また、上記ΔTは、感光体ドラム1上のベタ画像からなる可視像を中間転写ベルト2側に転写効率90%以上で転写するために、転写ニップ内でベルト裏面電位を絶対値で上記V1以上に保持する最低限必要な保持時間である。ここで、感光体ドラム1と中間転写ベルト2の移動速度をA[mm/s]とすると、トナー層の転写に最低限必要なニツプ距離X[mm]はX=AxΔTとなる。つまり、ベルト裏面電位がV1[V]以上の範囲がX[mm]得られる転写バイアス値Vtが下限値Vminとなる。上記V1の値は、トナー画像部の感光体電位やトナーの帯電量などで変化する。また、上記Xの値もトナー帯電量などで変化するが、ニップ幅と転写バイアス値の組み合わせを変えて実験することで測定することができる。図3から、次のVminを表す式(7)を求めることができる。ここで、V0は上記導電性ブラシ16の接触部における電位である。
【数7】
|Vmin|=|V0+(V1−V0)・(L1+L2)/(L1−A・ΔT)| ・・・(7)
【0071】
最適転写バイアスの上限値Vmax[V]は、転写ニップ出口近傍での放電の発生で決まると考えられる。転写ニッブ出口でパッシェン放電が発生するベルト裏面電位をV2[V]とすると、図3から、次のVmaxを表す式(8)を求めることができる。
【数8】
|Vmax|=|V0+(V2−V0)・(L1+L2)/L1| ・・・(8)
【0072】
上記V2の値は、トナー画像部の感光体電位や感光体膜厚・誘電率などで変化する。転写バイアス値に対して転写効率を測定すると、上記VminおよびVmaxの値を実験的に求めることができ、上式からV1とV2も決定することができる。そして、上記予め決定したV1,V2,ΔTなどを用いて前述(1)式を満足するように、上記L1,L2などを設定する。
【0073】
ここで、図4(a)に示すような転写モデルを考える。感光体ドラム1の厚さdmの感光体(誘電体層)1a上に、体積電荷密度ρの帯電トナー層18(厚さdt)があり、厚さdpの中間転写ベルト2上に転写する。このトナー層18と転写体との空隙19(ギャップg)とする。中間転写ベルト2上には帯電トナーの帯電極性とは逆極性の電荷σcを与える。この状態において、感光体表面から距離xのところにあるトナーに働く、中間転写ベルト2側すなわち転写紙側に向かう方向に作用する静電的な力Fe(x)は次式(9)で与えられる。
【数9】
【0074】
ここで、εoは真空の誘電率、εrlはトナー層の比誘電率である。全てのトナー層が転写される条件は、感光体表面のトナーに働く中間転写ベルト2側へ力が機械的な付着力Fa以上になるときである。また、中間転写ベルト2の電荷量σcは、トナー層と転写体間の電界強度Eと真空の比誘電率εoとの積で表される。この中間転写ベルト2の電荷量σcを、空隙電界はベルト裏面電位VHと感光体1a上の表面電位VLとを用いて表すと、次式(10)のようになる。
【数10】
【0075】
また、トナー層18の体積電荷密度ρは、トナー比電荷q/mを用いると次式(11)となる。
【数11】
ρ=δ・P・(q/m) ・・・(11)
【0076】
ここで、δはトナー密度、Pは充填率(トナー層の体積中でトナー粒子の固形部分が占める割合)である。上記式(9)に式(11)を代入すると、上記Feを表す次式(12)を求めることができる。
【数12】
【0077】
上記式(10)及び式(12)から、ベルト裏面電位VHに対するトナーに働く静電力Feを計算した。その結果を図5及び図6に示す。なお、この計算において、真空の誘電率εo=8.85×10-12C2/Nm2、感光体電位VL=−150V、感光体の比誘電率εm=3.2、転写体の誘電厚みdp/εp=1μm(中抵抗体であるため小さくした)、トナー密度ρ=1200kg/m3、トナー粒子1個あたりの重量m=0.26ng(ナノグラム)、充填率P=0.42、トナー層の厚さdt=20μm、トナー層の比誘電率εrl=1.6、空隙距離g=0.5μmで一定とした。そして、上記静電力Feは、感光体表面から3μmの位置(x=3μm)のトナーに働く力を計算した。
