JP3692677B2 - ボールねじのシール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールねじのシールの改良に係り、特に、ボールねじの防塵と付着異物の掻き取りとを兼用するワイパーシールの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のボールねじのシールとしては、例えば図12,図13に示すようなものが知られている。このシールSは、プラスチック製のリング状で、その内周面に突出してねじ軸のねじ溝に嵌合するシール山yを有するとともに、シールSの外側の端面tから軸方向の途中までの部分を切欠き(すり割り)kにより周方向の5箇所で分割し、かつ、周方向の一カ所をリングの幅を横断するスリットoで切り離し、前記端面t側のリング外周に設けた溝mにガータスプリングgを取り付けたものである。このシールSをボールねじナットの端部に装着し、分割された部分をガータスプリングgでシール内径側に弾性的に押圧することにより、ねじ軸にシールSの内面を密着させる構成になっている。これによりナットを外部の塵埃,異物等に対し密封すると同時に、ねじ軸の回転に伴い、すり割りkのエッジ部分でねじ軸に付着した異物を掻き取るスクレーパ作用を発揮する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のボールねじのシールSにあっては、シールの幅(軸方向長さ)Lがせいぜいシール肉厚の1〜2倍にすぎず、しかもすり割りkの軸方向長さlも前記シールの幅Lのおよそ半分程度しかない。したがってすり割りによって分割された部分は厚肉短小で固く、ガータスプリングgの緊迫力で締めつけるにもかかわらず、ねじ軸の外面に対しなじみにくい。このように固いものをねじ軸のねじ溝部分とそのランド部であるねじ軸外径面の部分との両方に同時に密着させるためには、シール内径のシール山yの高さとねじ軸のねじ溝の深さとが同一になるようにシールSを製作する必要があるが、それは実際には非常に難しく、寸法の不一致は避けられない。
【0004】
上記従来のボールねじのシールSには、このような構造に由来する次のような問題点があった。
▲1▼ 本来は、シール山とシールSの内周面とが、同等の強さをもってねじ軸のねじ溝とそのランド部(ねじ軸外径面)とにそれぞれ密着すべきであるのに、どちらか一方が強く密着することになり(いわゆる片当たりの状態)、そのため他方の密着性が弱くなってシール全体としてのシール性能が確保できない。
【0005】
▲2▼ シール幅(軸方向長さ)Lが短い(必然的に、すり割りkの軸方向長さlも短い)ので、大リードの仕様の場合には、シールのすり割りkのエッジ部分がねじ軸のねじ溝にかかって溝内面の異物を掻き取るスクレーパ作用を発揮するすり割の数が少なくなり、そのためねじ溝部のシール性能が劣る。
【0006】
このようにシール性能が劣ると、ボールねじ内に侵入した異物で早期摩耗が生じて、寿命が短くなる。
そこで、本発明は、このような従来のボールねじのシールの問題点に着目してなされたものであり、シールの寸法,構造を改良することにより、片当たりがなくて常にシール全体として良好な性能が確保できるボールねじのシールを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、大リードの仕様の場合においても十分なスクレーパ作用を発揮できて良好なシール性能が確保できるボールねじのシールを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るボールねじのシールは、内周にボールねじのねじ軸のねじ溝と係合するシール山を有してボールナットの端部に取り付けられるボールねじのシールにおいて、前記シールを円筒体状に形成してその一部をボールナット端面より外方に突出せしめると共にシール端面から円筒体軸方向に延びる複数本のすり割りを設け、当該すり割りのねじ軸軸線に対する傾き角θ1 とねじ軸のリード角θとの関係を、
0<θ 1 ≦θ
とし、さらに前記すり割りの長さをボールねじのリードの0.7倍以上に設定したことを特徴とする。
【0009】
