JP2005323540A - 窒素分含有肥料の施肥方法及び硝化菌製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 施肥の際にアンモニア障害がなく、施肥後すぐに播種や定植などの農作業を行なうことが可能な施肥方法を提示すること。
【解決手段】 硝化菌を基材に担持させてなる硝化菌製剤を窒素分含有肥料の施肥と同時又は前後して施すことを特徴とする施肥方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 硝化菌を基材に担持させてなる硝化菌製剤を窒素分含有肥料の施肥と同時又は前後して施すことを特徴とする施肥方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、窒素分含有肥料の施肥方法及びそれに用いる硝化菌製剤に関する。具体的には、窒素分含有肥料に起因して起こりがちな植物生育阻害を回避して農作業などの効率化と成長促進性を高めた施肥方法及硝化菌製剤に関するものである。さらに、本発明は、写真廃液の有効利用にも関係している。
従来、農作物、花木、園芸作物などの生育には、硝酸態窒素が重要な役割を果していることが知られている。農作物には好硝酸性植物が多く(例外的に稲や茶などの好アンモニア性植物もある)、これらに吸収される窒素分は硝酸態窒素である。したがって、施用される肥料は硝酸態窒素を含むものが多いが、硝酸態窒素は土壌に対する吸着性に乏しいため、播種後の灌水により容易に溶脱され、窒素肥料効率が低下するという欠点がある。肥料中の窒素分が硝酸態でない(例えばアンモニア態窒素)場合には農耕地などの土壌中に生息する硝化菌、すなわち亜硝酸菌及び硝酸菌の作用により、硝酸態窒素に変化して作物に利用されるので硝酸態窒素の徐放効果が得られる。
したがって、特許文献1には、アンモニア態窒素成分を含む肥料の施肥の際に硝化菌をゼオライトに吸着させて肥料と共に添加し、硝化菌の硝酸化作用を利用する方法が開示されている。しかしながらアンモニア態窒素過剰の窒素肥料を施肥した場合にはアンモニア障害が起こるという欠点があり、その回避には、例えば施肥から播種又は定植までに硝化菌によって硝化されるのに要する通常1週間以上の休止期間を置くなどの施肥管理が必要になる。
特許文献2には、多孔質珪酸カルシウム水和物を硝化菌培養の基質に用いてこれを施肥する方法が開示されている。しかしながら、この方法では土壌中に珪酸カルシウムが残留してしまう。
この発明に関連する前記の先行技術には、下記のとおりである。
特開平9−294582号公報
特開平9−308896号公報
上記したように、従来開示されている技術はアンモニア障害の回避の点ではその効果が不十分であり、これらをともに解決した施肥方法や肥料の開発が望まれている。
本発明は、このような状況に基いてなされたもので、その目的は窒素分含有肥料の施肥の際にアンモニア障害がなく、施肥後すぐに播種や定植などの農作業を行なうことが可能な施肥方法を提示することにある。
本発明は、このような状況に基いてなされたもので、その目的は窒素分含有肥料の施肥の際にアンモニア障害がなく、施肥後すぐに播種や定植などの農作業を行なうことが可能な施肥方法を提示することにある。
本発明の目的は、以下の手段で達成された。
(1)硝化菌を有機物に担持させてなる硝化菌製剤を窒素分含有肥料の施肥の前又は後、或いは同時に施すことを特徴とする施肥方法。
(2)前記基材が生分解性ポリマーであることを特徴とする上記(1)に記載の施肥方法。
(3)硝化菌製剤が硝化菌を包括固定化によって基材に担持させた製剤であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の施肥方法。
(4)硝化菌製剤が亜硝酸菌と硝酸菌とを含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の施肥方法。
(5)窒素分含有肥料中のNH3性窒素/NO3性窒素比が1/2以上(窒素当量基準)であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の施肥方法。
(6)窒素分含有肥料が写真処理廃液から得られた肥料であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の施肥方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の施肥方法に用いることを特徴とする硝化菌製剤。
