JP2017209647A - 水処理用微生物の包括担体、水処理方法、包括担体の製造方法 - Google Patents

水処理用微生物の包括担体、水処理方法、包括担体の製造方法 Download PDF

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弘明 仲田
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梓 八百
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Abstract

【課題】水処理用微生物を固定する担体を提供する。
【解決手段】本発明の包括担体10は担体11と、担体11表面上に形成された包括固定層15とを有する。包括固定層15は水溶性高分子化合物のゲルを含み、このゲルで水処理用微生物19が包括固定されている。包括担体10は予め水処理用微生物を保持しているので、水処理での使用開始から短時間で所望の水処理性能を発揮する。また、水処理微生物は包括担体10表面の包括固定層15で固定され、被処理水から水処理微生物への処理対象物質の供給、水処理微生物から被処理水への代謝物の排出がスムーズに行われるので、水処理用微生物の活性も高くなる。
【選択図】図5

Description

本発明は、水処理用微生物を包括固定した包括担体、包括担体を利用した水処理方法、及び包括担体の製造方法に関する。
近年、製造事業所、養殖場などの用水処理、水道水用の上水処理、更には、生活排水、製造事業所排水などの排水処理を含む多様な水処理において、自然付着又は人工的に固定した微生物を利用する方法が広く用いられている。
(i)原水(被処理水)に含まれる微生物を水処理工程中に自然付着させる方法としては、生物膜処理装置や生物活性炭処理装置の充填層に担体を充填する方法があり、原水を通すことで担体に微生物が自然付着し、その微生物により汚濁物質の分解除去が可能となる。
(ii)人工的に固定した微生物を利用する方法としては、水処理に有用な微生物を予め付着(固定)させた担体を製造して利用する方法があり、具体的には、微生物付着担体を曝気槽などの生物処理水槽に投入し、空気などで担体を流動させることにより、原水と担体が接触し、付着する。微生物が付着した担体を、汚濁物質を含む処理水に接触させると、その微生物が汚濁物質を浄化する。
これら微生物付着担体は、例えば下記のような方法で水処理に使用される。
1)流動担体による有機物分解を利用した生物処理(図1)
生物処理水槽(曝気槽)内に流動担体を投入し、流動担体に付着する微生物によりBOD成分を酸化分解処理する方法である。なお、BODは生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand)の略語であって、有機性排水中の有機物量の指標である。
2)生物活性炭を組込んだ浄水処理(図2)
図2のフローは生物活性炭を組み込んだ浄水処理の一例である。水道原水の有機物やアンモニア除去のため、生物活性炭処理(BAC処理:Biological Activated Carbon)、即ち、原水をオゾン処理後に活性炭吸着池へ通水することで、活性炭表面に自然付着した微生物(主に硝化細菌)により、原水中の有機物やアンモニア態窒素を酸化(硝化)させ、有機物やアンモニア態窒素を除去する。例えば、アンモニア態窒素の除去により、後段の消毒用塩素の使用量が削減可能になるだけではなく、浄水処理工程中での塩素による消毒副生成物(トリハロメタンなど)の有機塩素化合物の生成が抑制される。
尚、浄水工程は図2のフローに限定されず、変形フローとして、オゾン接触→活性炭吸着処理→砂ろ過の各工程を含む処理フローや、砂ろ過→オゾン接触→活性炭吸着処理→砂ろ過の各工程を含む処理フローなどもある。
3)流動担体による窒素含有排水の硝化及びアンモニア脱窒素処理(図3)
図3のフローは窒素含有排水の処理を示しており、硝化用の流動担体槽では、好気的条件下で窒素含有排水と流動担体とを接触させる。この流動担体には硝化細菌が固定されており、窒素含有排水のアンモニア態窒素が亜硝酸イオンになる。この排水は次に、アンモニア脱窒素用の流動担体槽へ送られ、嫌気性アンモニア酸化細菌(いわゆるアナモックス菌)が固定化された流動担体と接触して、窒素含有排水中のアンモニア態窒素と亜硝酸イオンとが反応し、窒素ガスとなり、アンモニア態窒素が除去された処理水が得られる。
4)有機性処理の流動担体による嫌気性処理(図4)
有機性排水をメタン発酵菌により分解して嫌気性処理するメタン発酵処理では、凝集性があり固液分離性に優れたグラニュール汚泥を用いる方法と、担体を用いる方法とがある。以下に、担体を用いる方法について説明する。
処理過程で担体の表面に、メタン発酵菌などの嫌気性微生物が付着し、これらの微生物によって有機性排水の有機物が分解処理される。
担体を用いる方法では、嫌気性処理槽内で担体が流動する流動担体と、水槽内部に担体が固定された固定床とがある。固定床は、固定床の閉塞や有機性排水の短絡流が発生する可能性が高く、処理性能が安定化しないために、流動担体を用いる嫌気性処理が一般的である。
嫌気性処理方式は、30℃〜35℃を至適温度とした中温メタン発酵処理、50℃〜55℃を至適温度とした高温メタン発酵処理がある。有機性排水のメタン発酵処理では、消化ガスが処理過程で発生するため、上向流方式の嫌気性処理装置が一般的である。装置下部から有機性排水を流入させて、メタン発酵が付着する担体と有機性排水を接触させて有機性排水の有機物(二-クロム酸カリウムによる酸素要求量、CODCr:ChemicalO xygen Demand Cr)を処理する。
有機性排水を嫌気性処理槽に導き、担体が投入された嫌気性処理槽で担体表面に付着する微生物により有機物を炭酸ガスとメタンガス(消化ガス)などに分解する。嫌気性処理水は、その放流先によっては好気性処理や凝集沈殿処理などの仕上処理をする場合があり、または、嫌気性処理水をそのまま下水道に放流したり、好気性処理して公共水域に放流する。
この上向流嫌気性処理装置に適用できる流動担体は、微生物が付着しやすい粒状活性炭が一般的であり、その性状は流動性を考慮して有効径0.1mm〜2mm、好ましくは0.2mm〜0.7mmで、均等係数は1.1〜1.5であることが知られている。
このように、微生物を利用した水処理方法は多様な方式が公知であり、例えば、自然付着させる方法(i)としては、特許文献2が表面に微生物を付着させる付着担体を開示している。この担体表面や内部には、使用開始前では水処理に有用な微生物が付着しておらず、生物処理水槽で担体を投入後に自然発生的にあるいは、種汚泥として添加された汚泥が担体表面に付着、成長することで、処理過程中に、水処理に有用な微生物が付着した担体が得られる。この付着担体では、担体表面に水処理に有用な微生物が付着し、薄い生物膜を形成する。
人工的に固定した微生物を利用する方法(ii)としては、特許文献1が水処理用担体(以下、担体と称する)として、有機性高分子を主成分とするゲルの中に微生物を固定化した包括固定化担体を開示している。この担体は、水溶性有機性高分子を主成分とするゲルの中に、水処理に有用な微生物を固定化した包括固定化担体であって、この固定化担体は全体に水処理に有用な微生物が存在し、微生物量としては多い担体であることが知られている。
特公昭64− 9072号 特開平 5− 271425号 特開昭61− 204089号 特開平11− 33577号 特開2007−253078号
しかし、上述した従来技術の方法(i)、(ii)には以下の問題があった。
先ず、(i)の方法では、使用する担体表面に水処理に寄与する微生物が自然付着するまでには長期間が必要であり、その結果試運転期間が長くなる。特に、アンモニア態窒素を酸化させる硝化細菌は増殖速度が遅く、十分な量の菌体が付着するまでに長時間を要する。このため、水処理における所定の性能が発揮できるまでには時間がかかり、例えば図3の処理において、処理水の要求される水質を達成させるためには、流入排水量の制限が必要であった。しかも、特許文献2のような従来の担体では、付着生物量が少ない事も課題として挙げられる。
