JP3690469B2 - カード払出し装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はテレホンカード、あるいはオレンジカード等の比較的板厚が薄いカード(プリペイドカードあるいはICカード等を含む)を複数枚積載収容し、その積載収容した複数枚のカードをその最下面から一枚ずつ払い出すようにしたカード払出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テレホンカード等を販売するカード自動販売機の機器筐体内には、投入金額に応じたカードを払い出すカード払出し装置が設置されている。
【0003】
このカード払出し装置は大別して、多数枚のカードを積載収容するカード収容部と、このカード収容部内に積載収容された多数枚のカードのうち、その最下面にあるカードを一枚ずつ押し出すカード払出部とから構成されている。
【0004】
一方、本願出願人は上述したカード払出し装置の高速かつ安定した払出しを図るため、先に特願平9−42307号において新たなカード払出し装置を提案した。
【0005】
なお、この本願出願人が先に提案したカード払出し装置の詳細な構造およびその機能については、特願平9−42307号の記載を参照されたいが、ここでは、その大略を詳述する。
【0006】
本願出願人が先に提案した特願平9−42307号のカード払出し装置1は、その要部破断面図で示す図8のように、複数枚のカードを積載収容するカード収容部2と、このカード収容部2に積載収容されたカードを一枚ずつ払い出すカード払出部3とから構成されている。
【0007】
このうち、カード払出部3は、カード収容部2を取り除いた上面図で示す図9のように、筐体4内に配設されたカード分離搬送手段5と、このカード分離搬送手段5により一枚ずつ分離搬送されたカードを筐体4内から排出するカード排出手段6とから構成されている。
【0008】
この、カード分離搬送手段5は筐体4の上面を覆うセンターベース7の下方に配設され、またカード排出手段6は筐体4の先端側を覆う出口カバー8の下方にそれぞれ配設されている。
【0009】
このカード分離搬送手段5は、図8に示すカード収容部2に収容された複数枚のカード9のうち、その最下面に位置するカード10の右端と係合し、当該係合したカードを一枚ずつ図面左側へ向け走行させて分離搬送させるもので、その主要構成要素は、図9で示すように最下面のカードと係合する段部を有するスライド11、このスライド11を図面の左右方向へ往復走行させるスライド駆動手段12、スライド11を図面の左右方向へ案内するガイド溝13およびこのガイド溝13に係合するローラ14等からなるスライド案内手段15、および走行途中でスライド11の姿勢を変更させるスライド姿勢変更手段16等から構成されている。
【0010】
このうちスライド駆動手段12は、図8で示すように、第1の駆動モータ20と、この駆動モータ20の回転を減速して伝達する歯車伝達機構21と、この歯車伝達機構21の出力軸22から伝達された回転力をスライド11の図面左右方向への往復運動に変換する往復スライダリンク機構30とから構成されている。
この往復スライダリンク機構30は歯車伝達機構21の出力軸22から伝達された回転力により回転する円板体のクランク31と、このクランク31の上面外周縁に突設されたクランクピン31aと、該クランクピン31aと係合するガイド溝32aを有しクランク31が一回転するとスライド11をガイド溝13に沿って図面左右方向へ一往復させる往復スライダ32とから構成されている。
【0011】
一方、このカード払出し装置1には、カード払出し口40の直前に配設されたカード排出手段6とカード収容部2内に積載収容された複数枚のカード9の先端側9aとの間に形成されたカード搬送路41には、当該カード搬送路41を所定のタイミングで開閉するシャッター手段50が配設されている。なお、上述したカード排出手段6は駆動ローラ6aと、この駆動ローラ6aの周面に圧接する従動ローラ6bとにより構成されている。
【0012】
このシャッター手段50はカード搬送路41内に出没する断面略L字形状のシャッターレバー51と、このレバー51を軸52を中心に回動させ、これによりカード搬送路41を開閉する平面矩形上の枠体により構成されたリンク53とから構成されている。
【0013】
このうち、矩形上の枠体により構成されたリンク53はシャッターレバー51の側方に形成された突起51aに係合する長孔53aを有し、このリンク53の後端53bはスライド姿勢変更手段16を構成する傾斜壁後端54を越える位置に至るまで延設されている。
【0014】