(1)硝化菌を有機物に担持させてなる硝化菌製剤を窒素分含有肥料の施肥の前又は後、或いは同時に施すことを特徴とする施肥方法。
(2)前記基材が生分解性ポリマーであることを特徴とする上記(1)に記載の施肥方法。
(3)硝化菌製剤が硝化菌を包括固定化によって基材に担持させた製剤であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の施肥方法。
(4)硝化菌製剤が亜硝酸菌と硝酸菌とを含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の施肥方法。
(5)窒素分含有肥料中のNH3性窒素/NO3性窒素比が1/2以上(窒素当量基準)であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の施肥方法。
(6)窒素分含有肥料が写真処理廃液から得られた肥料であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の施肥方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の施肥方法に用いることを特徴とする硝化菌製剤。
すなわち、本発明の特徴は、窒素分含有肥料の施肥の際に、硝化菌を有機基材に担持させた硝化菌製剤を施肥に先だって、又は施肥と同時に、あるいは施肥の後に施すことにある。窒素分含有肥料がアンモニア態窒素肥料であっても硝化菌による硝化作用のために硝酸態窒素となる。しかも硝化菌は基材に担持されているのでこの硝化作用は持続的である。さらに意外にも施肥直後であってもアンモニア障害は回避されることが見出されている。硝化菌を有機基材に担持させた製剤形態が何らかの作用機構によってアンモニア障害の回避に寄与しているものと考えられる。
硝化菌を担持させる基材は、有機化合物であることが長期継続使用しても土壌の土質(農耕適性)に悪影響を与えない点で好ましく、その中でも生分解性有機化合物が好ましく、とりわけ生分解性ポリマーが好ましい。
硝化菌を担持させる方法は、効果的な肥効とその長期にわたる持続性の点で包括固定化が好ましい。
また、本発明の施肥方法及び製剤は、アンモニア態窒素が多い肥料に対して効果的であって、特にNH3性窒素/NO3性窒素比が1/2以上(窒素当量基準)であるような肥料に対して顕著な効果がある。
硝化菌を担持させる方法は、効果的な肥効とその長期にわたる持続性の点で包括固定化が好ましい。
また、本発明の施肥方法及び製剤は、アンモニア態窒素が多い肥料に対して効果的であって、特にNH3性窒素/NO3性窒素比が1/2以上(窒素当量基準)であるような肥料に対して顕著な効果がある。
硝化菌を有機基材に担持させた硝化菌製剤とそれを窒素分含有肥料の施肥に用いる施肥方法とを特徴とする本発明は、アンモニア障害がなく、施肥後すぐに播種や定植などの農作業を行なうことが可能で、しかも肥効が持続する。しかも長期使用しても土壌の農耕適性に悪影響を与えることがない。とくにアンモニア態窒素分が多い肥料に対して発明の効果が顕著である。
以下に本発明の施肥方法及び硝化菌製剤について説明する。
[硝化菌]
本発明方法において用いられる硝化菌は、アンモニアを好気的に酸化し、そのエネルギーを用いて炭酸同化を行う独立栄養細菌であって、アンモニアを酸化して亜硝酸を生成する亜硝酸細菌(亜硝酸菌)と亜硝酸を酸化して硝酸生成する硝酸細菌(硝酸菌)とを意味する。
[硝化菌]
本発明方法において用いられる硝化菌は、アンモニアを好気的に酸化し、そのエネルギーを用いて炭酸同化を行う独立栄養細菌であって、アンモニアを酸化して亜硝酸を生成する亜硝酸細菌(亜硝酸菌)と亜硝酸を酸化して硝酸生成する硝酸細菌(硝酸菌)とを意味する。
亜硝酸細菌としては、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、ニトロソスピラ(Nitrosospira)、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)及びニトロソロブス(Nitrosolobus)の4属が知られており、また硝酸細菌としては、ニトロバクター(Nitrobacter)、ニトロスピナ(Nitrospina)及びニトロコッカス(Nitrococcus)の3属が知られている。
これらの硝化菌は土壌や海洋などに広く生息しており、また環境や栄養状態が生育に支障がない場合は、菌数と一定時間の硝酸化成量は相関関係がある。