【0078】
図5は、トナー粒子1個あたりの平均帯電量がq=−3fC(フェムトクーロン)であり、感光体膜厚がdm=10μm(A1)、20μm(B1)、28μ(C1)および40μm(D1)であるときの計算結果である。
【0079】
図6は、感光体膜厚dm=28μmであり、トナー粒子1個あたりの平均電荷量がq=−1fC、−2fC、−3fC、−4fC、−5fCおよび−6fCであるときの計算結果である。トナーの平均粒径(直径)dを6μmとすると、平均帯電量を平均粒径で割った値q/dは−0.17〜−1fC/μmの範囲ということになる。
【0080】
一般に、帯電したトナー粒子と感光体との間の付着力は、数十nN(ナノニュートン)〜数百nNであることが知られている。トナー層を転写する場合は、圧力転写による物理的な力の効果があるため、電界による静電力が数十nN以下でも充分な転写効率が得られる場合があると考えられる。実験結果から、感光体表面から3μmの位置(直径6μmのトナーの中心部)に働く静電力がFe=7nN以上なる条件で充分な転写が行われると考えている。
【0081】
図5から、感光体膜厚dm=10〜40μmの範囲において上記Feが7nN以上となる充分な転写効率を得るために必要なベルト裏面電位V1は、前述の式(2)のようになる。また、図6から、トナーの平均帯電量q=−2〜−6fCの範囲において上記Feが7nN以上となる充分な転写効率を得るために必要なベルト裏面電位V1は、前述の式(3)のようになる。
【0082】
ここで、感光体膜厚dmが10μm未満になると、長期間の使用による感光体膜の削れに対応できなくなる。また、トナー粒子の平均帯電量qが−2fCであると、トナーの単位重量あたりの帯電量が約−8μC/gとなり、これ以下ではトナー飛散などの不具合が発生する可能性がある。
【0083】
次に、転写ニップ出口側での放電について考える。転写ニツプ出口側では、中間転写ベルト2上にトナー層18が移動しているため、図4(b)のようにトナー層18と感光体1の表面との間に空隙があるモデルを考える。基本的なコンデンサーの並列モデルには変わりがないため、空隙電界および電荷密度は前述の式(10)と同様になる。
【0084】
図7は、ベルト裏面電位VHが600V(A3)、710V(B3)、800V(C3)および850V(D3)のときの空隙間隔g(m)と空隙電位差[V]との関係を示す特性の計算結果である。ここで、感光体膜厚dm=28μm、トナー層厚さdt=20μmとした。また、図7中に、パッシェン則Vp=312+6.2×106×gに基づく放電限界の曲線Cpもあわせて示している。この曲線Cpと直線の交点の有無から、ベルト裏面電位が710V以上であり、空隙距離が約30μm以下であるときに放電が発生することが分かる。また、放電が発生し始めるベルト裏面電位をV2とすると、感光体電位VLが−150Vであるから、感光体電位とベルト裏面電位の電位差V2−VLは860Vとなる。
【0085】
図8は、同様にして、トナー層厚dtが5μm(A4)、10μm(B4)、20μm(C4)、30μm(D4)、40μm(E4)、50μm(F4)および60μm(G4)のときの感光体膜厚dmと最大電位差V2−VL[V]との関係を示す特性の計算結果である。実用的には中間転写ベルト2上でのトナー層厚dtは60μm以下であり、感光体膜厚dtはl0〜40μmの範囲であるので、この範囲で取り得る上記最大電位差V2−VLは600〜1300Vとなる。また、トナー画像のシャープ性の改善のために現像や転写を考慮すると、中間転写ベルト2上でのトナー層厚dtは50μm以下、感光体膜厚dtは10〜30μmの範囲が好ましい。この好ましい範囲では上記最大電位差V2−VLは600〜1200Vとなる。
【0086】
また、図8の結果から、各条件下におけるV2−VLの値を表す式は、次の(13)式のようになる。したがって、前述の(4)式を満足するように構成することにより、上記接触部の転写体移動方向の終点における像担持体と転写体との間のパッシェン放電をより確実に防止できる。