このように本発明のボールねじのシールは、長い円筒体状に形成してその一部をボールナット端面より外方に突出させ、その突出部分を複数本のすり割りで分割したため、シール自体の長さ及びすり割りの長さが従来よりも長く、したがってすり割りで分割された部分が長く薄くなって柔らかい弾性を持つから、シールをねじ軸に容易に密着させることができる。それゆえ、シールの内周のシール山の高さをねじ軸のねじ溝の深さより若干大きく設定しておけば、ねじ溝を積極的にシールするとともにねじ軸外径面(ランド部)にも容易に密着できて、全体のシール性が確保できる。
【0010】
また、本発明のボールねじのシールにあっては、ボールねじリード角θを基準にして、すり割りのねじ軸軸線に対する傾斜角θ1 を0°超過でθ以下に設定したため、ねじ軸の表面に付着した異物はすり割りのエッジで削り取られた後、すり割り斜面に沿ってシールの真上又はナット側へ向かって掻き出され、シール外面に排出されることとなり、再びねじ軸面にのることはない。そのため、ナット内の防塵がたいへん有効に行われる。
【0011】
ここで、本発明のボールねじのシールにあっては、すり割りの長さをボールねじリードの少なくとも0.7倍とし、またすり割り数を少なくとも6等配分とすることができる。このようにすると、後述するように、ねじ軸が1回転相対回転する間に必ず4ヵ所以上のすり割りにおいてスクレーパ作用を発揮させることが可能になる。この場合、すり割り数が6箇所未満であると、スクレーパ作用する箇所が少なく性能が低下すると共に、分割された部分がねじ軸の外面に対し均一になじみにくくなり、片当たり状態を招いてシール性能が低下する。
【0012】
また、本発明のボールねじのシールにあっては、シールの外周にガータスプリングを装着することができ、かつ、それをシールの軸方向の複数箇所に装着したものとすることができる。これにより、シールの軸方向長さが長くても分割された部分を複数箇所から内径側に弾圧できて、シール性能が向上する。
【0013】
また、前記すり割りを、前記リング体の両端面からシール軸方向の中央に向けてそれぞれ別途に形成したものとすることができる。これにより、ダブルシールの機能を付与することが可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図3は、本発明の第1の実施形態を示したもので、図1はシール装着部分を半断面で表したボールねじの正面図、図2(a)はシールの端面図,(b)はすり割り斜面の拡大斜視図、図3はシールの軸直角断面図である。
【0015】
先ず構成を説明すると、ボールねじは、螺旋状のねじ溝1aを外周面に有するねじ軸1に、そのねじ軸1のねじ溝1aに対応する図示されないねじ溝を内周面に有するボールねじナット2が図示されない多数のボールを介して螺合されている。ねじ軸1が回転すると、ボールは両ねじ溝によって形成された螺旋状空間内を転動しつつボールねじナット2の胴部に設けられたボール循環路(一点鎖線で略示)3を経由して循環する。これにより、ねじ軸1の回転方向に応じてボールねじナット2がねじ軸1に沿い往復直線運動する構成である。
【0016】
前記ボールねじナット2の両端面には環状の凹部5が形成されており、この凹部5に、例えば高分子量ポリエチレン樹脂からなる円筒状のシール6が取り付けられている。当該シール6は、その一端側に形成してあるフランジ状の取付け部7を前記凹部5に嵌合するとともに止めねじ8を締めつけることにより固定されている。
【0017】
シール6の他端側にはつば部9が形成してあり、このつば部9の根元から前記取付け部7までの間のシール胴部11は、つば部9より外径を小さくして肉厚が薄くなっている。そのシール胴部11の外周面6gには、つば部9の根元に環状のガータスプリング溝12が一本形成されている。一方、シール6の内周面6nには、ねじ軸1のねじ溝1aに嵌合する凸部(シール山)13が螺旋状に形成されている。図3に示すように、そのシール山13の高さHは、ねじ軸のねじ溝1aの深さhよりも若干大きく設定してある。これにより、前記ガータスプリング溝12に装着したガータスプリング14の緊迫力で圧迫されたシール山13を積極的にねじ溝1aに密着させる。
【0018】
前記シール6の円筒体には、つば部9を有する一方の端面から円筒体軸方向に延びるすり割り15が、円周等分に6ヵ所設けられている。その6ヵ所のすり割り15はいずれも、シール肉厚を斜めに横断するとともにシール中心軸線Xに対して平行に延びている。換言すると、いま、ねじ軸1のねじ溝1aのリード角をθとし、また仮にすり割り15のシール中心軸線Xとなす角をθ1 とすると、この場合のリードθと、角θ1 との間は次のような関係になっているといえる。
