JP3691194B2 - 有機物処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、厨芥等の有機物を微生物の活動により分解処理する有機物処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家庭、飲食店の厨房内に発生する厨芥(生ごみ)等の有機物を処理するための一方法として、微生物による分解を利用する方法がある。この方法による有機物処理装置は、有機物を分解する微生物、及び該微生物の担体(木質細片、おが屑、活性炭等)を収納する処理槽の上部に投入口を設け、また内部に攪拌手段を配して構成され、前記投入口を経て処理槽内に投入される有機物を前記攪拌手段の動作により担体中に取り込み、この状態に放置して、前記担体中に生息する微生物の活動により分解処理する構成となっている。
【0003】
担体中に取り込まれた有機物の分解を良好に行わせるには、適量の水分を含み適温に保たれた担体中に適量の空気(酸素)を供給し、該担体の内部を微生物の活動に適した環境に保つことが重要であり、処理槽内部の換気手段と加熱手段とを備え、換気手段の動作により処理槽内に外気を供給すると共に、前記分解により生成される水分及びガスを処理槽外に排出して、担体内部の空気量及び水分量を適正に保つ一方、加熱手段の動作により、処理槽の内部を加熱して適温に保ち、更に、前記攪拌手段の動作により担体を随時攪拌して、該担体の内部へ空気を取り込むと共に、分解により生成される水分及びガスを排出して、処理槽の内部環境を適正に維持する運転が行われている。
【0004】
さて、この種の有機物処理装置においては、以上の如く行われる運転の継続に伴い、分解処理後の残留物、有機物と共に投入される難分解物(ビニール袋、割箸、貝殻等)が処理槽内部の担体中に蓄積され、微生物の生息環境が徐々に悪化して、処理能力の低下を招くことから、処理槽内部の担体を適宜の周期にて取り出し、新たな担体に交換する必要がある。
【0005】
このような担体の交換に際しては、処理槽内部の担体の取り出しを容易に行わせる必要があり、従来から、特開平7-136627号公報(B09B 3/00)、特開平7-222967号公報(B09B 3/00)等に開示されている如く、処理槽の一側(前側)下部に担体排出用の排出口をシャッタにより開閉自在に設け、担体の交換に際しては、前記シャッタを取り外して排出口を開放することにより処理槽内部の担体を外部に取り出し得るようにした構成が採用されている。
【0006】
さて、以上の如き有機物処理装置の運転中に処理槽の内部は、前記加熱手段の加熱動作により適温に維持されており、前記排出口が形成された処理槽の前側下部を外気に曝す構成とした場合、特に、寒冷期において前記加熱手段の負荷が増し、適温の維持が困難となる虞れがある。
【0007】
そこで、前記特開平7-222967号公報においては、外装ケースの前板を着脱自在とし、担体の交換に際しては、前記前板を取り外して処理槽の前部全体を露出させ、この状態で前記シャッタを取り外して排出口を開放し、処理槽内部の担体を取り出し得るようにする一方、運転中においては、前記前板により処理槽の前部が覆われ、外気との直接的な接触を避けるようにしている。
【0008】
更に、前記特開平7-136627号公報には、処理槽を内包する外装ケースの前下部に、前記排出口に連なる取り出し口を外装カバー(取出口蓋)により開閉自在に開設し、担体の交換に際しては、外装カバー及びシャッタを取り外し、取り出し口及び排出口を開放して、処理槽内部の担体を取り出し得るようにする一方、運転中においては、前記外装カバーにより排出口の前部を覆い、外気との直接的な接触を避けるようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが以上の如く構成された従来の有機物処理装置においては、外装ケースの前板又は外装カバーの取り付けと、排出口を閉止するシャッタの取付けとが、ねじ止め等の取り付け手段により各別に行われており、担体の取り出しに際しては、まず前記前板又は前記外装カバーを取り外し、その後にシャッタを取り外す2段階の作業を必要とし、更に、担体の取り出し後、前記シャッタを前記排出口を閉止し得る正規の装着位置に正しく取り付け、その後に前記前板又は前記外装カバーを正規の装着位置に取り付ける2段階の取り付け作業を必要し、前記排出口が装置の下部にあることから、これらの作業に多大の手間を要するという問題があった。