【数13】
V2−VL={600+10・(dt−5)}+5・(dm−10) ・・・(13)
【0087】
次に、導電性ブラシ16の下流端から転写ニツプの下流端までの距離L1について説明する。前述のように、充分な転写効率を得るには、ある一定値以上の静電力が、ある一定時間ΔT以上働いていなければならないと考えることができる。検討の結果、本実施形態の構成では上記ΔTは20msであることが分かった。
【0088】
図9は、上記(7)式および(8)式より、ΔT=0.02s、A=180mm/s、L=4mm、V1=100V、V2=950Vのときの転写バイアスの上下限値Vmax、Vminを求めた計算結果を示している。計算上はVmaxとVminの値が逆転する範囲が存在するが、そのような範囲では最適転写条件が存在しないことを意味している。したがって、L1はVmax≧Vminとなる範囲でなければならない。なお、図9の条件では、L1は4mm以上必要である。このL1の値は上記L2の値を変えても同じであった。
【0089】
図10は、上記図9と同様に、中間転写ベルト2の移動速度Amm/sを変化させたときのL1下限値(最小L1)を求めた計算結果を示している。図中には、 V1=100V,V2=950Vの条件の場合(A5)と V1=200V,V2=700Vの条件の場合(B5)の計算結果を示している。この図10から、L1の下限値は、移動速度Aに比例して増加することがわかる。
【0090】
また、図10から、所定の転写効率を得るとともに転写ニップ下流端での放電を防止するためには、V1=100V,V2=950Vの条件下で、前述の(5)式のようにL1を0.022×A以上に設定する必要があることがわかる。また、V1=200V,V2=700Vの条件下で、前述の(6)式のようにL1を0.029×A以上に設定する必要があることがわかる。
【0091】
次に、中間転写ベルトの抵抗値について説明する。本実施形態では、表面抵抗値Rsが1×107〜1×1010Ω/□、または、体積抵抗値Rvが1×107〜1×1011Ωcmのものを用いる。これらの範囲よりも抵抗値が低い場合、転写バイアスのリークが発生し、充分な転写効率が得られなくなる。逆に、抵抗値が高い場合、ベルト裏面電位が図3のような直線関係で近似できなくなり、(1)式、(7)式及び(8)式が成り立たなくなる。
【0092】
次に、トナーの電荷量について説明する。前述の図6のように、トナー粒子1個あたりの平均電荷量qが−1〜−6fCの範囲で変化した場合、トナー粒子の単位平均粒径当たりの電荷量q/dは−0.17〜−1fC/μmということになる。この範囲よりもトナーの電荷量が小さくなるとトナー飛散が発生し、大きすぎると転写性の悪化や異常画像が発生しやすくなる。また、トナー帯電量の増加により、最適転写バイアス値の範囲が狭くなる。
【0093】
図11は、トナー粒子1個あたりの平均電荷量qが−6fCのときの図9と同様の計算結果を示す。図6の結果に示される静電気力Feの変化を反映して、最小のL1値も4mmから約8.5mmへと増加していることがわかる。
【0094】
以上、本実施形態によれば、上記L1およびL2を所定の値に設定することにより、感光体ドラム1上のベタ画像からなる可視像を中間転写ベルト2側に転写効率90%以上で転写できるとともに、転写ニップのベルト移動方向の終点における感光体ドラム1の可視像部と中間転写ベルト2との間のパッシェン放電を防止できる。
【0095】
なお、上記実施形態において、出口ローラ9に印加する転写バイアスの値を制御する制御手段を設けてもよい。そして、転写効率が環境条件や中間転写ベルト2の抵抗値によって変化する点を考慮し、前述の最適条件範囲の中でも各条件ごとに実際に印加する転写バイアスの値を設定することが好ましい。例えば、温湿度センサーを設置し、その出力結果に基づいて転写バイアスを制御するように構成する。また、中間転写ベルト2の経時劣化による抵抗値の変化を経験的に予測しておき、使用履歴に応じて転写バイアスを制御するように構成してもよい。