次に、(ii)の方法の例として挙げた特許文献1では、予め微生物を固定しているため、初期の微生物量は多く設定可能なものの、内部に固定した微生物への酸素、基質、塩類等の供給だけではなく、炭酸ガスなどの代謝物の担体外部への排出も困難であり、その結果、固定した微生物の活性が低下する欠点があった。
本発明は、上記課題を鑑み成されたものであり、その目的は、運転立ち上げ時間を短縮し、かつ、微生物活性が低下しにくい水処理用の包括担体を提供し、更には、その包括担体を用いた水処理方法をも提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の包括担体は以下の構成を具備する。
(1)本発明の包括固定層は、水に対し不溶性の担体と、この担体上に形成された包括固定層とを有する。包括固定層は水溶性高分子化合物のゲルで主に形成され、このゲルで水処理用微生物が包括担体の表面部分に包括固定されている。
(2)担体としては粒状活性炭などの無機粒状担体を用いることが可能であり、包括固定層の原料となる水溶性高分子化合物としては、アルギン酸ナトリウム、界面活性剤、でんぷん、ゲランガム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を用いることが可能である。
更に本発明は上記包括担体を用いた水処理方法及び包括担体の製造方法をも提供する。具体的には以下の通りである。
(3)上記包括担体を用いて被処理水を処理する水処理方法であって、硝化細菌を含む水処理用微生物を包括固定して包括担体とし、この包括担体を処理装置に充填し、水道原水を、例えば上向流又は下向流で通水して水処理を行う。
(4)上記包括担体を用いて被処理水を処理する水処理方法であって、嫌気性アンモニア酸化細菌を含む水処理用微生物を包括固定して水処理用微生物の包括担体とする。このアンモニア酸化細菌は嫌気性菌であるから、亜硝酸態窒素を含有する被処理水と包括担体を嫌気性条件で接触させることで、アンモニア態窒素と亜硝酸態窒素を除去することができる。
(5)上記包括担体を用いて被処理水を処理する水処理方法であって、油脂分解微生物を含む水処理用微生物を包括固定して水処理用の包括担体とする。上記油脂分解微生物は好気性微生物を含み、包括担体を被処理水と好気性条件で接触させることで、被処理水中の油脂を除去する。
(6)上記包括担体を製造する方法では、水溶性高分子化合物と水処理用微生物とを担体に付着させた後、ゲル化剤などを用いて前記担体に付着した水溶性高分子化合物をゲル化させ、水処理用微生物を多量に含む包括固定層を形成する。
本発明の包括担体は水処理用微生物を予め包括固定しているので、使用開始から短時間で所望の水処理性能が発揮可能である。しかも、水処理用微生物は、包括固定層により、包括担体の表面部分で固定されているので、被処理水からの栄養源(処理対象物質も含む)や酸素が微生物に供給され易く、しかも微生物の代謝物は外部に排出され易いので、高い微生物活性を維持可能である。
図1は有機性排水の生物処理の概略を示すフローチャートである。 図2は浄水高度処理の概略を示すフローチャートである。 図3は窒素含有排水の処理の概略を示すフローチャートである。 図4は有機性排水の嫌気性処理の概略を示すフローチャートである。 図5(a)は本発明の水処理用微生物包括担体の第一例を説明する平面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A切断線断面図である。 図6(a)は本発明の水処理用微生物包括担体の第二例を説明する斜視図であり、図6(b)は図6(a)のB−B切断線断面図である。 図7は本発明の水処理微生物包括担体の第三例を模式的に説明する図面である。 図8は第1の製造例の具体的工程を示すフローチャートである。 図9は第2の製造例の具体的工程を示すフローチャートである。 図10は第3の製造例の具体的工程を示すフローチャートである。 図11は第4の製造例の具体的工程を示すフローチャートである。 図12は水処理方法の第一例を説明するフローチャートである。 図13は水処理方法の第二例を説明するフローチャートである。 図14は水処理方法の第三例を説明するフローチャートである。 図15は水処理方法の第四例を説明するフローチャートである。 図16はアンモニア態窒素除去率と時間との関係を示すグラフである。 図17は油脂分解と処理時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は特定の具体例に限定されるものではない。
[包括担体]
図5〜7は、本発明の水処理用微生物包括担体(以下、包括担体と称する)の具体例を示す図面であり、本発明の包括担体10、20、30は、いずれの場合も核(コア)となる担体11、21、31と、担体11、21、31の表面上に配置された包括固定層15、25、35とを有し、包括固定層15、25、35には水処理用微生物19が包括固定されている。以下により詳細に説明する。
<担体>
担体11、21、31の形状は特に限定されないが、図5の担体11の形状は粒状、球状、円柱状である。なお、球状とは真球のみならず、楕円体(扁球体)、葉巻型を含む概念であり、表面に凹凸が形成されたものも含む。また、「粒状」とは、粒度表示が150μm以上のものを意味する(JIS K1474参照)。
図6の担体21の形状は内部に空洞が形成された円柱状担体、すなわちパイプ状(マカロニ状)である。
図7の担体31の形状はその内部に3次元網目構造を有する立方体または直方体である。
いずれの形状の担体11、21、31を用いた場合も、包括担体10、20、30の全体形状は、担体11、21、31の形状が反映される。すなわち、包括担体10、20、30の全体形状は、担体11、21、31の形状をやや拡大した同形状となる。
例えば、図5(a)、(b)では球状の担体11に包括固定層15が形成され、包括担体10の全体形状が略球状になっている。
他方、図6(a)、(b)では筒状(パイプ状)の担体21に包括固定層25が形成され、包括担体20の全体形状が筒状になっている。なお、筒状とは貫通孔が形成された形状であれば特に限定されず、パイプ状のみならず、矩形筒状(中空の直方体)やその他筒形状をも含む概念である。いずれの筒形状を採用した場合も、担体21には、筒の一端ら他端まで貫通する孔が形成された中空形状となっているので、担体21の外周側面、両端のみならず、その内周側面にも包括固定層25が形成される(図6(b))。
更に、図7に示すような3次元網目構造を持つ包括担体30の場合は粒状よりも大径のブロック状(直方体、立方体等)とすることも可能である。この包括担体30では、担体31が3次元網目構造の骨格を形成しており、その骨格表面上に後述する包括固定層35が形成される。包括固定層35は、骨格と骨格との間の間隙を完全には閉塞しない程度の厚さに形成されており、閉塞されていない間隙が通水路となり、被処理水は包括固定層35に接触しながら通液可能になっている。
担体11、21、31の材質は特に限定されないが、包括担体10、20、30の形状を維持し、かつ、包括固定層15、25、35を保持するため、水に対し不溶性の材料を主成分とする。
水不溶性材料は、砂、セラミックス、活性炭などの無機材料、樹脂やウレタンフォーム等の合成高分子物質などを用いることが可能である。無機材料として活性炭を使用する場合、その種類も特に限定されず、石炭、ヤシ殻、新炭、劣化炭、再生炭など公知のものを用いることができる。
また、3次元網目構造を持つ担体31としては、気泡(特に連続気泡)が形成された樹脂発泡体、繊維成形品の他、水ing(株)社製の商品名「エバフォーム」、日清紡ケミカル(株)社製の商品名「APG」(寸法10mm)、(株)ブリジストン社製の商品名「エバーライトSF」、型番「QP−16」などの多様な市販品を用いることもできる。