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、処理槽に開設された担体の排出口へのシャッタの取り外し及び取り付け、並びに前記排出口に連続して外装ケースに開設された取り出し口への外装カバーの取り外し及び取り付けに要する手間を軽減し、劣化した担体の交換を容易に行い得る有機物処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る有機物処理装置は、有機物を分解する微生物、及び該微生物の担体を収納する処理槽の下部に前記担体の排出口を、シャッタにより開閉自在に設け、また前記処理槽を内包する外装ケースに前記排出口に臨ませた取り出し口を、外装カバーにより開閉自在に設けてなり、運転に伴って劣化した前記担体を、前記シャッタ及び前記外装カバーの取り外しにより開放された前記排出口及び前記取り出し口を経て外部に取り出すようにした有機物処理装置において、前記外装カバーは、前記外装ケースと前記シャッタとの間に挿入されて、該シャッタを前記排出口の閉止姿勢に拘束する楔状部と、前記シャッタの一部に係止されて、自身を前記取り出し口の閉止姿勢に拘束する係止爪とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明においては、処理槽に開設された担体の排出口を閉止すべくシャッタを取り付け、更に外装ケースに開設された取り出し口を閉止すべく外装カバーを取り付けたとき、外装カバーに設けた楔状部が前記シャッタと外装ケースとの間に挿入されて、該シャッタが担体の排出口を閉止する姿勢に拘束されると共に、外装ケースに設けた係止爪が前記シャッタの一部に係止され、外装カバー自身が前記取り出し口を閉止する姿勢に拘束される。即ち、外装カバーとシャッタとが相互に関連して夫々の拘束姿勢を保つ作用をなし、これらを各別に取り付けるための作業が不要となる。
【0013】
以上の如く取り付けた外装カバーは、適宜の把手を把持し、前記係合爪の係合を外し、楔状部を引き抜く方向に引っ張ることにより取り外し、これにより拘束を解除されたシャッタは、そのままの状態で引き出すことにより取り外すことができる。
【0014】
更に加えて、前記シャッタ及び前記外装カバーが拘束状態にあることを併せて検出する検出手段を備えること、また、前記検出手段は、前記外装カバーの一部との関連により動作するスイッチであること、更に、前記検出手段が非検出状態にあるとき、前記運転を禁じる構成としてあることを夫々特徴とする。
【0015】
これらの発明においては、シャッタ及び外装カバーが拘束状態にあることを、例えば、外装カバーが、取り出し口を閉止すると共に、シャッタの拘束作用をなす正しい閉止姿勢に装着されたとき、これの一部との関連により動作するスイッチにより検出する。外装カバーの閉止姿勢は、その内側に装着されたシャッタに係止爪を係合せしめて行われるから、前記スイッチのオンオフにより、外装カバーの取り付け状態の良否を、内側のシャッタの取り付け状態の良否と併せて検出することができる。更には、この検出がなされないとき運転を禁じる構成とし、担体の交換後、シャッタ又は外装カバーが装着不備な状態のまま運転が再開され、種々の不都合が発生することを未然に防止する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る有機物処理装置の正面断面図、図2は、同じく側断面図である。
【0017】
図において1は、有機物を分解処理する処理槽である。該処理槽1は、図2に示す如く、下半部を半円形とした側断面形状を有し、上部の略全面に有機物投入のための開口を備える中空容器であり、矩形箱形をなす外装ケース2の内部に支持されている。処理槽1の上部開口には、図2に示す如く、外装ケース2の天板から垂下された投入シュート20が差し込まれて、有機物の投入口が形成されており、投入シュート20の上部は、外装ケース2の上面に取付けた上蓋21により開閉自在に覆ってある。
【0018】
図3は、図2の III−III 線による横断面図であり、本図に示す如く処理槽1の上部には、適宜の幅を内側に折り返し、矩形に開口する投入口の周囲を縁取る折り返し部10が形成されており、該折り返し部10には、これを内外に貫通する複数の吸気孔11,11…が形成されている。
【0019】
