JP3694202B2 - 内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法 - Google Patents

内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通されて体腔内における処置に用いられる内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図17は、最も代表的な内視鏡用処置具である内視鏡用生検鉗子の先端部分を示しており、可撓性のシース1内に操作ワイヤ2が軸線方向に進退自在に挿通配置され、シース1の先端に取り付けられた先端支持部材3に、一対の鉗子カップ7が支軸5を中心にして嘴状に開閉自在に支持されている。
【0003】
先端支持部材3の先側部分には、先側に開口する溝3aが形成されていて、操作ワイヤ2によって作動して鉗子カップ7を開閉駆動する駆動機構10が、スリット状の溝3a内に挟持配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図18は、先端支持部材3を単独で示しており、先端支持部材3の後側部分3Aはシース1の先端部分が差し込まれる筒状に形成され、先側部分3Bには上述のように駆動機構10が挟持配置される溝3aが形成されている。
【0005】
そして従来は、先端支持部材3が、棒状の素材を切削加工することにより上述のような形状に形成されていたので、後方からの穴あけ加工と先側の溝形成加工の少なくとも二種類の切削加工が必要であり、しかもフライス盤等の使用を必要とすることから、部品製造にコストがかさむ欠点があった。
【0006】
そこで本発明は、駆動機構挟持溝部とシース連結部とを有する先端支持部材を低コストで製造可能な内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法は、先端処置部材駆動機構を可動に挟持するように先端側からスリット状の隙間が形成された駆動機構挟持溝部と、シースの先端に連結されるように環状に形成されたシース連結部とが形成された内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法において、円柱状の金属素材の先端寄りの部分を中央にスリット状の隙間があくように鍛造によって軸線方向に押し出して駆動機構挟持溝部を形成すると共に、金属素材の後端寄りの部分を鍛造によって押し出し方向と逆方向に環状に押し出してシース連結部を形成したものである。
【0008】
なお、シース連結部を鍛造により押し出し成形する際には、駆動機構挟持溝部を鍛造成形する際のポンチに代えて、ダイスとの間に環状の隙間が形成されたポンチを用い、駆動機構挟持溝部の鍛造加工方向と同方向に鍛造加工を行ってもよい。
【0009】
また、駆動機構挟持溝部を鍛造成形する際のポンチとダイスとの間に環状の隙間を設け、駆動機構挟持溝部を押し出し成形する際に、同時にポンチとダイスとの間にシース連結部が押し出し成形されるようにしてもよい。
【0010】
また、駆動機構挟持溝部のスリット状の隙間を横断してその両側にまたがる貫通孔を鍛造押し出し加工により穿設する際に、ポンチによってスリット状の隙間の手前側にあけた孔のスクラップをそのまま押し込んでスリット状の隙間の先側の孔あけを行うようにしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は、内視鏡用生検鉗子の先端部分を示しており、図1は平面断面図、図2は側面断面図である。ただし、両図共に、少ない図面で構造を説明できるように、異なる断面を複合して図示してある。
【0012】
図示されていない内視鏡の鉗子チャンネルに挿脱される可撓性のシース1は、例えばステンレス鋼線を一定の径で密着巻きして形成された密着巻コイルパイプからなる。
【0013】
ただし、シース1は密着巻コイルパイプに可撓性チューブを被覆したものや、その他の構成をとってもよく、その長さは例えば1〜2.5m程度、直径は1.5〜3mm程度である。
【0014】
シース1の内部には、軸線方向に進退自在に操作ワイヤ2が全長にわたって挿通配置されており、シース1の基端側に連結された操作部(図示せず)からの操作によって操作ワイヤ2が進退操作される。
【0015】
シース1の先端には先端支持部材3が固定的に連結されている。先端支持部材3は、図6に単独で示されるように、シース1の先端に連結されるように環状に形成されたシース連結部31と、先端処置部材駆動機構(駆動レバー8、リンク板13等)を可動に挟持するように先端からスリット状の隙間32aが形成された駆動機構挟持溝部32とからなっている。その製造方法については後述する。
【0016】
先端支持部材3のシース連結部31と駆動機構挟持溝部32との境界部の中心軸線位置には、後述するワイヤ連結リンク12が緩く通る通過孔39が形成されている。
【0017】
先端支持部材3の先端近傍(即ち駆動機構挟持溝部32の先端近傍)には、軸線方向と直交する向きに支軸受孔4が貫通して穿設され、そこに支軸5が通されてかしめ固定されている。
【0018】
そして、鉗子カップ7と駆動レバー8とが一体に形成された二組の部材がその支軸5に回動自在に支持されており、一対の鉗子カップ7は、開放面どうしがあい対向した状態で先端支持部材3より前方に突出した位置に配置されている。
【0019】
