JP3690385B2 - 直流電動機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電動機であり、特にヨークとブラシホルダとの位置決め方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、特開平7−194066号公報がある。この公報に開示されたモータは、ブラシホルダを有するホルダステーがブラケットにビス止めされ、更にヨークを形成するモータケーシングのフランジ部にブラケットを介してトルクセンサユニットをビス止めしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、トルクセンサユニットとモータケーシングとの間に介在されるブラケットには、ビスを通すための穴が開けられているが、この穴の内径がビス径よりも大きく形成されている。この場合、トルクセンサユニットとモータケーシングとの間にブラケットを挟んでビス止めした時に、ビスの外径とブラケットに形成された穴の内径との間にクリアランスが生じる。その結果、前記クリアランス分だけブラケットの周方向位置が変位する可能性があるため、ヨークとブラシホルダとの周方向の位置決めが困難であった。
【0004】
また、モータケーシングとブラシホルダとが位置決めされた状態で組み付けを完了しても、振動によりブラケットが前記クリアランス分だけ周方向に移動すると、モータケーシングとの相対位置が変位することで、ヨークとブラシホルダとの周方向位置がずれるという問題があった。更には、トルクセンサユニットとモータケーシングとの間にブラケットを挟んでビス止めしているので、ビス止めする際に三者の穴の位置を合わせる必要がある。この場合、三者のうちどれか一つの部品でも穴の位置がずれると組付けできなくなるため、組付けに手間が掛かるという問題もある。本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、ヨークとブラシホルダとの位置決めを容易に行うことができ、且つ組付け性を向上できる直流電動機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
グロメットがブラシホルダに固定され、グロメットを介してヨークとブラシホルダとの位置決めが行われている。この構成では、ヨークにグロメットが取り付けられ、そのグロメットがブラシホルダに固定されることで、グロメットを介してヨークとブラシホルダとを位置決めでき、ヨークとブラシホルダとの周方向位置のずれを防止できる。
【0006】
グロメットは、ゴム製で、ヨークとブラシホルダに対し、それぞれ圧入状態で固定されている。この場合、グロメットが弾性を有するので、ヨークとブラシホルダとの間で振動によるがたつきを防止できる。また、グロメットは、型による成形品を使用することで、加工誤差を小さくできるので、グロメットの形状不良によるがたつきも防止できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の直流電動機をスタータに適用した実施例を説明する。図1はグロメットの組付け状態を示すスタータ後部の径方向断面図、図2はスタータの断面図である。スタータ1は、図2に示すように、通電を受けて回転力を発生する始動モータ2(本発明の直流電動機)、この始動モータ2の回転速度を減速する減速装置(後述する)、この減速装置を介して始動モータ2の回転力が伝達される出力軸3、この出力軸3上を移動可能に設けられたピニオンギヤ4、出力軸3の回転をピニオンギヤ4に伝達する一方向クラッチ5、始動モータ2の通電回路に介在された内部接点(図示しない)を開閉するマグネットスイッチ6等より構成される。
【0008】
始動モータ2は、軟鋼板を円筒形に成形したヨーク7、このヨーク7の後端開口部を塞ぐエンドフレーム8、ヨーク7の円筒内周面に固設された固定磁極9(例えば永久磁石)、シャフト10と略直交するフェイス型整流子面11を有するアーマチャ12、整流子面11に摺接するブラシ13(13A、13B)、このブラシ13を整流子面11に押圧するブラシスプリング14、ブラシ13を保持するブラシホルダ15等より構成される。
【0009】
減速装置は、アーマチャシャフト10の外周に外歯を形成するサンギヤ16、このサンギヤ16の径方向外周に内歯を形成するリング状のインターナルギヤ17、サンギヤ16とインターナルギヤ17との間に配されて、両ギヤ16、17に噛み合う遊星ギヤ18より構成され、この遊星ギヤ18がサンギヤ16の外周を自転しながら公転することにより、その遊星ギヤ18の公転がピン19を介して出力軸3に伝達される。
