JP3690089B2 - 遮光カップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品類中の金属系異物混入を検査する金属探知機が適用可能である遮光性カップに関するものであり、特に酸素バリアや水蒸気バリア等のバリア機能を有し、容器の外観だけでなく、容器の内側の見栄えも考慮したカップの提供に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より食品等の長期保存性を要求される容器としては、アルミニウム箔を含む構成が知られている。しかし、食品等が内容物の場合、金属系の混入物を検査する為、金属探知機による管理が行われており、上記アルミニウム箔を含む構成であると包装材料であるアルミニウム箔が検知されてしまい、正確な検査を行うことが不可能であった。
また、使用後に焼却処理をする場合、アルミニウムが含まれていることによって焼却炉を傷めたり、有毒ガスが発生する等の問題点があった。
外観上も、アルミニウムを使用する場合、容器の内側からみると、内層フィルムを透してアルミニウムの色が透けてしまい、容器が着色されて見えてしまう等の視覚的な問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に起因しているアルミニウム箔を除いた構成であっても、遮光性、酸素バリア性および水蒸気バリア性等のほぼ同等のバリア機能を有し、さらに容器の外観だけでなく、容器の内側からの見栄えも考慮したカップを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1においては、ポリオレフィン系樹脂を最外層とする紙基材に、遮光層、遮光層を隠蔽する紙からなる隠蔽層、バリアフィルムの順に積層したシートを成形してなるカップとしたものである。
【0005】
また、請求項2においては、前記遮光層が、着色樹脂を使用したことを特徴とする請求項1記載のカップとしたものである。
【0006】
さらにまた、請求項3においては、前記遮光層が、墨インキで周辺部を除いたパターン印刷層で形成したことを特徴とする請求項1記載のカップとしたものである。
また、請求項4においては、前記隠蔽層が、墨以外のインキにより全面あるいはパターン印刷層を施したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカップとしたものである。
また、請求項5においては、前記隠蔽層が、墨以外のインキにより全面あるいはパターン印刷層を施したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカップとしたものである。
また、請求項6においては、前記隠蔽層が、積層シートの最内層であるシーラントであり、白色ポリオレフィン系の樹脂により形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカップとしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の参考の形態を図面を用いて説明する。
本発明の遮光カップ1は図1に示すように、金属層を含まない、少なくとも紙基材の内面に遮光層と遮光層を隠蔽する隠蔽層を有する積層シートを図6の扇状のブランクにカットし、成形してなるカップ(1)である。
【0008】
第1の参考の形態では、図2の(a)に示すように、ポリオレフィン系樹脂(10)を最外層とする紙基材(11)とバリアフィルム(12)を着色樹脂(40)からなる遮光層を介して貼り合わせてあり、さらに、その内面に白色ポリオレフィン系樹脂(60)を形成し、遮光層である着色樹脂(40)を隠蔽している。最内層が、隠蔽層の白色ポリオレフィン系樹脂(60)と同じ樹脂の場合、隠蔽層を最内層としてもよいが、シール性を向上し、成形性をさらに良好にする場合は、図2(a)に示すように、最内層としてシーラント(13)を設けてもよい。
【0009】
また、図2(b)は、図2(a)と同様に紙基材(11)とバリアフィルム(12)からなり、遮光層(40)を介して貼り合わせており、隠蔽層(61)として全面またはパターン状に墨以外の印刷層を施したバリアフィルム(12)を隠蔽層とし、紙基材と貼り合わせて積層シートを形成しているシートの断面図である。
【0010】
紙基材(11)を構成する紙は、坪量150〜400g/m2程度が好ましい。この紙基材(11)に外層として積層されるポリオレフィン系樹脂(10)は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を使用し、カップの成形性を考慮すると好ましくは低密度ポリエチレンにより形成し、その厚みは、10〜60μ程度がよい。
【0011】