またこのリンク53の後端53bは、スライド11の初期位置では、当該スライド11の後端11aと当接して、その付勢力によりにより図面の右側へ移動し、これによりレバー51を軸52を中心に時計方向へ所定の角度回転させてカード搬送路41内に突出させ、当該カード搬送路41を閉塞している。
【0015】
なお、スライド11が図面左方向へ往路走行してリンク後端53bとスライド後端11aとの当接が解除されると、枠体のリンク53は筐体4を上下に画成する隔壁55の一部に突設された係止片55aとリンク53の一端53cとの間に張設されたコイルスプリング56の付勢力により、図面の左側へ移動し同時にシャッターレバー51を軸52を中心に反時計方向へ所定の角度回転させ、これによりカード搬送路41を拡開する。
【0016】
そして、スライド11が最下面のカード10を押し出した後、当該スライド11が再び図8で示す初期位置へ復帰すると、その際、シャッター手段50のリンク後端53bとスライド後端11aとが再び当接し、その当接の際の付勢力により枠体のリンク53を図面の右側へ移動させ、これによりシャッタレバー51を軸52aを中心に時計方向へ所定の角度回転させてカード搬送路41を再び閉塞する。
【0017】
なお、シャッタレバー51が軸52を中心に時計方向へ回転してカード搬送路41を再び閉塞すると、その際にシャッタレバー41の押圧力によりカード収容部2の下方から二重搬送された複数枚のカード9(最下面のカード10を押し出した際に引きつられて押し出されるカード)は図示したカード収容部2内の初期位置に再び位置決め収容される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本願出願人が先に特開平9−42307号により提出した上述したカード払出し装置1によると、シャッター手段50を構成する枠体のリンク後端53bはスライド後端11aに当接して図面の右側へ移動し、これによりシャッターレバー51を時計方向へ回転させてカード搬送路41を閉塞する構造であるから、図9で示すように、少なくともスライド11の後方にリンク後端53bを配置し、かつこのリンク後端53bが所定距離移動するだけのスペースSを確保せねばならず、このためカード払出し装置1の全長Lを一層短く設定し、これにより一層コンパクトなカード払出し装置を提供することが困難である。
【0019】
因みに、このようなカード払出し装置1を収容するカード自動販売機の機器筐体そのものも、その設置スペース(例えば取り扱うカードがテレホンカードの場合は電話ボックス内のスペース)に応じて次第に薄形および小型になる傾向があり、このためカード自動販売機の筐体内部に設置するカード払出し装置1も、カード自動販売機の筐体サイズに応じて小型化を図らなければならない。
【0020】
この発明は、上述した事情に鑑み、一層の小型化を図ったカード払出し装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、この発明では、多数枚のカードを積載収容するカード収容部と、往復スライダーリンク機構からなるスライド駆動手段により初期位置から往復走行し、その往路走行中に前記カード収容部に積載収容された多数枚のカードのうち、その最下面にあるカードをカード払出口に連通したカード搬送路へ押し出すスライドと、前記スライドがその初期位置から往路走行する際に前記カード搬送路を拡開するとともに、前記スライドが初期位置へ復帰する際に前記カード搬送路を閉塞するリンクにより駆動されるシャッターレバーを有するシャッター手段とを少なくとも有するカード払出部とを具えたカード払出し装置において、前記往復スライダーリンク機構のクランク周面にカム面を形成するとともに、該カム面に前記シャッター手段のリンクを摺接させ、前記シャッター手段のシャッターレバーを前記往復スライダーリンク機構のクランク周面を介し直接駆動させるようにしている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わるカード払出し装置の実施例を詳述する。
【0023】
図1はこの発明に係わるカード払出し装置60の要部破断概念断面図、図2はカード収容部2を除いたカード払出し部3の上面図で、図8、図9と同一機能を果たす部分は同一符号で示す。
【0024】
図1および図2から明らかなように、カード払出し部3を構成する筐体61内に配設されたスライド11の後端11a後方には、図9で示すようなリンク後端53bが存在しない構造となっている。
【0025】
このため、この筐体61内には図9に示すようにリンク後端53bを配置し、その移動量を確保する分のスペースSを設ける必要がなく、これを削除して図1および図2で示す筐体61の全長L´を短く(L´<L)設定して、カード払出し装置60をコンパクトに形成することができることとなる。
【0026】