【0096】
【実施例】
次に、本実施形態のより具体的な実施例を比較例とともに説明する。
〔実施例1〕
上記実施形態の図2の装置で、感光体ドラム1の感光体膜厚を28μm、中間転写ベルト2の膜厚を150μm、転写体の体積抵抗値Rvを約1×1010Ωcm、中間転写ベルト2の移動速度Aを180mm/s、転写ニップ内の導電性ブラシ16の下流端から転写ニップの下流端までの距離L1を10mm、転写ニツプの下流端から出口ローラ9の接触位置までの距離L2を8mmとした。この条件下では、L1の値は(5)式を満たしている。導電性ブラシ16には、アクリル繊維にカーボンブラックを分散させたものを用いた。ブラシ形状のため、転写体裏面へ均一に接触し、接触圧力を小さくできる。
【0097】
また、本実施例1では、感光体ドラム1の帯電電位が−650V、現像バイアスが−500V、露光部電位VLが−150V、トナーの帯電量が約−15μC/gの作像条件で、単色時の画像濃度が充分に得られるトナー現像量の約1.5mg/cm2が得られた。このときのトナー層厚を非接触の表面形状測定装置(キーエンス社製,表面形状測定顕微鏡VF7500)で測定したところ、平均値で約20μmであった。また、トナー粒子の密度は1.2g/cm3で、トナー層の充填率Pは0.42であった。また、トナー粒子の平均帯電量分布をEスパートアナライザ(ホソカワミクロン社製)で測定したところ、平均値で約−3fCであった。このとき、転写ニツプ中でトナー画像の静電転写に最低限必要なベルト裏面電位V1は約200Vであった。これは(2)式および(3)式を満たす。また、転写ニップ内のベルト裏面電位が200V以上の範囲が4mm以上必要であった。これは(5)式を満たす。さらに、転写ニツプの下流端でのベルト裏面電位V2が約700V以上で、転写後のトナーの帯電量のマイナス側への変化が観測され、転写ニップ出口での放電が発生していると推測された。これは(4)式を満足しない結果と一致している。このような条件下において、前述の(1)式は600≦Vt≦1260と計算される。実際に、中間転写ベルト2上へのべタ画像の転写性を評価したところ、転写バイアスの値が約700V〜1200Vの範囲で転写効率が90%以上になるとともに、転写チリの発生が少ない良好な画像が得られた。特に、転写バイアスが800Vのときに転写チリの発生が少なかった。
【0098】
〔実施例2〕
除電部材として導電性のゴムローラを用いた以外は、実施例1と同様な条件にした。本実施例2の構成では、導電性ゴムローラが変形して中間転写ベルト2の裏面に均一に接触するが、その接触圧力は比較的大きくなる。中間転写ベルト2上へのべタ画像の転写性を評価したところ、転写バイアス値が約700V〜1200Vの範囲で転写効率が90%以上になるとともに、転写チリの発生が少ない良好な転写性が得られた。また、上記実施例1と同様に、特に転写バイアスが800Vのときに転写チリの発生が少なかった。しかしながら、本実施例2では、文字画像部にトナーの中抜けが僅かに発生した。これは、上記導電性ゴムローラの硬度が最適化されていなかったことにより、転写ニツプでトナー層にかかる圧力が大きかったためであると考えられる。
【0099】
〔比較例1〕
上記実施例1において、転写バイアスの値を(1)式の範囲外である500Vに制御した場合、ベタ画像の転写効率が70%程度で不十分であった。また、転写バイアス値を1400Vに制御した場合、ニツプ出口の放電による逆転写が発生し、転写効率の低下が見られた。
【0100】
〔比較例2〕
上記実施例1において、帯電電位を−530V、現像バイアスを−380V、露光部電位VLを−30Vとして、同様にべタ画像の転写性を評価した。現像トナー量は同じであるため、実施例1と同様に800Vの転写バイアスを印加したところ、僅かな転写不良が発生した。これは、(2)式および(3)式を満たさない条件である。
【0101】
〔比較例3〕