バリアフィルム(12)は、酸素バリア性が必要である場合、ナイロン、エチレン−エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル等からなるフィルムを使用し、水蒸気バリアが必要である場合、延伸ポリピロピレン、高密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン等からなるフィルムを使用すればよい。
また、酸素バリアと水蒸気バリアの両方が必要である場合、前述のフィルムを組み合わせるか、またはポリ塩化ビニリデンをコートした、延伸ナイロン、延伸ポリプロピレン、または延伸ポリエステル、のいずれかのフィルムを使用する。バリアフィルムとしては前記プラスチックフィルムの他、前記プラスチックフィルムに酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムのような無機化合物の薄膜層を設けたフィルムも使用することができる。
【0012】
ここで、着色樹脂(40)からなる遮光層は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂より形成され紙基材(11)とバリアフィルム(12)を接着させている。この遮光層の厚みは、10μm〜50μm程度が好ましい。
隠蔽層である白色ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を使用し、その厚みは15μm〜60μmの範囲である。
【0013】
また、隠蔽層(61)として全面またはパターンで墨以外の印刷は、インキに酸化チタン等の顔料を使用し、塗布量は2g/m2 〜8g/m2 の範囲が好ましい。
【0014】
本発明の第2の参考の形態は、図3(a)で示すように、ポリオレフィン系樹脂(10)を最外層とする紙基材(11)の内面にパターン印刷を施したインキ層による遮光層(41)を形成しており、バリアフィルム(12)と貼り合わせ、白色ポリオレフィン系樹脂(60)によってインキ層による遮光層を隠蔽している。
あるいは、遮光層として紙基材でなくバリアフィルム(12)の外側に印刷を施して遮光性を持たせることも可能である。両方の場合も、紙基材(11)とバリアフィルム(12)はポリエチレン等の樹脂で接着してもよいし、接着剤等を使用して貼り合わせを行ってもよい。
このとき、遮光層(41)を図6のようにブランク形状の周辺に印刷部分を設けない印刷部分を小さくしたパターンで印刷を行えば、端面(2)にインキが露出せず、インキ面が直接端面(2)で内容物と接触するのを防止することができる。
【0015】
また、図3(b)は、バリアフィルムの外側にパターンで印刷を施したインキ層による遮光層(41)を形成し、さらにその反対側である内面側に遮光層(41)を隠蔽する為、全面またはパターンで墨以外の印刷を施し隠蔽層(61)を形成している積層シートの断面図である。
【0016】
パターンで印刷を施したインキ層(41)のインキは、密着性の優れたウレタン系の樹脂をバインダーとしたものを使用し、塗布量は2g/m2 〜5g/m2 の範囲が適当である。
【0017】
次に、他の参考の形態について説明する。
図4(a)で示すように、ポリオレフィン系樹脂(10)を最外層とする紙基材(11)とバリアフィルム(12)、遮光性を有する接着剤遮光層(42)とし、この接着剤遮光層(42)で貼り合わせ、さらにその内面を白色のポリオレフィン系樹脂(60)からなる隠蔽層で遮光層(42)を隠蔽する。最外層が、白色ポリオレフィン系樹脂(60)と同じ樹脂の場合、白色ポリオレフィン系樹脂(60)を最内層としてもよい。
また、シール性を向上し、成形性をさらに良好にする場合は、図4(b)に示すように、シーラント層(13)を設けてもよい。ここで、遮光性を有する接着剤とは、フィルムや紙等のドライ貼りに使用する接着剤にカーボンブラック等の顔料を混入したものである。塗布量は2g/m2〜8g/m2の範囲が適当である。
接着剤に遮光性をもたせる方法は、樹脂に着色を行う方法に比べ、比較的小ロットの場合対応が容易である。なぜなら、樹脂を着色する場合、溶融押出し機内の特に着色した樹脂を入替える際は大量にパージする必要があり、大量の材料と時間等が必要となる為、少量の生産には不向きである。
【0018】
また、図4(b)のように、図4(a)と同様に接着剤に遮光性をもたせ、遮光層の他の隠蔽方法として、紙基材(11)に貼り合わせるバリアフィルム(12)の外面に墨インキ以外の印刷により隠蔽層を形成する構成でもよい。
【0019】
本発明の実施の形態について説明する。
図5(a)は、ポリオレフィン系樹脂を最外層とする紙基材と、紙からなる隠蔽層紙(62)を着色樹脂からなる遮光層(40)で貼り合わせ、さらにバリアフィルム(12)と貼り合わせ最内層にシーラントを形成したシートの断面図である。