また図1に示す如く、上槽1bの上部一側には、運転制御のための制御基板3を支持する支持板30が取り付けてあり、制御基板3の上部を覆うカバー板31と、同側の投入シュート20の背面との間に、該投入シュート20の壁面を貫通する多数の排気孔22を介して処理槽1の内部に連通する排気路32が形成されており、処理槽1の内部の空気は、前記排気路32の後端に取り付けた図示しない換気ファンの動作により、排気孔22及び排気路32を経て後方に導かれ、外部に排気されるようになしてある。
【0020】
一方、処理槽1の内部は、折り返し部10に形成された前記吸気孔11,11…により外装ケース2の内側に連通しており、換気ファンの動作により前述した排気が行われた場合、処理槽1の内部には、前記吸気孔11,11…を経て外装ケース2内の空気が吸込まれるようになしてある。
【0021】
外装ケース2の内面には、その高さ方向の略中央において、処理槽1の外面全周に一体的に張り出された当て板12が当接せしめてあり、外面からの押圧による変形を防ぐ構成となっており、外装ケース2の内部は、この当て板12により上下に仕切られている。当て板12は、図2に示す如く、制御基板3の支持板30の取り付け部の下において、外装ケース2との間の他部よりも広い隙間を埋めるべく幅広となっており、この幅広部分には、円孔状をなす複数の通気孔13,13…が貫通形成され、外装ケース2の上下部間での通気がこれらの通気孔13,13…を介して生じるようになしてある。
【0022】
外装ケース2の下半部は、その底面に形成された吸気孔により外部に連通させてあり、前記換気ファンが駆動された場合、図1中に矢符により示す如く、外装ケース2の底面から外気が吸い込まれ、前記当て板12に形成された複数の通気孔13,13…を通って外装ケース2の上半部に通気して、前記吸気孔11,11…を経て処理槽1の内部に導入されることになる。
【0023】
処理槽1の内側下部には、両側壁間に横架された攪拌軸40に軸長方向に所定の間隔毎に複数の攪拌棒41,41…を放射状に突設してなる攪拌体4が配してある。図1に示す如く、処理槽1の一側下部には攪拌モータMが配してあり、この攪拌モータMの出力端は、同側への前記攪拌軸40の突出端に減速機構42を介して連結され、前記攪拌体4は、前記減速機構42を介して攪拌軸40に伝達される攪拌モータMの回転力により回転駆動されるようになしてある。
【0024】
処理槽1の内部には、おが屑、木質細片等を用いてなる微生物の担体Aが、図2中に実線にて示す如く、前記攪拌体4の攪拌棒41,41…の先端が、その回転域の上半部にて前記担体Aの表面から適長突出する深さ(標準レベル)を有して収納されている。処理槽1の底部の半円形状は、図2に示す如く、前記攪拌棒41,41…の回転軌跡の下半部に沿うように設定してあり、処理槽1内に収納された担体Aは、攪拌体4の回転により処理槽1の幅方向及び深さ方向の全域に亘って攪拌される。
【0025】
このような担体Aの攪拌は、上部の投入口から処理槽1内へ有機物が投入されたとき、この有機物を担体A中に取り込むべく実施され、また、この後の運転中においては、有機物の分解により担体A中に生成される水分及びガスを処理槽1の上部空間に排出する一方、処理槽1の内部への吸気を担体A中に取り込み、該担体Aの内部環境を適正に維持すべく、後述する手順にて随時実施される。
【0026】
攪拌モータMと、これの回転を攪拌体4に伝える減速機構42とは、図1に示す如く、前記当て板12の幅広部分の下側において、処理槽1と外装ケース2との間に確保されたスペースを利用し、前述した如き吸気の経路の中途に配してあり、この吸気により攪拌モータMが冷却されるようにしてある。
【0027】
以上の如く構成された処理槽1の半円形断面をなす底面の一側(前側)には、内部に収納された担体Aの排出口17が、図2に示す如く、引出し式のシャッタ5により開閉自在に覆って開設してあり、この排出口17を下側から臨む外装ケース2の底部には、前方に向けて傾斜する排出シュート23が一体形成され、該排出シュート23の前部には、外装カバー6により開閉自在に担体Aの取り出し口25が形成されている。また、処理槽1の底部外面には、図2に示す如く、内部加熱のためのシート状をなすヒータHが、前部に開設された排出口17の形成域を避け、後側外面を主体として被着してある。
【0028】