【0019】
θ>θ1 =0°
一方、シール肉厚を斜めに横断する各すり割り15の相対する面15a,15bは、図2に示すように、シール厚み方向の垂直線に対し傾斜角θ2 だけ傾いている。
【0020】
このように設定した6カ所のすり割り15のうちの5ヵ所のすり割り15は、その長さlがボールねじのリードLe を基準として設定され、すり割り長さlはボールねじのリードLe の少なくとも0.7倍になるようにしている。例えば図示の全長35mmのシール6の場合、ボールねじのリードLe =32mmに対して、すり割り15の長さL=23mmと0.72倍にしてある。
【0021】
他の一カ所のすり割りは、円筒体の一端面から反対端の取付部7の端面にいたるシール6の全長に及んでおり、円筒体を切断するスリット17として形成されている。
【0022】
次に、作用を説明する。
このシール6は、スリット17を開いて円筒体を拡開させた状態でねじ軸1に嵌め合わせた後、ボールねじナット2の端面の凹部5にシール後端の取付部7を嵌入し、ボールねじナット2の側面からねじ込んだ止めねじ8の先端を取付部7に係合させることにより固定して、ボールねじナット2の両端に取り付けられる。
【0023】
続いて、このようにスリット17を拡開して取り付けたシール6の先端部分に設けられているガータスプリング溝12に、ガータスプリング14を取り付け、その緊迫力でシール6を弾性的に締めつける。本発明のシール6の場合は、ボールねじのリードLe に対するすり割り15の長さが従来よりも長く、且つ肉薄に設定されている。そのため、図3に示す軸方向の一直角断面で見られるように、すり割り15及びスリット17で円周等分に6分割されたシール胴部11の6個の分割部分A1 〜A6 が柔らかい弾性をもち、ねじ軸1のねじ溝1aの有無に関係なくねじ軸1の外面に密着してなじみ易い。また、シール6の内周のシール山13の高さHをねじ軸のねじ溝1aの深さhより若干大きく設定して、シール山13を有する分割部分(図3ではA6 )のシール内周面6nとねじ軸の外径面1bとの間に若干のすき間Cをもたせてある。
【0024】
そこで、シール胴部11の外周をガータスプリング14で緊迫すると、シール山13を有する分割部分A6 はねじ溝1aに、その他の分割部分A1 〜A5 はねじ軸の外径面(ランド部)1bにそれぞれ容易に密着できる。
【0025】
シール6のシール山13は、ねじ軸1のねじ溝1aの螺旋形状に一致して螺旋形状を描いており、図3に示したシールの軸方向直角断面の位置が軸方向にずれるにつれて分割部分A6 から他の分割部分へと順次移行していくことになるが、いずれの位置にあっても各分割部分A1 〜A6 において上記同様の密着性が得られるから、シール6全体としての良好なシール性が確保される。
【0026】
このボールねじナット2の両端にシール6を装着して、ねじ軸1を1回転させると、その回転方向に応じてボールねじナット2が1ピッチ分直線相対移動する。このとき、シール6の各分割部分A1 〜A6 はねじ軸外面に密着したまま軸回転に伴いちょう度1周分の相対摺動運動を行う。これにより、各分割部分A1 〜A6 のエッジ(すり割り15及びスリット17のエッジ部分)がスクレーパ作用でねじ軸1外面の付着異物を掻き取り払拭する。
【0027】
本実施形態では、ねじのリードLe の約0.7倍の長さのすり割り15を6ヵ所(うち1ヵ所はスリット17)設定したことにより、ボールねじのねじ軸1の1回転あたり、6カ所のすり割りのうちの4ヵ所以上のすり割り15にスクレーパ作用が機能する。 かくして、本実施形態のボールねじのシール6によれば、すり割り15によりねじのリードの大きさいかんに関わらず、1回転あたり必ず4カ所以上のすり割15にスクレーパ作用を発揮させることが可能であり、従来は困難であったねじ溝部分の優れた異物除去性能ひいては優れたシール性能が得られる。
【0028】
また、ねじ軸の表面に付着した異物は、すり割りのエッジで削り取られた後、各すり割り15の傾斜角θ2 の斜面15aに沿ってシール取付け部7へ向かって斜めに登り(PA 方向)掻き出されてシール胴部11の外面にのることとなり、再びねじ軸面にのることはないから、ボールねじナット2内への異物侵入を効果的に防止し、シール性能を向上させることができる。