駆動レバー8は、駆動機構挟持溝部32のスリット状の隙間32a内に可動に収容されている。そして、両端が先端支持部材3に保持された支軸5が各駆動レバー8に穿設された軸孔11に通されていて、駆動レバー8が支軸5を中心に回動することにより、駆動レバー8と一体に形成された鉗子カップ7が嘴状に開閉動作をする。図3は、鉗子カップ7が開いた状態を示している。
【0020】
鉗子カップ7と駆動レバー8は、一枚のステンレス鋼板を素材としてプレス加工によって形成されており、図4にその部品単体の斜視図が示され、図1には平面断面の一部が示されている。
【0021】
鉗子カップ7と駆動レバー8は、全体として柄の短いスプーン状に形成されている。鉗子カップ7は背部分に孔7aが形成された半長球状であり、開放面の縁部には刃が形成されている。
【0022】
鉗子カップ7と駆動レバー8との境界部分9は、V−V断面を示す図5に示されるように略U字状の断面形状に形成されており、駆動レバー8も境界部分9と連続した略U字状の断面形状に形成されている。
【0023】
操作ワイヤ2の先端に固着連結された棒状のワイヤ連結リンク12の先側部分が先端支持部材3のスリット状の隙間32a内に位置しており、ワイヤ連結リンク12の先端部分を挟んで配置された板状の二つのリンク板13が、リベット14によってワイヤ連結リンク12の先端近傍に回動自在に連結されている。
【0024】
リベット14は、ワイヤ連結リンク12に形成された孔15に回転自在に緩く嵌挿されて、二つのリンク板13の各々に形成された孔16に両端が保持されてかしめられている。
【0025】
略U字状に形成された駆動レバー8内の隙間部分8bは、支軸5の軸線方向に対して垂直の方向に形成された平行溝になっており、その平行溝8b内にリンク板13の他端側が各々差し込まれ、両端が駆動レバー8に保持されたリベット18(ピン状部材)によってリンク板13が駆動レバー8に回動自在に連結されている。
【0026】
二つのリベット18は、各リンク板13に形成された孔19に各々回転自在に緩く嵌挿されて、各駆動レバー8に形成された孔20部分に各々の両端が保持されている。8aは、リンク板13を通すために駆動レバー8の底部に形成された溝孔である。
【0027】
このようにして、ワイヤ連結リンク12と二つのリンク板13及び駆動レバー8によってパンタグラフ状のリンク機構が構成されていて、操作ワイヤ2を手元側から進退操作することにより、それと一体にワイヤ連結リンク12が進退し、リンク板13によって駆動レバー8が支軸5を中心に回動して、鉗子カップ7が嘴状に開閉する。
【0028】
その際に、リンク板13が駆動レバー8の平行溝8b内に配置されていて、両端が駆動レバー8に受けられた状態のリベット18にリンク板13が係合しているので、リンク板13と駆動レバー8とが連結部分でかしいだり傾いたりせず円滑に動作し、鉗子カップ7が確実に開閉する。使用時には、生体の粘膜組織を一組の鉗子カップ7の間に強く挟み込んで、食いちぎるようにして鉗子カップ7内に採取する。
【0029】
次に、上記先端支持部材3を鍛造加工によって製造する本発明の製造方法について説明する。
図7ないし図15は、本発明の第1の実施の形態の製造方法を示している。
【0030】
ダイス100には、短い円柱状のステンレス鋼棒材からなる素材3′を、軸線が鉛直方向に向いた状態で上方から嵌め込むための素材受け孔101が上面に開口して形成されている。
【0031】
素材受け孔101の底部には、VIII−VIII断面を示す図8に示されるように、入口が駆動機構挟持溝部32の断面形状に形成された一対の型抜き孔102が穿設され、図7に示されるように、その型抜き孔102は真っ直ぐ下方に、徐々に断面積を増加させながら伸びている。
【0032】
そして、成形加工後のものをダイス100から押し出して取り出すためのエジェクトピン103が、駆動機構挟持溝部32の長さを確保する妨げにならない状態に、型抜き孔102の下方から差し込まれている。
【0033】
この実施の形態においては素材3′の直径が先端支持部材3の直径より若干太く形成されている。そして、素材受け孔101内に嵌め込まれた素材3′を、図9に示されるようにダイス100に嵌合する直径の第1のポンチ200で押圧し、素材3′の下側の部分を型抜き孔102内に押し出す。
【0034】
型抜き孔102内に押し出された部分の断面形状は、図8に示される型抜き孔102の入口部分の断面形状になり、この工程によって、先端支持部材3の先側の部分である駆動機構挟持溝部32(及びスリット状の隙間32a)が鍛造加工により押し出し成形される。
【0035】
次に、図10に示されるように、第1のポンチ200に代えて、先端部分とダイス100の素材受け孔101の内周面との間に環状の隙間を有する第2のポンチ300によって、素材受け孔101内の素材3′を押圧する。
【0036】
すると、素材3′の上側の部分が、第2のポンチ300の先端部分とダイス100の素材受け孔101との間の隙間内に押し出されて、先端支持部材3の後側部分であるシース連結部31が鍛造成形される。
【0037】
シース連結部31と駆動機構挟持溝部32が形成されたら、図11に示されるように、シース連結部31を下にして円筒状のダイス400で受け、棒状の第1の孔抜きポンチ401によってシース連結部31と駆動機構挟持溝部32との間の部分を軸線方向に押し出す。これによって、通過孔39が鍛造成形される。
【0038】
そして、図12に示されるように、外周の中間部分に突出している余分な鍔状部分34を、外形シェービング用のダイス403とポンチ404でカットすることにより、支軸受孔4が形成されていないだけの先端支持部材3の形状を有する部品ができる。
【0039】