亜硝酸細菌は下記反応式に従ってアンモニウムイオンを亜硝酸イオンに酸化する。
NH4 ++3/2O2⇒NO2 ―+2H++H2O+66.5kcal
生成した亜硝酸イオンは、硝酸細菌により、下記反応式に従って硝酸イオンに酸化される。
NO2 ―+1/2O2⇒NO3 ―+17.5kcal
亜硝酸細菌は下記反応式に従ってアンモニウムイオンを亜硝酸イオンに酸化する。
NH4 ++3/2O2⇒NO2 ―+2H++H2O+66.5kcal
生成した亜硝酸イオンは、硝酸細菌により、下記反応式に従って硝酸イオンに酸化される。
NO2 ―+1/2O2⇒NO3 ―+17.5kcal
[硝化菌の担持方法]
以下に、そのような、微生物担持用担体及び担持方法について説明する。微生物担持用担体としては、有用微生物の効果的な担持という点から、担体表面に微生物が強く吸着するもの、微生物を微小孔隙中へ侵入させることにより保持力を高めることができるような多孔性のもの、ミクロ粒子が凝集して実質的に吸着あるいは吸蔵表面を増大させたものが望ましい。具体的には、セルロース、デキストラン、アガロースのような多糖類;コラーゲン、ゼラチン、アルブミンなどの不活化蛋白質;イオン交換樹脂、ポリビニルクロライドのような合成高分子化合物;寒天、アルギン酸、カラギーナンなどの天然炭水化物;さらにはセルロースアセテート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、光硬化性樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンなど包括担体に用いられている高分子化合物などがあげられる。
以下に、そのような、微生物担持用担体及び担持方法について説明する。微生物担持用担体としては、有用微生物の効果的な担持という点から、担体表面に微生物が強く吸着するもの、微生物を微小孔隙中へ侵入させることにより保持力を高めることができるような多孔性のもの、ミクロ粒子が凝集して実質的に吸着あるいは吸蔵表面を増大させたものが望ましい。具体的には、セルロース、デキストラン、アガロースのような多糖類;コラーゲン、ゼラチン、アルブミンなどの不活化蛋白質;イオン交換樹脂、ポリビニルクロライドのような合成高分子化合物;寒天、アルギン酸、カラギーナンなどの天然炭水化物;さらにはセルロースアセテート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、光硬化性樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンなど包括担体に用いられている高分子化合物などがあげられる。
また、リグニン、デンプン、キチン、キトサン、濾紙、木片等からなるものも利用できる。これらの材料からなる担体は、微生物の保持が比較的穏やかで増殖した微生物の脱離も容易であり、安価であり、場合によっては投与微生物自体の栄養源、とくに徐放形態の栄養源ともなりうるので好ましい。
本発明においては、土壌汚染物質分解能を有する微生物を担体に担持、すなわち固定化した状態にして、土壌中に分散する。微生物固定化方法としては、担体から生分解菌が流出しないように固定される方法ならばその種類、形式を問わない。具体的な固定化法としては、例えば、微生物が付着して生物膜を形成するような担体を用いる付着生物膜法、担体と培地を混合して微生物を培養する担持培養法、減圧下で孔隙内に微生物を封入する方法、微生物をゲル内部に閉じ込めた包括固定化法などを用いることができる。中でも、付着生物膜法及び包括固定化法が好ましく,とりわけ包括固定化法が優れている。
付着微生物膜法の特徴は、微生物を高濃度化することができ、処理効率を向上させることができる。また、通常は系外に洗い出されてしまうような増殖速度が遅い菌を系内に留めることができる。また、微生物が安定して棲息できる状態に保てることも特徴としてあげられる。
包括固定化法の特徴は、菌体を高濃度に保持できるため、処理効率を向上させることができ、増殖の遅い菌を固定化できる。また、pH、温度等の条件変化に対する耐性が広く、高負荷状態にも耐えることができる。包括固定化法としては、アクリルアミド法、寒天−アクリルアミド法、PVA−ホウ酸法、PVA−冷凍法、光硬化性樹脂法、アクリル系合成高分子樹脂法、ポリアクリル酸ソーダ法、アルギン酸ナトリウム法、K−カラギーナン法等、微生物を閉じ込めることができ、土壌の中で微生物の活性を維持しつつ、物理的強度が大きく長時間の使用に耐え得るものならば種類を問わない。
