JP3693700B2

JP3693700B2 - 固形酸素発生剤

Info

Publication number: JP3693700B2
Application number: JP08114395A
Authority: JP
Inventors: 豊平津; 洋喜藤原
Original assignee: Tateho Kagakukogyo KK
Current assignee: Tateho Kagakukogyo KK
Priority date: 1995-03-09
Filing date: 1995-04-06
Publication date: 2005-09-07
Anticipated expiration: 2020-09-07
Also published as: JPH08301605A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は酸素放出固形剤、特に、水と接触させることにより酸素を徐々に放出する徐放性酸素放出固形剤に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種の固形酸素発生剤としては、アルカリ土類金属の過酸化物とクエン酸、リンゴ酸及び硫酸アルミニウムの少なくとも一種との混合を水和性石膏で固形化したもの（特公昭６２−１２１６３号公報）、無機過酸化物を中和剤及び触媒等と共に低密度膨張黒鉛と混合して加圧成形したもの（特公平４−３２００１号公報）などが提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの酸素発生固形剤は、いずれも過酸化物粒子が成形体内部に閉じ込められ又はバインダで被覆されるため、水との接触が妨げられる結果、過酸化物の利用効率が低くなることは避けられないという問題がある。また、後者の場合、水の進入を容易にするため光合成細菌を加えることが提案されているが、この光合成細菌の溶出に伴い粒子間の拘束が解かれ微細な黒鉛粒子の一部が溶出し、水が汚染されるという問題がある。
【０００４】
従って、本発明の課題は、担体やバインダ等の使用による水の汚染の恐れがなく、酸素を長期に渡って放出し、水中の酸素濃度をある水準以上に長期にわたって維持できる安価な固形酸素発生剤を得ることにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、固形酸素発生剤を過酸化カルシウム１０〜４０％、炭酸カルシウム１０〜３０％、水酸化カルシウム１０〜３０％、及び燐酸二水素カルシウム３０〜６０％とで構成するようにしたものである。
【０００６】
好ましい実施態様においては、各原料粉末として粒度が０.１〜１mmの粉末が使用される。また、前記固形酸素発生剤は原料粉末の混合物を圧縮成形することにより得られるが、その成形圧力は１〜３ton/cm²の範囲内に設定するのが好適である。
【０００７】
【作用】
固形酸素発生剤の有効成分として過酸化カルシウムを用い、これに炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムを添加することにより過酸化カルシウムの急激な水との反応が抑制される結果、反応が安定化し長期間にわたって酸素放出を行い、水中の溶存酸素を増加させる。また、これに燐酸二水素カルシウムを添加することにより固形酸素発生剤を入れた水のｐＨが動植物の生存に悪影響を及ぼすことのない中性〜酸性側に維持される。更に、原料粉末の混合物を１〜３ton/cm^２の範囲内の圧力で圧縮成形することにより成形が可能となり、担体やバインダを用いることなく固形状態を維持することが可能となり、また、各原料粉末の粒度を０.１〜１mmに調製し、前記範囲の成形圧力で成形することにより成形体内部に微小空間が形成され、過酸化カルシウムを全て有効に利用することが可能となる。また、過酸化カルシウムが水との反応により強い塩基性を示す水酸化カルシウムを生成するが、これは燐酸二水素カルシウムとの反応により水のｐＨが７以下に抑制され、動植物に害を及ぼすことがない。ちなみに、炭酸カルシウムは歯磨き粉や制酸剤として用いられており、また、燐酸二水素カルシウムは燐やカルシウムの補給源として栄養剤に用いられていることからも明らかなように、全ての成分が人体に対して無害である。次に、実施例を挙げて本発明について詳細に説明する。
【０００８】
【実施例】
予め粒度を０．１〜１mmに調製した過酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、燐酸二水素カルシウムを用意し、これらを重量百分率で２０：２０：２０：４０の配合比で混合し、その混合粉末を一軸プレス機を用いて２ton/cm²で成形し、直径５０mm、厚さ１０mmの円板状固形酸素発生剤を得た。得られた円板状固形酸素発生剤を２リットルの蒸留水に一個投入し、一定時間経過毎に溶存酸素量とｐＨを測定した。その結果を表１に示す。
【０００９】
【表１】

【００１０】
また、前記円板状固形酸素発生剤を２リットルの水槽に一個入れたものと、比較例として円板状固形酸素発生剤を使用しないものとを用意し、各水槽の水面に設置したメッシュの上に絹さやえんどうの種を１８個置き、１０日後の発芽及び成長状況を測定した。その結果を表２に示す。
【００１１】
【表２】

【００１２】
表１に示す結果から明らかなように、本発明に係る固形酸素発生剤は、溶存酸素量を１０mg/L以上のレベルに２週間以上にわたって維持することができ、しかも、二週間経過後でも水のｐＨが７近傍で安定している。また、表２に結果から、本発明に係る固形酸素発生剤を水耕栽培に利用すると、根の発育及び成長が著しく促進されることが判る。
【００１３】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、固形酸素発生剤を全てカルシウム化合物で構成する、即ち、過酸化カルシウム１０〜４０％、炭酸カルシウム１０〜３０％、水酸化カルシウム１０〜３０％、及び燐酸二水素カルシウム３０〜６０％で構成することにより、担体やバインダを使用することなく成形することがなく、従って、過酸化カルシウムを全て有効に利用でき、しかも、担体やバインダの使用による水の汚染を阻止できる、固形酸素発生剤を安価に製造できる。また、固形酸素発生剤は、水との接触により水中で徐々に酸素を発生し水中の酸素濃度を増加させるだけでなく、ｐＨも７近傍に維持するため、動植物に悪影響を与えることがなく、活魚輸送時に水槽に投入することにより活魚の生存率を向上させたり、釣餌の寿命を延長させたり、魚類の水槽飼育への使用、水耕栽培時の種苗の発育促進、切り花の寿命の延長、好気性菌類の培養等を図ることができるなど、優れた効果が得られる。

Claims

過酸化カルシウム１０〜４０％、炭酸カルシウム１０〜３０％、水酸化カルシウム１０〜３０％、燐酸二水素カルシウム３０〜６０％からなることを特徴とする固形酸素発生剤。
前記成分の各原料粉末の粒度が０.１〜１mmである請求項１記載の固形酸素発生剤。
前記固形酸素発生剤が１〜３ton/cm²の圧力で成形されたものである請求項１又は２記載の固形酸素発生剤。