上記実施例1において、厚さが約30μmの1色のトナー層を中間転写ベルト2上に重ね合わせて転写して2色のトナー像を形成する場合について、2色目のトナー像の転写性を評価した。1色目のトナー像は、転写バイアスの値が1100V程度で良好な転写性が得られた。中間転写ベルト2上でのトナー層厚が約60μmになるニ色目のトナー像の転写工程では、約1500Vで最高の転写効率が得られ、それ以上では転写効率の低下が見られた。転写バイアスの値が1500V以上ではニップ出口でのベルト裏面電位が約1100V以上になり、(4)式を満たさなくなる。したがって、転写ニツプ出口で放電が発生し始め、転写効率が低下していくと考えられる。転写ニツプ出口での放電を防止するためには、図8および(4)式により、中間転写ベルト2上でのトナー層厚を50μm以下にするか、感光体膜厚を20μm以下にする必要がある。
【0102】
〔比較例4〕
実施例1において、導電性ブラシ16の下流端から転写ニツプの下流端までの距離L1を3mmに設定したところ、転写効率が80%以上になる転写バイアスの値は得られなかった。これは、L1≧Ax0.022を満たさず、トナーの移動に必要な転写力を受けることができなかったためであると考えられる。
【0103】
〔比較例5〕
実施例1において、感光体膜厚を40μmとした場合、文字画像のシャープ性の低下が見られた。これは、dm/εm≧10となり、感光体の静電容量の低下によって感光体表面の電荷密度が低下したためと考えられる。
【0104】
〔比較例6〕
実施例1において、表面抵抗値Rsが1×1011Ω/□程度、体積抵抗値Rvが1×1012Ωcm程度の単層の中間転写ベルト2を用いた場合、単色トナー層時の最適転写バイアスの値は1400V〜1800Vとなり、(7)式及び(8)式を満たさなくなる。これは、中間転写ベルト2の抵抗値が高くなると、ベルト移動方向におけるベルト裏面電位の直線性が崩れるためと考えられる。
【0105】
〔比較例7〕
実施例1において、トナーの帯電量を増加させた。現像剤中のキャリア粒子の種類を替え、現像剤の帯電量Q/M値がニ倍の約−50μC/gとなるようにした。また、感光体の帯電電位を−850V、現像バイアスの値を−700V、露光後電位を−150Vにして、現像トナー量がほぼ一定になるようにした。感光体ドラム1上のトナーの電荷量分布は、感光体としてシート状のものを用い、現像トナーが付着したシート状感光体を切り取ってEスバートアナライザの試料台にセットすることで測定した。トナーの平均q/d値が−1.2fC/μmでは、転写効率が90%以上となる転写バイアスの値は得られなかった。
【0106】
なお、上記実施形態では感光体ドラム1を用いた装置について説明したが、本発明は、感光体ドラム1以外のベルト状の感光体など他のタイプの像担持体を用いたものにも適用可能である。
【0107】
また、上記実施形態では感光体ドラムから中間転写ベルト2への転写の場合について説明したが、本発明は、感光体ドラムから転写材を担持している搬送体への転写の場合や、中間転写ベルトから転写材を担持している搬送体への転写の場合についても適用することができる。また、本発明は、上記転写体および転写材搬送体としてベルトを用いた場合のみならず、ドラム、ローラなど他の形状の転写体および転写材搬送体を用いた場合にも適用可能である。また、中間転写体、転写材搬送体の電気的特性(体積抵抗、表面抵抗)、厚さ、構造(単層、2層、・・)などは、作像条件などにより適切な構成を種々選択可能であり、本実施形態で用いたものには限定されず、使用される材料、材質も種々選択可能である。
【0108】
また、上記実施形態では電荷付与部材としてローラを用いているが、本発明は、ローラ以外の導電性プラシ(金属、樹脂)、導電性ブレード(金属、樹脂、ゴム)など他の形状の電荷付与部材を用いた場合にも適用可能である。また、転写電荷の付与位置は転写ニップ下流位置に限定されず転写ニップ内でも良い。また、1次転写電源の印加電圧(転写バイアス)の値は、上記実施形態および実施例で用いた値に限定されず、種々の作像条件に応じて所望の値を設定可能である。