包括固定化法の代表例としてアクリルアミド法の場合の微生物固定化ゲルの調製法について説明する。固定化ゲルは、架橋剤(例えば、N,N'−メチレンビスアクリルアミド)を含有したアクリルアミドモノマー溶液と細菌(MLSS20,000ppm程度の濃縮菌体)とを懸濁し、重合促進剤(例えば、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン)、重合開始剤(例えば、過硫酸カリウム)を添加し、懸濁重合又は乳化重合を行なうことによって得られる。固定化ゲルの表面の細孔は、細菌より小さいため、包括固定化した細菌はリークしにくく、内部で増殖し、自己分解する。土壌中の汚染成分のみが細孔よりゲル内部に入り込み、内部の細菌により処理される。
これらの固定化法のより具体的な方法については「微生物固定化法による排水処理」須藤隆一編著(産業用水調査会)、稲森悠平の「生物膜法による排水処理の高度・効率化の動向」,水質汚濁研究,vol.13,No.9,1990,p.563-574、稲森悠平らの「高度水処理技術開発の動向・課題・展望」,用水と廃水,vol.34,No.10,1992,P.829-835 などに記載されている。
更に、担体自体を生分解性の材料から形成することは、残留担体による土壌劣化や2次汚染の可能性が懸念される場合に、かかる問題を回避できるという点から好ましい。また、肥効残留期間の調節を行いたい場合にも好ましい。このような生分解性の担体としては、土壌の投与微生物による修復処理後に徐々に分解されて消失するものが好ましい。このような担体を用いれば、担体の消失によって土壌中に放出された投与微生物は、土壌中の優勢な土着微生物との競争、原生動物の捕食、あるいは生育にとって苛酷な環境下に置かれることによって駆逐されてその数が徐々に減少し、やがて消滅し、その結果土壌中の生態系をもとの状態に戻すことができる。
このような担体の例は、セルロース、セルロース・キトサン複合体のフィルムや発泡体、微生物ポリエステル、ポリ乳酸、ポリラクトン、ポリグリオキシル酸、ポリリンゴ酸、デンプン添加プラスチック、ポリカプロラクトン、(ヒドロキシ酪酸)−(ヒドロキシ吉草酸)共重合体、ポリアミノ酸、アミノ酸を重合成分に含む重合体、多糖類ポリマー等の生分解性の高分子材料で少なくとも一部を構成することで、保持させた微生物によって、あるいは土壌中の微生物によって担体の全体または基本形態が分解されるので、同時に導入した微生物も徐々に死滅していき、肥効も低下して行く。好ましい生分解性担体としては、セルロース系担体、例えばビスコパール(レンゴー(株)製)、アルギン酸とポリエチレングリコール等からなる高分子担体、例えばKPパール(関西ペイント(株)製)及びキチンキト酸を用いた担体、例えばキトパール(富士紡績(株)製)を挙げることができる。
好ましい担体の形状としては、ほぼ球状、ほぼ立方体状、ほぼ直方体状、円筒状あるいはチューブ状であり、なかでも製造し易いほぼ球状、あるいは比面積を大きくできるほぼ直方体状であることが好ましい。担体の製造方法としては、既知の任意の方法を用いることができる。例えば微生物と担体物質(又はその前駆体)の混合溶液を不溶解性液体中に滴下、懸濁して液体中で液滴を固化させて微生物 担持担体粒子の分散物を作る方法、微生物と担体物質(又はその前駆体)の混合溶液を低温化、ゲル化剤や固化剤の添加などの方法で固化させた後、固化体を適当なサイズに裁断、粉砕して微生物を 担持した粒子を得る方法、微生物と担体物質(又はその前駆体)の混合溶液を押し出しノズルから不溶解性液体中に注入して液体中で固化させて微生物担持担体の糸状の固化物を得てこれを適当に裁断して円筒状粒子を作る方法、またこのときの押し出し成形のダイを環状として円環状(チューブ状)の微生物担持担体粒子を得る方法を挙げることができる。
担体粒子の大きさは、前記の散水孔通過条件と土壌中の拡散移動条件を満たす大きさであればよく、外径500μm以下、好ましくは50μm以下であり、粒子サイズが大きければ比面積が少なくなって非効率となり、小さいとすぐに分解・消滅して 担持体の意味をなさなくなる。したがって、適用対象に応じて好ましいサイズが選択される。
担体の含水率は、1〜99質量%、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜85質量%である。含水率が低すぎると微生物の生存に支障があり、高すぎると担体の物理的強度が低下して取り扱いの際に支障をきたす。