【0029】
図4〜図6に本発明の第2の実施形態を示す。
なお、上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省く(以下、同様)。
【0030】
この実施形態のボールねじのシール6Aは、シール胴部11の中間位置にもガータスプリング溝12を形成することにより、ガータスプリング14をシールの先端部と中間部との2ヵ所に配設した点が異なっている。この場合も、図6に示すように、シール山13の高さHはねじ軸1のねじ溝1aの深さhより若干大きく設定してある。そのため、軸方向断面で見ると図6のようにねじ溝1aにはシール山13が密着し、そのシール山13の根元近傍の前後両側にすき間18を生じるのであるが、長くて肉薄のシール胴部11が容易に変形できるため、2本のガータスプリング14,14の緊迫力により、ねじ溝1aから少し離れた部分ではシール内面がねじ軸外径面1bによく密着できて、シール全体の高いシール性が確保される。その他の構成及び作用・効果は上記第1の実施形態のものと同様である。
【0031】
図7,図8に本発明の第3の実施形態を示す。
この実施形態のボールねじのシール6Bにあっては、第2の実施形態のシール6Aにおけるすり割り15が、シール中心軸Xに対して傾斜角θ1 だけ傾いて延びている。すなわちこの実施形態の場合、ねじ軸1のリード角θと、すり割り15のシール中心軸線Xとなす傾斜角θ1 との間の関係は、
0<θ1 ≦θ になっている。
【0032】
さらに、シール肉厚を斜めに横断する各すり割り15の相対する面15a,15bも、シール厚み方向の垂直線に対し傾斜角θ2 だけ傾いている。
すなわち図8(b)のように、すり割り15の面15aは、傾斜角θ1 ,θ2 をもって二方向に傾いている。そのため、ねじ軸1のねじ溝1aとねじ軸の外形部1bから削り取られた異物は、すり割りの斜面15aに沿って、シール取付け部7方向に向かって(PB 方向)斜め又は真上(θ1 =θの時)に登り、シール胴部11の外面に掻きだされる。その後は、ある程度溜まって自然にシール胴部11の外面から落下する。したがって再び異物がねじ軸1上に乗ることはなく、効果的に防塵できる。
【0033】
その他の構成及び作用・効果は上記第2の実施形態のものと同様である。
図9に本発明の第4の実施形態を示す。
この実施形態のボールねじのシール6Cは、スクレーパ作用を発揮するすり割り15を、シール6Cの両端側から切り込んでそれぞれ形成した点が上記の各実施形態とは異なっている。すなわちこのシール6Cは、フランジ状の取付部7がシールの長さ方向の中央部に設けてあり、その取付部7の両側にシール胴部11a,11bが連設してある。そして、各シール胴部11a,11bにそれぞれ、端部から軸方向に斜めに延びるすり割り15が切り込まれている。図示されていないが、スリット17は、シール胴部11aの端面からシール胴部11bの端面まで連続して切り抜けている。
【0034】
この場合のすり割り15の長さは、両シール胴部11a,11bのすり割り15,15を足した長さがねじのリードLe の少なくとも0.7倍の長さとなるように設定されている。
【0035】
このシール6Cを取り付けるボールねじナット2の端部には、シール6Cの取付部7と内側のシール胴部11bとが挿入される深い凹部5が形成されている。また、ナット2の端部の円筒面に、複数個の排出窓20を周方向に並べて形成し、内側のシール胴部11bに形成されているすり割り15のエッヂ部分で掻きだして溜まった異物を、それらの排出窓20から外部へ排出するようにしてある。
【0036】
この実施形態のシール6Cは、ナット2の外方及び内方と、両側にすり割り15を形成したことによりダブルシールとして機能する。なお、ナット外方のすり割り15で掻き取られた異物は外部のシール胴部11aの外面に掻きだされて落下する。一方、ナット内方のすり割り15で掻き取られた異物は内部のシール胴部11bの外面に掻きだされた後、排出窓20からナット外へ落下するから、いずれにしても異物が再びねじ軸1上にのることはない。
【0037】
その他の構成及び作用・効果は上記第2の実施形態のものと同様である。
図10には、本発明のボールねじのシールを使用するねじ軸のねじ溝形状に関する実施形態を示す。