最後に、図13ないし図15に順に図示されるように、ダイス500に横向きに載せた先端支持部材3に対して、第2の孔抜きポンチ501によって打ち抜き加工を行って、支軸受孔4を形成する。
【0040】
支軸受孔4は、駆動機構挟持溝部32のスリット状の隙間32aを横断してその両側にまたがる貫通孔なので、第2の孔抜きポンチ501によってスリット状の隙間32aの手前側にあけた孔のスクラップ4′を、そのままスリット状の隙間32aを横断して奥へ押し込み、そのスクラップ4′で奥側の孔を打ち抜き成形する。4″は奥側の孔のスクラップである。なお、このような加工は、鉗子カップ7の軸孔11等、他の孔あけ加工にも適用することができる。
【0041】
図16は、本発明の第2の実施の形態の製造方法の鍛造加工工程を示しており、ポンチ600の先端部分をダイス100の素材受け孔101よりシース連結部31の肉厚分だけ細く形成して、素材3′に対する一回の鍛造押し出し加工によって、シース連結部31と駆動機構挟持溝部32とが同時に成形されるようにしたものである。このようにすると、第1の実施の形態のように鍔状部分34ができないので、その切除工程も不要となる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば本発明を生検鉗子以外の各種の内視鏡用処置具の部品の製造に適用してもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、円柱状の金属素材の先端寄りの部分を中央にスリット状の隙間があくように鍛造によって軸線方向に押し出して駆動機構挟持溝部を形成すると共に、金属素材の後端寄りの部分を鍛造によって押し出し方向と逆方向に環状に押し出してシース連結部を形成したことにより、駆動機構挟持溝部とシース連結部とを有する先端支持部材を極めて低いコストで容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子が閉じた状態の先端部分の平面複合断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子が閉じた状態の先端部分の側面複合断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子が開いた状態の先端部分の側面部分断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子の鉗子カップと駆動レバーが一体に形成された部材の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子の鉗子カップと駆動レバーとの境界部分の断面図(図4におけるV−V断面図)である。
【図6】本発明の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法の工程を示す正面断面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法の工程を示す正面断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法の工程を示す正面断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法の工程を示す正面断面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法の外形シェービング工程を示す正面断面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法の支軸受孔加工の工程を示す側面断面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法の支軸受孔加工の工程を示す側面断面図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法の支軸受孔加工の工程を示す側面断面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法の工程を示す正面断面図である。
【図17】従来の内視鏡用生検鉗子の先端部分の側面断面図である。
【図18】従来の先端支持部材の斜視図である。
【符号の説明】
1 シース
2 操作ワイヤ
3 先端支持部材
4 支軸受孔
7 鉗子カップ
8 駆動レバー
13 リンク板
31 シース連結部
32 駆動機構挟持溝部
32a スリット状の隙間
39 通過孔
100 ダイス
101 素材受け孔
200 第1のポンチ
300 第2のポンチ
401 第1の孔抜きポンチ
403 外形シェービング用ダイス
404 外形シェービング用ポンチ
500 ダイス
501 第2の孔抜きポンチ
600 ポンチ

Claims (1)

  1. 先端処置部材駆動機構を可動に挟持するように先端側からスリット状の隙間が形成された駆動機構挟持溝部と、シースの先端に連結されるように環状に形成されたシース連結部とが形成された内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法において、
    上記駆動機構挟持溝部の上記スリット状の隙間を横断してその両側にまたがる貫通孔を鍛造押し出し加工により穿設する際に、ポンチによって上記スリット状の隙間の手前側にあけた孔のスクラップをそのまま押し込んで上記スリット状の隙間の先側の孔あけを行うようにしたことを特徴とする内視鏡用処置具の先端支持部材の製造方法。
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