窒素分含有肥料
本発明が適用される窒素分含有肥料は、窒素分を含んでいる肥料であるかぎり、如何なる肥料であってもよい。これらには硝酸アンモニウム系、硫酸アンミニウム系、塩酸アンモニウム系、リン酸アンモニウム系の各化学肥料、尿素、化成肥料、2種又は3種混合などの配合肥料、牛・鶏糞などの屎尿肥料、食品加工廃棄物などの窒素分含有産業廃棄物やそのコンポスト化物などが含まれる。その中でも写真処理廃液に由来する肥料も特に好適な適用対象である。
本発明の施肥方法は、アンモニア障害が少ないことが特徴であるので、アンモニア態窒素を多く含む肥料に適用することが好ましい。その意味では、上記したアンモニウム塩の形態の化学肥料や写真処理廃液由来の肥料などが好ましい適用対象である。
本発明が適用される窒素分含有肥料は、窒素分を含んでいる肥料であるかぎり、如何なる肥料であってもよい。これらには硝酸アンモニウム系、硫酸アンミニウム系、塩酸アンモニウム系、リン酸アンモニウム系の各化学肥料、尿素、化成肥料、2種又は3種混合などの配合肥料、牛・鶏糞などの屎尿肥料、食品加工廃棄物などの窒素分含有産業廃棄物やそのコンポスト化物などが含まれる。その中でも写真処理廃液に由来する肥料も特に好適な適用対象である。
本発明の施肥方法は、アンモニア障害が少ないことが特徴であるので、アンモニア態窒素を多く含む肥料に適用することが好ましい。その意味では、上記したアンモニウム塩の形態の化学肥料や写真処理廃液由来の肥料などが好ましい適用対象である。
また、窒素分含有肥料中のNH3性窒素/NO3性窒素比が1/2以上(窒素当量基準)であることが好ましく、とくに上記比率が1/2〜3/1、とりわけ1/2〜1/1、であるものが好ましい。
写真廃液由来の肥料は、写真廃液をそのまま又はpH調整を行なった液体形態のもの、廃液を電解酸化又は化学酸化を施した液体形態のもの、あるいはそれらを蒸発濃縮又は蒸発乾固したもの、さらには上記諸形態のいずれかのものを土壌添加用基材や他の肥料に加えた形態のものなどが含まれる。土壌添加用基材は、パーライト、パーミキュライト、赤玉土、鹿沼土、コンポスト、腐葉土、ピートモス、吸水性ポリマー、合成及び/又は天然ゼオライト、合成及び/又は天然白土、みずごけ、ゼラチン、木屑及び砕木チップから選択される。
肥料又はその原料として用いられる写真廃液は、カラー写真或いはモノクローム写真の現像廃液の他、定着廃液または写真製版等写真工業で発生した多くの種類の廃液が含まれている。定着廃液は、溶存している銀を回収した残液が処理の対象となる。通常これら種々の写真処理工程からの廃液は、混合された状態で回収されて、産業廃棄物として処理がなされるが、本発明ではこれを肥料として利用することが出来る。
写真廃液を構成する現像廃液は、現像処理の各工程から排出された廃液であって、処理中に感光材料から溶出した例えばゼラチンや感光色素などの成分、処理中に生じた反応生成物、及び処理液処方に含まれて消費されなかった構成薬品(処理液処方の詳細は後述する)などを含んでいる廃液である。
写真廃液を構成する現像廃液は、現像処理の各工程から排出された廃液であって、処理中に感光材料から溶出した例えばゼラチンや感光色素などの成分、処理中に生じた反応生成物、及び処理液処方に含まれて消費されなかった構成薬品(処理液処方の詳細は後述する)などを含んでいる廃液である。
カラー現像廃液には、現像主薬及びその酸化生成物、アルカリ化合物及び緩衝剤、亜硫酸塩やヒドロキシルアミン誘導体などから選択される補恒剤、アルカリハライドなどを主体としており、定着廃液は、チオ硫酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩及び/又は亜硫酸のアンモニウム塩及び/又はナトリウム塩、アルカリハライドなどを主体としており、漂白廃液は、ポリアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩などの漂白剤とそれに由来する反応生成物、アルカリハライド(再ハロゲン化剤)、緩衝塩などを主体としており、漂白定着廃液は、定着廃液と漂白廃液に含まれるものとほぼ同様の成分を主体としており、その他の各工程から排出される廃液もそれらの工程液の機能性化合物とそれに由来する化合物を含有している。