【0010】
出力軸3は、アーマチャ12の前方でアーマチャシャフト10と同軸に配され、前端部が軸受20を介してフロントハウジング21に支持され、後端部が軸受22を介してインターナルギヤ17と一体に設けられた軸受部23に支持されている。なお、インターナルギヤ17は、ヨーク7の内周面に嵌合して回転規制されている。ピニオンギヤ4は、出力軸3の外周に軸受24を介して摺動自在に嵌合し、エンジン始動時に出力軸3上を前方へ移動してエンジンのリングギヤ25に噛み合い、出力軸3の回転をリングギヤ25に伝達する。
【0011】
一方向クラッチ5は、出力軸3の外周にヘリカルスプライン嵌合して、ピニオンギヤ4と一体に出力軸3上を前後移動可能に設けられ、出力軸3の回転をピニオンギヤ4へ伝達するとともに、エンジンの始動によってピニオンギヤ4の回転速度が出力軸3の回転速度を上回ると、出力軸3とピニオンギヤ4との間で動力伝達を遮断する。マグネットスイッチ6は、内蔵するプランジャ(図示しない)の移動に伴って前記内部接点の開閉を行うとともに、レバー26を介してピニオンギヤ4を一方向クラッチ5とともに出力軸3上を前後移動させる。
【0012】
次に、本発明に係わるブラシホルダ15周辺の構成について説明する。ブラシホルダ15は、樹脂製のホルダ本体15Aと、このホルダ本体15Aに具備される金属製(例えばステンレス、真鍮等)のホルダ部材15Bとから成る。ホルダ本体15Aは、図1に示すように、中央部に丸穴15aを有する略環状体に設けられ、丸穴15aの周囲にホルダ部材15Bを保持するための凹部15b(図3参照/図1のA−A断面図)が4箇所形成され、丸穴15aの中心を通って径方向に対向する2箇所にエンドフレーム8をビス止めするための金具27が取り付けられている(図4参照/図1のB−B断面図)。なお、金具27には、ビス28を螺子込むための螺子穴29が形成されている。
【0013】
ホルダ本体15Aの外径部には、後述のグロメット30を圧入するための圧入凹部15cが設けられている。この圧入凹部15cは、周方向に所定の間隔を開けて対向する両対向壁面に半円形状に窪んで設けられている(図1参照)。ホルダ部材15Bは、金属板を断面角型の筒状に折り曲げて形成され、図3に示すように、ホルダ本体15Aの凹部15bに嵌挿されて、一側面に設けられた切り起こし爪15dを凹部15bの内面に係合することで、凹部15bからの脱落を防止している。また、ホルダ部材15Bには、ブラシスプリング14を支持する支持アーム31が一体に設けられ、その支持アーム31の先端がホルダ本体15Aに形成された溝部に係止されている。
【0014】
ブラシ13は、図1に示すように、2個の正極ブラシ13Aと2個の負極ブラシ13Bとから成り、それぞれホルダ部材15Bの内部に収容されている。2個の正極ブラシ13Aは、それぞれホルダ部材15Bから取り出されたピグテール13aの端部が共通の金具32に溶接等により接続され、その金具32に接続されたリード線33を介してマグネットスイッチ6の内部接点(固定接点)と電気的に接続されている。リード線33は、ホルダ本体15Aの外径部に圧入されるゴム製のグロメット30に挿通され、このグロメット30を介してヨーク7の外側へ取り出されている。
【0015】
2個の負極ブラシ13Bは、それぞれホルダ部材15Bから取り出されたピグテール13bの端部がホルダ本体15Aに取り付けられた一方の金具27aに接続され、その金具27aを介してアースされている。従って、ホルダ本体15Aに取り付けられた一方の金具27aは、負極ブラシ13Bのアースターミナルを兼用している。但し、他方の金具27bは、一方の金具27aと同様の形状であるが、正極ブラシ13Aのピグテール13aが接続されている訳ではない。ブラシスプリング14は、細長い薄板状のばね材を渦巻き状に巻回して形成され、その先端部がブラシ13の後端面に当接してブラシ13を整流子面11側へ付勢している。
【0016】
次に、ブラシホルダ15周辺の組み付け行程について説明する。前記のグロメット30は、図1に示すように、ホルダ本体15Aの圧入凹部15cに圧入される半円形状の圧入部30aと、ヨーク7の開口端部に設けられたU字状の切り欠き部7a(図1参照)に嵌合する嵌合溝30bとが設けられている。まず、このグロメット30の圧入部30aをホルダ本体15Aの圧入凹部15cに圧入してホルダ本体15Aに固定した後、そのグロメット30の嵌合溝30bをヨーク7の開口端から切り欠き部7aに圧入状態で押し込んで取り付ける。
【0017】