これら水不溶性材料のうち1種類のみで担体11、21、31を構成してもよいし、2種以上を組み合わせて担体11、21、31を構成してもよい。
担体11、21、31の大きさも特に限定されず、担体11、21、31の材質や包括担体10、20、30の用途に合わせて適宜変更可能である。
例えば、水槽内等での流動状態で使用する流動担体の場合、合成高分子物質などの軽質材料、具体的には樹脂(ポリエチレン等)や3次元網目構造体(ウレタンフォーム等)を主成分として用いることが好ましい。
上述したように、包括担体10、20、30の形状は担体11、21、31の形状をやや拡大した形状となるので、担体11、21、31の大きさは包括担体10、20、30の大きさによって決定される。好気性処理での流動担体として使用する場合の包括担体10、20、30の好ましい大きさは下記の通りである:
‐包括担体10の大きさは有効径が0.5mm〜2.0mmである。有効径が0.5mm未満では処理水への流出量が増加し、2.0mmを超えると撹拌用空気量が増加したり、被処理水との接触効率は低下する。
‐包括担体20の大きさは内径が2.0mm〜10mm、外径が4.0mm〜20mm、長さが2.0mm〜40mmである。内径や長さが2.0mm未満ではスクリーンで分離できず処理水への担体流出量が増加する。また、包括担体20の大きさが、内径10mm、外径20mm、長さ40mmの上限値のいずれか1つ以上を超えると撹拌用空気量が増加したり、被処理水との接触効率は低下する。
‐包括担体30の大きさは一辺が5.0mm〜30mmである。1辺の長さが5.0mm未満ではスクリーンで分離できず処理水への担体流出量が増加し、30mmを超えると撹拌用空気量が増加する。
嫌気性処理での流動担体として使用する場合の包括担体10、20、30の好ましい大きさは下記の通りである:
‐包括担体10の大きさは有効径が0.1mm〜2.0mmである。有効径が0.1mm未満では処理水への流出量が増加する。2.0mmを超えると被処理水との接触効率は低下する。
‐包括担体20の大きさは内径が2.0mm〜10mm、外径が4.0mm〜20mm、長さが2.0mm〜20mmである。内径や長さが2.0mm未満では分離できず処理水への担体流出量が増加する。内径10mm、外径20mm、長さ20mmの上限値のいずれか1つ以上を超えると被処理水との接触効率は低下する。
‐包括担体30の大きさは1辺が5.0mm〜30mmである。一辺の長さが5.0mm未満では分離できず処理水への担体流出量が増加し、30mmを超えると被処理水との接触効率は低下する。
充填塔に充填して固定床として使用する場合の包括担体10、20、30の好ましい大きさは下記の通りである:
‐包括担体10の大きさは有効径が0.5mm〜5mmである。0.5mm未満では固定床の通水抵抗が高く、閉塞する可能性があり、5mmを超えると被処理水との接触効率は低下する。
‐包括担体20の大きさは内径が0.5mm〜5.0mm、外径が1.0mm〜10mm、長さが2.0mm〜10mmである。内径が0.5mm未満では固定床の通水抵抗が高く、内径5.0mm、外径10mm、長さ10mmの上限値のいずれか1つ以上を超えると被処理水との接触効率は低下する。
‐包括担体30の大きさは一辺が5.0mm〜30mmである。1辺の長さが5.0mm未満では3次元網目構造のために固定床の通水抵抗が高く、30mmを超えると被処理水との接触効率は低下する。
上述したように、流動担体としての用途では、主に合成高分子物質を主成分とする担体11、21、31を使用することが好ましい。合成高分子物質の担体11の場合は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、セルロースなどで市販品の球状担体が使用できる。これら担体11は、製造面から球状で、流動化しやすいように比重は1近傍に調整されている。
なお、3次元網目構造を持つ包括担体30を使用する場合は、担体31が大きくても被処理水の接触効率が低下しないので、その大きさ、形状、用途は特に限定されず、また、担体31の密度も特に限定されない。しかし、水槽内において流動状態で使用する場合、担体を流動させる空気や撹拌羽根による機械撹拌動力低減を考慮すると、3次元構造を持つ担体31、それ以外の粒状担体11、21のいずれの場合も、担体11、21、31の比重は1.0〜1.3が好ましく、より好ましくは1.0〜1.1である。
なお、充填塔などの内部に充填して充填層(固定床)で水処理する場合、形状や比重に制限はなく、球状、粒状、破砕状等の不定形形状、円柱状担体、筒状担体など多様な担体11、21、31を使用可能である。
いずれの材質、形状を採用する場合でも、上記担体11、21、31の表面上には包括固定層15、25、35が形成される。次に、包括固定層15、25、35について詳細を説明する。
<包括固定層>
包括固定層15、25、35は担体11、21、31の表面上に直接又は下地層(接着剤層、シランカップリング剤等)を介して形成され、担体11、21、31の表面を被覆する層である。
包括固定層15、25、35は、担体11、21、31全体を被覆する必要がなく、担体11、21、31の一部が露出してもよいが、後述する水処理の効率を考慮すると、担体11、21、31表面の面積の少なくとも50%以上、好ましくは90%以上を包括固定層15、25、35で被覆し、包括担体10、20、30表面や、包括担体30内部の通水路には、包括固定層15、25、35が露出することが好ましい。
包括固定層15、25、35の厚さも特に限定されず、包括担体10、20、20の用途やゲルの種類などを考慮して適宜変更可能である。
一例を述べると、水処理を好気性条件下で行う場合、粒状の担体11、21、31に形成する包括固定層15、25、35の厚さは、0.01〜1mmが好しい。厚さが0.01mm未満では、水処理に寄与する微生物などの量が少ないために水処理性能が発揮できず、厚さが1mmを超えると包括固定層の内部まで十分に酸素が届かなくなるので、包括固定層15、25、35全体が嫌気状態になり処理性能が悪化する。
また、好気性条件下であっても、アンモニア態窒素を好気性処理する場合、具体的には、好気性処理の対象である有機性炭素(TOC:Total Organic Carbon)濃度が10mg/L未満と少なく、1mg/L未満のアンモニア態窒素が存在する対象水の場合、粒状の担体11、21、31の表面上に形成する包括固定層15、25、35の厚さは0.01mm〜0.5mmが好ましい。この場合、包括固定層15、25、35の厚さが0.01mm未満では、アンモニア態窒素を酸化する硝化細菌量が少ないためにアンモニア態窒素処理性能が発揮できない。また、アンモニア態窒素を好気性処理する場合は、対象水の溶存酸素が4mg/L未満と少ないことが多く、このような低い溶存酸素濃度では、厚さが0.5mmを超えると包括固定層の内部まで十分に酸素が届かなくなり、硝化細菌等に酸素が外部からは供給されなくなるので、包括固定層全体が嫌気状態となって処理性能が悪化する。
他方、嫌気性条件下で水処理を行う場合、粒状の担体11、21、41表面上に形成する包括固定層15、25、35の厚さは、0.1〜2mmが好しい。0.1mm未満では水処理に寄与する微生物の量が少ないために水処理性能が発揮できず、粒径が2mmを超えると包括固定層15、25、35の内部で発生したバイオガスの透過が不十分で、バイオガスが内部に留まることで担体自体の浮上など嫌気性処理性能が悪化する。
包括固定層15、25、35は、水溶性高分子化合物がゲル化したゲルを主な構成成分とする。
水溶性高分子化合物はゲル化可能な物質であれば特に限定されず、例えば、多糖類(アルギン酸ナトリウム、でんぷん、ゲランガム、キシログルカン等)、架橋性化合物(ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール)、重合性化合物((メタ)アクリレート)等多様なものを用いることが可能である。