以上の如く構成された有機物処理装置は、厨芥等の有機物を、上蓋21を開放して処理槽1内に投入して使用される。処理槽1内に投入された有機物は、攪拌モータMの駆動による攪拌体4の正逆回転により担体A中に取り込まれ、該担体A中に生息する微生物の活動により分解処理される。この間、制御基板3上に構成された運転制御部の動作により、ヒータHの通電制御、前記換気ファンの駆動制御、及び攪拌モータMの駆動制御が行われる。
【0029】
パネルヒータHへの通電制御は、処理槽1の内部温度を適温に保つべく、特に寒冷期に行われ、また換気ファンの駆動制御は、処理槽1の内部に適量の空気を送り込むと共に、前記分解により生成される水分及びガスを排出すべく常時行われ、更に、攪拌モータMの駆動制御は、処理槽1内部の担体Aを定期的に攪拌して、担体A中に空気を取り込むと共に、担体A中に生成される水分及びガスを放出すべく間欠的に行われる。このような制御動作により処理槽1の内部は、担体A中に生息する微生物の活動に適した環境に保たれ、該担体A中に取り込まれた有機物は、堆肥化した少量の残留物を残し、炭酸ガスを主成分とするガスと水とに分解される。
【0030】
一方、以上の如き運転の継続に伴って処理槽1内部の担体A中には、分解処理後の残留物、有機物と共に投入される難分解物(ビニール袋、割箸、貝殻等)が蓄積され、該担体A中における微生物の生息環境が悪化し、処理能力の低下を招くことから、劣化した担体Aの交換が必要となる。
【0031】
この交換に際しては、まず、処理槽1内部の劣化した担体Aの取り出しが行われる。この取り出しは、前記外装カバー6を取り外し、取り出し口25を開放した後、前記シャッタ5を取り外して、処理槽1の下部前面の排出口17を開放して、該排出口17を経て処理槽1内部の担体Aを排出シュート23上に落とし、該担体Aを排出シュート23の傾斜に沿って前方に掻き出して行われる。
【0032】
排出シュート23の下面には、これの前縁のやや後に、下方に向けてエプロン板26が垂下されている。このエプロン板26は、前述した如く排出シュート23の傾斜に沿って掻き出される担体Aが、前記排出シュート23の下側に侵入することを防ぐ作用をなす。
【0033】
図4は、担体Aの取り出し状態の説明図である。本図に示す如く、排出シュート23の傾斜に沿って前方に掻き出される担体Aは、例えば、前記排出シュート23の前縁にその袋口を臨ませた回収袋27内に回収する手順にて行われるが、このとき、前記回収袋27の一部を前記エプロン板26の下部に適宜に挿入した状態で袋口を開くことにより、前記担体Aを回収袋27内に確実に回収することができ、取り出し口25の周辺を汚す虞れがない。
【0034】
このようにして担体A取り出しを終えた後、まず、シャッタ5を装着して排出口17を閉止し、次いで外装カバー6を装着して取り出し口25を閉止して、処理槽1内にその上部から新たな担体Aを投入する。このように交換を終えた後は、前述した運転の再開により有機物処理が可能となる。
【0035】
本発明に係る有機物処理装置においては、以上の如く行われる担体Aの交換作業に際し、シャッタ5及び外装カバー6の取り外し及び取り付けを、容易に、しかも確実に行わせるようにしてある。
【0036】
図5は、シャッタ5の外観斜視図であり、図2に示す装着時に後となる側を手前として示してある。本図に示す如くシャッタ5は、処理槽1の底面に対応するように円弧状に屈曲成形された蓋板50と、該蓋板50の周囲を縁取る側板51と、前記蓋板50の一側に連設された前板52と、該前板52の他面に一体的に突設された把手53とを備える樹脂成型品である。前記蓋板50は、四方を縁取る前記側板51と、これらの間に架設された補強リブ(図中に破線により示す)によって裏面から補強されており、該蓋板50の表面には、前記排出口17の開口形状に対応する矩形の突出部 50aが形成されている。また、前板52に突設された把手53の上面には、その中央部の両側に各所定長離れた位置に、細幅の矩形に開口する係止孔54,54が形成されている。
【0037】
図6は、外装ケース2の前面に開設された取り出し口25を前方から見た斜視図であり、図6(a)には、外装カバー6及びシャッタ5を取り外した状態が、図6(b)には、シャッタ5のみを取り付けた状態が夫々示されている。
【0038】