したがって、処理される写真廃液の成分は、現像液由来の成分や漂白液・定着液・漂白定着液由来の成分などが感光材料溶出物や処理中の反応生成物と混在しており、例えば緩衝剤(炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩など)、発色現像主薬、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩、炭酸塩、硬水軟化剤、アルキレングリコール類、ベンジルアルコール類、界面活性剤(アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、脂肪酸カルボン酸、芳香族カルボン酸等)酸化剤(鉄(III)のEDTA錯塩、1,3−ジアミノ−プロパン四酢酸錯塩など)、ハロゲン化物(臭化アルカリ、臭化アンモニウムなど)、チオ硫酸塩(ナトリウム塩、アンモニウム塩)、酢酸塩など多岐に亘る化学成分を含んでいる。
感光材料からも処理の過程で種々の感光材料添加成分やそれらの反応生成物が処理液中へ溶出する。ハロゲン化銀は、銀錯塩とハライドイオンとなって処理液中に溶出し、それに伴ってハロゲン化銀に吸着していた感光色素(色増感剤)やかぶり防止、化学増感、その他の目的の含窒素ヘテロ環化合物、カプラーやDIR化合物から離脱した化合物(多くの場合窒素化合物)が処理液中に溶出する。さらに感光層のバインダーから界面活性剤などが溶出してくる。
したがって写真廃液は、前記したように処理液由来及び感光材料由来の酸素消費性化合物、窒素化合物、硫黄化合物,鉄錯塩及び高い塩濃度を持っている。この多様性が効果的な廃液処理手段を困難にしている。
したがって写真廃液は、前記したように処理液由来及び感光材料由来の酸素消費性化合物、窒素化合物、硫黄化合物,鉄錯塩及び高い塩濃度を持っている。この多様性が効果的な廃液処理手段を困難にしている。
写真廃液の組成は、処理の種類及びその処理の各工程からの廃液の混合比率によりかなり変動するが、おおよそCOD 30,000〜50,000 mg/l、BOD 5,000 〜15,000 mg/l、TOC(Total Organic Carbon) 10,000〜25,000 mg/l、ケルダール窒素 10,000 〜15,000 mg/l、トータル燐 100〜500mg/l の範囲である。COD:BOD:TOC の比率は概ね 4:1:1.5でCOD が高い特徴があり、またC:N:P の元素比率はほぼ 100:100:1でN の含有率が高い特徴がある。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(播種・栽培)
市販の黒土、赤玉土、腐葉土を7:2:1の体積比で混合した栽培土が入ったプランター(内法やく60cm×20cm×12cm)に、コマツナを約2cm間隔で播種した。播種後十分い潅水したのち、下記の肥料を1プランター当たり500mL散布した。また、発芽時に再度潅水した。
(播種・栽培)
市販の黒土、赤玉土、腐葉土を7:2:1の体積比で混合した栽培土が入ったプランター(内法やく60cm×20cm×12cm)に、コマツナを約2cm間隔で播種した。播種後十分い潅水したのち、下記の肥料を1プランター当たり500mL散布した。また、発芽時に再度潅水した。
(使用肥料)
店頭処理用小型現像機[デジタルミニラボFRONTIER350(富士写真フイルム株式会社製)]を用いて、市販のカラーペーパー(フジカラーペーパーsuper)をフジカラーカラーペーパー用処理剤CP-48Sを用いて処理して排出された現像、漂白定着、リンスの各浴からのオーバーフロー液、すなわち現像廃液、漂白定着廃液、リンス廃液の混合廃液を得た。この廃液に定法によりスチールウールを浸漬し、廃液中の銀を1mg/L以下まで除去した後、硝酸カリウムを添加して廃液中のNH3/NO3比(N当量基準)が0.7,0.6,0.4となるように調整した。肥料として使用するには、水道水で250倍に希釈した。
店頭処理用小型現像機[デジタルミニラボFRONTIER350(富士写真フイルム株式会社製)]を用いて、市販のカラーペーパー(フジカラーペーパーsuper)をフジカラーカラーペーパー用処理剤CP-48Sを用いて処理して排出された現像、漂白定着、リンスの各浴からのオーバーフロー液、すなわち現像廃液、漂白定着廃液、リンス廃液の混合廃液を得た。この廃液に定法によりスチールウールを浸漬し、廃液中の銀を1mg/L以下まで除去した後、硝酸カリウムを添加して廃液中のNH3/NO3比(N当量基準)が0.7,0.6,0.4となるように調整した。肥料として使用するには、水道水で250倍に希釈した。
(硝化菌)
