JP3693860B2 - 動圧軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、気泡を外部に排出できる動圧軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の動圧軸受としては、図3に示すようなものがある。この動圧軸受21の軸22は、軸方向に互いに一定間隔をあけて本体軸部29に二個の動圧溝領域23,23を有し、軸22とスリーブ24の間には潤滑剤を充たしている。上記軸22の二つの動圧溝領域23,23の間の部分33は、小径の偏心軸部33となっている。上記偏心軸部33の断面は、図4に示すように、軸22の本体軸部29の中心31に対して偏心した別の中心32を持ち、上記本体軸部29の径よりも小径の円形断面であり、上記偏心軸部33の反偏心側の周面に開口26を設けている。上記偏心軸部33の反偏心側とスリーブ24との間に、図3,4に示すように気泡溜まり25を形成している。
【0003】
上記軸22が回転すると、上記潤滑剤に混入していた気泡が気泡溜まり25に集まる。そして、集まった気泡は、上記開口26に入り、軸22の中に設けた排気孔27を通って外部に排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の動圧軸受は、本体軸部に対して偏心軸部を偏心して加工するのは容易ではなくて、コストアップの原因となっていた。
【0005】
そこで、この発明の目的は、気泡溜まりを容易に形成できる動圧軸受を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の動圧軸受は、
相対回転する軸またはスリーブの一方に、互いに軸方向に離隔して複数の動圧溝領域を形成した動圧軸受において、
上記複数の動圧溝領域の間に位置する上記軸の部分に平坦部を形成すると共に、上記軸の平坦部に開口して外部と連通する孔を設け、
上記平坦部は上記軸の外周面に1つのみ形成し、
上記平坦部によって、上記軸の外周面と上記スリーブの内周面との間に断面D字形状の室を形成し、この室が、上記軸の回転に伴って上記軸の周りを回転するようにしたことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明の動圧軸受は、
請求項1に記載の動圧軸受において、上記動圧溝が上記軸に設けられたフランジ部の軸方向両側面に形成されるとともに、上記フランジ部の外径側の一部に平坦部が形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1および請求項2の発明によれば、気泡溜まりを形成する際に、軸の一部およびフランジ部の外径側の一部に、たとえばフライス盤等で平面加工をして平坦部を形成するだけでよい。この平坦部に開口して外部と連通する孔を設けている。この孔は平坦部に加工するので、円筒面に加工する場合に比べて容易である(ドリルが逃げない)。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0010】
図1はこの発明によるラジアル型動圧軸受1を示したものである。この動圧軸受1は、軸2に軸方向に互いに間隔をあけて、二個の帯状の動圧溝領域3,3を有する。この動圧溝領域3には、複数のヘリンボーン形の動圧溝を設けている。
上記軸2とスリーブ4の間は潤滑剤を充たしている。上記軸2には、上記二個の動圧溝領域3,3の間で、軸2の素材の一部をたとえばフライス盤で切削して平坦部10を形成している。この平坦部10と、上記スリーブ4との間に気泡溜まり5を形成する。上記平坦部10での動圧軸受1の断面を図2に示す。上記平坦部10の断面は、上記軸2の円形断面上の接線に対して45°以下の角度αをなして、回転時にアンバランスな力が働かないようにしている。そして、上記平坦部10上に気泡溜まり5に面した開口6を有する半径方向部7aと、軸方向部7bとからなって、外部に通じる排気孔7を設けている。
【0011】
上記構成において、上記軸2が回転すると、潤滑剤に混入していた気泡が、上記気泡溜まり5に集まる。そして上記気泡溜まり5中の気泡は、上記平坦部10に設けた開口6から排気孔7を通って外部に排出される。
【0012】
図5および図6に、この発明の他の実施の形態を示す。この実施の形態は、この発明をスラスト型動圧軸受に適用したものである。この動圧軸受11は、軸12にフランジ部120を設けている。フランジ部120は、軸12と一体に形成してもよく、別部材として軸12に嵌合しても、あるいは、接着によって軸12と一体化してもよい。フランジ部120の軸方向両側面121,122には、各々複数のヘリンボーン形の動圧溝13を周方向に設けている。上記一体化した軸12およびフランジ部120と、スリーブ14との間には、潤滑剤を充たしている。上記フランジ部120の外径側の一部に、上記の実施の形態と同様の平坦部15をフライス盤等で切削形成している。この平坦部15と、上記スリーブ14との間に気泡溜まり16を形成している。そして、上記平坦部15上に、気泡溜まり16に面した開口17を有する半径方向部19aと、フランジ部両側面121,122上の、フランジ部120の軸12との付け根部分周辺に夫々開口18a,18bを有する軸方向部19bとからなる排気孔19を設けている。開口18aは、軸12とスリーブ14との間隙を介して外部へ連通している。