遮光する方法は、図5(b)で示すように、紙基材(11)の内面にパターンで印刷を施したインキ層による遮光層(41)を形成してもよい。また、両方の場合も隠蔽層(62)である紙とバリアフィルム(12)の接着方法は、紙基材(11)とバリアフィルム(12)はポリエチレン等の樹脂により接着してもよいし、接着剤等を使用して貼り合わせを行ってもよい。
【0020】
前記構成における紙基材(11)は、隠蔽層としてさらに紙を貼りあわせる為、紙の厚みを通常の厚みより薄くするほうがよい。紙の坪量は、100g/m2〜300g/m2が好ましい。隠蔽層である紙も、坪量が、100g/m2〜300g/m2がよい。薄すぎると、隠蔽の効果がなく、また、厚すぎるとカップの成形性に問題が発生する。
【0021】
隠蔽層(62)に用いる紙からなる積層シートで形成されたカップの特徴は、カップ内面からみても外観上は、通常の紙とポリオレフィン系樹脂の2層構成あるいは両面ポリオレフィン系樹脂の3層構成の紙カップとほぼ同じで見劣りすることがない。
【0022】
【実施例】
以下具体例による構成を説明する。
〈参考例1〉
カップ原紙(210g/m2)/着色樹脂(15μm)/酸化珪素(400Å)を延伸ポリエステルフィルム(12μm)に蒸着/白色ポリエチレン(40μm)/低密度ポリエチレン(15μm)
この構成では遮光層に黒に着色したポリエチレンを遮光層として、白色ポリエチレン層を隠蔽層としてブランクを形成している。
【0023】
〈参考例2〉
カップ原紙(210g/m2)/接着剤(ウレタンタイプ)(4g/m2)/酸化珪素(400Å)を延伸ポリエステルフィルム(12μm)に蒸着/白色ポリエチレン(40μm)/低密度ポリエチレン(15μm)
この構成では、ウレタンタイプの接着剤に墨インキを混ぜ、遮光性を持たせ、隠蔽層は白色ポリエチレンを内面側に押し出し加工して形成する。
【0024】
〈参考例3〉
カップ原紙(210g/m2)/接着剤(ウレタンタイプ)(4g/m2)/酸化珪素(400Å)を墨インキ(5g/m2)を印刷した延伸ポリエステルフィルム(12μm)に蒸着/白色ポリエチレン(40μm)/低密度ポリエチレン(15μm)
この構成は、墨インキの印刷により遮光性を持たせ、白色ポリエチレンで遮光層の隠蔽性を持たせている。
【0025】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、アルミニウム箔を除いた構成であっても、遮光性、酸素バリア性および水蒸気バリア性等のほぼ同等のバリア機能を有し、さらに、隠蔽層を設ける為、容器の外観だけでなく容器の内側から遮光層の色を見通すことがないので、見栄えの点で通常のカップと比較しても見劣りがしない。
【0026】
従って本発明は、遮光性を要求されるカップにおいて、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の容器の一例を示す斜視図である。
【図2】 参考例の容器を構成する積層シートの断面図である。
【図3】 参考例の容器を構成する積層シートの断面図である。
【図4】 参考例の容器を構成する積層シートの断面図である。
【図5】 本発明の容器を構成する積層シートの断面図である。
【図6】 参考例の容器の一例を示す展開平面図である。
【符号の説明】
1‥‥遮光カップ
2‥‥端面
10‥‥(外側)ポリオレフィン系樹脂
11‥‥紙基材
12‥‥バリアフィルム
13‥‥(最内層)シーラント
14‥‥接着層
40‥‥遮光層(着色樹脂)
41‥‥遮光層(インキ)
42‥‥遮光層(接着剤)
60‥‥隠蔽層(白色ポリオレフィン系樹脂)
61‥‥隠蔽層(インキ)
62‥‥隠蔽層(紙)
Claims (6)
- ポリオレフィン系樹脂を最外層とする紙基材に、遮光層、遮光層を隠蔽する紙からなる隠蔽層、バリアフィルムの順に積層したシートを成形してなるカップ。
- 前記遮光層が、着色樹脂を使用したことを特徴とする請求項1記載のカップ。
- 前記遮光層が、墨インキで周辺部を除いたパターン印刷層で形成したことを特徴とする請求項1記載のカップ。
- 前記隠蔽層が、白色のポリオレフィン系樹脂により成形されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカップ。
- 前記隠蔽層が、墨以外のインキにより全面あるいはパターン印刷層を施したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカップ。
- 前記隠蔽層が、積層シートの最内層であるシーラントであり、白色ポリオレフィン系の樹脂により形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカップ。
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