図6(a)においては、シャッタ5の取り外しにより、外装ケース2の前側から処理槽1の底面に形成された排出口17を見通すことができ、該排出口17を下側から臨むように外装ケース2に一体形成された排出シュート23の両側面(片面のみ図示)には、排出口17の下位置にて略水平に並べて複数のガイドリブ24,24…が突設されており、前記シャッタ5は、図6(b)に示す如く、蓋板50の両側の側板51の下縁を前記ガイドリブ24,24…により支え、前記把手53を把持して前後にスライド操作可能としてあり、最後位置にまで押し込まれたとき、前記図2及び後述する図8に示す如き装着状態が得られ、蓋板50に突設された突出部 50aの嵌まり込みにより、前記排出口17が閉止されるようになっている。
【0039】
シャッタ5を案内する前記ガイドリブ24,24…の内、最前部に位置するガイドリブ24は、図6に示す如く、その後側に後方に向けて下向きに傾斜するテーパ部を備えている。また、ガイドリブ24,24…に支えられる前記シャッタ5の側板51には、図6(b)に示す装着状態において、前記ガイドリブ24のテーパ部よりも大なる傾斜を有して前板52に連なるテーパ縁 51a(図5参照)を備えており、、このテーパ縁 51aは、シャッタ5が前述の如く装着されたとき、ガイドリブ24に形成された前記テーパ部の後方に所定距離隔てて対向するようになしてある。なお前記テーパ縁 51aは、図5に示されていない逆側の側板51の前部にも形成されている。
【0040】
図7は、外装カバー6の外観斜視図である。本図は、図5と同側、即ち、図2に示す装着状態において後となる側を手前として示してある。本図に示す如く外装カバー6は、前記取り出し口25を覆い得るサイズを有する前板60と、該前板60の後面の両側に突設された一対の押し板61,61と、これらの押し板61,61の外側下部に後向きに張り出す態様に突設された一対の楔状部62,62と、前記前板60の上縁近傍に、その中央部の両側に各所定長離れて突設された一対の係止突起63,63とを備えてなる。
【0041】
外装カバー6の前板60は、上半部 60aと、これの後位置にて略平行をなす下半部 60bとを連結板により連結し、取り出し口25の側面形状に対応するクランク状の側断面形状を有しており、上半部の周縁に沿って突設された補強リブにより、所定の曲げ強度を確保した構成となっている。前記押し板61,61は、前記連結板の上面に適宜の高さを有して立設されており、その後部には、後方を下として傾斜するテーパ縁 61a,61aが形成されている。これらのテーパ縁 61a,61aの傾斜は、シャッタ5の側板51の前部に形成された前記テーパ縁 51a,51aの傾斜と略等しく設定されている。
【0042】
押し板61,61の両側に突設された楔状部62,62は、前記テーパ縁 61a,61aに連続する傾斜を有する後面と、これよりも小さい傾斜を有する前面とを備え、先端に向けて幅を減じる形態をなす楔体であり、前面の傾斜は、前記ガイドリブ24のテーパ部の傾斜と略等しく設定されている。また、前板60の上部に突設された係止突起63,63は、夫々の後側下縁に一体成形された鉤爪 63a,63aを備えており、これらの突設位置は、前記シャッタ5における係止孔54,54の形成位置と対応させてある。
【0043】
以上の如く構成された外装カバー6は、前記取り出し口25を覆う態様に装着されたとき、前記楔状部62,62により、これの内側のシャッタ5を正しい装着姿勢に拘束すると共に、前記係合突起63,63の下縁の鉤爪 63aを前記シャッタ5の係止孔54,54に係合させることにより、自身を、後述の如き正しい装着姿勢に保つ作用をなす。
【0044】
図8及び図9は、楔状部62と係合突起63の作用説明のためのシャッタ5及び外装カバー6の装着位置近傍の拡大断面図であり、図8は、シャッタ5及び外装カバー6が正しく装着された状態が、図9は、外装カバー6の装着前の状態が夫々示されている。
【0045】
図8に示す如く外装カバー6は、これの前板60の後側に突設された楔状部62の後面と、該後面の上部に連続する押し板61のテーパ縁 61aとを、内側に先に装着されたシャッタ5の側板51前側のテーパ縁 51aに当てると共に、前記楔状部62の前面を最前部のガイドリブ24の後側のテーパ部に当てた状態に装着されている。このような装着状態は、図9に示す如く、シャッタ5の前述した装着により互いに対向する前記ガイドリブ24のテーパ部と対向する前記テーパ縁 51aとの間に、前述の如く先細とされた楔状部62を斜め下方に向けて差し込むことにより達成され、この状態においてシャッタ5には、これのテーパ縁 51aと外装カバー6のテーパ縁 61aとの当接部に作用する力により、図8中に白抜矢符にて示す如く、後上方に向けて斜めに押圧され、処理槽1に形成された排出口17を密に閉止した状態に拘束される。