続いて、ブラシホルダ15の後方にエンドフレーム8を配置し、エンドフレーム8に形成された貫通穴8aを通って、ホルダ本体15Aに取り付けられた金具27の螺子穴29にビス28を螺子込み、エンドフレーム8にブラシホルダ15を固定する。その後、エンドフレーム8の後方から図示しないスルーボルトを通してフロントハウジング21に設けられた螺子穴(図示しない)に螺子込み、フロントハウジング21に対してヨーク7とエンドフレーム8を共締めする。
【0018】
(本実施例の効果)
本実施例の構成によれば、グロメット30を介してヨーク7とブラシホルダ15とを周方向に位置決めできる。この場合、グロメットをヨーク7とブラシホルダ15(ホルダ本体15A)にそれぞれ圧入することにより、従来のビス止めする場合に生じるクリアランスが無いので、ブラシホルダ15のがたつきを防止でき、組付け時の位置決め精度を向上できる。また、ビス止めによって位置決めする必要がないので、ヨーク7とブラシホルダ15との位置決めを容易、且つ確実に行うことができる。更には、グロメット30がゴム製であるため、耐振性に優れ、振動によるがたつきを防止できる。
【0019】
また、エンドフレーム8を介してヨーク7とブラシホルダ15とを位置決めする必要がないので、エンドフレーム8とブラシホルダ15とをビス止めする際に、両者の位置決めを行う必要がない。このため、エンドフレーム8に形成する貫通穴8aをビス径より大きい長穴にすることができる。これにより、ホルダ部材15Bに取り付けられた金具27の螺子穴29とエンドフレーム8の貫通穴8aとの位置を簡単に合わせることができるので、ビス止め作業を容易に行うことができる。また、エンドフレーム8の貫通穴8aを長穴にすると、先端が円錐状に尖ったパイロット付きのビスを使用する必要がないので、コストアップを防止できる効果もある。
【0020】
本実施例では、本発明の直流電動機をスタータ1の始動モータ2に適用しているが、本発明の直流電動機を単体で使用する場合でも同様の効果を得られることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】グロメットの組付け状態を示すスタータ後部の径方向断面図である。
【図2】スタータの断面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【符号の説明】
2 始動モータ(直流電動機)
7 ヨーク
9 固定磁極
11 整流子面
12 アーマチャ
13 ブラシ
15 ブラシホルダ
30 グロメット
33 リード線
Claims (2)
- 内周面に複数の固定磁極が固設されたヨーク(7)と、
このヨークに取り付けられ、前記ヨークの内側から外側へ取り出すリード線(33)を挿通して、このリード線を前記ヨークから絶縁保持するグロメット(30)と、
前記固定磁極の内周で回転自在に支持されたアーマチャ(12)と、
このアーマチャに設けられたシャフトと略直交するフェイス型整流子面に摺接するブラシ(13)と、
このブラシを保持するブラシホルダ(15)とを備えた直流電動機において、
前記グロメットが前記ブラシホルダに固定され、前記グロメットを介して前記ヨークと前記ブラシホルダとの周方向位置決めが行われており、
前記グロメットは、ゴム製で、前記ヨークとブラシホルダに対し、それぞれ圧入状態で固定されており、
前記グロメットは、前記ヨークの開口端部に設けられたU字状の切り欠き部(7a)に嵌合する嵌合溝(30b)が設けられており、
前記ブラシホルダ(15)の後方にエンドフレーム(8)を配置し、このエンドフレーム(8)に形成された貫通穴(8a)を通って、前記ブラシホルダ(15A)に取り付けられた金具(27)の螺子穴(29)にビス(28)を螺子込み、前記エンドフレーム(8)に前記ブラシホルダ(15)を固定することを特徴とする直流電動機。 - 前記ブラシは、2個の正極ブラシ(13A)と2個の負極ブラシ(13B)とからなり、それぞれブラシホルダ(15B)に収容されており、
前記2個の正極ブラシ(13A)は、それぞれホルダ(15B)から取り出されたピグテール(13a)の端部が前記リード線に接続されていることを特徴とする請求項1記載の直流電動機。
Priority Applications (1)
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JP2002309662A JP3690385B2 (ja) | 2002-10-24 | 2002-10-24 | 直流電動機 |
Applications Claiming Priority (1)
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