屎尿排水の浄化槽から得た硝化菌を下記の亜硝酸菌及び硝酸菌用の培地でそれぞれ培養して亜硝酸菌と硝酸菌を得た。
(硝化菌の培養と固定化)
亜硝酸菌と硝酸菌を以下の培地で培養した。
亜硝酸菌培地
A.Na2HPO4 13.4g
KH2PO4 0.773g
NaHCO3 0.5g
(NH4)2SO4 2.5g
蒸留水 1000mL
pH 8.0
B.MgSO4・7H2O 8.5mg
CaCl2・2H2O 310mg
Sodium ferric ethylennediamine-di-o-
hydroxyphenylacetate 3mg
蒸留水 1000mL
A液1000mLにB液6mLを無菌適に添加して亜硝酸菌培地とした。
硝酸菌培地
Na2NO2 1.0g
K2HPO4 0.5g
NaCl 0.3g
MgSO4・7H2O 0.5g
MnSO4・4H2O 0.002g
Fe2(SO4)3 0.005g
蒸留水 1000mL
pH 7.5
菌体の包括固定化は、次の手順で行なった。
(a)約2質量%のアルギン酸ナトリウム溶液500mLを調製する。
(b)硝化菌を培養した液を250mLを(a)に加える(亜硝酸菌・硝酸菌混合の場合には125mLずつ)。
(c)5質量%塩化カルシウム溶液を5L調製し、攪拌しながらこれに硝化菌・アルギン酸ナトリウム混合液を滴下する。
(d)得られた包括体を固化するために30分以上攪拌する。
(e)包括体を濾過し。蒸留水で洗浄して塩化カルシウムを完全に除去する。
屎尿排水の浄化槽から得た硝化菌を下記の亜硝酸菌及び硝酸菌用の培地でそれぞれ培養して亜硝酸菌と硝酸菌を得た。
(硝化菌の培養と固定化)
亜硝酸菌と硝酸菌を以下の培地で培養した。
亜硝酸菌培地
A.Na2HPO4 13.4g
KH2PO4 0.773g
NaHCO3 0.5g
(NH4)2SO4 2.5g
蒸留水 1000mL
pH 8.0
B.MgSO4・7H2O 8.5mg
CaCl2・2H2O 310mg
Sodium ferric ethylennediamine-di-o-
hydroxyphenylacetate 3mg
蒸留水 1000mL
A液1000mLにB液6mLを無菌適に添加して亜硝酸菌培地とした。
硝酸菌培地
Na2NO2 1.0g
K2HPO4 0.5g
NaCl 0.3g
MgSO4・7H2O 0.5g
MnSO4・4H2O 0.002g
Fe2(SO4)3 0.005g
蒸留水 1000mL
pH 7.5
菌体の包括固定化は、次の手順で行なった。
(a)約2質量%のアルギン酸ナトリウム溶液500mLを調製する。
(b)硝化菌を培養した液を250mLを(a)に加える(亜硝酸菌・硝酸菌混合の場合には125mLずつ)。
(c)5質量%塩化カルシウム溶液を5L調製し、攪拌しながらこれに硝化菌・アルギン酸ナトリウム混合液を滴下する。
(d)得られた包括体を固化するために30分以上攪拌する。
(e)包括体を濾過し。蒸留水で洗浄して塩化カルシウムを完全に除去する。
(製剤試料)
上記の硝化菌の培養・包括固定化にしたがって、次のように製剤試料を作製した。
試料1:亜硝酸菌・硝酸菌混合の各培養液125mLずつを混合。固定化は行なわない比較例。
試料2:亜硝酸菌培養液125mLを固定化し、これに硝酸菌培養液125mLを混合した試料。
試料3:硝酸菌培養液125mLを固定化し、これに亜硝酸菌培養液125mLを混合した試料。
試料4:亜硝酸菌培養液、硝酸菌培養液それぞれ125mLをそれぞれ固定化し、これらを混合した試料。
試料5:亜硝酸菌培養液、硝酸菌培養液それぞれ125mLを混合したのち、混合培養液を固定化して得た試料。
上記の硝化菌の培養・包括固定化にしたがって、次のように製剤試料を作製した。
試料1:亜硝酸菌・硝酸菌混合の各培養液125mLずつを混合。固定化は行なわない比較例。
試料2:亜硝酸菌培養液125mLを固定化し、これに硝酸菌培養液125mLを混合した試料。
試料3:硝酸菌培養液125mLを固定化し、これに亜硝酸菌培養液125mLを混合した試料。
試料4:亜硝酸菌培養液、硝酸菌培養液それぞれ125mLをそれぞれ固定化し、これらを混合した試料。
試料5:亜硝酸菌培養液、硝酸菌培養液それぞれ125mLを混合したのち、混合培養液を固定化して得た試料。
(硝化菌の施剤手順)
播種後潅水前に得られた硝化菌を培養した液を250mL又は当量の調製包括体をプランターに均一に散布した。
播種後潅水前に得られた硝化菌を培養した液を250mL又は当量の調製包括体をプランターに均一に散布した。
(結果の観察)