例えば、担体11、21に活性炭を使用する場合、アルギン酸ナトリウム、界面活性剤、でんぷん、ゲランガム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレートからなる群より選択されるいずれか1種以上の水溶性高分子化合物を用いることが好ましい。
水溶性高分子化合物の中でも、ゲル化が容易であり、かつ、ゲル化後には水処理用微生物で分解され難いという点で、アルギン酸ナトリウムと、(メタ)アクリレート(メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート等)が特に好ましい。
水溶性高分子化合物をゲル化する方法は特に限定されないが、好ましくは、不溶化剤、重合剤(重合開始剤)、架橋剤(架橋促進剤を含む)、凝集剤からなる群より選択されるいずれか1種以上のゲル化剤を用いてゲル化する。ゲル化剤は、水溶性高分子化合物の種類、使用環境などを考慮し、自由に組み合わせて使用することが可能である。
例えば、水溶性高分子化合物がアルギン酸ナトリウムの場合は、塩化カルシウム、乳酸カルシウムなどの1種以上の水溶性カルシウム塩を不溶化剤として使用し、水溶性高分子化合物がメトキシテトラエチレングリコールメタクリレートの場合はβ−ジメチルアミノプロピオニトリルなどの1種以上の重合剤を使用することができる。
水溶性高分子化合物を重合させてゲル化する場合、耐熱、耐光性に優れた水処理用微生物(バチルス属細菌等)を用いるのであれば、光硬化(紫外線硬化)、熱硬化等の重合法を用いてもよい。
包括固定層15、25は、上記のような1種以上のゲルを主成分、即ち50質量%以上含むものであれば、ゲル以外の成分を含有してもよい。ゲル以外の成分としては、繊維、着色剤、充填剤、pH緩衝剤、pH調整剤、栄養源などの1種以上の添加剤を包括固定層15、25、35の原料液に添加して、包括固定層15、25、35に含有させることができる。
ここで、栄養源とは水処理用微生物の繁殖に寄与する栄養成分のことであり、無機塩、有機炭素源(グルコース等)、無機炭素源(炭酸塩等)、微量元素(Co、Cu、Zn、Ni等)、無機栄養源(P、S、K、Ca、Mg、Fe、Na等)、補酵素、ビタミン類などがあり、これらを水処理用微生物の種類や用途に合わせて1種以上使用することができる。
更に、包括固定層15、25、35には、水処理用微生物及びその共生微生物の生育を阻害しなければ、防カビ剤や抗菌剤を添加し、水処理用微生物及びその共生微生物以外の微生物を選択的に排除してもよい。
<水処理用微生物>
水処理用微生物は特に限定されず、用途に応じて1種以上を用いることができる。ここで、微生物とは、細菌類のみならず、酵母類、真菌類、原生動物、藍藻類、藻類をも含む概念である。
具体的には、硝化細菌(硝酸菌、亜硝酸菌)、嫌気性アンモニア酸化細菌などの独立栄養細菌、バチルス属・シュードモナス属などの従属栄養細菌、カンジダ属(トルラ酵母)などの酵母、メタン菌などの古細菌、その他糸状菌や放線菌など、水質改善効果のある微生物を広く用いることができる。
これら水処理用微生物を包括固定する際に用いる材料は特に限定されず、浄水や用水処理設備から排出される汚泥、工場や水処理設備の洗浄排水(硝化細菌や油脂分解菌などを含む)、土壌の懸濁水、微生物保存機関の分譲株、市販品など多様な供給材料を1種以上使用することができる。
いずれの場合も、水処理用微生物は処理対象物質を直接取り込んで分解する、あるいは処理対象物質の分解に寄与する物質を生成する。処理対象物質の分解に寄与する物質として代表的なものは酵素(細胞外酵素:exoenzyme、細胞内酵素:endoenzyme)であり、酵素は処理対象物の分解に直接又は間接的に関与する。処理対象物の分解に寄与する酵素としては、例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、グリコシダーゼ、ホスファターゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペルオキシダーゼなどがあり、水処理用微生物の種類や組合せを選択し、これら酵素を1種以上生成させて処理対象物を分解する。
更には、水処理用微生物と共に、または、水処理用微生物自体は使用せずに、上記のような酵素を1種以上包括させることも可能である。例えば、包括担体の使用時には水処理用微生物の生存数が減少していても、上記のような生成酵素が残存していれば、水処理での使用が可能になる。
なお、水処理用微生物の供給材料には、処理対象物の分解に寄与しない微生物を含有させてもよい。このような微生物としては、例えば水処理用微生物と共生関係にある微生物類がある。
[製造方法]
次に、本発明の包括固定担体10、20、30の製造方法について説明する。包括担体10、20、30の製造方法は特に限定されないが、ゲル化する前の水溶性高分子化合物と、水処理用微生物とを担体11、21、31に付着させた後に、ゲル化剤などでゲル化を行えば、水処理用微生物が包括固定層15、25、35に均一に固定される。以下に具体例を説明する。
<第1の製造例>
図8は第1の製造例を説明するフローチャートであり、この製造例では、担体11として粒状活性炭を、水溶性高分子化合物としてアルギン酸ナトリウムをそれぞれ使用する。
具体的には、2%(wt/wt)アルギン酸ナトリウム(試薬、和光純薬工業(株)製)の水溶液5Lに、水処理用微生物の供給材料である活性汚泥(硝化細菌を含むし尿処理場の余剰汚泥、汚泥濃度:3000mg/L)を添加し、約10分間室温にて混合して混合物(包括固定層の原料液)を作製する(ステップ1)。
次に、担体11である粒状活性炭(含水率5質量%以下)1Lを上記ステップ1の混合物に浸漬し、室温で約5分間混合する(ステップ2)。
混合後の担体11を目開き0.5mmの金網で引き上げ、ステップ1の混合物が付着した担体11を余剰混合物から分離する(ステップ3)。
次に、引き揚げた担体11を、塩化カルシウムを3質量%含むゲル化剤水溶液5Lに浸漬し、20℃で約5分間混合する(ステップ4)。担体11には上記混合物が付着しているので、ゲル化剤との接触により、混合物中のアルギン酸ナトリウムから水不溶性のアルギン酸カルシウムが生成され、その結果、混合物の被膜は水処理用微生物を内部に保持した状態でゲル化する。
ゲル化した担体11を金網で引き上げてゲル化剤水溶液から分離し、乾燥機で60℃、5時間乾燥すると本発明の包括担体10が得られる。
なお、上記具体例では、粒状の担体11について説明したが、第1の製造例は多様な形状の担体11、21、更には3次元網目構造を持つ担体31を用いた製造にも適している。
<第2の製造例>
図9は第2の製造例を説明するフローチャートであり、この製造例では、アルギン酸ナトリウムに代えて(メタ)アクリレートのような重合性化合物を使用する。重合性化合物を使用する場合、重合剤に加え、重合促進剤や架橋剤等の助剤も使用可能であり、これら助剤は、重合剤と混合して使用してもよいし、重合剤とは別に(例えば、水溶性高分子化合物と混合して)使用してもよい。以下により具体的に説明する。
図9に示すように、先ず、容量10Lのポリ容器に、水溶性高分子化合物としてメトキシテトラエチレングリコールメタクリレート2L、架橋剤としてN,N´−メチレンビスアクリルアミド200mg、脱塩素水1.2L、重合促進剤として0.5%β−ジメチルアミノプロピオニトリル1Lを添加し、室温で10分間混合して水溶性高分子化合物溶液の混合物を作製する(ステップ1)。
ステップ1の混合物に、活性汚泥(硝化細菌を含むし尿処理場の余剰汚泥、汚泥濃度:3000mg/L)5Lを混合し、混合物を作製する(ステップ2)。
ステップ2の混合物に、担体11として有効径(10%通過径)1.2mmの粒状活性炭1Lを浸漬し、約5分間混合する(ステップ3)。
ステップ2の混合物が付着した担体11を、目開き0.5mmの金網で全量引き揚げ、余剰混合物から分離する(ステップ4)。