【0038】
一般に、ボールねじのねじ軸1に形成されるねじ溝1aの底部には、図11に示すような研削逃げ21が形成されている。このような研削逃げ21に溜まった異物は除去が困難であり、優れたスクレーパ作用を有する本発明の各実施形態のシールを適用した場合でも、研削逃げ21内の掻き取りはできない。
【0039】
そこで、図10に示すように、ねじ軸1のねじ溝1aの底部の研削逃げ21を廃止する。このねじ軸のねじ溝に研削逃げがないボールねじに上記各実施形態に示した本発明のボールねじのシールを適用すれば、ねじ溝のシール性をより向上させることができる。
【0040】
なお、上記各実施形態のシールは、原料に高分子量ポリエチレン樹脂を用いたものとしたが、本発明のボールねじのシールは、その他潤滑剤含有ポリマを原料にしてもよく、これらの原料を用いた切削加工品又は射出成形品とすることができる。潤滑剤含有ポリマを原料とした場合の例を説明すると、たとえば、低分子量ポリエチレン(分子量1×103 〜5×105 )45重量%と超高分子量ポリエチレン(分子量1×106 〜5×106 )5重量%からなるポリエチレンに、潤滑剤としてパラフィン系鉱油50重量%を混合したものを原料として用い、その混合物を加熱溶融した後、所定の金型に注入して加圧しながら冷却固化させて成形される。成形法は圧縮成形もしくは射出成形等が可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のボールねじのシールによれば、シール幅(シール軸方向長さ)を長くして一部をボールナット端面より外方に突出せしめ、そこに複数本のすり割りを、ねじ軸軸線に対して平行乃至ねじ軸リード角θ以内の傾きで配設するものとしたため、ねじ軸の付着異物を削りとってナット外部に連続的に排出しねじ軸面に溜まることを防止することができて、特に高精度のシールを必要とせずに高いシール性能が確保され、その結果、ボールねじ内への異物侵入による早期摩耗を防止して長期間にわたりメンテナンスフリーで使用できるボールねじを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のシールの装着部分を半断面で表したボールねじの正面図である。
【図2】(a)は図1のシールの先端側の端面図、(b)はすり割り斜面の拡大斜視図である。
【図3】(a)は図1のシールの軸直角断面図、(b)はそのb部の拡大図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のシールの装着部分を半断面で表したボールねじの正面図である。
【図5】図4のシールの先端側の端面図である。
【図6】図4のシールの軸方向断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態のシールの装着部分を半断面で表したボールねじの正面図である。
【図8】(a)は図7のシールの先端側の端面図、(b)はすり割り斜面の拡大斜視図である。
【図9】本発明の第4の実施形態のシールの装着部分を半断面で表したボールねじの正面図である。
【図10】ねじ溝の底部の研削逃げを廃止してシール性を向上させた実施形態のねじ軸の断面図である。
【図11】一般的なボールねじにおけるねじ軸のねじ溝断面図である。
【図12】従来のボールねじのワイパシールの正面図である。
【図13】図12に示すものの側面図である。
【符号の説明】
1 ねじ軸
2 ボールねじナット
6 シール
6A シール
6B シール
6C シール
13 シール山
14 ガータスプリング
15 すり割り
17 スリット
Claims (1)
- 内周にボールねじのねじ軸のねじ溝と係合するシール山を有してボールナットの端部に取り付けられるボールねじのシールにおいて、前記シールを円筒体状に形成してその一部をボールナット端面より外方に突出せしめると共にシール端面から円筒体軸方向に延びる複数本のすり割りを設け、当該すり割りのねじ軸軸線に対する傾き角θ1 とねじ軸のリード角θとの関係を、
0<θ 1 ≦θ
とし、さらに前記すり割りの長さをボールねじのリードの0.7倍以上に設定したことを特徴とするボールねじのシール。
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