【0109】
また、上記実施形態では除電部材として導電性ブラシを用いているが、本発明は、ブラシ以外の導電性ローラ(金属、樹脂)、導電性ブレード(金属、樹脂、ゴム)など他の形状の除電部材を用いた場合にも適用可能である。そして、その除電部材の中間転写体、転写材搬送体への接触位置は転写ニップ内ならばその位置は限定されない。また、本発明は、中間転写ベルト2から記録紙へ転写を行う2次転写で転写電荷を付与する電荷付与部材として、ローラ以外のベルト、ブラシ、ブレードなど他の形状のものを用いた場合にも適用可能であり、コロナ放電器を用いてもよい。
【0113】
【発明の効果】
請求項1乃至3の発明によれば、像担持体と転写体との接触部内において転写電荷を減少させて除電する転写装置を備えた画像形成装置において良好な転写効率を得ることができるとともに、上記接触部の終点におけるパッシェン放電による転写画像劣化を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るカラー画像形成装置の転写装置における転写ニップの説明図。
【図2】同カラー画像形成装置の概略構成図。
【図3】転写ニップ近傍の中間転写ベルト上の位置とベルト裏面電位との関係を示す特性図。
【図4】(a)は転写時の転写ニップのモデル図。(b)は転写終了時の転写ニップのモデル図。
【図5】転写ニップにおけるベルト裏面電位VHとトナーに作用する静電気力Feとの関係を示す特性図。
【図6】転写ニップにおけるベルト裏面電位VHとトナーに作用する静電気力Feとの関係を示す特性図。
【図7】転写ニップ出口におけ空隙間隔gと空隙電位差との関係を示す特性図。
【図8】転写ニップにおける感光体膜厚dmと最大電位差V2−VLとの関係を示す特性図。
【図9】転写ニップにおけるL1と転写バイアスVBの最適範囲との関係を示す特性図。
【図10】転写ニップにおける中間転写ベルトの線速Aと最小L1との関係を示す特性図。
【図11】転写ニップにおけるL1と転写バイアスVBの最適範囲との関係を示す特性図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
1a 感光体
2 中間転写ベルト
8 入口ローラ
9 出口ローラ
16 導電性ブラシ
Claims (3)
- 可視像を担持する像担持体の表面に一定距離接触しながら移動するベルト状の転写体と、該像担持体と該転写体との接触部内で該転写体上の転写電荷を減少させるように除電する除電部材と、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体に転写電荷を付与する電荷付与部材とを有し、該像担持体と該転写体との接触部に形成された転写電界により該像担持体上の可視像を該転写体上に転写する転写装置を備え、
該転写装置は、該転写体として、該転写体の該像担持体との接触面とは反対側の裏面の電位と該裏面上の転写体移動方向における該除電の位置からの距離との関係が線形になるような電気抵抗を有するものを用い、該転写体の裏面で上記除電を行い、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体の裏面に転写電荷を付与する画像形成装置における転写条件の設定方法において、
上記接触部で上記像担持体に付着している可視像のトナーを上記転写体側に向けて静電的に離脱させるために最低限必要な該転写体の裏面の電位をV1[V]、上記像担持体の誘電体層の厚さをdm[μm]、該誘電体層の比誘電率をεm、上記転写体の厚さをdp[μm]、該転写体の比誘電率をεp、該像担持体上の可視像を構成するトナー粒子1個当たりの平均帯電量をq[fC]、該トナー粒子の平均粒径をd[μm]、該像担持体上の可視像形成部の電位をVL[V]としたとき、上記誘電体層の誘電厚みdm/εmが3.1〜12.5[μm]、上記転写体の誘電厚みdp/εpが1[μm]、上記トナー粒子の単位粒径当たりの平均帯電量q/dの絶対値が0.5[fC/μm]、トナー密度δが1200kg/m3、該トナー粒子1個当たりの平均質量mが0.26ng、充填率Pが0.42、上記像担持体上の可視像におけるトナー層の層厚dtが20μm、該トナー層の比誘電率εrlが1.6である条件下で、結果として下記の(2)式が満足されるように上記転写体の裏面の電位V1の値を決定し、