引き上げた担体11に、重合開始剤(ペルオクソ二硫酸カリウム)の水溶液0.1Lを噴霧し、混合物中のメトキシテトラエチレングリコールメタクリレートを重合させると、担体11表面に包括固定層15が形成され、本発明の包括担体10が得られる。
なお、第2の製造例でも多様な形状の担体11、21に適用可能であるが、ステップ4の担体を重合開始剤の水溶液に浸漬するのではなく、単に噴霧又は混合する場合は、3次元網目構造内部に十分量の重合開始剤が供給されないおそれがあるので、3次元網目構造を持つ大型の担体31には不適切である。よって、この製造方法は、より小径の粒状の担体11、21、31(3次元構造を持つものも含む、好ましくは有効径、外径又は一辺の長さが20mm以下)に特に適している。
上記第1、第2の製造例では、混合物に担体11、21、31を浸漬する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。
<第3の製造例>
図10は第3の製造例を説明するフローチャートであり、第三例の製造方法では、担体11、21、31を混合物(包括固定層の原料液)に噴霧して付着させるため、浸漬する方法(バッチ式)と比較して、少量の原料液で製造可能であり、包括担体の大量生産に適している。以下に、より具体的に説明する。
図10に示すように、先ず、有効径1.2mmの粒状活性炭からなる担体11を平板上に敷設する(ステップ1)。
次に、容量10Lのポリ容器に、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート0.2L、N,N´−メチレンビスアクリルアミド20mg、脱塩素水0.12L、0.5%β−ジメチルアミノプロピオニトリル(重合促進剤)0.1Lを添加し、柄杓を使用して室温で約10分間混合し、水溶性高分子化合物の混合物を作製する(ステップ2)。
ステップ2の混合物に、活性汚泥(硝化細菌を含むし尿処理場の余剰汚泥、汚泥濃度:3000mg/L)0.5Lを添加し、柄杓で約10分間混合して混合物を作製する(ステップ3)。
ステップ1で敷設した担体11の上からステップ3の混合物を噴霧し、担体11表面に混合物を付着させる(ステップ4)。
更に、担体11の上から、重合開始剤(ペルオクソ二硫酸カリウム)の水溶液0.1Lを噴霧し、担体11に付着した混合物中のメトキシテトラエチレングリコールメタクリレートを重合、ゲル化させ、包括固定層15を形成する。
第2例と同様、この製造例も担体11、21、31の形状は限定されないが、大型の担体31よりもより小径の粒状担体11、21、31の使用が好ましい。
上記第1〜第3の製造例では、水処理用微生物と水溶性高分子化合物の両方を含む混合物に担体11、21、31を浸漬又は噴霧する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。
<第4の製造例>
図11は第4の製造例を説明するフローチャートであり、この製造例では回転体円筒形容器を回転させ、その内部で担体11、21、31に包括固定層15、25、35の原料となる溶液を付着させる。以下により詳細に説明する。
図11に示すように、先ず、内容積5Lの密閉式回転体円筒形容器に、担体11として有効径1.2mmの粒状活性炭1Lを投入する(ステップ1)。
ステップ1の回転体円筒形容器に、水溶性高分子化合物であるメトキシテトラエチレングリコールメタクリレート0.2Lと、架橋剤であるN,N´−メチレンビスアクリルアミド20mgと、重合促進剤である0.5%β−ジメチルアミノプロピオニトリルの水溶液0.1Lと、脱塩素水0.12Lとを添加し、回転体円筒形容器を密閉し、その円筒の中心軸を中心に一定の角度範囲で往復するように回転させ(往復転倒)、室温で約10分間攪拌する(ステップ2)。
水処理用微生物として硝化細菌を含む活性汚泥(汚泥濃度:3000mg/L)0.5Lをステップ2の容器に添加し、該容器を密閉して約10分転倒撹拌する(ステップ3)。
更に、重合開始剤(ペルオクソ二硫酸カリウム)の水溶液0.03Lをステップ3の容器に添加し、該容器を密閉して更に10分間転倒撹拌して水溶性高分子化合物を重合させてゲル化し、包括固定層15を形成する。
第4の製造例によれば、少量の溶液でも担体11表面上に均一な被膜を形成することが可能なので、製造効率が高い。
第4の製造例に用いる担体11、21、31は特に限定されないが、球状(真球、扁球)の担体11を用いると膜厚が均一な包括固定層15が得られる。
<その他>
包括担体10、20、30の製造方法は上記の方法に限定されず、第1〜第4の製造例の1以上のステップを他の製造例のステップで代替し、あるいは、上記第1〜第4の製造例以外の公知の方法で製造することが可能である。
水処理用微生物の供給材料やその使用量は特に限定されないが、供給材料が水処理用微生物以外の物質を含む場合(例:活性汚泥)、包括固定層の原料液(混合物)の供給材料混合比率(固形分濃度)が5質量%未満だと水処理用微生物の量が少なすぎて処理性能が期待できず、混合比率が30質量%を超えると包括固定層15、25、35の強度低下のおそれがあるので、その混合比率は5〜30質量%に設定することが好ましい。
担体11、21、31として粒状活性炭を用いる場合は、いずれの製造方法でも乾燥状態の粒状活性炭、すなわち、JIS K1474の乾燥減量で規定される含水率が30質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下のものを使用することが好ましい。このような乾燥粒状活性炭に流動性の混合物(原料液)を接触させると、混合物は活性炭内部にまで引き込まれ、活性炭の表面のみならず、その内部の細孔にまで包括固定層15、25、35が形成されるため、湿潤状態の活性炭を使用した場合と比較して多量の包括固定層15、25、35が強固に固定して形成される。
担体11、21、31の種類は活性炭に限定されず、上述したような多様な材質、多様な形状の担体11、21、31を本発明の製造方法に用いることができる。
[水処理工程]
本発明の包括担体10、20、30の用途は特に限定されず、上水道用の浄水処理、工場用、水族館用、養殖場用などの用水処理、家庭排水、工場排水などの排水処理、水性生物飼育水槽の水浄化など多様な用途に使用可能である。
具体的な水処理方法も特に限定されず、従来技術のような流動担体処理(図1、3)、固定床(図4)、水道原水の活性炭吸着処理(図2)など多様な用途に使用することができる。以下により具体的に説明する。
<浄水高度処理フロー>
図12は浄水高度処理フローの一例を示している。ここで使用する水処理システムは、オゾン接触池と、活性炭吸着池とを有し、水道原水は、凝集沈殿、砂ろ過等の前処理が行われた後、オゾン接触池でオゾン処理され、オゾン処理水が活性炭吸着池に通水される。
硝化細菌を固定した包括担体10、20、30を用意し、この包括担体10、20、30を活性炭吸着池に投入しておく。包括担体10、20、30は流動担体として使用してもよいが、好ましくは包括担体10、20、30を充填した固定床とし、オゾン処理水を上向流又は下向流で通水する。
通水したオゾン処理水は、包括担体10、20、30に固定された硝化細菌と接触し、オゾン処理水中のアンモニア態窒素が硝酸態窒素や亜硝酸態窒素に酸化され、オゾン処理水から除去される。
本発明では、硝化細菌が包括担体10、20、30上に固定されているため、活性炭吸着池から流出せず、アンモニア態窒素の処理性が安定する。しかも、硝化細菌は、包括担体10、20、30の表面部分(包括固定層15、25、35)に固定されているため、アンモニア態窒素の除去能力が高く、しかも、オゾン処理水からは栄養源としてのアンモニア態窒素のみならず、酸素も供給されるため、硝化細菌のような好気性微生物の活性が長期間維持される。