【0046】
このように得られるシャッタ5の拘束状態は、楔状部62の前後面における摩擦力により強固に保持され、シャッタ5は、処理槽1の内部の担体Aの重量、攪拌体4による前記担体Aの攪拌に伴う作用力により押し出されることなく、正規の閉止姿勢を保つことができる。
【0047】
一方、以上の装着状態において、外装カバー6の前板60の上部後側に突設された係合突起63は、その下縁の鉤爪 63aを、図8に示す如く、シャッタ5の把手53に形成された係止孔54に上側から係合せしめた状態となり、外装カバー6は、その下部をシャッタ5とガイドリブ24との間に差し込まれた楔状部62により支えられ、またその上部を、前記係止孔54に係合する係合突起63により支えられて、外装ケース2の前面に開口する取り出し口25を前板60により塞いだ装着姿勢に拘束される。
【0048】
図10は、シャッタ5の装着がなされないまま外装カバー6が装着された状態を示す拡大断面図である。この状態においては、係合突起63がシャッタ5の係止孔54に係合しておらず、また楔状部62の後面にシャッタ5のテーパ縁 51aが当接していないことから、外装カバー6には、自身の重量により、最前側のガイドリブ24と楔状部62との当接位置を支点として、図10中に矢符にて示す如き回転力が作用し、前記外装カバー6は、その前板60の下縁が排出シュート23の下縁に当接した状態に傾倒する。この場合、外装カバー6の前板60の上縁と、外装カバー2の前面との間に隙間が生じた状態となり、この状態は、外装ケース2の外側からの目視により確認することができ、シャッタ5の装着忘れを未然に防止することが可能となる。
【0049】
このように、シャッタ5及び外装カバー6の装着状態の良否の判定は、使用者の目視によって行い得るが、以下の如き装着検出スイッチ7の配置により、前記判定をより確実に行わせることができる。
【0050】
図11及び図12は、装着検出スイッチ7の動作説明図であり、これらは、シャッタ5及び外装カバー6の装着位置近傍を、図2及び図8と逆側から見た側断面図であり、図11は、シャッタ5のみが装着された状態を、図12は、シャッタ5及び外装カバー6が正しく装着された状態を夫々示している。
【0051】
処理槽1の下面には、図11に示すシャッタ5の装着状態において、把手53が突設された前板52に近接対向する位置に、外装ケース2の底面にまで達する覆い板18が垂下されており、該覆い板18の背面側には、これを貫通する小径の貫通孔19に臨ませて装着検出スイッチ7が配してある。また、シャッタ5の前板52には、装着状態において前記貫通孔19と整合する位置に、小径の貫通孔55が形成されており、シャッタ5の外側に装着される外装カバー6の前板60には、図12に示す如き装着状態において前記貫通孔55及び貫通孔19と整合する位置に、押圧棒64が突設されている。
【0052】
装着検出スイッチ7は、図12に示す如く、シャッタ5及び外装カバー6が装着された場合、貫通孔55を経て貫通孔19内に進入する前記押圧棒64により押されてオンするようになしてある。
【0053】
外装カバー6の前板60の後側に突設された押圧棒64は、外装カバー6が前述した如き正規の装着姿勢にあるとき、前記装着検出スイッチ7に先端が達する長さを有している。前記外装カバー6は、前記シャッタ5の装着がなされないまま装着された場合、前述の如く、前板60の上縁と外装カバー2の前面との間に隙間が生じた状態に傾倒した姿勢となり、このとき前記押圧棒64は、図12中に破線により示す如く、先端を上として傾斜することとなり、装着検出スイッチ7はオフ状態を保つ。また、図11に示す如くシャッタ5のみが装着された状態、及びシャッタ5及び外装カバー6が装着されていない状態の夫々において、装着検出スイッチ7がオフ状態を保つことは言うまでもない。
【0054】
即ち、装着検出スイッチ7がオンするのは、シャッタ5及び外装カバー6が共に正しく装着されて、図12中に実線にて示す如く、押圧棒64が略水平を保って後方に延びた場合のみであり、装着検出スイッチ7のオンオフにより、シャッタ5及び外装カバー6の装着状態の良否を確実に検出し得ることとなる。
【0055】