一方、図1で示すように、このカード払出し装置60のカード搬送路41を開閉するシャッター手段70は、カード搬送路41内に出没する断面略L字形状のシャッターレバー71と、このレバー71を軸72を中心に回動させる矩形上の枠体からなるリンク73とから構成されている。
【0027】
このうち、矩形上の枠体により構成されたリンク73はシャッターレバー71の側方に形成された突起71aに係合する長孔73aを有し、このリンク73の後端73bは以下に詳述する往復スライダリンク機構80の円板体からなるクランク81の周面に形成されたカム面81aに当接している。
【0028】
図3は図2で示すカード分離搬送手段5を構成するスライド11等の主な機構を取り除いた筐体61の上面図である。
【0029】
この筐体61内に配設された往復スライダリンク機構80の円板体からなるクランク81は、その周面に平面略楕円形状のカム面81aが形成され、その最大径部分の上方にはクランクピン81bが突出形成されている。
【0030】
また、そのカム面81aのうち最大径部分とその直後のカム面81a´との間には他の周面よりも大きな段差tが確保されている。
【0031】
一方、シャッター手段70を構成する矩形状のリンク73の後端73aは、上述したクランク81の周面に形成されたカム面81aに当接している。
【0032】
なお、実施例ではこの矩形状のリンク73はプラスチック等の合成樹脂により一体形成されているので、リンク後端73aはクランク81の周面に形成されたカム面81aと摺接すると磨り減りやすいので、これを避けるため鉄等の金属で形成された棒74をリンク後端73aに装着し、この棒74をクランク81のカム面81aに直接当接させるようにしている。
【0033】
この図3で示す往復スライダリンク機構80の円板体からなるクランク81によると、その周面に形成されたカム面81aのうち、その最大径部分がリンク73の後端73aに当接し、その付勢力により矢印Aで示すように、枠体のリンク73を図面の右側へ移動させるようにしているので、シャッターレバー71が図1の軸72を中心に時計方向へ所定の角度時計方向へ回転してカード搬送路41内に突出し、当該カード搬送路41を閉塞している。
【0034】
一方、図4の矢印で示すように、クランク81が反時計方向へ所定の回転角度回転すると、カム面81aのうち最大径部分とその直後のカム面81a´との間の大きな段差tにより、カム面81aとリンク73の後端73aとの当接が迅速に解除され、この結果、枠体のリンク73は図1に示す筐体61の上下を画成する隔壁55の一部に突設された係止片55aとリンク73の一端73cとの間に張設されたコイルスプリング56の付勢力により、図4の矢印Bで示すように図面の左側へ迅速に移動し、同時にシャッターレバー71を図1の軸72を中心に反時計方向へ所定の角度回転させ、これによりカード搬送路41を迅速に拡開する。
【0035】
そして、さらにクランク81が反時計方向への回転を持続し、これにより従来と同様にスライド11が最下面のカード10(図1)をカード搬送路41へ押し出し、その後、クランク81が再び図1で示す初期位置へ復帰すると、図3で示すように、シャッター手段70のリンク後端73bとクランク81の周面に形成されたカム面81aの最大径部分とが再び当接する。すると枠体のリンク73は矢印Aで示す図面右方向へ迅速に移動し、これによりシャッターレバー71を図1の軸72を中心に時計方向へ所定の角度回転してカード搬送路41内に突出し、これにより当該カード搬送路41を再び閉塞する。
【0036】
したがって、本願発明に係わる上述したカード払出し装置1によると、図1で示すように、シャッター手段70のリンク後端73bを図9で示す従来例のようにスライド11の後端11aで駆動するのではなく、クランク81の周面に形成されたカム面81aにより駆動するようにしたから、スライド11の後端11aにリンク後端73bを配置し、かつこのリンク後端73bが所定距離移動するだけのスペースを確保する必要がなくなるから筐体61(カード払出し装置60)の全長L´を一層短く設定し、これにより一層コンパクトなカード払出し装置を提供することができることとなる。
【0037】
一方、図1に示す往復スライダリンク機構80を構成するクランク81のクランクピン81bに係合し、クランク81の回転に連動して図面の左右方向へ往復走行する往復スライダ32に配設されたスライド11は、図9に示す従来例と異なり、カード収容部2をカード払出し部3から取り除いた状態で往復スライダ32から簡単に取り外すことが可能な構造となっている。
【0038】
次に往復スライダ32に装着されたスライド11の詳細な構造を詳述する。
【0039】
図5は上述した往復スライダ32の拡大断面図である。
【0040】