なお、浄水高度処理フローは、活性炭吸着池での処理を含むものであれば特に限定されず、例えば、凝集沈殿後の処理水をオゾン接触池に直接送り、活性炭吸着池で処理した後の処理水を砂ろ過する方法も採用できる。活性炭処理水または砂ろ過水は塩素消毒などの消毒処理後に排水池から水道水として送水される。
また、硝化細菌の包括担体10、20、30を活性炭吸着池に充填する場合、既存の担体や吸着材(活性炭など)と、本発明の包括担体10、20、30を混合して使用することもできる。この場合、既存の担体や吸着材(活性炭等)と、本発明の包括担体10、20、30とを吸着池内で別層になるよう充填してもよいし、混合状態で充填してもよい。例えば、活性炭吸着池の充填層を水洗浄することで、既存の担体や吸着材と、本発明の包括担体10、20、30とが混合状態になる。
なお、図13、14のように、一つの水処理方法で複数の生物処理を組み合わせる場合、一以上の生物処理に本発明の包括担体10、20、30を使用すれば、他の一以上の生物処理では、従来技術の担体や、水処理用微生物を単独で使用することも可能である。
<亜硝酸態窒素含有排水処理フロー>
図13は亜硝酸窒素含有排水処理フローの一例を示しており、このフローでは、嫌気性アンモニア酸化細菌(いわゆるアナモックス細菌)を固定した包括担体10、20、30を利用する。このフローで使用するアンモニア酸化細菌の多くは嫌気性菌であるため、包括担体10、20、30を投入したアンモニア脱窒素槽を密閉して嫌気性条件とし、アンモニア脱窒素で発生する窒素ガスでアンモニア酸化細菌包括担体を流動させる。
この方法では、アンモニア態脱窒素槽の前段に硝化槽を設置することが好ましく、この硝化槽には硝化細菌の包括担体10、20、30を投入し、窒素含有排水のアンモニア態窒素を部分亜硝酸化する(NH‐N + O → NO−N)。
部分亜硝酸化された排水をアンモニア脱窒素槽に送ると、この排水中のアンモニア態窒素の半量と排水中の亜硝酸態窒素の半量とが嫌気性アンモニア酸化細菌により分解除去される(NH‐N + NO−N → N + NO−N)。
従来技術の窒素除去方法としては、アンモニア態窒素を好気性の硝化細菌で硝化し、生成された硝酸イオンなどを従属栄養細菌の脱窒素菌で窒素ガスに分解除去する方法が一般的であった。
硝化細菌は一般細菌と比較して増殖速度が遅く、また嫌気性アンモニア酸化細菌は硝化細菌よりも更に増殖速度が遅いため、水処理可能となるまでの試運転期間(培養期間)が長いという欠点があったが、硝化細菌を固定した包括担体10、20、30と、嫌気性アンモニア酸化細菌を固定した包括担体10、20、30を単独又は組み合わせて、硝化槽や曝気槽などの担体(流動担体)として用いることで、窒素除去の処理性の安定化と向上が可能になる上、試運転期間の短縮をも可能になる。
<油脂含有排水処理フロー>
図14は油脂分解排水処理フローの一例を示している。ここでは、水処理用微生物として、油脂分解微生物を用いて油脂分解用の包括担体10、20、30を作製し、この包括担体10、20、30を油脂分解槽に投入する。油脂分解槽に油脂含有排水を供給し、槽内で油脂分解用の包括担体10、20、30を流動させて、排水中の油脂をグリセリンと有機酸に分解する。
好ましくは、油脂分解槽の後段に好気性処理槽を設置し、この処理槽にグリセリンと有機酸とを含む排水を供給する。好気性処理槽には、従属栄養細菌を固定した包括担体10、20、30を投入しておくと、排水中のグリセリンと有機酸が酸化分解されるので、処理水の有機物残量が低減されるだけではなく、全体の生物処理性能も高まる。
なお、油脂分解微生物は、例えば油脂分解酵素を生産し、その酵素を細胞外と細胞内の少なくとも一方で分泌する微生物である。油脂分解微生物は、細菌(バチルス属、シュードモナス属、アシネトバクター)、真菌類(クモノスカビ属、アスペルギルス属、ケカビ属)、酵母など特に限定されず、これらを1種以上使用可能である。
更には、油脂分解微生物と共に、油脂分解微生物の分解物や代謝物を更に分解する微生物を使用することも可能である。また、油脂分解微生物の油脂分解活性を向上させる物質(界面活性剤等)を添加してもよいし、このような物質(バイオサーファクタント)を生産する微生物を用いることもできる。
<有機性排水の嫌気性処理フロー>
図15は有機物を含む有機性排水の嫌気性処理フローの一例を示しており、嫌気性の水処理用微生物としては、例えばメタン菌を利用する。より具体的には、メタン菌と、メタン菌の供給材料(グラニュール汚泥、嫌気性汚泥)のいずれか1種以上を固定した包括担体10、20、30を作製し、嫌気性処理槽に、その有効容量の1〜20体積%に当たる包括担体10、20、30を投入する。
嫌気性処理槽に有機性排水を通水すると、その有機物が包括担体10、20、30のメタン菌によりメタンガスや炭酸ガスに分解される。このフローでは有機物が分解除去されるだけではなく、分解物であるメタンガス(バイオガス)を、加温用ボイラーや発電機の燃料として利用可能である。
このフローでは嫌気性処理槽を例に説明したが、嫌気処理槽に換えて他の処理装置、例えば、上向流嫌気性汚泥床嫌気性処理装置(UASB装置:Upflow Anaerobic Sludge Blanket )を用いても良い。この場合、UASB装置の下部より上向流で通水させて、UASB装置内部の担体と、メタン菌などで構成されるグラニュール汚泥で有機性排水の有機物がメタンガスや炭酸ガスに分解される。
<その他>
本発明の包括担体10、20、30を流動担体として用いる場合は、処理槽の出口部(排出口)にスクリーンを設置し、包括担体の外部流出を防止することが好ましい。
また、本発明の包括担体10、20、30を用いた処理槽と、従来技術の水処理用微生物を利用した処理槽を組み合わせて使用することも可能である。
更に、被処理水には、水処理後の処理水を汚染しない程度に、水処理用微生物の栄養源(栄養剤)を添加することができる。被処理水に添加する栄養源としては、包括固定層15、25、35に添加可能な上述した栄養源、その他栄養源を1種以上使用することが可能である。例えば、水処理用微生物が油脂分解微生物の場合は、窒素やリンを含む栄養剤を被処理水に添加することができる。
以下、本発明を実施例と共に更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
‐第1の製造例(水溶性高分子化合物:アルギン酸ナトリウム)
無機粒状物質からなる担体11と、水不溶性の合成高分子物質からなる担体21、31の下記3種類の担体11、21、31を用意した。
(1)担体11:無機粒状物質である石炭系破砕炭(新炭)(エバダイヤLG20S、水ing(株)製、有効径1.2mm、均等係数1.3、ヨウ素吸着性能1100mg/g、含水率3%、比重1.5)
(2)担体21:円筒状の樹脂担体21(エバフォーム、水ing(株)製、樹脂製、内径6mm、外径10mm、長さ15mm、比重2.3)
(3)担体31:3次元網目構造の担体(エバフォーム、水ing(株)製、発泡体、1辺が10mmの立方体、比重1.0)
これら3種類の担体11、21、31の表面に、水溶性高分子化合物としてアルギン酸ナトリウムを用い、下記工程で包括固定層15、25、35を作製した。
先ず、微生物の供給材料として、硝化細菌を含む活性汚泥(し尿処理場の余剰汚泥、汚泥濃度:3000mg/L)5Lに2質量%アルギン酸ナトリウム(試薬、和光純薬工業(株))水溶液5Lを混合し、その混合物に上記(1)の担体11を1L添加し、20℃で約5分間混合したのちに担体11を引き上げた。この担体11を3質量%塩化カルシウム水溶液5Lに添加し、20℃で約5分間混合したのちに引き上げ、乾燥機で20〜40℃10時間乾燥し、本発明の包括担体10を得た。
上記(2)の円筒状担体21、(3)の3次元網目構造の担体31についても、(1)の担体11と同じ方法で包括担体20、30を得た。これら包括担体10、20、30の物性を下記のように測定した。
‐包括固定層の厚さ(mm)