該像担持体上のベタ画像からなる可視像を該転写体側に転写効率90%以上で転写するために最低限必要な、該転写体の電位を絶対値で上記V1以上に保持する時間ΔT[秒]の値と、該接触部の転写体移動方向の終点で該像担持体と該転写体との間にパッシェン放電開始電位差を生じさせる該転写体の裏面の電位V2[V]の値とを決定し、
上記転写体移動方向における上記除電の位置から上記接触部の終点までの距離をL1[mm]、該終点から上記転写電荷付与の位置までの距離をL2[mm]、該転写体の移動速度をA[mm/s]、上記電荷付与部材の電位をVt[V]、上記除電部材の電位をV0[V]としたとき、上記決定したV1、V2及びΔTの値を用いて結果として下記の(1)式が満足されるようにL1、L2、Vt及びV0を設定することを特徴とする画像形成装置における転写条件の設定方法。
|V0+ ( V1−V0 ) ・ ( L1+L2 ) / ( L1−A・ΔT ) |≦|Vt|<|V0+ ( V2−V0 ) ・ ( L1+L2 ) /L1| ・・・(1)
|V1|≧|{100+5・(dm−10)}+(VL+150)| ・・・(2) - 可視像を担持する像担持体の表面に一定距離接触しながら移動するベルト状の転写体と、該像担持体と該転写体との接触部内で該転写体上の転写電荷を減少させるように除電する除電部材と、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体に転写電荷を付与する電荷付与部材とを有し、該像担持体と該転写体との接触部に形成された転写電界により該像担持体上の可視像を該転写体上に転写する転写装置を備え、
該転写装置は、該転写体として、該転写体の該像担持体との接触面とは反対側の裏面の電位と該裏面上の転写体移動方向における該除電の位置からの距離との関係が線形になるような電気抵抗を有するものを用い、該転写体の裏面で上記除電を行い、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体の裏面に転写電荷を付与する画像形成装置における転写条件の設定方法において、
上記接触部で上記像担持体に付着している可視像のトナーを上記転写体側に向けて静電的に離脱させるために最低限必要な該転写体の裏面の電位をV1[V]、上記像担持体の誘電体層の厚さをdm[μm]、該誘電体層の比誘電率をεm、上記転写体の厚さをdp[μm]、該転写体の比誘電率をεp、該像担持体上の可視像を構成するトナー粒子1個当たりの平均帯電量をq[fC]、該トナー粒子の平均粒径をd[μm]、該像担持体上の可視像形成部の電位をVL[V]としたとき、上記誘電体層の誘電厚みdm/εmが8.8[μm]、上記転写体の誘電厚みdp/εpが1[μm]、上記トナー粒子の単位粒径当たりの平均帯電量q/dの絶対値が0.33〜1.0[fC/μm]、トナー密度δが1200kg/m3、該トナー粒子1個当たりの平均質量mが0.26ng、充填率Pが0.42、上記像担持体上の可視像におけるトナー層の層厚dtが20μm、該トナー層の比誘電率εrlが1.6である条件下で、結果として下記の(3)式が満足されるように上記転写体の裏面の電位V1の値を決定し、
該像担持体上のベタ画像からなる可視像を該転写体側に転写効率90%以上で転写するために最低限必要な、該転写体の電位を絶対値で上記V1以上に保持する時間ΔT[秒]の値と、該接触部の転写体移動方向の終点で該像担持体と該転写体との間にパッシェン放電開始電位差を生じさせる該転写体の裏面の電位V2[V]の値とを決定し、