播種から2週間後の幼苗を目視観察し、アンモニアによる障害(葉の黄変や矮小化)の有無を調べた。結果を表1に示した。表1において、幼苗の状態は、下記の符号を用いて表示した。
◎:障害が認められない
○:障害が認められる苗が25%以下存在する
△:障害が認められる苗が25%を超え、50%以下存在する
×:障害が認められる苗が50%を超える
播種から2週間後の幼苗を目視観察し、アンモニアによる障害(葉の黄変や矮小化)の有無を調べた。結果を表1に示した。表1において、幼苗の状態は、下記の符号を用いて表示した。
◎:障害が認められない
○:障害が認められる苗が25%以下存在する
△:障害が認められる苗が25%を超え、50%以下存在する
×:障害が認められる苗が50%を超える
表1が示すように、亜硝酸菌と硝酸菌とを固定化しないで施した試料1(比較例)では、施した肥料のNH3/NO3比(N当量基準)が0.7,0.6のいずれであってもアンモニア障害が50%を超える苗に認められ、上記比が0.2であっても25〜50%の苗に認められた。一方、本発明の試料でも亜硝酸菌又は硝酸菌の一方を固定化して施した試料2及び3は障害が認められる苗は、NH3/NO3比(N当量基準)が0.2であれば25%以下で良好であり、NH3/NO3比を高くしても(高NH3)障害苗の割合は50%以下にとどまった。さらに亜硝酸菌と硝酸菌の両方を固定化して施した試料4及び5はいずれもアンモニア障害は認められなかった。
Claims (7)
- 硝化菌を有機物に担持させてなる硝化菌製剤を窒素分含有肥料の施肥の前又は後、或いは同時に施すことを特徴とする施肥方法。
- 前記基材が生分解性ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の施肥方法。
- 硝化菌製剤が硝化菌を包括固定化によって基材に担持させた製剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の施肥方法。
- 硝化菌製剤が亜硝酸菌と硝酸菌とを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の施肥方法。
- 窒素分含有肥料中のNH3性窒素/NO3性窒素比が1/2以上(窒素当量基準)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の施肥方法。
- 窒素分含有肥料が写真処理廃液から得られた肥料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の施肥方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の施肥方法に用いることを特徴とする硝化菌製剤。
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---|---|---|---|
JP2004144513A JP2005323540A (ja) | 2004-05-14 | 2004-05-14 | 窒素分含有肥料の施肥方法及び硝化菌製剤 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104718860A (zh) * | 2013-12-19 | 2015-06-24 | 广西大学 | 一种提高草珊瑚、山银花、扶芳藤产量和品质的叶面肥 |
CN104945081A (zh) * | 2015-04-14 | 2015-09-30 | 珠海市清宇环保科技有限公司 | 以糖厂废液为原料生产微生物有机肥的生产工艺 |
CN108990744A (zh) * | 2018-05-21 | 2018-12-14 | 沈阳农业大学 | 一种基于化感自毒作用的花生连作障碍的修复方法 |
JP2021065188A (ja) * | 2019-10-28 | 2021-04-30 | フルハシEpo株式会社 | 植物栽培用養液の製造方法及び植物栽培方法 |
JP2022167733A (ja) * | 2021-04-22 | 2022-11-04 | 許 淙慶 | 生分解性組成物及び生分解性組成物を含む製品 |
-
2004
- 2004-05-14 JP JP2004144513A patent/JP2005323540A/ja active Pending
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