包括固定層の厚さは、包括担体10、20、30の重量と包括固定層15、25、35の重量との差を、担体11、21、31の表面積(cm)と包括固定層15、25、35の比重との積で除し、得た値に更に10を乗じて厚さ単位をcmからmmへ換算して算出した。すなわち、包括固定層15、25、35は下記式で示される。
包括固定層厚さ(mm)={包括担体重量(g)−包括固定層を除去した担体重量(g)}
÷{担体の表面積(cm)*包括固定層の比重}*10
なお、上記式中、包括固定層15、25、35の重量は、包括担体10、20、30全体の重量を測定した後、超音波処理にて包括担体10、20、30から包括固定層15、25、35を剥離して剥離された固形物を測定し、その測定値を包括固定層15、25、35の重量とした。包括固定層の比重は1.00であった。
‐硝化細菌数の測定方法
超音波処理にて包括担体10、20、30から剥離した包括固定層15、25、35の1gに対し、4℃の滅菌済み生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)100mlを加え、ホモジナイザーにて完全に破砕し、包括固定層が均一に分散した懸濁液を作製した。下水試験方法2012年版第5章第3節1.硝化細菌に記載の硝化細菌用培地にゲランガムを終濃度1%で添加した平板培地を作製し、この平板培地を使用して上記懸濁液についてコロニーカウントを行った。
なお、硝化細菌数については、BET比表面積が(1)活性炭1100m(マクロポア及びメソポア)、(2)円筒形500m、(3)3次元構造3000mとした時、比重及び包括固定層厚より各担体における包括固定層の重量を算出した。
その比率は下記の通りであり、(1)の硝化細菌数を6.2×108cfu/g-dryとした場合、(2)、(3)はその比率より菌体数を算出した
(1)1100×0.25×1.5:(2)500×0.35×2.3:(3)3000×0.55×1.0
≒(1)1:(2)0.97:(3)4.0
3種類の包括担体10、20、30の物性値及び菌体数を下記表1に記載する。
Figure 2017209647
[実施例2]
‐第2の製造例(水溶性高分子化合物:メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート)
上記実施例1と同じ3種類の担体11、21、31を用い、水溶性高分子化合物としてメトキシテトラエチレングリコールメタクリレートを用いて下記工程で包括固定層を形成した。
先ず、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート2L、N,N´−メチレンビスアクリルアミド200mg、脱塩素水1.2L、0.5質量%β−ジメチルアミノプロピオニトリル(重合促進剤)1L、硝化細菌の供給材料である活性汚泥(し尿処理場の余剰汚泥、汚泥濃度:3000mg/L)5Lを混合し、その混合物に、上記(1)の無機粒状物質担体11を1L添加し、約5分間混合したのちに担体を引き上げた。引き上げた担体1Lに0.1Lのペルオクソ二硫酸カリウムを噴霧して、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレートを重合させてゲル化し、(4)包括担体10を得た。
更に、上記(2)の円筒状担体21と、(3)の3次元網目構造の担体31を用いて、同様の方法で(5)包括担体20及び(6)包括担体30を作製し、これら3種類の包括担体10、20、30について実施例1と同じ方法で物性値及び硝化細菌数を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2017209647
[実施例3]
‐微生物供給材料:使用済活性炭からの微生物液
飲料水製造工場の用水処理設備の生物活性炭処理工程から採取した使用済活性炭(エバダイヤLG20S(水ing(株)製)1Lを湿式で超音波処理し、活性炭に付着していた微生物を剥離させ、微生物液(汚泥濃度:500mg/L)5Lを得た。
実施例1の活性汚泥に代えて上記微生物液を水処理用微生物の供給材料とし、下記(7)〜(10)の粒状担体11を使用して、実施例1と同じ方法で4種類の包括担体10を得た。なお、ここで使用した担体は下記の通りである。
(7)石炭系破砕炭(新炭)(物性は(1)の包括担体に使用した担体と同様)、
(8)ヤシ殻系破砕炭(新炭)(エバダイヤLG10S、水ing(株)製、有効径1.2mm、均等係数1.3、ヨウ素吸着性能1100mg/g、含水率4%、比重1.7)、包括固定化担体
(9)浄水場で4年間使用した使用済石炭系破砕炭の乾燥品(有効径1.2mm、均等係数1.3、ヨウ素吸着性能700mg/g、含水率4%、比重2.0)、
(10)天然ゼオライト(新品)(エバサイトN-100、水ing(株)製、有効径2.0mm、均等係数1.3、含水率8質量%、比重2.4)
上記(7)〜(10)の包括担体について、実施例1と同じ方法で物性値及び硝化細菌数を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2017209647
なお、(7)〜(9)の活性炭系担体については、BAC洗浄水(使用済活性炭からの微生物液)は、実施例1の活性汚泥よりも菌数が少ない(0.7倍)と仮定し、実施例1、2と同様の方法で算出した。((7)1:(8)1.6:(9)0.64)。
[実施例4]
‐第1の製造例(3次元網目構造/硝化細菌、嫌気性アンモニア酸化細菌、油脂分解菌)
実施例4では、実施例1の(3)で作製した包括担体30、すなわち、3次元網目構造担体31とアルギン酸を用いて製造した包括担体30を(11)の包括担体30とした。更に、微生物の供給材料を、実施例1の活性汚泥から下記材料に代えた以外は(11)の包括担体30と同じ条件で(12)、(13)の包括担体30を作製した。
(12)窒素含有排水処理実験設備のアンニモニア脱窒素処理の余剰汚泥(汚泥濃度:2000mg/L)5L
(13)油脂含有排水処理の余剰汚泥(汚泥濃度:5000mg/L)5L
これら(12)〜(13)の包括担体30について、実施例1と同じ方法で物性値を測定した。なお、(13)の細菌数については、下水試験方法第第5章第3節3.アナモックス細菌記載の培地を用いて嫌気性アンモニア酸化細菌の菌体数をカウントした。また、(13)の細菌数については、枯草菌の選択培地(MYP寒天培地、日本BD社製)を用いて、枯草菌特有のコロニーをカウントした。
Figure 2017209647
なお、(13)油脂含有排水処理の余剰汚泥に代え、油脂分解剤(ユーサワー400、水ing(株)製、油脂分解成分として枯草菌を含有)を使用したところ、(13)の包括担体と同程度の結果が得られた。
[実施例5]
‐通水性能試験
活性炭を使用して脱塩素処理した水道水を、試薬の塩化アンモニウムで調製して模擬水道水を作製した。この模擬水道水は、pHが7.1〜7.3、アンモニア態窒素濃度が0.5mg/L、硝酸性窒素濃度が0.01mg/L以下、亜硝酸態窒素濃度が0.01mg/L以下、TOCが0.5mg/Lであった。
この模擬水道水を用い、上記実施例3の(7)〜(10)の包括担体10についてそれぞれ下記方法で通水性能試験を行った。
通水性能試験は、内径10cmの透明塩化ビニル製円筒形カラムからなる活性炭吸着装置を図2の活性炭吸着処理の装置とし、この装置に包括担体10を16L充填し(包括固定化担体充填層高 2000mm)、液温20-25℃、SV5h-1の条件で模擬水道水を上向流で連続的に通水し、活性炭吸着処理を行った。
活性炭吸着処理後の処理水について、アンモニア態窒素、硝酸性窒素、亜硝酸態窒素濃度を上水試験方法に準拠して測定した。表5に示すように、(7)〜(11)の包括担体を使用した場合には、アンモニア態窒素濃度が0.01mg/L以下になる日数は、いずれも10日であり、短期間で高い水処理能力を獲得することがわかった。
Figure 2017209647
[比較例1]
‐包括固定層を持たない担体の通水性能試験
包括担体を、包括固定層を形成する前の担体に代えた以外は実施例5と同じ条件で通水性能試験を行った。