上記転写体移動方向における上記除電の位置から上記接触部の終点までの距離をL1[mm]、該終点から上記転写電荷付与の位置までの距離をL2[mm]、該転写体の移動速度をA[mm/s]、上記電荷付与部材の電位をVt[V]、上記除電部材の電位をV0[V]としたとき、上記決定したV1、V2及びΔTの値を用いて結果として下記の(1)式が満足されるようにL1、L2、Vt及びV0を設定することを特徴とする画像形成装置における転写条件の設定方法。
|V0+ ( V1−V0 ) ・ ( L1+L2 ) / ( L1−A・ΔT ) |≦|Vt|<|V0+ ( V2−V0 ) ・ ( L1+L2 ) /L1| ・・・(1)
|V1|≧|140+45・(q−2)+5・(q−2)2+(VL+150)| ・・・(3) - 可視像を担持する像担持体の表面に一定距離接触しながら移動するベルト状の転写体と、該像担持体と該転写体との接触部内で該転写体上の転写電荷を減少させるように除電する除電部材と、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体に転写電荷を付与する電荷付与部材とを有し、該像担持体と該転写体との接触部に形成された転写電界により該像担持体上の可視像を該転写体上に転写する転写装置を備え、
該転写装置は、該転写体として、該転写体の該像担持体との接触面とは反対側の裏面の電位と該裏面上の転写体移動方向における該除電の位置からの距離との関係が線形になるような電気抵抗を有するものを用い、該転写体の裏面で上記除電を行い、該接触部の転写体移動方向の終点の同方向下流側で該転写体の裏面に転写電荷を付与する画像形成装置における転写条件の設定方法において、
上記接触部の転写体移動方向の終点で該像担持体と該転写体との間にパッシェン放電開始電位差を生じさせる該転写体の電位をV2[V]、上記像担持体の誘電体層の厚さをdm[μm]、該誘電体層の比誘電率をεm、上記転写体の厚さをdp[μm]、該転写体の比誘電率をεp、該像担持体上の可視像を構成するトナー粒子1個当たりの平均帯電量をq[fC]、該トナー粒子の平均粒径をd[μm]、該該像担持体上の可視像形成部の電位をVL[V]としたとき、上記誘電体層の誘電厚みdm/εmが3.1〜12.5[μm]、上記転写体の誘電厚みdp/εpが1[μm]、上記トナー粒子の単位粒径当たりの平均帯電量q/dの絶対値が0.17〜1.0[fC/μm]、トナー密度δが1200kg/m3、該トナー粒子1個当たりの平均質量mが0.26ng、充填率Pが0.42、上記像担持体上の可視像におけるトナー層の層厚dtが5〜60μm、該トナー層の比誘電率εrlが1.6である条件下で、結果として下記の(4)式が満足されるように上記転写体の裏面の電位V2の値を決定し、
上記接触部で上記像担持体に付着している可視像のトナーを上記転写体側に向けて静電的に離脱させるために最低限必要な該転写体の裏面の電位V1[V]の値と、該像担持体上のベタ画像からなる可視像を該転写体側に転写効率90%以上で転写するために最低限 必要な、該転写体の電位を絶対値で上記V1以上に保持する時間ΔT[秒]の値とを決定し、
上記転写体移動方向における上記除電の位置から上記接触部の終点までの距離をL1[mm]、該終点から上記転写電荷付与の位置までの距離をL2[mm]、該転写体の移動速度をA[mm/s]、上記電荷付与部材の電位をVt[V]、上記除電部材の電位をV0[V]としたとき、上記決定したV1、V2及びΔTの値を用いて結果として下記の(1)式が満足されるようにL1、L2、Vt及びV0を設定することを特徴とする画像形成装置における転写条件の設定方法。
|V0+ ( V1−V0 ) ・ ( L1+L2 ) / ( L1−A・ΔT ) |≦|Vt|<|V0+ ( V2−V0 ) ・ ( L1+L2 ) /L1| ・・・(1)
|V2|<|〔{600+10・(dt−5)}+5・(dm−10)〕+VL| ・・・(4)
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