【0013】
上記構成において、上記軸12、フランジ部120が回転すると、潤滑剤に混入していた気泡が上記気泡溜まり16に集まる。そして、上記気泡溜まり16中の気泡は、上記平坦部15に設けた開口17から排気孔19を通って、開口18aを介して外部に排出される。
【0014】
上記各実施の形態では、軸2,フランジ部120の素材を、たとえばフライス盤で削って平坦部10,15を形成するだけで気泡溜まり5,16を形成できる。しかも、排気孔7,19の半径方向部7a,19aは平坦部10,15から開けるので、円筒面に開ける場合に比べて容易である。したがって、この動圧軸受は簡単かつ安価に製作できる。
【0015】
上記実施の形態の動圧軸受は、軸に動圧溝領域を有するが、この発明は軸に対向するスリーブ側に、軸方向に互いに離隔した動圧溝領域を有するものであっても適用できる。
【0016】
上記実施の形態の動圧軸受は、軸およびフランジの平坦部を切削加工によって形成するものであるが、プレス加工等の他の加工方法によるのもでもよい。
【0017】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の動圧軸受は、軸およびフランジ部に平坦部を形成して、この平坦部に開口する孔を設けているので、平坦部の加工がフライス盤等で容易にでき、かつ、孔は平坦部に開口するので、孔の加工は容易で、したがって従来の小径の偏心軸部を有する動圧軸受よりも、容易かつ安価に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態の動圧軸受である。
【図2】 図1に示す実施の形態の動圧軸受の断面図である。
【図3】 従来の動圧軸受を示す図である。
【図4】 図3に示す従来の動圧軸受の断面図である。
【図5】 この発明の他の実施の形態の動圧軸受である。
【図6】 図5に示す実施の形態の動圧軸受の断面図である。
【符号の説明】
1 動圧軸受
2 軸
3 動圧溝領域
4 スリーブ
5 気泡溜まり
6 開口
7 排気孔
7a 半径方向部
7b 軸方向部
10 平坦部
Claims (2)
- 相対回転する軸またはスリーブの一方に、互いに軸方向に離隔して複数の動圧溝領域を形成した動圧軸受において、
上記複数の動圧溝領域の間に位置する上記軸の部分に平坦部を形成すると共に、上記軸の平坦部に開口して動圧溝領域の外側と連通する孔を設け、
上記平坦部は上記軸の外周面に1つのみ形成し、
上記平坦部によって、上記軸の外周面と上記スリーブの内周面との間に断面D字形状の室を形成し、この室が、上記軸の回転に伴って上記軸の周りを回転するようにしたことを特徴とする動圧軸受。 - 上記動圧溝が上記軸に設けられたフランジ部の軸方向両側面に形成されるとともに、上記フランジ部の外径側の一部に平坦部が形成されていることを特徴とする請求項1の動圧軸受。
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JP22511899A JP3693860B2 (ja) | 1999-08-09 | 1999-08-09 | 動圧軸受 |
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ID=16824260
Family Applications (1)
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JP22511899A Expired - Fee Related JP3693860B2 (ja) | 1999-08-09 | 1999-08-09 | 動圧軸受 |
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JP (1) | JP3693860B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI635225B (zh) * | 2017-04-07 | 2018-09-11 | 東培工業股份有限公司 | 動壓軸承及其製造方法 |
-
1999
- 1999-08-09 JP JP22511899A patent/JP3693860B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JP2001050256A (ja) | 2001-02-23 |
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