担体として、ここでは、無機粒状物質である活性炭A、B、Cと、天然ゼオライト(実施例3の(10)包括担体に用いたもの、新品)を用いた。なお、活性炭Aは石炭系破砕炭(エバダイヤLG20S、水ing(株)製、有効径1.2mm、均等係数1.3、ヨウ素吸着性能1100mg/g)であり、活性炭Bはヤシ殻系破砕炭(エバダイヤLG10S、水ing(株)製、有効径1.2mm、均等係数1.3、ヨウ素吸着性能1100mg/g)であり、活性炭Cは使用済石炭系破砕炭(有効径1.2mm、均等係数1.3、ヨウ素吸着性能700mg/g)である。
表6に通水性能試験結果を示す。活性炭A〜C及び天然ゼオライトはいずれも30日経過しても活性炭処理水のアンモニア態窒素濃度は0.02mg/L以上と高く、30日程度では十分な通水性能を獲得できないことがわかった。
Figure 2017209647
[実施例6]
‐窒素含有排水の水処理(硝化、アンモニア脱窒素)
流動担体を用いた硝化とアンモニア脱窒素処理フローの実験装置を3系列用意し試験した(図3)。
本発明の実験フロー(RUN1)として、上記実験装置の硝化槽(有効容量200リットル)に実施例4の(11)包括担体を、アンモニア脱窒素槽(有効容量100リットル)に実施例4の(12)包括担体をそれぞれ投入した。硝化槽出口と、アンモニア脱窒素槽出口には、流動担体の流出を阻止するための目開き3mmのスクリーンを設置した。
アンモニア態窒素濃度が500mg/L、硝酸性窒素と亜硝酸態窒素の濃度がそれぞれ5mg/L以下の模擬窒素含有排水を、上記実験装置の硝化槽へ通水した。硝化槽では模擬窒素含有排水のアンモニア態窒素濃度の半分を亜硝酸態窒素に酸化し、残り250mg/Lをアンモニア態窒素で残留させた。
硝化槽で処理した排水、すなわち、アンモニア態窒素が250mg/L残留した模擬窒素含有排水を、アンモニア脱窒素槽に流入させ、(12)包括担体の嫌気性アンモニア酸化細菌により、亜硝酸態窒素とアンモニア態窒素とから窒素ガスを生成させて、模擬窒素含有排水の窒素処理を行った。硝化槽からアンモニア脱窒素槽へ連続的に通水して窒素処理を行い、アンモニア脱窒素槽出口水を処理水とし、実験装置系外に排出した。
対照区(RUN2とRUN3)としては、本発明の包括担体を使用せず、代わりに実施例1の微生物供給材料(し尿処理場の余剰汚泥)と、実施例4の(12)で使用した微生物供給材料(アンニモニア脱窒素処理の余剰汚泥)をそれぞれ硝化処理とアンモニア脱窒素処理に使用し、RUN2とRUN3では各処理での汚泥濃度を表7に記載したように変更した。
また、RUN2、3では、図3の実験装置のアンモニア脱窒素槽出口水を沈殿槽(分離面積0.07m)に導き、沈殿槽の越流水を処理水に、沈殿槽下部からの引き抜き汚泥は返送汚泥として硝化槽に返送した。
実験装置径外に排出されたRUN1〜3の処理水について、アンモニア態窒素濃度、亜硝酸態窒素濃度、硝酸態窒素濃度をそれぞれ経時的に測定した。表7に処理条件を、表8に測定結果を示す。
Figure 2017209647
Figure 2017209647
本発明の包括担体を添加した実験区RUN1は、実験開始後10日で処理水のアンモニア態窒素濃度が5mg/L以下になり、窒素処理は良好であった。本発明の包括担体を使用せずに、微生物供給材料をそのまま用いた実験区RUN2、3では、処理水のアンモニア態窒素濃度が実験開始60日から低下し、脱窒素性能が得られるまでに長期間要することが確認された。
[実施例7]
‐水性生物が排出するアンモニアの除去
実施例1の(1)包括担体0.5Lを、高さ5cm、目開き0.5mmの円筒形カートリッジ(有効容量5L)に充填し、このカートリッジを水槽内部に取り付けた。
純水に塩化アンモニウムを添加した飼育模擬水を水槽内部に投入し、水槽内のアンモニア態窒素濃度が10mg/Lに維持されるよう調整した。この飼育模擬水を循環水量1L/時に設定して循環させ、アンモニア態窒素濃度をモニタリングし、その除去率を調べた。なお、アンモニア態窒素濃度はインドフェノールブルー青吸光光度法(JIS K―0102 42.2に準拠)により測定した。
比較対象として硝化細菌未付着活性炭である、石炭系破砕状活性炭(エバダイヤLG20S、水ing(株)製、有効径1.2mm、均等係数1.3、ヨウ素吸着性能1100mg/g)を包括担体の代わりに使用し、同様の試験を行った。その結果を図16に示す。
図16から明らかなように、硝化細菌未付着活性炭と比較し、本発明の包括担体はアンモニア態窒素除去率が極めて高く、浄化性能が向上したことがわかる。
[実施例8]
‐油脂含有排水の油脂分解
余剰汚泥に代え、枯草菌を含有する油脂分解剤(ユーサワー400、水ing(株)製)を微生物供給材料として使用した以外は実施例4の(13)と同じ方法で包括担体を製造した。
この包括担体200mLを、油脂含有排水である食品工場排水(pH4.1、ヘキサン抽出物質670mg/L、BOD1500mg/L)1Lに添加し、更に、BOD濃度に対してBOD:N:P=100:5:1となるように栄養剤(尿素と燐酸)を添加した。液温25℃で、溶存酸素濃度が4〜6mg/Lとなるように曝気して油脂含有排水を処理した。この油脂含有排水のヘキサン抽出物質濃度を経時的に測定し、その経時変化を調査した。
対照系として、上記包括担体に含まれる油脂分解剤と同量の油脂分解剤(ユーサワー400、水ing(株)製)を油脂含有排水に添加したものについても試験を行った。図17にヘキサン抽出物質濃度の経時変化を示す。なお、ヘキサン抽出物質濃度はJIS K0102 24(工場排水処理試験方法)に準拠して測定した。
処理後のヘキサン抽出物質濃度20mg/Lで比較すると、油脂分解菌を固定化した担体処理時間は9時間、油脂分解剤単独使用では18時間であった。予め油脂分解剤を包括固定させた担体を用いる事で安定した処理が可能となった。
10、20、30 包括担体
11、21、31 担体
15、25、35 包括固定層
19 水処理用微生物

Claims (6)

  1. 水不溶性の担体と、
    前記担体表面上に形成され、水処理用微生物を包括固定する包括固定層と、を有し、
    前記包括固定層は、水溶性高分子化合物のゲルを有し、当該ゲルで前記水処理用微生物が固定されたことを特徴とする水処理用微生物の包括担体。
  2. 前記担体が、粒状活性炭からなる無機粒状担体であり、
    前記水溶性高分子化合物が、アルギン酸ナトリウム、界面活性剤、でんぷん、ゲランガム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物からなる請求項1に記載の包括担体。
  3. 請求項1又は2に記載の包括担体を用いて被処理水を処理する水処理方法であって、
    硝化細菌を含む水処理用微生物を包括固定して前記包括担体とし、当該包括担体を処理装置に充填し、被処理水として水道原水を通水することを特徴とする水処理方法。
  4. 請求項1又は2に記載の包括担体を用いた水処理方法であって、
    嫌気性アンモニア酸化細菌を含む水処理用微生物を包括固定して前記包括担体とし、当該包括担体を、アンモニア態窒素と亜硝酸態窒素とを含有する被処理水と嫌気性条件で接触させることを特徴とする水処理方法。
  5. 請求項1又は2に記載の包括担体を用いた水処理方法であって、
    油脂分解微生物を含む水処理用微生物を包括固定して前記包括担体とし、当該包括担体を、油脂を含有する被処理水と好気性条件で接触させることを特徴とする水処理方法。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の水処理微生物包括担体を製造する方法であって、水溶性高分子化合物と水処理用微生物とを担体に付着させた後、前記担体に付着した水溶性高分子化合物をゲル化させて包括固定層を形成する包括担体の製造方法。
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