このように検出されるシャッタ5及び外装カバー6の装着状態の良否は、例えば、表示ランプの点灯、警報の発生等の報知手段により使用者に報知するようにすれば良く、更には、装着不備の状態にあるとき、以降の運転を禁じる構成としてもよい。この運転の禁止は、制御基板3上に構成された前記運転制御部の入力側に装着検出スイッチ7を接続し、該装着検出スイッチ7がオフ状態にあるとき、前述の如く行われるヒータHの通電制御、換気ファンの駆動制御、及び攪拌モータMの駆動制御を禁じる構成とすることにより実現される。これにより、担体Aの交換後、シャッタ5及び外装カバー6の装着不備の状態のまま運転が再開される虞れがなくなり、これに伴う不都合の発生を防ぐことができる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る有機物処理装置においては、外装ケースに開設された取り出し口を開閉する外装カバーに、排出口を開閉するシャッタと外装ケースとの間に挿入される楔状部と、前記シャッタの一部に係止される係止爪とを備えたから、シャッタを取り付けた状態で外装カバーを取り付けることにより、前記楔状部の作用によりシャッタが拘束され、また前記係止爪の作用により外装カバーが拘束されて、夫々を正しい装着姿勢に保つことができ、担体交換のための外装ケース及びシャッタの取り外し及び取り付けに要する手間を大幅に軽減することが可能となる。
【0057】
また、シャッタ及び外装カバーが拘束状態にあることを、外装カバーの一部との関連により動作するスイッチ等により検出する検出手段を備えたから、担体の交換後にシャッタ及び外装カバーが装着されたとき、この装着状態の良否を使用者に確実に知らしめて、装着不備の発生を防ぐことができ、更に、前記検出手段が非検出状態にあるとき運転を禁じる構成としたから、担体交換後の運転が、シャッタ又は外装カバーが装着不備な状態のまま再開される虞れがなくなる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機物処理装置の正面断面図である。
【図2】本発明に係る有機物処理装置の側断面図である。
【図3】図2の III−III 線による横断面図である。
【図4】担体の取り出し状態の説明図である。
【図5】シャッタの外観斜視図である。
【図6】外装ケースに開設された担体の取り出し口を前方から見た斜視図である。
【図7】外装カバーの外観斜視図である。
【図8】シャッタ及び外装カバーの装着位置近傍の拡大断面図である。
【図9】シャッタ及び外装カバーの装着位置近傍の拡大断面図である。
【図10】シャッタの装着がなされないまま外装カバーが装着された状態を示す拡大断面図である。
【図11】装着検出スイッチの動作説明図である。
【図12】装着検出スイッチの動作説明図である。
【符号の説明】
1 処理槽
2 外装ケース
4 撹拌体
5 シャッタ
6 外装カバー
17 排出口
23 排出シュート
24 ガイドリブ
25 取り出し口
50 蓋板
51 側板
51a テーパ縁
52 前板
54 係合孔
60 前板
61 押し板
61a テーパ縁
62 楔状部
63 係合突起
63a 鉤爪
64 押圧棒
7 装着検出スイッチ
A 担体
Claims (4)
- 有機物を分解する微生物、及び該微生物の担体を収納する処理槽の下部に前記担体の排出口を、シャッタにより開閉自在に設け、また前記処理槽を内包する外装ケースに前記排出口に臨ませた取り出し口を、外装カバーにより開閉自在に設けてなり、運転に伴って劣化した前記担体を、前記シャッタ及び前記外装カバーの取り外しにより開放された前記排出口及び前記取り出し口を経て外部に取り出すようにした有機物処理装置において、前記外装カバーは、前記外装ケースと前記シャッタとの間に挿入されて、該シャッタを前記排出口の閉止姿勢に拘束する楔状部と、前記シャッタの一部に係止されて、自身を前記取り出し口の閉止姿勢に拘束する係止爪とを具備することを特徴とする有機物処理装置。
- 前記シャッタ及び前記外装カバーが拘束状態にあることを併せて検出する検出手段を備える請求項1記載の有機物処理装置。
- 前記検出手段は、前記外装カバーの一部との関連により動作するスイッチである請求項2記載の有機物処理装置。
- 前記検出手段が非検出状態にあるとき、前記運転を禁じる構成としてある請求項2又は請求項3記載の有機物処理装置。
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