この往復スライダ32に装着されたスライド11は、スライドホルダ90を介し装着されているが、このスライドホルダ90は、その一端に嵌挿された軸91を介し前記往復スライダ32に回動自在に支承されている。
【0041】
この軸91は図5のCC断面図で示す図6のように、押え板92により往復スライダ32の中央に位置決めされる構造となっており、またこの押え板92は、図5で示すように、上方から螺着されるネジ93により往復スライダ32の上面に着脱自在に取り付けられている。
【0042】
従って、図7の組立分解断面図で示すように、上方からネジ93を取り外す簡単な作業で押え板92を取り外し、その後、往復スライダ32の上方から軸91とともにスライドホルダ90を取り外せば、往復スライダ32に対し各種異なったタイプのスライド11(例えば取り扱うカードの板厚に応じた段差を有するスライド)が装着された各種スライドホルダ90を簡単に交換して装着させることができることとなる。
【0043】
因みに、図9に示す往復スライダ32に装着された従来のスライドホルダーは、スライド11がリンク後端53bと当接する機構上、簡単には取り外せない構造となっており、取り外すためには、往復スライダ32全体を筐体4内から取り外すという面倒な作業が必要で、本願の実施例のように筐体61の上方からスライド11が装着されたスライドホルダ90のみを往復スライダ32から簡単に取り外して交換する等の保守点検作業が容易にできない構造である。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のカード払出し装置では、カード搬送路を開閉するシャッター手段のシャッターレバーを駆動するリンクを、往復スライダーリンク機構のクランク周面に形成されたカム面により直接駆動させるようにしたため、従来のごとくシャッター手段のリンク後端をスライド後端に配設し、かつそのリンク後端が移動するスペースをスライド後方に設ける必要がなく、このためそのスペース分だけカード払出し装置のカード払出し部を構成する筐体の全長を短く設定して一層コンパクトなカード払出し装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係わるカード払出し装置の要部破断概念断面図。
【図2】図2は、カード収容部を取り除いたカード払出し部の上面図。
【図3】図3は、スライド等の構成要素を除いたカード払出し部の上面図。
【図4】図4は、スライド等の構成要素を除いたカード払出し部の上面図。
【図5】図5は、往復スライダの拡大断面図。
【図6】図6は図5のCC断面図。
【図7】図7は往復スライダの組立分解断面図。
【図8】図8は従来のカード払出し装置の要部破断概念断面図。
【図9】図9はカード収容部を取り除いた従来のカード払出し部の上面図。
【符号の説明】
2…カード収容部
3…カード払出部
9…カード
11…スライド
32…往復スライダ
40…カード払出口
41…カード搬送路
60…カード払出し装置
70…シャッター手段
71…シャッターレバー
73…リンク
80…往復スライダーリンク機構
81…クランク
81a…カム面
90…スライドホルダ
91…軸
92…押え板
93…ネジ
t…段差
Claims (3)
- 多数枚のカードを積載収容するカード収容部と、往復スライダーリンク機構からなるスライド駆動手段により初期位置から往復走行し、その往路走行中に前記カード収容部に積載収容された多数枚のカードのうち、その最下面にあるカードをカード払出口に連通したカード搬送路へ押し出すスライドと、前記スライドがその初期位置から往路走行する際に前記カード搬送路を拡開するとともに、前記スライドが初期位置へ復帰する際に前記カード搬送路を閉塞するリンクにより駆動されるシャッターレバーを有するシャッター手段とを少なくとも有するカード払出部とを具えたカード払出し装置において、
前記往復スライダーリンク機構のクランク周面にカム面を形成するとともに、該カム面に前記シャッター手段のリンクを摺接させ、前記シャッター手段のシャッターレバーを前記往復スライダーリンク機構のクランク周面を介し直接駆動させるようにしたことを特徴とするカード払出し装置。 - 前記スライドはスライドホルダ内に装着されるとともに、該スライドホルダーは前記往復スライダーリンク機構の往復スライダに軸を介し回動自在に支承され、かつ該軸は前記往復スライダの上面にネジを介し螺着される押え板により前記往復スライダ上面所定位置に着脱自在に装着されることを特徴とする請求項(1)記載のカード払出し装置。
- 前記クランク周面に形成されたカム面は平面略楕円形状であり、そのカム面の最大径部分とその直後のカム面との間には他の周面よりも大きい段差が形成されていることを特徴とする請求項(1)記載のカード払出し装置。
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